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発明の名称 ティグ溶接用オーステナイト系ステンレス鋼溶加材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−58189
公開日 平成10年(1998)3月3日
出願番号 特願平8−221041
出願日 平成8年(1996)8月22日
代理人
発明者 岡崎 司 / 平井 秀夫
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 軟鋼もしくはステンレス鋼を外皮とし、ワイヤ全重量に対して、フラックス成分としてFe、Cr、Ni、Mn、Mo、Nbまたはこれら2種以上の合金よりなる金属粉末を5.0〜30.0重量%を含有することを特徴とするティグ溶接用オーステナイト系ステンレス鋼溶加材。
【請求項2】 請求項1記載のフラックス成分に、さらに金属酸化物を0.01〜0.5重量%含有することを特徴とするティグ溶接用オーステナイト系ステンレス鋼溶加材。
【請求項3】 請求項1記載のフラックス成分に、さらに金属フツ化物を0.01〜0.3重量%含有することを特徴とするティグ溶接用オーステナイト系ステンレス鋼溶加材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ティグ溶接用の高温でのクリープ延性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼溶加材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にオーステナイト系ステンレス鋼はその優れた耐熱性、耐高温酸化性により500℃を超える高温で使用される構造材として、化学装置や発電装置などで幅広く使用されている。これらの機器では高温でのクリープ性能、特にクリープ延性や長時間使用後の衝撃靱性が要求されるが、溶接金属は母材と異なり鋳造組織であり、凝固時の割れを防ぐ目的で高温で脆化されやすいデルタフェライト組織を含むよう成分設計がなされているため、母材に比べ高温で使用中に脆化を受けやすく、このためクリープ延性や衝撃性能の優れた溶接材料の開発要求が高くなってきている。ティグ溶接は被覆アーク溶接等の消耗型電極による溶接方法に比べて能率は低いが、溶接金属の清浄度が高く、溶接欠陥の少ない高品位の溶接が可能であることから重要機器の溶接や厳しい環境にさらされる部分の溶接に使用されており、上述のような高温環境下で使用される機器の溶接にも広く使用されている。また、近年溶加材にワイヤを用い、これに電流を流しジュール発熱によりワイヤの溶融速度を高めた所謂ホットワイヤ方式の全自動溶接や半自動溶接も実用化されており、弱点であった能率の点でも改善が進み、その適応範囲も広がっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ティグ溶接による溶接金属は他の溶接方法に比べ溶接金属の酸素量が低く、靱性は優れているが高温でのクリープ性能、特に延性が被覆アーク溶接やミグ溶接による溶接金属に比べ劣っている。高温でのクリープ延性が低いことは、500〜800℃の高温環境で長時間使用される機器において、使用中に残留応力や熱応力により割れが発生しやすくなり、機器の寿命を縮めるとともに、機器の信頼性を低下させる。特にティグ溶接は機器の中の最重要部分、すなわち最も厳しい環境にさらされる部分の溶接に使用されることが多く、ティグ溶接による溶接金属のクリープ延性の低いことは大きな問題となる。本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消して、溶接金属の高温でのクリープ延性に優れ、かつ溶接作業性が良好なティグ溶接用溶加材を提供することにある。
【0004】本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、被覆アーク溶接やフラックス入りワイヤにおける溶接金属の酸素量とクリープ延性との関係、同一ワイヤを用いてのミグ溶接とテイグ溶接での溶接金属の酸素量とクリープ延性の違いなどから、高温でのクリープ延性を高めるためにはテイグ溶接での溶接金属に酸素を一定量、例えば、350〜1000PPM添加することが必要であるとの知見を得た。ティグ溶接による溶接金属に酸素を添加する方法としては、シールドガス中に酸素を混入させる方法が考えられるが、この場合、タングステン電極の消耗が激しく、また溶接条件やアーク長により溶接金属中の酸素量が一定とならないため実用には適さない。
【0005】そこで溶加材に酸素源となる金属紛末や金属酸化物を内包したフラックス入りワイヤを用いることにより、溶接金属に酸素を安定的に添加することが可能であり、またタングステン電極の消耗も防ぐことができる。すなわち、発明者らはティグ溶接において高温でのクリープ延性を高めるためには、溶接金属に特定の金属粉末を特定量添加して、酸素を一定量にすることにより解決できるとの知見を得て本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、軟鋼もしくはステンレス鋼を外皮とし、ワイヤ全重量に対して、フラックス成分として、Fe、Cr、Ni、Mn、Mo、Nbやこれら2種以上の合金よりなる金属粉末を5.0〜30.0重量%を含有することを特徴とすティグ溶接用オーステナイト系ステンレス鋼溶加材である。本発明の第2、第3は、フラックスに、さらに金属酸化物を0.01〜0.5重量%または金属フツ化物を0.01〜0.3重量%含有することを特徴とするティグ溶接用オーステナイト系ステンレス鋼溶加材である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使用する金属粉末は、Fe、Cr、Ni、Mn、Mo、Nbやこれら2種以上の合金、例えば、Fe−CrやSUS304などよりなり、その添加量はワイヤ全重量に対して、5.0〜30.0重量%含有する。5.0重量%未満では、金属表面の酸化物を溶接金属中にスラグ介在物の形で分散させクリープ延性を増加させることができない。また、30.0重量%を超えると溶接金属中の酸素量が増加しすぎ、クリープ強度や靱性を低下させるため好ましくない。なお、金属粉末の粒度は1μm〜1000μm程度が好ましい。溶接金属の酸素含量と高温でのクリープ延性との関係において、金属粉末を5.0〜30.0重量%添加することにより、溶接金属の酸素含量が0.035〜0.10重量%になり、ティグ溶接において高温でのクリープ延性がよくなる。
【0008】本発明で使用する金属酸化物として、例えば、TiO2、ZrO2、K2O、Na2O、Ca0、Li2O、MgO、AL23、Fe23、SiO2等とこれらの2種以上の化合物をあげることができ、具体的な原料としては、ルチル(TiO2)、ジルコサンド(ZrO2、SiO2)、珪灰石(Ca0、SiO2)、カリ長石(K2O、AL23、SiO2)、イルミナイト(TiO2、Fe23)等であり、その添加量はワイヤ全重量に対して、0.01〜0.50重量%添加する。添加することにより溶接金属中の酸素量を増加し、クリープ延性を高めることができる。しかし、0.01重量%未満では酸素量増加の効果が少なく、0.50重量%を超えると溶接ビード表面に多量のスラグを発生させ、溶接金属のなじみ性を悪くさせるとともに多層溶接に際してスラグ巻込みの発生を招くため好ましくない。なお、金属酸化物の粒度は1μm〜1000μm程度が好ましい。
【0009】本発明で使用する金属フツ化物は、添加することによりこれらの化合物が溶融金属の表面張力を低下させ溶融池の母材へのなじみを良くするすることができ多層溶接に際し作業性を向上させる。金属フツ化物として、例えば、CaF2、NaF、LiF、MgF2、MnF等とこれら2種以上の化合物をあげることができ、具体的な原料としては、ホタル石(CaF2)、フツ化ソーダ(NaF)、フツ化リチウム(LiF)等であり、その添加量はワイヤ全重量に対して、0.01〜0.30重量%添加する。0.01重量%未満では母材へのなじみや作業性向上の効果が少ない。0.30重量%を超えるとスラグが多くなり、溶接ビード表面に付着し多層溶接に際し、スラグ巻き込みなどの欠陥発生の原因となるので好ましくない。なお、金属フツ化物の粒度は1μm〜1000μm程度が好ましい。また、金属粉末に金属酸化物および金属フツ化物を添加することもできる。
【0010】
【作用】通常のティグ溶接による溶接金属の酸素量では、結晶粒内に酸化物よりなる介在物がほとんど存在せず、クリープ変形中に結晶粒内は強化され、クリープ変形による歪は、結晶粒界や粒界の3重点に集積し、破断は結晶粒界破壊が主となり、クリープ延性は低下する。溶接金属への酸素の添加は適度な大きさの酸化物よりなる介在物を結晶粒内に分散させ、クリープ変形中の結晶粒内の強化を抑制し、結晶粒界や粒界の3重点へのクリープ変形による歪み集積を抑制することにより、クリープ延性を増加させる。しかし、酸素量が増加しすぎた場合には、クリープ強度が低下し、低温での靱性も低下するため、溶接金属中の酸素量を調整することが必要となる。また、酸素を添加した場合、ティグ溶接時に発生するスラグによる溶接金属のなじみ性の劣化は、スラグ量(酸素量)を制御することにより、スラグ巻き込みや融合不良などの欠陥を発生せず、連続多層溶接性に優れた500〜800℃の高温でのクリープ延性がよい高能率の溶接が可能となる。
【0011】
【実施例】
実施例1表1に示す成分組成で残部がFeであるステンレス鋼からなる外皮用帯鋼(ストリップ材:0.25mm厚×8mm幅)に、表2に示す金属粉末であるFe−Cr合金(粒径:10μm〜100μm)1.5重量%、SUS304(粒径:10μm〜100μm)3.80重量%を添加した成分組成のフラックスを内包し、直径1.2mmに仕上げ伸線したステンレス鋼溶加材である試作ワイヤを製作した。表3にワイヤを用いてティグ溶接して得られた溶接金属の化学成分を示す。酸素量は0.046重量%であった。つぎにこのワイヤを用い、連続多層溶接性試験をおこなった。溶接用母材として100mm×250mm長×20mm厚さのSUS304の開先(角度30度)内を、全自動ティグ溶接で突合せ溶接を行った。溶接部は放射線透過試験により溶接欠陥の有無を確認した。溶接条件は、電流200A、電圧18Vでワイヤ供給量を10g/minとし、シールガスに100%Arを用い、流量は20 l/minとした。放射線透過試験はJIS Z 3106「ステンレス鋼溶接部の放射線透過試験法」により行い、その結果を表4に示した。クリープ破断試験は、JIS Z 2272「金属材料のクリープ破断試験法」により行った。条件は前記のSUS304の突合せ溶接部より採取した試験片により、試験温度を700℃、負荷応力は98N/mm2と78N/mm2として破断時間と破断伸びとの関係を測定した。このクリープ破断試験の結果を表4に示す。
【0012】
【表1】

【0013】
【表2】

【0014】
【表3】

【0015】
【表4】

【0016】実施例2〜10、比較例1〜4実施例1に準じて、表1に示す成分組成のステンレス鋼からなる外皮用帯鋼に表2に示す各々の成分組成のフラックスを内包し、直径1.2mmに仕上げ伸線した実施例2〜10および比較例1〜4のステンレス鋼溶加材である試作ワイヤを製作した。表3に各試作ワイヤを用いてティグ溶接して得られた全ワイヤの溶接金属の化学成分を示す。実施例1と同様にして、これらの各ワイヤの溶接金属について、放射線透過試験およびクリープ破断試験を行い、これらのクリープ破断試験の試験結果を表4に示す。
【0017】表4より、本発明のティグ溶接用オーステナイト系ステンレス鋼溶加材である実施例1〜実施例10はいずれも良好な連続多層溶接性とクリープ延性を示している。特に金属フツ化物を加えた実施例8〜実施例10は溶接金属の母材へのなじみが良かった。これに対し、比較例1は溶接金属の酸素含量が低くクリープ強度は高いがクリープ伸びは低く、比較例2は溶接金属の酸素含量が高くクリープ伸びは大きいがクリープ強度が低い。また、比較例3は金属酸化物が多く、また、比較例4は金属フツ化物が多くて溶接のビード表面でのスラグの発生量が多すぎてスラグ巻込みが発生した。
【0018】
【発明の効果】ステンレス鋼のティグ溶接において、NiやCrなどの金属紛、TiO2やSiO2などの金属酸化物、CaF2やNaFなどの金属フツ化物を含有した各フラックス入り溶加材により、溶接金属中の酸素量を調整することにより高温でのクリープ延性を向上させることができる。




 

 


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