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発明の名称 減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−71459
公開日 平成10年(1998)3月17日
出願番号 特願平9−150441
出願日 平成9年(1997)5月23日
代理人
発明者 影山 望 / 井藤 明親 / 田村 悦朗 / 菅野 光輝 / 青木 孝人 / 佐藤 輝重
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 オーステンパ処理された黒鉛鋳鉄部材が主要部の厚さが6mm以下のアルミニウム合金部材によって鋳包まれていることを特徴とする減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材。
【請求項2】 前記黒鉛鋳鉄部材が片状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする請求項1記載の減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材。
【請求項3】 前記黒鉛鋳鉄部材が、重量%で、2.5〜4.0%のC、2.0〜3.5%のSi、0.1〜0.8%のMn、または更に0.1〜2.0のCu、0.1〜2.0のNi、0.05〜0.5のMoのうちの1種又はそれ以上、及び残部Feおよび不可避的不純物からなり、黒鉛組織形態が主として(JIS)A型のオーステンパ片状黒鉛鋳鉄からなることを特徴とする請求項2記載の減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材。
【請求項4】 前記黒鉛鋳鉄部材の組織が残留オーステナイト量が5.0〜14.0%であり、残部ベイナイト組織となることを特徴とする請求項3のいずれかに記載の減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材。
【請求項5】 前記アルミニウム合金部材が、重量%で2.0〜4.0%のCu、7〜12%のSi、0.3%以下のMg及び残部アルミニウムからなることを特徴とする請求項1記載の減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材。
【請求項6】 前記アルミニウム合金部材が、自動車部品であることを特徴とする請求項1記載の減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材。
【請求項7】 オーステンパー処理された黒鉛鋳鉄部材からなるベアリング支持部材が、主要部の厚さが6mm以下であるアルミニウム合金からなるトランスミッションケースリアカバーで鋳包まれていることを特徴とする減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材。
【請求項8】 オーステンパー処理された黒鉛鋳鉄部材を主要部の厚さが6mm以下のアルミニウム合金によって鋳包み鋳造する際に、前記黒鉛鋳鉄部材の温度が注湯後10秒以内に400℃以下になるように冷却されることを特徴とする減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材の製造方法。
【請求項9】 前記鋳包み鋳造がダイカスト鋳造であることを特徴とする請求項8に記載の減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のトランスミッションケースリアカバー等のベアリングを支持する貫通孔を有するアルミニウム合金製ダイカスト部品に関し、特に振動の減衰能に優れ、騒音の発生の少ないアルミニウム合金製鋳包み部材に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の省資源、省エネルギーの観点から自動車の軽量化が進められている。自動車の軽量化のために、自動車を構成する各種部品の構造的な変更や材質の変更が盛んに行われており、特に簡単に軽量化が出来ることから、材質を比重の大なる鉄からアルミニウム合金などの軽合金へ変更することが進められている。鉄からアルミニウム合金への材質の変更は、車両重量の約2割程度を占めるエンジン部品から始まり、駆動系、足回り部品にも及んでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えばトランスミッションケースは従来鉄製であったが、上記したような理由により、軽合金で形成することが検討されている。このトランスミッションケースは、エンジンからの出力を回転数を変更して駆動軸に伝達するために多数の歯車を有する変速機部分の外側を覆うものであり、そのリアカバーは駆動軸を支えるためのベアリング保持孔を有することが必要であるが、本体の機械的強度をそれほど高くする必要はないため薄肉で形成されている。
【0004】ところが、近年、自動車の高性能化、高級化に伴い低振動化や低騒音化に対する要求が高まってきている。そのため内部に高速で回転する歯車が多数含まれているトランスミッションケース及びそのリアカバーをアルミニウム合金で形成する場合、振動に伴う騒音が問題となる。すなわち従来の鉄製のトランスミッションケースの場合には材料自体が持つ減衰能が高く、あまり問題となっていなかったのに対し、アルミニウム合金への材質の変更に伴い、材料自体が持つ減衰能が低い(減衰係数=0.3%)ために、問題となってきたものである。本発明の目的は、上記したような振動に伴う騒音の発生の少ないアルミニウム合金で鋳包んだ部材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために、トランスミッションケースについて種々の検討を行った。まず、前記騒音は、エンジンの振動が駆動軸を支持するベアリング及びその保持孔部分からトランスミッションケースに伝搬されることに起因することは従来から知られている。そこで、本発明者らは、ベアリング保持孔部分の補強も含めて、ベアリング保持孔部分に減衰能に優れた鉄部材が鋳包まれることにより、この問題を解決でき、適当な組織を有する鋳鉄が特に減衰能に優れることを見い出し本発明に到達した。
【0006】すなわち本発明は、オーステンパ処理された黒鉛鋳鉄部材を主要部の厚さが6mm以下のアルミニウム合金部材によって鋳包んだことを特徴とする減衰能に優れたアルミニウム鋳包み部材である。前記黒鉛鋳鉄部材が片状黒鉛鋳鉄であるとさらに減衰能に優れる。また、黒鉛鋳鉄材としては重量%で、2.5〜4.0%のC、2.0〜3.5%のSi、0.1〜0.8%のMn、または更に0.1〜2.0のCu、0.1〜2.0のNi、0.05〜0.5のMoのうちの1種又はそれ以上、及び残部Feおよび不可避的不純物からなり、黒鉛組織形態が主として(JIS)A型のオーステンパ片状黒鉛鋳鉄が好ましく、黒鉛鋳鉄部材の組織が残留オーステナイト量が5.0〜14.0%であり、残部ベイナイト組織であるとさらに好ましい。
【0007】また本発明においては、前記アルミニウム合金が、重量%で2.0〜4.0%のCu、7〜12%のSi、0.3%以下のMg及び残部アルミニウムからなることが好ましい。アルミニウム合金の製造方法としてはダイカスト鋳造法やスクイズ鋳造法等の高圧鋳造が良く、特にダイカスト鋳造法が好適である。特に前記アルミニウム鋳包み部材が、トランスミッションケースリアカバーのような自動車部品である場合には優れた特性を発揮することができる。
【0008】本発明の各構成の限定理由は以下の通りである。アルミニウム鋳包み材の主要部の厚さが6mm以下の薄肉の場合にこのような振動が問題となり、6mmよりも厚い場合には、アルミニウム部材の減衰能が厚さの影響で高くなるため、特には本発明を適用する必要はない。またアルミニウム鋳包み材の主要部分の肉厚とは、一般肉厚(当該製品の形状を形造る部分の肉厚)のことであり、薄肉部材において、ボス部やリブ部等以外の部分の薄肉部分の肉厚を言う。黒鉛鋳鉄部材は、駆動軸を支持するベアリングを保持するために、ある程度の機械的強度を有することが必要であり、本発明のようにオーステンパ処理により、残留オーステナイトと残部ベイナイトからなる組織(以下「BA組織」という)とすることにより更に強靭性と耐疲労強度が向上したものが望ましい。また、このようなベイナイトを含む組織とすることにより、黒鉛のみの組織より更に減衰能が高くなる。
【0009】特に黒鉛鋳鉄が片状黒鉛鋳鉄の場合には、球状黒鉛鋳鉄に比べて減衰能が優れており、更に大なる騒音防止効果が期待できる。また、黒鉛鋳鉄部材の組成限定理由は、CはSiと共に鋳鉄において重要な成分であり、2.5%未満ではチルが発生し易く、4.0%を越えるとドロスが発生し易くなる。このため、Cは2.5〜4.0%とする。SiはCと共に鋳鉄において重要な成分であり、2.0%未満では注湯時の溶湯の湯流れが悪く、3.5%を越えると靭性の低下を招く。このため、Siは2.0〜3.5%とする。Mnは焼き入れ性を増すために必要な元素であり、0.1%未満ではその効果が少なく、0.8%を越えると靭性の低下を招く。このため、Mnは0.1〜0.8%とする。Cuはベーナイト化促進効果がある有効な元素であり、0.1%未満ではその効果が少なく、2.0%を越えると靭性の低下を招く。このため、Cuは0.1〜2.0%とする。Niはベーナイト化促進効果がある有効な元素であり、0.1%未満ではその効果が少なく、2.0%を越えると靭性の低下を招く。このため、Niは0.1〜2.0%とする。Moはベーナイト化促進効果がある有効な元素であり、0.05%未満ではその効果が少なく、0.5%を越えると靭性の低下を招く。このため、Moは0.05〜0.5%とする。上記の元素の内、Cu、Ni及びMoは、2種以上含有してもよい。また、前記黒鉛鋳鉄の熱処理としては、鋳造品を820〜950℃に0.5〜5時間保持してオーステナイト化し、直ちに280℃以上で0.5時間以上保持するオーステンパ処理を施すことが好ましい。
【0010】また黒鉛鋳鉄部材の組織は残留オーステナイト量が5.0〜14.0%であり、残部ベイナイト組織となると良い。残留オーステナイト量が5.0%より少ないと切削性等の加工性低下が顕著であり、14.0%より多いと振動減衰能が低下する。また前記アルミニウム合金が、重量%で2.0〜4.0%のCu、7〜12%のSi、0.3%以下のMg及び残部アルミニウムからなると好適である。Cuは製品の強度を向上させるために添加されるが、2.0%より少ないとその効果が少なく、4.0%より多いと伸びが大幅に低下し、割れ感受性が大きくなる。Siは湯流れ性を向上しかつ引け性を改善するが、7%より少ないとその効果が少なく、12%より多いと初晶Siが増加し、強度、加工性及び湯流れ、引け性が低下する。Mgは強度向上目的で添加されるが0.3%を越えると靭性が低下する。
【0011】一般的にオーステンパ処理した黒鉛鋳鉄部材は、鋳包み時等に温度が変態点近傍に上昇するとベイナイトが変態してパーライト化し、折角形成したBA組織が崩れてしまうという問題があった。そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、黒鉛鋳鉄部材の温度が400℃以上に上昇しても、10秒以内に400℃以下に冷却できれば、ベイナイト組織はパーライト組織に殆ど変化しないことを見い出した。そこで、鋳包み時に黒鉛鋳鉄部材の温度が10秒以内に400℃まで冷却できる鋳造方法について、検討した結果、鋳包み法としてはダイカスト鋳造法やスクイズ鋳造法等の高圧鋳造法が好ましく、特にダイカスト鋳造法が好適であることを見い出した。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下の実験例により説明する。
(実験例1)まず、昇温によりBA材の組織が変態するかどうか調べた。重量%で、3.04%のC、2.27%のSi、0.76%のMn、0.31%のMo、0.51%のCu、残部Feからなる組成の溶湯を、砂型に注湯温度1380℃で注湯し片状黒鉛鋳鉄部材を得た。この部材を850℃の温度まで加熱し、2時間保持した後、直ちに390℃に保持された塩浴中に浸漬させるオーステンパー処理により、片状黒鉛と残留オーステナイト8.6%の組織を持ち、残部ベイナイトからなる10mm×10mm×20mmのBA材の試験片を得た。次にこの試験片を重量%で2.3%のCu、10.5%のSi、0.11%のMg、0.8%のFe、0.71%のZn、0.23%のMn及び残部アルミニウムからなる580℃の合金溶湯中に5秒、10秒、30秒、60秒間試験片の半分を浸せきした後、空気中に放冷し組織の変化について調べた。それぞれの組織写真(400倍)を5秒浸せきは図1と図2、10秒浸せきは図3と図4、30秒浸せきは図5と図6、60秒間浸せきは図7と図8に示す。図1、図3、図5、図7は浸せきされていない部分、図2、図4、図6、図8は浸せき部分であり、(a)は100倍、(b)は400倍の金属組織写真である。また図9に上記試験片の浸漬時間とロックウェルかたさ(HRC)との関係を示す。上記の結果によれば、10秒までの浸漬ではベイナイト組織の変化は認められないが(図2、4参照)、30秒及び60秒の浸漬によりベイナイト組織の一部がパーライト組織に変化していることがわかる(図6、8参照)。また図9から、浸漬時間10秒まではHRC32〜35のかたさを維持しているが、浸漬時間が30秒になると、HRC25まで急激に低下することがわかる。上記の結果から、実際のダイカスト鋳造の条件である10秒程度の浸せき条件では、ベイナイト組織も硬度の変化も見られず、BA材としての機能を維持できることがわかる。
【0013】(実験例2)図10にトランスミッションの断面形状を示す。図10に示すように、エンジンの動力は駆動力伝達部4から出力軸5を通り、変速機部6に伝達される。更に変速機部6から動力が伝達された出力軸7を支持するベアリング8を保持するためにベアリング支持部材3が、トランスミッションケースリアカバー2に鋳包まれている。また変速機部6は全体をトランスミッションケース1により覆われている。図11にベアリング支持部材3とトランスミッションケースリアカバー2の詳細図を示すが、このベアリング支持部材3をアルミニウム合金で鋳包むことによりトランスミッションケースリアカバー2を作成した。まず、重量%で、3.04%のC、2.27%のSi、0.76%のMn、0.307%のMo、0.51%のCu及び残部Feからなり、片状黒鉛と残留オーステナイト8.6%の組織を持ち、残部ベイナイトからなる黒鉛鋳鉄製の外径80mm、内径70mm、厚さ5mmのベアリング保持部材3を作成し、ダイカスト金型中にはめ込み、その周囲に重量%で2.3%のCu、10.5%のSi、0.11%のMg、及び残部アルミニウムからなる690℃の溶湯を射出圧力700Kg/cm2で注入することにより、アルミニウム合金部における主要部分の厚さが4mmのトランスミッションケースリアカバー(B)を作成した。比較例のために、黒鉛鋳鉄製のベアリング保持部材をダイカスト金型に配置せずに、アルミニウム合金のみで、全体をダイカスト鋳造することによりトランスミッションケースリアカバー(A)を作成した。上記のトランスミッションケースリアカバーA、Bを用いて実際にエンジン駆動の台上試験を行い、自動車に組み込まれた場合に相当する各車速の放射音を測定した結果を図12に示す。図12から、本発明の実施例に係るリアカバーBは比較例のリアカバーAよりも放射音が低く、特に85Km/h域と95Km/h超域で本発明のリアカバーの方が放射音が低いことが明らかである。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、軽量であるが減衰能の低いアルミニウム合金を用いても、振動に伴う騒音の発生の少ない特にトランスミッションケース等の薄肉の自動車部品を量産性に優れるダイカスト鋳造法を用いて製造することが出来る。




 

 


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