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発明の名称 金属ストリップ鋳造方法及び装置並びにストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180421
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平9−344999
出願日 平成9年(1997)12月15日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
発明者 ウィリアム ジョン フォルダー / ポール カサー
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 一対の冷却した鋳造ロール間のロール間隙上方にロール間隙に沿って配した細長の金属供給ノズルを介し溶融金属を鋳造ロール間に導入し、ロール間隙上方に支持され且つ鋳造溜め囲込み端クロージャによりロール間隙端部を囲込まれた溶融金属鋳造溜めを形成し、ロール間隙から下方に送給される凝固ストリップを鋳造するよう鋳造ロールを回転する金属ストリップ鋳造方法において、金属供給ノズルを、底部床と側壁とを有し且つロール間隙長手方向に延びた上向きに開いた細長のノズルトラフで構成し、該ノズルトラフの長手方向に延びる側壁に、溶融金属をノズルトラフから流出させる側部開口を設け、前記ノズルトラフの底部床には、前記側部開口に隣接して直立した流バリヤ壁を設け、溶融金属をノズルトラフ内の前記流バリヤ壁間に下方向きに供給して底部床に衝突させ、前記流バリヤ壁を越えて外方に流れ出た溶融金属を前記側部開口を介してノズルトラフ外へ流出させることを特徴とする金属ストリップ鋳造方法。
【請求項2】 側部開口がノズルトラフの長手方向に延びる側壁の各々に形成されて長手方向に相互離間した開口である、請求項1に記載の金属ストリップ鋳造方法。
【請求項3】 側部開口を細長の長孔として形成した、請求項2に記載の金属ストリップ鋳造方法。
【請求項4】 ノズルトラフの各側部開口から流出する溶融金属が、前記ノズルトラフの長手方向に連続するカーテン流を形成するように、前記各側部開口を相互に密に近接させて配置した、請求項3に記載の金属ストリップ鋳造方法。
【請求項5】 ノズルトラフに対し1つ又は複数の自由落下流で溶融金属を供給する、請求項1乃至4のいずれかに記載の金属ストリップ鋳造方法。
【請求項6】 ノズルトラフの長手方向に並んだ側部開口の間の空間に対し横方向に整合した位置で溶融金属がノズルトラフの底部床に衝突するよう、溶融金属をノズルトラフの長手方向に離間した一連の個別な自由落下流として供給する、請求項5に記載の金属ストリップ鋳造方法。
【請求項7】 直立する流バリヤ壁を、ノズルトラフの底部床から立ち上がってノズルトラフに沿って連続的に延び且つ溶融金属流入流を受ける内側溝を成して横方向に離間した一対の壁により構成した、請求項1乃至6のいずれかに記載の金属ストリップ鋳造方法。
【請求項8】 相互間にロール間隙を形成する一対の平行な鋳造ロールと、ロール間隙上方にロール間隙に沿って延び且つ溶融金属をロール間隙に供給してロール間隙上方に支持された溶融金属鋳造溜めを形成する細長の金属供給ノズルと、該金属供給ノズルの上方に配されて溶融金属を一連の自由落下流として金属供給ノズルに供給する分配器とで構成された金属ストリップ鋳造装置において、金属供給ノズルを、底部床と側壁とを有し且つロール間隙長手方向に延びて分配器から溶融金属を受けるよう上向きに開いた細長のノズルトラフで構成し、該ノズルトラフの長手方向に延びる側壁に、溶融金属をノズルトラフから流出させる側部開口を設け、前記ノズルトラフの底部床には、前記側部開口に隣接して直立した流バリヤ壁を設け、前記分配器を、ノズルトラフ内の流バリヤ壁間に溶融金属を下方向きに供給して底部床に衝突させ且つ前記流バリヤ壁を越えて外方に流れ出るよう操作可能としたことを特徴とする金属ストリップ鋳造装置。
【請求項9】 側部開口がノズルトラフの長手方向に延びる側壁の各々に形成されて長手方向に相互離間した開口である、請求項8に記載の金属ストリップ鋳造装置。
【請求項10】 側部開口を細長の長孔として形成した、請求項9に記載の金属ストリップ鋳造装置。
【請求項11】 ノズルトラフの各側部開口から流出する溶融金属が、前記ノズルトラフの長手方向に連続するカーテン流を形成するように、前記各側部開口を相互に密に近接させて配置した、請求項10に記載の金属ストリップ鋳造装置。
【請求項12】 1つ又は複数の自由落下流で溶融金属を金属供給ノズルのノズルトラフに供給するよう分配器を構成した、請求項8乃至11のいずれかに記載の金属ストリップ鋳造装置。
【請求項13】 溶融金属をノズルトラフの長手方向に離間した個別な自由落下流として供給し且つノズルトラフの長手方向に並んだ側部開口の間の空間に対し横方向に整合した位置で溶融金属がノズルトラフの底部床に衝突するよう一連の側部開口を分配器に設けた、請求項12に記載の金属ストリップ鋳造装置。
【請求項14】 直立する流バリヤ壁を、ノズルトラフの底部床から立ち上がってノズルトラフに沿って連続的に延び且つ溶融金属流入流を受ける内側溝を成して横方向に離間した一対の壁により構成した、請求項8乃至13のいずれかに記載の金属ストリップ鋳造装置。
【請求項15】 底部床と側壁とを有し且つロール間隙長手方向に延びて分配器から溶融金属を受けるよう上向きに開いた細長のノズルトラフで構成し、その長手方向に延びる側壁に、溶融金属を流出させる側部開口を設け、前記底部床には、前記側部開口に隣接して直立した流バリヤ壁を設けたこと特徴とするストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズル。
【請求項16】 側部開口が長手方向に延びる側壁の各々に形成されて長手方向に相互離間した開口である、請求項15に記載のストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズル。
【請求項17】 側部開口を細長の長孔として形成した、請求項16に記載のストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズル。
【請求項18】 各側部開口から流出する溶融金属が、長手方向に連続するカーテン流を形成するように、前記各側部開口を相互に密に近接させて配置した、請求項17に記載のストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズル。
【請求項19】 直立する流バリヤ壁を、ノズルトラフの底部床から立ち上がってノズルトラフに沿って連続的に延び且つ溶融金属流入流を受ける内側溝を成して横方向に離間した一対の壁により構成した、請求項15乃至18のいずれかに記載のストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズル。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属ストリップ鋳造方法及び装置並びにストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】双ロール鋳造装置で連続鋳造することにより金属ストリップを鋳造することが公知である。冷却されて相反方向に回転する一対の水平鋳造ロール間に溶融金属を導入し、動いているロール表面上で金属殻を凝固させ、ロール間隙にてそれら金属殻を合体させ、凝固したストリップ品としてロール間隙から下方ヘ送給する。本明細書では、「ロール間隙」という語はロール同士が最接近する領域全般を指すものとする。溶融金属は取鍋から1つ又は一連の小容器へと注がれ、更にはそこからロール間隙上方に位置した金属供給ノズルに流れてロール間隙へと向かい、その結果、ロール間隙直上のロール鋳造表面に支持される溶融金属の鋳造溜めを形成することができる。この鋳造溜めの端は、ロール端面に摺動係合して保持される側部堰又は側部プレートで構成できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】双ロール鋳造は、冷却によって急速に凝固する非鉄系金属にはある程度の成功をおさめているが、凝固温度が高く、冷却されたロール鋳造表面での不均一な凝固により欠陥の生じやすい鉄系金属の鋳造技術に適用するにはいろいろ問題がある。従って、金属を滑らかに且つ均一に鋳造溜めへ且つ溜め内で流すよう金属供給ノズルの設計に多くの留意が払われている。アメリカ特許第5,178,205号及び第5,238,050号に開示の装置はいずれも、金属供給ノズルが鋳造溜め表面下へと延びており、鋳造溜めに浸漬した金属供給ノズル底端の長孔出口へと流下する溶融金属の運動エネルギを減らす手段を組み入れている。アメリカ特許第5,178,205号に開示の装置では、運動エネルギを減らすのは流れディフューザである。流れディフューザは複数の流路とディフューザ上方に位置したバッフルとを有しており、ディフューザ下方では溶融金属が出口長孔を介して緩やかに且つ均一に鋳造溜めへと流れ込むので乱れが最小となる。アメリカ特許第5,238,050号に開示の装置では、溶融金属流が鋭角の衝突角度でノズル傾斜側壁面に落下・衝突できるようになっているので、金属が該側壁面に付着して出口流路へと向う流れシートを形成する。ここでも、目的とするところは、鋳造溜めの乱れを最小とするよう金属供給ノズルの底部から金属流を緩やかに且つ均一に流出させることである。
【0004】新日本製鐡株式会社の特公平5−70537号公報も、鋳造溜めへ緩やかで均一な金属流を流下させるようにした金属供給ノズルを開示している。この金属供給ノズルには多孔のバッフル/ディフューザが備えられていて、流下する溶融金属から運動エネルギを除去し、運動エネルギを除去された金属流がノズル側壁の一連の開口から鋳造溜めへと流れる。開口は、ロール間隙長手方向にロール鋳造表面に沿って金属流が流れ込むような角度となっている。即ち、金属供給ノズルの一側の開口がロール間隙長手方向に金属流を一方向に流入させ、他側の開口が金属流をロール間隙長手方向の他方向に流入させ、鋳造表面に沿った滑らかで均一な流れを造り出すことにより鋳造溜め表面の乱れを最小とすることを目的としている。
【0005】本発明者らは鋭意試験・研究した結果、欠陥の大きな原因は、鋳造溜め表面がロール鋳造表面と出会う、いわゆる「メニスカス」又は「メニスカス域」において溶融金属が過早凝固することにあることを見知した。これらの域各々の溶融金属は隣接する鋳造表面の方へ流れ、もしロール表面と均一に接触する前に溶融金属の凝固が起きると、金属殻とロールとの間に不規則な初期伝熱が生じやすく、結果として、窪み、さざ波マーク、湯境、割れ等の表面欠陥が形成されてしまう。
【0006】鋳造溜めに溶融金属を非常に均一に流入させようとする従来の試みは、金属が最初に殻表面形成のために凝固する域、即ち、最終的に形成ストリップの外表面となる域から外れて金属流を流入させるため、過早凝固が或る程度激化するのを避けられず、従って、ロール間の鋳造溜め表面域での溶融金属温度は流入する溶融金属の温度よりもはるかに低い。メニスカス域での鋳造溜め溶融金属温度が低くなりすぎると、割れや「メニスカスマーク」(鋳造溜めレベルが不均一なままで固化するメニスカスにより生じるストリップ上のマーク)が非常に起きやすい。従来、この問題を扱う1つのやり方として、流入する溶融金属に高レベルの過熱を与えることにより、ロール表面への到達前に凝固温度に達することなく溶融金属が鋳造溜め内で温度低下できるようにするという仕方があった。
【0007】しかしながら、近年、鋳造溜めのメニスカス域に金属供給ノズルを直接差し入れて溶融金属の比較的急速な流入を確保するという手段をとることによって、鋳造ロール表面との接触前に溶融金属が過早固化するという傾向を最小限にすることで、過早凝固の問題が有効処理できることが認識されるようになった。この方法は、鋳造溜めへ絶対的に着実な金属流を提供する場合よりも表面欠陥の回避という点ではるかに有効であること、及び、ロール表面に接触するまで金属凝固が起きないため鋳造溜め表面の或る程度の変動を許容し得ることが判明している。このようなやり方の例は、新日本製鐡株式会社の特開平1−5650号や本出願人のオーストラリア特許出願第60773/96号に見られる。
【0008】流入溶融金属が比較的急速にメニスカス域に供給されることを確保するためには、側部開口を有する金属供給ノズルを用い、金属供給ノズル底部から横方向外方に鋳造ロールへと溶融金属を供給することが必要である。従って、金属供給ノズルは溶融金属の下方落下流を捕らえて、乱流及び流れ変動をできるだけ小さくして溶融金属を側部開口から外方へと安定流出させる必要がある。このため、流入金属流の下方運動エネルギを吸収すること及び側部開口での本質的な無乱流状態を確立することが必要である。しかも、金属供給ノズル底部内の非常に限られた空間内で金属流に大幅な制限を加えることなく、これらを達成せねばならない。従来技術のバッフル/ディフューザの構成ではこの目的を達成するのに適していないが、本発明によれば簡単な方法及び装置で目的が達成できる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、一対の冷却した鋳造ロール間のロール間隙上方にロール間隙に沿って配した細長の金属供給ノズルを介し溶融金属を鋳造ロール間に導入し、ロール間隙上方に支持され且つ鋳造溜め囲込み端クロージャによりロール間隙端部を囲込まれた溶融金属鋳造溜めを形成し、ロール間隙から下方に送給される凝固ストリップを鋳造するよう鋳造ロールを回転する金属ストリップ鋳造方法において、金属供給ノズルを、底部床と側壁とを有し且つロール間隙長手方向に延びた上向きに開いた細長のノズルトラフで構成し、該ノズルトラフの長手方向に延びる側壁に、溶融金属をノズルトラフから流出させる側部開口を設け、前記ノズルトラフの底部床には、前記側部開口に隣接して直立した流バリヤ壁を設け、溶融金属をノズルトラフ内の前記流バリヤ壁間に下方向きに供給して底部床に衝突させ、前記流バリヤ壁を越えて外方に流れ出た溶融金属を前記側部開口を介してノズルトラフ外へ流出させることを特徴とする金属ストリップ鋳造方法が提供される。
【0010】また、側部開口はノズルトラフの長手方向に延びる側壁の各々に形成されて長手方向に相互離間した開口であることが好ましく、側部開口は、例えば細長の長孔として形成することが可能である。
【0011】更に、ノズルトラフの各側部開口から流出する溶融金属が、前記ノズルトラフの長手方向に連続するカーテン流を形成するように、前記各側部開口を相互に密に近接させて配置することが好ましい。
【0012】また、ノズルトラフに対し1つ又は複数の自由落下流で溶融金属を供給すると良く、特にノズルトラフの長手方向に並んだ側部開口の間の空間に対し横方向に整合した位置で溶融金属がノズルトラフの底部床に衝突するよう、溶融金属をノズルトラフの長手方向に離間した一連の個別な自由落下流として供給すると良い。
【0013】更には、直立する流バリヤ壁は、ノズルトラフの底部床から立ち上がってノズルトラフに沿って連続的に延び且つ溶融金属流入流を受ける内側溝を成して横方向に離間した一対の壁により構成することが好ましい。
【0014】本発明は又、相互間にロール間隙を形成する一対の平行な鋳造ロールと、ロール間隙上方にロール間隙に沿って延び且つ溶融金属をロール間隙に供給してロール間隙上方に支持された溶融金属鋳造溜めを形成する細長の金属供給ノズルと、該金属供給ノズルの上方に配されて溶融金属を一連の自由落下流として金属供給ノズルに供給する分配器とで構成された金属ストリップ鋳造装置において、金属供給ノズルを、底部床と側壁とを有し且つロール間隙長手方向に延びて分配器から溶融金属を受けるよう上向きに開いた細長のノズルトラフで構成し、該ノズルトラフの長手方向に延びる側壁に、溶融金属をノズルトラフから流出させる側部開口を設け、前記ノズルトラフの底部床には、前記側部開口に隣接して直立した流バリヤ壁を設け、前記分配器を、ノズルトラフ内の流バリヤ壁間に溶融金属を下方向きに供給して底部床に衝突させ且つ前記流バリヤ壁を越えて外方に流れ出るよう操作可能としたことを特徴とする金属ストリップ鋳造装置を提供する。
【0015】更には又、本発明は、底部床と側壁とを有し且つロール間隙長手方向に延びて分配器から溶融金属を受けるよう上向きに開いた細長のノズルトラフで構成し、その長手方向に延びる側壁に、溶融金属を流出させる側部開口を設け、前記底部床には、前記側部開口に隣接して直立した流バリヤ壁を設けたこと特徴とするストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズルを提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明を更に充分に説明するため、添付図面を参照して特定の方法及び装置を更に詳細に説明する。
【0017】図1乃至図12に示した鋳造装置は工場底部床12から立上がった主機械フレーム11を有する。主機械フレーム11が支持する鋳造ロール台車13はアセンブリステーション14と鋳造ステーション15との間を水平に移動可能である。鋳造ロール台車13が担持する一対の平行な鋳造ロール16には、鋳造時に取鍋17から分配器18と金属供給ノズル19とを介して溶融金属が供給される。鋳造ロール16は水冷されているので、動いているロール表面に金属殻が形成されロール間隙にて合わされて、ロール出口で凝固金属ストリップ20が造られる。この金属ストリップ20を主コイラ21に送って、次いで第2コイラ22に送給し得る。容器23が鋳造ステーション15に隣接して主機械フレーム11に取付けられているので、溶融金属を分配器18の溢れ口24を介して容器23へと逃すことができる。
【0018】鋳造ロール台車13を構成する台車フレーム31がホイール32によりレール33に載り、レール33は主機械フレーム11の一部に沿って延びているので、鋳造ロール台車13全体がレール33に移動可能に載っていることになる。台車フレーム31が担持する対のロールクレードル34に鋳造ロール16が回転可能に取付けられる。鋳造ロール台車13全体をレール33に沿って移動させることができる複動油圧ピストンシリンダ装置39は鋳造ロール台車13の駆動ブラケット40と主機械フレーム11との間に接続されて、鋳造ロール台車13をアセンブリステーション14から鋳造ステーション15へ、又その逆へ移動させることができるようになっている。
【0019】鋳造ロール16は電動モータのロール駆動軸41と台車フレーム31上のトランスミッションとを介して相反方向に回転される。鋳造ロール16の銅製周壁に形成され縦方向に延び周方向に離間した一連の水冷通路には、回転グランド43を介して水冷ホース42に接続されたロール駆動軸41内の水冷導管からロール端を介し冷却水が供給される。鋳造ロール16の典型的な大きさは径が約500mmで、最大2m幅のストリップ品を造れるよう長さを最大2mにすることができる。
【0020】取鍋17は全く従来の構成であって、天井クレーンからヨーク45を介し支持されており、高温金属受けステーションから定位置へと移すことができる。取鍋17に取付けられたストッパロッド46をサーボシリンダにより動かすことによって、溶融金属を取鍋17から出口ノズル47と耐火シュラウド48を介して分配器18へと流すことができる。
【0021】分配器18は、防食ライニングを備えた高アルミナキャスタブル等の耐火材料で造られた広皿状のものである。分配器18の一側は取鍋17からの溶融金属を受け、又、前記した溢れ口24を備えている。分配器18の他側には縦方向に離間した一連の出口開口52が備えられている。分配器18下部を担持する取付ブラケット53は分配器18を台車フレーム31に取付けるためのものであって、取付ブラケット53に備えた開口で台車フレーム31の位置合わせペグ54を受けて分配器18を正確に位置決めするようになっている。
【0022】金属供給ノズル19はアルミナグラファイト等の耐火材料で造られた2つの同形の半部で形成され、端同士を合わせ保持されて完全なノズルを構成する。図5乃至図12は、取付ブラケット60で台車フレーム31に支持される金属供給ノズル19半部の構成を示している。金属供給ノズル19半部の上部には外方に突出する側部フランジ55が形成されて取付ブラケット60上に位置する。
【0023】各金属供給ノズル19半部はほぼトラフ状であって、金属供給ノズル19は分配器18の出口開口52から流下する溶融金属流65を受ける上方に開いたノズルトラフ61を形成する。ノズルトラフ61は長手方向の側壁62と端壁70との間に形成され、金属供給ノズル19半部の2つの平らな端壁80で両端間を横方向に隔壁されると見なすことができ、それら端壁80を合わせて完全なノズルとされる。ノズルトラフ61底部を閉じる水平な底部床63は、面取りした底部隅81で側壁62と合わさる。金属供給ノズル19の底部隅81には、一連の側部開口64が金属供給ノズル19の長手方向に沿って規則的に離間された一連の細長の長孔として穿設される。側部開口64はノズルトラフ61の底部床63の高さでノズルトラフ61から溶融金属を出すよう位置決めされている。
【0024】本発明によれば、一対の直立した流バリヤ壁84が、側部開口64に隣接してノズルトラフ61の底部床63から立ち上がっている。流バリヤ壁84はノズルトラフ61の全長にわたって連続して延びて、以下に述べるような溶融金属の流入流を受ける内側溝85を構成する。
【0025】金属供給ノズル19半部には、端壁70を越えて外方に延び、別々の溶融金属流を鋳造溜め68の「三重点」域、即ち、2つの鋳造ロール16,16と側部堰板56とが会する鋳造溜め68の域に向かわせる、三重点注端形成部87を設ける。溶融金属を三重点域に向かわせることの目的は、これらの域で溶融金属の過早凝固による「スカル」(skulls)の形成を防ぐことであり、それについては本出願人のオーストラリア特許出願第PO2367号に更に詳細に記述されている。
【0026】各三重点注端形成部87は、分配器18からの溶融金属を受ける上向きに開いた小さなリザーバ88を形成し、このリザーバ88はノズルトラフ61から端壁70によって分離されている。端壁70の上端89はノズルトラフ61上端及びリザーバ88上端よりも低く、以下に詳述する如く、リザーバ88溢流時のノズルトラフ61への流れを許す堰として働くことができる。
【0027】リザーバ88は平らな床部91、傾斜した内面92及び側面93、そして湾曲した直立外面94を有する浅皿状に形成される。一対の三重点注通路95がこのリザーバ88の横方向外側から床部91高さの直ぐ上に延びて、三重点注端形成部87下側の三重点注出口96に接続する。三重点注出口96は下向き内方に傾斜して溶融金属を鋳造溜め68の三重点域に供給する。
【0028】溶融金属は一連の自由落下垂直流(溶融金属流65)として分配器18の出口開口52からノズルトラフ61底部に落下する。溶融金属がこのノズルトラフ61から側部開口64を介して流出し、鋳造ロール16間のロール間隙69上方に支持された鋳造溜め68を形成する。鋳造溜め68を鋳造ロール16端で囲込むのが一対の側部堰板56であり、それらは鋳造ロール16の端部57に当てて保持されている。側部堰板56は窒化硼素等の強耐火材料で造られ、板ホルダ82に取付けられる。板ホルダ82は対の流体圧シリンダ装置83の作動により可動であって、側部堰板56を鋳造ロール16端に係合させて溶融金属の鋳造溜め68の端クロージャを形成する。
【0029】鋳造作業では、溶融金属流65を制御することにより、金属供給ノズル19下端が鋳造溜め68に浸漬する高さに鋳造溜め68を保持し、金属供給ノズル19の2連の水平方向に離間した側部開口64を鋳造溜め68の表面のすぐ下に配置する。溶融金属は、鋳造溜め68表面のすぐ近くで鋳造ロール16冷却表面に衝突するよう、側部開口64を介し鋳造溜め68表面の全般に近くで二つの側方外方を向いた噴射流として流出する。このことにより、鋳造溜め68のメニスカス域に供給される溶融金属流65の温度が最大となり、ストリップ表面での割れやメニスカスマークの形成が大幅に減少することが見出された。
【0030】本発明によれば、溶融金属流65は内側溝85に落下し、2枚の直立した流バリヤ壁84間でノズルトラフ61の底部床63に衝突することにより、流バリヤ壁84を越えて外方へ流出させられるので、溶融金属が直接に側部開口64に向かうのが防止される。溶融金属の運動エネルギは流バリヤ壁84との二次衝突により本質的に減らされるので、最初に内側溝85に囲まれた溶融金属は全般に安定した連続流状態で流バリヤ壁84を越えて側部開口64へと流れる。運動エネルギを減らすのを確実とするため、内側溝85を、平らな底部床63と、鋭く限定した隅で出会う側壁62とで構成して、二重衝突効果を生み出すことが重要である。
【0031】分配器18の出口開口52は側部開口64に対してノズル長手方向にずらされているので溶融金属流65は相並んだ側部開口64の間の位置でノズルトラフ61の底部床63に衝突する。鋳造溜め68が金属供給ノズル19底部より僅かに上の高さにまで上がって、鋳造溜め68表面がノズルトラフ61底部床面よりも僅かに上になってノズルトラフ61内の溶融金属と同じ高さとなるよう装置を操作することができることが判明している。このようにすれば、非常に安定した状態の鋳造溜め68を得ることができ、三重点注出口96が下方に充分な角度に傾斜していれば、鋳造溜め68の静止した表面を得ることができる。
【0032】また、側部開口64が2つの金属供給ノズル19半部の内端に設けられていることが重要であって、このことによりノズル中央域付近に溶融金属が充分に供給されて溜めのこの域でのスカル形成を確実に防ぐことができる。
【0033】分配器18から流下する最外部の溶融金属流65を三重点注端形成部87のリザーバ88が受ける。分配器18の最外部の出口開口52は、各リザーバ88が傾斜内面92の直ぐ外側で床部91に衝突する単一の金属流を受けるように整合している。溶融金属が床部91に衝突して床部91に外方へと扇状に広がり、三重点注通路95を経て三重点注出口96に至り、高温溶融金属の内方・下方傾斜噴射流が側部堰の面にわたって且つロール間隙側の鋳造ロール端に沿って生み出される。三重点注ぎは各リザーバ88の浅くて広い溶融金属溜めのみにより行われ、リザーバ88の溜め高さは端壁70上端89の高さによって制限される。リザーバ88がいっぱいになったら溶融金属は端壁70の上端89を越えてノズルトラフ61へと溢流できるので、端壁70は三重点注端形成部87のリザーバ88の溜め深さを制御する堰の役目を果たす。この溜めの深さは、三重点注通路95に溶融金属の一定流を供給して非常に均一な溶融金属流65を達成するのに充分以上のものである。この制御流はストリップ端を適切に形成するのに非常に重要である。三重点注通路95を通る流れが過剰であるとストリップ端に膨らみが生じ、少な過ぎるとスカルが生じてストリップに「蛇卵」欠陥が生じてしまう。
【0034】三重点注端形成部87の底面98は溜め表面よりも上げられていて、三重点域での溜め表面の冷却を防ぐようになっている。又、底面98は外方・上方に傾斜している。このことは、金属供給ノズル19端下側でスラグ等の異物が堆積して詰まりが生じるのを防ぐために好ましい。このような詰まりが生じると、溜めからガスや煙霧が逃げるのが塞がれ、爆発の恐れがある。
【0035】以上説明した装置は単に例示のためのものであって、本発明がこれの詳細に限定されないのは勿論である。特に、金属供給ノズル19に三重点注端形成部を設けるのは、現在のところ好ましいノズル形状ではあるが、本発明にとって不可欠ではない。流バリヤ壁84はノズル全長にわたって均一高さであるのが好ましいが、側部開口64と側部開口64との間で高さを部分的に減らすことも可能であって、ノズル19に沿って不連続な壁部分を提供することすら可能である。更に又、内側溝85内の流れをノズルトラフ61の残りの底部床63よりも高く、又は低くすることができる。斯かる変更は、ここで述べられた全ての新規特徴及びそれらの組み合わせに及ぶ本発明の範囲内で可能である。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属ストリップ鋳造方法及び装置並びにストリップ鋳造装置へ溶融金属を供給する金属供給ノズルによれば、金属供給ノズル底部内の非常に限られた空間内で溶融金属流に大幅な制限を加えることなく、該溶融金属流の下方運動エネルギを吸収し且つ側部開口での本質的な無乱流状態を確立することができるので、乱流及び流れ変動をできるだけ小さくして溶融金属を側部開口から外方へと安定流出させることができるという優れた効果を奏し得る。




 

 


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