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発明の名称 射出成形靴及び射出成形方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−166476
公開日 平成10年(1998)6月23日
出願番号 特願平8−353503
出願日 平成8年(1996)12月17日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 修
発明者 亀山 典央
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 複層一体構造からなる靴底を備えた射出成形靴であって、前記靴底には、所定箇所の底面を局部的に窪ませた意匠窓が形成され、この意匠窓を通して最上層の靴底材料の一部が下面側に露出することを特徴とする射出成形靴。
【請求項2】 請求項1に記載の射出成形靴において、前記靴底は、複数層の靴底材料がすべて射出成形で一体化されることを特徴とする射出成形靴。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の射出成形靴において、前記最上層の靴底材料は、他層の靴底材料と色彩が異なることを特徴とする射出成形靴。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の射出成形靴において、前記意匠窓は、踵部に形成されることを特徴とする射出成形靴。
【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の射出成形靴において、前記最上層の靴底材料は、衝撃吸収材であることを特徴とする射出成形靴。
【請求項6】 ダミーモールドとラストモールドとサイドモールドによって少なくとも最上層の靴底材料を射出成形した後、ダミーモールドを除いてラストモールドとサイドモールドとボトムモールドによって中間層成形用の空間部を形成し、この空間部内に靴底材料を射出成形することで少なくとも中間層と最上層を備えた複層一体構造の靴底を成形するようにした射出成形方法であって、前記中間層成形用の空間部を形成する際、前記ボトムモールドに設けた窓成形用突起を最上層の靴底材料に当接させ、この空間部内に中間層用靴底材料を射出成形することで、靴底の底面に意匠窓を形成するようにしたことを特徴とする射出成形靴の射出成形方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば靴底を複層一体構造にした射出成形靴において、靴底内部の最上層の靴底材料を底面側から視認出来るようにした射出成形靴及びその成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば本底を射出成形して胛被と一体化したような射出成形靴において、靴底を複層構造にしたような靴が知られている。このような複層構造の靴底は、例えば各層の色彩を異ならして多色靴にするような場合に便利な方法として採用され、色彩の異なる樹脂材料を順次射出成形して一体化している。
【0003】また、射出成形靴の靴底に衝撃吸収材を設けて複層化することもあり、例えば予め所定形状に切出した一定厚みの衝撃吸収材を中底の裏面とか本底の上面に貼り付ける等によって複層構造にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、例えば衝撃吸収材のように、靴底上面の一部に局部的に貼り付けて複層化する場合、靴の外側から視認することが出来ないため衝撃吸収機能を有する靴であることの識別に不便であり、外側から視認出来れば便利であった。また、この際、衝撃吸収材を設けた箇所の衝撃吸収効果を助長出来れば更に好ましかった。
【0005】また、例えば各層の色彩を異ならせた多色靴の場合、靴底の一部に最上層の色彩を露出させることが出来れば、底面側から見た場合に全体の調子を引き締めるアクセント効果をだすことが出来、意匠効果上好ましかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明は、請求項1において、複層一体構造からなる靴底を備えた射出成形靴において、靴底に、所定箇所の底面を局部的に窪ませた意匠窓を形成し、この意匠窓を通して最上層の靴底材料の一部を下面側に露出させた。
【0007】このように、意匠窓から最上層の靴底材料を露出させれば、例えば請求項3のように最上層の靴底材料の色彩が異なる場合は、底面側から見た場合の意匠効果を高めることが出来、また請求項5のように最上層の靴底材料が衝撃吸収材である場合は、衝撃吸収機能を有する靴であることを識別することが出来る。
【0008】また請求項2では、複数層の靴底材料をすべて射出成形で一体化するようにした。このように全て射出成形して一体化すれば、靴底全体の接合強度を高めることが出来る。
【0009】また請求項4では、意匠窓を、踵部に形成するようにした。このように意匠窓を踵部に形成すれば、踵部底面の意匠窓の窪み(凹部)によって、同部の靴底の変形度が高まり、衝撃荷重を吸収する効果が助長される。
【0010】また請求項6では、ダミーモールドとラストモールドとサイドモールドによって少なくとも最上層の靴底材料を射出成形した後、ダミーモールドを除いてラストモールドとサイドモールドとボトムモールドによって中間層成形用の空間部を形成し、この空間部内に靴底材料を射出成形することで少なくとも中間層と最上層を備えた複層一体構造の靴底を成形するようにした射出成形方法において、中間層成形用の空間部を形成する際、ボトムモールドに設けた窓成形用突起を最上層の靴底材料に当接させ、この空間部内に中間層用靴底材料を射出成形することで、靴底の底面に意匠窓を形成するようにした。
【0011】そしてこのような成形方法によって、意匠窓を有する複層構造の靴底の最上層と中間層を射出成形し一体化する。勿論、最上層と中間層の二層に限られるものではなく、それ以上でも良い。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。ここで図1は本発明に係る射出成形靴の縦断面図、図2は靴底の説明図であり、(A)は靴底の上面図、(B)は靴底の底面図、図3は靴底の射出成形に使用する各モールドの斜視図、図4乃至図8は靴底の成形過程を示す状態図である。
【0013】本発明に係る射出成形靴は、靴底が衝撃吸収材層を含む複層構造の運動靴等において、靴底の底面に意匠窓を設け、この意匠窓を通して衝撃吸収材の一部を下面側に露出させるようにしたものであり、底面側から見ただけで衝撃吸収機能を有する靴であることを識別出来、また、衝撃吸収材の色彩を変化させることで底面側から見た意匠効果を高め、更に意匠窓の凹部によって衝撃吸収効果を助長させるようにしたものである。
【0014】すなわち、本発明の射出成形靴1は、図1、図2に示すように、胛被3と一体の靴底2を備えており、この靴底2は、最上層としての衝撃吸収材2aと、中間層としての本底2bと、最下層としての接地材2cの三層構造とされている。そして衝撃吸収材2aは、図2(A)に示すように、踵部周辺に局部的に設けられており、接地材2cは、図2(B)に示すように、爪先側と踵側に局所的に設けられ、いずれも射出成形で成形されるとともに、その後、射出成形された本底2bと一体化されている。
【0015】そして衝撃吸収材2aは、例えば発泡材を含む柔軟性のある熱可塑性樹脂組成物から射出成形され、本底2bと接地材2cは、例えば熱可塑性樹脂を主成分とする色違いの樹脂から射出成形されるとともに、衝撃吸収材2aの平面形状は、図2(A)にも明らかなように、踵側が略半円弧部で先端側が外甲寄りに偏って延出した後先細りとなる歪曲楕円形状とされ、接地時に主として踵部にかかる衝撃荷重を効果的に吸収し、疲れにくくなるようにしている。またこの衝撃吸収材2aの色彩は、本底2b、接地材2cのいずれの色彩とも異ならせている。尚、図1の図番4は中底である。
【0016】ここで、靴底2の踵部底面側には、中央部が略三角形状に窪む意匠窓Xが形成されている。すなわち、この意匠窓Xは、接地材2cと本底2bを貫通した状態で形成され、底面側から見ると色彩の異なる衝撃吸収材2aの一部が露出するようにしている。
【0017】そしてこのような意匠窓Xによって、底面側から見た時に全体の調子を引き締めるアクセント効果が高まり、また、衝撃吸収機能を有する靴であることの識別が容易に行われる。
【0018】また、この意匠窓Xの窪みは、踵部にかかる衝撃を吸収する機能も果たす。すなわち、この意匠窓Xの窪みによって、荷重がかかった時の靴底2の変形度が高まり、衝撃吸収効果が助長される。
【0019】以上のような射出成形靴1の靴底2は、図3に示すような射出成形装置10によって成形される。
【0020】すなわち、この射出成形装置10は、図3に示すように、ラストモールド11と、左右に分割可能な左右一対のサイドモールド12、12と、上・下ダミーモールド13、14と、ボトムモールド15を備えており、上・下ダミーモールド13、14は断熱材16を介して一体化されている。
【0021】そしてラストモールド11は、胛被3を容易に吊り込むことが出来るよう踵部がスライド部11aとしてスライド自在にされており、また上ダミーモールド13の上面には、ラストモールド11底面のアナトミー形状に合せて形状部13aが刻設され、更にこの形状部13aのうち踵部周辺には、衝撃吸収材2aを成形するためのキャビティ部Caが刻設されている。このキャビティ部Caを画成するために、キャビティ部Ca周縁にシリコーンゴム等の弾性材Dを固定配設しても良い。
【0022】そして、ラストモールド11と上ダミーモールド13を型組みすると(図6)、ラストモールド11の底面が上ダミーモールド13の形状部13aに密着し、同時にキャビティ部Caが空間部として画成されるようにしている。
【0023】また上ダミーモールド13の片側端面には、樹脂注入用の注入孔13mが設けられ、この注入孔13mから前記キャビティ部Caに向けて注入通路が形成されるとともに、この注入通路は、キャビティ部Caに向けて開口する充填孔j(図6)に連通している。因みに、この充填孔jは、バリ等を防止するため、キャビティ部Ca内に向けて先細りに開口しており、この先細りの充填孔jを形成する加工上の必要から、注入孔13m附近を入れ駒式に構成している。
【0024】下ダミーモールド14の下面には、本底2bの底面形状に合せた形状の形状部14a(図6)が形成され、ボトムモールド15の上面には、下ダミーモールド14の形状部14aに倣った形状の形状部15aが刻設されるとともに、更にこの形状部15aの爪先側と踵側には、接地材2cを成形するためのキャビティ部Ccが刻設されている。
【0025】また、ボトムモールド15のキャビティ部Ccの略中央部には、窓成形用突起tが突設されている。この窓成形用突起tは、靴底2に意匠窓Xを形成するためのものであり、下ダミーモールド14の形状部14aには、この窓成形用突起tとの干渉を避けるための嵌合凹部u(図6)が形成されている。
【0026】そして、下ダミーモールド14とボトムモールド15を型組みすると(図6)、形状部14a、15a同士が密着し、同時にキャビティ部Ccが空間部として画成されるとともに、後述するように、ラストモールド11とサイドモールド12とボトムモールド15を型組すると(図7)、本底2bを成形するためのキャビティ部Cbが空間部として画成され、且つ後述するように、窓成形用突起tの先端面が衝撃吸収材2aの下面に当接するようにしている。
【0027】また、ボトムモールド15の片側端面には、接地材2c樹脂注入用の注入孔15mと、本底2b樹脂注入用の注入孔15nが設けられ、前記注入孔15mから前記キャビティ部Cc内に向けて注入通路が形成されるとともに、この注入通路は、キャビティ部Ccに向けて開口する充填孔i、i(図6)に連通している。また、前記注入孔15nから前記キャビティ部Cbに向けても注入通路が形成されるとともに、この注入通路は、キャビティ部Cbに向けて開口する充填孔k1、k2に連通している。
【0028】尚、これらの充填孔i、k1、k2もバリ等を防止するため、各キャビティ部Cc、Cb内に向けて先細りに開口しており、この先細りの充填孔i、k1、k2を形成する加工上の必要から、ボトムモールド15の注入孔15m、15n附近で厚み方向に二分割して構成している。
【0029】以上のような射出成形装置10による射出成形方法について説明する。図4に示すように、ラストモールド11(実際は胛被3を吊り込んでいる)を■のようにサイドモールド12、12と組合わせた後、■のように上・下ダミーモールド13、14と組合わせ、更に■のようにボトムモールド15と組合わせることで全てのモールドを組合わせる。
【0030】この型組み状態は図5に示すような状態となり、またこの縦断面図は図6の通りとなる。すなわち、ラストモールド11と上ダミーモールド13の間には、衝撃吸収材2a用樹脂を充填するためのキャビティ部Caが形成され、下ダミーモールド14とボトムモールド15の間には、接地材2c用樹脂を充填するためのキャビティ部Ccが形成される。
【0031】この状態で上ダミーモールド13の注入孔13mから、衝撃吸収材2a用の溶融樹脂を注入するとともに、ボトムモールド15の注入孔15mから接地材2c成形用の溶融樹脂を注入する。
【0032】衝撃吸収材2aと接地材2cが成形されると、図4の■のようにボトムモールド15を分離させて■のように上・下ダミーモールド13、14を抜き出し、その後、■のように再度ボトムモールド15を組み直す。
【0033】この時の型組み状態の縦断面図は、図7の通りであり、型組み内部に本底2b用の溶融樹脂を充填するキャビティ部Cbが形成される。この時、前記要領で成形された衝撃吸収材2aはラストモールド11の底面に貼り付いた状態で残置しており、接地材2cはボトムモールド15のキャビティ部Cc内に残置した状態でセットされている。
【0034】そして、ボトムモールド15の窓成形用突起tの頂面は、衝撃吸収材2aに密着して当接した状態になる。この際、実施形態では、衝撃吸収材2aの表面が窓成形用突起tによって押圧され僅かに窪む程度に圧着させている。
【0035】この状態でボトムモールド15の注入孔15nから溶融樹脂が注入される。すると、溶融樹脂は充填孔k1、k2からキャビティ部Cb内に流れ込み、図8に示すように、衝撃吸収材2aと本底2bと接地材2cの三層一体構造からなる靴底2が成形され、同時に踵部底面に意匠窓Xが形成される。
【0036】そして、この意匠窓Xを通して、下面側に色彩の異なる衝撃吸収材2aが露出し、アクセント効果によって意匠効果が高まり、また底面側から覗くことで、衝撃吸収機能を有する靴であることを直ちに識別出来る。しかも、意匠窓Xによって踵部の衝撃吸収効果を助長することが出来る。
【0037】尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、本発明の技術的範囲に包含される。例えば最上層は必ずしも局部的な衝撃吸収材2aである必要はなく、また意匠窓Xの位置も踵部に限定されるものではない。更に意匠窓Xの形状も、三角以外に四角でも丸形でも良く、色彩の自由である。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明の射出成形靴及び射出成形方法は、複層構造の靴底に、所定箇所の底面が局部的に窪む意匠窓を形成し、この意匠窓を通して最上層の靴底材料の一部を下面側に露出させるようにしたため、例えば最上層の靴底材料が衝撃吸収材である場合、衝撃吸収機能を有する靴であることの識別が容易になされ、また最上層の靴底材料の色彩が異なる場合は、底面側から見た場合の意匠効果を高めることが出来る。また意匠窓を衝撃荷重のかかりやすい箇所に設ければ、窪みによって衝撃荷重を吸収することが出来、好都合である。




 

 


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