Warning: copy(.htaccess): failed to open stream: Permission denied in /home/jp321/public_html/header.php on line 8
木質材の寸法安定化処理方法 - 永大産業株式会社
米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> 永大産業株式会社

発明の名称 木質材の寸法安定化処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−249813
公開日 平成10年(1998)9月22日
出願番号 特願平9−64774
出願日 平成9年(1997)3月18日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
発明者 西尾 治郎 / 木村 高志 / 瀬戸 友加里 / 宮田 達史
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 木質材を密封空間内に収容し、該密封空間内に加熱水蒸気を供給することにより該木質材の寸法安定化を図るようにした木質材の寸法安定化処理方法において、木質材として、端面以外にも木口面の現出する部分を少なくとも一か所に形成したものを用いることを特徴とする木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項2】 前記端面以外の木口面の現出する部分は、木質材の厚み方向に形成した貫通孔あるいは半貫通孔であることを特徴とする請求項1記載の木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項3】 前記端面以外の木口面の現出する部分は、木質材の厚み方向に形成した切欠き溝であることを特徴とする請求項1記載の木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項4】 前記半貫通孔又は切欠き溝の深さは、木質材の厚みの1/2以上であることを特徴とする請求項2又は3記載の木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項5】 前記密封空間は予め加熱された状態とされることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項6】 前記密封空間から真空引きを行い、該密封空間を減圧した後に前記加熱水蒸気の供給を行うことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項7】 前記密封空間内で木質材を加圧圧縮しながら前記処理を行なうことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項8】 前記密封空間は2枚のプレス盤の間に形成されることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項9】 前記密封空間への加熱水蒸気の供給及び/又は密封空間の真空引きを該プレス盤を介して行なうことを特徴とする請求項8記載の木質材の寸法安定化処理方法。
【請求項10】 前記プレス盤と木質材との間に加熱水蒸気の供給及び真空引きのための別部材を配置し、該別部材を介して密封空間への加熱水蒸気の供給及び/又は密封空間の真空引きを行なうことを特徴とする請求項8記載の木質材の寸法安定化処理方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は木質材の寸法安定化処理方法に関し、特に、木質材の内部に加熱水蒸気を供給することにより木質材の寸法安定性を向上させるようにした木質材の処理方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】木材は水分の吸放出により膨潤又は収縮する。このことは無垢の挽き板、木材薄板(厚さ0.2mm〜10mm程度)や中質繊維板(MDF)、配向性ボード(OSB)やパーチクルボード(PB)、合板等でも同様である。建築用あるいは家具用材料として木質材を用いる場合には、環境により木質材が膨潤又は収縮することは好ましくなく、環境に左右されない寸法安定性を持つことが望まれる。
【0003】そのための対策として、プレス盤で木質材を上下に挟持してオートクレーブ内に入れ、加熱水蒸気で数分間処理して木質材の寸法安定化を図る方法等が行われている。しかし、この方法は設備が大がかりであることに加え、木質材内部(中央部)への加熱水蒸気の浸透が難しく、木質材の中央部と周辺部での処理状態が異なる場合が生じる。
【0004】本出願人は、その不都合を解消すべく多くの実験と研究を行い、従来の木材処理で用いられる熱盤を持つ平盤プレスの熱盤間に、自然乾燥状態にある処理すべき木質材を配置し、さらにその周囲に弾性シリコン材等の弾性密封材料とさらにその周囲にステンレス材等の所要の厚さ規制治具とを配置して密封した後、上下の熱盤に設けた蒸気供給孔から加熱水蒸気を供与して、木質材に含まれる水分を水蒸気化させ、木質材の寸法安定化を図る方法を提案した(特開平6−238616号公報)。この処理方法は、通常の熱盤を持つ平盤プレスを用いて木質材の寸法安定化処理を行うことから、処理が簡素化される利点を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記処理方法を実施していく過程において、木質材の比重や厚さ・大きさ、その表面状態等によっては、木質材の内部に加熱水蒸気が均一に供与されず、その結果、所期の寸法安定性が達成されない場合があることを経験した。
【0006】本発明の目的は、前記の木質材の寸法安定化処理方法をさらに改良することにあり、より具体的には、供給する水蒸気が木質材内部まで確実に透過して均一に供給されるようにし、それにより、木質材の種類によらず常に高い寸法安定性が付与されるようにした寸法安定化処理方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、より短い処理時間で高い寸法安定性が達成できる処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、本発明によれば、基本的に、木質材を密封空間内に収容し、該密封空間内に加熱水蒸気を供給することにより該木質材の寸法安定化を図るようにした木質材の寸法安定化処理方法において、木質材として、端面以外にも木口面の現出する部分を少なくとも一か所に形成したものを用いることによって達成される。
【0008】本発明において、処理すべき木質材に特に制限はなく、単板等の無垢材や合板だけでなく、中質繊維板、配向性ボードやパーチクルボード等の木質加工材料も処理可能である。木質加工材料の場合に、プレス盤により加圧圧縮を施しながら、本発明の処理を行なうことは、寸法安定化処理ともに圧密化処理も行うことができることから、特に有効である。
【0009】本発明において、端面以外に形成される木口面の現出する部分とは、木質材の表裏面及び周囲の端面以外の部分であって、密封空間内に供給された加熱水蒸気がその部分を通して木質材の内部に浸入できるように人為的に形成された部分をいい、処理木質材の種類、厚さや面積、さらには、供給する加熱水蒸気処理の条件、等に応じて、実験的に最適の形状や位置が定められる。
【0010】形状は、木質材の厚み方向に形成した貫通孔あるいは半貫通孔、又は、木質材の厚み方向に形成した切欠き溝等であってよい。形成した孔あるいは溝の周側面あるいは底面をも通して加圧水蒸気は木質材内部に浸入することから、加熱水蒸気の木質材内部への均一な浸透は容易かつ確実となり、迅速に均一な加熱水蒸気処理が進行する。それにより、木質材の種類によらず、また、厚みや面積の大小によらず、高い寸法安定性が、より短い処理時間で達成される。加熱水蒸気の浸透効率を考慮すると、半貫通孔又は切欠き溝の場合に、その深さは、木質材の厚みの1/2以上であることが好ましい。
【0011】本発明による処理を行う場合、端面以外に形成される木口面の現出する部分としての孔や切欠き溝は、寸法安定化処理が施された木質板の表面にそのまま残される。従って、孔や切欠き溝の個数は少数であることが望ましいが、処理効率の観点から複数個の孔や切欠き溝を形成することが望まれる場合には、ほぼ等しい分布となるように形成する。切欠き溝の場合には、木質板の両端に達する長さのものであってもよく、表面に部分的に形成したものであってもよい。処理済木質材の平面積の大きさによっては、使用時に小割りして用いられる場合があるが、そのような場合には、その鋸代となる部分に、前記孔や切欠き溝を形成することにより、最終製品の表面性状を悪化させることなく、所期の目的を達成することができる。
【0012】本発明において、前記端面以外に木口面の現出する部分を少なくとも一か所に形成した木質材は密封空間内に収容される。密封空間は、加熱水蒸気の供給が可能であり、また、好ましくは真空引きが可能であることを条件に、従来用いられている木質材処理用の耐圧型圧力容器による密封空間であってもよく、木質材の圧締や複合材の製造に従来用いられる平盤プレスに装着されるプレス盤の間に形成される密封空間であってもよい。
【0013】前記耐圧型圧力容器又はプレス盤は、熱源を有するもの、有しないものいずれであってもよいが、熱源を有するものが特に推奨される。熱源としては、耐圧型圧力容器あるいはプレス盤に組み込まれたヒーター、加熱蒸気、バンドヒーター等の電気的加熱手段、マイクロウェーブを含む高周波加熱、等任意であり、該熱源によって前記密封空間は予め昇温状態とされ、そこに、前記端面以外にも木口面の現出する部分が少なくとも一か所形成された木質材が収容される。昇温温度は、好ましくは加熱水蒸気による寸法安定化処理が進行する温度範囲、すなわち、約180℃〜220℃の範囲である。
【0014】処理すべき木質材を収容後に、密封空間内を必要に応じて真空引し、加熱水蒸気を供給する。密封空間がプレス盤の間に形成され、かつ、プレス盤が外部に連通する多数の細孔を有するものである場合には、一方のプレス盤の該細孔を従来公知の加熱水蒸気発生源に適宜の配管及び弁手段等を介して接続し、他方のプレス盤の細孔を従来公知の好ましくは耐熱性の真空ポンプ等の真空引き源にやはり適宜の配管及び弁手段等を介して接続する。好ましくは、真空引き側の配管には吸引ブロアーが配置される。それにより、プレス盤を介して木質材に加熱水蒸気を供給し、かつ真空引きすることが可能となる。真空引きをすることなく、加熱水蒸気の供給を行ってもよい。密封空間が耐圧容器に形成される場合には、前記加熱水蒸気発生源に接続する配管を該耐圧容器に接続し、また、好ましくは真空ポンプ等の真空引き源に接続する配管を該耐圧容器に接続するかあるいは減圧バルブを取り付ける。
【0015】加熱水蒸気の供給及び真空引きの他の方法として、上下のプレス盤と木質材との間に、多数の細孔を有しかつ耐圧性、耐熱性を有する別部材を配置して行なうようにしてもよい。その場合には、一方の前記別部材を加熱水蒸気発生源に接続し、他方の前記別部材を真空引き源に接続する。それにより、前記別部材の細孔を介して木質材に加熱水蒸気を供給し、かつ真空引きすることが可能となる。この種の別部材の好ましい態様は処理すべき木質材を収容できる内部空間を持つ箱状部材と該内部空間を密閉する蓋部材とから構成される。
【0016】2枚のプレス盤間に密封空間を形成する方法には、例えば、処理すべき木質材の4周に、処理後の木質材の厚さよりも幾分高さの高い弾性密封材料を配置し、上下のプレス盤を接近させることにより、該弾性密封材料によって囲まれた内部空間が密封空間となるような方法は有効である。該弾性密封材料としては、プレス盤あるいは前記別部材から噴出する加熱水蒸気を外方に漏出しないだけの密封機能を持ちかつ耐熱性と圧縮性のある材料であれば使用可能であるが、シリコン弾性パッキン材は特に好ましい。その際に、好ましくは、2枚のプレス盤間に処理後の木質材の厚さを規制するための厚さ規制治具を配置する。厚さ規制治具の材料は必要な剛性と耐熱性を持つ部材であればよく、アルミ材、ステンレス材等が好ましく用いられる。他の方法として、例えば方形状をなす厚さ規制治具の下端あるいは上端に前記弾性密封材料と同様な密封材料を一体に取り付けたものによることもできる。また、前記のように、別部材として箱状部材と蓋部材とからなるものを用いる場合には、それ自体で厚さが規制された密封空間を形成することが可能である。
【0017】加熱水蒸気の供給は、加熱水蒸気発生源側の回路を開き、好ましくは180℃以上の飽和水蒸気又は過熱水蒸気(飽和水蒸気より高い温度の水蒸気)を密封空間内に噴出させる。特に、真空引きを行う場合には、噴出する加熱水蒸気は、噴出力に加えて吸引力の作用を受け、運動エネルギーが増大する。それにより、従来法よりも短時間で木質材の内部にまで加熱水蒸気が確実に透過し、かつ等しくかつ均一に行き渡る。その結果、寸法安定化処理が速やかにかつ全域にわたり迅速に進行する。
【0018】前記のように、本発明の方法において、処理すべき木質材は端面以外の部分にも木口面の現出する部分を少なくとも一か所形成しているので、上下の面及び周囲の側面(端面)に加えて、該端面以外に形成した木口面の現出する部分からも加圧水蒸気が木質材内部に浸入することができ、加熱水蒸気の木質材内部への均一な浸透は容易かつ確実となり、迅速に均一な加熱水蒸気処理が進行する。
【0019】本発明において、処理すべき木質材として予め加熱乾燥処理を施したものを用いることもできる。この場合には、自然乾燥状態であるよりも高温状態とされかつ低含水率とされているので、加熱水蒸気処理が開始する温度までに木質材が昇温する時間が短縮され、また、木質材の含水率分の水蒸気化に要する供給加熱水蒸気のエネルギーの量を低減できる。
【0020】真空引きを行い密封空間を減圧状態とした後に、バルブを遮断しかつ真空引きを停止し、減圧状態とされた密封空間内に加熱水蒸気を供給して木質材に加熱水蒸気を浸透させるようにしてもよい。この場合には、加熱水蒸気の外部への放出が確実に抑制されることから、蒸気のロスを無くすことができる。さらに、前記のようにして減圧状態とされた密封空間内に加熱水蒸気を所定量供給した後に、再び真空引きをしながら加熱水蒸気の供給を行うようにしてもよく、この場合には、加熱水蒸気の有効利用と共に処理の迅速化が可能となる。
【0021】なお、処理条件は対象となる木質材の種類及び寸法等によって実験的に最適値が定められるが、加熱水蒸気の圧力は数kgf/cm2 〜30kgf/cm2 、温度は150℃〜230℃程度が好ましい。
【0022】本発明において処理すべき木質材の初期厚さは、所望の最終製品の厚さとほぼ同じ厚さのものであってもよく、それよりも厚いものであってもよい。前者の場合はいわゆる圧密処理は施されないが、後者の場合は圧密処理と共に寸法安定化処理が施される。
【0023】所定の加熱水蒸気の噴出を終えた後にすぐ解圧を行なってもよく、しばらく所定時間放置して解圧を行ってもよい。解圧は一定時間をかけて徐々に行うようにしてもよく、また熱盤に冷却水を供給していわゆるコールドの状態で行ってもよい。実験によれば徐々に解圧を行う場合よりもコールド状態で解圧を行う場合のほうが得られた最終製品の寸法変化率は小さくかつ表面状態も滑らかなものであった。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。図1、図2は、処理しようとする木質材Wに対して、4周の側面(端面)以外に木口面の現出する部分を形成したいくつかの例を示している。図1aでは、木質材Wのほぼ中央部分に木質材Wの厚みdの1/2以上の深さを持つ一個の半貫通孔hが形成されており、図1bでは、ほぼ等しい分布となるようにして二個の半貫通孔hが形成されている。図2aでは、木質材Wのほぼ中央位置にその全幅にわたって、木質材Wの厚みdの1/2以上の深さである切欠き溝gが一本形成されており、図2bでは、ほぼ等しい分布となるようにして二本の切欠き溝gが形成されている。図2cでは、両端が閉じた状態の一個の切欠き溝g’が形成されている。
【0025】上記のようにして形成された半貫通孔hや切欠き溝g、g’の壁面(側周面)や底面が本発明でいう「端面以外の木口面の現出する部分」を構成するものであり、木質材Wの表裏面と4周の側面(端面)に加えて、該壁面や底面から加熱水蒸気が木質材Wの内部に浸入する。なお、図示しないが、孔の場合に、それが貫通孔であっても所期の目的が達成される。
【0026】次に、上記の処理が施された木質材Wを加熱水蒸気処理する装置と方法について説明する。図3において、1a、1bは、従来の木材処理で用いられる平板プレスに装着されると同様のプレス盤であり、それぞれに熱源としてのヒータ2a、2bが設けられ、さらに、処理すべき木質材Wと衝接することとなる表面部分には多数の細孔3a、3bが形成されている。上方のプレス盤1aに形成された細孔3aは配管4a及び開閉弁Vを介して加熱水蒸気発生源Sに接続しており、下方のプレス盤1bに形成された細孔3bは配管4bを介して真空ポンプVPに接続している。真空ポンプに変えてブロアー(図3には示されない)を用いてもよい。
【0027】この装置を用いて本発明による処理方法を実施するに際しては、まず、前記孔や切欠き溝が成形された平板状の木質材W(この例では、両端が閉じた状態の一個の切欠き溝g’が形成されたものを図示している)を、下方のプレス盤1bの該細孔3bが形成されている位置に載置する。一方、上方のプレス盤1aには前記木質材Wを収容できる位置にステンレス材等からなる方形状の厚さ規制治具10をネジ止め(図示されない)等により固定する。なお、11は厚さ規制治具10の下端縁に取り付けた弾性シール材である。この厚さ規制治具10は下方のプレス盤1bに固定的に取り付けてもよく、いずれの場合であっても、厚さ規制治具10の高さは、木質材Wの厚さと同じであるか幾分高いものとする。
【0028】次に、プレス盤1a、1bを該厚さ規制治具10により規制されるまで接近させ、停止させる。図示しないが、前記のように木質材Wの周囲に密封材料を配置して、プレス盤1a、1bの間に密封空間を形成するようにしてもよい。
【0029】その状態で加熱水蒸気発生源S側の配管4aに設けた開閉弁Vを開き、プレス盤1aに形成した細孔3aから加熱水蒸気を噴出させる。必要に応じて、真空ポンプVP(又は、ブロアー)を作動させて、下方のプレス盤1bに形成した細孔3bから真空引きを行なう。予め真空引きをして減圧状態とした後で、加熱水蒸気の噴出を行ってもよい。細孔3aから木質材Wに向けてあるいは密封空間に向けて噴出する水蒸気は、噴出力に加えて吸引力による力を受け、木質材Wの表裏面と4周の側面(端面)に加えて、表面に形成した切欠き溝g’の内周面や底面からも加熱水蒸気が木質材Wの内部に浸入する。それにより、木質材Wの内部にまで容易にかつ均一に到達することができる。さらに、この例においては、真空引きが行なわれていることから、外部に加熱水蒸気が漏洩することはなく、加熱水蒸気の無駄を無くすと共に周囲の安全も補償される。
【0030】所望量の加熱水蒸気の噴出を終えた後、あるいは、その直前に、真空ポンプVP(又は、ブロアー)を停止し、解圧及び冷却工程を行なうことにより、本発明による木質材の寸法安定化処理方法は終了する。
【0031】図4は本発明の木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置の他の例を示している。この例は、プレス盤に外部に連通する細孔が設けられていない平板プレスを本発明の処理方法に用いる場合に好適な例であり、蒸気噴出用の細孔23aを有する平板状の第1の別部材20aがネジ21aを用いて上方のプレス盤1aに固定され、さらに、真空引き用の細孔23bを有する平板状の第2の別部材20bがネジ21bを用いて下方のプレス盤1bに固定されている。そして、それぞれの細孔23a、23bは、図2に示した装置の場合と同様に、加熱水蒸気発生源S及び真空ポンプVPに接続している。この装置の使用方法は図3の場合と実質的に同じである。
【0032】図5は本発明の木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置のさらに他の例を示している。この装置は、図4に示した装置と比較して、第2の別部材30bが上方側を開放した開放空間35を持つ有底箱状の耐圧容器である点、及び、該第2の別部材30bの上端面にはパッキン36が取り付けられている点で相違している。この装置では、厚さ規制治具10や密封材を別途配置することなく、プレス盤の間に容易に密封空間を形成することができる利点がある。
【0033】図6は本発明の木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置のさらに他の例を示している。図4に示した装置と比較して、第2の別部材30bが上方側を開放した開放空間35を持つ有底箱状の耐圧容器である点、及び、第1の別部材30aは該開放空間35の断面形状とほぼ同じ断面形状を有する挿入用凸部31aを有し、該挿入用凸部31aの先端面にまで細孔33aは達している点、で相違している。そして、前記第1の別部材30aの凸部31aの周囲にはパッキン36が取り付けられる。この装置では、プレス盤の間に容易に密封空間を形成することができると共に、プレス盤1a、1bの距離を調整することにより、異なった厚さの木質材Wに対しても寸法安定化処理を施すことができる利点がある。
【0034】なお、いずれの装置を用いる場合であっても、密封空間内を減圧することは必ずしも必要でなく、場合によっては、上下のプレス盤から密封空間内に加熱水蒸気を噴出するようにしてもよい。また、本発明の方法において、処理すべき木質材Wに対して別途加熱乾燥処理を予め施し、自然状態であるよりも高温かつ低含水率状態としていてもよい。その場合には、加熱水蒸気処理の開始温度までに木質材が昇温する時間は短縮され、また、木質材の含水率分の水蒸気化に要する供給高圧水蒸気のエネルギーの量を低減できる。それにより、加熱水蒸気処理でのエネルギーの損失は回避され、処理時間も短縮される。
【0035】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。
〔実施例1〕16×1000×2000mmの内寸法を持つ密閉耐圧容器を前もって200℃に温めておいて、その容器内に、厚さ15×幅900×長さ1800mmサイズのOSBを配置し、この容器内に15kgf/cm2 、200℃の高圧水蒸気を10分間噴射注入させる処理を行った。
【0036】この際に、OSBには、幅方向から450mm、長さ方向から900mmの位置に、深さ10mm、直径20mmの孔を一個予め穿設しておいた。蒸気の供給を停止した後、解圧バルブを開いて常圧に戻し、処理済の木質材を取り出した。
【0037】〔比較例1〕実施例1と同様のOSBに孔を設けないで、実施例1と同様の処理を行った。ただし、高圧水蒸気の供給は14分間とした。
〔比較例2〕実施例1と同様のOSBになんの処理も行わなかった。
【0038】〔実施例2〕厚さ16×幅900×長さ1800mmサイズのMDFに実施例1と同様の処理を行った。この際に、MDFには、幅方向から300mmと600mmの位置に、長さ方向に沿うようにして400mmの位置から1400mmの位置まで深さ10mmの溝を切り欠いた。
【0039】〔比較例3〕実施例2と同様のMDFに溝を設けないで、実施例1と同様の処理を行った。ただし、高圧水蒸気の供給は14分間とした。
〔比較例4〕実施例2と同様のMDFになんの処理も行わなかった。
【0040】〔実施例3〕図3に示すプレス盤を用い、両プレス盤の表面には2mmφの細孔を40mm間隔で縦横に形成した。上方のプレス盤の細孔群を加熱水蒸気発生源に接続し、下方のプレス盤の細孔群を真空ポンプに接続した。
【0041】処理材として、厚さ15×幅900×長さ1800mmサイズであり、その幅方向から450mm、長さ方向から900mmの位置に、深さ10mm、直径20mmの孔を一個予め穿設したOSBを、ヒータにより200℃に加熱された下方のプレス盤に形成した細孔群上に配置し、やはり200℃に加熱された上方のプレス盤を移動して、50kgf/cm2 のプレス圧で圧締した。
【0042】次に下方プレス盤に形成した細孔群に連続する真空ポンプを稼働させながら、上方プレス盤に形成した細孔群から15kgf/cm2 、200℃の高圧水蒸気を10分間噴出させた。真空ポンプを停止し、蒸気の供給も停止した後、解圧し処理済の木質材を取り出した。
【0043】〔比較例5〕実施例3と同様のOSBに溝を設けないで、実施例3と同様の処理を行った。ただし、高圧水蒸気の供給は14分間とした。
【0044】〔評価試験〕前記の実施例品1〜3、比較例品1〜5について、JIS吸水試験、飽水試験及び曲げ強さ試験を測定した。その結果を表1、表2、表3に示す。
【0045】なお、JIS吸水試験は、1辺が5cmの正方形の試験片を作り、この試験片を20±1℃の水中に24時間浸漬させ、吸水前に測定した厚さt1 と吸水後に測定した厚さt2 から、次式により厚さ膨潤率を求めることにより行った。
厚さ膨張率(%)=(t2 −t1 )/t1 ×100【0046】飽水試験は、1辺が5cmの正方形の試験片を作り、絶乾状態にした試験片を1時間減圧吸水させた後、23時間冷水浸漬させ、絶乾状態時での厚さt1 と飽水後に測定した厚さt2 から、次式により厚さ膨潤率を求めることにより行った。
厚さ膨張率(%)=(t2 −t1 )/t1 ×100【0047】曲げ強さ試験は、両端部近傍を自由支持した試験片の表面中央部から、平均変形速度葯10mm/minの荷重を加え、その最大荷重Pを測定し、次式により曲げ強さを求めた。
【0048】曲げ強さ(kgf/cm2 )=(3×P×L)/(2×b×t2
P:最大荷重(kgf/cm2
L:支持間のスパン(mm)
b:試験片の幅(mm)
t:試験片の厚さ(mm)
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】〔考察〕表1〜表3に示されるように、本発明品では孔又は溝を形成したことにより、中央部と端部とでほぼ同じ物性値を達成されており、大判のものでも均質な製品を得ることができる。また、加熱水蒸気を供給する時間が短い(処理時間が短い)にもかかわらず、高い処理効果が得られており、さらに、孔や溝の形成が強度劣化を実質的に伴っていない。
【0053】
【発明の効果】本発明による木質材の寸法安定化処理方法によれば、特に広い平面積を持つ木質材に対して、従来法に比較して、短い加熱水蒸気処理時間で、より均質な寸法安定性と処理効果を上げることが可能となる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013