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発明の名称 窒素酸化物の接触還元方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−5546
公開日 平成10年(1998)1月13日
出願番号 特願平8−160299
出願日 平成8年(1996)6月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 逸郎
発明者 仲辻 忠夫 / 安川 律 / 田畑 啓一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】ガスに炭化水素及び含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤を加え、酸化反応器に導き、酸素濃度5〜50%の条件下、温度350〜800℃に0.05〜1秒間保持して、上記還元剤を部分酸化し、次いで、窒素酸化物を含む排ガスにこのように部分酸化した還元剤を含む還元剤ガスを上記窒素酸化物に対する還元剤量がC1 換算にて1.5倍以上となるように加え、触媒反応器に導いて、上記排ガス中の窒素酸化物を接触還元することを特徴とする窒素酸化物の接触還元方法。
【請求項2】窒素酸化物を含む排ガスから、その一部を取出し、これに炭化水素及び含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤を上記窒素酸化物に対する還元剤量がC1 換算にて1.5倍以上となるように加え、酸化反応器に導き、酸素濃度5〜50%の条件下、温度350〜800℃に0.05〜1秒間保持して、還元剤を少なくとも一部、部分酸化し、次いで、このように部分酸化した還元剤を含む還元剤ガスを排ガスに加え、触媒反応器に導いて、上記排ガス中の窒素酸化物を接触還元することを特徴とする窒素酸化物の接触還元方法。
【請求項3】窒素酸化物を含む排ガスに炭化水素及び含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤を上記窒素酸化物に対する還元剤量がC1 換算にて1.5倍以上となるように加え、酸化反応器に導き、酸素濃度5〜50%の条件下、温度350〜800℃に0.05〜1秒間保持して、還元剤を少なくとも一部、部分酸化し、次いで、触媒反応器に導いて、上記排ガス中の窒素酸化物を接触還元することを特徴とする窒素酸化物の接触還元方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的には、工場、自動車等から排出される排ガスに含まれる窒素酸化物を触媒の存在下に還元剤を用いて還元する方法に関し、詳しくは、予め排ガスの一部又は全部に炭化水素及び含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤を加え、酸化反応器に導いて、所定の反応条件下に上記還元剤の少なくとも一部を部分酸化した後、このような排ガスを触媒反応器に導いて、排ガス中の窒素酸化物を接触還元することによって、高反応性高選択性にて窒素酸化物を還元除去して、浄化ガスとする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工場、自動車等から排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物は、触媒の存在下に、アンモニア、尿素、水素、一酸化炭素、炭化水素、アルコール等の還元剤を用いて、窒素に接触還元する方法によって、排ガスから除去されている。
【0003】しかし、上述した種々の方法のなかで、アンモニアを還元剤とする方法は、窒素酸化物の窒素と水への還元反応の選択性は非常に高いものの、アンモニアの毒性と可燃性のために、自動車等のような窒素酸化物の移動発生源に用いることは現実的ではない。他方、常温で固体である尿素を還元剤として用いる方法においては、尿素を水に溶解させて水溶液とし、これを排ガスに加え、触媒に接触させるが、このように、還元剤を水溶液として用いる場合には、水の蒸発のために熱を必要とするので、窒素酸化物の接触還元反応の熱効率を低下させ、しかも、窒素酸化物の反応率が低い問題がある。
【0004】他方、水素や一酸化炭素を還元剤として用いる方法は、上述したような問題は少ないものの、反応の選択性が非常に低く、窒素酸化物の実用的な除去方法としては、採用し難い。炭化水素や、或いはアルコール等の含酸素化合物をそのまま排ガスに加えて還元剤として用いる方法によれば、窒素酸化物の還元反応の選択性は幾分改善されるが、しかし、未だ、選択性は不十分であって、窒素酸化物の除去方法としては、実用域からは遠い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、触媒の存在下、還元剤を用いて、排ガスに含まれる窒素酸化物、主として一酸化窒素を接触還元する従来の方法における問題を解決するためになされたものであって、窒素酸化物の還元反応の反応性及び選択性を改善した方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による窒素酸化物の接触還元方法の第1は、ガスに炭化水素及び含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤を加え、酸化反応器に導き、酸素濃度5〜50%の条件下、温度350〜800℃に0.05〜1秒間保持して、上記還元剤を部分酸化し、次いで、窒素酸化物を含む排ガスにこのように部分酸化した還元剤を含む還元剤ガスを上記窒素酸化物に対する還元剤量がC1 換算にて1.5倍以上となるように加え、触媒反応器に導いて、上記排ガス中の窒素酸化物を接触還元することを特徴とする。
【0007】このような方法において、特に、本発明によれば、窒素酸化物を含む排ガスから、その一部を取出し、これに炭化水素及び含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤を上記窒素酸化物に対する還元剤量がC1 換算にて1.5倍以上となるように加え、酸化反応器に導き、酸素濃度5〜50%の条件下、温度350〜800℃に0.05〜1秒間保持して、還元剤を少なくとも一部、部分酸化し、次いで、このように部分酸化した還元剤を含む還元剤ガスを排ガスに加え、触媒反応器に導いて、上記排ガス中の窒素酸化物を接触還元するのが有利である。
【0008】本発明による窒素酸化物の接触還元方法の第2は、窒素酸化物を含む排ガスに炭化水素及び含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤を上記窒素酸化物に対する還元剤量がC1 換算にて1.5倍以上となるように加え、酸化反応器に導き、酸素濃度5〜50%の条件下、温度350〜800℃に0.05〜1秒間保持して、還元剤を少なくとも一部、部分酸化し、次いで、触媒反応器に導いて、上記排ガス中の窒素酸化物を接触還元することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、窒素酸化物とは、主成分として、一酸化窒素を含み、その他、二酸化窒素や二酸化三窒素等を含む。本発明による窒素酸化物の気相還元方法においては、還元剤として、炭化水素及び含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも一種を用いる。上記炭化水素としては、例えば、常温で気体状のものとして、メタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブチレン等の炭化水素ガス、液体状のものとして、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の単一成分の炭化水素、ガソリン、灯油、軽油、重油等の鉱油系炭化水素等も用いることができる。特に、本発明においては、これらのなかでも、常温で液体であるペンタン、ヘキサン等の単一成分の炭化水素や、ガソリン、灯油、軽油等の鉱油系炭化水素等が好ましく用いられる。
【0010】他方、含酸素有機化合物としては、例えば、多価アルコール類を含むアルコール類、エーテル類、カルボン酸エステル類、ケトン類等を好ましい例として挙げることができるが、しかし、これらに限定されるものではない。より具体的には、上記アルコール類としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、芳香脂肪族アルコール等を用いることができるが、なかでも、常温では液体であり、後述するような反応温度では気体である炭素数1〜6の脂肪族飽和若しくは不飽和アルコールが好ましく、そのような脂肪族アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、アリルアルコール、ジアセトンアルコール等を挙げることができる。
【0011】多価アルコールとしては、例えば、分子内に水酸基を2つ以上有するシクロアルカンポリオールやシクロアルカンポリアルカノール等の脂肪族及び脂環族ポリオールを含むアルカンポリオールや、ポリアルキレングリコール、ポリヒドロキシベンゼンを含む芳香族ポリオール等を挙げることができる。
【0012】より具体的には、アルカンポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のアルカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のアルカントリオール、ペンタエリスリトール等のアルカンテトロール、ソルビトール、ショ糖等のより多官能のアルカンポリオール、ソルビトールの部分脱水物等を挙げることができる。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等を挙げることができる。また、芳香族ポリオールとしては、例えば、ハイドロキノンやレゾルシン等を挙げることができる。これらのなかでは、常温で液体であって、取扱いの容易なエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が好ましく用いられる。
【0013】上記エーテル類としては、例えば、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等を、カルボン酸エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等を、また、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等を挙げることができる。
【0014】特に、本発明においては、上記したなかでは、実用的には、メタノール、ジブチルエーテル、ジアセトンアルコール、エチレングリコールジエチルエーテル等のアルコール類又はエーテル類が好ましく用いられる。上述したような炭化水素や含酸素有機化合物は、単独で用いてもよく、又は必要に応じて、二種以上を併用してもよい。
【0015】本発明においては、このような還元剤は、浄化しようとする排ガス中の窒素酸化物に対して、C1 換算にて、1.5倍以上となるように用いられる。従って、排ガスの一部を取出し、これに還元剤を加える場合も、還元剤は、排ガスの全部における窒素酸化物に対して、C1 換算にて、1.5倍以上となるように、上記排ガスの一部に加えられる。
【0016】以下に図面に基づいて、本発明の方法に説明する。図1は、本発明による第1の方法における好ましい態様のフロー・シートを示し、前段として、窒素酸化物を含む排ガスから、その一部を取出し、これに前述したような還元剤を上記排ガス(全量)中の窒素酸化物に対する還元剤量がC1換算にて1.5〜10倍、好ましくは、1.8〜5倍となるように加え、酸化反応器1に導き、酸素濃度5〜50%の条件下、温度350〜800℃、好ましくは、400〜600℃の範囲の温度に0.05〜1秒間保持して、還元剤を少なくとも一部、部分酸化し、次いで、後段として、このように部分酸化した還元剤を含む還元剤ガスを排ガスに加え、触媒反応器2に導いて、排ガス中の窒素酸化物を接触還元し、窒素と水とに接触分解し、かくして、上記排ガスを浄化ガスとする。
【0017】本発明において、還元剤を窒素酸化物に対して、例えば、C1 換算にて2倍量を用いるということは、還元剤の1分子が炭素原子n個を有するとき、還元剤1モルをnモルと換算して、窒素酸化物に対して、2倍モル以上用いるということである。また、排ガス中の酸素濃度は、必要に応じて、排ガスに酸素を適宜量加えて、所要の濃度とすればよい。
【0018】図1に示す方法によれば、前段において、窒素酸化物を含む排ガスから、その一部を取出し、これに還元剤を上記排ガス(全量)中の窒素酸化物に対する還元剤量がC1 換算にて1.5倍以上、好ましくは、1.5〜10倍、特に、好ましくは、1.8〜5倍となるように加え、酸化反応器1に導いて、所定の条件下に還元剤を少なくとも一部、部分酸化することによって、還元剤の少なくとも一部をホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン等の比較的低分子量の飽和又は不飽和アルデヒド類に高反応率にて変換すると共に、窒素酸化物、特に、一酸化窒素の少なくとも一部を還元剤との反応性に富む二酸化窒素に高反応率にて酸化する。上記アルデヒド類は、窒素酸化物、特に、一酸化窒素及び二酸化窒素の接触還元において、還元剤として、反応性に富むので、後述するように、後段において、このような還元剤の部分酸化物を含む排ガスを上記排ガスに加え、触媒反応器に導いて、所定の条件下に窒素酸化物を接触還元することによって、上記窒素酸化物を高反応率高選択率にて還元して、上記排ガスを効率よく浄化ガスとすることができる。
【0019】前段の酸化反応において、排ガスに加える還元剤量がC1 換算にて窒素酸化物に対して1.5倍よりも少ないときは、このような排ガスを酸化反応器中で酸化して得られる還元剤ガスを後段において排ガスに加え、触媒反応器に導いて、窒素酸化物の接触還元反応を行なっても、窒素酸化物を十分に還元することができない。しかし、還元剤をC1 換算にて窒素酸化物に対して10倍を越えて多量に排ガスに加えれば、後段の窒素酸化物の接触還元反応の後も、浄化ガス中に未反応の還元剤が多量に残存するので、これらを別に処理することが必要となり、排ガスの処理費用を却って高めることとなる。
【0020】前段において、排ガスに還元剤を加えて、還元剤を部分酸化すると共に、排ガス中の窒素酸化物、特に、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための反応は、酸素濃度5〜50%の条件下に行なう。この酸素濃度が5%よりも少ないときは、得られる還元剤ガスを後段において排ガスに加えて、窒素酸化物の接触還元反応を行なっても、窒素酸化物を高反応率高選択率にて還元することができない。他方、反応雰囲気の酸素濃度が50%を越えるときは、還元剤が過度に酸化されるので、このような還元剤ガスを後段において排ガスに加えて、窒素酸化物を接触還元しても、窒素酸化物を高反応率高選択率にて還元することができない。特に、本発明においては、酸素濃度は、好ましくは、10〜25%の範囲である。
【0021】前段の還元剤の部分酸化のための反応温度は、350〜800℃、好ましくは、400〜600℃の温度である。反応温度が350℃よりも低いときは、還元剤のアルデヒド類への変換率が著しく低いと共に、一酸化窒素の二酸化窒素への酸化も十分に進行せず、他方、800℃を越えるときは、還元剤が過度に酸化されるので、いずれにしても、このような還元剤ガスを後段において排ガスに加えて、窒素酸化物の接触還元を行なっても、排ガス中の窒素酸化物を高反応率高選択率で還元することができない。
【0022】更に、前段の還元剤の部分酸化のための反応時間は、0.05〜1秒、好ましくは、0.1〜1秒の間である。反応時間が余りに短いときは、還元剤のアルデヒド類への部分酸化反応も、一酸化窒素の二酸化窒素への酸化反応も十分に進行せず、他方、余りに長いときは、還元剤が過度に酸化されるので、いずれにしても、このような還元剤ガスを後段において排ガスに加えても、窒素酸化物を高反応率高選択率で接触還元することができない。
【0023】次に、図1に示す方法においては、上述したように、前段において、排ガスから、その一部を取出し、これに還元剤を加え、酸化反応器1に導き、所定の条件下に還元剤の少なくとも一部に部分酸化反応を行なって、還元剤の少なくとも一部をアルデヒド類に部分酸化すると共に、排ガス中の一酸化窒素を少なくとも一部、二酸窒素に酸化し、次いで、後段において、このような還元剤の部分酸化物を含む還元剤ガスを排ガスに加え、これを触媒反応器2に導き、所定の条件下に排ガス中の窒素酸化物を接触還元する。このような本発明の方法によれば、還元剤を部分酸化することなく、そのまま、排ガスに加え、触媒反応器に導いて、窒素酸化物を接触還元する場合に比べて、排ガス中の窒素酸化物を高反応率高選択率にて還元して、浄化ガスとすることができる。
【0024】後段において、窒素酸化物を接触還元するために用いる触媒は、特に、限定されるものではないが、しかし、周期律表第Ib、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、VIa、VIIa又はVIII族の元素のイオン又は酸化物が好ましく用いられる。これらは、通常、従来より知られている担体であるアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニアや、H−ZSM−5、H−モルデナイト等のゼオライトにイオン交換法、含浸法、混練法等によって担持させて、例えば、ハニカム構造体、リング状構造体、ペレット、粒状物等、適宜の形状として用いられる。
【0025】上記元素のイオンをイオン交換法によって上記のような担体に担持させる場合は、上記元素のイオンの担体への担持率は、通常、0.01〜5重量%の範囲がよい。他方、上記元素の酸化物を触媒として担体に担持させる場合は、触媒としてのその酸化物の担持率は、通常、0.1〜10重量%の範囲がよい。
【0026】上記元素を例示すれば、周期律表第Ib族の元素として、例えば、Cu、Ag等を、第IIb族の元素として、例えば、Zn等を、第IIIa族元素として、例えば、La、Ce等を、第IIIb族元素として、例えば、Al、Ga等を、第IVa族元素として、例えば、Ti、Zr等を、第IVb族元素として、例えば、Ge、Sn等を、第Va族元素として、例えば、V、Nb等を、第、VIa族元素としては、例えば、Cr、Mo、W等を、第VIIa族元素としては、例えば、Mn等を、また、第VIII族元素として、例えば、Fe、Co、Ni等をそれぞれ挙げることができる。
【0027】本発明の方法によれば、後段において、窒素酸化物を含有する排ガスを触媒反応器に導いて、150〜600℃の範囲の温度にて上記窒素酸化物を接触還元する。特に、反応温度は、200〜400℃の範囲が好ましい。更に、本発明によれば、上記温度領域において、空間速度(SV)500〜100000hr-1程度にて、排ガスを触媒反応器に導くことによって、排ガス中の窒素酸化物を効率的に接触還元することができる。
【0028】以上に説明した方法は、例えば、ディーゼルエンジンの排ガスを一部、酸化反応器に導いて、酸化反応させた後、排ガスラインに供給し、触媒反応器で排ガス中の窒素酸化物を接触還元するのに用いることができる。以上の説明においては、排ガスから、その一部を取出し、これに還元剤を加え、酸化反応器に導き、酸化反応させた後、これを排ガスに加え、触媒反応器に導き、触媒反応によって、窒素酸化物を還元して、排ガスを浄化することとしたが、勿論、必要に応じて、排ガスから、その一部を取出し、これに還元剤を加え、酸化反応器に導き、酸化反応させた後、これを上記排ガスの別の一部に加え、これを触媒反応器に導き、触媒反応によって、窒素酸化物を還元して、上記排ガスの別の一部を浄化してもよい。
【0029】本発明によれば、前段において、還元剤ガスを調製するためのガスとしては、浄化しようとする排ガスを用いることなく、例えば、別の発生源からの排ガスを用いてもよい。しかし、この場合にも、その理由は、必ずしも明らかではないが、その排ガスは、窒素酸化物を含むことが好ましい。
【0030】例えば、図2に示すように、前段において、ガスとして空気を用い、この空気に還元剤を加え、酸化反応器3に導き、還元剤を部分酸化して、還元剤ガスとし、これを窒素酸化物を含む排ガスに加え、触媒反応器4に導いて、上記排ガス中の窒素酸化物を接触還元してもよい。この場合にも、前段において、空気に加える還元剤の量は、前述したように、浄化しようとする排ガス中の窒素酸化物に対して、C1 換算にて、1.5〜10倍、好ましくは、1.8〜5倍の範囲である。
【0031】次に、図3は、本発明による第2の方法のフロー・シートを示し、窒素酸化物を含む排ガスに、この排ガス中の窒素酸化物に対する還元剤量がC1 換算にて1.5〜10倍、好ましくは、1.8〜5倍の範囲となるように加え、これを酸素濃度5〜50%の条件下に温度350〜800℃、好ましくは、400〜600℃に加熱保持した酸化反応器5に導き、0.05〜1秒間滞留させて、還元剤の少なくとも一部を部分酸化した後、後段において、その全量を触媒反応器6に導き、所定の条件下に上記窒素酸化物を接触還元して、排ガスを浄化ガスとするものである。還元剤の部分酸化反応の条件や、後段の触媒反応の条件は、前述したと同じである。
【0032】この方法も、例えば、ディーゼルエンジンからの排ガスの浄化に有効に用いることができる。この方法によれば、ディーゼルエンジンからの排ガスを全量、酸化反応器に導いて、酸化反応させた後、触媒反応器に導き、排ガス中の窒素酸化物を接触還元して、浄化ガスとする。以下に実施例と共に、触媒の調製例を示す参考例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0033】
【実施例】
参考例1硝酸銀(AgNO3 )4.75gをイオン交換水100mLに溶解させた。これに予め120℃にて24時間乾燥させたγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)粉末60gを投入し、攪拌下、pH8に設定したpHコントローラにてpHを調節しながら、1/10規定のアンモニア水を滴下した。滴下終了後、1時間熟成して、銀イオンを上記γ−アルミナ上にイオン交換によって担持させた。
【0034】このようにして得られたスラリーを濾過して、銀イオンを担持させたγ−アルミナ粉末を集め、これをイオン交換水にて十分に洗浄した後、塩酸水溶液100mL中に投入し、10分間攪拌した後、スラリーを濾過し、イオン交換水にて十分に洗浄して、銀重量換算にて塩化銀を担持量5重量%にて担持させたγ−アルミナ粉末を得た。
【0035】次に、この塩化銀担持γ−アルミナ粉末を水分10重量%を含有する空気雰囲気下、800℃にて3時間加熱焼成して、アルミン酸銀を銀重量換算にて担持量5重量%にて担持させてなるγ−アルミナ粉末触媒を得た。このようにして、アルミン酸銀を担持させたγ−アルミナのX線回折図を図4に示し、γ−アルミナのみのX線回折図を図5に示す。図4において、○はアルミン酸銀によるピーク、×はγ−アルミナによるピーク、△は銀によるピークを示す。
【0036】このγ−アルミナ粉末触媒60gとシリカゾル(日産化学製スノーテックスN)6gとを適当量の水と混和し、これをジルコニアボール100gを粉砕媒体として遊星ミルで5分間湿式粉砕して、ウオッシュ・コート用スラリーを調製した。このスラリーをセル数200のコージェライトからなるハニカム基材に塗布して、触媒を約150g/l(触媒層厚み78μm)の割合で担持させた。この触媒をA−1という。
【0037】参考例2硝酸コバルト(Co(NO3 2 ・6H2 O)7.72gをイオン交換水100mL中に溶解させた。120℃にて24時間乾燥させたγ−アルミナのペレット(住友化学工業(株)製NK−324)を上記硝酸コバルト水溶液に加え、γ−アルミナのペレットの細孔中に十分に硝酸イオンを含浸させた。次いで、このように処理したγ−アルミナのペレットを濾別し、表面に付着した過剰の水溶液を除去し、120℃で18時間乾燥させた後、500℃で4時間焼成して、Co34 をCoとして1重量%担持させたγ−アルミナ粉末触媒を得た。
【0038】このγ−アルミナ粉末触媒60gとシリカゾル(日産化学製スノーテックスN)6gとを適当量の水と混和し、これをジルコニアボール100gを粉砕媒体として遊星ミルで5分間湿式粉砕して、ウオッシュ・コート用スラリーを調製した。このスラリーをセル数200のコージェライトからなるハニカム基材に塗布して、触媒を約150g/l(触媒層厚み78μm)の割合で担持させた。この触媒をA−2という。
【0039】参考例3硝酸ニッケル(Ni(NO3 2 ・6H2 O)7.74gを用いた以外は、参考例3と同様にして、NiOをNiとして1重量%担持させたγ−アルミナ粉末触媒を得た。このγ−アルミナ粉末触媒60gとシリカゾル(日産化学製スノーテックスN)6gとを適当量の水と混和し、これをジルコニアボール100gを粉砕媒体として遊星ミルで5分間湿式粉砕して、ウオッシュ・コート用スラリーを調製した。このスラリーをセル数200のコージェライトからなるハニカム基材に塗布して、触媒を約150g/l(触媒層厚み78μm)の割合で担持させた。この触媒をA−3という。
【0040】参考例4ジニトロアンミン白金(Pt(NO2 2 (NH3 2 )10.4gをイオン交換水200mLに溶解させて、〔Pt(NH3 2 2+の水溶液を調製した。酸化セリウム30gとγ−アルミナペレット(住友化学工業(株)製NK−324)の粉体70gとの混合物を含む水溶液に、上記〔Pt(NH3 2 2+の水溶液を十分な攪拌下に加えて、〔Pt(NH3 2 2+とアルミナ又は酸化セリウムにおける水素イオンとを交換させた。この間、pHの低下に伴って、2重量%のアンモニア水を加え、pHを5.5に維持した。このようにして、酸化セリウム/γ−アルミナ混合物に〔Pt(NH3 2 2+を白金として担持率3重量%にてイオン交換担持させた。
【0041】次いで、このようにしてイオン交換させた酸化セリウム及びγ−アルミナを濾過し、120℃で18時間乾燥させた後、空気中、500℃で4時間焼成した。このようにして、酸化セリウム/γ−アルミナ(重量比30/70)混合物に白金を担持率3重量%で担持させてなるγ−アルミナ粉末触媒を調製した。このγ−アルミナ粉末触媒60gとシリカゾル(日産化学製スノーテックスN)6gとを適当量の水と混和し、これをジルコニアボール100gを粉砕媒体として遊星ミルで5分間湿式粉砕して、ウオッシュ・コート用スラリーを調製した。このスラリーをセル数200のコージェライトからなるハニカム基材に塗布して、触媒を約150g/l(触媒層厚み78μm)の割合で担持させた。この触媒をA−4という。
【0042】実施例1総排気量1Lのディーゼルエンジンを軽油を燃料としてトルク100Nmで運転したときの排ガスの組成は、一酸化窒素(NOx ):約1000ppm(NOが約900ppm、NO2 が約100ppm)
全炭化水素 :約500ppm一酸化炭素(CO) :約100ppm二酸化炭素(CO2 ):約5%二酸化硫黄(SO2 ):50ppm酸素(O2 ) :10容量%窒素(N2 ) :残部であった。
【0043】図3に示すように、上記ディーゼルエンジン排ガスを外部ヒーターで所定の温度(350〜800℃)に加熱し、この排ガスをその温度に加熱保持することができる酸化反応器(管状反応器)に供給する直前に液体クロマトグラフィー用微量ポンプを用いて所定量の還元剤を排ガス中に加え、これを酸化反応器に所定の割合で導き、所定時間滞留させて、酸化反応を行なわせた。次いで、このようにして得られた還元剤ガスの全量を触媒反応器に導き、排ガス中の窒素酸化物を接触還元した。
【0044】前段の酸化反応において用いた還元剤、その量(C1 換算による量)、酸化反応器における反応温度と滞留時間(酸化反応時間)と共に、後段において用いた触媒、触媒反応器における空間速度及び反応温度別の窒素酸化物の除去率を表1に示す。窒素酸化物の除去率は、排ガスの気相反応前の窒素酸化物濃度c0 と気相反応後の窒素酸化物濃度cとを化学発光式窒素酸化物メーターで測定し、式〔(c0 −c)/c0 〕×100(%)にて求めた。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】実施例2図1に示すように、実施例1と同じディーゼルエンジン排ガスから、その一部を取出し、これに酸素ガスを加えて、酸素濃度を20容量%とし、これを外部ヒーターで所定の温度(350〜500℃)に加熱し、この排ガスをその温度に加熱保持することができる酸化反応器(管状反応器)に供給する直前に液体クロマトグラフィー用微量ポンプを用いて表2に示すように所定量の還元剤(C1 換算の量)を排ガス中に加え、これを酸化反応器に所定の割合で導き、表2に示すように所定温度で所定時間滞留させて、還元剤を部分酸化し、このようにして、還元剤の部分酸化物を含む還元剤ガスを調製した。
【0047】別に、上記ディーゼルエンジン排ガスを外部ヒーターで所定の温度(350〜500℃)に加熱し、この排ガスをその温度に加熱保持することができる触媒反応器(管状反応器)に1Nm3 /分の割合で供給する直前に定量ポンプを用いて上記還元剤ガスを20NL/分の割合で排ガス中に加え、これを触媒反応器に導き、窒素酸化物の接触還元を行なった。
【0048】前段の酸化反応器において用いた還元剤、その量(C1 換算による量)、酸化反応器における反応温度と滞留時間(酸化反応時間)と共に、後段において用いた触媒、触媒反応器における空間速度及び反応温度別の窒素酸化物の除去率を表2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
【発明の効果】本発明の方法によれば、排ガスの一部又は全部に還元剤を加え、予め所定の条件下に還元剤を部分酸化して、還元剤ガスとし、これを排ガスに加えて、窒素酸化物を触媒の存在下に接触還元することによって、排ガス中の窒素酸化物を高反応性高選択性にて還元して、浄化ガスとすることができる。




 

 


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