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発明の名称 可変断面押出成形装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−166038
公開日 平成10年(1998)6月23日
出願番号 特願平8−352341
出願日 平成8年(1996)12月12日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】清水 千春
発明者 加藤 雅嗣 / 佐藤 忠義 / 竹田 和之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 成形材が収納されるコンテナと、このコンテナの一端部側に配設されて上記コンテナ内の成形材を他端部側に押圧する加圧機と、上記コンテナの他端部に配設されて上記コンテナから押出される成形材を押出孔を介して製品形状に成形するダイスが組込まれたダイスアッセンブリと、このダイスアッセンブリを基盤上に支承するダイスタックと、上記押出孔の形状を変化させる駆動手段とを備えてなり、上記ダイスアッセンブリは、上記ダイスタックに固定され、固定ダイス孔が穿設された固定ダイスと、この固定ダイスに移動自在に設けられ、移動ダイス孔が穿設された移動ダイスとを有し、上記固定ダイス孔と移動ダイス孔との連通部分によって形状が可変の上記押出孔が構成されるとともに、上記移動ダイスに上記駆動手段の駆動部先端が連結され、かつ上記ダイスアッセンブリと上記ダイスタックとには、それぞれ上記移動ダイスまたは上記駆動部が挿通可能な開口部が形成されるとともに、上記開口部に挿通されるとともに先端部が上記移動ダイスに係合し、当該移動ダイスの移動を測定する変位測定手段が設けられていることを特徴とする可変断面押出成形装置。
【請求項2】 上記固定ダイスに上記固定ダイス孔に連通する孔部が穿設され、この孔部内に、上記移動ダイスが摺動自在に組込まれていることを特徴とする請求項1に記載の可変断面押出成形装置。
【請求項3】 上記加圧機、コンテナおよび上記ダイスアッセンブリを支持するダイスタックは、水平方向に順次配設され、上記固定ダイスおよび上記ダイスタックの側壁に上記開口部が形成されるとともに、上記ダイスタックの側壁に上記駆動手段が固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の可変断面押出成形装置。
【請求項4】 上記変位測定手段は、先端部が上記移動ダイスに当接するロッドと、このロッドを上記移動ダイス側に向けて付勢する付勢部材と、上記ロッドの基端部に連結されて当該ロッドの変位量を電気信号に変換する変位測定装置とを備えてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可変断面押出成形装置。
【請求項5】 上記ダイスアッセンブリには、当該ダイスアッセンブリを加熱する加熱手段が配設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の可変断面押出成形装置。
【請求項6】 上記ダイスアッセンブリは、管状のダイリング内に、上記成形材の押出方向に向けて順次上記固定ダイスと、この固定ダイスを支持するバックプレートとが収納されており、かつ上記ダイリングの外周部には、上記固定ダイスの開口部と連通して上記移動ダイスまたは上記駆動部が挿通可能な開口部が穿設され、かつ上記ダイリングの外周に、周方向に沿って複数のヒータが組込まれることによって上記加熱手段が構成されていることを特徴とする請求項5に記載の可変断面押出成形装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押出方向に断面形状が変化する成形体を押出成形するための可変断面押出成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、熱交換器用のフィンチューブ等の各種管材や、軽量化の要請が強い車両に用いられる各種の構造部材として、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押出成形によって成形されたものが多々使用されている。この押出成形は、コンテナの先端部に上記構成部材等の断面形状を有する押出孔が穿設されたダイスを固定し、コンテナ内に加熱した素材(ビレット)を挿入するとともに、このビレットを加圧機(ステム)によって上記ダイス側に押圧して上記押出孔から押し出すことにより、上記構成部材を成形するものである。このような押出加工によれば、ダイスの押出孔が一定の断面形状を有しているために、得られた上記構成部材等も、長手方向に向けて一定の断面形状に成形される。
【0003】しかしながら、上記構成部材のうち、例えば一般乗用車やトラック等の各種車輌の構造部材においては、上記押出用ダイスでこれを成形した場合には、例えば得られたサイドフレームが長手方向に向けて一定の断面形状、換言すれば一定の断面二次モーメントを有するために、長手方向において必要以上の寸法および強度を有する部材が成形されてしまい、成形材料が無駄になって不経済であるとともに、当該構成部材の設置スペースのコンパクト化および軽量化を妨げるという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、このような問題点を解決する従来の押出用ダイスとして、特開平5−31527号公報に見られるような、押出用ダイスをコンテナに固定される固定ダイスと、この固定ダイスに対して移動自在に設けられた移動ダイスとから構成し、移動ダイスを適宜移動させることにより、固定ダイスの固定ダイス孔と移動ダイスの移動ダイス孔との連通部分によって構成される押出孔の形状を変化させて、成形される構成部材の断面形状を長手方向に向けて変化させる可変断面押出用ダイスが提案されている。このような可変断面押出用ダイスによれば、発生する応力分布に応じた形状の押出成形が可能であり、よって例えば長手方向の中央部や両端部等、どの部分においても応力が一定となるような合理的な断面形状を有する構成部材等を成形することができるという利点がある。
【0005】ところが、上記従来の可変断面押出用ダイスを押出成形装置に組込もうとする場合には、固定ダイスと移動ダイスとを相対移動させようとすると、加圧機による押出方向に対して両者から押出される成形体の押出基準心を保持することが難しく、よって安定的な押出成形が困難であるとともに装置が複雑化し、また少なくとも一方を移動させる場合においても、押出成形装置には大きなスラスト方向の荷重が作用するために、加圧機と固定ダイスの相対位置を確実に保持しつつ、さらに固定ダイスに対して移動ダイスを精度良く、かつ円滑に摺動させることが構造上極めて困難であり、結局高い精度で押出成形することが極めて難しいといった種々の実際上の問題点があった。本発明は、このような可変断面押出成形を現実的に行う際に生じる課題を有効に解決すべくなされたもので、精度の高い可変断面押出成形を安定的に行うことができる可変断面押出成形装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明に係る可変断面押出成形装置は、成形材が収納されるコンテナと、このコンテナの一端部側に配設されて上記コンテナ内の成形材を他端部側に押圧する加圧機と、上記コンテナの他端部に配設されて上記コンテナから押出される成形材を押出孔を介して製品形状に成形するダイスが組込まれたダイスアッセンブリと、このダイスアッセンブリを基盤上に支承するダイスタックと、上記押出孔の形状を変化させる駆動手段とを備えてなり、上記ダイスアッセンブリは、上記ダイスタックに固定され、固定ダイス孔が穿設された固定ダイスと、この固定ダイスに移動自在に設けられ、移動ダイス孔が穿設された移動ダイスとを有し、上記固定ダイス孔と移動ダイス孔との連通部分によって形状が可変の上記押出孔が構成されるとともに、上記移動ダイスに上記駆動手段の駆動部先端が連結され、かつ上記ダイスアッセンブリとダイスタックとには、それぞれ移動ダイスまたは上記駆動部が挿通可能な開口部が形成されるとともに、上記開口部に挿通されるとともに先端部が上記移動ダイスに係合し、当該移動ダイスの移動を測定する変位測定手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、上記固定ダイスに上記固定ダイス孔に連通する孔部が穿設され、この孔部内に、上記移動ダイスが摺動自在に組込まれていることを特徴とするものであり、請求項3に記載の発明は、上記加圧機、コンテナおよび上記ダイスアッセンブリを支持するダイスタックは、水平方向に順次配設され、上記固定ダイスおよび上記ダイスタックの側壁に上記開口部が形成されるとともに、上記ダイスタックの側壁に上記駆動手段が固定されていることを特徴とするものである。
【0008】さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の変位測定手段が、上記開口部に挿通されて先端部が上記移動ダイスに当接するロッドと、このロッドを上記移動ダイス側に向けて付勢する付勢部材と、上記ロッドの基端部に連結されて当該ロッドの変位量を電気信号に変換する変位測定装置とを備えてなることを特徴とするものである。
【0009】また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のダイスアッセンブリに、当該ダイスアッセンブリを加熱する加熱手段が配設されていることを特徴とするものであり、請求項6に記載の発明は、上記ダイスアッセンブリが、管状のダイリング内に、上記成形材の押出方向に向けて順次上記固定ダイスと、この固定ダイスを支持するバックプレートとが収納された構成であり、かつ上記ダイリングの外周部には、上記固定ダイスの開口部と連通して上記移動ダイスまたは上記駆動部が挿通可能な開口部が穿設され、かつ上記ダイリングの外周に、周方向に沿って複数のヒータが組込まれれることによって上記加熱手段が構成されていることを特徴とするものである。
【0010】請求項1〜6のいずれかに記載の発明にあっては、固定ダイスと移動ダイスを有するダイスアッセンブリをダイスタックを介して基盤上に支承し、かつダイスアッセンブリとダイスタックとに形成した開口部に、それぞれ互いに連結された上記移動ダイスまたは駆動部を挿通して当該移動ダイスを駆動するとともに、移動ダイスに係合する変位測定手段によって当該移動ダイスの移動を測定しているので、上記固定ダイスの位置を基準とし、かつこの固定ダイスに対して移動ダイスを正確かつ円滑に移動させることができ、よって精度の高い可変断面押出成形を安定的に行うことができる。また、押出される成形体が固定ダイス孔を基準として延出するために、そのガイドが容易になる。
【0011】特に請求項2に記載の発明においては、固定ダイスに孔部を穿設して、この孔部内に移動ダイスを摺動自在に組込んでいるので、固定ダイス孔と移動ダイス孔との相対変位を生じること無く、上記移動ダイスを円滑に移動させることが可能となる。加えて、請求項3に記載の発明においては、上記固定ダイスおよびダイスタックの側壁に上記開口部を形成し、上記ダイスタックの側壁に駆動手段を固定しているので、固定ダイス、移動ダイスおよび駆動手段の相対変位を生じることが無く、よって上記駆動手段による押圧軸線を常に一定に保持することができるために、上記押圧軸線の変位によって移動ダイスの駆動力が増加するといった虞も無く、固定ダイスに対する移動ダイスの摺動を精度良く、かつ円滑に行うことが可能となる。
【0012】さらに、上記移動ダイスの移動を制御するためにその変位量を測定するに際して、例えば上記駆動手段の駆動部の変位量を測定することも考えられるが、当該駆動部と移動ダイスとの間にあそび(隙間)を生じることが避けられないために、上記駆動部の変位量を測定しても、移動ダイス自体の変位量との間に上記あそびに起因する誤差が生じてしまう。この点、請求項4に記載の発明によれば、付勢部材によって移動ダイス側に付勢したロッドの先端を直接移動ダイスに当接させているので、移動ダイス自体の変位量を正確に測定することができ、この結果、上記移動ダイスの移動を高い精度で制御することができる。
【0013】ところで、このような押出装置においては、押出成形の当初は加熱した成形材が投入されたコンテナからの熱によってダイスアッセンブリが加熱されるが、当初ダイスタックは常温であるために、時間の経過とともに熱がダイスアッセンブリ側からダイスタック側に逃げてしまい、次第にダイスアッセンブリの温度が低下して当該ダイスアッセンブリが熱収縮するとともに、逆にダイスタックは熱膨張する。このため、上記ダイスアッセンブリを支承するダイスタックとの間に隙間を生じて固定ダイスの位置が不安定になる虞がある。そこで、請求項5に記載の発明のように、ダイスアッセンブリを加熱する加熱手段を配設すれば、経時的にダイスアッセンブリの温度が低下傾向を示した際に、上記加熱手段によって積極的にダイスアッセンブリを加熱することにより、ダイスタックとの間に熱収縮に起因する隙間が発生することを防止することができる。
【0014】また、この種の押出装置においては、押出成形時に、上記ダイスアッセンブリに加圧機からの押圧力によって押出方向に大きな荷重が作用する。このため、上記ダイスアッセンブリを固定ダイスおよび移動ダイスのみから構成した場合には、上記荷重に起因する剪断力に抗するために固定ダイスの厚さ寸法を大きくする必要がある。一方、固定ダイスの固定ダイス孔の加工には数十〜数百ミクロン単位の高い精度が要求されるために、当該固定ダイスの厚さ寸法が大きくなると、加工に手間を要して製造単価の高騰化を招く。
【0015】この点、請求項6に記載の発明によれば、上記ダイスアッセンブリを、管状のダイリング内に、固定ダイスを支持するバックプレートと固定ダイスとを収納した構成としているので、上記固定ダイスの厚さ寸法をより薄く設定することができてその製造が容易になるとともに、ダイリングおよびバックプレートについては、異なる形状に対応した種々の固定ダイスに対して、共通部材として使用することができて経済的である。なお、この場合に移動ダイスを外部から駆動するためには、上記ダイリングの外周部にも上記固定ダイスの開口部と連通して移動ダイスまたは駆動部が挿通可能な開口部を穿設すればよい。
【0016】
【発明の実施の形態】図1〜図8は、本発明に係る可変断面押出成形装置の一実施形態を示すものである。図1に示すように、この可変断面押出成形装置は、アルミニウムまたはアルミニウム合金のビレット(成形材)1が収納されるコンテナ2と、このコンテナ2の一端部側に配設されてコンテナ2内のビレット1を他端部側に押圧するステム(加圧機)3と、コンテナ2の他端部に配設されてこのコンテナ2から押出される成形材を押出孔4を介して製品形状に成形するダイスアッセンブリ5と、このダイスアッセンブリ5を基盤上に支承するダイスタック6と、このダイスタック6の後段に配設されたエンドプラテン7とが水平方向に配設され、さらに押出孔4の形状を変化させる駆動装置(駆動手段)8が設けられるとともに、ダイスアッセンブリ5の移動ダイス12の変位量を直接測定する変位測定手段40が設けられることによって概略構成されたものである。ここで、ステム3、ダイスタック6およびエンドプラテン7は、それぞれ床面(基盤)上に直接または間接的に固定されており、さらにステム3とエンドプラテン7とは、互いの4隅に介装されたタイロッド(図示を略す。)によって連結されている。
【0017】また、ダイスタック6は、図1および図2に示すように、方形板状の部材で、その中央部には上方に開口するU字状の凹部9が形成されている。そして、この凹部9内に、ダイスアッセンブリ5が挿脱自在に収納されている。このダイスアッセンブリ5は、例えば一部フランジが形成されないH型部材を押出加工するためのもので、円管状のダイリング10内に、成形材1の押出方向に向けて順次固定ダイス11と、この固定ダイス11に穿設された孔部22内に摺動自在に設けられた移動ダイス12と、固定ダイス11を支持するバックプレート13と、固定ダイス11の上流側に設けられてバックプレート13とともに固定ダイスを挟むリードインプレート16とが収納されたものである。ここで、ダイスタック6の凹部9の内壁部には、成形材の押出方向と交差する方向に溝部9aが形成されており、この溝部9a内にダイリング10の外周に形成された凸部10aが嵌合されている。
【0018】他方、固定ダイス11は、熱間工具鋼によって形成された略外観円板状の部材で、図5および図6に示すように、コンテナ2側に位置する上面15の中央部には、コンテナ2から押出される成形材1の流路となる凹部17が形成されるとともに、この凹部17の底部に固定ダイス孔18が穿設されている。
【0019】この固定ダイス孔18は、成形するH型部材の一方のフランジの最大厚さ寸法と同一の幅寸法を有するフランジ部形成孔19と、このフランジ部形成孔19の中央部と直交する方向に延びるウエブ形成孔20と、このウエブ形成孔20の他端部に形成されたフランジ部連通孔21とから形成されたものである。フランジ部連通孔21は、フランジ部形成孔19と同一の長さ寸法を有し、かつ該フランジ部形成孔19よりも大きな幅寸法を有するように形成されている。また、この固定ダイス11の側面中央部には、ウエブ形成孔20と平行に延びて側面間を貫通し、かつ固定ダイス孔18と連通する孔部22が穿設されており、この孔部22の側面中央部には、移動ダイス12の側面を密に摺動自在に案内するための案内壁23が形成されている。そして、この固定ダイス11の孔部22内に、移動ダイス12が摺動自在に設けられている。
【0020】この移動ダイス12は、図7に示すように、孔部22内に挿入される頭部25と、この頭部25を孔部22内において摺動させるための駆動装置8の駆動軸(駆動部)24の先端部24aが連結されるクランプ部26とから一体に構成されたものである。上記頭部25は、熱間工具鋼等によって形成された外観略方形板状の部材で、その中央部には、固定ダイス孔18と同一寸法に形成されたフランジ部形成孔27と、このフランジ部形成孔27の中央部と直交するウエブ形成孔28と、このウエブ形成孔の他端部に形成されたフランジ部連通孔29からなる移動ダイス孔30が穿設されている。なお、上記ウエブ形成孔28は、この移動ダイス12の側壁31と平行になるように形成されている。移動ダイス12は、フランジ部形成孔27を固定ダイス孔18のフランジ部連通孔21側に位置させ、かつ互いのウエブ形成孔20、28を連通させて、固定ダイス11の孔部22内の案内壁23に沿って摺動自在に挿入されている。
【0021】そして、この移動ダイス12の移動方向にのぞむダイリング10の側壁には、固定ダイス11の孔部22よりも僅かに大きな開口部34が形成されており、この開口部34から移動ダイス12を内部に組込まれた固定ダイス11の孔部22内に装着するようになっている。さらに、ダイリング10の外周部には、上記開口部34が形成された部位を除いて、複数(図では合計12)の長穴10c…が穿設されており、各々の長穴10c内にヒータ(加熱手段)50が組込まれている。一方、図2に示すように、ダイスタック6の側面には、取付け部材32を介して上記駆動装置8が固定されている。この駆動装置8は、油圧シリンダ33と、この油圧シリンダ33によって進退する駆動軸24とから構成されたもので、上記駆動装置24は、ダイスタック6およびダイリング10の側壁に形成された開口部34、35に挿通されて、その先端部24aが移動ダイス12のクランプ部26に連結されている。
【0022】さらに、図1および図8に示すように、駆動装置8が取付けられている取付け部材32には、移動ダイス12の変位量を直接測定するための上記変位測定手段40が取付けられている。この変位測定手段40は、軸受41によって取付け台32上に移動ダイス12の移動方向に向けて進退自在の設けられたロッド42と、このロッド42にピン43によって固定された受け板44と軸受41との間に介装されてロッド42を移動ダイス42側に付勢するスプリング(付勢部材)45と、ロッド42の基端部に連結されてロッドの変位量を電気信号に変換するデジタルスケール(変位測定装置)46とから構成されたもので、ロッド42の先端部42aは、スプリングの付勢力によって、常時移動ダイス12に固定された係止板12aに当接するようになっている。また、この先端部42aは、スクリュージョイント47によって長さ寸法が調整可能になっている。
【0023】次に、図1〜図11に基づいて、以上の構成からなる可変断面押出成形装置を用いたアルミニウムまたはアルミニウム合金製のH型部材の押出加工方法について説明する。先ず、ステム3を後退させた状態で、コンテナ2内に加熱したアルミニウムビレット1を挿入した後に、ステム3を前進させて当該ビレット1をダイスアッセンブリ5内の固定ダイス11側に向けて押出す。すると、図9に示すように、固定ダイス孔18と移動ダイス孔30との連通部分によって構成されるダイス孔4(図中ハッチングで示す部分)から成形材1が押出され、ダイス孔4の形状を断面形状とするH型部材が押出成形される。そして、これと並行して、適宜駆動装置8の油圧シリンダ33を制御することにより、駆動軸24を介して移動ダイス12を固定ダイス11の孔部22内において摺動させると、成形される部材のフランジ間のウエブの長さ寸法Lを漸次増減させることができる。
【0024】次いで、移動ダイス12をさらに移動させて、図10に示す位置に設定すると、ウエブの両端部に、フランジ部形成孔19、27とフランジ部連通孔20、29との連通部分に相当する厚さ寸法Wのフランジを有するH型部材が成形される。この際に、上述した状態を保持しつつ移動ダイス12を移動させることにより、長手方向に向けてフランジの厚さ寸法Wを適宜変化させることができる。また、図11に示すように、固定ダイス孔18と移動ダイス孔30との互いのウエブ形成孔20、28を連通させ、かつ一方のフランジ部形成孔19、27と他方のフランジ部連通孔21、29とを連通させない位置において成形材1を押出すと、成形材1は、ウエブ形成孔20、28の連通した押出孔4のみを通過して押出されるため、この結果、押出孔4の長さ寸法に対応したフラットバー状のウエブのみを有する平板状の構成部材が成形される。以上のように、駆動装置8によって移動ダイス12を固定ダイス11に対して適宜位置に移動させることにより、長手方向に向けて多様な可変断面形状を有する構成部材を容易に成形加工することができる。
【0025】この際に、移動ダイス12を正確な位置に移動させるために、図8に示した変位測定手段40によって移動ダイス12の変位量が計測される。すなわち、ロッド42は、スプリング45によって常に移動ダイス12に付勢されて係止板12aに当接しているために、移動ダイス12が移動するとこれに追従し、その変位量が直接デジタルスケール46からの出力信号として計測される。そこで、当該変位量に対応させて駆動装置8の油圧シリンダ33が制御されて、移動ダイス12が所望の位置まで移動される。
【0026】この際に、固定ダイス11には、ステム3によってコンテナ2内のビレット1を押出すことによって生じるスラスト力が作用するが、当該スラスト力は、先ず固定ダイス11の上流側に配設されたリードインプレート16に作用するために、直接固定ダイス11に作用する上記スラスト力が緩和される。また、時間の経過とともに、次第にダイスアッセンブリ5の温度が低下してダイスアッセンブリ5が熱収縮するとともに、逆にダイスタック6は熱膨張する。そこで、押出成形を行うに従って、ダイスアッセンブリ5の温度が低下傾向を示した際に、ヒータ50に通電してダイリング10を積極的に加熱することにより、ダイリング10が熱収縮してダイスタック6との間に隙間が発生することを防止するとともに、アルミニウムの変形抵抗の増大を防ぎ、可変断面押出を行い易くする。
【0027】なお、上記可変断面押出成形装置によって、他の形状の可変断面部材を押出成形する場合には、先ずダイリング10に設けた吊り具によってダイスアッセンブリ5全体を吊り上げてダイスタック6の凹部9から上方に抜出し、次いで当該部材の対応した固定ダイスおよび移動ダイスを組込んだダイスアッセンブリをダイスタック6の凹部9内に収納させればよい。
【0028】以上のように、上記構成からなる可変断面押出成形装置にあっては、固定ダイス11と移動ダイス12を有するダイスアッセンブリ5をダイスタック6を介して基盤上に支承し、かつ固定ダイスとダイスタックとに形成した開口部に、それぞれ互いに連結された上記移動ダイスまたは駆動部を挿通して当該移動ダイスを駆動するとともに、スプリング45によってロッド42が直接移動ダイス12に当接する変位測定手段40によって移動ダイス12の移動を測定しているので、上記固定ダイス11の位置を基準とし、かつこの固定ダイス11に対して移動ダイス12を正確かつ円滑に移動させることができ、よって精度の高い可変断面押出成形を安定的に行うことができる。また、押出される成形体が固定ダイス孔11を基準として延出するために、そのガイドが容易になる。
【0029】特に、固定ダイス11に孔部22を穿設して、この孔部22内に移動ダイス12を摺動自在に組込んでいるので、固定ダイス孔11と移動ダイス孔12との相対変位を生じること無く、よって移動ダイス12の摺動を円滑に行わせることができる。しかも、ダイスタック6の側壁に駆動装置8を固定しているので、固定ダイス11、移動ダイス12および駆動装置8間に相対変位を生じることが無く、この結果駆動装置8による押圧軸線を常に一定に保持することができるために、上記押圧軸線の変位によって移動ダイス12の駆動力が増加するといった虞も無い。このため、固定ダイス11に対する移動ダイス12の摺動を精度良く、かつ円滑に行うことができる。
【0030】さらに、上記変位測定手段40によって直接移動ダイス12の移動を測定しているので、デジタルスケール(変位測定装置)46によって変換された電気的信号に基づいて油圧シリンダ33を制御することにより、移動ダイス12を高い精度で所望の位置に移動させることができる。加えて、ダイリング10にヒータ50を配設しているので、このヒータ50によって積極的にダイリング10を加熱することにより、ダイスタック6との間に熱収縮に起因する隙間が発生することを防止するとともに、素材アルミニウムの温度低下による変形抵抗の増加を防止することができる。
【0031】また、ダイスアッセンブリ5を、管状のダイリング10内に、バックプレート13と固定ダイス11とリードインプレート16とを収納した構成としているので、固定ダイス11の厚さ寸法をより薄く設定することができてその製造が容易になるとともに、ダイリング10およびバックプレート13、リードインプレート16については、異なる形状に対応した種々の固定ダイスに対して、共通部材として使用することができて経済的である。
【0032】なお、上記実施の形態においては、固定ダイス11および移動ダイス12としてH型の構成部材を押出成形するものを使用した場合についてのみ説明したが、これに限るものではなく、各種の可変断面の構成部材を押出成形するための固定ダイスおよび移動ダイスを組込むことが可能である。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜6のいずれかに記載の可変断面押出成形装置によれば、固定ダイスの位置を基準とし、かつこの固定ダイスに対して移動ダイスを正確に移動させることができるために、精度の高い可変断面押出成形を安定的に行うことができるとともに、押出される成形体が固定ダイス孔を基準として延出するために、そのガイドが容易になる。この際に、請求項2に記載の発明によれば、固定ダイス孔と移動ダイス孔との間に相対変位を生じること無く、さらに請求項3に記載の発明によれば、固定ダイス、移動ダイスおよび駆動手段の相対変位を生じることが無いために、固定ダイスに対する移動ダイスの摺動を一層精度良く、かつ円滑に行うことが可能になる。さらに、請求項4に記載の発明によれば、付勢部材によって移動ダイス側に付勢したロッドの先端を直接移動ダイスに当接させているので、移動ダイス自体の変位量を正確に測定することができ、この結果、上記移動ダイスの移動を高い精度で制御することができるという効果が得られる。
【0034】また、請求項5に記載の発明によれば、経時的にダイスアッセンブリの温度が低下傾向を示した際に、加熱手段によって積極的にダイスアッセンブリを加熱することにより、ダイスタックとの間に熱収縮に起因して隙間が発生すること、および素材の温度が低下して変形抵抗が増大することを共に防止することができ、請求項6に記載の発明によれば、固定ダイスの厚さ寸法をより薄く設定することができてその製造が容易になるとともに、ダイリングおよびバックプレートについては、異なる形状に対応した種々の固定ダイスに対して、共通部材として使用することができて経済的であるといった効果が得られる。




 

 


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