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鋼ストリップ鋳造方法 - 石川島播磨重工業株式会社
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発明の名称 鋼ストリップ鋳造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−29047
公開日 平成10年(1998)2月3日
出願番号 特願平9−101777
出願日 平成9年(1997)4月18日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
発明者 レイザー ストレッチョフ
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 冷却された鋳造表面上で溶鋼が殻として凝固するタイプの鋼ストリップ鋳造方法において、鋳造表面を、規則的なパターンの表面突起・窪みできめ付けすること、及び、溶鋼の化学的性質を選択することにより、凝固殻形成で鋼が液相温度以下に冷却される時に大部分液体状である5ミクロン厚以下の層を鋳造表面に形成する、脱酸生成物を鋳造溜め内に生じさせることを特徴とする、鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項2】 層の液体割合が少なくとも0.75である、請求項1に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項3】 溶鋼の液相温度以下の温度で層がほぼ全て液体である、請求項2に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項4】 鋳造温度において層が本質的にMnOとSiO2の混合物で構成されるよう、溶鋼が、遊離酸素レベルの制御されたマンガン/珪素キルド鋼である、請求項1に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項5】 鋳造前に溶融金属供給用の取鍋をトリミングすることにより遊離酸素レベルを制御する、請求項4に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項6】 溶鋼が、固体Al23の内部形成を制御するためにカルシウムを有意量加えたアルミニウムキルド鋼である、請求項1、2又は3に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項7】 鋳造温度で固体Al23が形成するのを、鋳造前に溶融金属供給用の取鍋へカルシウムを加えることにより制御する、請求項6に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項8】 金属供給ノズルを介して一対の平行鋳造ロール間のロール間隙に溶鋼を導入して、ロール間隙直上でロールの冷却鋳造表面に支持される鋳造溜めを創り出し、溶融金属が鋳造表面上で殻として凝固し、鋳造ロールを回転させることにより凝固殻を合わせて凝固鋼ストリップにし、ロール間隙から下方に送出するタイプの鋼ストリップ鋳造方法において、鋳造ロールの鋳造表面に、規則的なパターンの表面突起・窪みを設けることにより各々きめ付けすること、及び、溶鋼の化学的性質を選択することにより、凝固殻形成で鋼が液相温度以下に冷却される時に大部分液体状である5ミクロン厚以下の層を各ロール鋳造表面に形成する、脱酸生成物を鋳造溜め内に生じさせることを特徴とする、鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項9】 層の液体割合が少なくとも0.75である、請求項8に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項10】 溶鋼液相温度以下の温度で層がほぼ全て液体状である、請求項9に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項11】 本質的にマンガンと珪素の酸化物で構成された脱酸生成物を鋳造溜め内に生み出すよう、溶鋼が遊離酸素レベルの制御されたマンガン/珪素キルド鋼であり、層各々は脱酸生成物から各鋳造ロールに堆積した本質的にマンガンと珪素の酸化物の混合物で構成され、脱酸生成物中のマンガンと珪素の酸化物の割合は、層が液体状のマンガン・珪素の酸化物で構成されるような割合である、請求項8、9又は10に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項12】 脱酸生成物が、SiO2に対し約45〜75%の割合のMnOを含む、請求項11に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項13】 溶鋼の組成が炭素 0.06重量%マンガン 0.6重量%珪素 0.28重量%アルミニウム 0.002重量%以下である、請求項11又は12に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項14】 溶鋼が、固体Al23の内部形成を制御するためにカルシウムを有意量加えたアルミニウムキルド鋼である、請求項8、9又は10に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項15】 アルミニウムに対するカルシウムの割合が0.2〜0.3重量%である、請求項14に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項16】 脱酸生成物が、Al23に対し約42〜60%の割合のCaOを含む、請求項14に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項17】 鋳造溜め内の溶融金属の組成が全般に、炭素 0.06重量%マンガン 0.25重量%珪素 0.15重量%アルミニウム 0.05重量%である、請求項15又は16に記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項18】 鋳造前に溶融金属供給用の取鍋へカルシウムを加えることにより固体Al23の形成を制御する、請求項14乃至17のいずれかに記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項19】 鋳造表面がクロム表面であるよう鋳造ロールをクロムメッキする、請求項8乃至18のいずれかに記載の鋼ストリップ鋳造方法。
【請求項20】 層厚が1ミクロン以下である、請求項8乃至19のいずれかに記載の鋼ストリップ鋳造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼ストリップの鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】双ロール鋳造機で連続鋳造することにより金属ストリップを鋳造することが公知である。この技術では、冷却されて相反方向に回転する一対の水平鋳造ロール間に溶融金属を導入し、動いているロール表面上で金属殻を凝固させ、ロール間隙にてそれら金属殻を合体させ、凝固したストリップ品としてロール間隙から下方ヘ送給する。本明細書では、「ロール間隙」という語はロール同士が最接近する領域全般を指す。溶融金属は取鍋から小容器へと注がれ、更にはそこからロール間隙上方に位置した金属供給ノズルに流れてロール間隙へと向かい、その結果、ロール間隙直上のロール鋳造表面に支持されロール間隙長さ方向に延びる溶融金属の鋳造溜めを形成することができる。通常、この鋳造溜めの端を構成するのは、鋳造溜め両端からの溢流をせき止めるようロール端面に摺動係合して保持される側部堰であるが、電磁バリヤ等の代替手段も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】双ロール鋳造は、冷却によって急速に凝固する非鉄系金属にはある程度の成功をおさめているが、鉄系金属の鋳造技術に適用するにはいろいろ問題がある。一つの大きな問題として、如何にしてロールの鋳造表面上に金属を充分急速且つ均一に冷却させるかということがある。特に、滑らかな鋳造表面を持つ鋳造ロール上では凝固速度を充分高めるのが難しいと判明しているので、規則的なパターンの突起と窪みにより意図的にきめを付けた(textured)鋳造表面を持つロールを用い、熱伝達を高めることにより凝固時に鋳造表面で得られる熱流束を増加させることが提案されている。
【0004】表面のきめ形状としては種々提案がなされているが、本発明者は、一連の平行な溝・尾根形成部によって形成されるきめが凝固時の熱流束増加を達成するのに最も良いことを見出した。より明細に言えば、双ロール鋳造機において、ほぼ一定の深さ及びピッチを持つ周方向の溝を設けることによりきめを付ける。このきめ付けにより熱流束が高められる理由は、本願出願人のオーストラリア特許出願第50775/96号「鋼ストリップ鋳造」に充分に説明されている。このオーストラリア出願では、更に、鋳放しの鋼ストリップで高い熱流束値と良質の顕微鏡組織を得るためにどのようにして鋼鋳造のためのきめ付けを最適化できるかについて記述がなされている。特に鋼ストリップを鋳造する場合、最良の結果を得るためには、尾根頂部から溝底部までのきめ深さは5〜50ミクロン、きめのピッチは100〜250ミクロンとすべきである。更には、きめ深さを15〜25ミクロン、きめのピッチを150〜250ミクロンとするのが特に好ましい。
【0005】きめ付けした鋳造表面を用いることにより凝固時に充分に高い熱流束値を得ることが可能になり、満足のいく鋼鋳造が可能となったが、出来上がりのストリップに、鋳造溜め内での初期凝固時に固形酸化物が鋳造表面に堆積することによる表面欠陥が生じ得る。この場合の固形酸化物は溶鋼中の脱酸生成物の形で存在する。鉄系金属は、鋳造温度で固体形の酸化物を生み出すことにより特に固体混在物を堆積しやすい。特に、Al23の堆積が問題であって、このような堆積によって、鋳造溜め内の溶融金属と鋳造表面との接触(即ち、メニスカス領域)の初期点において、きめ付けした鋳造表面と溶融金属とが間欠的な接触となり、出来上がった鋳造ストリップに横方向表面窪み、いわゆる「チャター」(chatter)と呼ばれる欠陥が生じてしまう。本発明者が今回知見したのは、固形酸化物(脱酸生成物)の堆積により生じる表面欠陥を回避することが、鋳造表面上での殻凝固形成で鋼が液相温度以下に冷却される時に層の大部分が液体のままである薄液体層で各鋳造表面を確実に覆うことにより可能なことである。鋳造溜め内で鋳造表面と冷却する鋼との間に斯かるほぼ液体状の層が介在することにより、不連続の核生成地の可能性が抑制されるため、鋼が本質的に液相温度以下に過冷却されて金属凝固が完了できる。金属凝固時に層が本質的に液体状であるため、鋳造表面への固体酸化物の早期堆積による凝固金属表面の欠陥形成が抑制される。本明細書では「金属凝固」という用語で、溶鋼が液相温度以下に冷却された場合の拡張された凝固期間を指すものとする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、冷却された鋳造表面上で溶鋼が殻として凝固するタイプの鋼ストリップ鋳造方法において、鋳造表面を、規則的なパターンの表面突起・窪みできめ付けすること、及び、溶鋼の化学的性質を選択することにより、凝固殻形成で鋼が液相温度以下に冷却される時に大部分液体状である5ミクロン厚以下の層を鋳造表面に形成する、脱酸生成物を鋳造溜め内に生じさせることを特徴とする、鋼ストリップ鋳造方法が提供される。
【0007】鋳造溜めは、鉄、マンガン、及び珪素の酸化物を含むことができ、金属凝固時に混合物の大部分が液体状であるような混合物の割合とすることができる。
【0008】溶鋼はマンガン/珪素キルド鋼であってよく、その場合、前記層が本質的にMnO+SiO2の混合物で構成されるよう(小割合のAl23は許容可能)鋼の遊離酸素レベルを制御するのが好ましい。
【0009】鋳造前に溶融金属供給用の取鍋をトリミングすることにより遊離酸素レベルを制御することが可能である。
【0010】鋳造溜めのスラグが酸化アルミニウムの場合もある。例えば、溶鋼がアルミニウムキルド鋼であると、スラグ中に有意量のAl23が発生する。この場合、溶鋼に有意量のカルシウムを加えることにより固体Al23の割合を減らすことができる。
【0011】本発明の方法は双ロール鋳造機で実施することができる。
【0012】従って、本発明は更に、金属供給ノズルを介して一対の平行鋳造ロール間のロール間隙に溶鋼を導入して、ロール間隙直上でロールの冷却鋳造表面に支持される鋳造溜めを創り出し、溶融金属が鋳造表面上で殻として凝固し、鋳造ロールを回転させることにより凝固殻を合わせて凝固鋼ストリップにし、ロール間隙から下方に送出するタイプの鋼ストリップ鋳造方法において、鋳造ロールの鋳造表面に、規則的なパターンの表面突起・窪みを設けることにより各々きめ付けすること、及び、溶鋼の化学的性質を選択することにより、凝固殻形成で鋼が液相温度以下に冷却される時に大部分液体状である5ミクロン厚以下の層を各ロール鋳造表面に形成する、脱酸生成物を鋳造溜め内に生じさせることを特徴とする、鋼ストリップ鋳造方法を提供する。
【0013】層の液体割合は少なくとも0.75であるのが好ましい。より明細には、金属凝固時に層がほぼ全て液体状であるのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明をより充分に説明するため、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0015】図1〜図7は本発明により作動する双ロール連続ストリップ鋳造機を示す。この鋳造機は工場床12から立上がった主機械フレーム11を有する。主機械フレーム11が支持する鋳造ロール台車13はアセンブリステーション14と鋳造ステーション15との間を水平に移動可能である。鋳造ロール台車13が担持する一対の平行な鋳造ロール16には、鋳造時にタンディッシュ18と金属供給ノズル19とを介して取鍋17から溶融金属が供給されて鋳造溜め30を創る。鋳造ロール16は水冷されているので、動いているロール表面16Aに殻が凝固し、凝固殻がロール間隙で合体されて、ロール出口で凝固ストリップ品20が造られる。この凝固ストリップ品20は標準コイラ21に送られるが、後に第2コイラ22に送給することが可能である。容器23が鋳造ステーション15に隣接して主機械フレーム11に取付けられているので、溶融金属をタンディッシュ上の溢れ口24を介して、又は凝固ストリップ品20の甚だしい変形等、鋳造作業時に重大な不都合があった時には緊急プラグ25を抜くことにより、容器23へと逃すことができる。
【0016】鋳造ロール台車13を構成する台車フレーム31がホイール32を介してレール33に載り、レール33は主機械フレーム11の一部に沿って延設されているので、鋳造ロール台車13全体がレール33に移動可能に載っていることになる。台車フレーム31が担持する対のロールクレードル34に鋳造ロール16が回転可能に取付けられる。ロールクレードル34は、相互に係合した相補的な摺動部材35,36を介して台車フレーム31に取付けられ、油圧シリンダ装置37,38によって鋳造ロール台車13上を動いて鋳造ロール16間隙を調節する。鋳造ロール台車13全体をレール33に沿って移動させることができる複動油圧ピストンシリンダ装置39は鋳造ロール台車13の駆動ブラケット40と主機械フレーム11との間に接続されて、鋳造ロール台車13をアセンブリステーション14から鋳造ステーション15へ、又その逆へ移動させることができるようになっている。
【0017】鋳造ロール16は、図示しない電動モータのロール駆動軸41と台車フレーム31上のトランスミッションとを介して相反方向に回転される。鋳造ロール16の銅製周壁に形成され縦方向に延び周方向に離間した一連の水冷通路には、回転グランド43を介して水冷ホース42に接続されたロール駆動軸41内の水冷導管からロール端を介し冷却水が供給される。鋳造ロール16の典型的な大きさは径が約500mmで、幅が2000mmの凝固ストリップ品20を造るために、長さを2000mmまでとすることができる。
【0018】取鍋17はまったく在来の構成であって、図示しない天井クレーンからヨーク45を介して支持されており、高温金属受けステーションから定位置へと移すことができる。取鍋17に取付けられたストッパロッド46をサーボシリンダで動かすことによって、溶融金属を取鍋17から出口ノズル47と耐火シュラウド48とを介してタンディッシュ18へと流すことができる。
【0019】タンディッシュ18も従来の構成であって、酸化マグネシウム(MgO)等の耐火材で造られた広皿状のものである。タンディッシュ18の一側は取鍋17からの溶融金属を受けられるようになっており、又、前記した溢れ口24と緊急プラグ25とを備えている。タンディッシュ18の他側には縦方向に離間した一連の出口開口52が備えられている。タンディッシュ18下部が担持する取付ブラケット53はタンディッシュ18を台車フレーム31に取付けるためのものであって、取付ブラケット53に備えた開口で、台車フレーム31の位置合わせペグ54を受けてタンディッシュ18を正確に位置決めするようになっている。
【0020】金属供給ノズル19はアルミナグラファイト等の耐火材料で造られた細長体として形成され、下部がテーパ状になっていて下方へ行くに従い内方へすぼまっているので、鋳造ロール16間隙に挿入できる。取付ブラケット60が、金属供給ノズル19を台車フレーム31で支持するために備えられ、金属供給ノズル19上部には外方に突出する側部フランジ55が形成されて取付ブラケット60上に位置する。
【0021】金属供給ノズル19は一連の、水平に離間し略上下に延びる流路を有し、鋳造ロール16幅方向に金属の適宜の低速放出流を生み出し、初期凝固の起きる鋳造ロール表面16Aに直接当てることなく溶融金属を鋳造ロール16のロール間隙に送ることができる。若しくは、金属供給ノズル19を単一の長孔の形にして鋳造ロール16間隙に低速のカーテン状の溶融金属を直接送るようにしてもよく且つ/或いは、金属供給ノズル19が鋳造溜め30に浸ってもよい。
【0022】鋳造溜め30は、鋳造ロール16の端に設けられた一対の側部閉止板56によって構成される。側部閉止板56は、鋳造ロール台車13が鋳造ステーション15にある時には、鋳造ロール16の段付端57へ保持される。側部閉止板56は窒化ホウ素等の強い耐火材で造られ、鋳造ロール16の段付端57の曲面に合ったスカロップ状側端81を有する。側部閉止板56が取付けられる板ホルダ82は、一対の油圧シリンダ装置83の作動により、鋳造ステーション15において可動となっており、側部閉止板56が鋳造ロール16の段付端57に係合されることにより、鋳造作業中に鋳造ロール16間に形成される鋳造溜め30の端を閉止する。
【0023】鋳造作業中、ストッパロッド46を作動させて、溶融金属が取鍋17からタンディッシュ18へと、そして金属供給ノズル19を介して鋳造ロール16へと注がれるようにする。凝固ストリップ品20のクリーンな頭端がエプロンテーブル96の作動により標準コイラ21の顎部へガイドされる。エプロンテーブル96は主機械フレーム11上のピボット取付部97から吊り下げられており、ストリップ頭端形成後に油圧シリンダ装置98の作動により標準コイラ21へ向けて揺動されるようになっている。ピストンシリンダ装置111のピストンによって作動される上ストリップガイドフラップ99に対してエプロンテーブル96が作動され、凝固ストリップ品20は一対の縦サイドロール112間に制限される。凝固ストリップ品20の頭端が標準コイラ21の顎部にガイドされたら、標準コイラ21を回転させて凝固ストリップ品20を巻付け、その後、エプロンテーブル96を逆方向へ旋回動させて非作動位置へ戻して、標準コイラ21に直接巻取られている凝固ストリップ品20から離させ、単に主機械フレーム11から吊り下げられている状態とする。凝固ストリップ品20は、後で第2コイラ22へ送られて、鋳造装置から運び出される最終巻取品となる。
【0024】図1〜図5に示した種類の双ロール連続鋳造機の詳細は本出願人のアメリカ特許第5,184,668号及び第5,277,243号、並びに、国際特許出願第PCT/AU93/00593号に一層完全に記述されている。
【0025】鋳造ロール16の鋳造表面に形成する「きめ」の好ましい形を図6及び図7に示す。これらの図に示すように、各鋳造ロール16の鋳造表面100に周方向の溝・尾根形成部101を設ける。溝・尾根形成部101は図7に拡大して示してある。溝・尾根形成部101により、V字断面の一連の溝102と、溝102間にあって鋭い周方向端105を有する一連の平行な尾根103が構成される。溝・尾根形成部101は、図7にdで示した、尾根頂部から溝底部までのきめ深さを有するきめを構成する。規則的に離間した尾根103間のピッチは図7にpで示している。
【0026】本出願人のオーストラリア特許出願第50775/96号「鋼ストリップ鋳造」に更に充分に説明されているように、図6及び図7に示した種類のきめ付けした鋳造表面の尾根の鋭端により、金属凝固時に密に離間した核生成地線が提供される。尾根に沿った核生成地の間隔又は頻度が最大熱流束を決定する。各尾根に沿った核生成地の頻度は尾根相互間のピッチに左右されるので、出来上がりの鋳放し鋼ストリップで高い熱流束値と良質の顕微鏡組織を得るためにきめを最適化することが可能である。最良の結果は、きめ深さが5〜50ミクロン、きめのピッチが150〜250ミクロンであるきめを有する表面で得られており、深さが20ミクロン、ピッチが180ミクロンのきめが特に有効である。
【0027】図1〜図7に示した如き装置で種々の等級の鋼ストリップが鋳造されている。特に、炭素、マンガン、珪素成分が以下の範囲であるマンガン/珪素キルド鋼が広範に鋳造されている。
炭素 0.02〜0.15重量%マンガン 0.20〜1.0重量%珪素 0.10〜0.5重量%この種の鋼でAl23混在物の堆積を避けるためには、鋼中の全アルミニウム成分を0.01重量%以下にすることが必須であることが判明している。そのようにしてもなお、鋳造表面上に鋼が凝固し始める時に鋳造表面に固体酸化物が堆積することにより窪み状の表面欠陥が出来上がりのストリップに生じるという問題が依然として残っている。酸化物粒子が残す小さな跡が、出来上がりのストリップでは表面の窪みとしてみえる。
【0028】図8は、図1〜図7に示した種類の装置で鋳造した典型的なM06鋼ストリップの、非常に高倍率の顕微鏡写真である。図の中央にはっきりとした窪み欠陥がみえる。図9は、図8に示したストリップの表面欠陥を定性エネルギー分散方式X線微量分析走査した結果を示す。これからわかるように欠陥部位ではアルミニウムと珪素の濃度が高く、SiO2とAl23が高濃度であることが示されている。
【0029】図10は、相異なる遊離酸素レベルでの溶融金属温度範囲においてのM06鋼中に存在する酸化物相を示している。低い溶融金属遊離酸素レベルでは酸化物相は主としてAl23であり、それより高い遊離酸素レベルでは主に2SiO2+3Al23の混合物である。これらの酸化物相はどちらもほぼ固体であって、鋳造表面に固体粒子が堆積することになる。更に高い遊離酸素レベルでは、本質的にMnO+SiO2から成り、表示の温度では液体である酸化物相を得ることが可能である。溶融金属遊離酸素レベルが高すぎる場合、酸化物相は本質的にSiO2から成り、固体粒子として堆積する。
【0030】本発明によれば、本質的にMnO+SiO2から成る酸化物相を生み出すよう溶融金属の化学的性質と遊離酸素レベルが調節されるべきである。MnO+Al23の酸化物相を生み出す小領域が図10にみえるが、Al23が存在することはできれば避けたいので、これらの酸化物相が生じるのを避け、鋼凝固温度で本質的に全て液体である酸化物相を生じさせるのが好ましい。しかしながら、前者の酸化物相の割合が小さければストリップ表面に顕著な窪み欠陥が生じないので許容可能であって、即ち、酸化物相中の液体割合が少なくとも0.75ならば良好な結果を得ることができる。いずれにせよ、Al23の酸化物相、2SiO2+3Al23の酸化物相、及びSiO2の酸化物相の領域を避けるのが重要であるので、M06鋼を鋳造する場合、1500〜1675℃の溶融金属温度で50〜100ppmの溶融金属遊離酸素レベルとするのが好ましい。より明細には、1600℃付近の鋳造温度では、溶融金属遊離酸素レベルは50〜75ppmとし、鋳造温度が1650℃では遊離酸素レベルを約80〜110ppmとするのが好ましい。鋼の遊離酸素レベルは、鋳造前に供給用の取鍋をトリミングすることにより調節することができる。
【0031】ストリップ冷却条件において基質を覆うほぼ液体である酸化物層は非常に薄く、大抵の場合、1ミクロン以下程度の厚みであることが実験により判明した。ストリップ鋳造条件をシュミレートした実験装置により試験を行った結果、基質と鋳造鋼表面の両方が、液体層から凝固したに違いないマンガン・珪素組成物の粒子を有していることが判明した。各表面ではこれらの粒子は1ミクロンに満たないレベルであることから、液相厚が1ミクロン程度又はそれ以下であることがわかる。更に又、モデル計算から、層厚による熱流束への抵抗を制限するためには層厚を約5ミクロン以下とすべきであることが証明されている。図11は湿潤性が完全であると仮定してモデル計算を行った結果を点で示したものであるが、実験観察結果の裏付となっており、酸化物層は5ミクロン以下とすべきであり、好ましくは1ミクロン程度又はそれ以下の厚みとすべきであることを示している。
【0032】上記の結果は、図示した種類の双ロール鋳造機で鋼ストリップサンプルを多数鋳造することにより実証されている。図12は、きめ深さ20ミクロン、きめピッチ180ミクロンのきめ付け表面を持つ鋳造ロール間で鋳造した普通の鋼ストリップの走査型電子顕微鏡写真であって、鋳造ロールのきめの尾根と一致する核生成地線106が示されている。核生成地線106はストリップ長手方向に走っており、これら核生成地線106間のストリップ表面は微細に分布された粒子状材料を示している。図13は、この材料を定性エネルギー分散方式X線微量分析走査した結果で、本質的に酸化マンガン粒子から成っていることがわかる。このことからわかるのは、ストリップ表面が形成される時、溶融金属内の酸化物がMnO+SiO2の形で鋳造ロール上に薄層を形成することで、それからマンガン/珪素材料が初期には液体状で堆積し、後では凝固するので、形成した鋼ストリップには固体酸化物が鋳造表面に堆積する場合に生じるような窪みが形成されることはない。
【0033】本発明による双ロール鋳造機によって鋳造された鋼ストリップを調べることにより、凝固時に鋳造ロール上の薄液体酸化物層によって創られる珪酸マンガンがストリップ表面にあるだけでなく、ストリップ外面の下に延びる珪酸マンガン混在物帯に含まれていることが証拠付けられた。
【0034】図14及び図15は、以下のような条件のM06鋼鋳造ストリップの横断面を示す、各々倍率が500倍及び1000倍の顕微鏡写真である。
溶融金属の炭素成分 0.06重量%マンガン成分 0.6重量%珪素成分 0.28重量%鋳造温度 1590℃溶融金属の遊離酸素 55ppmこれらが示しているように、普通のスケール層表面Xの下に狭い混在物帯Yが存在する。混在物を分光分析すると、混在物が、20〜50重量%の珪素を含む珪酸マンガンでほぼ構成されていることがわかる。表面下の混在物の一つを普通に分析した結果が図16である。これら混在物はストリップ外面下20ミクロン以内に延びる帯内に、即ち、スケール外層表面内に生じることが判明している。
【0035】A06鋼等のアルミニウムキルド鋼は、ストリップ連続鋳造において、特に双ロール鋳造機を用いたストリップ連続鋳造において、特に問題を呈している。鋼中のアルミニウムは脱酸生成物中に著しい量の固体Al23を生み出す。固体酸化物粒子は金属供給システムの詰まりとなるばかりでなく、鋳造表面に堆積してストリップ表面の窪み欠陥を生じる。これらの問題が溶融金属にカルシウムを加えることにより軽減できることを本発明者は見知した。カルシウムの添加によりCaOが生じ、これがAl23と共に液相を生み出して、固体Al23の堆積を減少させるのである。
【0036】図17はCaO−Al23混合物の相図であり、50.65%CaOの共晶組成物が1350℃の液相温度を持つことが見て取れる。従って、この共晶組成物まわりのCaO−Al23を生み出すようカルシウム添加を調節すれば、これにより液体酸化物相が生じ、Al23の堆積を妨げることになる。必要なカルシウム添加は例えばカルシウムワイヤを取鍋17に供給することにより好便に行うことができる。
【0037】ストリップ鋳造条件をシュミレートした実験装置で、多数のA06鋼サンプルについて、溶融金属温度1595℃で、きめ付けした基質へのカルシウム添加量を様々変えて凝固試験を行った。いずれの場合も基質のきめはきめ深さ20ミクロン、きめピッチ180ミクロンを持つ平行尾根のきめとし、凝固時に得られる最大熱流束を測定した。凝固試験の結果を図18に点で示してあり、CaO−Al23混合物がその共晶に近いようCa/Alを調節した場合に最大熱流束が得られることがわかる。それらの条件で得られる熱流束の増加から、基質上に液層が存在して基質と凝固金属との間の伝熱を高めることが確認される。凝固ストリップを調べた結果、熱流束が増加すると表面欠陥が減少すること、CaO−Al23混合物がその共晶に近い場合にはストリップには表面欠陥がほとんどないことが明らかになった。
【0038】図19は、溶鋼中の脱酸生成物の温度が「チャター」欠陥の形成にどのように影響を及ぼし得るかを示している。より明細には、図19は、種々の溶融温度でのMnO−SiO2−Al23相の堆積により生じるチャター深さを示している。鋳造表面との初期接触で堆積する酸化物相の溶融金属温度増加につれて表面欠陥の酷さが増加することが見て取れる。
【0039】実験を行った結果、最適の結果を達成するための好適なM06鋼の組成が次のようであることを確認した。
炭素 0.06重量%マンガン 0.6重量%珪素 0.28重量%アルミニウム 0.002重量%以下溶融金属遊離酸素 60〜100ppm【0040】適宜のカルシウムを加えて最適結果を達成するのに適当なA06鋼の組成が次のようであることも確認した。
炭素 0.06重量%マンガン 0.25重量%珪素 0.15重量%アルミニウム 0.05重量%【0041】又、鋳造表面がクロム表面であるよう鋳造ロール16をクロムメッキするようにしても良い。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鋼ストリップ鋳造方法によれば、固形酸化物(脱酸生成物)の堆積により生じる表面欠陥を回避することができるという優れた効果を奏し得る。




 

 


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