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発明の名称 金属部材をインサートした樹脂成形体およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−15985
公開日 平成10年(1998)1月20日
出願番号 特願平8−188780
出願日 平成8年(1996)6月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】前島 肇
発明者 黒田 力雄 / 米田 弘義 / 橋本 晶夫
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 金属部材の一部が外部に露出するようにインサート成形されてなる樹脂成形体において、少なくとも該金属部材の露出境界部において金属部材と樹脂との間を加熱発泡体によりシールしたことを特徴とする樹脂成形体。
【請求項2】 前記金属部材が電気電子部品のリードフレームである請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項3】 前記加熱発泡体が、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂からなる加熱発泡性物質を加熱してなるものである請求項1または2に記載の樹脂成形体。
【請求項4】 前記加熱発泡性物質が、前記金属部材および/または前記成形体の樹脂に対し接着性を有することを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体。
【請求項5】 樹脂により被覆される部分にあらかじめ加熱発泡性物質を接着した金属部材をインサート部材として金型内に設置し、金型内に加熱溶融した熱可塑性樹脂を射出することにより金属部材の一部が外部に露出するようにインサート成形を行い、射出された溶融樹脂の熱により該加熱発泡性物質を発泡させ、生成した発泡体により、少なくとも該金属部材の露出境界部において金属部材と成形体の樹脂との間をシールすることを特徴とする、金属部材がインサートされてなる樹脂成形体の製造方法。
【請求項6】 樹脂により被覆される部分にあらかじめ加熱発泡性物質を接着した金属部材をインサート部材として金型内に設置し、金型内に加熱溶融した熱可塑性樹脂を射出することにより金属部材の一部が外部に露出するようにインサート成形を行った後、得られた成形体を電磁誘導加熱することにより前記加熱発泡性物質を発泡させ、生成した発泡体により、少なくとも該金属部材の露出境界部において金属部材と成形体の樹脂との間をシールすることを特徴とする、金属部材がインサートされてなる樹脂成形体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属部材をインサートした樹脂成形体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは一部が外部に露出するように金属部材をインサートした樹脂成形体において、金属部材と樹脂の間に形成された隙間を、加熱発泡性物質の発泡体でシールしたことを特徴とする金属部材をインサートした樹脂成形体、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気電子部品または自動車等の機械部品などの分野において、熱可塑性合成樹脂に対し金属部材を一体的に組み合わせた射出成形品の需要が増加している。通常これらは金属部材をインサート部材とするインサート成形方法により製造されている。このようなインサート成形体のうちには金属部材の一部が成形体の外部に露出しているものもあり、このような成形体を密閉系として使用すると、主として金属部材の露出境界部における密封性に問題を生じる場合がある。これは、熱可塑性樹脂と金属との密着性が劣ると共に、熱可塑性樹脂を射出成形すると樹脂の固化時に少なからず体積収縮を起こし、金属部材との間に微少な隙間が生じるためである【0003】具体例として半導体装置のパッケージを例に挙げて説明する。図1は、従来例における半導体パッケージの縦断面図である。半導体パッケージ1は、熱可塑性合成樹脂で成形されたケース2およびインサートされた金属フレーム(リードフレーム)3を有している。ケース2の内部にIC(集積回路素子)、LSI(大規模集積回路素子)、ダイオード、CCD(電荷結合素子)、MOS(金属酸化物半導体素子)等の半導体素子4が接着剤5により接着されており、また半導体素子4はボンディングワイヤ6により金属フレーム3と電気的に接続されている。ケース2の上面には、ガラス、樹脂あるいは金属等からなるリッド(蓋)7が接着剤5により固着され、ケース2内部の気密性が確保されている。このように電気電子部品、特に半導体パッケージでは、内部の半導体素子が水分を極端に嫌うために高い気密性が要求される。従来、ケース2は熱硬化型の樹脂で成形されているため、金属フレーム3との接着力が十分であり、樹脂とフレームとの間、特にフレームが外部に露出する境界部において隙間が生じ難く、パッケージとしての気密性は実用上問題とならない。
【0004】しかし、熱硬化性樹脂は硬化反応に長時間を要するので生産性が低く、またバリが出やすいので後処理のコストが高価である。さらにスプルー、ランナー等の不要物の再生利用ができないので地球環境上問題となる等の欠点を有しているため、これ等の欠点を解決し得る熱可塑性合成樹脂の開発が検討されている。しかし熱可塑性樹脂は金属との密着性が悪いため、これを用いてケースを成形すると、体積収縮に伴い樹脂とフレームとの間、特にフレームの露出境界部において微少の隙間が生じる。このため水分の浸入を防ぐことができず、半導体パッケージとしての性能を著しく損ねる懸念がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱可塑性合成樹脂からなり、かつ半導体パッケージのように一部が外部に露出した金属部材を有する成形体において、樹脂と金属部材との間、特に金属部材の露出境界部において隙間が存在せず気密性の優れた樹脂成形体、および効率のよい安価なその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1は、金属部材の一部が外部に露出するようにがインサート成形されてなる樹脂成形体において、少なくとも金属部材の露出境界部において金属部材と樹脂との間を加熱発泡体によりシールしたことを特徴とする、金属部材がインサートされてなる樹脂成形体に関するものである。本発明の第2は、上記本発明の第1において、前記金属部材が電気電子部品のリードフレームである樹脂成形体に関する。本発明の第3は、上記本発明の第1または第2において、前記加熱発泡体が発泡剤を含有する熱可塑性樹脂からなる加熱発泡性物質を加熱してなるものである樹脂成形体に関する。本発明の第4は、上記本発明の第3において、前記発泡剤を含有する熱可塑性合成樹脂が、前記金属部材および/または成形体の樹脂に対し接着性を有することを特徴とする樹脂成形体に関する。本発明の第5は、樹脂により被覆される部分にあらかじめ加熱発泡性物質を接着した金属部材をインサート部材として金型内に設置し、金型内に加熱溶融した熱可塑性樹脂を射出することにより金属部材の一部が外部に露出するようにインサート成形を行い、射出された溶融樹脂の熱により加熱発泡性物質を発泡させ、生成した発泡体により、少なくとも金属部材の露出境界部において金属部材と成形体の樹脂との間をシールすることを特徴とする、金属部材がインサートされてなる樹脂成形体の製造方法に関するものである。本発明の第6は、樹脂により被覆される部分にあらかじめ加熱発泡性物質を接着した金属部材をインサート部材として金型内に設置し、金型内に加熱溶融した熱可塑性合成樹脂を射出することにより金属部材の一部が外部に露出するようにインサート成形を行った後、得られた成形体を電磁誘導加熱することにより前記加熱発泡性物質を発泡させ、生成した発泡体により、少なくとも金属部材の露出境界部において金属部材と成形体の樹脂との間をシールすることを特徴とする、金属部材がインサートされてなる樹脂成形体の製造方法に関するものである。
【0007】以下、本発明をさらに説明する。本発明において成形の際に用いるインサート部材は金属製であり、その一部は樹脂成形体の外部に露出している。具体的には、半導体パッケージにおけるリードフレーム、端子ピン、ボンディングワイヤ等が例として挙げられる。金属部材の材質は特に限定されず、例としては銅、黄銅、砲金、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、クロム、鉛、錫、銀、金等およびこれらの金属を主として含む合金等が挙げられる。これらのインサートに用いる金属部材は、必要に応じて防錆対策などのために表面加工することができる。表面加工法としては、金属の電解メッキ、化学メッキ等の湿式メタライジング;スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、CVD、PVD等の乾式メタライジングや燐酸亜鉛処理等がある。また金属部材は発泡体との接着性を高めるために、サンドブラスト等により粗面化することも有効である。
【0008】本発明において用いる射出のための熱可塑性樹脂は特に限定されず、射出成形が可能であればいずれの熱可塑性樹脂も使用することができる。好ましくは、強度、耐熱性、耐薬品性等が良好な点から、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−46、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンオキサイド系樹脂;ポリフェニレンサルファイド系樹脂;ポリケトン系樹脂;ポリサルフォン系樹脂およびサーモトロピック液晶樹脂等が例示される。半導体素子のパッケージ等に使用するときは、耐熱性、成形性等に優れたポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェニレンサルファイド系樹脂、サーモトロピック液晶樹脂等が特に好ましい。
【0009】これらの中でも、固化時の収縮率が低い等の理由で、特にサーモトロピック液晶樹脂、例えばサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂が好ましい。本発明でいうサーモトロピック液晶樹脂とは、溶融時に光学的異方性を示し、かつ熱可塑性を有するポリマーである。このように溶融時に光学的異方性を示すポリマーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性質を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法によって確認することができる。上記液晶樹脂としては、例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリカーボネート、液晶性ポリエステルイミド等、具体的には、(全)芳香族ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルカーボネート、ポリアゾメチン等が挙げられる。サーモトロピック液晶樹脂は、一般的に細長く、偏平な分子構造からなり、分子の長鎖に沿って剛性が高い。本発明において用いるサーモトロピック液晶樹脂には、一つの高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポリマーのセグメントから構成されるポリマーも含まれる。また、複数のサーモトロピック液晶樹脂を複合したものも含まれる。
【0010】サーモトロピック液晶樹脂を構成するモノマーの代表例としては(A)芳香族ジカルボン酸の少なくとも一種、(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくとも1種、(C)芳香族ジオール系化合物の少なくとも1種、(D)(D1)芳香族ジチオール、(D2)芳香族チオフェノールおよび(D3)芳香族チオールカルボン酸化合物の少なくとも1種、(E)芳香族ヒドロキシルアミンおよび芳香族ジアミン系化合物の少なくとも1種等の芳香族化合物が挙げられる。これらは単独で用いられる場合もあるが、多くは(A)と(C);(A)と(D);(A)、(B)と(C);(A)、(B)と(E);あるいは(A)、(B)、(C)と(E)等のように組み合わせて構成される。
【0011】上記(A)芳香族ジカルボン酸系化合物としては、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−テルフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸などで代表される上記芳香族族カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0012】(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0013】(C)芳香族ジオールとして、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、またはクロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0014】(D1)芳香族ジチオールとしては、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙げられる。
(D2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルトカプトフェノール、3−メルトカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
(D3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸などが挙げられる。
【0015】(E)芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳香族ジアミン系化合物としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4'−エチレンジアニリン、4,4'−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられる。
【0016】本発明で用いるサーモトロピック液晶樹脂は、上記モノマーから溶融アシドリシス法やスラリー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造することができる。これらのモノマーから得られるサーモトロピック液晶樹脂のうち、一般式〔I〕で表されるモノマー単位を含む(共)重合体である全芳香族ポリエステルが好ましい。
【0017】
【化1】

【0018】本発明において好ましい全芳香族ポリエステルは、4−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびジヒドロキシビフェニルの3種の化合物からそれぞれ誘導される繰り返し単位を有する式〔II〕で表されるポリエステル、または4−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸の2種の化合物からそれぞれ誘導される繰り返し単位を有する式〔III〕で表されるポリエステルである。
【0019】
【化2】

【化3】

【0020】サーモトロピック液晶樹脂は、単独で用いてもよいが、好ましくは無機または有機充填剤を含むものを用いる。通常、無機または有機充填剤の配合量は、サーモトロピック液晶樹脂と充填剤の合計に対して0〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%の範囲である。充填剤の配合は、従来公知の方法に従って行うことができる。無機または有機充填剤のうち、特に無機充填剤が重要であって、サーモトロピック液晶樹脂の加工性や成形品の物性などを改良するためにしばしば用いられる。無機充填剤としては、従来公知の二硫化モリブテン、タルク、マイカ、クレー、セリサイト、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、黒鉛、非晶質炭素、チタン酸カリウム、ガラス繊維、炭酸繊維、各種ウィスカー等が挙げられる。
【0021】本発明においては、実用上の物性を改良するために、サーモトロピック液晶樹脂に無機または有機充填剤の他に各種の添加剤をポリマーに配合することができる。このような添加剤としては、従来公知の安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、改質剤などが挙げられる。
【0022】なお本発明の効果を奏する限りにおいて、サーモトロピック液晶樹脂に他の熱可塑性樹脂、例えばポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、PA−6、PA−66、PA−46等の脂肪族ポリアミド、ポリフタル酸アミド、PET、PBT等のポリエステル、ポリアリレート(PAR)、ポリケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルフォン(PSF)等のほか、さらに天然ゴム、合成ゴム等のエラストマー等を配合することができる。これらの樹脂類は本発明において必須の成分ではないが、目的に応じて、その種類および量を適宜選択することができる。
【0023】本発明に用いる加熱発泡性物質は、加熱により発泡し得る物質であればいずれのものでもよい。通常は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムまたはこれらの混合物をベースポリマーとしこれに発泡剤を配合したものが用いられる。熱可塑性樹脂としては、前記成形体に用いる熱可塑性樹脂が例示される。発泡体は、加熱溶融または流動する樹脂中に発泡剤からの気泡を成長させることにより生成するため、用いる樹脂の融点(軟化点)と発泡剤のガス発生温度を適宜に選択する。その目安としては、射出する熱可塑性樹脂の成形温度が発泡性物質の発泡温度より30℃以上、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは100℃以上高く、かつ300℃以下の温度差となるように選択する。具体的な熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン、プロピレン等のオレフィンを主成分とする極性モノマーとの共重合樹脂、およびこれらの変性物;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。これらの中でもエチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン/メタクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂、エチレン/メタクリル酸共重合樹脂等の不飽和ビニルエステルまたは不飽和カルボン酸もしくはそのエステルとエチレン等のオレフィンとの共重合樹脂およびこれ等共重合樹脂の亜鉛やナトリウム等の金属塩(アイオノマー樹脂と称される)は、金属との接着力が強いので特に好ましい。
【0024】加熱発泡性物質に用いるゴムとしては、通常の架橋加硫タイプおよび熱可塑性タイプのゴム(エラストマー)を用いることができる。例えば、SBR、NBR、BR、PIB、IR、IIR、天然ゴム、クロロプレンゴム、EPR(EPM、EPDM)、アクリル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
【0025】加熱発泡性物質に用いる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0026】本発明においては、これらの樹脂やゴム等に発泡性を付与して使用する。発泡性を付与する一般的な方法は、あらかじめ前記樹脂やゴム等のベースポリマーに、加熱により分解してガスを発生する無機ならびに有機化合物(分解性発泡剤)や揮発性の液体を分散させておく。分解性発泡剤としては、炭酸アンモニウム;重炭酸ソーダ;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジドなどのスルホヒドラジド化合物;N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物;p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのアジド化合物等がある。揮発性の液体としては、低沸点の有機化合物、例えばシクロペンタンなどの低沸点炭化水素、イソピロピルアルコールなどの低沸点アルコール等が挙げられる。
【0027】前記樹脂やゴム等のベースポリマーに発泡剤を常法に従い配合し、加熱発泡性物質として未発泡シートを調製する。得られたシートを、インサート部材としての金属部材に対し、皮膜状、糸状、棒状、点状等の任意の形態で接着する。接着の方法は、加熱発泡性物質自体が金属部材に対し接着性を有するものであれば、直接これを金属部材に接着し、接着性を示さずまたは接着し難いものであれば、適宜の接着剤を介して接着することができる。
【0028】本発明においては、射出される樹脂により被覆される部分にあらかじめ加熱発泡性物質を接着した金属部材を、その一部が外部に露出するように金型内に設置し、金型内に加熱溶融した熱可塑性樹脂を射出する。これにより金属部材がその一部を外部に露出するようにインサートされた所望の形状の成形体が得られるが、このとき溶融樹脂の有する熱が加熱発泡性物質中の発泡剤を十分に分解することができれば、発泡性物質が発泡し、成形体の樹脂と金属部材との間の微細な隙間、特に金属部材の露出境界部における隙間が発泡体により密閉されて、気密性が確保される。射出成形は、通常の成形機を使用して常法に従い行うことができる。成形機としては、通常の射出成形機が使用される。成形温度(射出成形機の加熱筒の温度)は熱可塑性樹脂を溶融させ、かつ加熱発泡性物質を発泡させるに十分な温度であることが好ましい。例えば、サーモトロピック液晶樹脂の射出成形条件は、樹脂温度200〜420℃、金型温度60〜170℃、より好ましくは60〜130℃、射出圧力100〜3,000kg/cm2、射出速度5〜1,000mm/secの範囲から適宜に選択することができる。射出成形の後、常法によりこれを取り出せば本発明のインサート成形体が得られる。
【0029】なお、溶融射出される樹脂の熱による発泡が不十分な場合には、射出成形後に成形体を適宜の方法で再加熱することにより確実に発泡させることができる。このように発泡のため再加熱する際には、適宜の方法を採用することができるが、加熱発泡性物質自体あるいはその近辺を集中的に加熱する方法が好ましい。その方法として、強磁性物質を交流磁場内に置くとヒステリシス損やうず電流のために内部発熱する現象を利用する高周波誘導加熱方法が例示される。実際に使用する装置は、一般的には高周波発信器(マグネトロン)および加熱コイルからなるものである。また導波管やシールドされた容器の中で高周波を発生させるいわゆる電子レンジを利用することもできる。誘導加熱のための時間は、適宜に決定することができ、例えば1秒〜10分の範囲から選択することができる。
【0030】射出成形後の再加熱に際しては、再加熱による部品への悪影響を避けるために、加熱発泡性物質を集中的に加熱することが好ましい。このためには、加熱発泡性物質の中にあらかじめ金属の粉末や繊維あるいはフェライト等の誘導加熱され易い物質を分散させておくことが好ましい。また、インサート部材の材質として、誘導加熱され易い金属を用いると、誘導加熱に際し金属部材自体およびその近傍が集中的に加熱され、その結果、加熱発泡性物質が選択的に再加熱されるので好ましい。
【0031】上記の方法により、金属部材の一部が外部に露出するようにインサートされてなる樹脂成形体の成形において、金属部材と熱可塑性合成樹脂との間の微少な隙間が発泡体により充填され気密性が十分に保持されたインサート成形体を製造することができる。本発明のインサート成形体を半導体装置のパッケージなどの部品として用いることにより、インサート成形体内部の電子素子の水分等による性能低下を避けることができる。またインサート成形体の金属部材と熱可塑性樹脂との密着力が向上し、金属部材が抜け落ち難くなるため、電気電子部品以外でインサート成形体を用いる各種の機械部品等にも有効に応用することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。
<バブルリークテスト>溶剤を利用するパッケージ等の気密性を検査する試験方法である。ここでは、フッ素系溶剤(商品名:フロリナート FC−40、住友スリーエム(株)製)を135℃に加熱し、これに対象とするインサート成形されたパッケージを浸漬する。フレームと樹脂の間の気密が保たれていない場合には、加熱されて膨張したパッケージ内の空気が、フレームと樹脂の間隙から漏洩し、フロリナート中に気泡が発生する。従って、気泡の発生の有無によりパッケージの気密性の程度を判断することができる。通常リッドの隙間から漏洩することは少ない。
【0033】<実施例1>図2(a)は、本発明の樹脂成形体の例の平面図であり、図2(b)は図(a)のb−b線における縦断面図である。樹脂成形体8は、平面寸法5×4mm、厚み2mmの容器であり、内部に金属フレーム3として銅製のリードフレーム(幅0.7mm、厚み0.25mm)がインサート成形されている。加熱発泡性物質として、あらかじめ常法によりエチレン/アクリル酸金属塩系アイオノマー(融点96℃;商品名:ハイミラン1554、三井デユポンポリケミカル(株)製)100部に対し発泡剤としてアゾジカルボンアミド(発泡温度約200℃)を3.5部練り込んだ未発泡フィルム(厚み3μm)を用いた。成形に当たり、まず金属フレーム3の図2(a)の破線内部に未発泡フィルム9aをその接着性を利用して接着した。このフィルムを接着した金属フレームを成形用金型に設置し、射出成形機(商品名:SG−25、住友重機械工業(株)製)を用いて350℃の樹脂温度で熱可塑性樹脂を射出成形し、リードフレームがインサートされた樹脂成形体8を得た。この成形体については、フレームと樹脂部の境界にアイオノマーの発泡により生成した加熱発泡体9が若干露出するのが観察された。射出用の熱可塑性樹脂としては、4−ヒドロキシ安息香酸、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸およびイソフタル酸を主成分とするサーモトロピック液晶ポリエステル75重量%と、ガラス繊維25重量%とをあらかじめ溶融混練したものを用いた。なお、上記サーモトロピック液晶ポリエステルは、DSCによる融点が380℃であり、加熱溶融時に液晶性を示した。得られた成形体の上部に、図1と同様に、リッドとしてガラス板(図示せず)を市販のエポキシ接着剤により貼合してパッケージを得た。このパッケージについてバブルリークテストを行ったところ、気泡の発生は全く見られなかった。
【0034】<比較例1>リードフレーム上に加熱発泡性物質を貼合せず、それ以外は実施例1と同様にしてインサートインサート成形を行いパッケージを得た。得られたパッケージについて、バブルリークテストを行ったところ、フレームと樹脂との境界から気泡が激しく発生した。
【0035】<実施例2>熱可塑性合成樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹脂(商品名:ハウザーR1300、(株)クラレ製)を使用したほかは、実施例1と同様にして、260℃の温度でインサート成形を行った。得られたインサート成形体を、再加熱のために、電子レンジ(商品名:RE−HL10、シャープ(株)製)に入れて2分間誘導加熱した。その結果フレームと樹脂部の境界に、発泡したアイオノマーの若干露出するのが観察された。この成形体について、同様にバブルリークテストを行ったところ気泡の発生は見られなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、金属部材の一部が外部に露出するようにインサートした樹脂成形体において、金属部材と熱可塑性樹脂との間の微少な隙間に加熱発泡体が充填されているために気密性が十分高い。従って、本発明のインサート成形体は、半導体装置のパッケージなどの部品として用いた場合には、成形体内部の電子素子の水分等による性能低下を避けることができる。このため、本発明の成形体はIC、LSI、ダイオード、トランジスター、CCD、CPD、MOS等の半導体素子をはじめ各種の電気電子部品のパッケージとして用いることができる。また金属部材と熱可塑性合成樹脂との密着力も高くなり、金属部材が抜け落ち難くなるため、電気電子部品以外のインサート成形体を用いる各種の機械部品等にも利用することができる。




 

 


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