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発明の名称 メタノール合成用流動触媒の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−263404
公開日 平成10年(1998)10月6日
出願番号 特願平9−76975
出願日 平成9年(1997)3月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
発明者 細川 元征 / 中村 忠士 / 辻 欣哉 / 山上 浩司 / 小沢 義久 / 渡辺 利康 / 山田 元 / 野崎 仁志
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 一酸化炭素及び/又は二酸化炭素と水素との混合ガスからのメタノール合成用であって、銅,亜鉛,ジルコニウム,アルミニウム及びマグネシウムを含有し、かつ酸化物基準でジルコニウム酸化物の含有量が30〜70重量%である流動触媒を製造するに当たり、原子基準でマグネシウムの量が、亜鉛とマグネシウムとの合計量に対して10〜60%になるように、銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物を含むスラリーにマグネシウム化合物を添加して上記化合物と共にマグネシウム化合物を含むスラリーを調製したのち造粒するか、又は銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物を含むスラリーとマグネシウム化合物スラリーとを混合したのち造粒することを特徴とするメタノール合成用流動触媒の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタノール合成用流動触媒の製造方法の改良に関し、さらに詳しくは、耐熱性に優れた流動触媒であって、水素と一酸化炭素及び/又は二酸化炭素とを主成分とする合成ガスからのメタノール合成に用いられる流動触媒を効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、メタノール合成プロセスにおいては、大型化と、低コスト化を促進するためのエネルギー原単位の低減を目的とした技術改良が行われている。このようなメタノール合成プロセスの技術改良の一つとして、流動触媒を用いた流動層合成反応器の開発が行われており、特開昭60−84142号公報,特開昭60−106534号公報,特開昭60−122040号公報,特開昭63−209754号公報及び特開昭63−31541号公報などにメタノール合成用流動触媒及びその製造方法が開示されている。すなわち、特開昭60−10653号公報では、銅−亜鉛−ジルコニウム系において、ジルコニウム酸化物含有量が30〜70重量%の触媒が開示されており、特開昭60−122040号公報では、銅−亜鉛−アルミニウム−二価金属系において、アルミニウム酸化物の含有量が30〜70重量%で、二価金属元素としてマグネシウム,カルシウム,バリウムを添加する触媒調製法が開示されている。
【0003】一方、流動層合成反応器は、反応熱の速やかな移動を促進して反応熱の回収効率を高めるので、メタノール合成の反応率を高くすることができる上、反応装置の大型化に有利であるとともに、反応熱を有効に回収してエネルギー原単位の低減を図ることができる。このように反応熱を回収する場合、通常はスチームとして回収され、そしてこのスチームをエネルギーとして使用する。したがって、このスチームは温度の高い方が、換言すれば圧力の高い方が有利であることは言うまでもない。この場合、流動層合成反応器では、必然的に反応温度をある程度高く保持して運転が行われる。このような流動層合成反応器に用いられる触媒は、活性,耐摩耗性はもとより、耐熱性に優れていることが強く要求される。この耐熱性は耐久性をも左右する重要な因子である。以上の点において、前記の公報記載の各触媒は、流動層合成反応器用の実用触媒としての性能についてはまだ十分とは言えない。
【0004】ところで、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素と水素とを含む合成ガスからのメタノール合成用流動触媒として、前記したように、ジルコニウム酸化物含有量が30〜70重量%のものが開示されており(特開昭60−106534号公報)、そして、この公報においては、銅及び亜鉛以外の活性成分として、さらにクロム,バナジウム,マグネシウム,アルミニウムなどの酸化物やリンのオキシ酸塩などを、銅及び亜鉛の酸化物に対して1〜50重量%を加えることができると記載されている。しかしながら、ここでは、銅,亜鉛,及びジルコニウムに、所定の元素の酸化物をそれぞれ加えて、その効果を述べているが、それらの相互作用や調製法については述べられていない。また、ここで述べられている触媒は、高い質のエネルギーを回収するための合成反応条件下では、充分に満足できる性能を有していないことが、本発明者らによって確認された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような状況下で、メタノール合成において、高い質のエネルギーを回収するための条件下で、充分に満足しうる性能、すなわち触媒活性及び耐摩耗性はもとより、耐熱性に優れた性能を有するメタノール合成用流動触媒を効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、銅,亜鉛,ジルコニウム,アルミニウム及びマグネシウムを含有し、かつ酸化物基準でジルコニウム酸化物の含有量が30〜70重量%であるメタノール合成用流動触媒を製造するに際し、マグネシウムを亜鉛に対して所定の割合で含有する、銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物とマグネシウム化合物とを含むスラリーを特定の方法で調製したのち、造粒することにより、特開昭60−106534号公報に開示されている方法により得られた触媒に比べて、優れた性能、特に耐熱性に優れる触媒が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素と水素との混合ガスからのメタノール合成用であって、銅,亜鉛,ジルコニウム,アルミニウム及びマグネシウムを含有し、かつ酸化物基準でジルコニウム酸化物の含有量が30〜70重量%である流動触媒を製造するに当たり、原子基準でマグネシウムの量が、亜鉛とマグネシウムとの合計量に対して10〜60%になるように、銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物を含むスラリーにマグネシウム化合物を添加して上記化合物と共にマグネシウム化合物を含むスラリーを調製したのち造粒するか、又は銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物を含むスラリーとマグネシウム化合物スラリーとを混合したのち造粒することを特徴とするメタノール合成用流動触媒の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のメタノール合成用流動触媒の製造方法においては、まず、銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物を含むスラリーを調製する。このスラリーの調製方法については特に制限はなく、従来メタノール合成用流動触媒の製造における公知の方法を用いることができる。本発明の方法においては、このようにして得られた銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物を含むスラリーにマグネシウム化合物を添加して、上記化合物と共にマグネシウム化合物を含むスラリーを調製するか、あるいは別途マグネシウム化合物スラリーを調製し、このスラリーと、銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物を含むスラリーとを混合、望ましくは均質に混合して、上記化合物と共にマグネシウム化合物を含むスラリーを調製する。各スラリーの調製には、例えば高性能ミキサーなどが用いられる。また、前記マグネシウム化合物としては特に制限はなく、例えば塩基性炭酸マグネシウム,水酸化マグネシウム,酸化マグネシウムなどが用いられるが、これらの中で、特に塩基性炭酸マグネシウムが好適である。
【0008】本発明においては、前記の銅,亜鉛,ジルコニウム及びアルミニウムの化合物とマグネシウム化合物とを含むスラリーは、原子基準でマグネシウムの量が、亜鉛とマグネシウムとの合計量に対し、10〜60%、好ましくは15〜40%になるように調製される。また、このスラリーにおける銅と亜鉛の割合は、原子比で通常0.5:1〜12:1、好ましくは0.8:1〜10:1の範囲であり、アルミニウムの含有量は、酸化物基準で通常0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲である。また、この際、必要に応じホウ素,ケイ素,クロム,チタニウム,パラジウムなどを一種又は二種以上添加することができるが、これらの成分としては、メタノール合成反応に害を及ぼさない元素から構成されている物質を使用するのがよい。さらに、銅,亜鉛,ジルコニウム,アルミニウム及びマグネシウムの原料源としては特に制限はないが、通常それぞれの成分の塩類、例えば硝酸塩,酢酸塩,硫酸塩などが挙げられる。また、各成分の化合物を含むスラリーの調製の際に、通常用いられる沈殿剤としては、例えば炭酸アルカリ,炭酸水素アルカリ,水酸化アルカリなどが使用される。また、亜鉛,アルミニウム,ジルコニウムについては、酸化亜鉛,アルミナゾル,ジルコニアゾルなども使用することができる。
【0009】本発明においては、このようにして調製したスラリーをそのまま、あるいはいったん固形物を取り出し、洗浄後再びスラリーを調製したのち、造粒して、酸化物基準でジルコニウム酸化物の含有量が30〜70重量%であるメタノール合成用流動触媒を製造する。この場合、流動触媒は通常球状であるので、その造粒法としては、例えば適当な濃度のスラリーを噴霧乾燥する方法や油中滴下法などの通常の手段を採用することができる。この際のスラリー濃度は、通常5〜55重量%、好ましくは15〜30重量%の範囲である。造粒物はそのままでも使用できるが、通常、焼成処理してから使用する。この焼成処理は、一般に空気雰囲気下、250〜500℃程度の温度で行われる。焼成処理された触媒は、通常還元処理したのち、メタノール合成に使用される。この還元処理方法としては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、窒素などの非反応性ガス中に水素を0.5〜15容量%程度含む混合ガス中において、触媒の温度を通常140〜240℃の範囲に注意深く上げながら、触媒中の酸化銅を還元する。還元ガスとしては、上記水素を含む非反応性ガスの他に、一酸化炭素,二酸化炭素及び水素などを含む合成ガスも使用することができる。
【0010】本発明の方法で得られたメタノール合成用流動触媒は、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素と水素との混合ガスからのメタノール合成に用いられる。この際の反応条件としては、原料ガス中の水素、一酸化炭素や二酸化炭素の濃度、触媒中の活性成分の割合や含有量などに応じて、適宜選定されるが、一般的には、反応圧力は20〜300kg/cm2 程度、好ましくは30〜200kg/cm2 であり、反応温度は150〜350℃程度、好ましくは200〜300℃である。また、ガス時空間速度(GHSV)は1000〜80000hr-1程度であり、特に気相流動層方式の場合には、触媒粒子が充分に流動するようなガス空塔速度とすることが肝要である。本発明の方法で得られた流動触媒は、気相流動層反応器のみでなく、液相流動層反応器においても使用できる。また、この触媒は、他の反応、例えば気相及び液相水添反応やメタノールの改質反応などにも用いることができる。
【0011】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における触媒の製造にはイオン交換水を用いた。
実施例1〜4及び比較例1,2銅及び亜鉛の硝酸塩を含有する水溶液を45℃において、量論比1.1倍の炭酸水素アンモニウム水溶液に添加し、沈殿を生成させたのち、80℃まで昇温し、その温度で30分間保持して熟成した。その後、60℃に降温し、これにアルミナゾル(Al23 10重量%含有)を添加して、その温度で30分間保持した。次いで、このスラリーに、攪拌下、オキシ硝酸ジルコニル水溶液と量論比1.1倍の炭酸水素アンモニウム水溶液を同時に添加して、銅,亜鉛,アルミニウム及びジルコニウムを含む沈殿を生成させた。このスラリーを30分間熟成した。これをスラリーIとする。これとは別に、硝酸マグネシウム水溶液(50℃)と量論比1.05倍の炭酸ナトリウム水溶液とで、塩基性炭酸マグネシウムスラリーを調製した。これをスラリーIIとする。次に、上記のスラリーIとスラリーIIとを、原子基準でマグネシウムの量が、亜鉛とマグネシウムの合計量に対して所定量になるように混合し、50℃で30分間攪拌して均一なスラリーを得たのち、ろ過、洗浄して銅,亜鉛,ジルコニウム,アルミニウム及びマグネシウムを含むケーキを得た。このケーキに水を加えて固形分濃度が15重量%のスラリーを調合し、ディスク式噴霧乾燥機にて造粒し、球状粉末を得た。次いで、これを空気流通下にて、380℃、3時間の条件で流動焼成することにより、第1表に示す性状を有する試験用触媒A〜Fを製造した。
【0012】比較例3特開昭60−10653号公報の実施例3に準じて、原子基準でマグネシウムの量が、亜鉛とマグネシウムの合計量に対し、12.5%である触媒を製造した。銅,亜鉛,マグネシウムの各硝酸塩及びオキシ硝酸ジルコニルを水に溶解して、60℃に保持した。この水溶液を、量論比1.1倍となるような量の炭酸水素アンモニウムを水に溶解して60℃に保持した水溶液中に攪拌下に添加して、銅,亜鉛,マグネシウム及びジルコニウムを含むスラリーを調製した。次いで、20分間を要して80℃まで昇温し、その温度に30分間保持して熟成した。その後、55℃まで降温して、アルミナゾル(Al23 10重量%含有)を所定量加えて、そのまま30分間保持したのち、ろ過、洗浄して、銅,亜鉛,ジルコニウム,マグネシウム及びアルミニウムを含むケーキを得た。このケーキを実施例1と同様に処理して、試験用触媒Gを製造した。このものの性状を第1表に示す。
【0013】比較例4特開昭60−10653号公報の実施例5に準じて、原子基準でマグネシウムの量が、亜鉛とマグネシウムの合計量に対し、12.5%である触媒を製造した。銅,亜鉛,及びマグネシウムの各硝酸塩を水に溶解して、60℃に保持した。この水溶液を、量論比1.1倍となるような量の炭酸水素アンモニウムを水に溶解して60℃に保持した水溶液中に攪拌下に添加して、銅,亜鉛,及びマグネシウムを含むスラリーを調製した。その後20分間を要して80℃まで昇温し、その温度に30分間保持して熟成した。その後、55℃まで降温して、アルミナゾル(Al23 10重量%含有)を所定量加えて、そのまま30分間保持し、銅,亜鉛,マグネシウム及びアルミニウムを含むスラリーを調製した。次に、このスラリーに、40℃に保持されたオキシ硝酸ジルコニル水溶液と量論比1.1倍になるような量の炭酸水素アンモニウムを水に溶解して40℃に保持された水溶液を、同時に攪拌下に添加し、さらにそのまま30分間保持した。その後、ろ過、洗浄して銅,亜鉛,マグネシウム,アルミニウム及びジルコニウムを含むケーキを得た。このケーキを実施例1と同様に処理して、試験用触媒Hを製造した。このものの性状を第1表に示す。
【0014】
【表1】

【0015】注1)Mg比:触媒中の亜鉛とマグネシウムとの合計量に対するマグネシウムの割合で、原子基準にて百分率で示す。
試験例1〜8実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた触媒A〜Hそれぞれ20ミリリットルを、下部に焼結金属製フィルターを備えた内径26mmのステンレス鋼製反応器に充填した。この反応器下部のフィルターを通して窒素ガスを導入し140℃に保持した。次いで、窒素ガスを徐々に水素ガスに代え、全量を水素ガスに置き換えたのち、240℃に昇温し、この温度で3時間保持して触媒の還元を行った。その後、水素67.3モル%、一酸化炭素24.1モル%、二酸化炭素6.6モル%、メタン1.5モル%及び窒素0.5モル%からなる合成ガスを用いて活性試験を行い、初期活性を測定した。また、触媒の耐熱性をみるために、初期活性測定後、反応温度を360℃に上昇させて、その温度で10時間及び20時間保持したのち、再び初期活性測定と同じ温度に戻して活性を測定した。なお、反応条件は、温度:260℃、圧力:70kg/cm2 :ガス時空間速度(GHSV):20000hr-1であった。各触媒の活性試験結果を第2表に示す。
【0016】
【表2】

【0017】注1)Mg比:触媒中の亜鉛とマグネシウムとの合計量に対するマグネシウムの割合で、原子基準にて百分率で示す。
【0018】
【発明の効果】本発明の方法により得られたメタノール合成用流動触媒は、耐熱性に極めて優れており、高い質のエネルギーを回収することを目的として、比較的高い反応温度で使用されるメタノール合成用の実用触媒として有用である。




 

 


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