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発明の名称 吸水膨張性防水シート
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180942
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平8−347470
出願日 平成8年(1996)12月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 欣一 (外2名)
発明者 関原 克章 / 中林 延郎 / 真弓 克己
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂と混合可能なゴムに、加硫剤、加硫助剤、カーボンブラック、その他の添加剤を加えて成るゴム組成物にポリオレフィン系樹脂、および吸水膨張性樹脂を混合したゴムシートに繊維シートを接合して成形された加硫ゴムシートを基材とし、該基材の両面にアスファルトを塗覆してアスファルト塗覆層を形成したことを特徴とする吸水膨張性防水シート。
【請求項2】 前記ゴム組成物100重量部に対し、ポリオレフィン系樹脂15〜30重量部、吸水膨張性樹脂10〜300重量部、好ましくは60〜150重量部を配合したことを特徴とする請求項第1項に記載の吸水膨張性防水シート。
【請求項3】 前記ゴム組成物に用いるゴムは、エチレンプロピレン系ゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレンイソプレンゴムのいずれかであることを特徴とする請求項第1項または第2項に記載の吸水膨張性防水シート。
【請求項4】 前記ポリオレフィン系樹脂は、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル二元共重合体、エチレングリシジルメタクリレート二元共重合体、エチレングリシジルメタクリレート酢酸ビニル三元共重合体、エチレングリシジルメタクリレートアクリル酸メチル三元共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の吸水膨張性防水シート。
【請求項5】 前記吸水膨張性樹脂は、ポリアクリル酸塩、澱粉・ポリアクリル酸塩、酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール・無水マレイン酸共重合体、アクリル酸塩・アクリルアミド共重合体、カルボキシメチルセルロースの単独または2種以上混合のいずれかであることを特徴とする請求項第1項ないし第4項のいずれか1項である吸水膨張性防水シート。
【請求項6】 前記ゴムシートと繊維シートの接合は、ゴムシートの少なくとも片面に繊維シートを積層接合、またはゴムシート内部に繊維シートを埋設した接合のいずれかであり、かつ、繊維シートはポリエステル、ビニロン、ナイロン等の有機繊維、ガラス等の無機繊維から成る織布、不織布、編布、編組布のいずれかであることを特徴とする請求項第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の吸水膨張性防水シート。
【請求項7】 前記アスファルトは、ストレートアスファルトにスチレンブタジエンブロック共重合体、スチレンイソプレンブロック共重合体、アタクチックポリプロピレン、アモルファスポリアルファオレフィン、エチレン酢酸ビニル二元共重合体のいずれかを混合して得られる改質アスファルト、JIS K 2207に規定する防水工事用アスファルト3種または4種のいずれかであることを特徴とする請求項第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の吸水膨張性防水シート。
【請求項8】 前記吸水膨張性防水シートのアスファルト塗覆層は、その表面の夫々に粘着防止層が形成されており、かつ、粘着防止層は散布し付着させた珪砂、タルク等の鉱物質粉粒、ポリオレフィン系フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の吸水膨張性防水シート。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸水膨張性防水シートに関し、更に詳しくは、建造物の屋上をはじめ地下、トンネル、貯水池、産業廃棄物処分場、水路等の土木・建築用構築物の防水ないし止水に用いられる吸水膨張性防水シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から土木・建築用構築物の防水ないし止水のために、アスファルト系、合成ゴム系、合成樹脂系の防水シートが多用されている。
【0003】これらの防水シートは、古くは溶融アスファルト、または接着剤等で下地に張り付けていたが、近年、環境問題、省力化のため、アスファルト系防水シートにおいては、ポリマーで改質された改質アスファルトによって作製された厚手の防水シートの裏面をトーチバーナーで焙り、溶融したアスファルトで下地に張り付けるトーチ工法、或いはアスファルト系防水シート、特に、合成樹脂系防水シートに多く見られるように、釘等により防水シートを下地に固定する釘打ち工法等が普及して来た。
【0004】釘打ち工法の場合は、釘打ち個所を防水性シール剤でシールするか、釘打ち個所の周辺部の上面を防水シートの小片で被覆シールするようにしている。
【0005】このように釘打ち工法が普及してくると、釘打ちした個所の釘軸まわりのシール性が問題となったり、産業廃棄物処分場等において投棄される廃棄物の硬い先端部分、廃棄物の角部分等によって防水シートが損傷を受けてシートに孔があいて漏水事故を起こす危険性があるので、吸水すると膨潤してコロイド状になる性質のあるベントナイトや吸水膨張性樹脂を不織布等の少なくとも片面に付着させ、これをバインダーで固定して得られた基材の両面に、防水性材料を被覆して作製した防水シートを用いて、釘軸まわりや外的要因による損傷部分の止水効果を高めるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら従来の技術では種々の問題点がある。
【0007】ベントナイトを使用した場合はベントナイトの吸水倍率が低いため、吸水時の膨潤体積が小さく、防水シートに発生した孔を塞ぐために不織布に対するベントナイトの付着量を非常に多くしなければならないという問題がある。また、ベントナイトは外へ流出して脱落しやすいので、止水材料としては好ましくない。
【0008】吸水膨張性樹脂を用いて作製した防水シートの場合は、用いた吸水膨張性樹脂の吸水倍率は通常50倍以上と非常に高く、吸水し、膨潤した後の樹脂の体積が非常に大きくなって止水効果もかなり高いもののがある。しかし、防水シートの釘打ち個所の釘軸まわりの止水性は高いもの、廃棄物処分場における廃棄物の硬い先端部分、角部分等による損傷を受けた個所では止水効果はあまり期待出来ないという問題がある。
【0009】その理由としては、次のようなことが考えられる。防水シートに釘が打ち込まれると、釘軸まわりから水が浸入し易く、浸入した水は吸水膨張性樹脂の層に達する。釘軸まわりに存在する吸水膨張性樹脂は直ちに吸水し膨潤するが、釘の頭と釘が打ち込まれた下地によって防水シートの上下が拘束されているので吸水膨張性樹脂の上下方向の膨潤が抑制され、あまり拘束されない水平方向の吸水膨張性樹脂の膨潤が主体となり、釘軸まわりの隙間が塞がれる。
【0010】一方、廃棄物処分場等で投棄された廃棄物の硬い先端部分、角部分により防水シートが損傷を受けた場合のように、周囲があまり拘束されない個所では水が吸水膨張性樹脂に接すると直ちに吸水し球状に膨張するので、隙間を完全に塞ぐことが出来ずに、止水効果が不十分となる。また、この場合、過剰の水に接すると吸水膨張性樹脂の脱落が起きることとなって好ましくない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前記のような従来の防水シートの問題点を解消するためにさなれたものであり、本発明者らは鋭意検討の結果、吸水膨張性樹脂を含有するゴムシートの有するゴム弾性が吸水時の吸水膨張性樹脂の膨潤を適度に拘束することに着目し、該吸水膨張性樹脂を含有するゴムシートの両面にアスファルトを塗覆してアスファルト塗覆層を形成した防水シートが、土木・建築用構築物の防水ないし止水に用いる防水シートとして非常に優れていることを見出だし、本発明の吸水膨張性防水シートを完成させたものである。
【0012】本発明の課題を解決するための具体的手段を下記に記述する。
【0013】本発明の吸水膨張性防水シートは、ポリオレフィン系樹脂と混合可能なゴムに、加硫剤、加硫助剤、カーボンブラック、その他の添加剤を加えて成るゴム組成物にポリオレフィン系樹脂、および吸水膨張性樹脂を混合したゴムシートに繊維シートを接合して成形された加硫ゴムシートを基材とし、該基材の両面にアスファルトを塗覆してアスファルト塗覆層を形成したことを特徴とする。
【0014】前記ゴム組成物100重量部に対し、ポリオレフィン系樹脂15〜30重量部、吸水膨張性樹脂10〜300重量部、好ましくは60〜150重量部を配合してもよい。
【0015】前記ゴム組成物に用いるゴムは、エチレンプロピレン系ゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレンイソプレンゴムのいずれかとする。
【0016】前記ポリオレフィン系樹脂は、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル二元共重合体、エチレングリシジルメタクリレート二元共重合体、エチレングリシジルメタクリレート酢酸ビニル三元共重合体、エチレングリシジルメタクリレートアクリル酸メチル三元共重合体のいずれかとする。
【0017】前記吸水膨張性樹脂は、ポリアクリル酸塩、澱粉・ポリアクリル酸塩、酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール・無水マレイン酸共重合体、アクリル酸塩・アクリルアミド共重合体、カルボキシメチルセルロースの単独または2種以上混合のいずれかとする。
【0018】前記ゴムシートと繊維シートの接合は、ゴムシートの少なくとも片面に繊維シートを積層接合、またはゴムシート内部に繊維シートを埋設した接合のいずれかとし、また繊維シートはポリエステル、ビニロン、ナイロン等の有機繊維、ガラス等の無機繊維から成る織布、不織布、編布、編組布のいずれかとする。
【0019】前記アスファルトは、ストレートアスファルトにスチレンブタジエンブロック共重合体、スチレンイソプレンブロック共重合体、アタクチックポリプロピレン、アモルファスポリアルファオレフィン、エチレン酢酸ビニル二元共重合体のいずれかを混合して得られる改質アスファルト、JIS K 2207に規定する防水工事用アスファルト3種または4種のいずれかとする。
【0020】前記吸水膨張性防水シートのアスファルト塗覆層は、その表面の夫々に粘着防止層が形成されており、かつ、粘着防止層は散布し付着させた珪砂、タルク等の鉱物質粉粒、ポリオレフィン系フィルムのいずれかとする。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に使用するゴムとしては、ポリオレフィン系樹脂と混合可能なゴムであり、エチレンプロピレン系ゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレンイソプレンゴムが挙げられる。このうちエチレンプロピレン系ゴムはエチレンプロピレン共重合体に加工性の観点から不飽和結合を有する第三成分として、非共役ジエンを導入して、エチレンプロピレン非共役ジエン三元共重合体(EPDM)として用いるが、耐熱性、耐薬品性、耐オゾン性等に優れる。
【0022】また、天然ゴムおよびスチレンブタジエンゴムは汎用ゴムとして機械的特性に優れ、また、イソブチレンイソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレンイソプレンゴムは、耐熱性、耐薬品性、耐オゾン性および耐バリヤ性に優れている。
【0023】本発明では防水シートの用途およびシートの施工個所に合わせて、前記各種ゴムをいずれも適宜に選択して使用する。
【0024】本発明で使用するポリオレフィン系樹脂としては、官能基を有しないポリエチレン、ポリプロピレンでもよいが、官能基を有するものは同一配合量でもアスファルト等への接着性が良好な点で好ましく、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル二元共重合体、エチレングリシジルメタクリレート二元共重合体、エチレングリシジルメタクリレート酢酸ビニル三元共重合体、エチレングリシジルメタクリレートアクリル酸メチル三元共重合体が挙げられる。これらはいずれも好適に用いることが出来るが、特にエチレン酢酸ビニル二元共重合体は汎用的に使用することが出来る点で最も好ましい。
【0025】ゴムに熱融着性を与えるために上記のポリオレフィン系樹脂を混合すると、その混合量にもよるが、該樹脂の軟化点または融点以上の温度では、加硫ゴムであっても可塑度が上昇し、外力によって変形し、また樹脂的性質が現われて硬くなり、ゴム状弾性が損なわれるが、本発明では、ゴムとしてポリオレフィン系樹脂と混合可能なゴムを用いるので、ポリオレフィン系樹脂とゴムとが良好に混合され絡み合い、かつゴムと一緒に加硫されて三次元網目構造を形成する。従って、得られたゴムシートは、ポリオレフィン系樹脂の軟化点以下の温度でも硬化することなくゴム状弾性を高度に保持し、かつ熱融着性を備えている。
【0026】本発明で使用する吸水膨張性樹脂としては、例えばポリアクリル酸塩、澱粉・ポリアクリル酸塩、酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール・無水マレイン酸共重合体、アクリル酸塩・アクリルアミド共重合体、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、これらを単独または2種以上混合して用いてもよく、いずれも好適に使用することが出来る。また、吸水膨張性樹脂は粒径としては小さい方が同一配合量で粒径の大きなものに比し、膨潤した際の樹脂間の隙間が小さくなり、釘等により生じる隙間を密に埋めることが出来る理由から径0.01〜0.15mm程度の粉末状とする。
【0027】前記ゴム、ポリオレフィン系樹脂および吸水膨張性樹脂は、常法に従って硫黄、有機過酸化物等の加硫剤、ジベンゾチアジル・ジスルフイド(MBTS)、テトラメチルチウラム・ジスルフイド(TMTD)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフエンアミド(CBS)等の加硫助剤、カーボンブラック、その他の添加物と共に、混練され、混合物のゴムシートに成形されるが、シート化する際に混合物のゴムシートの片面または両面に繊維シートを積層するか、或いは混合物の内部に埋設して加硫されたゴムシートを補強する。この場合に用いる補強用の繊維シートとしては、ポリエステル、ビニロン、ナイロン等の有機繊維、ガラス等の無機繊維から成る織布、不織布、編布、編組布、またはこれらを組み合わせたものを用いればよい。また、繊維シートの厚さはある程度の強度を有することと、加工性のよいこと等の観点から0.1〜0.5mm程度とする。
【0028】本発明において、繊維シートを用いる理由は、防水シートを製造する際に、ゴムシートの両面にアスファルトを塗覆してアスファルト塗覆層を形成するが、ゴムシートにはある程度のテンションが掛けられており、塗覆するアスファルトの温度が180℃〜200℃程度の高温になるので、ゴムシートが弾性の限界を超えて熱的変形を起こさないようにするためと、施工後における防水シートとしての強度を保持させるためである。
【0029】本発明では、ポリオレフィン系樹脂と混合可能なゴム、加硫剤。加硫助剤、カーボンブラック、その他の添加剤から成るゴム組成物100重量部に対し、ポリオレフィン系樹脂15〜30重量部、吸水膨張性樹脂10〜300重量部、好ましくは60〜150重量部を配合したものを使用するが、ポリオレフィン系樹脂の配合量が15重量部未満では、塗覆するアスファルトの接着力が不十分となり、また配合量が30重量部を超えると、ゴム状弾性が損なわれて好ましくない。
【0030】吸水膨張性樹脂はゴム組成物の中で恰も炭酸カルシウム等の充填材と同じようなかたちで分散して介在するが、ゴム組成物100重量部に対し、配合量が10重量部未満では、シートが損傷を受けた個所における止水効果が十分ではなく、配合量が300重量部を超えると、防水シート全体が脆くなるので好ましくない。吸水膨張性樹脂の好ましい配合量はゴム組成物100重量部に対し60〜150重量部で、この範囲であればシートのゴム的性能および止水効果を十分に発揮させることが出来る。このようにして得られる吸水膨張性樹脂を含有する防水シートの厚さは十分な止水性並びに経済性の観点から0.5〜2mm程度とする。
【0031】本発明ではポリオレフィン系樹脂と混合可能なゴムに、加硫剤、加硫助剤、カーボンブラック、その他の添加剤を加えて成るゴム組成物にポリオレフィン系樹脂、および吸水膨張性樹脂を混合したゴムシートに繊維シートを接合した後、常法に従って加硫して加硫シートに成形するものである。
【0032】本発明に使用するアスファルトとしては、針入度60〜120のストレートアスファルトにスチレンブタジエンブロック共重合体、スチレンイソプレンブロック共重合体、アタクチックポリプロピレン、アモルファスポリアルファオレフィン、エチレン酢酸ビニル二元共重合体のいずれかを混合して得られる改質アスファルト、またはJIS K 2207に規定する防水工事用アスファルト3種または4種が挙げられる。改質アスファルトに混合する前記各種ポリマーは、ストレートアスファルト100重量部に対し、5〜30重量部の範囲でいずれも良好に均質に混合することが出来る。
【0033】このようにして得られた改質アスファルトは、アスファルトの温度依存性が著しく改良され、広い温度範囲に亘って軟化或いは硬化現象が起こりにくくなる。それと共に、ゴム弾性や被施工面等に対する接着性が高められ、防水材料として好ましいものとなる。また、防水工事用アスファルト3種または4種は、原油の精製で得られる重質の残留油に空気を吹き込み酸化してブローンアスファルトを作製する際に、五酸化燐等の触媒を用いる所謂触媒ブローンアスファルト、またはオイルを加えて酸化重合したアスファルトコンパウンドから成るもので、同じようにアスファルトの温度依存性が改良されている。
【0034】本発明ではこれらの改質アスファルト、防水工事用アスファルトを前記吸水膨張性樹脂を含有するゴムシートの両面に塗覆してアスファルト塗覆層を形成する。アスファルト塗覆層の厚さは夫々1〜2mm程度あれば十分である。
【0035】アスファルト塗覆層を設けたシートの表面には、吸水膨張性防水シートの作製時、保管時、施工時にシート同士の粘着防止のために、通常のアスファルトルーフィングと同様に珪砂、タルク等の鉱物質粉粒を散布し付着させるか、施工に際しトーチバーナーで加熱溶融する場合は、厚さ10μm前後のポリオレフィン系フィルムを積層しておいてもよい。
【0036】本発明の吸水膨張性樹脂を含有するゴムシートの両面にアスファルト塗覆層を設けた防水シートは、1m幅、或いはそれ以上の幅を有する長尺のシートに作製され、施工に際してそれらの防水シートを多数枚被施工面に対して幅方向に並列状態で順次敷き並べて張り付けるが、隣り合う防水シート同士の端縁部は重ね幅寸法100mm、またはそれ以上の重ね幅寸法で重ね合わせて、その部分を溶融アスファルトで密封するか、またはトーチバーナーを使用して重ね合わされる夫々の端縁部の対向面を加熱溶融して溶融した塗覆層のアスファルトで密封する。
【0037】ゴムシートの両面にアスファルト塗覆層を設けない隣り合うゴムシート同士の重ね合わせ部分の張り合わせは、溶剤系接着剤、自然加硫型ゴム系接着剤等を用いて密封するようにしているが、接着が不完全となり易く、経時により自然に剥離して、その部分からの漏水を生じることが多いので、本発明では両面にアスファルト塗覆層を設けていない防水シートの使用は適しない。
【0038】このように本発明の吸水膨張性防水シートは、ポリオレフィン系樹脂と混合可能なゴムを用いているので、ポリオレフィン系樹脂を介してゴムシートとアスファルトとの接着性がよく、ゴムシートとアスファルト塗覆層との剥離することのない良好な防水シートを形成させることが出来る。
【0039】しかも、施工にあたりゴムシートの両面にアスファルト塗覆層を設けた防水シート同士の端縁部を重ね合わせて行なう接合が、溶融アスファルトによって行なうことが出来るので、水密性の高い接合部を形成することが出来る。
【0040】
【実施例】先ず、本発明の吸水膨張性防水シートの構成を添付図面に従って説明する。
【0041】図1は本発明の吸水膨張性防水シートの1実施例を示すものであり、図1に示す吸水膨張性防水シート1は、吸水膨張性樹脂2を含有する厚さ1.9mmのゴムシート3の片面に繊維シート4を積層して基材5とした後、この基材5のゴムシート3の両面に夫々厚さ1.0mmのアスファルト塗覆層6を塗覆し、アスファルト塗覆層6の表面の夫々に珪砂を厚さ0.08mm程度散布して粘着防止層7を形成したものである。
【0042】図2は本発明の吸水膨張性防水シートの他の実施例を示すものであり、図2に示す吸水膨張性防水シート1は、吸水膨張性樹脂2を含有するゴムシート3の内部に繊維シート4を埋設して厚さ2.0mmの基材5とした後、この基材5のゴムシート3の両面に夫々厚さ1.5mmのアスファルト塗覆層6を塗覆し、アスファルト塗覆層6の表面の夫々に厚さ8μmのポリオレフィン系フィルムを積層して粘着防止層7を形成したものである。
【0043】次の本発明の具体的実施例を比較例と共に説明する。
【0044】実施例1〜8、比較例1〜2エチレンプロピレン系ゴム(EPDM)100重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、FEFカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名旭#60)40重量部、SRF−LSカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名旭#35)43重量部、プロセスオイルA 30重量部、ジクミルパーオキサイド11重量部から成るゴム組成物(ゴム組成物として合計230重量部)に対して、各種のポリオレフィン系樹脂および各種の吸水膨張性樹脂を表1に示す重量部(対ゴム組成物100重量部)で夫々加えた配合物を1バッチに付き7〜9kgづつ、使用するポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い温度の14インチロールで混練し、夫々同じ温度のシーティングロールで幅500mm、厚さ2mmのゴムシートを作製し、このゴムシートから縦・横400mmの試験片2枚を作製した。
【0045】次いで、このゴムシートのうち1枚はポリエステル繊維から成る目付量280g/m2、縦・横400mmの不織布(東洋紡績株式会社製、使用名ボンデンVN-300)を重ねてプレス加硫(加硫温度164℃、圧力20kgf/cm2、加硫時間20分)を行い、他の1枚は、不織布を重ねることなく、同じようにプレス加硫を行い、夫々厚さ1.9mm、縦・横400mmの試験片を作製した。
【0046】次に、不織布を重ねないで作製した試験片を、厚さ2mmのジュラルミン板の上に載せ、この上に内法寸法250×250mmの枠ゲージを置き、予め針入度60〜80のストレートアスファルト100重量部に、スチレンブタジエンブロック共重合体(旭化成工業株式会社製、商品名タフプレンA)10重量部を混合して作製した改質アスファルトを用意しておき、前記枠ゲージの内側空所に、180℃に加熱溶融した改質アスファルトを1〜2mm程度の厚さに流し込み、その上に前記と同じポリエステル繊維製の縦・横400mmの不織布を重ね、更にその上に、前記同様の厚さ2mmのジュラルミン板を載せ、これらをプレス機の間に挟み、温度180℃、圧力10kgf/cm2で15分間加熱し、次いで、室温下で圧力4kgf/cm2で10分間冷却した。その後、枠ゲージを外して改質アスファルトの層で接着されているゴムシートの試験片と不織布を取出し、幅1インチ、長さ200mmの短冊形に切断したものを、剥離試験機でゴムシートおよび不織布の各一端をチャックに挟み、引張速度を50mm/分、測定温度を24℃に設定して接着力(剥離試験)を測定した。接着力が2.5kgf/インチ以上を合格とし、接着力が2.5kgf/インチ未満を不合格とし、その結果を表1に示す。
【0047】尚、表中のゴム−アスファルト接着の欄における数値の後に付した「a」は表示接着力でアスファルト塗覆層が材料破壊したことを表すものである。
【0048】前記試料(不織布を重ねないで作製した試験片)とは別に、不織布を重ねて作製した試験片の両面に、前記に同じ改質アスファルトを、アスファルトコーティング装置で夫々1mmの厚さに塗覆し、試験片の両面に改質アスファルト塗覆層を形成した防水シートを作製し、厚さ12mm、縦・横400mm以上の大きさの合板の上に載せて、該試験片のほぼ中央部で、試験片の上から合板を貫通する程度に、径5mm、長さ30mmの釘を打ち込み、水密性試験を行なった。尚、水密性試験はJIS A 5423の5.7 透水性試験法に準拠して行なった。また、試験片は左右に夫々2.5%づつ伸長して固定し、1000mmの水頭圧をかけて24時間静置後の漏水の有無を観察し、漏水の無い場合を合格、漏水の有る場合を不合格とし、その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】表1におけるポリオレフィン系樹脂の種類は下記のポリオレフィン系樹脂を用いた。
A:変性ポリエチレン(三井石油化学株式会社製、商品名アドマーNF300)
B:変性ポリプロピレン(住友化学工業株式会社製、商品名ボンドファーストG)
C:エチレン酢酸ビニル二元共重合体(昭和電工株式会社製、商品名FL14-1)
D:エチレングリシジルメタクリレート二元共重合体(住友化学工業株式会社製、商品名ボンドファースト2C)
E:エチレングリシジルメタクリレート酢酸ビニル三元共重合体(住友化学工業株式会社製、商品名ボンドファースト7B)
F:エチレングリシジルメタクリレートアクリル酸メチル三元共重合体(住友化学工業株式会社製、商品名ボンドファースト7M)。
【0051】また、表1における吸水膨張性樹脂の種類は下記の吸水膨張性樹脂を用いた。W:イソブチレン−無水マレイン酸共重合体(クラレイソプレンケミカル株式会社製、商品名KIゲル201)
X:アクリル酸・アクリル酸ソーダ(三洋化成株式会社製、商品名ST-500F110)
Y:PVA−アクリル酸塩共重合体(住友化学工業株式会社製、商品名スミカゲルSP-520)
Z:架橋PVA(日本合成化学株式会社製、商品名アクアリザーブGP)。
【0052】実施例9〜14、比較例3〜4スチレンブタジエンゴムゴム100重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、HAFカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名旭#70)40重量部、SRF−LSカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名旭#35)41重量部、ナフテン系プロセスオイル35重量部、ジクミルパーオキサイド8重量部から成るゴム組成物(ゴム組成物として合計230重量部)に対して、各種のポリオレフィン系樹脂および各種の吸水膨張性樹脂を表2に示す重量部(対ゴム組成物100重量部)で夫々加えた配合物、およびゴムシートに塗覆するアスファルトとして針入度60〜80のストレートアスファルト100重量部に、アタクチックポリプロピレン30重量部を混合して成る改質アスファルトを用いて、前記実施例1と同様にして試験片を作製して、ゴム−アスファルトの接着力測定、および水密性試験を行なった。
【0053】その結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】表2におけるポリオレフィン系樹脂の種類、および吸水膨張性樹脂の種類は、表1に示すポリオレフィン系樹脂および吸水膨張性樹脂を用いた。
【0056】実施例15〜20、比較例5〜6イソブチレンイソプレンゴム100重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、FEFカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名旭#60)40重量部、SRF−LSカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名旭#35)43重量部、パラフィン系プロセスオイルB 30重量部、炭酸カルシウム7.5重量部、硫黄1.5重量部、MBTS(三新化学株式会社製、商品名サンセラーDM-G)1重量部およびTMTD(三新化学株式会社製、商品名サンセラーTT-G)1重量部から成るゴム組成物(ゴム組成物として合計230重量部)に対して、各種のポリオレフィン系樹脂および各種の吸水膨張性樹脂を表3に示す重量部(対ゴム組成物100重量部)で夫々加えた配合物、およびゴムシートに塗覆するアスファルトとして針入度60〜80のストレートアスファルト100重量部に、アモルファスポリアルファオレフィン(米国エル・バソ社製、商品名レックスタック・レキセン樹脂)25重量部を混合して成る改質アスファルトを用いて、前記実施例1と同様にして試験片を作製して、ゴム−アスファルトの接着力測定、および水密性試験を行なった。
【0057】その結果を表3に示す。
【0058】
【表3】

【0059】表3におけるポリオレフィン系樹脂の種類、および吸水膨張性樹脂の種類は、表1に示すポリオレフィン系樹脂および吸水膨張性樹脂を用いた。
【0060】実施例21〜26、比較例7〜8臭素化イソブチレンイソプレンゴム100重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、FEFカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名旭#60)40重量部、SRF−LSカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名旭#35)43重量部、パラフィン系プロセスオイルB 30重量部、ジクミルパーオキサイド11重量部から成るゴム組成物(ゴム組成物として合計230重量部)に対して、各種のポリオレフィン系樹脂および各種の吸水膨張性樹脂を表4に示す重量部(対ゴム組成物100重量部)で夫々加えた配合物、およびゴムシートに塗覆するアスファルトとして針入度60〜80のストレートアスファルト100重量部に、エチレン酢酸ビニル二元共重合体15量部を混合して成る改質アスファルトを用いて、前記実施例1と同様にして試験片を作製して、ゴム−アスファルトの接着力測定、および水密性試験を行なった。
【0061】その結果を表4に示す。
【0062】
【表4】

【0063】表4におけるポリオレフィン系樹脂の種類、および吸水膨張性樹脂の種類は、表1に示すポリオレフィン系樹脂および吸水膨張性樹脂を用いた。
【0064】実施例27〜32、比較例9〜10実施例1に使用したものと同じポリエチレンプロピレン系ゴム組成物230重量部に対し、各種のポリオレフィン系樹脂および吸水膨張性樹脂を表5に示す重量部(対ゴム組成物100重量部)で夫々加えた配合物、およびゴムシートに塗覆するアスファルトとしてJIS K 2207に規定する防水工事用アスファルト3種から成る改質アスファルトを用いて、実施例1と同様にして試験片を作製して、ゴム−アスファルトの接着力測定、および水密性試験を行なった。
【0065】その結果を表5に示す。
【0066】
【表5】

【0067】表5におけるポリオレフィン系樹脂の種類、および吸水膨張性樹脂の種類は、表1に示すポリオレフィン系樹脂および吸水膨張性樹脂を用いた。
【0068】表1、2、3、4、5から明らかなように、実施例1〜32はいずれもゴムとアスファルトとの接着力が大きく2.5kgf/インチ以上であったのに対し、比較例1〜10ではゴムとアスファルトとの接着力が小さいものか、もしくは接着力が大きくても水密性試験で漏水するものがあった。従って実施例1〜32ではゴムシートとアスファルト塗覆層との間は接着性に優れていることが確認された。
【0069】また、実施例1〜32ではゴム組成物100重量部に対し、吸水膨張性樹脂は10〜300重量部を配合してあるので、水密性試験で漏水は全くなかったことが確認された。
【0070】実施例33吸水膨張性防水シートとして実施例1と同一組成であって、同一構成(ゴムシートの片面に不織布を接合)の防水シートを用い、この吸水膨張性防水シートのアスファルト塗覆層の表面の夫々に粒径0.10mm程度の珪砂を散布し付着させて成る粘着防止層を形成した。
【0071】そして、実施例1と同様にして試験片を作製して、ゴム−アスファルトの接着力測定、および水密性試験を行なったところ、接着力は2.8kgf/インチであり、水密性試験では漏水はなかった。
【0072】本発明は前記実施例に限定されるものではなく、吸水膨張性防水シートの用途、並びに施工個所に合わせて、ゴム組成物、ポリオレフィン系樹脂、吸水膨張性樹脂並びにゴムシート上に塗覆するアスファルト塗覆層を種々組み合わせて適宜に設定すればよい。
【0073】
【発明の効果】本発明の吸水膨張性防水シートによれば、ポリオレフィン系樹脂と混合可能なゴムを用いているので、ポリオレフィン系樹脂を介してゴムシートとアスファルト塗覆層との接着性に優れ、また、ゴムシートとアスファルト塗覆層の界面が剥離しない良好な積層シートから成る吸水膨張性防水シートを提供することが出来る効果がある。
【0074】また、ゴムシートには繊維シートが接合されているので、施工後のゴムシートの強度を高めることが出来て、シート上に投棄された廃棄物の先端部分、角部分による損傷を軽減することが出来る。
【0075】また、ゴムシートにはゴム組成物100重量部に対し、吸水膨張性樹脂が10〜300重量部含まれているので、吸水膨張性防水シートが損傷を受けても吸水膨張性樹脂が水を吸収し、膨潤して損傷部分を直ちに補修することが出来ると共に、吸水膨張性樹脂の膨潤とゴム自体のゴム弾性とで高い止水性を発揮することが出来る。
【0076】しかも、ゴムシートの両面にアスファルト塗覆層が塗覆されているので、施工に際して防水シート同士の端縁部を重ね合わせて行なう接合が、溶融アスファルトによって行なうことが出来るので、水密性の高い接合部を形成することが出来る。
【0077】吸水膨張性防水シートのアスファルト塗覆層の表面に粘着防止層を形成するときは、吸水膨張性防水シートの作製時、保管時、施工時にシート同士の粘着を防ぐことが出来ると共に、防水シートの取り扱いが容易である。




 

 


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