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発明の名称 管内ライニング施工方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−146894
公開日 平成10年(1998)6月2日
出願番号 特願平8−306268
出願日 平成8年(1996)11月18日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
発明者 豊田 繁 / 八木 秀一 / 本田 元光 / 金子 裕章
要約 目的
内張り材としての部材を準備することなく内張り材として要求される条件を満足させることができ、しかも、容易に施工が行える樹脂ライニングによる管内ライニング施工方法を得る。

構成
膨張、収縮変形可能で膨張時にのみ拡大するメッシュ孔を有するメッシュチューブ7内に樹脂9を封入し、内部からの流体圧により膨張させてメッシュ孔を拡大させることにより、封入されている樹脂9を流出させて管路5の内面に樹脂9’によるライニングを形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】 管内で用いられるライニング用の樹脂を膨張、収縮可能な多孔質のメッシュチューブ内に封入し、そのメッシュチューブを管内に引き込む第1の工程と、上記第1の工程で管内に引き込まれたメッシュチューブを、事前にメッシュチューブ内に挿通されている拡張ホースによって径方向に膨張させることでメッシュチューブのメッシュ孔を拡大させ、封入されている樹脂をメッシュチューブの外部に流出させる第2の工程と、上記第2の工程でメッシュチューブの外部に流出した樹脂が硬化後、上記拡張ホースと上記メッシュチューブとを取り出す第3の工程とを備えていることを特徴とする管内ライニング施工方法。
【請求項2】 管内で用いられるライニング用の樹脂を膨張、収縮可能な多孔質のメッシュチューブ内に封入し、そのメッシュチューブを管内に引き込む第1の工程と、上記第1の工程で管内に引き込まれたメッシュチューブを、事前にメッシュチューブ内に挿通されている拡張ホースによって径方向に膨張させることでメッシュチューブのメッシュ孔を拡大させ、封入されている樹脂をメッシュチューブの外部に流出させる第2の工程と、上記第2の工程でメッシュチューブの外部に流出した樹脂が硬化後、上記拡張ホースのみを取り出す第3の工程とを備えていることを特徴とする管内ライニング施工方法。
【請求項3】 管内で用いられるライニング用の樹脂を膨張、収縮可能な多孔質のメッシュチューブ内に封入し、そのメッシュチューブを管内に引き込む第1の工程と、上記第1の工程で管内に引き込まれたメッシュチューブを、事前にメッシュチューブ内に挿通されている拡張ホースによって径方向に膨張させることでメッシュチューブのメッシュ孔を拡大させ、封入されている樹脂をメッシュチューブの外部に流出させる第2の工程と、上記第2の工程でメッシュチューブの外部に流出した樹脂が硬化後、上記拡張ホースと上記メッシュチューブとを取り出す第3の工程とを備え、上記第1乃至第3の工程を繰り返すことにより複数のライニング層を管内に形成することを特徴とする管内ライニング施工方法。
【請求項4】 請求項1乃至3のうちの一つに記載の管内ライニング施工方法において、上記メッシュチューブは、上記拡張ホースによる径方向への膨張時のみメッシュ孔を拡大させることを特徴とする管内ライニング施工方法。
【請求項5】 請求項1乃至4のうちの一つに記載の管内ライニング施工方法において、上記第2の工程では、上記拡張ホースは、内部に流入する流体圧により上記メッシュチューブを径方向に膨張させることを特徴とする管内ライニング施工方法。
【請求項6】 請求項5記載の管内ライニング施工方法において、上記拡張ホースの内部に流入する流体圧は、ライニング用の樹脂の硬化反応促進材が用いられることを特徴とする管内ライニング施工方法。
【請求項7】 請求項6記載の管内ライニング施工方法において、上記流体圧は、高温水が用いられることを特徴とする管内ライニング施工方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管内ライニンング施工方法に関し、さらに詳しくは、管内面に樹脂被覆層を形成するための工法に関する。
【0002】
【従来の技術】地中に埋設されているガス管や水道管等の管は、長期間の敷設により腐食が発生して劣化したり、外力で損傷する場合がある。そこで、このような弊害を防止する対策の一つとして、内張りを施すことが提案されている。内張りを施す工法の一つとして、筒状の内張り材の内面に接着剤を塗付しておき、その内張り材を流体圧力で裏返しながら管路に挿通し、裏返された面に塗付されている接着剤を介して管路内面に内張り材を接着する方法がある(例えば、特公昭60ー12220号公報)。またこれとは異なる方法として、上下に折り畳まれたライニングチューブの表面に接着剤を塗付し、そのライニングチューブを管内にて牽引挿通した後、ライニングチューブを拡径させてその表面を管内面に接着させる方法がある(例えば、特開昭55ー17567号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の工法では、次のような問題があった。上記各公報に開示された工法は、いずれも内張り材をなすライニングチューブに接着剤を塗付し、その接着剤を介してライニングチューブを管路内面に接着させている。このため、内張り材とは別に接着のための材料が必要となる。また、接着剤の量は、ライニングチューブが管内に挿通される前に予め設定されてしまうので、管路内を移動する間等に乾燥した場合には、必要な接着強度が得られないこともあり、内張り材を管内面で強固に張り付けることができない虞がある。さらに作業においては、前者の工法の場合、ライニングチューブの前進移動と裏返し動作とを同時に行わせるための圧力が必要であることから、圧力供給のための設備が大掛かりなものとなる。後者の工法の場合、内張り材を管路内に挿通する方式が前者の場合と異なり、互いに接合した面を剥離するような必要はないが、内張り材を牽引移動する際に、内張り材と管路内面との摩擦抵抗を小さくするためのカバー部材等の特別な部材が必要となる。しかも、挿通後のライニングチューブを拡径させるために、負圧や挿通塊を用いることから、負圧による接着剤の飛翔が発生したり挿通塊の挿通作業等が必要となる等の不具合がある。
【0004】一方、管路内に施工される内張り材は、次のような要求を満足することが必要とされている。第1に保形性が高いこと、第2に耐震性が高いことである。第1の保形性は、管路内を流れる流体の圧力によって変形しないことを意味し、変形による管路内面積が変化しないことが望まれるために要求される条件である。第2の耐震性は、地震等により管路に大きな外力が加わり、仮に管路が破損したような場合でも内張り材自身が破断しないことを意味し、管としての機能を維持することが望まれるために要求される条件である。このような条件を満足するためには、上記公報にも開示されているように、筒状の内張り材を用いることが一般的であるが、内張り材を用いる場合の不具合は前述したとおりであり、このような不具合を招かないで内張りが行える工法が望まれる。
【0005】本発明の目的は、上記内張り材としての部材を準備することなく内張り材として要求される条件を満足させることができ、しかも、容易に施工が行える樹脂ライニングによる管内ライニング施工方法を提供することにある。
【0006】この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、管内で用いられるライニング用の樹脂を膨張、収縮可能な多孔質のメッシュチューブ内に封入し、そのメッシュチューブを管内に引き込む第1の工程と、上記第1の工程で管内に引き込まれたメッシュチューブを、事前にメッシュチューブ内に挿通されている拡張ホースによって径方向に膨張させることでメッシュチューブのメッシュ孔を拡大させ、封入されている樹脂をメッシュチューブの外部に流出させる第2の工程と、上記第2の工程でメッシュチューブの外部に流出した樹脂が硬化後、上記拡張ホースと上記メッシュチューブとを取り出す第3の工程とを備えていることを特徴としている。
【0007】請求項2記載の発明は、管内で用いられるライニング用の樹脂を膨張、収縮可能な多孔質のメッシュチューブ内に封入し、そのメッシュチューブを管内に引き込む第1の工程と、上記第1の工程で管内に引き込まれたメッシュチューブを、事前にメッシュチューブ内に挿通されている拡張ホースによって径方向に膨張させることでメッシュチューブのメッシュ孔を拡大させ、封入されている樹脂をメッシュチューブの外部に流出させる第2の工程と、上記第2の工程でメッシュチューブの外部に流出した樹脂が硬化後、上記拡張ホースのみを取り出す第3の工程とを備えていることを特徴としている。
【0008】請求項3記載の発明は、管内で用いられるライニング用の樹脂を膨張、収縮可能な多孔質のメッシュチューブ内に封入し、そのメッシュチューブを管内に引き込む第1の工程と、上記第1の工程で管内に引き込まれたメッシュチューブを、事前にメッシュチューブ内に挿通されている拡張ホースによって径方向に膨張させることでメッシュチューブのメッシュ孔を拡大させ、封入されている樹脂をメッシュチューブの外部に流出させる第2の工程と、上記第2の工程でメッシュチューブの外部に流出した樹脂が硬化後、上記拡張ホースと上記メッシュチューブとを取り出す第3の工程とを備え、上記第1乃至第3の工程を繰り返すことにより複数のライニング層を管内に形成することを特徴としている。
【0009】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のうちの一つに記載の管内ライニング施工方法において、上記メッシュチューブは、上記拡張ホースによる径方向への膨張時のみメッシュ孔を拡大させることを特徴としている。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のうちの一つに記載の管内ライニング施工方法において、上記第2の工程では、上記拡張ホースは、内部に流入する流体圧により上記メッシュチューブを径方向に膨張させることを特徴としている。
【0011】請求項6記載の発明は、請求項5記載の管内ライニング施工方法において、上記拡張ホースの内部に流入する流体圧は、ライニング用の樹脂の硬化反応促進材が用いられることを特徴としている。
【0012】請求項7記載の発明は、請求項6記載の管内ライニング施工方法において、上記流体圧は、高温水が用いられることを特徴としている。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明では、管内に引き込まれたメッシュチューブが拡張ホースにより径方向に膨張することでメッシュチューブのメッシュ孔が拡大されてメッシュチューブ内に封入されていた樹脂を管内面に塗付し、樹脂硬化後、メッシュチューブと拡張ホースとを取り出すことにより、管内面に樹脂によるライニングが行われる。
【0014】請求項2記載の発明では、管内に引き込まれたメッシュチューブが拡張ホースにより径方向に膨張することでメッシュチューブのメッシュ孔が拡大されてメッシュチューブ内に封入されていた樹脂を管内面に塗付し、樹脂硬化後、拡張ホースのみを取り出すことにより、管内面に樹脂およびメッシュチューブを組合わせた内張りが行われる。
【0015】請求項3記載の発明では、管内に引き込まれたメッシュチューブが拡張ホースにより径方向に膨張することでメッシュチューブのメッシュ孔が拡大されてメッシュチューブ内に封入されていた樹脂を管内面に塗付し、樹脂硬化後、メッシュチューブおよび拡張ホースを取り出すことを繰り返すことにより、複数のライニング層を形成できる。
【0016】請求項4記載の発明では、メッシュチューブが径方向に膨張した時のみメッシュ孔を拡大させるので、管内への引き込み時等の膨張しない状態では、封入されている樹脂を流出させないようにできる。
【0017】請求項5記載の発明では、拡張ホースの内部に流入する流体圧が作用したときのみメッシュチューブから樹脂を流出させることができるので、ライニング施工位置以外での樹脂の無駄な流出が起こらない。
【0018】請求項6および7記載の発明では、拡張ホースに作用する流体圧によって樹脂の硬化反応促進を行えるので、拡張ホースの拡張作用とは異なる機能を発揮させることができる。しかも、流体圧の圧力を調整できるようにすれば、メッシュチューブの外部に流出する樹脂の量を制御することもできる。
【0019】
【実施例】以下、図示実施例により請求項1、4乃至7記載の発明を説明する。図1は、請求項1、4乃至7記載の発明に係る管内ライニング施工方法の実施例に用いられる装置の概要を説明するための模式図である。図1において管内ライニング装置1は、メッシュチューブローラ2と、樹脂液槽3と給送ローラ4とを備えて構成されている。メッシュチューブローラ2は、管内ライニングを施工される管路5を対象として掘削されている竪孔6の近傍に設置される部材であり、後述するメッシュチューブ7を捲装し、そのメッシュチューブ7を繰り出せる方向に回転することができる。
【0020】メッシュチューブ7は、その構造が図2に示されている。図2において、メッシュチューブ7は、繊維を織り込まれて膨張、収縮可能な多孔質のチューブであり、収縮した状態では網目に相当するメッシュ孔が閉鎖され、径方向に膨張した際にメッシュ孔が拡大するようになっている。メッシュチューブ7の内部には、径方向に膨張可能な拡張ホース8が挿填されており、拡張ホース8の外周面とメッシュチューブ7の内周面との間には、ライニング用の樹脂9が封入される。拡張ホース8は、内部に圧力が作用した場合に膨張し、それ以外の時には自らの習性により収縮した状態を維持するようになっている。メッシュチューブ7およびその内部に位置する拡張ホース8は、メッシュチューブローラ2に捲装されている時には偏平状態で積層され、捲装された際の丈が大きくならないようにされている。
【0021】ライニング用の樹脂9は、主剤と硬化剤とを成分として含むものが採用され、メッシュチューブ7が収縮してメッシュ孔が閉鎖されていることにより上記したメッシュチューブ7の内周面と拡張ホース8の外表面との間に封入されている。ライニング用の樹脂9を封入する手段については後述する。
【0022】ライニング用の樹脂9をメッシュチューブ7および拡張ホース8の両者間に封入する手段として樹脂液槽3が設けられている。樹脂液槽3は、図3に示されているように、樹脂9を収容可能なタンクであり、内部に樹脂9の封入部10、搬送ローラ11、11’および繰り出しローラ12をそれぞれ備えている。搬送ローラのひとつ(図3において符号11で示す部材)と繰り出しローラ12とは、封入部10をはさんで、図中矢印で示すメッシュチューブ7の繰り出し方向上流側と下流側とにそれぞれ配置され、メッシュチューブ7の案内搬送および挟持搬送に用いられる。これらローラのうち、挟持搬送に用いられる繰り出しローラ12は、その表面がメッシュチューブ7を繰り出しながら搬送できる摩擦係数を有している。また繰り出しローラ12の表面の処理として、上記した摩擦係数を利用した繰り出し作用を助長するために、ローレットあるいは凹凸が形成されて単位面積あたりの挟持圧力を増加させてメッシュチューブ7の表面で滑動しないようにされることもある。さらに、繰り出しローラ12は、図3中、符号Pで示す軸心位置が、メッシュチューブ7の繰り出し方向に沿って移動可能であるとともにメッシュチューブ7を挟んで対向する間隔を調整できるように支持されている。
【0023】図3は、上記の封入部10の構成を説明するための模式図であり、封入部10は、拡大部材13を備えている。拡大部材13は、矢印で示すメッシュチューブ7の繰り出し方向の上流側から下流側に向けて拡径する中空部からなるテーパ部13Aを備えた円錐部材で構成されており、テーパ部13Aの最小径部の内径が拡張ホース8を通過させることができる値に設定され、また最大拡径部の外径は、メッシュチューブ7のメッシュ孔を拡大させることができる径に設定されている。
【0024】樹脂液槽3では、次の手順によってメッシュチューブ7の内部に樹脂9が封入される。搬送ローラ11によって搬入されたメッシュチューブ7が封入部10に移送されると、メッシュチューブ7が拡大部材13のテーパ部13Aを通過するにしたがって径方向に押し広げられてメッシュ孔が拡大される。メッシュ孔が拡大されたメッシュチューブ7は、メッシュ孔を介して樹脂9を流入させることができる。この場合、拡張ホース8は、拡大部材13の中心部に挿通され、メッシュチューブ7の先端と纏められて一体化されることで先端からの樹脂の流出を阻止するようになっている。樹脂9が内部に流入したメッシュチューブ7は、繰り出しローラ12の位置で縮径することでメッシュ孔を閉鎖させ、内部に位置する拡張ホース8の外周面との間に樹脂9を封入する。なお、樹脂の粘性等の影響によりメッシュチューブ7を押し広げた際にメッシュ孔から樹脂が自然流入しにくい場合には、樹脂液槽3に図示されない加圧手段を配置し、樹脂を加圧してメッシュチューブ7のメッシュ孔から強制的に流入させることも可能である。
【0025】繰り出しローラ12の軸心位置(図3中、符号Pで示す位置)は、メッシュチューブ7内への樹脂の流入量を制御し、また繰り出しローラ12の対向間隔はメッシュチューブ7における樹脂の封入代、つまり、拡張ホース8の外表面とメッシュチューブ7の内周面との間隙を制御してその間隙に封入される樹脂の量を規定することができる。例えば、繰り出しローラ12の軸心位置を拡大部材13側に移動させるに従ってメッシュチューブ7が拡径から縮径に転じる長さが短くされるので、メッシュ孔を拡大させる時間が短くなることによりメッシュチューブ7の内部に流入する樹脂量は少なくなる。また、繰り出しローラ12の対向間隔を狭めることに応じて拡張ホース8の外周面とメッシュチューブ7の外周面との間の間隔が狭くされる。このようなメッシュチューブ7の内部に封入される樹脂量の制御は、管路内面でのライニング膜厚と関係付けて行われる。なお、メッシュチューブ7と拡張ホース8との先端を纏めるために、それら両者を樹脂液槽3内に樹脂を貯溜する前に樹脂液槽3内を通過させて搬送ローラの内の他方の一つ(図3に置いて符号11’で示す部材)に挟持させて纏め、その後、樹脂液槽3内にメッシュチューブ7を浸漬できる量の樹脂を溜める手順を設定することが望ましい。
【0026】繰り出しローラ12および樹脂液槽3からメッシュチューブ7が繰り出される位置に配置されている搬送ローラ11’は、繰り出しローラ12ともにメッシュチューブ7を摩擦的に挟持可能なローラで構成されているが、それらメッシュチューブ7の繰り出しに用いられる各ローラ11’、12の繰り出し量を決定する回転速度は、メッシュチューブ7が管路内にて通線搬送される速度と同等若しくはそれよりも若干早めてある。このような速度関係は、管路5の内部で通線される際にメッシュチューブ7の移動抵抗が発生するのを抑制するためである。
【0027】上記のような管内ライニング装置1を用いた管内ライニングの施工に際し、メッシュチューブ7が管路5の内部に挿通されるための構成として、図4に示す構成が用いられる。図4において、樹脂液層3の封入部10を通過させられた後に纏められて一体化されているメッシュチューブ7および拡張ホース8の先端部にはパラシュート14が取り付けられる。パラシュート14は、管路5内にメッシュチューブ7を挿通させる通線部材として用いられるものであり、管路5内に生成される空気流により管路5内を移動することができる。パラシュート14の牽引移動により管路5の内部に挿通されるメッシュチューブ7および拡張ホース8は、ライニングが開始されるまでの間、膨張しない状態で維持されているので、メッシュチューブ7の内部に封入されている樹脂が流出しない状態に維持されている。
【0028】パラシュート14を介して管路5の内部に挿通されたメッシュチューブ7は、管路5の内面に樹脂9を付着させるために膨張させられる。メッシュチューブ7を膨張させるための部材として拡張ホース8が用いられ、拡張ホース8の内部には図示されない流体圧力供給手段から高温圧力水等の流体圧が供給できるようになっている。高温水を用いた流体圧は、メッシュチューブ7のメッシュ孔を拡大させることができるに十分な径方向の膨張量が得られる圧力に設定されている。
【0029】以上のような構成を備えた管内ライニング装置1を用いた管内ライニング施工は、次の手順に基づいて実行される。
(1)第1の工程この工程では、メッシュチューブ7が管路5の内部に引き込まれる。この工程を実行するために、拡張ホース8が事前に挿通された状態にあるメッシュチューブ7は、メッシュチューブローラ2から端部が引き出され、樹脂液槽3に対して給送ローラ4を介して搬入される。樹脂液槽3内に搬入されたメッシュチューブ7およびその内部に位置する拡張ホース8は、図示しない把持手段によって予め封入部12を介して繰り出しローラ12および搬送ローラ11’に先端後部が挟持される位置まで移動させられる。繰り出しローラ12および搬送ローラ11’によって挟持されたメッシュチューブ7および拡張ホース8は、先端部が纏められて一体化されたうえで、先端以降の部分がメッシュチューブローラ2から繰り出されると、封入部10に有する拡大部材13を通過する際に径方向に膨張させられて樹脂が内部に流入される。樹脂液槽3内を通過したメッシュチューブ7および拡張ホース8は、樹脂液槽3内から先端が繰り出された時点で一旦停止され、その先端部にパラシュート14が連結される。パラシュート14が連結されたメッシュチューブ7および拡張ホース8は、管路5内に引き込まれるが、引込みに先立ち、管路5内には、空気流が生成される。この空気流は、管路5の一方端の開口に真空吸引ポンプ(図示されず)からのダクト(図示されず)を接続し、管路5内の一方端側を負圧化することで得られる。パラシュート14を管路5の他方端に挿入することでパラシュート14を通線部材としてメッシュチューブ7が管路5の内部に挿通される。パラシュート14によって牽引されるメッシュチューブ7は、未だ径方向への膨張が行われていないので、その外径寸法が管路内径よりも小さく、内部に封入されている樹脂が流出しない状態に維持される。このため、先に述べた樹脂液槽3でのメッシュチューブ7の繰り出し量の設定とパラシュート14の移動速度との関係により、メッシュチューブ7は、その牽引される方向に沿って展張され、管路5の内面に摺擦されるのを抑制されて移動抵抗を軽減される。パラシュート14により牽引されたメッシュチューブ7および拡張ホース8の先端部は、管路5の一方端に位置する竪孔6内に伸び出した状態とされ、メッシュチューブ7および拡張ホース8の先端以降の部分が管路5の内部に残される。
【0030】(2)第2の工程この工程では、拡張ホース8の内部に流体圧である高温圧力水が供給されてメッシュチューブ7内の樹脂が外部に流出させられる。図5は、この工程を説明するための模式図であり、同図において、管路5の一方端まで到達したメッシュチューブ7および拡張ホース8は、パラシュート14が取り外されても先端が拡張ホース8と纏められて一体化されたままで封止されているので、拡張ホース8の膨張に連動してメッシュチューブ7が径方向に膨張する。高温圧力水が供給されて拡張ホース8が径方向の膨張すると、メッシュチューブ7の内周面も加圧されるので、メッシュチューブ7が径方向に膨張て管路5の内面に接近すると共に、メッシュチューブ7の内周面と拡張ホース8の外表面との間の間隙に流入して充填されている樹脂9が拡張ホース8の膨張によって外側に押し出される。なお、図5においては、便宜上、符号Cを用いて高温圧力水の供給手段が示されている。メッシュチューブ7の内部から押し出された樹脂9は、図5中、符号9’で示すように、管路5の内面に加圧されて付着させられることでライニング膜(図5中では、樹脂ライニング膜と表示してある)とされ、高温圧力水からの熱伝達により、樹脂の成分である主剤と硬化剤との硬化反応が促進される。
【0031】(3)第3の工程この工程では、第2の工程でメッシュチューブ7の外部に流出して管路5の内面に付着した樹脂が硬化した後、メッシュチューブ7と拡張ホース8とが管路内から取り出される。メッシュチューブ7および拡張ホース8を取り出す場合には、拡張ホース8の内部に供給されていた高温圧力水が排出されて、拡張ホース8を縮径させる。図6は、この工程を説明するための模式図であり、同図において、先端部が纏められて一体化されている拡張ホース8の端部を、矢印で示すように、メッシュチューブ7の引込み時とは逆方向に牽引してメッシュチューブ7の引き込み開始端に相当する管路5の他方端側に向けて引き出す。これにより、拡張ホース8と一体のメッシュチューブ7は、先端部が折り返されて管路5の内面から剥離されながら拡張ホース8と共に移動する。なお、メッシュチューブ7の取り出し時にメッシュチューブ7を樹脂から容易に剥離させることが円滑な取り出しに必要な条件であるので、メッシュチューブ7の材質としては、樹脂との離型性がよいものが用いられることが好ましい。
【0032】第3の工程が完了すると、管路5の内面には、硬化した状態の樹脂のみが残り、ここに、樹脂ライニングが完了する。本実施例によれば、第2の工程において拡張ホース8に供給される流体圧である高温圧力水の圧力を調整することによって、メッシュチューブ7の内部から流出する樹脂の量を制御することができる。この樹脂の流出量に関しては、樹脂液槽3に有する封入部10の繰り出しローラ12の軸心位置の設定によっても行えるので、この両者による制御を用いることで管路5の内面への樹脂のライニング厚さを最適なものに設定することができる。
【0033】次に、請求項2に記載の発明について以下に説明する。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の説明において述べた第1の工程および第2の工程と共通する工程を備え、第3の工程において、メッシュチューブ7を管路内容に残して置くことを特徴としている。図7は、請求項2記載の発明の実施例である第3の工程を説明するための模式図であり、同図において、第1、第2の工程実行後、樹脂が管路5の内面に付着して硬化した後に、拡張ホース8が取り出される。この工程では、第2の工程を実施するにあたり、管路5の竪孔6から外部に露出しているメッシュチューブ7およびこれと一体の拡張ホース8の先端部を裁断等により分離する。管内ライニング施工後に管路5の開口同士を突き合せて連結する際にメッシュチューブ7および拡張ホース8の裁断された端部が邪魔にならないようにする意味で、メッシュチューブ7および拡張ホース8の裁断は、管路5の一方端の開口から突出しない状態で行われるのが好ましい。メッシュチューブ7と分離された拡張ホース8は、管路5の外部に取り出されるが、取り出し前に内部の流体圧が除去されたうえで外部に引き抜かれる。
【0034】以上のような実施例によれば、管路5の内面にライニングされた樹脂9’とともにメッシュチューブ7が残されるので、メッシュチューブ7をライニングされた樹脂の補強用裏当て材として用いることで ライニング層の強度を高めることができる。
【0035】次に請求項3記載の発明について以下に説明する。請求項3記載の発明は、複数のライニング層を形成することを特徴としている。このため、請求項3記載の発明の実施例では、請求項1記載の発明の実施例において説明した第1乃至第3の工程が形成しようとするライニング層の数に応じて繰り返され、一例として、上記各工程を2回繰り返して2層のライニング層を形成する。この場合、繰り返される各工程毎での樹脂の特性を異ならせることにより、上記した2層のライニング層を形成する場合には、保形性の高い特性を有する樹脂を用いたライニング層と耐震性の高い樹脂を用いたライニング層とを形成する。
【0036】本実施例によれば、特性が異なる樹脂をメッシュチューブ内に封入してその樹脂を管路の内面に流出させる工程を繰り返すことにより、管路の内面に所望する特性の二重ライニングが可能になる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、管内に引き込まれたメッシュチューブが拡張ホースにより径方向に膨張することでメッシュチューブのメッシュ孔が拡大されてメッシュチューブ内に封入されていた樹脂を管内面に塗付し、樹脂硬化後、メッシュチューブと拡張ホースとを取り出すことにより、管内面に樹脂によるライニングが行えるので、予め筒状の内張り材を準備しなくても管路内面へのライニングが行える。これにより、内張り材としての部材を準備することなく内張り材として要求される条件を満足させることができ、しかも、容易に施工が行える樹脂ライニングによる管内ライニング施工が可能になる。
【0038】請求項2記載の発明によれば、管内に引き込まれたメッシュチューブが拡張ホースにより径方向に膨張することでメッシュチューブのメッシュ孔が拡大されてメッシュチューブ内に封入されていた樹脂を管内面に塗付し、樹脂硬化後、拡張ホースのみを取り出すことにより、管内面に樹脂およびメッシュチューブを組合わせた内張りが行われるので、樹脂とメッシュチューブとを組合わせて強度を高めたライニング層を形成することが可能になる。
【0039】請求項3記載の発明によれば、管内に引き込まれたメッシュチューブが拡張ホースにより径方向に膨張することでメッシュチューブのメッシュ孔が拡大されてメッシュチューブ内に封入されていた樹脂を管内面に塗付し、樹脂硬化後、メッシュチューブおよび拡張ホースを取り出すことを繰り返すことにより、複数のライニング層を形成できるので、特性の異なる樹脂層をライニング層として形成することにより、所望の特性を有するライニング層を形成することが可能になる。
【0040】請求項4記載の発明によれば、メッシュチューブが径方向に膨張した時のみメッシュ孔を拡大させるので、管内への引き込み時等の膨張しない状態では、封入されている樹脂を流出させないようにできるので、管内への引き込み時での摺擦抵抗を軽減して引き込み操作を容易に行わせることが可能になる。
【0041】請求項5記載の発明によれば、拡張ホースの内部に流入する流体圧が作用したときのみメッシュチューブから樹脂を流出させることができるので、ライニング施工位置以外での樹脂の無駄な流出が起こらないようにすることが可能になる。
【0042】請求項6および7記載の発明によれば、拡張ホースに作用する流体圧によって樹脂の硬化反応促進を行えるので、拡張ホースの拡張作用とは異なる機能を発揮させることができる。しかも、流体圧の圧力を調整できるようにすれば、メッシュチューブの外部に流出する樹脂の量を制御して最適なライニング層の厚さの設定および経済的な樹脂の消費を行わせることが可能になる。




 

 


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