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発明の名称 濾 材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−128021
公開日 平成10年(1998)5月19日
出願番号 特願平8−308761
出願日 平成8年(1996)11月5日
代理人
発明者 小林 剛 / 間 美香 / 南 彰則
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 懸濁物質を捕捉するための布はくよりなる濾過層と、処理水を透過する通水層とを有することを特徴とする濾材。
【請求項2】 前記濾過層と前記通水層とを不織布で構成してなることを特徴とする請求項1に記載の濾材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水中に分散している懸濁物質を濾過する技術に関し、特に、濾過槽内に複数の濾材を充填構成する濾過装置に用いられ、しかも、工事現場や浚渫作業時或いは田の代かき時に発生する土壌濁水及び藻類を始めとする比較的小さな粒径の懸濁物質を対象とした濾過装置や、超純水製造の前処理用として用いて好適な濾材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境に対する関心は日毎に増しているが、その中でも、生活排水に起因する水環境汚染は古くからの関心事である。特に、湖沼、河川の水質汚染は生態系を一変させ、視覚的な美観の問題に留まらず、悪臭のように、一般生活に直接悪影響を及ぼす問題として、種々の対策や工夫が為されている。汚染された水を濾過する技術は種々活発に研究開発が進められており、中でも藻類のような比較的粒径の小さな懸濁物質(以下、懸濁物質を単にSSと総称する場合もある)を濾過する技術については、小さい粒径のSSを如何に効率良く捕捉し、しかも、濾過槽内に充填した濾材全体としての目詰まり、若しくは濾過圧上昇を如何に遅延させるかと言う、一見、相反する要求を満足する必要が有る。
【0003】上述の要求達成を期する濾材として、砂、アンスラサイト並びに活性炭といった粒状の濾材を濾過槽内に充填構成した技術は良く知られている。しかし、これら粒状濾材は、主として濾材粒子間にSSを捕捉するものであるため、藻類や土粒子のように粒径が100μm以下のSSに対しては、必ずしも有効な手段とは言えない。しかも、このような粒状濾材は比重が大きいことから、例えば逆洗時に濾過槽から分離回収する場合、濾材重量が大きくなるため、取り扱いが難しかった。
【0004】また、種々の合成樹脂を用いた直径数cmの繊維状ボールや、合成樹脂を発泡構成したビーズといった球形濾材も実用化されているが、上記粒状濾材に較べて逆洗等の作業性や濾過速度は改善されるものの、前述した粒径の小さいSSに対する除去率は必ずしも満足できるものではなかった。
【0005】係る従前の技術を改善するため、特開平8−33818号公報及び特開平8−33819号公報には、繊維シートをチップ状とした濾材が提案されている。
【0006】まず、特開平8−33818号公報(以下、文献iと称する)に開示される濾材は、繊維径が30〜200μmの綿毛状のフィラメントを、これよりも融点の低い融着材で結合させ、その内部に空隙を有する厚さ3〜10mmのマット状の媒体を構成し、当該媒体を一辺が5〜50mmの四方形状に裁断してチップ状としたものである。この公報によれば、処理槽に当該濾材を多数充填すれば、各濾材が目詰まりした場合であっても、容易に逆洗し得る旨の提案がなされている。
【0007】また、特開平8−33819号公報(以下、文献iiと称する)に開示される濾材の場合、太さが100〜500μmの大径の合成樹脂フィラメントと、太さが30〜100μmの小径のフィラメントとを混合し、これらを融着材で結合させ、内部に微小空隙を有する厚さ3〜10mmの板状の濾材を構成し、当該板状の濾材を10〜50mm角状に裁断したチップ状のものである。この濾材構成の場合、大径のフィラメントは濾過圧力に対して耐性を持ち、小径フィラメントで構成される微小な空隙が確保される。これがため、SSを捕捉するに従って上昇傾向にある濾過圧により、SSを捕捉するための空隙がつぶれにくいことから、濾過装置を長時間運転することを期待する技術である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した従来の技術では、濾過槽内に多数充填された濾材の全てを効率良く利用するものではなかった。即ち、文献iに提案される濾材の場合、綿毛状のフィラメントにより濾材内部の空隙を構成するものであるが、捕捉されたSSは、当該空隙内に蓄積される。このため、濾過槽内で処理される汚水の上流側に有る濾材が先に目詰まりを起こし、当該濾材自体が汚水の流通を妨げる。従って、汚水の下流側に有る濾材が未捕捉の状態であっても、濾過圧の上昇を来すという問題が有った。
【0009】また、文献iiに提案される濾材であっても、個々の濾材に確保されたSS捕捉用の空隙が捕捉されたSSで閉塞した後、下流側の濾材に汚水並びに浄化された被処理水を透過・流通させる構成は採られていない。従って、文献iの技術と同様に、文献iiの技術を以てしても、濾過槽内に未捕捉の濾材が残っているにもかかわらず濾過圧の上昇を来し、効率的な濾過装置の運転を図ることが難しいという問題点があった。
【0010】この発明は、上述した従来の問題点に鑑み為されたものであり、従って、この発明の目的は、濾過槽内に多数充填される濾材として、汚水の上流側或いは下流側に関わらず、実質的に均一な懸濁物質の捕捉を行うことが可能であり、延いては、濾過装置の効率的な運転を実現し得る新規な濾材を提供することに有る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的の達成を図るため、この発明の濾材構成によれば、懸濁物質(SS)を捕捉するための布はくよりなる濾過層と、この懸濁物質が分散した処理水を透過・流通する通水層とを積層してなることを特徴としている。尚、ここで言う処理水とは、濾過装置に導入される濾過前の汚水と、当該装置から排出される前であってしかも所定の度合いでSSが濾過捕集され、浄化が進んでいる被処理水とを包括的に表すものである。また、この発明の実施に当たり、上述した濾過層と上述の通水層とを不織布で構成するのが好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の濾材は、前述の濾過層と通水層とを有する構成としたものである。以下、本発明の好適例としての濾材につき、概略断面により示す図1を参照して実施の形態につき説明する。本発明の最も単純な構造として、図1に示すように、濾過層11と通水層13とを各1層ずつで積層構成した濾材15が挙げられる。このうち、濾過層11はSSを捕捉する布はくで構成するのが好ましく、通水層13は、濾過層11が目詰まりした場合であっても、近接する他の濾材15に対して、処理水を流通させるための構成成分である。
【0013】この濾材15の寸法は、濾過装置の送液圧力など、装置条件に応じて種々に設計することができる。例えば送液の圧力を0.02〜2.0Kg/cm2程度として設計した汎用の濾過装置の場合、個々の濾材15の濾材面積が1cm2以下好ましくは0.5cm2以下とするのが好適である。この濾材面積とは濾過層11と通水層13との積層方向に対して垂直な面内で濾材が有する面積を表す。本発明の濾材は、濾過層11に主として深層濾過による濾過性能を期待するものであるが、この出願に係る発明者の実験によれば、前述の送液圧力の範囲で、濾材面積を上述の好適範囲よりも大きく採る場合、汚水が濾過(浄化)されることなく通水層13を介してのみ流通する傾向(以下、ショートパスと称する)にある。この現象は、上記好適濾材面積よりも大きな濾材とした場合、処理水が通水層を透過する際の抵抗に較べて、個々の濾材の濾過層を透過するための抵抗が相対的に大きくなるためと考えられる。また、濾材の濾過性能上、濾材面積の下限値には制約を生じないが、従来の粒状濾材を用いた濾過装置に具えられるのと同様な、濾材の流出防止用のメッシュ状部材の配設による圧力損失、或いは小片に裁断加工する際の加工性に考慮し、0.01cm2以上の濾材面積として構成するのが好ましい。さらに、濾材の裁断形状は、正方形、長方形、その他の多角形や円形などとして設計し得る。しかしながら、前述したショートパス低減や濾材の逆洗効率をそこなわないためには、同等の濾材面積であれば、長方形とするのが好ましい。
【0014】これらに加えて、前述の濾過圧に設計する場合、濾材15の厚さは0.3mm以上、10mm以下とし、特に好ましくは0.5mm以上、4mm以下とするのが良い。さらに、濾材15の各構成成分の厚さは、前述した送液圧下で濾材15における通水層13の厚さが占める割合を30〜90%、好ましくは40〜80%とするのが好適である。当該割合を30%未満とし、かつ0.3mm未満の厚さで濾材15を構成した場合、設けた通水層13の機能が不十分となり、濾過層11の目詰まりに伴って急激な濾過圧上昇を来す。また、通水層13の厚さの割合が90%を超え、かつ濾材15の厚さを10mmを超えて設計する場合には、前述のショートパスを来す危険性が高くなる。
【0015】個々の構成成分についての実施形態として、まず、濾過層につき説明すれば、当該濾過層を構成する素材として、従来用いられてきたのと同様に、織物、不織布といった種々の布はくを利用することができる。これら布はくを構成する繊維としては、親水性、疎水性を問わず、いかなる樹脂を使用しても良いが、濾材としての耐久性を考慮すれば、化学的に安定なポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維やポリオレフィン系繊維を主体として構成することが好ましい。特に、比較的小さなSSの捕捉を所望とする場合には、開孔径が小さく、緻密な三次元構造を実現できる極細繊維不織布が好適である。上述した布はくを用いるに当たり、濾過層として機能させるため、その開孔径は所望とする懸濁物質の粒径よりも小さく設計すればよい。但し、懸濁物質は所定の粒径分布を採ることが多いため、濾過層として、より良く機能させるためには、不織布のように開孔径が所定の分布を有する素材として構成するのが望ましい。係る場合、濾過層の平均開孔径は、懸濁物質の平均粒径の0.3倍以上4倍未満程度に設計するのが好適である。この平均開孔径の上限は、濾過装置内で濾過圧を受けて開孔が小さくなる傾向にあるため、捕捉するSSの粒径より大きく設計しても実質的な開孔径はSSを捕捉するに十分である。
【0016】次いで、通水層を構成する素材は、上述の濾過層と接する面や通水層の厚み方向に延在する端面から、通水層の濾材面積に相当する端面に渡って処理水を流通させることが可能な連通孔を有するものであれば、如何なるものを用いても良い。この通水層の好適素材としては、濾過層と同様に化学的に安定な合成樹脂で構成するのが好ましく、種々の合成樹脂を発泡構成したもの、スポンジ状のものなどの多孔質素材が挙げられる。特に、前述した濾過層との積層(接着)または一工程生産が容易であり、しかも、SSを透過可能な開孔径設計の自由度が高いことから、通水層は濾過層と同様に不織布で構成するのが好ましい。この通水層は、既に述べたように、SS捕捉により濾過層が目詰まりした場合であっても、濾過槽内に充填された他の濾材への処理水の流通を図るものであるため、当該通水層の開孔径は、少なくともSSの粒径よりも大きく構成する必要が有る。しかしながら、この開孔径を著しく大きく採る場合には、ショートパスが起こりやすく、また、濾過圧力下での形態保持が難しくなる。従って、前述した濾過圧力においても通水層として機能せしめるため、通水層を構成する素材の平均開孔径の下限は、SSの粒径の2倍以上とすればよく、形態保持に関係する平均開孔径の上限も考慮すれば、好ましくは4〜50倍程度の開孔径とするのが好適である。
【0017】
【実施例】以下、この発明の実施例につき説明する。尚、以下においては、この発明の理解を容易とするため、寸法条件、配置関係及びその他の数値条件など、特定の条件を例示して説明するが、これら条件は好適例に過ぎず、従って、この発明は、これら条件にのみ限定されるものではない。
【0018】(実施例)まず、実施例に係る濾材の作製手順につき説明する。この実施例では、図1を参照して説明した2層構造の濾材15を作製した。始めに、濾過層11を構成するため、分割性繊維であるナイロンとPETとの複合繊維(16分割であり、分割後の繊維直径約4.3μm,繊維長51mm)100重量%から成る繊維ウエブに対して高圧水流による絡合を行い、面密度85g/m2、厚さ0.5mm(20g/cm2荷重時)の基布を得た。尚、この水流絡合不織布の平均開孔径をポロメーター(COULTER社製)によりバブルポイント法で測定したところ、約15μmであった。次いで通水層13を構成するため、ポリプロピレン短繊維(繊度6デニール,繊維長64mm)30重量%、ポリプロピレンとポリエチレンとから成る熱融着複合繊維(繊度6デニール,繊維長102mm)30重量%、及び同熱融着複合繊維(繊度18デニール,繊維長102mm)40重量%を混綿し、ニードルパンチ法による絡合を施した後、加熱ロールによる熱融着を行い、面密度100g/m2、厚さ1.0mm(20g/cm2荷重時)の基布を得た。前述と同様に測定した結果、この熱融着不織布の平均開孔径は約89μmであった。続いて、上述の熱融着不織布の片面に対して、合成ゴム系接着剤をスプレーコーティングし、前述の水流絡合不織布との貼り合わせを行った。然る後、周知の技術によって、貼り合わせ後の不織布を後述する種々の寸法で長方形に裁断し、実施例に係る濾材15を得た。
【0019】(比較例1)比較する濾材として、上述の水流絡合不織布(実施例の濾過層に相当)のみを裁断し、比較例1に係る濾材を得た。
【0020】(比較例2)比較例2として、PET短繊維(繊度1.5デニール,繊維長44mm)100重量%からなるウエブに高圧水流による絡合を施し、面密度60g/m2厚さ0.5mmの不織布を濾過層に使用することを除いては、実施例と同じ通水層を同一の積層手順で作製したものを用いた。この濾過層として用いた不織布の平均開孔径を前述のバブルポイント法により測定したところ、約39μmであった。
【0021】(比較例3)比較例3として、溶融紡糸法により、ポリプロピレンとポリエチレンとの芯鞘構造を有する熱融着性複合短繊維によって、面密度を600g/m2厚さ10mm(20g/cm2荷重時)とした通水層を有することを除いては実施例と同一の構成とした濾材を作製した。この際のPP/PEの重量組成比は1:1とし、当該長繊維の見掛け上の比重は0.91であった。また、この比較例3に配設した通水層の平均開孔径を求めたところ、約3000μmであった。尚、周知の通り、窒素ガス圧入法による測定結果の信頼性の上限が約300μm程度であるため、この比較例3の通水層に関する平均開孔径は、前述したバブルポイント法による開孔径測定の代わりに、後段で説明する計算式により求めた。
【0022】(比較例4)比較例4として、ナイロン繊維(繊度45デニール)70重量%とレーヨン繊維(繊度30デニール)30重量%よりなる繊維ウエブを絡合し、面密度100g/m2の繊維ウエブを調製し、55g/m2のアクリルバインダを用いて厚さ7mm(20g/cm2荷重時)の不織布を通水層としたことを除き、濾過層の構成及び積層手段は実施例と同一とした濾材を作製した。この比較例4の平均開孔径算出には比較例3と同様に後述の計算式を用い、見掛け密度にはバインダ重量を含む状態の数値を用いて当該径を求めたところ、約900μmであった。
【0023】(平均開孔径の算出)次いで、バブルポイント法の代わりに用いた平均開孔径の算出につき説明する。計算手法としては、不織布の見掛け密度と使用した繊維の平均繊度から開孔を構成する単位格子の格子間距離を求め、次いで、この格子間距離が円形の開孔を構成する場合の半径として平均開孔径を求めるものである。まず、不織布が規則的な立方格子から構成されると仮定すれば、不織布の見掛け密度ρ、不織布を構成する繊維1g当たりの繊維長L、格子を構成する1辺の長さc、並びに格子間距離aの間には、下記の数式1が成り立つ。
【0024】
【数1】

【0025】この数式1では不織布を1cm3の規則的な3次元格子状の立方体と仮定して格子間距離aを求めるものである。ここで、LはJISに定められる繊度の定義から、不織布を構成する繊維の平均繊度で9×105cmを除して求められρLは不織布1cm3当たりに含まれる繊維の全長であり格子を構成する1辺の長さc(=1cm)で当該全長を割ることによって、3次元格子を構成する辺の総数が求められる。立方格子には、縦、横及び高さの3方向に等しい長さの辺が存在するため、この総数を3で割って、1方向に存在する辺の数が求められる。この辺の数は立方体の1面に表れる格子の交差点の数に相当するので、この交差点数の平方根は、立方体の一辺に存在する交差点の数となる。この1辺に存在する交差点数から1を引けば一辺に存在する格子間隔の数が得られる。1cm3の立方体を仮定しているため、一辺の長さ1cmを格子間隔の数で割ることにより、格子間距離aが求められる。
【0026】次いで、上記数式1により求められた格子間距離aと、不織布を構成する繊維の平均繊維直径とによって、不織布に形成される開孔を半径rの円とみなした場合には、下記の数式2が成り立つ。
【0027】
【数2】πr2=(a−d)2【0028】数式2では、不織布に形成される開孔の面積πr2と数式1で求めた格子間距離aから平均繊維直径dを引いた長さを一辺とする正方形の面積(a−d)2とが一致すると仮定して導いたものであり、この式を誘導して、2rに相当する平均開孔径φは、次の数式3により求められる。
【0029】
【数3】φ=2(a−d)/π1/2【0030】尚、これら計算式により求められる平均開孔径φと、前述のバブルポイント法による平均開孔径との整合性は、実施例として述べた通水層(平均開孔径89μm)により確認した。
【0031】(評価試験)次に、上述した種々の濾材を評価した方法につき説明する。図2は、評価を実施した濾過装置の構成を模式的に示す説明図であり、断面を表すハッチング等は省略して有る。同図からも理解できるように、濾過装置として、内径15cm、高さ70cmの塩化ビニール製の管を濾過槽17として用い、その両端に、各々、導入口19又は排出口21を配設した密閉型のものを用いた。また、濾過槽17内に充填した複数の濾材15が流出するのを防止する目的でメッシュ状の部材(符号省略)を排出口21近傍に設置すると共に、濾過圧力を測定する目的で、圧力計23を配設構成したものである。評価に当たっては、まず、各実施例及び比較例に係る板状の濾材を所定形状に裁断し、各々、前述した濾過面積の合計を1m2に統一して濾過層17内に充填構成した。然る後、後述する種々の試験水を処理水に用い、図示していないポンプによって流量を53リットル/分に保ち、通水を行う。この評価試験では排出口21で得られた処理水の濁度を測定し、原則として予め測定された原水としての処理水濁度の90%程度(後述する除去率10%程度)に濾過能力が低下するまでを目安として実施した。尚、この濁度測定は、『衛生試験法注解』に記載される環境試験法に準拠したホルマジン(C2H4N2)法により行った。
【0032】濾材構成と試験水との組合せについては表1に、その試験結果については表2に示す。
【0033】
【表1】

藻類A:滋賀県の湖沼から採取したものシルト:浚渫作業時に発生した土壌濁水藻類B:千葉県の湖沼から採取したもの【0034】
【表2】

【0035】この表2からも理解できるように、表1に示す4種類の試験水で評価した実施例に係る濾材では、何れの場合も、除去率(予め測定した試験水の濁度と濾過試験開始直後に排出口で採取した処理水の初期濁度との差を試験水の濁度で割って百分率で示したもの)は約60%以上を達成しており、しかも、濾過圧力は実質的に殆ど変化せず、試験終了までの間に処理された試験水の量は、何れも500〜1000リットルと、大量の水を効果的に浄化することができた。また、試験終了後、充填した濾材を取り出して目視観察したところ、濾過槽内の上流下流に関わらず、ほぼ均一にSSが捕捉されているのが確認できた。
【0036】また、藻類BをSSとし、通水層を設けることなく濾材を構成した比較例1では、通水開始直後に急激な濾過圧力の上昇を来したため、試験を中止した。当該例に係る濾材を取り出して目視観察したところ、導入口側に相当する濾材表面にSSが皮膜として付着し、通水を妨げているのが確認された。さらに、藻類AをSSとし、濾過層の平均開孔径をSSの約5.5倍とした比較例2では、通水層の平均開孔径を実施例3と同様に設計したにも関わらず、除去率が低く、実質的に濾過を行うことができなかった。これとは対照的に、濾過層の構成を実施例と同一にし、濾材の厚さに占める通水層の厚さの割合を95%程度とし、かつ通水層の平均開孔径をSSの約175倍に設計した比較例3に係る濾材では、前述したショートパスを生じて濁度の低減が認められず、濾材として機能しなかった。加えて、通水層の平均開孔径をSSの約65倍としたことを除いては実施例5と同様に設計した比較例4でも、比較例2及び比較例3と同様にショートパスを来たし、濾材として機能しなかった。
【0037】以上、この発明の実施例につき説明したが、この発明は、これら実施例にのみ限定されるものではない。例えば、上述の実施例では、濾過層と通水層とを各々1層ずつで2層構造とした場合を説明した。しかしながら、この発明の濾材は、係る2層構造にのみ限定されるものではなく、これらを少なくとも1層以上含む積層構造とすれば、3層以上の積層構造であっても上述と同様の効果が期待し得る。また、この積層に当たっては、通水層の機能を損なわないように各層間に皮膜を形成しない手段で有れば、接着樹脂をドット形成した積層技術、或いは、接着のみを目的とした構成成分の付加、さらには、上記2つの構成成分を絡合手段により積層構成するなど、種々の変形を行い得る。加えて、上述の実施例では、所定の濾過装置を下向流方式で運転した場合を例示したが、上向流方式でも同様の効果を期待することができる。これら例示条件は、この発明の目的の範囲内で種々の変形及び変更を行い得る。
【0038】
【発明の効果】上述した説明からも明らかなように、この発明の濾材の構成によれば、懸濁物質(SS)を捕捉するための布はくより成る濾過層と、処理水を透過・流通する通水層とが積層構成されている。このため、SS捕捉により濾過層が目詰まりした場合であっても、濾過槽内に充填された他の濾材への処理水の透過流通が通水層によって確保し得る。従って本発明により、濾過層内の配置関係に関わらず、個々の濾材がSS捕捉に寄与し得るため、濾過槽内に複数充填された当該濾材が実質的に均一にSS捕捉することが可能であり、しかも、濾過装置の効率的な運転を実現することが期待できる。




 

 


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