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発明の名称 インフレーションフィルムおよび該フィルムの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−86218
公開日 平成10年(1998)4月7日
出願番号 特願平8−249346
出願日 平成8年(1996)9月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 武彦
発明者 足助 哲也 / 鷹 敏雄 / 坂本 和幸 / 駒沢 隆 / 朱 亦展 / 茂木 義博
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 下記(イ)〜(ニ)の要件を満足するエチレン(共)重合体からなるインフレーションフィルムであって、フィルム表面の結晶ラメラの集積体からなる同心円塊の結晶粒径が0.5〜8μm、フィルムの引裂強度が、縦(MD)方向で20Kgf/cm以上、横(TD)方向で60Kgf/cm以上、フィルムの外部ヘイズが20%以上であることを特徴とするインフレーションフィルム。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下【請求項2】 下記(イ)〜(ヘ)の要件を満足するエチレン(共)重合体からなるインフレーションフィルムであって、フィルム表面の結晶ラメラの集積体からなる同心円塊の結晶粒径が0.5〜8μm、フィルムの引裂強度が、縦(MD)方向で20Kgf/cm以上、横(TD)方向で60Kgf/cm以上、フィルムの外部ヘイズが20%以上であることを特徴とするインフレーションフィルム。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0(ニ)組成分布パラメーターCbが1.08〜2.00(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在すること(ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(wt%)と密度d及びMFR(メルトフローレート)が次の関係を満足することa)d−0.008 logMFR≧0.93の場合X<2.0b)d−0.008 logMFR<0.93の場合X<9.8 ×103 ×(0.9300−d+0.008 logMFR)2+2.0【請求項3】 前記エチレン(共)重合体が、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチレンとα−オレフィンを(共)重合させて得られるエチレン(共)重合体である請求項1または2に記載のインフレーションフィルム。
【請求項4】 下記(イ)〜(ニ)の要件を満足するエチレン(共)重合体を用いて、引取速度を20〜120m/分、ブローアップ比2〜4、フロストライン100〜700mmでインフレーションフィルム成形を行なうことを特徴とするインフレーションフィルムの製造方法。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下【請求項5】 前記エチレン(共)重合体が、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチレンとα−オレフィンを(共)重合させて得られるエチレン(共)重合体である請求項4に記載のインフレーションフィルムの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種包装袋や包装材料として使用するに適するインフレーションフィルムおよび該フィルムの製造方法に関し、特に高強度と縦・横の強度バランスが良く、半透明のパール状インフレーションフィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種包装袋や包装材料等として使用するインフレーションフィルムとして高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(LDPE)が汎用されている。しかしLDPEは、透明性等の光学的性質に優れるものの、耐衝撃性、引裂強度等の機械的性質に劣るという欠点を有している。一方、チーグラー系触媒等を用いるイオン重合で得られる高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)は直鎖状の分子構造を有し、前記LDPEと比較すると耐衝撃性、引裂強度等の機械的性質に優れるという利点を有している。特に密度0.94g/cm3 以下のLLDPEは、エチレンとコモノマーである炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体からなり、前記HDPEと比較して柔軟性、耐衝撃性、耐クリープ性等に優れ、またLDPEと比較して耐衝撃性、耐クリープ性等に優れるため、包装材料、特にフィルム、ラミネーションなどの分野で広く用いられている。しかしながら、フィルム材料としてのLLDPEは、HDPE、LDPEと比較して溶融時における流動性が悪く、成形加工性に劣るという問題を有している。すなわち、LLDPEは、流動時のニュートン性が極めて高く、高せん断性速度領域において、せん断応力が大きく成形時にメルトフラクチャーを生じ易く、高速成形性に劣るとともに、成形加工時に流動のための所要エネルギーが大きいという問題がある。また、LLDPEは、溶融伸長変形時の抵抗力、すなわち、溶融張力(メルトテンション)が極めて小さく、このためインフレーション成形時にバブルを安定的に膨張することができないという欠点を有している。このような問題点を解決するためにLLDPEに10〜30重量%のLDPEを配合してフィルム成形が行なわれている。しかしながら、LLDPEにLDPEを配合すると流動性あるいはメルトテンションは多少改善されるものの、流動方向への結晶配向が著しく進行することおよび両ポリエチレン分子の混和性、分散性の低下により、LLDPEが本来有している機械的強度や、縦・横方向の強度バランスが得られないという新たな問題点が生じる。また、精密機械部品、医療製品等を保護するような用途およびプライバシーを保護するような分野においては遮光性のあるフィルムが要望されている。従来このような遮光性フィルムとしては、TiO2 等の顔料やカーボンブラック等を配合したフィルムが提供されていたが、上記精密機械部品、医療製品等の分野(ハイテク、マイクロエレクトロニクス、マルチメディア、バイオメディカル等)ではコンタミネーション(汚濁、汚染等)の原因となるこれら添加剤を樹脂に配合することを嫌う傾向が波及しつつあり、これらの添加剤を含まない遮光性フィルムの開発が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、高い強度と縦・横方向の強度バランスに優れ、パール状で半透明性の遮光性に優れたインフレーションフィルムおよび該フィルムの製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3 、(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分、(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0、(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下の要件を満足するエチレン(共)重合体からなるインフレーションフィルムであって、該フィルム表面の結晶ラメラの集積体からなる同心円塊の結晶粒径が0.5〜8μm、フィルムの引裂強度が、縦(MD)方向で20Kgf/cm以上、横(TD)方向で60Kgf/cm以上、フィルムの外部ヘイズが20%以上であることを特徴とするインフレーションフィルムである。本発明の第2は、下記(イ)〜(ヘ)の要件を満足するエチレン(共)重合体からなるインフレーションフィルムであって、フィルム表面の結晶ラメラの集積体からなる同心円塊の結晶粒径が0.5〜8μm、フィルムの引裂強度が、縦(MD)方向で20Kgf/cm以上、横(TD)方向で60Kgf/cm以上、フィルムの外部ヘイズが20%以上であることを特徴とするインフレーションフィルムである。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0(ニ)組成分布パラメーターCbが1.08〜2.00(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在すること(ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(wt%)と密度d及びMFR(メルトフローレート)が次の関係を満足することa)d−0.008 logMFR≧0.93の場合X<2.0b)d−0.008 logMFR<0.93の場合X<9.8 ×103 ×(0.9300−d+0.008 logMFR)2+2.0本発明の第3は、前記エチレン(共)重合体が、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチレンとα−オレフィンを(共)重合させて得られるエチレン(共)重合体を使用することを特徴とするインフレーションフィルムである。本発明の第4は、下記(イ)〜(ニ)の要件を満足するエチレン(共)重合体を用いて、引取速度を20〜120m/分、ブローアップ比2〜4、フロストライン100〜700mmでインフレーションフィルム成形を行なうことを特徴とするインフレーションフィルムの製造方法を提供するものである。
(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下本発明の第5は、前記エチレン(共)重合体が、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチレンとα−オレフィンを(共)重合させて得られるエチレン(共)重合体を用いることを特徴とするインフレーションフィルムの製造方法を提供するものである。
【0005】以下本発明をさらに詳述する。本発明のエチレン(共)重合体とは、エチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、エチレンまたはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを(共)重合させることにより得られる下記(イ)〜(ニ)の要件、(イ)密度が0.86〜0.97g/cm3(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0(ニ)組成分布パラメーターCbが2.00以下を満足するエチレン(共)重合体である。
【0006】上記本発明のエチレン(共)重合体のα−オレフィンとは、炭素数が3〜20、好ましくは3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは3〜20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0007】また本発明のエチレン(共)重合体の(イ)密度は0.86〜0.97g/cm3 、好ましくは0.89〜0.95g/cm3 、さらに好ましくは0.90〜0.94g/cm3 の範囲であり、(ロ)メルトフロレート(以下MFRと称す)は0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分、さらに好ましくは0.5〜40g/10分の範囲である。密度が0.86g/cm3 未満のものは柔らかすぎて、剛性、耐熱性が不良となり、抗ブロッキング性が劣るものとなる。また0.97g/cm3 を超えると硬すぎて、引裂強度、衝撃強度等が低くなる。MFRが0.01g/10分未満では加工性が不良となり、100g/10分を越えると強度が弱いものとなる。
【0008】本発明のエチレン(共)重合体の(ハ)Mw/Mnは、1.5〜5.0の範囲、好ましくは1.6〜4.5、さらに好ましくは1.7〜4.0の範囲である。上記Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、5.0を超えるものは耐衝撃性が劣る。一般にエチレン(共)重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出することにより求めることができる。
【0009】本発明のエチレン(共)重合体の(ニ)組成分布パラメーター(Cb)は2.00以下であり、組成分布パラメーター(Cb)が2.00より大きいとブロッキングしやすく、ヒートシール性も不良となり、また低分子量あるいは高分岐度成分の樹脂表面へのにじみ出しが多く衛生上の問題が生じる。
【0010】本発明のエチレン(共)重合体の(ニ)組成分布パラメーター(Cb)の測定法は下記の通りである。すなわち、酸化防止剤を加えたオルソジクロルベンゼン(ODCB)に試料を濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解した後、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送した後、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷却し、共重合体試料をセライト表面に沈着する。次に、この試料が沈着されているカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温して行く。すると各温度に対応した溶出成分を含んだ溶液が採取される。この溶液にメタノールを加え、試料を沈澱後、ろ過、乾燥し、各温度における溶出試料を得る。各試料の、重量分率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を測定する。分岐度は13C−NMRで測定し求める。
【0011】このような方法で30℃から90℃で採取した各フラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0012】次にそれぞれのフラクションの重量分率wi を、溶出温度5℃当たりの分岐度bi の変化量(bi −bi-1 )で割って相対濃度ci を求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【0013】
【数1】

【0014】ここで、cj とbj はそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0015】なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布を表現する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数R2 はかなり低く、値の精度は充分でない。また、このCw/Cnの測定法および数値処理法は、本発明のCbのそれと異なるが、あえて数値の比較を行えば、Cw/Cnの値は、Cbよりかなり大きくなる。
【0016】本発明のエチレン(共)重合体は、前記(イ)〜(ニ)のパラメータを満足することにより、本発明の目的とするインフレーションフィルムとして良好な性能を発揮するが、より好ましくは、下記(イ)〜(ヘ)の要件(イ)密度が0.86〜0.96g/cm3(ロ)メルトフローレート0.01〜100g/10分(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0(ニ)組成分布パラメーターCbが1.08〜2.00(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在すること(ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(wt%)と密度d及びMFR(メルトフローレート)が次の関係a)d−0.008 logMFR≧0.93の場合X<2.0b)d−0.008 logMFR<0.93の場合X<9.8 ×103 ×(0.9300−d+0.008 logMFR)2+2.0を満足するエチレン(共)重合体を使用することが望ましい。
【0017】本発明の特殊なエチレン(共)重合体は、前記エチレン(共)重合体の(イ)〜(ハ)の要件にさらに(ニ)〜(ヘ)の要件を満足するものである。該特殊なエチレン(共)重合体の(ニ)組成分布パラメーターCbは、1.08〜2.00の範囲であり、好ましくは1.10〜1.18、より好ましくは1.15〜1.17の範囲であることが望ましい。
【0018】また、(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが実質的に複数個存在し、この複数のピークは望ましくは85℃から100℃の間に存在することが特に望ましい。このピークが存在することにより製品の耐熱性が向上する。
【0019】上記本発明のエチレン(共)重合体は図1に示されるような連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークが複数個の特殊な新規エチレン(共)重合体であり、図2に示されるようなメタロセン系触媒、すなわち、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む少なくとも1種の触媒下の存在下で得られるエチレン(共)重合体である連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークを1個有するエチレン(共)重合体とは明確に区別される。
【0020】本発明に関わるTREFの測定方法は下記の通りである。試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重量%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。この値から、溶液中のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TREF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0021】本発明のエチレン(共)重合体の(ヘ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(wt%)と密度dおよびMFR(メルトフローレート)の関係は、dおよびMFRの値が、d−0.008 logMFR≧0.93を満たす場合は、Xは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、d−0.008 logMFR<0.93の場合は、X<9.8 ×103 ×(0.9300−d+0.008log MFR)2+2.0好ましくは、X<7.4 ×103 ×(0.9300−d+0.008log MFR)2+1.0より好ましくは、X<5.6 ×103 ×(0.9300−d+0.008log MFR)2+0.5の関係を満足していることが望ましい。
【0022】上記25℃におけるODCB可溶分の量は、下記の方法により測定する。試料0.5gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取する。このろ液のメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク面積を求め、予め作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0023】25℃におけるODCB可溶分は、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、衛生性の問題や成形品内面のブロッキングの原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、コモノマーの含有量および分子量に影響される。従ってこれらの指標である密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示す。
【0024】上記本発明のエチレン(共)重合体は、前記特定のパラメーターを満足すれば触媒、製造方法等に特に限定されるものではないが、好ましくは少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを(共)重合させて得られるエチレン(共)重合体であることが望ましい。
【0025】本発明のエチレン(共)重合体の製造は、特に以下のa1〜a4の化合物を混合して得られる触媒で重合することが望ましい。
a1:一般式Me1 1 p 2 q (OR3 r 14-p-q-rで表される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、R2 は、2.4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1 はハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たす整数である)
a2:一般式Me2 4 m (OR5 n 2 z-m-n で表される化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)
a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物および/またはホウ素化合物【0026】以下、さらに詳説する。上記触媒成分a1の一般式Me1 1 p 2 q (OR3 r 14-p-q-rで表される化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。R2 は、2.4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体を示す。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞれ0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たす整数である。
【0027】上記触媒成分a1の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZr(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。また、前記2,4−ペンタンジオナト配位またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体の具体例としたは、テトラ(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジクロライドジルコニウム、(2,4−ペンタンジオナト)トリクロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等があげられる。
【0028】上記触媒成分a2の一般式Me2 4 m (OR5 n 2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0029】上記触媒成分a2の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0030】上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有機環状化合物は、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0031】上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0032】環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
L SiR4-L ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0033】上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の具体例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシランなどが挙げられる。
【0034】触媒成分a4のAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物とは、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化合物が得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0035】有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0036】ホウ素化合物としては、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアルミニウム(トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム(ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0037】上記触媒はa1〜a4を混合接触させて使用しても良いが、好ましくは無機担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用することが望ましい。該無機担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。具体的にはSiO2 、Al2 3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B2 3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2 −Al2 3 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −TiO2 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −MgO、SiO2 −Cr2 3 等が挙げられる。これらの中でもSiO2 およびAl2 3 からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0038】上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いることもできる。
【0039】上記本発明のエチレン(共)重合体は分子量分布および組成分布が比較的狭いため、機械的強度が強く、ヒートシール性、抗ブロッキング性に優れ、しかも耐熱性の良い重合体であり、重合時の触媒成分を実質的に塩素等のハロゲンを含まないものとすると、得られる重合体にもこれらハロゲンが含まれず、したがって化学的安定性、衛生性が優れ、特に食品包装材、医療用包装材等に有用される。
【0040】本発明のエチレン(共)重合体の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2 G、好ましくは常圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2 G以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
【0041】本発明のフィルムは、上記新規なエチレン(共)重合体からなるインフレーションフィルムであって、該フィルム表面の結晶ラメラの集積体からなる同心円塊の結晶粒径が0.5〜8μm、より好ましくは1〜7μm、さらに好ましくは2〜5μmの範囲である。この範囲であれば、強度が高く、フィルムの縦(MD)方向の引裂強度が20Kgf/cm以上、横(TD)方向の引裂強度が60Kgf/cm以上の強度バランスのよいフィルムができ、かつ半透明の遮蔽性の良いフィルムを得ることが可能となる。上記同心円塊の結晶粒径が0.5μm未満では、フィルム強度(縦方向が弱くなり、横方向が強くなる)が低下し、強度バランスも悪くなる。一方、同心円塊の結晶が8μm以上のものをインフレーション成形で成長させることは難しく、とりわけ生産速度が極端に低下し実用的でない。
【0042】本発明の同心円塊の結晶粒径は、インフレーション成形によりフィルム表面の結晶ラメラ集積体がフィブリルとなって生長して形成されるものであって、同心円塊の結晶粒径Lは、走査電子顕微鏡JEOL−T330A(日本電子(株)製)により測定できる。この走査顕微鏡は電子線を試料表面に衝突させ、発生する2次電子を利用するもので、回折した電子を検出することにより試料表面を画像化するものである。
【0043】図3(写真1)および図4(写真2)は、本発明の密度0912g/cm3 の気相法の特定のエチレン−1−ヘキセン共重合体をプラコー製押出機:スクリュー径55mmφ、ダイス:70mmφ、成形温度180℃、フィルム幅:300mm、ブロー比:2.7の成形条件で成形したインフレーションフィルムを上記の走査電子顕微鏡で測定した電顕写真(写真1は倍率35000倍、写真2は倍率5000倍で測定)であり、フィルム表面の結晶ラメラの集積体がフィブリル状に生長し、同心円状に結晶塊が形成され、粒径がLが本発明の範囲である0.5〜8μmであることが解る。一方、図5(写真3)(倍率3500倍)および図6(写真4)(倍率5000倍)は、市販のチーグラー触媒による密度0917g/cm3 の気相法のエチレン−1−ヘキセン共重合体(LLDPE)を本発明と同条件で成形して測定した結果を示したものであり、市販の気相法LLDPEは粒径Lが100〜300nmと粒径が本発明のものより小さいことが解る。
【0044】上述のように、本発明のインフレーションフィルムは、従来のLLDPEフィルムに比較して、結晶粒径が同心円状で、結晶塊が大きく、フィルム強度が高いものとなる。また、フィルム内部の微結晶も、結晶ラメラの集積体がフィブリルとなって生長し、同心円状塊の粒径も同時に大きくなるので、フィルムの内部ヘイズ値をも大きくすることができる。このような大きな粒径で、かつ同心円状塊の結晶形態により、ラメラ間を結ぶタイ分子(tie moulecules)の密度が高くなり、また、異方性も少なくなることから、縦・横の強度バランスもよくなるものと考察している。さらに、該フィルム表面は凹凸であり、フィルムの外部ヘイズが20%以上となり、目的とする遮蔽性の良好なフィルムの提供を可能とするものである。
【0045】本発明のインフレーションフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系顔料、紫外線防止剤、分散剤などの公知の添加剤を添加することができる。
【0046】本発明のインフレーションフィルムは、一般的にはその扱い易さから10〜200μm、好ましくは30〜100μmの範囲で選択される。
【0047】本発明のインフレーション成形とは、一般には120〜250℃の温度で押出機によりサーキュラーダイを通して押し出し、空冷式エアーリングより吹き出す空気に接触させて急冷し、固化させてピンチロールで引き取った後、枠に巻き取ることにより行なわれる。該成形条件としては、フィルムの引取速度20〜120m/分とし、ブローアップ比は2.0〜4.0、好ましくは2.2〜3.0の範囲で選択される。ブローアップ比が2.0未満では樹脂の流れに対して垂直な方向(TD方向)に十分な配向が得られず、樹脂の流れ方向(MD方向)に結晶ラメラの集積体がフィブリルとなって生長が急激に増大する。その結果、同心円状塊の結晶が得られず、その結晶塊の粒径が0.5〜8μmの範囲にすることが困難となる。特に、粒径が8μm以上の樹脂の流れ方向(MD方向)に長い、異方性のある結晶塊となり、優れた強度、縦・横の強度バランスを発現することができない。一方、ブローアップ比が4.0を超えると成形時にバブルの振動が大きくなり、成形安定性が失われる。
【0048】また、インフレーション成形時のフロストライン高さは100mm〜700mm、好ましくは300〜600mmの範囲である。フロストライン高さが、100mm未満では強い風量の冷却エアーが必要となり、成形時のバブルの振動が大きくなり、成形安定性が失われる。さらには、急冷却のため、同心円状塊の結晶の粒径が0.5μm以上に生長させることが困難となる。また、フィルムの外部ヘイズが20以下となり、遮光性が低下することになる。フロストライン高さが700mmを超えると弱い風量の冷却エアーでバブルが徐冷されるため、同心円状塊の結晶の粒径を0.5〜8μmの範囲にすることが困難となる。特に8μm以上の粒径になり、フィルム表面が粗面化され、ちり、ほこり等の付着の原因となる。
【0049】
【実施例】本発明のエチレン(共)重合体の製造は以下の方法で重合した。
(固体触媒の調製)窒素下で電磁誘導攪拌機付き触媒調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)2 Cl2 )28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間攪拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の攪拌器付き触媒調製器(No.2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。次に、窒素下で攪拌器付き調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m2 /g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で攪拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0050】(試料の重合)連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ブテンあるいは1−ヘキセンの共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行ない、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。
【0051】(樹脂成分)
(A1)エチレン・1−ブテン共重合体密度=0.910g/cm3 、MFR=0.5g/10分分子量分布(Mw/Mn)=2.7組成分布パラメーター(Cb)=1.24d− 0.008 logMFR=0.912ODCB可溶分(%)=3.0 <9.8 ×103 ×(0.9300-d+0.008logMFR)2+2.0TREFピーク温度=70.3℃、75.1℃、95.1℃(A2)エチレン・1−ヘキセン共重合体密度=0.912g/cm3 、MFR=0.7g/10分分子量分布(Mw/Mn)=2.6組成分布パラメーター(Cb)=1.23d− 0.008 logMFR=0.913ODCB可溶分(%)=2.8 <9.8 ×103 ×(0.9300-d+0.008logMFR)2+2.0TREFピーク温度=69.7℃、92.1℃(B)市販のエチレン−1−ヘキセン共重合体(気相法)
密度0.917g/cm3 、MFR=0.8g/10分【0052】上記樹脂を使用して空冷式インフレーション成形法により以下の条件でフィルムを成形した。
<成形条件>プラコー製押出機:スクリュー径55mmφ、ダイス:70mmφ、成形温度:180℃、フィルム幅:300mm、ブロー比:2.7、厚み:30μm【0053】得られたフィルムの結晶粒径、引裂強度、外部ヘイズ等を測定した結果を表1に示した。
(試験法)
結晶粒径の測定:走査電子顕微鏡JEOL−T330A(日本電子(株)製)
引裂強度:JIS P8116外部ヘイズ:ASTM D1003に準拠して測定した。
(外部ヘイズは全ヘイズより内部ヘイズを引いた値に相当する)
【0054】
【表1】

【0055】
【発明の効果】本発明のインフレーションフィルムは、特定の新規エチレン(共)重合体を使用し、フィルム表面の結晶ラメラの集積体を制御することにより、高い強度と縦・横方向の強度バランスに優れ、パール状で半透明性の遮光性に優れたフィルムおよび該フィルムの製造方法を提供することができたものである。




 

 


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