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発明の名称 靴底に対する意匠凹部の成形方法及び成形型
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−329238
公開日 平成10年(1998)12月15日
出願番号 特願平9−157753
出願日 平成9年(1997)5月30日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 修
発明者 田村 昌雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ラストモールドとサイドモールドに対してボトムモールドを段階的に降下させながら型締めして靴底成形用の空間部を複層に分けて画成し、各空間部に靴底材料を射出して複層の靴底を成形するとともに、この靴底の所定部に意匠凹部を成形するようにした方法であって、前記ボトムモールドを、上段の位置まで上昇させて靴底上層部成形用の空間部を画成し、同時にボトムモールドに内蔵されるピン体をこの空間部内に臨ませて上層部用の靴底材料を射出する工程と、前記ピン体の位置を保ったまま前記ボトムモールドを下段の位置まで降下させて靴底下層部成形用の空間部を画成し、この空間部に下層部用の靴底材料を射出する工程とを備えたことを特徴とする靴底に対する意匠凹部の成形方法。
【請求項2】 請求項1に記載の意匠凹部の成形方法において、前記意匠凹部を靴底の踵部に形成することを特徴とする意匠凹部の成形方法。
【請求項3】 ラストモールドとサイドモールドに対してボトムモールドを段階的に降下させながら型締めして靴底成形用の空間部を複層に分けて画成し、各空間部に靴底材料を射出して複層の靴底を成形するとともに、この靴底の所定部に意匠凹部を成形するようにした成形型であって、前記ボトムモールドの所定部には、意匠凹部を成形するための凹部成形機構が設けられ、この凹部成形機構は、ボトムモールドの所定部を上下摺動自在に貫く摺動ロッドと、この摺動ロッドの上端側に取付けられ且つ少なくとも一部がボトムモールド上に突出するピン体と、このピン体とボトムモールド間に介装され該ピン体を上方に付勢する付勢部材と、前記摺動ロッドの下端側に取付けられ、前記付勢部材の付勢力で型開き時はボトムモールドに係合し、型締め状態ではサイドモールドに係合して上昇位置が規制されるストッパを備えたことを特徴とする成形型。
【請求項4】 請求項3に記載の成形型において、前記ボトムモールドには前記凹部成形機構のほか通気孔成形機構が設けられ、この通気孔成形機構は、付勢部材によって上方に付勢され且つ型締め状態で先端部がラストモールド側に当接する複数のピンを備えたことを特徴とする成形型。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば室内履きの射出成形靴に意匠凹部等を成形する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば運動靴等において靴底を複層構造に成形したような射出成形靴が知られており、例えば上層と下層の色彩を異ならして意匠効果を高めたり、靴底材料を異ならして履き心地性、耐久性等を向上させたりしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、靴底を色違いの複層構造にする時、靴底を下層面(接地面)側から見た時に、窓(凹部)等を通して上層の色彩が覗けるようにすれば、アクセント効果によって斬新的な意匠効果を醸し出すことが出来、靴の購入段階等で購買意欲を高める効果がある。また、このような窓(凹部)等を靴底の効果的な箇所に形成すれば、サクション効果によってクッション性等を向上させることも出来る。
【0004】そこで、本発明は、例えば色違いの複層構造の靴底を射出成形するにあたり、下層の靴底の所定部に凹部を形成し、この凹部から上層の靴底材料を覗かせるような靴底の成形方法及び成形型の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明は、請求項1において、ラストモールドとサイドモールドに対してボトムモールドを段階的に降下させながら型締めして靴底成形用の空間部を複層に分けて画成し、各空間部に靴底材料を射出して複層の靴底を成形するとともに、この靴底の所定部に意匠凹部を成形するようにし、当初ボトムモールドを、上段の位置まで上昇させて靴底上層部成形用の空間部を画成し、同時にボトムモールドに内蔵されるピン体をこの空間部内に臨ませて上層部用の靴底材料を射出し、次にピン体の位置を保ったままボトムモールドを下段の位置まで降下させて靴底下層部成形用の空間部を画成し、この空間部に下層部用の靴底材料を射出するようにした。
【0006】このようにボトムモールドに内蔵されるピン体を靴底上層部成形用の空間部内に臨ませ、上層部用の靴底材料を射出成形した後、ピン体の位置を保ったままボトムモールドだけを降下させて下層部成形用の空間部を画成すれば、ピン体の上面は上層部用の靴底材料に当接したままの状態であり、この空間部に下層部用の靴底材料を射出すれば、ピン体の箇所が打抜かれた状態の窓部(凹部)となり、この窓部(凹部)から上層部用の靴底材料を露出させることが出来る。
【0007】また請求項2では、意匠凹部を靴底の踵部に形成するようにした。このように意匠凹部を靴底の踵部に成形すれば、バランスがとれた位置で意匠効果を高めることが出来、しかもサクション効果によってクッション性等を向上させることが出来る。
【0008】また請求項3では、ラストモールドとサイドモールドに対してボトムモールドを段階的に降下させながら型締めして靴底成形用の空間部を複層に分けて画成し、各空間部に靴底材料を射出して複層の靴底を成形するとともに、この靴底の所定部に意匠凹部を成形するようにした成形型を設け、この成形型として、ボトムモールドの所定部に、意匠凹部を成形するための凹部成形機構を設けた。そしてこの凹部成形機構は、ボトムモールドの所定部を上下摺動自在に貫く摺動ロッドと、この摺動ロッドの上端側に取付けられ且つ少なくとも一部がボトムモールド上に突出するピン体と、このピン体とボトムモールド間に介装され該ピン体を上方に付勢する付勢部材と、前記摺動ロッドの下端側に取付けられ、前記付勢部材の付勢力で型開き時はボトムモールドに係合し、型締め状態ではサイドモールドに係合して上昇位置が規制されるストッパによって構成した。
【0009】そして型締めのためボトムモールドを上段の位置まで上昇させる途中に、凹部成形機構のストッパがサイドモールドに係合するようにして、ピン体をそれ以上上昇させないようにし、それ以降、付勢部材を縮ませながらボトムモールドだけが所定ストローク上昇するようにして、靴底上層部成形用の空間部を画成する。この空間部に上層部用の靴底材料が射出成形されると、次にボトムモールドを所定ストローク内(付勢部材が縮んだ量以内)で降下させて、ピン体の位置を元の位置に保持したまま、ボトムモールドだけを降下させる。そして靴底下層部成形用の空間部を画成し、この空間部に下層部用の靴底材料を射出して成形すれば、下層部用の靴底材料に、ピン体の部分が打抜かれた状態の窓部(凹部)が形成される。
【0010】ここで付勢部材としては、例えばスプリング、又はゴム等の弾性部材、又はエアシリンダ等の各種手段が適用出来る。
【0011】また請求項4では、ボトムモールドに凹部成形機構のほか通気孔成形機構を設け、この通気孔成形機構として、付勢部材によって上方に付勢され且つ型締め状態で先端部がラストモールド側に当接する複数のピンを設けた。そしてこのピンによって靴底を貫通する通気孔を設ける。ここで、ピンを付勢部材で付勢しているため、型締め等において、ピンとラストモールド側が当接する際の衝撃力を弱めることが出来、損耗等防止に有効であり、またピンとラストモールド側を確実に接触させることが出来るため、通気性を確保することが出来る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。ここで図1は靴底を複層構造に射出成形する際の説明図、図2は靴底の接地面側から見た底面図、図3は靴底に意匠凹部を成形するための凹部成形機構の作用図で、図1のA−A断面方向から見た図、図4は靴底に通気孔を成形するための通気孔成形機構の作用図である。
【0013】本発明に係る意匠凹部の成形方法及び成形型は、例えば体育館で使用される運動靴とか、室内履きシューズの複層構造の靴底に意匠凹部(意匠窓)を成形するための技術であり、実施形態における靴底では、図1(B)に示されるように、テープ部S1とソール部S2の色違いの2層構造の靴底Sにするとともに、図2に示すように、踵部の一部のソール部S2を打抜いて意匠凹部qとしている。そしてこの意匠凹部qは、後述する凹部成形機構6によって成形するようにしている。
【0014】また、この靴底Sの踏付け部から爪先部にかけて、テープ部S1とソール部S2を上下に貫通する複数の通気孔t、…を形成しており、この通気孔t、…は、後述する通気孔成形機構5によって成形するようにしている。
【0015】靴底Sを成形するための成形型1は、図1に示すように、胛被Kが吊り込まれるラストモールド2と、靴底Sの周囲側面を画成するサイドモールド3と、靴底Sの接地面側を画成するボトムモールド4を備えており、このボトムモールド4の高さを変えながら靴底成形用の空間部を段階的に画成しつつ、各空間部に靴底材料を射出して複層構造の靴底Sを成形するようにしている。
【0016】すなわち、当初の段階では、ラストモールド2とサイドモールド3に対して、図1(A)に示すように、ボトムモールド4を上段位置にセットして型締めすると、テープ部S1成形用の空間部と、この空間部に連通するテープ部材料注入用通路7が形成されるようにしており、この通路7を通してテープ部成形用空間部内にテープ部材料を射出し、特定色のテープ部S1を成形する。
【0017】次いで、図1(B)に示すように、ボトムモールド4を所定ストローク降下させて型締めすると、ソール部S2成形用の空間部と、この空間部に連通するソール部材料注入用通路8が形成されるようにしており、この通路8を通してソール部材料を射出して、テープ部S1の色彩とは異なる色彩のソール部S2を形成する。
【0018】そしてこのような成形によって、テープ部S1とソール部S2の色彩の異なる2層構造の靴底Sが成形されるが、ボトムモールド4には、踵部に意匠凹部qを成形するための凹部成形機構6(図3)と、靴底Sの踏付け部から爪先部にかけて複数の通気孔t、…を成形するための通気孔成形機構5(図4)が設けられており、まず凹部成形機構6から説明する。
【0019】この凹部成形機構6は、ボトムモールド4の踵部に設けられており、図3(A)に示すように、ボトムモールド4を上下に貫通するピン孔15と、このピン孔15を上下に摺動自在な摺動ロッド16と、この摺動ロッド16の上端部に連結されるピン体17と、摺動ロッド16の下端部に連結されるストッパ18と、ピン体17とボトムモールド4間に介装される付勢部材としてのスプリング19を備えており、型開き状態では、図3(A)に示すように、ストッパ18がボトムモールド4の下面に当接するとともに、ピン体17の一部がボトムモールド4の上面より上方に突出するようにしている。
【0020】また、ストッパ18の近傍のサイドモールド3には、ストッパ18の上昇位置を規制する係止部3e、3eが設けられている。そしてこの係止部3e、3eは、図3(B)に示すように、靴底Sのテープ部S1を成形するためボトムモールド4が上段位置まで上昇する時、ストッパ18を係合せしめて上昇位置を規制するようにしており、ストッパ18の位置がこの係止部3e、3eによって規制された以降、ボトムモールド4だけがスプリング19を縮めながら所定ストローク上昇し、ボトムモールド4の下面とストッパ18の間に所定ストローク分の隙間gが生じるようにしている。
【0021】またこの時のピン体17の上面とラストモールド2側の中底K1(胛被Kと一体、図3では省略、図1に示す)との間には、所定の隙間が形成されるようにしており、ピン体17の上部にもテープ部S1の材料が入り込むようにしている。
【0022】そして、図3(C)に示すように、テープ部S1の成形が終えてボトムモールド4が1段降下し、ソール部S1成形用の空間部が画成される時、前記隙間gが無くなるか又は狭くなるようにしている。このため、ピン体17の上面は依然としてテープ部S1の下面に当接した状態で、ピン体17は同じ位置を保持することになり、この状態でソール部材料を注入してソール部S2を成形すれば、ソール部S2だけに窓が明いた意匠凹部qが形成され、この意匠凹部qを通して色違いのテーブ部S1を視認することが出来る。
【0023】尚、図3(A)において、右側のサイドモールド3とボトムモールド4間には、テープ部材料注入用通路7と同ゲート部7aが設けられ、左側のサイドモールド3とボトムモールド4間には、ソール部材料注入用通路8と同ゲート部8aが設けられている。
【0024】また、ストッパ18の両サイドの上面には、アール部18rを形成し、ストッパ18が左右に傾いて一端側が上がっているような時でも、係止部3eによって円滑に押し下げることが出来るようにしている。
【0025】次に、通気孔成形機構5について説明する。通気孔成形機構5は、図4に示すように、ボトムモールド4を上下に貫通するピン孔10と、このピン孔10に沿って上下に摺動自在なピン11と、前記ピン孔10の下端側開口ネジ部に螺合する調整部材12と、この調整部材12と前記ピン11間に介装される付勢部材としてのスプリング13を備えており、このスプリング13の付勢力で前記ピン11の先端は、ボトムモールド4の上面より上方に突出している。
【0026】そしてこのピン11の突出量は、図4(A)に示すように、靴底Sのテープ部S1を成形するため、ボトムモールド4が上段位置まで上昇した型締め状態で、ピン11の先端が、ラストモールド下面の中底K1に当接するとともに、その後、ボトムモールド4が所定ストローク降下して、図4(B)に示すように、靴底Sのソール部S2を成形するため2段目の型締めを行う際も継続して中底K1に当接するようにしており、中底K1に対してピン11の先端を密着させることで、同部に靴底材料が入り込まないようにしている。
【0027】そして、このようなピン11及びスプリング13等は通気孔t、…の成形箇所に対応して複数箇所に設けられており、このため、テープ部S1及びソール部S2の射出成形が終えると、各ピン11の箇所は靴底材料が入り込まない貫通孔となり、通気孔t、…として成形される。因みに、前記中底K1は、通気性を有する素材から構成されている。
【0028】また、これらのピン11の付勢力は、調整部材12によって調整可能とされている。すなわち、調整部材12をネジ込んでスプリング13を圧縮すれば、ピン11の上方への付勢力が強まり、逆に調整部材12によってスプリング13の圧縮力を弱めれば、ピン11の付勢力が弱まる。そしてこのような調整は、例えばピン11の先端と中底K1の隙間から靴底材料が入り込んで通気孔t、…が潰れるような時とか、靴底Sの厚みを厚くするような時等は、ピン11の付勢力を強めるようにする。
【0029】以上のように構成した成形型における靴底の成形方法について説明する。ラストモールド2とサイドモールド3とボトムモールド4を型締めして、まず図1(A)に示すように、テープ部S1成形用の空間部を画成する。この時、ボトムモールド4は上段位置にセットされ、凹部成形機構6のストッパ18は、図3(B)に示すように、サイドモールド3の係止部3e、3eに係合してピン体17がテープ部S1成形用の空間部の所定の位置に臨んでいる。また、通気孔成形機構5のピン11は、図4(A)に示すように、ラストモールド2側の中底K1に当接している。
【0030】そしてテープ部材料注入用通路7を通して所定色のテープ部材料を注入し、靴底Sのテープ部S1を成形する。
【0031】次いで、図1(B)に示すように、ボトムモールド4を2段目まで降下させて型締めし、ソール部S2成形用の空間部を画成する。この時、凹部成形機構6のピン体17は、図3(C)に示すように、原位置を保ったままでその上面がテープ部S1に当接している。また通気孔成形機構5のピン11は、図4(B)に示すように、中底K1に当接したままである。
【0032】そしてソール部材料注入用通路8を通してテープ部S1とは異なる色彩のソール部材料を注入し、テープ部S1と一体のソール部S2を成形する。
【0033】そして、このようにテープ部S1とソール部S2が一体の靴底Sを成形すると、型開きする。すると、靴底Sの踵部には、凹部成形機構6のピン体17によって、テープ部S1が視認出来る意匠凹部qが成形される。そしてこの意匠凹部qによって意匠効果を高めることが出来、またサクション効果によってクッション性を向上させることが出来る。また、通気孔成形機構5の複数のピン11、…の箇所は、通気孔t、…として、靴内の湿気等を逃がすことが出来る貫通孔として形成される。
【0034】このような成形方法によって、ボトムモールド4を所定ストローク降下させるだけで、意匠凹部q及び通気孔t、…が形成され、また各層の靴底材料の色彩を異ならせれば、意匠凹部qによって極めて斬新的な意匠効果を得ることが出来、しかも踵部に設けることでクッション効果等を向上させることが出来る。
【0035】尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは、本発明の技術的範囲に含まれる。例えば靴底Sは複層でなくて単層でも良く、又は3層以上の複層でも良い。また、凹部成形機構6の付勢部材はスプリング13以外の弾性部材等でも良い。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明の意匠凹部の成形方法及び成形型は、請求項1のように、靴底成形用の空間部を複層に分けて画成し、各空間部に靴底材料を射出して複層の靴底を成形するような方法において、ボトムモールドを、靴底上層部成形用の空間部を画成する位置に上昇させてボトムモールドに内蔵されるピン体をこの空間部内に臨ませて上層部用の靴底材料を射出し、ピン体の位置を保ったままボトムモールドを下段の位置まで降下させて靴底下層部成形用の空間部を画成し、下層部用の靴底材料を射出するようにしたため、下層部用の靴底材料をピン体で打抜いた状態の凹部を成形することが出来、意匠効果を高めることが出来る。
【0037】また請求項2のように、意匠凹部を靴底の踵部に形成すれば、バランスがとれて意匠効果を高めることが出来、しかもサクション効果によってクッション性等を向上させることが出来る。また請求項3のような凹部成形機構をボトムモールドに設ければ、ピン体の位置を保持したままボトムモールドを所定ストローク降下させるような機構が容易に構成出来る。また請求項4のように、ボトムモールドに凹部成形機構のほか通気孔成形機構を設ければ、同時に通気性の良い靴を提供出来る。




 

 


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