発明の名称 |
化粧合板及びその製造方法 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平10−44105 |
公開日 |
平成10年(1998)2月17日 |
出願番号 |
特願平8−208177 |
出願日 |
平成8年(1996)8月7日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 和秀
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発明者 |
藤本 良二 |
要約 |
目的
構成
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特許請求の範囲
【請求項1】 合板の表面につき板が貼着されて構成される化粧合板において、前記合板の表面に位置する表層単板が、表面研削によりその厚さが薄くされていることを特徴とする化粧合板。 【請求項2】 前記表層単板の厚さが0.3〜0.5mmとされてなることを特徴とする請求項2記載の化粧合板。 【請求項3】 合板表面の表層単板を表面研削して薄くし、前記表層単板上に前記表層単板とその繊維方向を同じとするようにつき板を貼着して行うことを特徴とする化粧合板の製造方法。
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発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は合板の表面につき板が貼着されて構成される化粧合板の、つき板のクラック防止構成に関する。 【0002】 【従来の技術】図3は、従来における5プライ合板を使用した化粧合板の積層構成を示す。 【0003】化粧合板1は合板2上につき板3が貼り付けられて構成されている。合板2は5プライ合板であり、原中と呼ばれる単板5aの両面に中板と呼ばれる単板5bのそれぞれが繊維方向を単板5aと交差するように貼られ、さらに、その単板5bの上下面に甲板と呼ばれる単板5cと乙板と呼ばれる単板5dとが単板5bと繊維方向を直交するように貼り付けられて構成されている。そして、その合板2の単板5c上につき板が単板5cと繊維方向を同じとするように張り付けられている。上記のように単板5cとつき板3との繊維方向を同じとするのは、仮に直交させた場合、つき板は0.3mm程度の薄いので単板5cの繊維方向の模様がつき板3の模様と直交する方向に現れ見苦しくなることを回避するためである。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記のような化粧合板においては、表面のつき板にクラックが発生するという基本的な問題がある。このクラックの発生はつき板自身のクラック発生に起因するものの他に、甲板である単板5cに発生したクラックがつき板3に伝わることを原因とするものがあった。このように単板5cからつき板3にクラックが容易に伝わるのは、上記したように、単板5cとその表面のつき板3の繊維方向とが同方向とされているからである。 【0005】この発明では、合板の甲板のクラック発生を原因とするツキ板のクラック発生を防止することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明の請求項1記載の発明では、合板の表面につき板が貼着されて構成される化粧合板において、前記合板の表面に位置する表層単板が、表面研削によりその厚さが薄くされている構成とした。 【0007】上記構成によれば、合板の表層単板に仮にクラックが発生したとしても、そのクラック発生に伴って生じる応力は表層単板が薄いので小さく、よって、表層単板のクラックがつき板に伝わることがなく、つき板の表層単板のクラックを原因とするクラック発生が防止される。 【0008】上記において、表層単板の厚さは0.3〜0.5mm程度とされること(請求項2記載の発明)が好ましい。すなわち、0.5mm以下と薄くされることでそのクラック発生に伴う応力の発生が小さくなり、0.3mm以上とされることでその下層の単板を十分に隠蔽する。 【0009】請求項3記載の発明では、化粧合板を、合板表面の表層単板を表面研削して薄くし、前記表層単板上に前記表層単板とその繊維方向を同じとするようにつき板を貼着して行った。 【0010】上記構成によれば、請求項1記載の発明の化粧合板が得られる。 【0011】 【発明の実施の形態】図1は化粧合板の積層構成を示し、図2はその拡大断面である。化粧合板の基本構成は図3に示す従来例のものと同様であるのでその説明は省略する。また、図1、図2における要素で図3における要素と同じものには同じ番号を付している。 【0012】この発明の特徴構成を説明する。 【0013】この発明では、合板2の甲板にあたる単板5cとして、表面研削されて薄く形成されたものを使用している。すなわち、通常5プライ合板は、原中、中板である単板5a、5bとしては3.4mm程度の厚さのものを使用し、甲板、乙板である単板5c、5dとしては1.2mm程度の厚さのものを使用しているが、この発明では単板5cとして0.4mm程度の薄いものを使用している。 【0014】上記のように、合板2の甲板にあたる単板5cとして表面研削されて薄く形成されたものを使用したことで、まず、単板5cに仮にクラックが発生したとしても、そのクラック発生に伴って生じる応力は単板5cが薄い故に小さく、よって、単板5cのクラックがつき板3に伝わることがなく、これにより、単板5cのクラック発生に基づくつき板3のクラック発生が防止される。 【0015】また、単板5cのクラックがつき板に伝わらないためには、単板5cはより薄いことが好ましいが、図2に示すように、単板5cの下層の中板である単板5bはその表面に凹凸状(むき肌)となっていて表面状態が良好でないので、単板5cがあまり薄くなるとその表面状態が単板5c上に表れ、つき板3がうまく貼れなかったり、また、つき板3表面に単板5bの影響が出てしまうこととなる。したがって、単板5cはそれほど薄くすることはできない。 【0016】すなわち、単板5cは中板である単板5bを覆う機能を果たす範囲において十分に薄く、すなわち、0.3〜0.5mmの厚さとされることが好ましく、これにより、甲板である単板5cのクラック発生に基づいてつき板3にクラックが発生しない、しかも、つき板3表面に中板である単板5bの影響が表れない美麗な化粧板が得られる。 【0017】上記化粧合板の製造について説明する。 【0018】5プライの合板2の表面単板5cを、プレイナーまたはサンダーを用いて表面研削して0.4mm程度に薄く形成し、その表面に接着剤を介してつき板3をその繊維方向が単板5cの繊維方向に沿うように、温度120℃、圧力7kg/cm2、60秒の条件において熱圧して貼り化粧合板を製造する。 【0019】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、合板の甲板のクラック発生を原因とするツキ板のクラック発生が防止される化粧合板が得られる。
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