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発明の名称 ワイヤカット放電加工装置のワイヤ電極処理方法と装置及びワイヤカット放電加工装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−277844
公開日 平成10年(1998)10月20日
出願番号 特願平9−94425
出願日 平成9年(1997)3月31日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】高野 昌俊
発明者 松本 洋 / 佐野 定男
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ワイヤカット放電加工装置から排出される使用済みワイヤ電極を細断処理するための処理方法であって、前記ワイヤ電極の送り方向と同方向へ相互に噛み合いながら回転している駆動歯車と従動歯車との噛み合い部分に前記ワイヤ電極を挟み込んで、前記ワイヤ電極を前記駆動歯車の駆動歯と前記従動歯車の従動歯とにより挟持して拘束し、前記駆動歯と従動歯とによる前記ワイヤ電極の拘束状態が保持されている間に前記従動歯の次の従動歯の歯先に前記ワイヤ電極を係止させることにより相隣る一対の従動歯間に前記ワイヤ電極を拘束し、一対の従動歯間に拘束された前記ワイヤ電極部分を前記駆動歯車の次の駆動歯によって前記従動歯車の方向に押し付けることにより前記ワイヤ電極を引っ張り力で破断させて切断することを前記駆動歯車の回転により順次実行してワイヤ電極を細断処理するようにしたことを特徴とするワイヤカット放電加工装置のワイヤ電極処理方法。
【請求項2】 ワイヤカット放電加工装置から排出される使用済みワイヤ電極を細断処理するための処理装置であって、前記ワイヤカット放電加工装置のワイヤ排出部から送り出されるワイヤの走行経路に沿って配置された駆動歯車と、該駆動歯車に対して相対的に転位自在に設けられ該駆動歯車に噛み合う従動歯車と、該従動歯車が前記駆動歯車と所要の噛み合い状態となるよう該従動歯車を前記駆動歯車に押圧するための押圧力付与手段と、前記ワイヤ排出部からの前記ワイヤ電極の排出速度以上の周速になるように前記駆動歯車を回転駆動するための駆動手段とを備え、前記駆動歯車と前記従動歯車との間に挟み込まれたワイヤ電極の一部を相隣る一対の従動歯間に拘束し、拘束された前記ワイヤ電極部分を、前記駆動歯車の駆動歯によって前記従動歯車の方向に押し付けることを前記駆動歯車の回転により実行して前記ワイヤ電極を引っ張り力で破断させて切断するようにしたことを特徴とするワイヤカット放電加工装置のワイヤ電極処理装置。
【請求項3】 使用済みのワイヤ電極を排出するためのワイヤ排出部と、該ワイヤ排出部から送り出されたワイヤ電極を細断処理するための処理装置とを備えて成るワイヤカット放電加工装置において、前記処理装置が、前記ワイヤカット放電加工装置のワイヤ排出部から送り出されるワイヤの走行経路に沿って配置された駆動歯車と、該駆動歯車に対して相対的に転位自在に設けられ該駆動歯車に噛み合う従動歯車と、該従動歯車が前記駆動歯車と所要の噛み合い状態となるよう該従動歯車を前記駆動歯車に押圧するための押圧力付与手段と、前記ワイヤ排出部からの前記ワイヤ電極の排出速度以上の周速になるように前記駆動歯車を回転駆動するための駆動手段とを備え、前記駆動歯車と前記従動歯車との間に挟み込まれたワイヤ電極の一部を相隣る一対の従動歯間に拘束し、拘束された前記ワイヤ電極部分を、前記駆動歯車の駆動歯によって前記従動歯車の方向に押し付けることを前記駆動歯車の回転により実行して前記ワイヤ電極を引っ張り力で破断させて切断するようにしたことを特徴とするワイヤカット放電加工装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はワイヤカット放電加工装置で使用したワイヤ電極(以下、ワイヤと言う用語をワイヤ電極の意味で適宜に用いる)の処理方法と装置及びワイヤカット放電加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤカット放電加工機において被加工物を加工するのに使用した使用済みワイヤを回収する方法として、使用済みワイヤをワイヤボビンに巻き取っていく方式、ワイヤ巻取装置から排出された使用済みワイヤを大型の箱状容器に送り込みそのまま該箱内に回収する方式、或いは使用済みのワイヤを巻取装置から出たところで細片に切断して収容容器に回収する方式(特公昭61−53170号公報参照)等が公知である。
【0003】ところで、近年、ワイヤカット放電加工を長時間ワイヤ交換せずに自動運転するためワイヤ供給ボビンが5Kgから10Kgさらに50Kg巻というように大型化する傾向にある。したがって、回収された使用済みのワイヤを箱状の回収箱で回収すると大きな回収箱が必要になるか、あるいは頻繁に回収ワイヤの除去が必要になる。そこで、回収箱の容量を小さいもので済ませるため、特公昭61−53170号公報あるいは実公平2−15825号公報等に開示されているようなワイヤ切断装置を用い、使用済みのワイヤを小さい断片に切断して回収する方式が採用されている。
【0004】特公昭61−53170号公報に開示されているワイヤの細断機構は、放電後のワイヤを切断する切断刃をその全周に等ピッチで設けた歯車状カッタと、このカッタと被切断ワイヤ径より定まるある間隔を保持して設置され、ワイヤの切断時にワイヤを緊張状態にするための前記切断刃と等ピッチの突起をその全周に有したローラと、上記カッタ及びローラの両者をワイヤの送り方向と同方向へ同調して回転駆動させる駆動機構を備え、放電後のワイヤを上記カッタとローラの間に送り込んで、ワイヤを緊張させた状態で切断するようにしたものである。すなわちこの従来装置では、突起と切断刃との間の隙間にワイヤを拘束して緊張状態とし、この緊張状態にあるワイヤを切断刃の消耗のない刃先部で剪断する構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、この従来装置を用いる場合には、切断刃の刃先の形状及びワイヤの形状により切断特性が大きく影響を受けることとなるから、例えば刃先が摩耗により丸くなったり、ワイヤカット放電加工領域でのワイヤの消耗の度合いや消耗方向が変化すると切断不良が生じることになる。このため、切断刃の交換や位置調整を頻繁に行うことが必要であり、保守のための費用が嵩むという問題点を有している。
【0006】本発明の目的は、切断すべきワイヤの径や材質及び切断のための突起の歯先の形状が消耗により変化しても微調整が不要で、且つ消耗により歯先の形状が変化しても切断性能の低下なしにワイヤ切断処理を長期にわたって安定して行えるワイヤ切断方法及び装置並びにワイヤカット放電加工装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するための請求項1の発明の特徴は、ワイヤカット放電加工装置から排出される使用済みワイヤ電極を細断処理するための処理方法であって、前記ワイヤ電極の送り方向と同方向へ相互に噛み合いながら回転している駆動歯車と従動歯車との噛み合い部分に前記ワイヤ電極を挟み込んで、前記ワイヤ電極を前記駆動歯車の駆動歯と前記従動歯車の従動歯とにより挟持して拘束し、前記駆動歯と従動歯とによる前記ワイヤ電極の拘束状態が保持されている間に前記従動歯の次の従動歯の歯先に前記ワイヤ電極を係止させることにより相隣る一対の従動歯間に前記ワイヤ電極を拘束し、一対の従動歯間に拘束された前記ワイヤ電極部分を前記駆動歯車の次の駆動歯によって前記従動歯車の方向に押し付けることにより前記ワイヤ電極を引っ張り力で破断させて切断することを前記駆動歯車の回転により順次実行してワイヤ電極を細断処理するようにした点に特徴を有する。
【0008】請求項2の発明の特徴は、ワイヤカット放電加工装置から排出される使用済みワイヤ電極を細断処理するための処理装置であって、前記ワイヤカット放電加工装置のワイヤ排出部から送り出されるワイヤの走行経路に沿って配置された駆動歯車と、該駆動歯車に対して相対的に転位自在に設けられ該駆動歯車に噛み合う従動歯車と、該従動歯車が前記駆動歯車と所要の噛み合い状態となるよう該従動歯車を前記駆動歯車に押圧するための押圧力付与手段と、前記ワイヤ排出部からの前記ワイヤ電極の排出速度以上の周速になるように前記駆動歯車を回転駆動するための駆動手段とを備え、前記駆動歯車と前記従動歯車との間に挟み込まれたワイヤ電極の一部を相隣る一対の従動歯間に拘束し、拘束された前記ワイヤ電極部分を、前記駆動歯車の駆動歯によって前記従動歯車の方向に押し付けることを前記駆動歯車の回転により実行して前記ワイヤ電極を引っ張り力で破断させて切断するようにした点にある。
【0009】駆動手段によって駆動歯車が回転せしめられると、これに伴って従動歯車も回転し、ワイヤ電極が駆動歯車と従動歯車との間に挟み込まれる。挟み込まれたワイヤ電極は、前記駆動歯車の駆動歯と前記従動歯車の従動歯とにより挟持されて拘束される。前記駆動歯と従動歯とによる前記ワイヤ電極の拘束状態が保持されている間に従動歯車が回転し、前記従動歯の次の従動歯の歯先に前記ワイヤ電極が係止し、相隣る一対の従動歯車にワイヤ電極が拘束された状態となる。このようにして相隣る一対の従動歯車に拘束された部分のワイヤ電極は両歯車のさらなる回転に伴い駆動歯車の次の駆動歯によって従動歯車の方向に押し付けられ、これによりワイヤ電極が引っ張り力を受けて破断に至る。この破断が駆動歯車と従動歯車との回転により順次実行され、ワイヤ電極が細断処理される。
【0010】請求項3の発明の特徴は、使用済みのワイヤ電極を排出するためのワイヤ排出部と、該ワイヤ排出部から送り出されたワイヤ電極を細断処理するための処理装置とを備えて成るワイヤカット放電加工装置において、前記処理装置が、前記ワイヤカット放電加工装置のワイヤ排出部から送り出されるワイヤの走行経路に沿って配置された駆動歯車と、該駆動歯車に対して相対的に転位自在に設けられ該駆動歯車に噛み合う従動歯車と、該従動歯車が前記駆動歯車と所要の噛み合い状態となるよう該従動歯車を前記駆動歯車に押圧するための押圧力付与手段と、前記ワイヤ排出部からの前記ワイヤ電極の排出速度以上の周速になるように前記駆動歯車を回転駆動するための駆動手段とを備え、前記駆動歯車と前記従動歯車との間に挟み込まれたワイヤ電極の一部を相隣る一対の従動歯間に拘束し、拘束された前記ワイヤ電極部分を、前記駆動歯車の駆動歯によって前記従動歯車の方向に押し付けることを前記駆動歯車の回転により実行して前記ワイヤ電極を引っ張り力で破断させて切断するようにした点にある。
【0011】ワイヤ排出部から送り出されたワイヤ電極は、処理装置に送られ、ここで、駆動歯車と従動歯車との間に挟み込まれる。この結果、従動歯車の相隣る一対の従動歯間にワイヤ電極が滑らないように係止される。駆動歯車が回転するにつれて、この一対の従動歯間に係止されて拘束されているワイヤ電極が対応する駆動歯により従動歯車の方向に押し付けられてこの部分のワイヤ電極に引っ張り力が働き、これによりワイヤ電極が破断し、切断される。この破断によるワイヤ電極の切断が歯車の回転に伴って順次実行され、ワイヤ電極が細断される。細断されたワイヤ電極はそのまま適宜の回収箱に落とし込んでもよいし、加工液と共にパイプ状の部材を通してワイヤカット放電加工装置の外部に導き出し、適宜のフィルタ手段によって細断されたワイヤ電極と加工液とを分離し、細断されたワイヤ電極を回収するようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。図1は、本発明によるワイヤカット放電加工装置の全体構成図である。ワイヤカット放電加工装置1は、本体2と、使用済みワイヤ電極を細断処理するためのワイヤ処理装置3とを備え、本体2には図示しない加工用電源装置から加工用パルス電圧が供給されている。本体2のワイヤ供給ボビン4にはワイヤ電極5が巻回されており、このワイヤ電極5はプーリー6a、テンション装置7、プーリー6bを介して自動結線装置8に繰り出された後、ワイヤガイド装置9に送られる。ワイヤガイド装置9は、所定間隔を有する一対の上ワイヤガイド部9a及び下ワイヤガイド部9bで成り、被加工物Wはこれら上ワイヤガイド部9aと下ワイヤガイド部9bとの間のワイヤカット放電加工領域でワイヤ電極5により放電加工される。テンション装置7は、一対のワイヤガイド部9a、9b間のワイヤ電極5に所要のテンションを与えるためのものであり、複数のプーリー7a,7b間にワイヤ電極5をたすき状に掛け、また、プーリー7aにピンチローラ7cが接し、ワイヤ電極5にテンションが与えられる公知の構成となっている。
【0013】ワイヤガイド装置9を通過した使用済みのワイヤ電極5はワイヤ排出部10から排出される。このワイヤ排出部10は、駆動側の排出ローラ10aと、排出ローラ10aの周面に圧接する従動側の排出ローラ10bと、駆動側の排出ローラ10aを回転駆動する駆動モータ10cとから成り、ワイヤガイド装置9部分で放電加工に使用した後の使用済みのワイヤ電極5を順次引き取ってワイヤ処理装置3に向けて送出させる。ここで本体2は公知の構成のものであるから、本体2の構成についてのこれ以上の詳しい説明は省略する。ワイヤ処理装置3は、枠体3a内に設けられた駆動歯車12とこれに噛み合う従動歯車13とを有し、駆動歯車12の回転に伴って、駆動歯車12と従動歯車13との間に挟み込まれた使用済みのワイヤ電極5を細断してチップ状の細断片5aとし、チップ状の細断片5aを回収箱19内に回収する構成となっている。
【0014】図2は、ワイヤ処理装置3の詳細構成を示す斜視図である。ワイヤ排出部10から排出されるワイヤ電極5の排出側近傍(図中直下位置)には、このワイヤ電極5の走行経路に沿って駆動歯車12、及びこれと噛み合う従動歯車13が配置されており、ワイヤ電極5はこれら一対の駆動歯車12、従動歯車13に挟み込まれて後述する手順で細断処理される。
【0015】駆動歯車12が固定されている回転軸12aの両端は一対の回転軸受け12b、12bにより回転可能に軸支されており、排出ローラ10aの駆動モータ10cを回転駆動源として回転力伝達機構14を介して回転駆動される。回転軸受け12bは外周部が処理装置3の枠体3aに固定され、内周部が回転軸12aに固定されている。回転力伝達機構14は、排出ローラ10aの回転軸10aa,駆動歯車12の回転軸12aにそれぞれ固定されたタイミングプーリー14a,14bと、これらタイミングプーリー14a,14b間に架け渡されたタイミングベルト14cとで構成されており、駆動モータ10cの回転駆動力を駆動歯車12に伝達させる。この実施の形態では、ワイヤ処理装置3を構成する駆動歯車12、従動歯車13の駆動手段は、前記駆動モータ10c及び回転力伝達機構14によって構成されている。
【0016】従動歯車13は内部に設けられた回転軸受け13aを介して支持軸13bに対し回転可能に軸支されており、駆動歯車12に噛み合いこの駆動歯車12に対し相対的に転位自在とされている。支持軸13bの両端はそれぞれ枠体3aに開口された一対の長溝3b,3b間に連設されており、この支持軸13bはこの長溝3bの形成方向(駆動歯車12の方向)に沿ってスライド自在になっている。また、長溝3bは、もっとも駆動歯車12側に従動歯車13がスライドした時、従動歯車13の歯先と駆動歯車12の歯底間距離が略零となるよう形成されている。この従動歯車13は押圧力付与機構17によって、駆動歯車12の方向に常時押圧されている。
【0017】押圧力付与機構17は弾性部材であるコイルスプリング17aを有しており、長溝3b内の支持軸13bを駆動歯車12方向に押圧させる力はコイルスプリング17aの弾性力を用いている。このコイルスプリング17aは枠体3a内で長溝3bの形成方向(駆動歯車12の方向)に向いて形成された連通溝3c内部に収容されている。
【0018】連通溝3cは、他端が枠体3aの側面端部位置とされ外部に開口されており、この連通溝3cの開口部にはコイルスプリング17aを押圧する押圧用ピン17bが挿入される。押圧ピン17bは枠体3aに固定される固定部材17cによって抜け止めされている。固定部材17cには連通溝3cの位置に対応してねじ穴17dが形成され調整ねじ17eが回転調整可能に設けられており、調整ねじ17eのねじ込み量を調整することにより、押圧ピン17bを介してコイルスプリング17aの弾性力が可変され、従動歯車13の駆動歯車12方向に対する噛み合い力を微調整できるようになっている。
【0019】また、従動歯車13がコイルスプリング17aによって駆動歯車12の方向に押圧されているので、駆動歯車12,従動歯車13間に異なる径のワイヤ電極5が入ってきた場合、例えば、放電加工領域でのワイヤ電極5の消耗度合いや消耗方向が変化した場合であっても、従動歯車13がこの径の変化に対応して駆動歯車12に対しスライドしてこれら異なる径のワイヤ電極5のいずれも同様な力で挟持できるようになっている。本発明者らの実験では、直径0.2mmの硬質ワイヤ電極を細断する場合において、コイルスプリング17a1個当り約2Kgの付勢力にて良好にワイヤ電極が細断されることを確認した。
【0020】駆動歯車12及び従動歯車13の各周面には、後述する所定の噛み合い状態となるような複数の駆動歯12d、従動歯13dがそれぞれ形成されている。駆動歯車12及び従動歯車13は、いずれもワイヤ電極5を細断させるために硬度が高く耐磨耗性に優れた材質のものが用いられる。例えば、高速度鋼、超硬合金、サーメット(TiC粉末にMo−Ni合金粉末を焼結物等)セラミック(ジルコニア、ZrO2 、窒化珪素Si3 4 )等が用いられる。また、これら駆動歯車12、従動歯車13は、同じモジユール(ピッチ円直径/歯数)を用いることが好ましく、ワイヤ電極5を挟んでいない状態でアンダーカット(切り下げ)を起こさない関係となるような圧力角の範囲と歯数を選択すればよい。また、歯の谷側の開き角が歯先角の角度より大きく形成されることも好ましい。なお、三角歯に限定されるものではない。
【0021】これら駆動歯車12、従動歯車13の周速は、上記排出ローラ10a,10bから排出されるワイヤ電極5の排出速度以上の周速となるように設定される。この設定は、駆動歯車12、従動歯車13の径を適宜変更したものを用いたり、回転力伝達機構14のギヤ比を可変して得られる。
【0022】次に、上記構成によるワイヤ処理装置3の細断動作を図3乃至図9の各工程図に従い順に説明する。駆動歯車12の駆動歯12dと従動歯車13の従動歯13dは相互に噛み合い、ワイヤ排出部10から排出されるワイヤ電極5の送り方向と同方向に回転している。
【0023】そして、図3に示すように、駆動歯車12と従動歯車13との噛み合い部分にワイヤ電極5が挟み込まれると、ワイヤ電極5の先端はこれら駆動歯車12,従動歯車13間に入っていく。この後、駆動歯車12,従動歯車13が回転することにより、図4に示す如く駆動歯車12の駆動歯12dと従動歯車13の従動歯13dとの両歯面によりこのワイヤ電極5が挟持されて拘束される。この時従動歯車13はワイヤ電極5を挟持した分だけ転位する。
【0024】この後、図5に示すように駆動歯12dと従動歯13dとによるワイヤ電極5の拘束状態が図中A,B点間で保持されたまま駆動歯車12と従動歯車13とがさらに回転する。排出ローラ10a,10bの周速は、上述の如く駆動歯車12及び従動歯車13の各周速より遅く設定されているため、ワイヤ電極5はこれら排出ローラ10a,10bと、駆動歯車12,従動歯車13との間で緊張力が高められていく。
【0025】この緊張力が高められた状態で従動歯車13の次の従動歯13eの歯先(図中D点)にワイヤ電極5が係止される。このようにして、ワイヤ電極5の一部は相隣る一対の従動歯13d,13e間(図中B,D間)に上記緊張状態のまま拘束されることになる。この後、駆動歯車12及び従動歯車13の更なる回転により従動歯13d,13e間に上述の如く拘束された前記ワイヤ電極5部分は、駆動歯車12の次の駆動歯12eによって従動歯車13の方向に徐々に押し付けられる(図中C点)。
【0026】緊張状態で拘束された(図中B,D間の)ワイヤ電極5は抗張力を越えた時点で破断される(図6参照)。この破断により切断されて得られた細断片5aは、駆動歯車12、従動歯車13の駆動歯12d、従動歯13dでの拘束状態に対応して略L字型となり、1つの駆動歯12dに沿った程度に小さく細断される。
【0027】駆動歯車12と従動歯車13は連続する回転により上記ワイヤ電極5を順次細断していく。この状態は図7乃至図9に示されているが、ワイヤ電極5は駆動歯車12、従動歯車13の駆動歯12d、従動歯13dの1つの歯分回転する毎に細断片5aとして細断化される。細断片5aは、図8の下部に設けられる回収箱19(図1参照)にそのまま落とし込まれる。
【0028】細断された使用済みのワイヤ電極5の他の回収手段としては、細断片5aを加工タンク内に落とし込んだ後、加工液と共にパルプ状の部材を通してワイヤカット放電加工装置の外部に導き出し、適宜のフィルタ手段によって細断片5aと加工液とを分離し、細断片5aを回収するようにしてもよい。
【0029】図10は、駆動歯車12及び従動歯車13の各歯先の消耗状態を示す部分拡大の斜視図である。駆動歯車12の駆動歯12d、及び従動歯車13の従動歯13dは上記細断処理を継続していくと経時的に歯の先端部が消耗される。特に、ワイヤ電極5に接する箇所部分には図示のような凹状の接触跡12f(13f)が形成されていく。
【0030】図11(a),(b)はそれぞれ消耗度合別に歯先を拡大した側面図である。同図(a)に示すように消耗なしの状態では、駆動歯12d、従動歯13dの先端がいずれも消耗のない状態にあるものの、経時的な使用で同図(b)のように駆動歯12d、従動歯13dの先端は鈍角になっていき、ワイヤ電極5は接触跡12f(13f)部分に埋もれていく。
【0031】しかしながら、本発明によるワイヤ処理装置3は、駆動歯車12の駆動歯12d及び従動歯車13の従動歯13dの歯先が上述の如く磨耗しても、ワイヤ電極を安定に切断することができる構成とされている。即ち、上述したように、本発明ではワイヤ電極5を一方の歯車の相隣る一対の歯で拘束し、他の歯車の回転に伴う歯の移動により、この拘束された部分を他の歯車の対応する歯によって前記一方の歯車方向に押しつけることで、抗張力以上(一般に市販されているハードワイヤ電極ののび率は約3%以下)の張力を部分的に掛けてこのワイヤ電極5を引っ張り力で破断し細断片5aにする方法を用いている。このように、これら駆動歯車12,従動歯車13はワイヤ電極5を拘束して回転運動により引っ張るためのものとされており、また、従動歯車13は押圧力付与機構17により常時駆動歯車12に押し付けられている構成となっているので、歯先が大きく磨耗した場合、及びワイヤ放電加工領域通過後に消耗して径が変化したワイヤ電極5が入ってきた場合、及び同消耗方向が変化した場合、及びワイヤ電極5の材質が変更された場合等のいずれの状態においても駆動歯13dは、先端部以外の部分で緊張状態のワイヤ電極5を係止して破断させることができるようになっており、駆動歯車12と従動歯車13の間でワイヤ電極5を挟持できなくなるまで、長期間安定した細断処理が可能となっている。
【0032】図12は、上記構成のワイヤ処理装置3の他の実施の形態を示す側面図である。 前述したような駆動歯車12,従動歯車13に形成される接触跡12f(13f)は、ワイヤ電極5が同一箇所に接することで形成されていく。このため、この実施の形態では、駆動歯車12,従動歯車13に対するワイヤ電極5の接触位置をワイヤ位置調整機構20で移動させて接触跡12f(13f)が形成された箇所以外の部分にワイヤ電極5を接触させる構成とされている。
【0033】具体的には、排出ローラ10a,10bと、駆動歯車12,従動歯車13との間にワイヤ電極5の進路を案内する位置調整具21を配置させる。位置調整具21はロート状に形成され駆動歯車12,従動歯車13側の開口部が小径に形成されている。本体2の側壁Mに取付けられた装置の枠体3aには支持台23が固設されており、位置調整具21は移動板22を介して支持台23に対し移動自在に設けられている。移動板22には、駆動歯車12,従動歯車13の軸方向に沿って長溝22aが開口形成され、移動板22は支持台23に対してこの長溝22aに挿通された調整ねじ24で固定されている。そして、調整ねじ24を緩め移動板22を図中矢印方向に移動させることにより位置調整具21内を貫通するワイヤ電極5の排出位置を同矢印方向に移動して、駆動歯車12,従動歯車13に対するこのワイヤ電極5の接触位置を軸方向に可変させることができる。
【0034】これにより、駆動歯車12,従動歯車13に接触跡12f(13f)が形成された箇所以外の部分にワイヤ電極5を接触させれば、図11(a)に示した初期時と同様に、駆動歯12d、従動歯13dの消耗のない歯先箇所を利用してワイヤ電極5を細断処理できるようになる。また、位置調整具21内を貫通するワイヤ電極5と駆動歯車12、従動歯車13との相対位置をずらす方法として、位置調整具21を固定してワイヤ処理装置3全体を移動させる方法でもよい。上記説明では、接触跡12f(13f)が形成された後にこの接触跡12f(13f)を避けるよう位置調整具21を移動させる構成としたが、所定の期間毎に位置調整具21を随時移動調整すれば、接触跡12f(13f)そのものが形成されないようにすることもできる。また、図示したように、駆動歯車12の回転軸12aを直接駆動モータ10cで回転させる構成としてもよい。この構成では排出ローラ10a,10b側に前述したような回転力伝達機構14を介して回転駆動力を伝達させる構成とする他、排出ローラ10a,10bと駆動歯車12を別の駆動系としてもよい。
【0035】図13に示すのは、ワイヤ処理装置3を下ワイヤガイド部9bの近傍に配置した構成例である。下ワイヤガイド部9bから出たワイヤ電極5はその直下に配置されたワイヤ排出部10の一部の排出ローラ10a,10b及びワイヤ位置調整機構20の位置調整具21を介してワイヤ処理装置3に送られ、細断されたワイヤ電極5の細断片5aはロート状の排出口部材25に導かれて外部に排出される。この実施の形態では、下ワイヤガイド部9bの直下に排出ローラ10a、10bを配置し、さらにその近傍にワイヤ処理装置3を配置させたので、下ワイヤガイド部9bを通過したワイヤ電極5を排出部へ搬送する経路が最短となるため、自動結線装置8を動作させて結線する作業が短時間ですみ結線成功率の向上も望める。
【0036】上記各実施の形態で説明したワイヤ処理装置3の配置位置は、ワイヤ排出部10の直下に位置しているがこれに限られることはない。既存装置に取り付けた場合、ワイヤ電極5の最終巻取り装置の次に位置させればよい。
【0037】上記構成によるワイヤ処理装置3によれば、使用済みのワイヤ電極5の回収能力を大幅に向上させることができた。本発明のワイヤ処理装置3によれば回収箱19に回収されたワイヤ電極5の細断片5aの体積密度は2.8g/cm3 となった。これは従来装置のように切断せず垂れ流し式で回収箱へ排出する場合と比較すると約5倍の密度で回収できるものである。また、ワイヤ処理装置3の駆動歯車12と従動歯車13の歯数にもよるが、直径約50mmの径で歯車の厚さ20mm、歯数を50とした場合における実験では、数年の寿命が予想されている。なお、本発明の装置では、従来のカッターと他の部材間にワイヤ電極を挟んで切断する方式を採用していないので、切断音も極めて小さいことが確認されている。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、ワイヤ電極を一方の歯車の相隣る一対の歯で拘束しこの拘束された部分を他方の歯車の対応する歯によって一方の歯車方向に押しつけることでこのワイヤ電極を引っ張力で破断する構成であるため、歯車の歯先の磨耗にかかわらず、また、ワイヤカット放電加工領域でのワイヤ電極の消耗度合いや消耗方向が変化した場合であっても微調整が不要で切断特性が低下することなく細断処理を長期にわたり安定して行えるようになる。また、使用済みのワイヤ電極を細断した後の細断片の形状が歯車の1つの歯先に沿った程度に小さくできるため、細断片を積載したときの体積密度を従来に比して格段に高密度化できるようになる。これにより、回収箱を用いた回収においてはこの回収箱が小さくても多量のワイヤ電極を回収できるようになり、ワイヤ処理装置を小型化でき、このワイヤ処理装置を有するワイヤカット放電加工装置の設置スペースも小さくできる。あわせて使用済みのワイヤ電極の回収作業を頻繁に行う必要がなく回収サイクルを長期化できる。さらに、細断片はL字形状となっているので手に刺さりにくく、廃棄作業を安全かつ容易に行えるようになる。




 

 


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