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発明の名称 研磨シート
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−315142
公開日 平成10年(1998)12月2日
出願番号 特願平9−145908
出願日 平成9年(1997)5月19日
代理人
発明者 田中 広志 / 中尾 悦郎
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 フィブリル化して絡んだ繊維を含む不織布からなることを特徴とする研磨シート。
【請求項2】 フィブリル化した繊維が液晶ポリエステル系繊維からなることを特徴とする、請求項1記載の研磨シート。
【請求項3】 液晶ポリエステル系繊維がp−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸との共重合体からなることを特徴とする請求項2記載の研磨シート。
【請求項4】 フィブリル化した繊維を3mass%以上含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨シート。
【請求項5】 フィブリル化した繊維以外に、繊維径10μm以下の極細繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨シート。
【請求項6】 極細繊維として、ポリエステル極細繊維を含んでいることを特徴とする、請求項5記載の研磨シート。
【請求項7】 水流により絡んでいることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の研磨シート。
【請求項8】 親水性繊維を含む層を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨シート。
【請求項9】 補強層を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の研磨シート。
【請求項10】 磁気記録媒体製造用であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の研磨シート。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は研磨シート、特に磁気記録媒体などの精密機器を製造する際の、テクスチャー加工に使用することのできる研磨シートに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、磁気ディスクのような磁気記録媒体を製造する場合、アルミ合金などの基材にアルマイト処理やニッケル−リンメッキなどの非磁性メッキ処理を施して非磁性メッキ基材を形成し、その非磁性メッキ基材表面のテクスチャー加工を行った後、その上に、順次、下地層(一般にクロムなどからなる)、磁性薄膜層(一般にコバルト系合金などからなる)、及び保護層(一般に炭素質などからなる)を被覆する。こうして製造される磁気記録媒体においては、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間隔(すなわち、浮上量)をますます小さくすることが要請されているため、磁気ディスク表面に突起が存在しないように、平滑化することが必要である。
【0003】一方、磁気ディスク面の平滑化が進み過ぎると、磁気ディスク面に磁気ヘッドが吸着してしまい、浮上しない現象が起こる場合がある。これを防止するため、前記の非磁性メッキ基材に微細な溝を形成するテクスチャー加工が一般的に行われている。すなわち、テクスチャー加工とは、前記の非磁性メッキ基材の表面を研磨して、微細な傷跡(テクスチャー)を均一に形成する工程である。
【0004】このテクスチャー加工で使用する研磨材としては、従来、繊維径3μm前後の繊維をウレタン樹脂で固定した不織布や、繊維径5μm程度の繊維からなる織物や、或は繊維径14μm程度の繊維を植毛した植毛シートなどがあった。
【0005】しかしながら、繊維径3μm前後の繊維をウレタン樹脂で固定した不織布は、繊維に自由度がないためか、研磨の際に基材表面に大きな傷をつけてしまったり、ウレタン樹脂が脱落して基材表面に付着してしまい、かえって基材表面を不均一にしてしまうものであった。また、繊維径5μm程度の繊維からなる織物も繊維に自由度がないためか、基材表面に大きな傷をつけてしまうものであり、更に、植毛シートは基材表面に対して垂直に繊維が配列しているため、基材表面に大きな傷をつけやすいものであった。
【0006】そのため、本願出願人は特願平9−23149号において、繊維径10μm以下の繊維を80%以上含む、絡合不織布又はメルトブロー不織布の層を少なくとも片面に有する研磨シートを提案した。この研磨シートは上記の問題を解決した、基材表面に大きな傷をつけることなく、均一に研磨して微細な傷跡を均一に形成できるものである。しかしながら、繊維径が小さい繊維からなる不織布を使用しているが故に、研削量が少なく、つまり研削速度が遅いという新たな問題点を包含するものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、基材表面に大きな傷をつけることなく、均一に研磨することができ、しかも研削量の多い研磨シートを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の研磨シートはフィブリル化して絡んだ繊維を含む不織布からなる。このようにフィブリル化した繊維を含んでおり、微細な研磨粒子の保持性に優れているため、基材表面を均一に研磨し、微細なテクスチャーを形成することができる。また、フィブリル化した繊維が絡んでいることによって、ある程度の融通性を有するように繊維を固定しており、基材表面に対して、研磨粒子を強引に押圧しないので、基材表面に大きな傷をつけにくい。更に、フィブリル化した繊維が絡んでいることによって、従来のように繊維径10μm以下の繊維を使用した場合よりも繊維の融通性を抑制しており、研磨粒子をしっかりと基材表面に押圧できるため、研削量の多い研磨シートである。つまり、フィブリル化した繊維が絡んでいることによって繊維が適度に固定されているため、研磨粒子を基材表面に対して適度に押圧できる研磨シートである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の研磨シートはフィブリル化して絡んだ繊維の働きにより、基材表面に大きな傷をつけることなく、均一に研磨することができ、しかも研削量の多いものである。このフィブリル化した状態とは、微細繊維が完全に分離した状態にはなく、微細繊維のどこかで他の繊維と繋がっている状態をいう。この状態は電子顕微鏡写真により容易に確認することができる。
【0010】また、絡んでいる状態とは、接着剤等を使用することなく、形態安定性のある状態をいい、例えば、接着剤等を使用していない不織布の少なくとも一方向における引張伸度が60%以下である状態をいう。この引張伸度はインストロン型引張強伸度測定機を用いて測定した値をいう。なお、測定条件は、試験片として5cm幅×23cm長の不織布を用い、チャック間隔100mm、引張速度100mm/分で不織布が破断するまでに要する距離D(mm)を測定する。この測定結果から、次の式により引張伸度を算出できる。
引張伸度(%)=D/100×100=D【0011】このフィブリル化した繊維又はフィブリル化可能な繊維としては、例えば、液晶ポリエステル系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、合成パルプ、木材パルプ、植物パルプ、溶剤紡糸法により形成したセルロース繊維、特開平2−175915等に開示されているようなアクリル繊維、溶剤湿式冷却ゲル紡糸法により形成したビニロン繊維などを1種類以上使用できる。これらの中でも液晶ポリエステル系繊維は繊維の剛性が高く、研削量を多くでき、また、本発明の研磨シートは研磨粒子を含むスラリー液を供給しながら研磨するのが好適であるが、湿潤時において強度が低下しないため、好適に使用できる。
【0012】この好適である液晶ポリエステル系繊維は液晶ポリエステル系樹脂を紡糸することによって形成できる。本明細書において、液晶ポリエステル系樹脂とは、異方性溶融相を形成することのできるポリマーをいう。この種のポリマーは分子鎖に規則的な平行配列を含んでおり、一般に細長く、扁平で、分子の長軸方向に剛性が高い。異方性溶融相は、例えば、直交偏光子を用いる通常の偏向測定法によって確認できる。
【0013】本発明で用いる液晶ポリエステル系樹脂は、特に限定するものではないが、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸を単独で、又は適宜組み合わせた、全芳香族ポリエステル樹脂からなるのが好ましい。この全芳香族ポリエステル樹脂の中でも、p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸との共重合体からなる液晶ポリエステル繊維は適度な剛性を有しているため好適に使用できる。
【0014】この芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、及び芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、次のものを使用できる。
(1)芳香族ジオール【化1】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、アルキル基(例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基)、フェニル基、又は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)若しくはアルキル基(例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基)で置換されたフェニル基である)
【化2】

(式中、Aは−CH2−、−C(CH32−、又は−SO2−である)
【化3】

(2)芳香族ジカルボン酸【化4】

(式中、R3は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、或いはアルキル基(例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基)である)
【化5】

(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸【化6】

(式中、R4は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、又はアルキル基(例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基)である)
【化7】

【0015】なお、液晶ポリエステル系樹脂を紡糸する際に、紡糸性を向上させるために、芳香族環に置換基を導入したり、非直線性モノマーを利用したり、屈曲鎖を導入しても良い。
【0016】このような液晶ポリエステル系樹脂を紡糸して得られる液晶ポリエステル系繊維は、液晶ポリエステル系樹脂の融点よりも50℃程度低い温度で熱処理をすることにより、剛性を向上させることができるが、長時間熱処理をすると、フィブリル化しにくくなるため、長時間熱処理をしない方が好ましい。フィブリル化しやすいように、繊維を紡糸した後に全く熱処理をしていない液晶ポリエステル系繊維を使用するのが好ましい。
【0017】前述のようなフィブリル化した繊維の含有量は不織布の状態によって異なるが、不織布が1層からなる場合には不織布中に、不織布が2層以上からなる場合には、少なくとも片表面層中に、3mass%以上含まれていれば良く、5mass%以上含まれているのが好ましく、10mass%以上含まれているのが最も好ましい。フィブリル化した繊維の含有量が3mass%未満であると、研磨粒子の保持性及び繊維の適度な融通性が得られない可能性がある。他方、フィブリル化した繊維の含有量が50mass%を越えると、繊維の融通性がなくなり、基材表面に大きな傷をつけてしまう可能性があるため、50mass%以下であるのが好ましい。
【0018】このフィブリル化した繊維以外の繊維としては、微細な研磨粒子の保持性に優れ、基材表面を均一に研磨して微細なテクスチャーを形成できるように、繊維径10μm以下の極細繊維を含んでいるのが好ましく、繊維径8μm以下の極細繊維を含んでいるのがより好ましく、繊維径6μm以下の極細繊維を含んでいるのが最も好ましい。他方、研磨する際の摩擦によって極細繊維が破断しないように、繊維径0.01μm以上であるのが好ましく、繊維径1μm以上であるのがより好ましい。なお、極細繊維の断面形状が非円形からなる場合には、断面積と同じ面積を有する円の直径を極細繊維の繊維径とみなす。また、この極細繊維の含有量はフィブリル化した繊維との関係から50〜97mass%であるのが好ましく、より好ましくは50〜95mass%であり、最も好ましくは50〜90mass%である。
【0019】この繊維径10μm以下の極細繊維は、例えば、2種類以上の樹脂成分からなり、物理的及び/又は化学的処理により極細繊維に分割可能な分割性繊維を分割したり、メルトブロー法により形成することができる。これらの中でも、分割性繊維を分割して発生させた極細繊維はより繊維強度が優れ、研磨する際の摩擦によって極細繊維がより破断しにくいので好適に使用できる。なお、物理的処理としては、例えば、ニードル、水流などの流体流、カレンダー処理などがあり、化学的処理としては、例えば、溶媒により樹脂成分を溶解除去したり、樹脂成分を膨潤させる処理などがある。
【0020】好適である分割性繊維から極細繊維を発生させる場合に使用できる分割性繊維としては、例えば、図1に繊維断面模式図を示すように、除去剤で除去可能なA成分中に、このA成分の除去剤に難除去性のB成分を島状に配置及び/又は分散させた海島型繊維があり、この海島型繊維のA成分を除去することにより、B成分からなる極細繊維を発生させることができる。なお、A成分が物理的作用により分割可能であれば、物理的作用を施すことにより、少なくともA成分からなる極細繊維とB成分からなる極細繊維の2種類の極細繊維を発生可能である。また、島成分は1種類の樹脂成分からなる必要はなく、2種類以上の樹脂成分からなっていても良い。更に、島成分の大きさは均一である必要はなく、大小様々な大きさの島成分が混在していると、基材表面に大きな傷をつけることなく、より均一に研磨することができる。より具体的には、繊維径1〜5μm(好ましくは2〜3μm)の極細繊維と繊維径0.8μm以下(好ましくは0.5μm以下)の極細繊維とを含んでいるのが好ましい。また、繊維径1〜5μm(好ましくは2〜3μm)の極細繊維の数と繊維径0.8μm以下(好ましくは0.5μm以下)の極細繊維の数の比は、0.1:99.9〜5:95(好ましくは1:99〜3:97)であるのが好ましい。
【0021】なお、除去剤としては、樹脂成分によって異なるが、例えば、溶剤、酵素、微生物などがあり、これらの中でも、溶剤は除去速度が速く、取り扱いやすいので好適に使用できる。この溶剤の中でも、水系のものであると、より扱いやすく、処理しやすいので、好適に使用できる。本発明における除去可能とは、樹脂成分の95mass%以上除去可能であることをいい、難除去性とは、除去剤で除去可能な樹脂成分を除去する際の条件下に樹脂成分をさらした時に、この樹脂成分の30mass%以下しか質量低下がない場合をいう。
【0022】本発明で使用できる別の分割性繊維としては、例えば、図2に繊維断面模式図を示すように、A成分と、A成分とは貧相溶性のB成分とを交互に層状に積層した多重バイメタル型繊維があり、この多重バイメタル型繊維に物理的作用を施せば、A成分からなる極細繊維とB成分からなる極細繊維の2種類の極細繊維を発生可能である。なお、図2は分割性繊維が2種類の樹脂成分からなる場合であるが、3種類の樹脂成分からなれば3種類の極細繊維を発生させることができ、4種類の樹脂成分からなれば4種類の極細繊維を発生させることができる。なお、A成分とB成分とが貧相溶性でなく、除去剤に対する溶解性や膨潤性の異なる樹脂成分を組み合わせた場合には、除去剤によって極細繊維を発生させることができる。
【0023】なお、貧相溶性とは、対象となる2種類の樹脂から貼り合わせ型複合繊維を紡糸し、この貼り合わせ型複合繊維に対して指で剪断力を加えることによって、個々の樹脂成分に分割できる場合をいう。
【0024】本発明で使用できる別の分割性繊維としては、例えば、図3及び図4に繊維断面模式図を示すように、A成分を繊維の内部(好適には繊維軸)から繊維表面に伸びる、A成分とは貧相溶性のB成分で分割した菊花型繊維があり、この菊花型繊維に物理的作用を施せば、A成分からなる極細繊維とB成分からなる極細繊維の2種類の極細繊維を発生可能である。なお、図3及び図4は分割性繊維が2種類の樹脂成分からなる場合であるが、3種類の樹脂成分からなれば3種類の極細繊維を発生させることができ、4種類の樹脂成分からなれば4種類の極細繊維を発生可能である。なお、A成分とB成分とが貧相溶性でなく、除去剤に対する溶解性や膨潤性の異なる樹脂成分からなる場合には、除去剤によって極細繊維を発生させることができる。
【0025】更に、本発明で使用できる別の分割性繊維としては、例えば、海島型繊維の島成分が海島型になっているもの(図5参照)、海島型繊維の島成分が多重バイメタル型又は菊花型になっているもの、多重バイメタル型繊維の少なくとも1つの樹脂成分が海島型になっているもの(図6参照)、多重バイメタル型繊維の少なくとも1つの樹脂成分が多重バイメタル型又は菊花型になっているもの、菊花型繊維の少なくとも1つの樹脂成分が海島型になっているもの(図7参照)、或は、菊花型繊維の少なくとも1つの樹脂成分が多重バイメタル型又は菊花型になっているもの、などがある。これらの分割性繊維を使用すれば、繊維径の小さい極細繊維を容易に発生させることができる。
【0026】この分割性繊維を構成する樹脂成分としては、繊維形成能があり、物理的及び/又は化学的処理により分割可能な、2種類以上の樹脂成分の組み合わせからなれば良く、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン系共重合体などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート系共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート系共重合体などのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ビニル重合体、或いは、ポリグリコール酸、グリコール酸共重合体、ポリ乳酸、乳酸共重合体などの脂肪族ポリエステル系重合体、この脂肪族ポリエステル系重合体にカプラミド、テトラメチレンアジパミド、ウンデカナミド、ラウロラクタミド、ヘキサメチレンアジパミドなどの脂肪族アミドが共重合した脂肪族ポリエステルアミド系共重合体などの樹脂を適宜組み合わせれば良い。
【0027】なお、研磨シートで研磨する方法として、研磨粒子を含むスラリー液を供給しながら行なうのが好ましいため、研磨粒子が凝集して基材表面に大きな傷をつけにくいように、親水性に優れるポリアミドからなる極細繊維を発生可能な分割性繊維が好ましい。また、研磨粒子による研削量を多くできるように、剛性のより高いポリエステル極細繊維を発生可能な分割性繊維が好ましい。よって、少なくともポリアミド極細繊維とポリエステル極細繊維とを発生可能な分割性繊維を使用するのが最も好ましい。
【0028】このような、本発明で使用できる分割性繊維は、常法の複合紡糸法、混合紡糸法、或はこれらを適宜組み合わせることにより、容易に紡糸することができる。また、紡糸性や繊維強度を低下させない範囲内で、難燃剤、帯電防止剤、吸湿剤、着色剤、染色剤、導電剤、親水化剤などを混合しても良い。
【0029】本発明の研磨シートは前述のようなフィブリル化して絡合した繊維を含む不織布からなる。このフィブリル化して絡合した繊維が水流により絡合していると、フィブリル化した繊維が高度に絡合しているため、繊維の融通性をより抑制し、その結果、研削量を多くすることができるため好適な研磨シートである。また、水流により絡合した不織布は均一に絡合しているため、基材表面を均一に研磨することができ、しかもより低面密度の薄い不織布であることもできるため、研磨シートを巻回して使用する場合には、巻長さを長くすることができる。
【0030】本発明の研磨シートは上記のような不織布からなるものであるが、本発明の研磨シートは研磨粒子を含むスラリー液を供給しながら研磨するのが好適である。そのため、研磨粒子を分散させている水が少なくなると、研磨粒子が凝集して基材表面に大きな傷をつけやすくなるため、上述のような不織布以外に、親水性繊維を含む層、例えば、親水性繊維を含む不織布や編織物の層を設けるのが好ましい。
【0031】この親水性繊維とは公定水分率が5%以上の繊維をいい、例えば、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、テンセル繊維(溶剤抽出法により得られるセルロース繊維)などの繊維を使用できる。これらの中でもレーヨン繊維やテンセル繊維は湿潤時に柔らかくなり、研磨粒子を基材表面に強引に押圧しないので好適に使用でき、テンセル繊維は湿潤時の強度低下が小さいため、より好適に使用できる。なお、この親水性繊維は層中20mass%以上含まれているのが好ましく、この親水性繊維を含む層は不織布に水分を供給できるように、不織布に隣接しているのが好ましい。
【0032】また、本発明の研磨シートで研磨する際に寸法変化が生じると、基材表面を均一に研磨することができないので、研磨シートに形態安定性を付与するために、補強層を設けるのが好ましい。この補強層とは、この補強層を設けたことによって、研磨シートが下記の条件を満足する層をいう。
記5cm幅の研磨シートを10cm間隔を有するチャック間に固定し、この研磨シートに2kgfの荷重を加えた時に、研磨シートの中央部(チャック間の中央部)における、研磨シートの幅の減少が2mm以下である【0033】このような補強層としては、例えば、糸、ネット、織物、熱可塑性繊維により固定した不織布又は編織物、或はフィルムなどを使用できる。これらの中でも、フィルムは厚みが均一で、しかも強度的に優れているため、好適に使用できる。なお、研磨シートが親水性繊維を含む層と補強層とを有する場合には、上述のように、親水性繊維を含む層が不織布に隣接しているのが好ましいため、この補強層は親水性繊維層に隣接して最外層を形成しているのが好ましい。また、親水性繊維と熱可塑性繊維とからなり、熱可塑性繊維で固定した層のように、補強層と親水性繊維を含む層とが同一の層からなっていても良い。
【0034】以下、本発明の研磨シートの製造方法について簡単に説明する。
【0035】まず、フィブリル化した繊維及び/又はフィブリル化可能な繊維を用意する。好ましくは繊維径10μm以下の極細繊維を発生可能な分割性繊維、繊維径10μm以下の極細繊維、メルトブロー法又はスパンボンド法により繊維ウエブを形成可能な熱可塑性樹脂の中の少なくとも1つを用意する。フィブリル化した繊維はフィブリル化可能な繊維をビーターやレファイナーなどによって形成することができる。フィブリル化可能な繊維は市販されているため、容易に入手できる。分割性繊維は常法によって紡糸することもできるし、市販されているため容易に入手できる。繊維径10μm以下の極細繊維は分割性繊維を物理的及び/又は化学的処理により分割して、容易に形成できる。メルトブロー法又はスパンボンド法により繊維ウエブを形成可能な熱可塑性樹脂は市販されているため容易に入手できる。
【0036】次いで、これら繊維を含む繊維ウエブを、例えば、カード法やエアレイ法などの乾式法、湿式法、或いはメルトブロー法やスパンボンド法などの直接法により形成する。なお、繊維ウエブの形成方法によって繊維長が異なり、乾式法により形成する場合には、20〜110mmの繊維を使用し、湿式法により形成する場合には、1〜30mmの繊維を使用する。また、フィブリル化した繊維の繊維径は10μm以下であるのが好ましく、フィブリル化可能な繊維は繊維径10μm以下のフィブリルを発生可能な繊維径であれば良く、20μm以下であるのが好ましい。更に分割性繊維の繊維径は繊維径10μm以下の極細繊維を発生可能であれば良く、特に限定するものではない。なお、繊維ウエブは2種類以上の繊維ウエブを積層したものであっても良い。
【0037】なお、フィブリル化可能な繊維(好適には分割性繊維も含む)を使用した場合、不織布を形成するまでのどの段階でフィブリル化(分割)しても良いが、製造上、不織布形成と同時、又は不織布形成後にフィブリル化(分割)するのが好ましい。本発明においては、フィブリル化した繊維が絡合している必要があるため、更なる絡合工程の必要のない不織布形成と同時にフィブリル化するのが好ましい。なお、フィブリル化方法としては、例えば、ニードル、水流などの流体流、カレンダー処理などがある。
【0038】次いで、この繊維ウエブを、例えば、水流による方法やニードルによる方法などにより絡合する。これらの中でも、水流による方法であると、フィブリル化した繊維が高度に絡合でき、繊維の融通性をより抑制できるため好適である。また、繊維ウエブ全体を均一に絡合することができ、しかもより低面密度で薄い研磨シートを形成できるという特長もある。なお、フィブリル化可能な繊維(好適には分割性繊維も含む)を含んでいる場合には、この絡合処理によって絡合すると同時にフィブリル化することができる。
【0039】この好適な絡合方法である水流絡合の条件としては、例えば、ノズル径0.05〜0.3mm、好適には0.08〜0.2mm、ピッチ0.2〜3mm、好適には0.4〜2mmで一列以上に配列したノズルプレートを使用し、圧力1MPa〜30MPa、好適には5MPa〜25MPaの水流を噴出する。なお、水流の圧力は変化させたり、ノズルを揺動又は振動させても良い。また、水流で絡合する際に繊維ウエブを搬送する、ネットやメッシュなどの支持体の非開孔部が大きいと、外観上、孔を有する不織布を形成でき、支持体の非開孔部が小さいと、外観上、孔のない均一な不織布を形成できる。精密機器を研磨する場合には、基材表面をより均一に研磨できるように、線径0.25mm以下の細いワイヤーからなる、50メッシュ以上の目の細かいネットや、これに相当する多孔板を使用するのが好ましい。
【0040】なお、分割性繊維として化学的に分割可能なものを使用したり、分割性繊維の分割が不十分な場合には、絡合処理の後に、溶媒により樹脂成分を溶解除去して分割したり、樹脂成分を膨潤させて分割したり、カレンダー処理により十分に分割するのが好ましい。
【0041】親水性繊維を含む層としては、不織布や編織物からなれば良く、不織布の形成方法としては、ニードルや水流によって絡合する方法、バインダーによって固定する方法、親水性繊維以外に熱可塑性繊維を含ませておき、この熱可塑性繊維の融着により固定する方法などがある。なお、フィブリル化した繊維及び/又はフィブリル化可能な繊維を含む繊維ウエブに、親水性繊維を含む繊維ウエブを積層し、フィブリル化した繊維及び/又はフィブリル化可能な繊維の絡合と同時に、親水性繊維を含む繊維ウエブも絡合すると、不織布と親水性繊維を含む層とを一体化する工程を省略できるので、好適な親水性繊維を含む層の形成方法である。但し、この方法により親水性繊維を含む層を形成する場合には、親水性繊維を含む繊維ウエブを構成する繊維が、研磨シートの研磨表面に露出しないように、フィブリル化した繊維及び/又はフィブリル化可能な繊維を含む繊維ウエブ側からのみ絡合処理を施すのが好ましい。なお、この親水性繊維を含む層は、親水性繊維以外に熱可塑性繊維を混合しておき、この熱可塑性繊維の可塑化(親水性繊維を含む層が補強層でもある)により、或は、別のバインダーにより不織布と一体化することができる。この別のバインダーにより不織布と一体化する場合には、親水性繊維を含む層から不織布への水分の移行を妨げないように、部分的に接着するのが好ましい。
【0042】本発明の補強層は、例えば、糸、ネット、織物、熱可塑性繊維により固定した不織布又は編織物、或はフィルムなどからなれば良く、例えば、熱可塑性繊維により固定した不織布は、乾式法及び/又は湿式法により形成した繊維ウエブを、熱カレンダーロール間を通すことによって可塑化し、固定することによって形成できる。なお、この補強層と、不織布又は親水性繊維を含む層と一体化する方法としては、フィブリル化した繊維及び/又はフィブリル化可能な繊維を含む繊維ウエブ、又は親水性繊維を含む層となるもの(例えば、繊維ウエブ)に、補強層となる繊維ウエブを積層し、フィブリル化した繊維及び/又はフィブリル化可能な繊維を含む繊維ウエブの絡合と同時に、補強層を一体化できる。また、バインダーにより一体化したり、補強体が熱可塑性であれば、補強体の熱可塑性を利用して一体化しても良い。なお、補強層がフィルムからなる場合には、溶融押出したフィルムを不織布又は親水性繊維を含む層に積層し、必要であれば加圧することにより容易に一体化できる。
【0043】このようにして得られる研磨シートは、基材表面に大きな傷をつけることなく、均一に研磨することができ、しかも研削量の多いものであるため、磁気ディスク(例えば、ハードディスク)用基材から磁気記録媒体を製造する際の研磨工程、特にテクスチャー工程において、好適に使用することができる。特に、磁気ディスク用非磁性メッキ基材のテクスチャー加工に好適に使用することができる。なお、磁気ディスク用非磁性メッキ基材のテクスチャー加工に使用する場合、特開平8−96355号公報に記載されているように、研磨粒子を含むスラリー液を供給しながら、基材表面を研磨することができる。
【0044】以下に、本発明の実施例を記載するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
【実施例】
(実施例1)フィブリル化可能な繊維として、p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸との共重合体からなる、紡糸後に熱処理をしておらず、水流によりフィブリル化可能な、繊維径16μm、繊維長51mmの液晶ポリエステル繊維(ベクトランNT、クラレ(株)製)を用意した。他方、分割性繊維として、図4に示すような、ポリエステル成分(A)を繊維の中心から繊維表面に向かって伸びるポリアミド成分(B)で8区分に分割した、菊花型の断面形状を有し、水流で分割可能な、繊度3デニール、繊維長51mmの繊維(DF−5、大和紡(株)製、ポリエステル成分からなる繊維径4.6μmの極細繊維を8本と、ポリアミド成分からなる繊維径4.6μmの極細繊維を8本発生可能)を用意した。
【0046】次いで、液晶ポリエステル繊維30mass%と分割性繊維70mass%とを混綿し、カーディングした一方向性繊維ウエブと、この一方向性繊維ウエブと同様にして形成した一方向性繊維ウエブをクロスレイヤーにより交差させた交差繊維ウエブとを、質量比1:4で積層して積層繊維ウエブを形成した。
【0047】次いで、この積層繊維ウエブを線径0.15mmのワイヤーからなる100メッシュのネットに載置した後、径0.15mm、ピッチ0.6mmのノズルプレートから、圧力12Mpaで水を噴出して、積層繊維ウエブの両面を3度づつ交互に処理して、液晶ポリエステル繊維のフィブリル化、分割性繊維の分割、及びこれら繊維の絡合を行って、面密度80g/m2、厚さ0.32mm、引張伸度40%の絡合不織布を形成した。
【0048】他方、未延伸ポリエステル繊維(繊度5デニール、繊維長38mm)40mass%と、延伸ポリエステル繊維(繊度3デニール、繊維長64mm)60mass%とを混綿し、カーディングして一方向性繊維ウエブを形成した。そして、この一方向性繊維ウエブを絡合不織布の一方向性繊維ウエブ側に積層し、温度200℃、線圧力60kg/cmのカレンダーロール間を通すことにより、一方向性繊維ウエブを結合(結果として補強層)すると同時に、絡合不織布と接着一体化して、面密度130g/m2、厚さ0.22mmの研磨シートを形成した。なお、絡合不織布を構成している極細繊維は融着していなかった。また、研磨シート(5cm幅)を10cm間隔を有するチャック間に固定し、この研磨シートに2kgfの荷重を加えた時に、研磨シートの中央部(チャック間の中央部)における、研磨シートの幅の減少は0mmであった。
【0049】(実施例2)フィブリル化可能な繊維を5mass%と分割性繊維を95mass%とを使用したこと以外は実施例1と全く同様にして、面密度80g/m2、厚さ0.35mm、引張伸度50%の絡合不織布を形成した。次いで、実施例1と全く同様にして、この絡合不織布に補強層を付与し、面密度130g/m2、厚さ0.22mmの研磨シートを形成した。なお、絡合不織布を構成している極細繊維は融着していなかった。また、研磨シート(5cm幅)を10cm間隔を有するチャック間に固定し、この研磨シートに2kgfの荷重を加えた時に、研磨シートの中央部(チャック間の中央部)における、研磨シートの幅の減少は0mmであった。
【0050】(比較例1)レーヨン繊維とポリエステル繊維との混紡糸からなる、面密度200g/m2の平織物に、繊維径13.7μm、長さ0.6mmのナイロンパイルを静電植毛した植毛シートを研磨シートとした。
【0051】(比較例2)図1に示すような海島型の分割性繊維を使用して繊維ウエブを形成し、絡合した後、分割性繊維の海成分を溶解除去して形成した、繊維径2.5〜3.5μmのナイロン繊維からなる絡合繊維ウエブを、40g/m2量程度のウレタン樹脂で固定した、面密度100g/m2、厚さ0.5mmの不織布(東レ(株)製、エクセーヌ)を研磨シートとした。
【0052】(比較例3)繊維径5.1μmのポリエステル極細繊維を主体とした面密度200g/m2、厚さ0.3mmの平織物(鐘紡(株)製、ザヴィーナ)を研磨シートとした。
【0053】(比較例4)繊維径12.4μm、繊維長38mmの延伸ポリエステル繊維を使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして、面密度100g/m2、厚さ0.5mmの絡合不織布を形成した。この絡合不織布を研磨シートとした。
【0054】(研磨特性の評価)実施例1〜2及び比較例1〜4の研磨シートを50mmに裁断した試験テープを使用し、平均粒径0.3μmのダイヤモンドスラリー(砥粒濃度=0.4mass%)を用いて、下記の条件で図8に示すような試験機を用いて、市販のニッケル−リンメッキ処理を施したアルミニウム製ディスク基板のテクスチャー加工を行った。
記 ディスク基板の回転数 : 250rpm オシレーション数 : 1000回/分 オシレーション振幅 : 2mm 試験テープのディスクへの押し圧 : 196kPa 試験テープの送り速度 : 5mm/秒 研磨時間 : 50秒 スラリー供給量 : 10ml/分【0055】このテクスチャー加工の後、ディスク基板表面を電子顕微鏡で観察し、大きな傷があるかどうかを確認した。また、ディスク基板の平均表面粗さRa(小さな値ほど良好である)、及びディスク基板表面の凹凸の平均点から凹部の最大深さRv(数値が大きい程、深い(大きい)傷が発生している)を、表面粗さ・微細形状測定装置(テンコールP−12;テンコール社製)により測定した。更に、テクスチャー加工前後における重量変化、つまり研削量を算出した。これらの結果は表1に示す通りであった。この結果から、本発明の研磨シートは基材表面に大きな傷をつけることなく、均一に研磨することができ、しかも研削量の多いものであることがわかる。
【0056】
【表1】

【0057】
【発明の効果】本発明の研磨シートはフィブリル化して絡んだ繊維を含む不織布からなる。このようにフィブリル化した繊維を含んでおり、微細な研磨粒子の保持性に優れているため、基材表面を均一に研磨し、微細なテクスチャーを形成することができる。また、フィブリル化した繊維が絡んでいることによって、ある程度の融通性を有するように繊維を固定しており、基材表面に対して、研磨粒子を強引に押圧しないので、基材表面に大きな傷をつけにくい。更に、フィブリル化した繊維が絡んでいることによって、従来のように繊維径10μm以下の繊維を使用した場合よりも繊維の融通性を抑制しており、研磨粒子をしっかりと基材表面に押圧できるため、研削量の多い研磨シートである。つまり、フィブリル化した繊維が絡んでいることによって繊維が適度に固定されているため、研磨粒子を基材表面に対して適度に押圧できる研磨シートである。




 

 


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