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発明の名称 プレキャストコンクリート部材の養生装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−264129
公開日 平成10年(1998)10月6日
出願番号 特願平9−77394
出願日 平成9年(1997)3月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔 (外2名)
発明者 小柳 光生 / 中根 淳
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 プレキャストコンクリート部材を成形するための型枠を鋼板材で中空箱体状の矩形パネルに形成し、該矩形パネルの長さ方向両端部に、該矩形パネルの幅方向の対角に位置させて該矩形パネルの内部に連通する給水パイプと排水パイプとをそれぞれ設けるとともに、水温調整可能な温水槽を設け、該温水槽と上記給水パイプおよび上記排水パイプそれぞれとの間を、該温水槽から上記矩形パネルへ温水を循環させるための給水管および排水管で接続したことを特徴とするプレキャストコンクリート部材の養生装置。
【請求項2】 前記矩形パネルの外表面に断熱材を取り付けたことを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート部材の養生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレキャストコンクリート部材の養生装置、特にプレキャストコンクリート部材の型枠兼用の養生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プレキャストコンクリート部材を製造する時、コンクリートを打ち込んだ後に適切な養生を行わないと、強度、耐久性など所要の品質が得られなくなってしまう。
【0003】従来、工場または施工現場においてプレキャストコンクリート部材を製造する際には、型枠内へのコンクリート打ち込み後において、翌日の脱型工程を可能とすべくコンクリート強度の発現を促進するために初期の保温養生が必要になっている。
【0004】一般に、蒸気養生による保温養生を行うが、この蒸気養生とは、一般には常圧蒸気を用いて行う促進養生であって、蒸気発生装置による蒸気の供給によってコンクリートを一定速度で昇温させ、コンクリートを最高温度に保つ期間を経た後、蒸気の供給を止めて冷却することによりコンクリート強度の発現を促進する。そして、蒸気養生の工程は、通常1日1サイクルで計画されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記蒸気養生法は、多くのプレキャストコンクリート部材を同時に養生する場合に、広範囲にわたって均一に保温できる点で優れているが、気密性が良くないときわめて熱効率が悪い。したがって、蒸気発生装置のほか、レール付き覆いなどの囲いも併せて設備する必要があり、養生設備が大がかりになるといった課題があった。そしてまた、設備コストが高額になり、したがってプレキャストコンクリート部材のコストアップの要因にもなっていた。
【0006】本発明は、かかる従来の課題を解消するためになされたもので、その目的は、大がかりな養生設備を必要としないで簡易に、かつ熱効率よく初期養生を行うことができるプレキャストコンクリート部材の養生装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために請求項1の発明では、プレキャストコンクリート部材を成形するための型枠を鋼板材で中空箱体状の矩形パネルに形成し、該矩形パネルの長さ方向両端部に、該矩形パネルの幅方向の対角に位置させて該矩形パネルの内部に連通する給水パイプと排水パイプとをそれぞれ設けるとともに、水温調整可能な温水槽を設け、該温水槽と上記給水パイプおよび上記排水パイプそれぞれとの間を、該温水槽から上記矩形パネルへ温水を循環させるための給水管および排水管で接続したことを特徴とする。
【0008】また、前記矩形パネルの外表面に断熱材を取り付けたことを特徴とする。
【0009】本発明にあっては、水温調整可能な温水槽で温度管理された温水を、給水管および排水管を介して給水パイプおよび排水パイプから、鋼板材で中空箱体状に形成されてプレキャストコンクリート部材を成形するための型枠となる矩形パネルへと循環させるようにし、これにより矩形パネルの内部を流通する温水を利用してこの矩形パネルによって直接その内部に打設されたコンクリートを保温養生するようになっている。
【0010】そしてこの矩形パネルの外表面に断熱材を取り付けて、矩形パネルを周囲から熱的に遮断して効率よく保温養生する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の好適な一実施形態を示す斜視図であり、図2〜図4はプレキャストコンクリート部材を貫通する貫通穴を成形する場合の例を示す説明図である。
【0012】本実施形態は基本的には、プレキャストコンクリート部材を成形するための型枠10を鋼板材で中空箱体状の矩形パネル12に形成し、矩形パネル12の長さ方向両端部に、矩形パネル12の幅方向の対角に位置させて矩形パネル12の内部に連通する給水パイプ14aと排水パイプ14bとをそれぞれ設けるとともに、水温調整可能な温水槽20を設け、温水槽20と給水パイプ14aおよび排水パイプ14bそれぞれとの間を、温水槽20から矩形パネル12へ温水を循環させるための給水ホース23および排水ホース24で接続して構成され、また矩形パネル12の外表面には断熱材15が取り付けられている。
【0013】図示するように、プレキャストコンクリート梁部材成形用の型枠10は、矩形パネル12でなる両側型枠および底型枠で正面視U字状に組み立てられる。この矩形パネル12は、それぞれ鋼板材により中空箱体状に形成され、内部に中空部13が形成されている。そして、中空部13には矩形パネル12の長さ方向一端部12aの幅方向一端から長さ方向他端部12bの幅方向他端に位置させて給水パイプ14a,排水パイプ14bがそれぞれ取り付けられている。さらに、矩形パネル12の外表面には、断熱材15が張り付けられ、これにより中空部13内を循環する温水の外部への放熱が防止されている。
【0014】投げ込みヒーター(図示せず)を入れた温水槽20内では水温が40〜50℃以下に温度管理されている。そして、水中ポンプ22には給水ホース23が接続されている。
【0015】上記のプレキャストコンクリート梁部材成形用の型枠10を構成する各矩形パネル12の一端部12aの給水パイプ14aおよび他端部12bの排水パイプ14bに、それぞれ給水ホース23および排水ホース24を接続し、これにより中空部13内に温水を循環させる。
【0016】上記のような方法によれば、型枠10内に打ち込まれたコンクリートを、矩形パネル12の内部を流通する温水を利用してこの矩形パネル12によって直接保温することができるので、熱効率が高く、また大がかりな養生設備を必要としないで簡易に初期養生をすることができる。また、型枠10となる矩形パネル12が鋼板材によって中空箱体状に形成されるので、この矩形パネル12自体が高い剛性を有することとなり、型枠に補剛リブなどを設ける必要がなくなる。
【0017】図2および図3は、プレキャストコンクリート梁部材を製造する際にその内部に小径の貫通穴を形成する場合の構造を示す。本実施形態では、内フランジ41に磁石42を配設したリング状の支持部材40を、矩形パネル12の型枠内面12cの所望の位置に装着し、さらに支持部材40の外周にチューブ43を挿通する。そして、コンクリートを打設し脱型した後、矩形パネル12の撤去とともに支持部材40を取り外すことで、貫通穴が形成されることになる。
【0018】図4は、より大径の貫通穴を形成する場合の構造を示す。本実施形態では、有底円筒形の底面51に磁石52を配設した支持部材50を、両側の矩形パネル12の型枠内面12c間に装着する。そして、コンクリートを打設し脱型した後、矩形パネル12の撤去とともに支持部材50を取り外すことで、貫通穴が形成されるようになっている。いずれにあっても、内部細工に磁石金物を利用でき、型枠を傷付けることもなく、またその転用も容易である。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るプレキャストコンクリート部材の養生装置では、プレキャストコンクリート部材を成形するための型枠を鋼板材で中空箱体状の矩形パネルに形成し、該矩形パネルの長さ方向両端部に、該矩形パネルの幅方向の対角に位置させて該矩形パネルの内部に連通する給水パイプと排水パイプとをそれぞれ設けるとともに、水温調整可能な温水槽を設け、該温水槽と上記給水パイプおよび上記排水パイプそれぞれとの間を、該温水槽から上記矩形パネルへ温水を循環させるための給水管および排水管で接続して構成したので、プレキャストコンクリート部材成形用の型枠となる矩形パネル内部に直接温水を流通させてその内部に打設されたコンクリートを直接保温養生することができ、熱効率が高く、また大掛かりな養生設備を必要としないで簡易に初期養生を実施することができる。
【0020】また、型枠となる矩形パネルが鋼板材によって中空箱体状に形成されるのでこの矩形パネル自体に高い剛性を確保することができ、型枠に補剛リブなどを設ける必要がなくなる。
【0021】さらに、養生設備が型枠と兼用であるため養生のための作業が簡便になり、またシート覆いなどの囲いも簡素化することができ、これによって作業スペースが確保できるので、特に施工現場でプレキャストコンクリート部材を製造する、いわゆるサイトプレキャスト製造に効果的である。
【0022】これらのことからプレキャストコンクリート部材の製造コストを低く抑えることが可能となる。
【0023】さらに矩形パネルの外表面に断熱材を取り付けるようにしたので、矩形パネルを周囲から熱的に遮断してさらに効率よく保温養生することができる。




 

 


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