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発明の名称 ゴムフィルム複合体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−58605
公開日 平成10年(1998)3月3日
出願番号 特願平8−241216
出願日 平成8年(1996)8月23日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 了司
発明者 久世 勝朗 / 加藤 重光 / 野並 宏典
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 接着性改良剤が配合されたゴムフィルムと基材フィルムとを積層してなるゴムフィルム複合体において、上記ゴムフィルムの基材フィルムに接する側の裏面層と反対側の表面層とで上記接着性改良剤の配合量が相違することを特徴とするゴムフィルム複合体。
【請求項2】 接着性改良剤の配合量がゴムフィルムの表面層よりも裏面層で多く設定された請求項1記載のゴムフィルム複合体。
【請求項3】 ゴムフィルムと基材フィルムの界面剥離強度が4N/20mm以上である請求項1または2に記載のゴムフィルム複合体。
【請求項4】 基材フィルムがポリエステルフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載のゴムフィルム複合体。
【請求項5】 ゴムフィルムがシリコーンゴムフィルムである請求項1〜4のいずれかに記載のゴムフィルム複合体。
【請求項6】 ゴムフィルムがエチレンプロピレン系ゴムフィルムである請求項1〜4のいずれかに記載のゴムフィルム複合体。
【請求項7】 接着性改良剤がラジカル反応に対して活性な官能基を含む化合物である請求項1〜6のいずれかに記載のゴムフィルム複合体。
【請求項8】 ラジカル反応に対して活性な官能基を含む化合物が多価アルコールのメタクリル酸エステルである請求項7記載のゴムフィルム複合体。
【請求項9】 多価アルコールのメタクリル酸エステルの配合量がゴム成分100重量部に対し裏面層で2〜40重量部、表面層で0〜1.9重量部である請求項8記載のゴムフィルム複合体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ゴムフィルム複合体に関し、より詳しくはゴムフィルムと基材フィルムの積層体からなり、ゴムフィルムと基材フィルム間の界面接着力が優れ、しかもゴムフィルム表面の接着性を任意に設定可能なゴムフィルム複合体を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴムフィルムは、優れたクッション性を有しているため、産業上の広い分野でシール材やクッション材等に使用されている。しかしながら、ゴムフィルム、特にシリコーンゴムフィルムやエチレンプロピレン系ゴムフィルムは、他の素材との接着性に乏しいため、ゴムフィルムを装置や部品に組み込む場合に高価な接着剤を必要とした。また、ゴムフィルムは、柔軟であるため、組み込み作業時の作業性に劣る等の欠点も有していた。このような問題を解決する手段として、耐熱性に優れ、かつゴムフィルムよりも接着性が良好で、低価格の汎用接着剤で接着可能な基材フィルム、例えばポリエステルフィルムと複合することが知られており、この方法はゴムフィルムが基材フィルムで補強されるため、組み込み作業時の作業性は向上するが、ゴムフィルムと基材フィルム間の接着性が悪いため実用化されていない。
【0003】ゴム、例えばシリコーンゴムと他の素材との接着性を向上する手段として、シリコーンゴムにアリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレートを配合すること(特開昭54−162751号公報参照)、ヘキサビニルジシロキサン、ジメチルテトラビニルジシロキサン等のオルガノシロキサンを配合すること(特開平3−111452号公報参照)、アルケニルカーボネート基含有化合物および/またはメルカプトアセテート基含有化合物を配合すること(特開平8−120177号公報参照)等が提案されているが、これらを配合したシリコーンゴムやEPDMからなるフィルムをポリエステルフィルムに積層しても、両フィルム間の界面接着力はまだ不十分であって、実用的な複合体が得られていない。
【0004】一方、上記のゴムフィルム複合体は、使用目的により、その表面粗度を種々に変えたい場合がある。例えば、コンパクトディスクのドライブテーブル上に取付けるための緩衝用ゴムテープにおいては、コンパクトディスクのグリップ性と離脱性をバランスさせるため、表面粗度を適度に設定する必要がある。このような目的でゴムフィルム複合体の表面粗度をコントロールする方法として、表面粗度の異なる種々の合成樹脂フィルムや布帛をカバーシートとして未架橋状態のゴムフィルム表面に重ね合わせてカバーシートの表面形態をゴムフィルムに転写する方法が知られている。例えば、一般のゴムシートの表面に微細な凹凸を付与する手段として、マット加工やエンボス加工を施したポリエチレンフィルムや塩化ビニルフィルム、またはナイロンタフタやポリエステルタフタ等のフィラメント織物をカバーシートに用いた目付けが広く行われている。
【0005】ところで、上記のカバーシートは、上記ゴムフィルムの未架橋時にその表面に重ね合わされ、架橋後に剥離されるが、前記のようにゴムフィルムに基材フィルムとの界面接着力を向上させる接着力向上剤が配合されている場合は、架橋後にカバーシートを剥離しようとしても、ゴムフィルムとカバーシートの界面接着力も向上しているため、カバーシートの剥離が困難になり、かといって架橋処理前にカバーシートを剥離したのでは、ゴムフィルムがカバーシートに付着するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、任意のゴムフィルムと任意の基材フィルムの積層体からなり、その界面接着力に優れ、各種の装置や部品に組み込む際に安価な汎用接着剤で接着加工を行うことができ、組み込み作業の際の作業性が良好なゴムフィルム複合体であって、しかもゴムフィルム表面の接着性を任意に制御することができ、例えばカバーシートの表面凹凸をゴムフィルム表面に転写した際、カバーシートを容易に剥離できるゴムフィルム複合体を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、請求項1に記載のように、接着性改良剤が配合されたゴムフィルムと基材フィルムとを積層してなるゴムフィルム複合体において、上記ゴムフィルムの基材フィルムに接する側の裏面層と反対側の表面層とで上記接着性改良剤の配合量が相違することを特徴とするゴムフィルム複合体である。
【0008】この発明のゴムフィルム複合体は、基材フィルム上に接着性改良剤の配合量を異にする2種以上のゴムフィルムを積層し、このゴムフィルムを架橋させて製造することができ、この場合は、基材フィルムに接する側のゴム層(裏面層)における接着性改良剤の配合量を、基材フィルムとの間の界面剥離強度を重視した配合とし、反対側のゴム層(表面層)における接着性改良剤の配合量を、用途に応じて所望のゴム物性が得られる配合とすることができ、この表面層における接着性改良剤の配合量は零でもよい。
【0009】また、基材フィルム上に接着性改良剤の配合量を異にする2種以上のゴムフィルムを積層し、このゴムフィルムの表面層上に表面粗度制御のためのカバーシートを重ね、上記ゴムフィルムの架橋処理を施し、しかるのちカバーシートを剥離して製造することもでき、この場合は、基材フィルムに接する側のゴム層(裏面層)における接着性改良剤の配合量を、基材フィルムとの間の界面剥離強度を重視した配合とし、反対側のゴム層(表面層)における接着性改良剤の配合量を、カバーシートの剥離を容易にする配合にすることができ、これによっカバーシートの表面形状をゴムフィルム表面に円滑に転写することができる。なお、中間層における接着性改良剤の配合量は任意であり、例えば上記の裏面層および表面層の中間の配合量に設定することができる。
【0010】この発明のゴムフィルム複合体は、ゴムフィルムとして接着性改良剤が配合されたゴムフィルムが用いられ、このゴムフィルムが基材フィルムに積層されるため、基材フィルムとゴムフィルムの界面接着力が強化され、その界面から容易に剥離することがなくなり、そのためゴムフィルム単体に比べて種々の装置に組み込む際の作業性が向上し、かつ上記の装置等に接着で固定する際、基材フイルムの表面を接着面に用いることにより、汎用接着剤による接着が可能になる。
【0011】しかも、上記ゴムフィルムの基材フィルムに接する側の裏面層と反対側の表面層とで上記接着性改良剤の配合量が相違するため、ゴムフィルムと基材フィルム間の界面接着力を上記のとおり強くしてゴムフィルム複合体としての実用性を高める一方、ゴムフィルムの表面粗度の制御用カバーシートを用いた場合、このカバーシートとゴムシート間の界面接着力を弱くすることができ、この場合は、カバーシートの表面形状を未加硫のゴムシート表面に転写し、次いで架橋処理をした後、カバーシートを円滑に剥離することができ、ゴムシート表面のゴムがカバーシートに付着することなく、きれいな転写面が得られる。
【0012】したがって、接着性改良剤の配合量は、請求項2に記載のごとく、ゴムフィルムの表面層よりも裏面層で多く設定することが好ましく、これによって表面層すなわちカバーシートに接する側の界面剥離強度を弱くする一方、裏面層すなわち基材フィルムに接する側の界面剥離強度を高くして実用性を高めることができる。この裏面層側の界面剥離強度は、後記する基材フィルムの材質、表面処理状態等によっても支配されるが、その大きさは、請求項3に記載のごとく4N/20mm以上が好ましく、6N/20mm以上が一層好ましく、8N/20mm以上が更に好ましく、これによってゴムフィルム複合体を装置に組み込んだ際にゴムフィルムと基材フィルムの界面から剥離することがなくなり、ゴムフィルムの優れたクッション性を活かしてシール材やクッション材として有効に利用できる。
【0013】この発明における基材フィルムは、ゴムフィルムに比べて接着性が良好で、かつ腰のあるフィルムであればよく、特に限定されない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリスルフォンフィルム等が挙げられるが、請求項4に記載のごとく、ポリエステルフィルムを用いることは、接着性、耐熱性、寸法安定性および経済性等の総合力で最も優れている点で好ましい。なお、上記のポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を主成分とするものが好ましい。
【0014】このポリエステルフィルムとして、その表面を活性線で処理したり、ポリエステルフィルムの表面に接着性を向上させる化合物を積層したりした易接着性ポリエステルフィルムを使用することができ、この場合は前記ゴムフィルムにおける接着性向上剤の配合量を少なくすることができる。上記の活性線による処理方法としては、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火炎処理等が例示され、易接着性フィルムの易接着成分としては、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアクリル系の化合物、またはこれらの配合物が挙げられる。また、易接着層を積層する方法は、製膜時に積層するいわゆるインライン法、または製膜したフィルムに積層するいわゆるオフライン法のいずれでもよい。そして、易接着層を積層したフィルムの易接着層表面を更に上記の活性線で処理することができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】この発明に用いられるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、シリコーンゴム(Q)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)およびフッ素ゴム(FKM)等の任意のゴムおよびこれらの混合物を使用することができるが、請求項5に記載されたシリコーンゴムは耐熱性に優れており、また請求項6に記載されたエチレンプロピレン系ゴムは耐オゾン性や耐熱老化性に優れており、それぞれ広い分野のシール材や緩衝材として使用できる点で好ましい。
【0016】上記のシリコーンゴムは、平均単位式:Ra Si O(4-a)/2 で表されるオルガノポリシロキサンである。上式中、Rは置換または非置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、ビニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。また、上式中、aは1.9〜2.1の範囲内の数である。シリコーンゴム成分は、上記の平均単位式で表されるが、これを構成する具体的なシロキサン単位としては、例えば、R3 Si O1/2 単位、R2 (HO)Si O1/2 単位、R2 Si O2/2 単位、RSi O3/2 単位およびSi O4/2 単位が挙げられる。
【0017】シリコーンゴム成分の主成分は、R2 Si O2/2 単位とR3 Si O1/2 単位もしくはR2 (HO)Si O1/2 単位を必須とする直鎖状の重合体であり、場合により少量のRSi O3/2 単位および/またはR3 Si O1/2 単位を含有して、一部分岐構造を有することができる。また、シリコーンゴム成分の一部としてR3Si O1/2 単位およびSi O4/2 単位からなる樹脂状の重合体を配合することができる。このようにシリコーンゴム成分は、二種以上の重合体の混合物であってもよい。また、本組成物が付加反応硬化型シリコーンゴム組成物である場合には、上記平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン中のRの少なくとも2個はアルケニル基であることが必要である。
【0018】また、シリコーンゴム成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、樹脂状等が挙げられ、シリコーンゴムを形成するためには、直鎖状の重合体か、または直鎖状の重合体を主成分とする混合物である。このようなシリコーンゴム成分としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、R3 Si O1/2 単位とSi O4/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R2 Si O2/2 単位とRSi O3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R3 Si O1/2 単位とR2 Si O2/2 単位とRSi O3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、これら二種以上の混合物が挙げられる。なお、上記シリコーンゴム成分の25℃における粘度は、特に限定されないが、実用的には100センチストークス以上、特に1,000センチストークス以上が好ましい。
【0019】また、エチレンプロピレン系ゴムは、特に限定はなく、エチレンとポリプロピレンの二元共重合体であるEPMまたはエチレン、ポリプロピレンおよびジエンの三元共重合体であるEPDMのいずれでもよく、またこれらの混合物であってもよい。上記のEPMおよびEPDMは、公知のものを用いることができるが、これらはエチレン含有率30〜80重量%程度のものが好ましい。また、EPDMとしては、例えばジエンモノマーにエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタン、1,4−ヘキサジエンを用いたものが挙げられる。
【0020】上記のゴム成分に配合される接着性改良剤は、ゴム組成物の基材フィルムに対する接着性を向上させるものであれば特に限定されないが、請求項7に記載のごとく、ラジカル反応に対して活性な官能基を含む化合物、例えばアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体およびアリル誘導体等が好ましく、特に請求項8に記載された多価アルコールのメタクリル酸エステルが好ましい。
【0021】上記多価アルコールのメタクリル酸エステルは、2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールのアルコール性水酸基2個以上をメタクリル酸でエステル化したエステル化合物であり、例えばエチレングリコールジメタクリレート、1,3ブタンジオールジメタクリレート、1,4ブタンジオールジメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2,2′ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロン、グリセンジメタクリレート、グリセントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンジメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールテトラメタクリレート等が挙げられ、特に3個以上のメタクリル酸エステルを含む化合物が好ましい。なお、上記の化合物は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また二種以上を併用してもよい。
【0022】この発明は、前記のとおり、接着性改良剤の配合量をゴムフィルムの裏面層と表面層とで相違させる点に大きな特徴を備えているが、接着性改良剤として上記多価アルコールのメタクリル酸エステルを用いる場合、その好ましい配合量は、請求項9に記載のごとく、ゴム成分100重量部に対し裏面層で2〜40重量部、特に3〜30重量部、表面層で0〜1.9重量部、特に0〜1重量部であり、上記の配合量に設定することにより、ゴムフィルムと基材フィルム間の界面剥離強度を実用レベルに高め、かつ製造時にカバーシートを用いた場合、カバーシートとゴムフィルム間の界面剥離強度をカバーシートの円滑剥離が可能なレベルに弱めることができる。ただし、基材フィルム側(裏面層側)の配合量が40重量部を超えると、ゴム物性が低下する。なお、上記のメタクリル酸エステルは、ゴム組成物の接着性向上剤となるものであるが、必要に応じて補強性充填剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、充填剤用分散剤、共架橋剤等を配合することができる。
【0023】ゴムに上記配合剤を配合する方法は、特に限定されず、例えばゴムコンパウンドを作製する際に2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)などのゴム練り機を用いて行ってもよく、またゴムを溶剤に溶解し、流延法で製膜する場合は、ゴムコンパウンドを溶媒に溶解して溶液を作製する際、または得られた溶液に添加配合する方法で実施してもよい。
【0024】この発明のゴムフィルム複合体は、前記のカバーシートを用いて表面粗度を制御するのに好適である。このカバーシートは、未架橋ゴムの可塑性を利用してカバーシートの表面形状を未架橋ゴムフィルムの表面に転写するものであり、カバーシートとしては表面形状が制御されたフィルム、布帛、紙等が用いられる。このカバーシートは、腰が弱い方が取扱い易い点で、フィルムおよび布帛が好ましい。素材は特に限定されず、ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、ポリカプロアミドやポリヘキサメチレンアジポアミドに代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステルおよびポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0025】上記カバーシートの表面粗度は、ゴムフィルムに要求される表面粗度に応じて任意の手段で付与される。例えば、フィルムを用いる場合は、表面を鏡面に仕上げたフィルムの外、レジンの重合時や成膜時にポリマーに対して不活性の微粒子を配合する方法およびマット加工やエンボス加工等が挙げられる。また、布帛を用いる場合は、タフタのようなフィラメント織物が好ましく、経糸および緯糸の太さ、密度等によって表面粗度を種々に制御することができる。なお、厚みは、特に限定されないが、取扱い性と経済性の点から、0.015〜0.10mm程度の薄地のものが好ましい。
【0026】この発明において、基材フィルムにゴムフィルムを積層する方法は、任意であり、例えば、ゴム組成物を溶媒に溶解した溶液を基材フィルムの表面に塗工、乾燥してゴムの薄膜を形成する方法、ゴム組成物を高圧下で基材フィルムの表面に押出してゴムの薄膜を形成する方法等が挙げられる。液状ゴムを用いる場合は、溶剤で希釈することなく塗工する方法でもよい。なお、本発明におけるゴムフィルムおよび基材フィルムの厚み構成比は、複合体の用途に応じて任意に設定することができる。
【0027】ゴムフィルムの多層化の方法も特に限定はなく、多層コーターヘッドや多層押出しダイを用い、1段で多層化してもよいし、コーターヘッドやダイをマルチ化して多層化してもよい。多層化の度合いも特に限定されないが、2層化のみで充分である。また、ゴムフィルム内の層厚み構成も特に限定はなく、基材フィルム側の裏面層と反対側の表面層の厚み比率を2/98〜98/2の範囲で適宜に選択することができる。
【0028】架橋方法も特に限定されない。例えば、ゴム組成物にパーオキサイド化合物を配合し、上記の方法で積層した後、積層体を加熱処理して架橋させてもよく、また紫外線、電子線、γ線等の活性線を照射して架橋させてもよい。これらの架橋処理における各種助剤の添加は何ら制限されない。そして、この発明では、前記の基材フィルムにゴムフィルムを積層し、好ましくは更にカバーシートを積層した後、上記の架橋処理を施し、しかるのちカバーシートを剥離することにより、基材フィルムとゴムフィルムの複合体を製造する。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施形態1シリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを2〜40重量部配合し、混練して得られたシリコーンゴム組成物をトルエン等の溶媒に溶解して裏面層用ゴム液とする。一方、シリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0〜1.9重量部配合し、混練して得られたシリコーンゴム組成物をトルエン等の溶媒に溶解して表面層用ゴム液とする。上記の裏面層用ゴム溶液および表面層用ゴム溶液を、厚み比率が2/98〜98/2となるように厚みが0.003〜0.25mmの市販のポリエステルフィルム(基材フィルム)の表面に順に塗布、乾燥し、このゴムフィルム面に種々の表面粗度を有する厚みが0.015〜0.10mmのポリエチレンフィルム(カバーシート)を、その表面粗度の制御された面がゴムフィルムに接するように圧着して上記カバーシートの凹凸をゴムフィルムの表面に転写し、続いてカバーシート側から電子線を照射してゴムフィルムを架橋させ、しかるのちカバーシートを剥離し、全厚みが0.03〜0.5mmで、ゴムフィルム表面に上記カバーシートの表面形状が転写されたゴムフィルム複合体を得る。
【0030】得られたゴムフィルム複合体は、ゴムフィルムと基材フィルムの界面における剥離強度が強く、基材フィルムの面を接着面として使用することにより、市販の汎用接着剤で所望の機材に容易に接着することができ、しかもゴムフィルムと基材フィルムの界面から外力で剥離されることがなく、実用的である。例えば、ゴムフィルムを機材に接着する際に広く使用されている両面粘着テープを用いた場合、上記界面での接着力が強いため、外力を加えたときに界面で剥離が生じることはなく、両面粘着テープによる接着部で剥離が生じる。
【0031】そして、ゴムフィルムの表面にカバーシートからの転写により鏡面や梨地等の任意の凹凸が形成され、例えば梨地状の微細な凹凸が形成されると、コンパクトディスク等のドライブテープルにゴムフィルム面を上にして接着して用いたとき、コンパクトディスクのグリップ力とクッション性が良好になる。また、ゴムフィルムと基材フィルムとからなる複合体であり、ゴムフィルム単体に比べて腰が強いため、任意の装置に組み込む際の作業性に優れる。したがって、ゴムフィルムのクッション性を十分に活かしてクッション材やシール材として使用可能になる。
【0032】実施形態2液状シリコーンゴム組成物を用い、これを希釈することなく直ちに多価アルコールのメタクリル酸エステルを添加、攪拌して該メタクリル酸エステルの添加量を異にする裏面層用ゴム液および表面層用ゴム液を作る。次いで、この裏面層用ゴム液および表面層用ゴム液をポリエステルフィルム(基材フィルム)の表面に順に塗布した後、その表面にナイロンタフタをカバーシートとして重ね、圧着して上記タフタ表面の経糸・緯糸が作る凹凸をシリコーンゴムフィルムの表面に転写し、しかるのち実施形態1と同様にして電子線照射による架橋、カバーシートの剥離を順に行ってゴムフィルム複合体を得る。得られたゴムフィルム複合体は、シリコーンゴムフィルム表面にカバーシートから転写された布目状の凹凸を備え、かつシリコーンゴムフィルムと基材フィルムの界面剥離強度が強く、実施形態1のゴムフィルム複合体と同様に使用できる。
【0033】実施形態3実施形態1のシリコーンゴムに代えてEPDMを用いる以外は実施形態1と同様にしてEPDMゴムフィルムとポリエステルフィルム(基材フィルム)の積層体からなるゴムフィルム複合体を得る。この場合は、ゴムフィルムがEPDMで構成されるため、実施形態1のゴムフィルム複合体に比較してゴムフィルムの耐オゾン性および耐熱老化性が向上する。
【0034】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳述する。なお、以下の記載で「部」は重量部を示す。
【0035】実施例1シリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強度型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE555−U」)および市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE958−U」)を60:40の重量比で配合し、2本ロールを用い、100〜200℃で混練して厚み3mmのゴムシートを成形した。この未加硫のゴムシートを切断して1cm角の細片とし、この細片をトルエンに対する重量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き攪拌機に投入し、大気圧下で15時間攪拌して上記細片をトルエンに溶解した後、該溶液にトリメチロールプロパントリメタクリレートを、シリコーンゴムコンパウンド100部に対して4部となるように添加し、均一に攪拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下で更に20分間攪拌し、脱泡して裏面層用ゴム液を得た。また、上記トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量を0.5部とする以外は上記同様にして表面層用ゴム液を得た。
【0036】上記の裏面層用ゴム液および表面層用ゴム液を、2個のコーターヘッドを備えたロールコーターに供給し、コロナ処理が施された厚み0.038mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム)のコロナ処理面に裏面層用ゴム液および表面層用ゴム液の順に、乾燥後の厚みが裏面層0.03mm、表面層0.12mm、合計0.15mmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入し、80℃で乾燥し、そのシリコーンゴム表面に、マット加工をした厚みが0.05mmのポリエチレンフィルム(カバーシート)をマット加工面がシリコーンゴムに向くように重ね、圧着ロールを用いて圧力49N/cmで押さえながら連続して積層し、得られた積層体を更に連続して電子線照射装置に導き、カバーシート側から200KVで15Mrad の電子線を照射して架橋処理を施し、しかるのちカバーシートを剥離し、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムとからなる総厚みが0.188mmのゴムフィルム複合体を得、これをロール状に巻取った。
【0037】比較例1実施例1において、裏面層用ゴム液および表面層用ゴム液共にトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例1と同様にして比較例1のシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。
【0038】比較例2実施例1の裏面層用ゴム液を裏面層および表面層の両方に用いる以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を得た。
【0039】比較例3実施例1の表面層用ゴム液を裏面層および表面層の両方に用いる以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を得た。
【0040】実施例2実施例1において、裏面層用ゴム液におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量を3部とし、表面層用ゴム液におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略し、かつ基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムの表裏両面にポリエステル系の接着性向上剤(テレフタル酸、イソフタル酸、3−スルホイソフタル酸のナトリウム塩、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールよりなるポリエステル)を積層した易接着性ポリエステルフィルムを用いる以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を得た。
【0041】比較例4実施例2における裏面層用ゴム液のトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例2と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を得た。
【0042】実施例3実施例2において、シリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強力型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE575−U」)、市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE956−U」)および市販の導電型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE3603−U」)を用い、これらを70:10:20の比率で混練し、カバーシートとしてナイロンタフタを用いる以外は、実施例2と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。
【0043】比較例5実施例3における裏面層用ゴム液のトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例3と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を得た。
【0044】比較例6実施例3において、裏面層用ゴム液を裏面層用および表面層用の双方に用いる以外は、実施例3と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。
【0045】実施例4ゴムとしてEPDM(エチレン含有量34%、日本合成ゴム社製「EP21」)を、老化防止剤Aとして2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(大内新興化学工業社製「ノクラックMBZ」)を、老化防止剤Bとして4,4−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業社製「ノクラックMBZ」)をそれぞれ用い、下記の配合で常法により混練した。
EPDM 100.0部ポリエチレングリコール 2.5部ステアリン酸 0.5部老化防止剤A 1.5部老化防止剤B 0.7部フェノール・ホルムアルデヒド樹脂 2.0部MAFカーボン 30.0部FTカーボン 40.0部ポリブテン 15.0部NN′−mフェニレンジマレイミド 1.5部2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン 5.0部【0046】上記の混練ゴムを厚み10mmのゴムシートに成形し、この未加硫のゴムシートを切断して1cm角の細片とし、この細片をトルエンに対する重量比率が30%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き攪拌機に投入し、大気圧下で15時間攪拌して上記細片をトルエンに溶解した後、該溶液にトリメチロールプロパントリメタクリレートを、EPDM100部に対して14部となるように添加し、均一に攪拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下で更に20分間攪拌し、脱泡して裏面層用ゴム液を得た。また、上記トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量を0.5部とする以外は上記同様にして表面層用ゴム液を得た。
【0047】上記の裏面層用ゴム液および表面層用ゴム液を用い、かつ基材フィルムとして表裏両面に接着性向上剤(テレフタル酸、イソフタル酸、3−スルホイソフタル酸のナトリウム塩、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールよりなるポリエステル)が積層された易接着性ポリエステルフィルムを用いる以外は実施例1と同様にしてEPDMゴム複合体を得た。
【0048】比較例7実施例4において、裏面層用ゴム液および表面層用ゴム液共にトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例1と同様にして比較例7のEPDMゴムフィルム複合体を製造した。
【0049】比較例8実施例4の裏面層用ゴム液を裏面層および表面層の両方に用いる以外は実施例4と同様にしてEPDMゴムフィルム複合体を製造した。
【0050】比較例9実施例4の表面層用ゴム液を裏面層および表面層の両方に用いる以外は実施例4と同様にしてEPDMゴムフィルム複合体を得た。
【0051】上記の実施例および比較例の複合体におけるゴムフィルムに対するカバーシートの剥離強度および基材フィルムの剥離強度をそれぞれJIS K6854に準じ、T型剥離法で試験した。その結果を裏面層および表面層におけるトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMP)の添加量と共に下記の表1に示す。ただし、表中の「実」は実施例を、「比」は比較例を示す。また、剥離強度で「以上」を付したものは、測定時にゴムフィルムが破損したことを意味する。また、剥離強度Aはゴムフィルムの対カバーシートの剥離強度を、剥離強度Bは対基材フィルムの剥離強度をそれぞれ示す。
【0052】
表 1 TMPの添加量 剥離強度A 剥離強度B 裏面層(部) 表面層(部) (N/20mm) (N/20mm)
実1 4 0.5 1.2 13以上 比1 0 0 0.2 0.4 比2 4 4 7 10以上 比3 0.5 0.5 0.3 0.5 実2 3 0 1.0 15以上 比4 0 0 0.2 0.8 実3 3 0 1.8 15以上 比5 0 0 0.2 0.8 比6 3 3 20以上 15以上 実4 14 0.5 1.4 12以上 比7 0 0 0.4 0.7 比8 14 14 10 12以上 比9 0.5 0.5 0.5 0.7 【0053】表1に示すように、実施例1〜4は、いずれも剥離強度Aが低くてカバーシートを円滑に剥離することができ、かつカバーシートのマット加工面、布目等が良好に転写され、しかも剥離強度Bが高くて基材フィルムが剥離不能で、実用性に優れていた。そして、これら実施例1〜4のゴムフィルム複合体は、基材フィルムであるポリエステルフィルムの表面を接着面として使用すると、汎用の接着剤で機材に接着することが可能であり、かつゴムフィルムと基材フィルム間の接着力が強いので、外力により両者の界面で剥離することがなく、実用性に優れていた。例えば、基材フィルム側を両面粘着テープで任意の機材に接着した場合、ゴムフィルムを剥離しようとしても、剥離は、ゴムフィルムと基材フィルムとの間に起きないで、両面粘着テープによる接着部に起きた。また、上記の複合体は、ゴムフィルムの単体に比べて腰が強く、装置や部品に組み込む際の取扱いが容易で、作業性に優れていた。
【0054】これに対して比較例1、4、5、7は、裏面層および表面層の双方でTMPを省略したため、カバーシートの剥離は容易であったものの、基材フィルム側の界面剥離強度Bが著しく低くなり、複合体を装置や部品に組み込んだ際に弱い外力で簡単に界面剥離が生じ、実用性に欠けていた。また、比較例2、8は、表面層におけるTMPの添加量が過大であるため、カバーシート側の界面剥離強度Aが著しく大きくなり、その剥離が困難であった。また、比較例3、9は、裏面層におけるTMPの添加量が不足したため、比較例1、4、5、7と同様に剥離強度Bが低くなり、基材フィルムが外力で簡単に剥離し、実用性に欠けていた。
【0055】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、ゴムフィルムと基材フィルムとからなるゴムフィルム複合体において、上記ゴムフィルムの裏面層と表面層とで接着性改良剤の配合量を相違させたものであるから、基材フィルムに接する裏面層の配合量を基材フィルムとの間の界面剥離強度を重視した配合とし、反対側の表面層における接着性改良剤の配合量を、用途に応じて所望の接着性、ひいては所望のゴム物性が得られる配合にすることができる。
【0056】したがって、基材フィルム面を接着面として装置や部品に組み込む際、ゴムフィルム単体では接着力が弱くて使用できないような汎用接着剤を用いることができ、かつゴムフィルム単体に比べて腰が強いため、組み込み作業が容易になって能率が向上する。更に、上記のゴムフィルム複合体は、裏面層における接着性改良剤の配合量を多くして基材フィルムとの間の界面剥離強度を強くした場合は、装置や部品に組み込んだ後に基材フィルムが外力で剥離することがなく、産業上の広い分野でシール材や緩衝材として使用することができる。
【0057】特に請求項2に記載の発明は、裏面層の配合量を表面層よりも多くしたものであるから、ゴムシートの表面粗度を制御する目的でゴムシート表面にカバシートを重ねて架橋処理を施し、しかるのちカバーシートを剥離する場合、カバーシートの剥離を容易にし、しかも基材フィルムが容易に剥離されないようにして実用性を高めることができる。そして、請求項3記載の発明は、基材フィルム側の界面剥離強度を4N/20mm以上にしたものであるから、実用性が一層向上する。
【0058】請求項4記載の発明は、基材フィルムとしてポリエステルフィルムを用いるものであるから、接着性、耐熱性および寸法安定性が特に向上する。また、請求項5記載の発明は、ゴムフィルムとしてシリコーンゴムフィルムを用いるので、耐熱性が特に向上し、また請求項6記載の発明はエチレンプロピレン系ゴムフィルムを用いるので、耐オゾン性や耐熱老化性が向上し、それぞれ広い分野のシール材や緩衝材として使用可能になる。また、請求項7記載の発明は、接着性改良剤としてラジカル反応に対して活性な官能基を含む化合物を用いるので、基材フィルムに対するゴムフィルムの接着性が一層向上し、特に請求項8記載のごとく多価アルコールのメタクリル酸エステルを用いることにより、上記の接着性が更に向上する。
【0059】そして、請求項9記載の発明は、上記メタクリル酸エステルの配合量を裏面層で2〜40重量部とし、表面層で0〜1.9重量部とするので、ゴム物性を低下させることなく、ゴムフィルムと基材フィルム間の界面剥離強度を実用レベルに高める一方、カバーシートを用いた場合におけるカバーシート側の界面剥離強度をカバーシートの円滑剥離が可能なレベルに弱めることができる。




 

 


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