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発明の名称 化粧材の脱色方法及び脱色装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−337708
公開日 平成10年(1998)12月22日
出願番号 特願平9−161832
出願日 平成9年(1997)6月4日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】西村 陽一 (外2名)
発明者 浜 正俊 / 椙田 潔司 / 岩下 名奈
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 脱色前の化粧材が有する脱色前明度を測定し、この脱色前明度と、脱色することによって得ようとする化粧材の指定明度とから、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を算出し、算出した濃度、配合または噴霧量に基づいて、化粧材に脱色剤を噴霧するようにした化粧材の脱色方法。
【請求項2】 化粧材の脱色領域を複数の脱色単位領域に分割し、その脱色単位領域毎に脱色前の化粧材が有する脱色前明度を測定し、脱色単位領域毎に測定された化粧材の脱色前明度と、脱色によって得ようとする化粧材の指定明度とから、前記脱色単位領域毎に、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を算出し、前記脱色単位領域毎に算出された濃度、配合または噴霧量に基づいて、化粧材に脱色剤を噴霧するようにした化粧材の脱色方法。
【請求項3】 化粧材の脱色領域に、指定された濃度、配合または噴霧量で脱色剤を噴霧する脱色手段と、脱色することによって得ようとする化粧材の指定明度を入力する明度入力手段と、化粧材の前記脱色領域における脱色前明度を測定する明度測定手段と、種々の明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度、配合または噴霧量を予め記憶した脱色情報記憶手段と、前記明度入力手段に入力された指定明度と前記明度測定手段によって測定された脱色前明度とから、両者の明度差を算出し、その算出された明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度、配合または噴霧量を前記脱色情報記憶手段から読み出し、読み出した脱色剤の濃度、配合または噴霧量を前記脱色手段に出力する脱色制御手段とを備えた化粧材の脱色装置。
【請求項4】 化粧材の脱色領域を複数の脱色単位領域に分割し、その脱色単位領域毎に、指定された濃度、配合または噴霧量で脱色剤を噴霧する脱色手段と、脱色することによって得ようとする化粧材の指定明度を入力する明度入力手段と、脱色前の化粧材の脱色領域を複数の測定単位領域に分割し、その測定単位領域毎に化粧材の脱色前明度を測定する明度測定手段と、種々の明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度、配合または噴霧量を予め記憶した脱色情報記憶手段と、前記明度入力手段に入力された指定明度と前記明度測定手段によって測定された前記測定単位毎の脱色前明度とから、両者の明度差を前記脱色単位領域毎にそれぞれ算出し、その算出された明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度、配合または噴霧量を、前記脱色情報記憶手段からそれぞれ読み出し、読み出した脱色剤の濃度、配合または噴霧量を前記脱色単位領域毎に前記脱色手段に出力する脱色制御手段とを備えた化粧材の脱色装置。
【請求項5】 前記脱色手段に使用する脱色剤を指定する脱色剤入力手段を備え、前記脱色情報記憶手段は、前記脱色手段で使用される種々の脱色剤毎に、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するための脱色剤補正データが記憶されており、前記脱色制御手段は、前記脱色剤入力手段に入力された脱色剤に対応した脱色剤補正データを前記脱色情報記憶手段から読み出し、この脱色剤補正データに基づいて、前記脱色手段に出力する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するようにした請求項3または4に記載の化粧材の脱色装置。
【請求項6】 脱色しようとする化粧材の材質を入力する材質入力手段を備え、前記脱色情報記憶手段は、化粧材の材質毎に、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するための材質補正データを備えており、前記脱色制御手段は、前記材質入力手段に入力された化粧材の材質に対応した材質補正データを前記脱色情報記憶手段から読み出し、この材質補正データに基づいて、前記脱色手段に出力する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するようにした請求項3、4または5に記載の化粧材の脱色装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、化粧単板、化粧板等の化粧材の脱色方法及び脱色装置、特に、明度が異なる複数の化粧材または部分的に異なる明度を有する化粧材を、統一した所定の明度に脱色することのできる化粧材の脱色方法及び脱色装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】化粧単板、化粧板等の化粧材の脱色は、所定の濃度に調整された脱色剤を、脱色領域の全面に均一に噴霧または塗布することにより行われるのが一般的である。
【0003】ところで、脱色前の化粧材は、使用される木材の種類、同一種類の木材が使用される場合でも使用される部位等によって、明度が常に一定ではなく、また、はぎ合わせ等によって製造される化粧材については、単一の化粧材であっても、部分的に明度が異なる場合も多い。
【0004】従って、上述した方法で化粧材の脱色を行うと、化粧材自体の明度が相互に異なる場合や、単一の化粧材において部分的に明度が異なる場合には、脱色前の化粧材の明度が脱色後の明度に影響を与えるため、脱色後の化粧材の明度が脱色しようとした目的の明度にならなかったり、複数の化粧材相互間で異なった明度に脱色されたり、単一の化粧材においても、部分的に明度が異なるように脱色されたりするといった状態が起こる。
【0005】このため、脱色後の明度むら(濃淡)が極端に大きい化粧材については、不良品となったり、濃色着色用の化粧材として使用せざるを得なくなり、明度むらの大きい化粧材の有効利用及び品質の安定化が図れないといった問題があった。
【0006】そこで、この発明の課題は、脱色前の明度が相互に異なる複数の化粧材または部分的に明度が異なる化粧材を、統一した所定の明度に脱色することのできる化粧材の脱色方法及び脱色装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、この発明は、脱色前の化粧材が有する脱色前明度を測定し、この脱色前明度と、脱色することによって得ようとする化粧材の指定明度とから、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を算出し、算出した濃度、配合または噴霧量に基づいて、化粧材に脱色剤を噴霧するようにしたのである。
【0008】以上のような方法で化粧材の脱色を行うと、脱色前の複数の化粧材の明度が相互に異なる場合であっても、全ての化粧材を同一の明度に統一して脱色することができる。
【0009】また、化粧材の脱色領域を複数の脱色単位領域に分割し、その脱色単位領域毎に脱色前の化粧材が有する脱色前明度を測定し、脱色単位領域毎に測定された化粧材の脱色前明度と、脱色によって得ようとする化粧材の指定明度とから、前記脱色単位領域毎に、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を算出し、前記脱色単位領域毎に算出された濃度、配合または噴霧量に基づいて、化粧材に脱色剤を噴霧するようにすると、脱色前の明度が部分的に異なる化粧材についても、全体が同一の明度になるように脱色することができる。
【0010】前者の脱色方法を実施するためには、化粧材の脱色領域に、指定された濃度、配合または噴霧量で脱色剤を噴霧する脱色手段と、脱色することによって得ようとする化粧材の指定明度を入力する明度入力手段と、化粧材の前記脱色領域における脱色前明度を測定する明度測定手段と、種々の明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度、配合または噴霧量を予め記憶した脱色情報記憶手段と、前記明度入力手段に入力された指定明度と前記明度測定手段によって測定された脱色前明度とから、両者の明度差を算出し、その算出された明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度、配合または噴霧量を前記脱色情報記憶手段から読み出し、読み出した脱色剤の濃度、配合または噴霧量を前記脱色手段に出力する脱色制御手段とを備えた化粧材の脱色装置を使用すればよい。
【0011】また、後者の脱色方法を実施するためには、化粧材の脱色領域を複数の脱色単位領域に分割し、その脱色単位領域毎に、指定された濃度、配合または噴霧量で脱色剤を噴霧する脱色手段と、脱色することによって得ようとする化粧材の指定明度を入力する明度入力手段と、脱色前の化粧材の脱色領域を複数の測定単位領域に分割し、その測定単位領域毎に化粧材の脱色前明度を測定する明度測定手段と、種々の明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度、配合または噴霧量を予め記憶した脱色情報記憶手段と、前記明度入力手段に入力された指定明度と前記明度測定手段によって測定された前記測定単位毎の脱色前明度とから、両者の明度差を前記脱色単位領域毎にそれぞれ算出し、その算出された明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度、配合または噴霧量を、前記脱色情報記憶手段からそれぞれ読み出し、読み出した脱色剤の濃度、配合または噴霧量を前記脱色単位領域毎に前記脱色手段に出力する脱色制御手段とを備えた化粧材の脱色装置を使用すればよい。
【0012】さらに、前記脱色手段に使用する脱色剤を指定する脱色剤入力手段を設け、前記脱色情報記憶手段には、前記脱色手段で使用される種々の脱色剤毎に、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するための脱色剤補正データを記憶させておき、前記脱色制御手段が、前記脱色剤入力手段に入力された脱色剤に対応した脱色剤補正データを前記脱色情報記憶手段から読み出し、この脱色剤補正データに基づいて、前記脱色手段に出力する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するようにしておくと、種々の脱色剤を使用する場合でも、使用する脱色剤によって、脱色された化粧材の明度に差が生じることがない。
【0013】また、脱色しようとする化粧材の材質を入力する材質入力手段を設け、前記脱色情報記憶手段には、化粧材の材質毎に、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するための材質補正データを記憶させておき、前記脱色制御手段が、前記材質入力手段に入力された化粧材の材質に対応した材質補正データを前記脱色情報記憶手段から読み出し、この材質補正データに基づいて、前記脱色手段に出力する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するようにしておくと、化粧材を構成する木材成分、色素、密度等によって異なる脱色剤の脱色性能を考慮した脱色を行うことができ、さらに、精度の良い脱色を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、この化粧材の脱色装置1は、基材の表面に化粧単板が貼り付けられた化粧板Pの表面を脱色するための装置であり、脱色しようとする化粧材Pの脱色領域を複数の脱色単位領域に分割し、その脱色単位領域毎に、指定された濃度及び噴霧量で脱色剤を噴霧する脱色手段10と、脱色することによって得ようとする化粧材Pの指定明度を入力する明度入力手段20と、前記脱色手段10に使用する脱色剤を指定する脱色剤入力手段30と、脱色しようとする化粧材Pの材質を入力する材質入力手段40と、種々の明度差分を脱色するために必要な脱色剤の濃度及び噴霧量を予め記憶した脱色情報記憶手段50と、脱色前の化粧材Pの脱色領域を複数の測定単位領域に分割し、その測定単位領域毎に脱色前の化粧材Pが有する明度を測定する明度測定手段60と、前記明度入力手段20、脱色剤入力手段30及び材質入力手段40によって入力された種々の入力情報に基づいて実際に脱色に使用する脱色剤の濃度及び噴霧量を算出し、これを前記脱色手段10に出力する脱色制御手段70とから構成されている。なお、図1において、Cは化粧材Pを脱色位置に搬送するためのベルトコンベアである。
【0015】前記脱色手段10は、使用する脱色剤を所定の濃度、配合及び噴霧量に調整する脱色剤調整手段を備えており、前記脱色単位領域毎に指定された濃度、配合及び噴霧量で脱色剤を化粧材Pの表面に噴霧することができるようになっている。
【0016】なお、前記脱色剤の配合に関しては、複数種類の脱色剤成分を噴霧する直前に指定された比率に配合したり、予め配合比率を変えたものを数種類準備しておき、それらを使い分けたりする方式を採用することができる。
【0017】また、この脱色手段10は、上述したように、脱色領域を複数の脱色単位領域に分割し、その脱色単位領域毎に、指定された濃度及び噴霧量で脱色剤を噴霧することができるものであれば特に限定されない。
【0018】前記明度入力手段20、脱色剤入力手段30及び材質入力手段40は、共通のキーボード等によって構成されており、脱色によって得ようとする化粧材Pの指定明度、使用する脱色剤、化粧材Pを構成する木材の材質等の情報を1つのキーボードから、前記脱色制御手段70にそれぞれ入力することができるようになっている。
【0019】通常、化粧材Pの明度は10段階で表示されるので、1〜10の数字で明度を設定(入力)することになるが、さらに微妙な明度に設定したいときは、例えば、50段階表示等を選択し、1〜50の数字で目的の明度を入力することもできるようになっている。
【0020】前記脱色手段10には、過酸化水素水、亜塩素酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、ヒドラジン水和物、次亜硫酸ナトリウム、二塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等を主成分とした種々の脱色剤が使用されるが、それぞれの脱色剤毎に脱色能力が異なるため、使用する種々の脱色剤には、予めそれぞれ独立した脱色剤コード番号が設定されており、実際に使用する脱色剤の脱色剤コード番号を前記脱色剤入力手段30によって入力することができるようになっている。
【0021】また、化粧材Pを構成する木材の材質によって、その木材成分、色素、密度等が異なり、これらの要因によって同一の脱色剤であってもその脱色性能が変化するため、同一の脱色剤を使用して同一条件で化粧材Pを脱色しても、化粧材Pの材質が異なれば、脱色後の明度が微妙に違ってくる。従って、化粧材Pを構成する木材の材質毎に、予め材質コード番号が設定されており、前記材質入力手段40によって、脱色しようとする化粧材Pの材質を、その材質コード番号によって入力することができるようになっている。
【0022】なお、この実施形態では、前記明度入力手段20、脱色剤入力手段30及び材質入力手段40をキーボードによって構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、バーコード入力装置等を使用することもできる。
【0023】前記脱色情報記憶手段50は、RAM、フロッピーディスク、ハードディスク等の記憶媒体によって構成されており、こうした記憶媒体には、種々の明度差分(例えば、明度7の化粧材を明度5に脱色する場合は、明度差が2となる。)を基準となる脱色剤を使用して脱色するために必要な脱色剤の基準濃度及び基準噴霧量と、前記脱色剤コード番号及びこの脱色剤コード番号毎に前記基準濃度及び基準噴霧量を補正するための脱色剤補正用データと、前記材質コード番号及びこの材質コード番号毎に前記基準濃度及び基準噴霧量を補正するための材質補正用データとが予め記憶されている。
【0024】前記脱色剤補正データは、使用される種々の脱色剤について、前記基準脱色剤に対する脱色能力の差を考慮し、前記基準脱色剤を使用したときと同様の脱色能力が得られるように、前記基準濃度及び基準噴霧量を増減補正するためのデータである。また、前記材質補正用データは、基準となる木材に対して他の木材を使用した場合の基準脱色剤の脱色能力の変化を考慮して、種々の材質に対して基準となる木材を使用したときと同様の脱色能力が得られるように、前記基準濃度及び基準噴霧量を増減補正するためのデータである。
【0025】従って、前記明度力手段20によって入力された指定明度と後述する明度測定手段60によって測定された脱色前の化粧材Pの脱色前明度との明度差、前記脱色剤入力手段30、材質入力手段40によってそれぞれ入力された脱色剤コード番号、材質コード番号に基づいて、その明度差、脱色剤コード番号、材質コード番号に対応する脱色剤の基準濃度及び基準噴霧量、脱色剤補正用データ、材質補正用データが随時読み出せるようになっている。
【0026】前記明度測定手段60は、カラーCCDカメラによって構成されており、測定した脱色前の化粧板Pの色彩の表色値を、RGB表色系の色度(r、g、b)として、前記脱色制御手段70に出力し、この脱色制御手段70がRGB表色系の色度(r、g、b)からCIELAB表色系の明度指数Lに変換するようになっている。なお、この実施形態では、明度測定手段60をカラーCCDカメラによって構成しているが、測定したいデータは明度だけであるので、モノクロCCDカメラによって構成することもできる。
【0027】前記脱色制御手段70は、マイクロコンピュータ等によって構成されており、図1に示すように、前記明度入力手段20からの指定明度が入力される明度入力部71と、前記脱色剤入力手段30からの脱色剤コード番号が入力される脱色剤入力部72と、前記材質入力手段40からの材質コード番号が入力される材質入力部73と、前記明度測定手段60から出力される脱色前の化粧材Pの色彩の測定単位領域毎の表色値(r、g、b)をそれぞれCIELAB表色系の明度指数Lに変換するデータ変換部74と、前記明度入力部71に入力された指定明度及び前記データ変換部74によって測定単位領域毎に求められた脱色前の化粧材Pの明度指数Lから化粧材Pの指定明度と脱色前明度との明度差を前記脱色単位領域毎に算出する明度差算出部75と、この明度差算出部75によって脱色単位領域毎に算出された明度差、前記脱色剤入力部72、材質入力部73にそれぞれ入力された脱色剤コード番号、材質コード番号に対応する、基準濃度及び基準噴霧量、脱色剤補正用データ、材質補正用データを前記脱色情報記憶手段50から読み込む濃度・噴霧量読込部76と、この濃度・噴霧量読込部76によって読み込まれた前記基準濃度及び基準噴霧量を、前記脱色剤補正用データ及び材質補正用データに基づいて補正する補正部77と、この補正部77によって補正された脱色剤の濃度及び噴霧量を前記脱色手段10に出力する出力部78とから構成されている。
【0028】前記補正部77は、前記濃度・噴霧量読込部76によって、脱色単位領域毎に読み込まれた前記基準濃度及び基準噴霧量を、脱色単位領域毎に補正するための複数の作業領域を備えており、この作業領域を用いて以下のような補正処理を行う。
【0029】まず、前記濃度・噴霧量読込部76によって読み込まれた前記基準濃度及び基準噴霧量を、前記脱色剤補正用データによって補正することで、使用する脱色剤の脱色性能を考慮した第1補正濃度及び第1補正噴霧量を算出する。
【0030】次に、この第1補正濃度及び第1補正噴霧量を、さらに前記材質補正用データによって補正することで、化粧材Pの材質に伴って変化する脱色剤の脱色能力を考慮したした第2補正濃度及び第2補正噴霧量を算出し、これを前記出力部78に出力する。
【0031】以上のように構成された化粧材の脱色装置1について、その脱色処理手順を図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0032】まず、前記明度入力手段20、脱色剤入力手段30及び材質入力手段40によって、脱色によって得ようとする化粧材Pの指定明度、使用する脱色剤の脱色剤コード番号及び脱色しようとする化粧材Pの材質コード番号を順次入力する(ステップS1、S2、S3)と、前記明度測定手段60によって、脱色前の化粧材Pの脱色領域の色彩の表色値(r、g、b)が測定される(ステップS4)。
【0033】次に、測定された脱色前の化粧材の表色値(r、g、b)が、前記データ変換部74において明度指数Lに変換された後、この明度指数Lと前記明度入力手段20に入力された指定明度との差を前記明度差算出部75によって算出し(ステップS5)、この明度差及び入力された脱色剤コード番号、材質コード番号に対応する基準濃度及び基準噴霧量、脱色剤補正用データ、材質補正用データが、前記脱色情報記憶手段50から順次読み込まれる(ステップS6、S7、S8)。
【0034】そして、補正部77では、上述したように、基準濃度及び基準噴霧量の補正が行われ(ステップS9)、脱色剤及び化粧材Pの材質を考慮した、脱色剤の濃度及び噴霧量が前記出力部78を介して前記脱色手段10に出力される(ステップS10)。
【0035】前記脱色手段10は、脱色単位領域毎に送られてくる、補正された脱色剤の濃度及び噴霧量に基づき、化粧材Pの脱色単位領域毎に所定の濃度及び噴霧量で脱色剤を噴霧して、化粧材Pを脱色する(ステップS11)。
【0036】以上のように、この脱色装置1は、同一の濃度及び噴霧量で脱色剤を噴霧することにより、化粧材Pの脱色領域全体を一律に脱色するのではなく、化粧材Pの脱色領域を複数の脱色単位領域に分割し、それぞれの脱色単位領域毎に、脱色前の化粧材Pの明度を考慮して、脱色に使用する脱色剤の濃度及び噴霧量を変化させるようにしたため、例えば、図3(a)に示すように、脱色前の化粧材Pが部分的に異なる明度を有している場合でも、この脱色装置1を用いて脱色すると、同図(b)に示すように、化粧材P全体が同一の明度に脱色される。
【0037】また、この脱色装置1では、使用する脱色剤や脱色しようとする化粧材Pの材質を考慮した補正も行っているため、脱色能力の異なる脱色剤を使用した場合でも、脱色された化粧材Pの明度が微妙に異なるといったこともなく、異なる材質の化粧材Pを脱色した場合でも、同一明度に脱色することができる。
【0038】図3においては、1枚の化粧材Pにおいて、部分的に明度が異なる場合について説明したが、例えば、複数の化粧材を同一明度に脱色する場合であって、脱色前のそれぞれの化粧材は部分的に明度が異なることはないが、化粧材相互間で全体の明度が異なる場合でも、この脱色装置1を用いて脱色を行えば、複数の化粧材を全て同一明度に脱色することができる。
【0039】このように、それぞれの化粧材自体の明度が全体として統一されている場合は、上述したように、化粧材の脱色領域を複数の脱色単位領域に分割して、それぞれの脱色単位領域毎に補正する必要はないので、脱色領域の全体を同一の濃度及び噴霧量で脱色剤を噴霧することのできる脱色手段を使用すればよく、脱色前の化粧材の明度を測定する明度測定手段も脱色領域全体の明度を平均的に測定できる分光光度計等の精度の低いものを使用すればよい。また、脱色制御手段も脱色領域全体として1つの濃度及び噴霧量を取り扱えばよいので、基準濃度及び基準噴霧量を読み込む読込領域や基準濃度及び基準噴霧量を補正するために使用する作業領域が小さくてもよいことはいうまでもない。
【0040】また、この実施形態では、脱色前の化粧材Pの明度を測定するためにRGB表色系の色度(r、g、b)を測定しているが、必ずしもこういった表色値を測定する必要はなく、CIELAB表色系の明度指数Lを直接測定することも可能である。
【0041】また、この実施形態では、実際の脱色に使用する脱色剤の濃度及び噴霧量の双方を調整するようにしているが、濃度、噴霧量のいずれか一方が固定されている場合は、他方のみを調整すればよいので、基準濃度または基準噴霧量の読込みや補正もその他方のみについて行えばよい。また、この実施形態では、脱色剤の濃度及び噴霧量だけを調整しているが、例えば、2種類以上の脱色剤を配合し、その配合量を調整することも可能である。
【0042】
【発明の効果】請求項1及び請求項3の化粧材の脱色方法及び脱色装置は、脱色前の化粧材が有する脱色前明度を測定し、この脱色前明度と、脱色することによって得ようとする化粧材の指定明度とから、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を算出し、算出した濃度、配合または噴霧量に基づいて、化粧材に脱色剤を噴霧するようにしたため、脱色前の複数の化粧材の明度が相互に異なる場合であっても、全ての化粧材を同一の明度に統一して脱色することができる。
【0043】請求項2及び請求項4の化粧材の脱色方法及び脱色装置は、上述した脱色方法及び脱色装置において、化粧材の脱色領域を複数の脱色単位領域に分割し、その脱色単位領域毎に、脱色に使用する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を算出するようにしたため、脱色前の明度が部分的に異なる化粧材についても、全体を同一の明度に統一して脱色することができる。
【0044】また、請求項5の脱色装置は、使用する脱色剤に応じて、脱色手段に出力する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するようにしたため、脱色剤によって微妙に異なる脱色性能を考慮した脱色が可能となり、使用する脱色剤に拘わらず、常に化粧材を目的の明度に脱色することができるという効果がある。
【0045】さらに、請求項6の脱色装置は、化粧材の材質に応じて、脱色手段に出力する脱色剤の濃度、配合または噴霧量を補正するようにしたため、例えば、化粧材を構成する木材成分、色素、密度等によって異なる脱色剤の脱色能力を考慮した脱色を行うことができ、さらに、精度の良い脱色を行うことができるという効果がある。




 

 


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