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発明の名称 放電加工用加工液の良否を検査する方法及び装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−15737
公開日 平成10年(1998)1月20日
出願番号 特願平8−192853
出願日 平成8年(1996)7月3日
代理人
発明者 豊永 竜生 / 南川 真輝
要約 目的
放電加工に用いる加工液の良否を簡単な構成で定量的に的確且つ容易に検査すること、又、延いては粉末混入加工液による鏡面仕上げ加工を信頼性良く安定して行ない得るようにすること。

構成
2個の電極を所定距離離隔させて一体に形成した検査用電極を用い、パルス電源装置の一方の極を通電線を介して第3の電極に接続すると共に他方の極を通電線を分岐した2本の分岐通電線を介して前記2個の電極に夫々接続し、電源装置から間歇的な電圧パルスを繰返し供給して繰返し放電を発生させ、前記2本の分岐通電線の夫々を流れる電流値から前記2個の電極の内のどちらの電極で放電が発生したかを判別検知し、放電発生電極が一方の電極から他方の電極に、又はその逆に代った回数の全放電発生回数に対する比率(放電点分散率)を求めて、該比率の値により被検査加工液の良否を判定する。
特許請求の範囲
【請求項1】 2個の電極の各端面を所定距離離隔した同一平面上に位置させて両電極を一体に形成してなる検査用電極を微小間隙を介して第3の電極に対向させ、パルス電源装置の一方の極を通電線を介して第3の電極に接続すると共に他方の極を通電線を分岐した2本の分岐通電線を介して前記2個の電極に夫々接続し、前記微小間隙に被検査加工液を供給した状態で、前記電源装置から間歇的な電圧パルスを繰返し供給して前記微小間隙に繰返し放電を発生させ、前記2本の分岐通電線の夫々を流れる電流値から前記2個の電極の内のどちらの電極で放電が発生したかを判別検知し、放電発生電極が前回の放電発生電極と代った回数の全放電発生回数に対する比率を求めて、該比率の値により被検査加工液の良否を判定することを特徴とする放電加工用加工液の良否を検査する方法。
【請求項2】 放電加工を実施するに当り、パルス電源装置から間歇的に供給される電圧パルスのパルス条件を当該放電加工のパルス条件と同じに設定すると共に前記第3の電極を放電加工の被加工体として、請求項1に記載の方法により当該放電加工に用いる加工液の良否を検査することを特徴とする放電加工用加工液の良否を検査する方法。
【請求項3】 被検査加工液がFe,Gr,Al,Ti,W,Cu,Ni,Sn,Pb等の金属、TiC,SiC,WC等の金属炭化物、SrSi2,TiSi2,ZrSi2等の金属珪化物、Si,Geや金属酸化物等の半導体、又はC(炭素)の内の一種又は複数種の粉末をケロシンに混入してなる粉末混入加工液である請求項1に記載の放電加工用加工液の良否を検査する方法。
【請求項4】 2個の電極の各端面を所定距離離隔した同一平面上に位置させて両電極を一体に形成してなる検査用電極と、該検査用電極と第3の電極を収容し被検査加工液が供給される液槽と、一方の極が通電線を介して第3の電極に接続されると共に他方の極が通電線を分岐した2本の分岐通電線を介して前記2個の電極に夫々接続され、微小間隙を介して対向する第3の電極と前記2個の電極との間に間歇的な電圧パルスを印加するパルス電源装置と、前記2本の分岐通電線の夫々を流れる電流を検出する2個の電流センサと、該2個の電流センサの検出信号から前記微小間隙で放電が発生したことを判別する放電開始判別装置と、前記2個の電流センサの検出信号から前記2個の電極の内のどちらの電極で放電が発生したか各放電発生毎に判別する放電発生電極判別装置と、該判別装置により判別された放電発生電極が前回の放電発生電極と異なる場合に信号を出力する論理回路と、該論理回路の出力信号をカウントする第一のカウンタと、前記放電開始判別装置の出力信号をカウントする第二のカウンタと、前記第一のカウンタと第二のカウンタのカウント数の比を演算する演算装置と、該演算装置の演算結果を放電点分散率として表示する表示装置とを備えてなることを特徴とする放電加工用加工液の良否を検査する装置。
【請求項5】 液槽として放電加工機の加工槽を用い、パルス電源装置として該放電加工機の加工用電源装置を用いることを特徴とする請求項5に記載の放電加工用加工液の良否を検査する装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工用電極と被加工体とを加工間隙を介して対向させ、加工間隙に加工液を介在させた状態で、加工用電極と被加工体間に間歇的な電圧パルスを印加して繰返し放電を発生させると共に両者間に加工送りを与えて加工を行なう放電加工に用いる加工液の良否を検査する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】加工液として油(通常ケロシン)に金属や金属炭化物等の金属化合物、及び半導体等の粉末を混入した加工液を用いた放電加工が従来から提案されており、例えば、1989年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集第1103〜1104頁には、AlやSi等の粉末を混入した加工液を用いると、放電の発生位置(放電点)の局在傾向が改善されて加工面の全面に放電点が均一に分散するようになり、放電の集中による異常アーク放電が防止されるだけでなく、面粗さが向上して鏡面仕上げが可能となること、又、仕上げ加工速度が向上すると共に仕上げ面の耐蝕性が高められ、また放電加工時の加工間隙距離が増大し加工が安定化して良好な仕上げ加工が可能となることが開示されている。又、1992年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集第913〜914頁には、パルス幅の大きい電圧パルスによる加工でも油にSi粉末を混入した加工液を用いれば、放電点の分散性が改善されることから低電極消耗条件下で面粗さ良好な仕上げ加工が可能となることが開示されている。又更に、電気加工学会誌Vol.25、NO49第49〜54頁には、粉末を混入しない通常加工液を用いて導体電極による仕上げ加工を行なうと、或る限られた局在的な領域で放電パルスが分散して発生する放電圏が形成され、この放電圏が加工用電極の全面を順次移動する態様で加工が行なわれるようになり、この結果、加工面にムラが生じて不均一な仕上げ面になり易いが、AlやSi等の粉末を混入した加工液を用いると、加工面が放電圏の移動ではなく分散性の良い単発放電痕の連なりによって形成される傾向となり面粗さ良好な仕上げ面が形成されることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように従来から、粉末混入加工液を用いると放電点の分散性が向上し面粗さが改善されて光沢性の有る鏡面仕上げ加工が可能となることが知られている。ここで、粉末混入加工液使用による放電点の分散性向上の作用は、例えば、電気加工学会誌Vol.7、NO14第19〜28頁にも開示されているように、加工間隙に一様に介在する混入粉末の電圧印加時の電荷及び電気泳動による移動や堆積若しくは連接等によって放電がトリガされることにより、また加工速度向上の作用は、前記放電トリガ作用によって電圧パルス印加から放電発生までの待ち時間のばらつきがなくなること及び上述したように加工間隙距離が増大して加工が安定化することによると考えられる。しかして、加工液に混入する粉末としては、Fe,Gr,Al,Ti,W,Cu,Ni,Sn,Pb等の金属、TiC,SiC,WC等の金属炭化物、CrSi2,TiSi2,ZrSi2等の金属珪化物、Si,Geや金属酸化物等の半導体、又は炭素の内の一種又は複数種の混合物が用いられるが、粉末製造後の保管期間や保管状態によって、性状又は品質が変化する可能性が高い金属系の粉末、例えば、同じ粒径のTi粉末をケロシンに所定量(g/l)混入して所定濃度に調製した粉末混入加工液を用いても、鏡面仕上げ加工ができるときとできないときとがある。この原因を種々実験を重ねて究明したところ、Tiのように表面が酸化等して変化、変質し易い金属系粉末の場合、表面が或る程度酸化している粉末(温度等によるが、室温で放置しておいた古粉)を使用したとき放電点の分散性が良好で鏡面仕上げが可能となることがあるが、更に酸化の程度が進んだと思われる粉末の場合には、加工が不安定となって鏡面に仕上げられないことがあることが判明した。鏡面仕上げの可否が使用粉末の酸化程度に左右される理由としては、粉末や形成酸化物の種類や性状等によるものの、酸化によって粉末の帯電状態が変化し帯電状態の差異が混入粉末の電圧印加による電気泳動に影響を与えること、又あるいは酸化により粉末の電気抵抗が変化すること等が考えられるが、未だ不明な点が多い。又、同じ粉末混入加工液を使用しても、供給電圧パルスのパルス条件によって放電点の分散性が異なり、電圧パルスの無負荷電圧が低いパルス条件の方が分散性が良好で鏡面仕上げを行ないやすいことが判明した。又、粉末混入加工液を調製した時点では鏡面仕上げが可能であっても、長期に亙って使用していると、混入粉末の多くが放電に曝されて極微細粉末化により消耗したり、加工液がタール状化して加工性能が低下し粉末混入加工液の寿命と思われる状態になったとき、又使用期間がそれ程長くないのに、混入粉末が被加工体や加工用電極に付着したり加工槽内に沈殿して粉末濃度が低下することにより、十分な放電点の分散性が得られなくなって鏡面仕上げができなくなり、又あるいは水を主成分とする加工液の場合には、調製時からの時間経過により混入粉末の酸化程度が変化して放電点の分散性が悪化することも考えられる。
【0004】実験研究により得られたこのような知見から、粉末混入加工液による鏡面仕上げ加工を信頼性良く安定して行なうためには、粉末混入加工液を所定粉末濃度(g/l)に調製するだけでなく、良好な放電分散性(加工面が放電圏の移動ではなく単発放電痕の連なりによって形成される放電分散性)が得られるかどうかを、調製段階に於て、また実際の加工に際して検査することが必要であり、又、実際の加工に際しては、当該加工と同一のパルス条件等の加工条件で検査することが望ましいと認識されるにようになり、粉末混入加工液の良否を放電点の分散性から定量的に判定し得る検査方法及び装置が求められている。本発明は、上述した問題点に鑑み、放電加工に用いる加工液の良否を簡単な構成で定量的に的確且つ容易に検査すること、又、延いては粉末混入加工液による鏡面仕上げ加工を信頼性良く安定して行ない得るようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明の加工液良否検査方法は、2個の電極の各端面を所定距離離隔した同一平面上に位置させて両電極を一体に形成してなる検査用電極を微小間隙を介して第3の電極に対向させ、パルス電源装置の一方の極を通電線を介して第3の電極に接続すると共に他方の極を通電線を分岐した2本の分岐通電線を介して前記2個の電極に夫々接続し、前記微小間隙に被検査加工液を供給した状態で、前記電源装置から間歇的な電圧パルスを繰返し供給して前記微小間隙に繰返し放電を発生させ、前記2本の分岐通電線の夫々を流れる電流値から前記2個の電極の内のどちらの電極で放電が発生したかを判別検知し、放電発生電極が前回の放電発生電極と代った回数の全放電発生回数に対する比率を求めて、該比率の値により被検査加工液の良否を判定することを特徴とする。
【0006】又、前記加工液良否検査方法により、放電加工の実施に当って、パルス電源装置から間歇的に供給される電圧パルスのパルス条件を当該放電加工のパルス条件と同じに設定すると共に前記第3の電極を放電加工の被加工体として、当該放電加工に用いる加工液の良否を検査することを特徴とする。
【0007】又、本発明の前記方法で検査される加工液としては、各種の粉末、即ちFe,Gr,Al,Ti,W,Cu,Ni,Sn,Pb等の金属、TiC,SiC,WC等の金属炭化物、SrSi2,TiSi2,ZrSi2等の金属珪化物、Si,Geや金属酸化物等の半導体、又はC(炭素)の内の一種又は複数種の粉末を混入した加工液の良否判定検査に有効であるが、前記粉末として常温空気中で酸化等して性状変化する金属系のFe,Cr,Al,Ti,W,Cu,Ni,Sn,Pb,Mn,Znの内の一種又は複数種の粉末をケロシンに混入してなる粉末混入加工液を代表例として挙げることができる。
【0008】又、本発明の加工液良否検査装置は、2個の電極の各端面を所定距離離隔した同一平面上に位置させて両電極を一体に形成してなる検査用電極と、該検査用電極と第3の電極を収容し被検査加工液が供給される液槽と、一方の極が通電線を介して第3の電極に接続されると共に他方の極が通電線を分岐した2本の分岐通電線を介して前記2個の電極に夫々接続され、微小間隙を介して対向する第3の電極と前記2個の電極との間に間歇的な電圧パルスを印加するパルス電源装置と、前記2本の分岐通電線の夫々を流れる電流を検出する2個の電流センサと、該2個の電流センサの検出信号から前記微小間隙で放電が発生したことを判別する放電開始判別装置と、前記2個の電流センサの検出信号から前記2個の電極の内のどちらの電極で放電が発生したか各放電発生毎に判別する放電発生電極判別装置と、該判別装置により判別された放電発生電極が前回の放電発生電極と異なる場合に信号を出力する論理回路と、該論理回路の出力信号をカウントする第一のカウンタと、前記放電開始判別装置の出力信号をカウントする第二のカウンタと、前記第一のカウンタと第二のカウンタのカウント数の比を演算する演算装置と、該演算装置の演算結果を放電点分散率として表示する表示装置とを備えてなることを特徴とする。
【0009】又、前記加工液良否検査装置は、液槽として放電加工機の加工槽を用い、パルス電源装置として該放電加工機の加工用電源装置を用い、そして更に第3の電極として被加工体を用いることができる。
【0010】
【作 用】従来は、粉末混入加工液を用いると、放電点の分散性が向上して加工面の面粗さが改善されることが定性的に知られていただけであったが、本発明によれば、被加工体等の第3の電極表面の所定距離離れた2領域でのみ放電を発生させるように形成した検査用電極を用い、該2領域の内のいずれの領域で放電が発生したか放電電流値から判別し、放電点が該2領域の一方から他方に移行した回数の全放電発生回数に対する比率を放電点分散率として求めるようにしたから、この放電点分散率は、放電圏を形成するような局所領域内での放電点の移動の検出を完全に排除し、単発放電痕の連なりによって加工面が形成される良好な放電点の移動のみを確実に検出して、該良好な放電点の移動の頻度(分散程度)を適確に定量化した比率となり、従って、本発明の放電点分散率によって加工液の良否を判定することにより、加工液の良否を定量的に的確に検査することが可能となる。又、本発明の検査用電極は2個の電極が一体に形成されているから、取扱いが容易であり、常に同じ検査条件で正確に安定した検査を行なうことができる。
【0011】又、加工液に混入する粉末としては、Fe,Gr,Al,Ti,W,Cu,Ni,Sn,Pb等の金属、TiC,SiC,WC等の金属炭化物、SrSi2,TiSi2,ZrSi2等の金属珪化物、Si,Geや金属酸化物等の半導体、又は炭素の内の一種又は複数種の混合物が用いられるが、粉末製造後の保管期間や保管状態によって、表面の酸化や窒化等により性状又は品質が変化する可能性が高い金属系の粉末、例えば、Fe,Cr,Al,Ti等の金属粉を混入した粉末混入加工液の場合、所定粉末濃度に調製しただけでは良否が定かでなく、実際に放電加工してみないと良否が判らない場合が少なくなったのであるが、本発明によれば、このような加工液の良否を予め的確に検査でき、又、実際の加工に際してもその直前等に容易に検査することができるから、長期使用により混入粉末の濃度やあるいは酸化程度に変化があったとしても、電圧パルスのパルス幅、休止幅、電流波高値、無負荷電圧値、電源接続極性等のパルス条件を当該加工に用いるパルス条件と同じに設定して検査することにより、使用加工液が所期の加工に適しているか否かの良否の検査を前もって的確に行なうことができ、不良加工品を作り出してしまうような失敗加工を防止することができる。又、荒加工、中加工、仕上げ加工等の加工工程の移行時に加工液を交換する場合にも、使用加工液が当該加工に適しているか否かを的確に検査し得る。
【0012】又、2個の電極が所定距離離隔して配置されているため、2本の分岐通電線に流れる電流値の差異が明瞭であって、2領域のどちらの領域で放電が発生したか容易に判別することができるから、電流検出及び検出信号処理にさほど高精度の素子機器類を必要とせず、簡単な構成で的確に検査することができる。又、放電加工を行うに際して、当該放電加工機の加工液の検査を行う際には、検査用の液槽として放電加工機の加工槽を用いると共に第3の電極として被加工体を用い、又、パルス電源装置として該放電加工機の加工用電源装置を用いることが可能であるから、液槽と第3の電極とパルス電源装置は必ずしも別個に設ける必要がなく、簡単な構成で容易に検査することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る放電加工用加工液の良否を検査する装置の一実施例を示す構成図であり、1は検査用電極であって、図2及び図3に示すように、幅a、奥行b、高さcの2個の電極1R ,1L を、各端面を同一平面におき所定距離d離して板厚eの結合部材1C により一体に形成した形状をしており、両電極1R,1L は夫々端子1T ,1T を有し、この実施例では2個の電極1R ,1L と結合部材1C とを比抵抗の比較的高いグラファイトにより一体に形成している。2は被加工体を用いて兼用させることができる第3の電極、3は第3の電極2を載置するテーブル、4は検査用電極1及び第3の電極2を収容し被検査加工液5が供給される加工液槽を用いて兼用させることができる液槽である。6は直流電源、7は直流電源6をオンオフするスイッチング素子のトランジスタ、8はスイッチング素子7の開閉を制御するパルス発振器、9は電流制限抵抗であり、これ等によりパルス電源装置が構成され、該パルス電源装置の一方の極が通電線10により第3の電極2に接続され、他方の極が通電線11を分岐した分岐通電線11R ,11L により2個の電極1R ,1L の夫々の端子1T ,1T に接続されている。放電点の分散性の正確な定量的検出を保障するために、各分岐通電線11R,11L は材質、太さ、長さを等しくし、各端子1T ,1T に於ける接触抵抗が等しくなるように接続に注意し、通電線10の第3の電極2に対する接続位置が2個の電極1R ,1L から等距離となるようにして、2本の分岐通電線11R ,11L の夫々を通る各放電回路を等価とする。
【0014】又、12R ,12L は各分岐通電線11R ,11L の夫々を流れる放電電流を検出する電流センサであり、ホール素子や電流検出コイルが用いられる。13は各電流センサ12R ,12L の検出信号を加算して増幅する非反転加算器、14は加算器13の出力が基準電圧14aを超えたとき反転信号を出力する比較器、15は比較器14の反転出力信号をうけて放電開始信号Sを出力する単安定マルチバイブレータであり、加算器13、比較器14、単安定マルチバイブレータ15によって放電開始判別装置が構成される。16は各電流センサ12R ,12Lの検出信号を比較し減算して増幅する差動増幅器であって、2個の電極1R ,1L の内のどちらの電極で放電が発生したか各放電発生毎に判別して判別信号Bを出力し、放電発生電極判別装置を構成する。17及び18はD・フリップフロップ(F/F )であり、D・F/F 17は、差動増幅器16の判別出力Bに対応した信号を記憶し、それまで記憶していた信号sig2を出力してD・F/F 18に転送すると共に後述の排他的OR(XOR)ゲート19に入力する。又、D・F/F 18は、D・F/F 17から転送された信号を記憶すると共にそれまで記憶していた信号sig1を出力してXORゲート19に入力する。従って常に、連続する前後2個の放電の内の前の放電の発生電極に関する情報sig1がD・F/F 18に記憶され、後の放電の発生電極に関する情報sig2がD・F/F 17に記憶されていることになる。19はD・F/F 17及び18の夫々の出力信号sig2とsig1を入力信号とするXORゲートであり、sig1とsig2が異なった信号のときハイレベル信号“1”を出力する。20はXORゲート19の出力信号と放電開始信号Sを入力信号とするANDゲートであり、D・F/F 17及び18、XORゲート19、ANDゲート20により、放電発生電極が前回の放電発生電極と異なる場合に信号を出力する論理回路を構成する。21はANDゲート20の出力信号をカウントする第一のカウンタであり、22は放電開始信号Sをカウントする第二のカウンタである。23は入力インターフェイス23a,出力インターフェイス23b,CPU23c,ROM23d,RAM23eを備えたコンピュータであり、CPU23cにより第一のカウンタ21と第二のカウンタ22のカウント数の比が演算される。又、24は演算結果の放電点分散率を表示するCRT等の表示装置であり、25はキーボード等の入力装置である。
【0015】又、検査用液槽4として通常の形彫放電加工機が具備する加工槽を用い、加工槽内の加工テーブルに被加工体が兼用することある第3の電極2を載置し、加工用電極支持ヘッドに検査用電極1を支持させて第3の電極2と微小間隙を介して対向させ、パルス電源装置として放電加工用電源装置を用いて所定パルス条件の電圧パルスを検査用電極1と第3の電極2間に印加するようにし、またコンピュータ23としても形彫放電加工機のCNC装置を利用することができ、このように、形彫放電加工機の具備する構成、機能を検査装置に利用することにより、簡単な構成で容易に加工液の良否を検査することができる。
【0016】以上の構成により、加工液の良否が次のようにして検査される。先ず、加工液槽4内のテーブル3上に被加工体2を載置し、検査用電極1を所定の微小間隙を介して対向させて該対向間隙を被検査加工液中に浸漬させる。又、入力装置25を操作して放電サンプリング数(例えば2万回)をRAM23eに設定する。次いで、単安定マルチバイブレータ15の放電開始信号S出力停止制御が解除されていることを確認してから、電源装置をオンして所定パルス条件の電圧パルスを検査用電極1と被加工体2間に印加する。加工液調製段階で検査するときは標準パルス条件に設定し、実際の加工に際して検査するときは当該加工のパルス条件に設定する。このパルス条件の設定は、作業者の操作により、あるいはROM23dに記憶されている検査プログラムに従ってコンピュータ23により自動的に行なわれる。電圧パルスの印加により右側電極1R 又は左側電極1L で放電パルスが発生し、放電電流が電流センサ12R 及び12L により検出される。電圧パルス印加による間隙電圧VG の波形を図5(a)に、右側電流センサ12R による検出電流波形IR を同(b)に、左側電流センサ12L による検出電流波形IL を同(c)に夫々模式的に例示した。両電流センサで検出された放電電流は非反転加算器13と差動増幅器16に送られ、非反転加算器13に於て両検出信号が加算され、比較器14で基準電圧と比較されて、基準電圧を超えたとき出力される反転出力により単安定マルチバイブレータ15から図5(d)に示す放電開始信号Sが出力される。
【0017】又、差動増幅器16に於て左右両電流センサの検出信号の大小が比較されて左右の電極1R 、1L のどちらの電極で放電が発生したか判別され、判別信号Bが、図5(e)に示すように出力される。ここで、左右の電極1R と1L が所定距離d離隔しており、また両電極1R 、1L と結合部材1C とが共に比抵抗の高いグラファイトにより形成されているから、例えば、右側電極1R で放電が発生すると、放電経路長さによる回路抵抗の相違により、右側電極1R に接続されている分岐通電線11R に他方の分岐通電線11L よりも顕著に大きい電流が流れ、放電発生電極が正確に判別される。尚、判別の信頼性を高めるために、図3に於ける寸法eを強度を考慮した上で小さくすることが望ましい。そして、判別信号Bが、各放電発生毎に次々とD・F/F 17に送られ、該D・F/F 17の出力sig2がD・F/F 18とXORゲート19に送られると共にD・F/F 18の出力sig1がXORゲート19に送られ、図5(f)に示すようにXORゲート19は信号sig1とsig2が同じでないときに信号“1”を出力する。そして、放電開始信号SとXORゲート19の出力信号を入力信号とするANDゲート20から、図5(g)に示すように、放電発生電極が前回の放電発生電極と代ったことを示すパルス信号Cが出力され、この出力信号Cが第一のカウンタ21によってカウントされる。又、放電発生信号Sがカウンタ22によってカウントされ、第一及び第二のカウンタ21,22の夫々のカウント数がRAM23eに記憶されると共に、第二のカウンタ22のカウント数がRAM23eに設定したサンプリング数と比較され、設定数に達するとCPU23cから制御信号が出力されて単安定マルチバイブレータ15による放電開始信号Aの出力が停止されると共に、第一及び第二のカウンタ21,22がクリアされる。又、RAM23eに記憶されている第一のカウンタ21のカウント数と設定サンプリング数との比(信号Cの数×100/信号Sの数)がCPU23cにより演算され、演算結果が放電点分散率〔%〕として表示装置24に表示される。そして、作業者は表示された放電点分散率によって被検査加工液の良否を判定する。又あるいはRAM23eに良否判定基準の放電点分散率を入力設定しておいて、演算結果の放電点分散率をCPU23cで判定基準と比較して、判定結果の良否を表示装置24に表示させるようにしても良い。尚、粉末混入加工液の良否を検査する場合は、粉末濃度を均一に保つために、該加工液の噴射を伴う循環供給やスクリュウの回転等により液槽内の粉末混入加工液を常時撹拌した状態で検査を行なう。
【0018】ここで、放電点分散率の計算例を図6に基づいて説明する。図6は、電流センサ12R ,12L により検出したオシロスコープ上の放電電流波形から放電の発生電極を読取って放電点の電極間の移動を記した図であり、右電極1R側と左電極1L側とを結ぶ直線の数が、右電極から左電極に又はその逆に放電点が移動した回数を示している。図示の場合、全放電発生回数は126回で、放電点の移動回数は62回であり、放電点分散率は62×100/126=49.2%となる。
【0019】又、図1の実施例装置では、第二のカウンタ22でカウントされる最後の一発の放電については、その前の放電と発生電極が異なっていたとしても第一のカウンタ21でカウントされないことになるが、設定サンプリング数が通常2万回程度と多数であるから、放電点分散率の測定精度への影響は無視できる。厳密さを求めるのであれば、第二のカウンタ22のサンプリングカウント数から1差し引いた数を全放電発生回数として放電点分散率を計算すれば良い。
【0020】上述した実施例装置による実験結果を図7に示す。図2及び図3に於けるa=20mm、b=20mm、c=5mm、d=110mm、e=1mmの寸法形状のグラファイト製の検査用電極を用い、SKD11材を被加工体とし、ケロシンに平均粒径が5〜6μm程度のTi粉末を約2g/l、6g/l、12g/l、18g/l、40g/lの各濃度で混入した五種類の粉末混入加工液と、粉末類を混入しないケロシンを加工液として、パルス幅τon=4μs、休止幅τoff=8μs、波高値Ip=4.5Aで無負荷電圧が90Vの主電源のみの場合と、前記主電源に無負荷電圧280Vの電圧パルスを同期して重畳する補助電源を設けた場合の二種類のパルス条件の電圧パルスにより被加工体を正極として放電点分散率を測定した。放電サンプリング数は2万回である。図7から次の事項が明らかである。
■Ti粉末濃度が高いほど放電点分散率が向上し、無負荷電圧90Vでは混入濃度40g/l程度で放電点分散率が飽和状態となる。
■Ti粉末濃度は同じでも無負荷電圧が低い方が放電点分散率が高い。
■無負荷電圧280Vでは混入濃度40g/lでもまだ放電点分散率が飽和状態とならず、混入濃度を高めれば放電点分散率が更に向上する傾向が認められる。
■Ti粉末を混入しない場合でも、無負荷電圧が低い方が放電点分散率が高い。又、この実験結果から、良好な面粗さの仕上げ加工を行なうためには放電点分散率が55%以上であることが必要であり、更に鏡面仕上げ加工を行なうためには、放電点分散率が65%以上の加工液の使用が必要であることが判明した。従って、加工目的に応じて、この55%あるいは65%の放電点分散率を判定基準として良否を検査すれば良い。又、混入粉末としてTiに代えて粒径数μm程度の金属系粉末、例えばFe,Cr,Alの各粉末を用いた場合も図6と略同様な傾向及び結果であった。
【0021】上述した実施例では、検査用電極の全体をグラファイトで形成したが、図4のように、結合部材1C として合成樹脂等の絶縁材の板を用い、該板の両端に電極1R ,1L を固定するようにしても良い。このようにすれば、一方の分岐通電線にしか放電電流が流れないから放電発生電極の判別が極めて容易である。又、検査用電極と第3の電極を被検査加工液中で対向配置する手段としては、形彫放電加工機を利用する他、治具を用いて検査用電極と第3の電極とを微小間隙を介して一体に固定して、被検査加工液中に浸漬するようにしても良い。又、第二のカウンタ22をプリセットカウンタとして放電サンプリング数をプリセットし、該カウンタ22の出力により第一のカウンタ21のカウント数を出力させてCPU23cで放電点分散率を演算させると共にカウンタ21をクリアするようにしても良い。又、油(ケロシン)系の加工液だけでなく、水または水に金属等各種粉末や表面活性剤等を混入した水系の加工液、あるいはワイヤカット放電加工用の粉末混入加工液の良否も検査し得ることは言うまでもない。又、放電加工に使用後の加工屑を含有する加工液の性状を定量的に検査することもできる。
【0022】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、2個の電極を所定距離離隔させて一体に形成した検査用電極を用い、放電発生電極が前回の放電発生電極と代った回数の全放電発生回数に対する比率(放電点分散率)を指標として加工液の良否を判定するようにしたから、簡単な構成で放電点の分散程度を適確に定量化して加工液の良否を的確且つ容易に検査することができる。又、放電サンプリング数は2万回程度であるから、通常の仕上げ加工のパルス条件では加工液の良否を判定するためのデータ検出に1秒とかからず極めて短時間に良否を検査することができる。又、Fe,Cr,Al,Ti等の酸化等して性状の変化し易い金属系粉末を混入した粉末混入加工液の場合、所定濃度に金属粉を混入しても鏡面仕上げ加工ができるかどうか定かでなく、又、長期使用により混入粉末の濃度が低下したり、あるいは水系加工液の場合は酸化程度が変化する虞もあるが、本発明によれば、良否の定量的な的確な検査を加工液調製段階、使用段階等に於て随時容易に行なうことができるから、粉末混入加工液を用いた鏡面仕上げ加工を信頼性良く安定して行なうことができる顕著な効果を奏する。




 

 


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