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発明の名称 気固分離器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−249122
公開日 平成10年(1998)9月22日
出願番号 特願平9−82369
出願日 平成9年(1997)3月14日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】岡澤 英世 (外1名)
発明者 西田 昭三 (にしだ しょうぞう) / 藤山 優一郎 (ふじやま ゆういちろう)
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 粒子径1〜500μm の固体粒子と気体の混合物から粒子を迅速に分離することを目的として設計され、一端に開口して粒子と気体の該混合物が導入される導入口(1) が形成された鉛直方向に延びる有底円筒状の内筒(10)と、この内筒を外方から同軸状に覆って固定され上部には外部に連通する気体抜出口(6) が形成され下方には外部に連通する粒子抜出口(3) が形成された略密閉状態の外筒(2) とを具備してなり、前記内筒(10)には、側面の円周等分部位で軸方向に延びて形成された複数の長孔(4) と、該長孔(4) 夫々の縁部近傍から外方に突出して内筒径方向と一定角度を成して所定幅だけ延びた長尺平板状或いは長尺湾曲板状の複数の案内羽根(5)が形成されていることを特徴とする気固分離器。
【請求項2】 前記長孔(4) 及び案内羽根(5) の個数が2〜16であり、前記外筒(2) の直径と前記内筒(10)の直径との比が1.1 〜20の範囲にあり、外筒(2) の有効長を内筒(10)の直径の1 〜30倍としたことを特徴とする請求項1に記載の気固分離器。
【請求項3】 前記外筒内の下部位置にストリッピング用に環状のスチーム供給手段(12)を含んだプレストリッピング機構(13)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気固分離器。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体と気体の混合物を夫々に分離するための分離器に関し、更に詳しくは特に化学反応に伴い生じた気体生成物と触媒等の混合物のように混合物から固体を迅速に分離することにより短反応時間を達成することが望まれる場合等に用いて好適な高速気固分離器に関する。
【0002】
【従来の技術】粒子状の固体を触媒または熱媒体とし、反応物と接触させる反応系は古くから知られている。このような反応系である流動床式反応器の中には濃厚流動層(気泡流動層)を用いるもの、高速移動層(高速流動層)を用いるもの等がある。固体と気体の接触時間を短くする必要のある反応(短接触時間反応)には高速移動層が用いられている。現在、重質油等を原料油としてガソリンを製造している流動接触分解装置においてはライザーと呼ばれる上昇流型高速移動層反応器が主流となっている。理由は触媒性能の向上に伴い接触時間を短くすることが可能となり、これによってガソリン等の好ましい生成物の選択性が上がり、好ましくない過分解反応が抑制できるようになったことによる。
【0003】高速移動層反応器においては生成物気体と粒子状固体触媒の混合物が反応器出口から流出するが、短接触時間反応が要求されるこの種の装置では混合物から粒子状固体触媒をいかに迅速に分離できるかが重要な課題であり分離器の性能が重要となる。この課題に対処するため、最近の重質油等を原料油としてガソリンを製造している流動接触分解装置ではUS5,552,120,US5,538,623 等に見られるようにライザー出口の直近にサイクロンを置くクローズドサイクロンと呼ばれる分離方式が使用され始めている。
【0004】接触時間が0. 1〜1. 5秒程度の短接触時間反応で軽質オレフィンを指向するような流動接触分解装置では、反応器出口における迅速な気固分離、従って分離器が特に重要となる。なぜなら、反応時間が0. 1〜1. 5秒程度になるとサイクロンのような既存の分離器においては反応器内の気体の滞留時間に対する分離器内の気体の滞留時間が相対的に大きくなり、反応が分離器内で継続進行し、製品収率の低下あるいはコーク析出等の悪影響をまねくことになるからである。
【0005】もっとも、短接触時間反応に分離器を用いる方法のほかに、触媒の分離によらず反応器出口で生成物と触媒の混合物を急冷することで反応を停止する方法も可能である。しかし、重質油等を原料油としてガソリンを製造する流動接触分解装置では、触媒を高温で再生し再び反応に用いることにより触媒を熱媒体として利用しているため、触媒を分離する前に該混合物を急冷することは熱効率上好ましくない。
【0006】従って、重質油等を原料油としてガソリンを製造する流動接触分解装置における最も有効な方法は反応器出口で生成物と触媒を迅速に分離することに帰する。この場合、100%の迅速分離ができなくても大部分の触媒が分離できれば、後続の既存サクロン内の滞留時間が長くとも残存触媒量が少ないため反応への寄与率は小さいものとなる。ちなみに、後続の既存サイクロン内での反応が無視できないものであれば、既存サイクロン入口で急冷すれば熱効率に与える影響は小さなものとすることができる。
【0007】従来の反応器出口の混合物を急速分離する方法としては、例えばUS3,074,878があげられる。この中では下降流の管状反応器の中に方向偏向板を設けることにより混合物の流れを反応器の片側に寄せ、その反対側から横向きに気体を抜き出す方法を採用している。然しながら、この方法は気体の方向転換角度が90度以上とれないために分離効率が低い。その上、方向偏向板は直接混合物の衝撃を受けるため磨耗が激しいという欠点も有している。
【0008】また、同様の急速分離方法の例として特公昭60-18447があげられる。これは下降流型または上昇流型反応器に対して水平に長方形のチャンバーを設けている。混合物はこのチャンバーの一方の端から流入し、90度方向転換した後、チャンバーの反対側の端から触媒は下方に、気体は上方に抜き出している。この場合にはチャンバー内での混合物の流れの乱れが激しく、分離触媒がスムーズに触媒抜き出し口に流れず、上方に巻き上げられるために分離効率が低く、その傾向は粒子の量を表す混合比が大きくなるに伴い顕著となる。
【0009】好ましい生成物の選択性を上げるために短接触時間反応が要求されるプロセスにおいては反応時間の短縮に伴う転化率の低下を補うために触媒循環量の増加が余儀なくされる。このような背景から分離器としては、大きい混合比で短時間に分離できる高速分離器が要求されている。なお、ここでいう分離効率とは分離器に供給された固体の内、分離器で除去された固体、すなわち固体抜き出し口から抜き出された固体の割合であり、下式で表される。
分離効率(単位:%)=(固体抜き出し口から抜き出された固体の重量)/(分離器に供給された触媒の重量)
【0010】また本発明でいう混合比とは供給された気固混合物の中の固体の重量を気体の重量で除した数値であり下式で表される。
混合比=(固体重量)/(気体重量)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述したように従来の高速気固分離器にあっては、夫々に難点を有しており大きい混合比の場合に充分な特性を備えていない短時間に分離できないとの実情に鑑みて創案されたもので、その目的は従前のものに比して一段と分離装置内の気体の滞留時間が短く、固体の除去率の高い固気分離器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明では、一端に開口して粒子と気体の該混合物が導入される導入口(1) が形成された鉛直方向に延びる有底円筒状の内筒(10)と、この内筒を外方から同軸状に覆って固定され上部には外部に連通する気体抜出口(6) が形成され下方には外部に連通する粒子抜出口(3) が形成された略密閉状態の外筒(2) とを具備させ、前記内筒(10)には、側面の円周等分部位で軸方向に延びて形成された複数の長孔(4) と、該長孔(4) 夫々の縁部近傍から外方に突出して内筒径方向と一定角度を成して所定幅だけ延びた長尺平板状或いは長尺湾曲板状の複数の案内羽根(5) を形成する。
【0013】更には、前記長孔(4) 及び案内羽根(5) の個数が2〜16であり、前記外筒(2) の直径と前記内筒(10)の直径との比が1.1 〜20の範囲にあり、外筒(2) の有効長を内筒(10)の直径の1 〜30倍とする。また、上記各構成において前記外筒内の下部位置にストリッピング用に環状のスチーム供給手段(12)を含んだプレストリッピング機構(13)を設ける。
【0014】〔作用〕本発明において分離器本体は内筒と外筒の二重管構造を持ち、気固混合物は内筒に供給される。内筒の混合物供給口と逆の端は底板または天板により封止されている。また内筒には軸方向に長いスリットが数カ所設けられており、内筒底板または天板により方向転換させられた気固混合物はこのスリットから内筒と外筒の間の空間に噴出する。スリットには案内羽根が付属しており、噴出した混合物は内筒の円周方向に向きを変えられ内筒と外筒の間で旋回流を形成する。このとき遠心力により固体が分離され、外筒壁面に到達した固体は重力により外筒下部に設けられた固体抜き出し口から排出される。一方、気体は外筒上部に設けられた気体抜き出し口から排出される。こうして高速の分離が達成される。前記長孔及び案内羽根の個数を2〜16、前記外筒の直径と前記内筒の直径との比が1.1 〜20、外筒の有効長を内筒の直径の1 〜30倍としたものにて確実に良好な分離が行われる。前記外筒内の下部位置にプレストリッピング機構を一体に設けることで高機能の分離器とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔実施例〕以下では、実施例を挙げ図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1(a) 〜(c) は本発明の気固分離器を下降流形態での使用に適した一実施例を示すもので、図1(a) は側断面図、図1(b) は分離器をA−A’で切断した横断面図、また図1(c) はB−B’面の横断面図である。
【0016】図1の気固分離器(100) は、同軸状に固着された内筒(10)及び外囲器を兼ねた外筒(2) とを主体に略筒状の二重構造に構成されており鉛直方向に延びた姿勢で使用される。内筒(10)は、上方から鉛直方向に延びる有底円筒状で本実施例では上方となる一端が開口して導入口(1) を形成しており、この導入口(1) からは粒子と気体の所定混合物が導入されることになる。他端(図では下方)は底板(11)によって封止されていて後述する側面部に開口する複数の長孔を除いて外方とは気密になっている。
【0017】外筒(2) はこの内筒を外方から覆って同軸状に位置する筒状体で、その上部には外部に連通(但し前記内筒内部とは確実に離隔されている)する気体抜出口(6) が形成されている。実施例では外筒(2) 上部の小径となった気体抜き出し管(7) の上端部分側面の対向位置2ヵ所にパイプが接続されて開口している(図1(c) 参照)。一方、下方(下端部)には外部に連通する粒子抜出口(3) が形成されている。実施例では下端部が円錐側面状に傾斜し一定小径のパイプ(粒子抜出口)に繋がっている。このように外筒(2) は上下の開口を除き略密閉状態になっている。
【0018】なお、両筒体の寸法については前記外筒(2) の直径と前記内筒(10)の直径との比が1.1 〜20の範囲が好適であり、外筒(2) の有効長を内筒(10)の直径の1 〜30倍とすると好適である。この点については別途説明する。
【0019】そして前述した内筒(10)の側面には、その円周等分部位に複数個(図では4個)の軸方向に延びる 狭幅矩形状の長孔(4) が形成されており(スリット)、更にこれら長孔(4) 夫々の縁部近傍から外方に突出して内筒径方向と一定角度を成して所定幅だけ延びた長尺湾曲板状(平板状でも良い:後述)の複数の案内羽根(5) が形成されている(図1(b) 参照)。長孔(4) 及び案内羽根(5) の個数は2〜16とすると好適である(後に詳述)。
【0020】上述各部は、化学反応に耐える適宜素材を用いて形成される。例えば、ステンレスは加工性に優れ耐薬品性も良いので適材といえる。その他、異なる素材を適宜組み合わせて各部を構成しても良い。要は、必要な剛性と耐性が得られれば足りる。
【0021】以上、実施例の概略構成を示した。続いてこの実施例の作用を説明する。気固分離器に対して上方の混合物導入口(1) から気体および固体からなる混合物が内筒(10)へと所定速度で導入される。内筒(10)の下端部は底板(11)により封鎖されていて、導入開始直後だけは固体は該底板に衝突することになるが、次第に触媒床が形成されて底板は固体の衝突・衝撃から保護される。
【0022】定常的に図の上方から下方に向かう混合物の流れは静止床への衝突により横方向(水平方向)へと方向変換され、内筒(10)の側面に設けられた複数の長孔(スリット:5)から図に矢印Fで表すように側方へと飛び出す。このとき、案内羽根(4) が機能して混合物の進路が曲げられる結果、内筒と外筒の間の空間で旋回流が形成される。この過程中で、固体は遠心力作用によって分離され外筒壁面にまで到達する。この間にも固体は重力の影響を受けており、結果、図中矢印Fdで示した如くに螺旋運動を行いながら下方に移動し、固体抜き出し口(3) に到達して系外へと抜き出される。一方、固体よりも質量の小さい気体は矢印Fu のような螺旋運動を行いながら上部の気体抜き出し管(7) に到達して気体抜出口(6) から系外へと抜き出され後続装置へと向かう。
【0023】ここで再度、分離器の既述した両筒部、長孔(スリット)、案内羽根の各要部についてより詳細に説明する。以下、まず本構造を採る分離器における一般に分離効率に影響する因子について説明する。分離効率に影響する因子には粒子径および粒子密度、気体と粒子の密度差、旋回流による遠心力等がある。これらはいずれも大きい方が分離効率が高くなる。また、遠心力は分離器の構造により変化させることができるが、その他の因子は混合物固有のものであり変えることは出来ない。
【0024】次に遠心力と分離器の構造について説明する。内筒を通過する混合物の線速度が一定の場合を考えることにする。この場合、.) スリットの数が同一であればスリットの開口面積を小さくしてスリットを通過する混合物の線速度を大きくする方が大きい遠心力が得られ分離効率が上がる。しかし、逆効果としてエロージョンが進む方向となる。.) スリットの線速度が同一であればスリット1個当たりの開口面積を小さくしてスリットの数を増やす方が分離器全体にわたる安定した遠心力が得られ、分離効率が上がる。しかし、逆効果として分離器が複雑となる。以上の事実を踏まえるとスリットの数は要求される分離効率あるいはエロージョンの程度、分離器の複雑さ等を総合的に判断し、最終的にはそれぞれの混合物を用いた実験結果により決定されることとなる。
【0025】長孔(4) の数については図示例では4個であるが、これに限定されることはなく2〜16個のうち、どの数でも良い。好ましくは3〜8個、より好ましくは4〜6個を採用するのが良い。長孔(4) の数が単一(2個より少ない)では内外筒間隙にて分離に必要な旋回流が全体的に得られず不都合であるし、筒部のサイズにも依るが一般には16個を越える長孔を設けても分離器が徒に複雑・高価となるだけであって、さしたる分離効率の向上は認められなくなる。上記のスリット数は重質油等を原料油としてガソリンを製造する流動接触分解装置に使用されている該混合物を用いた実験結果を解析して総合的に判断した結果である。本構造におけるスリット(長孔)の数は要求される分離効率に直接影響するものであり、一般に最終的には実験により確認されるのが好ましい。
【0026】実用に適するスリットの幅は内筒円周L1 を用いて次式で表される。
スリットの幅=1mm 〜L1 /4好ましくは =L1 /16〜L1 /64【0027】また、実用的なスリットの長さは図1の形状のときは外筒上端から内筒底板までの距離、図4の形状のときは内筒天板から外筒下端までの距離であるL2 を用いて次式で表される。
スリットの長さ=L2 ×aここでaは0. 1〜0. 99好ましくは0. 7〜0. 95【0028】スリットの面積は混合物の供給量に応じてスリットを通過する混合物の線速度が1〜100m/s 、好ましくは3〜30m/s 、より好ましくは3〜15m/s となるよう決定される。スリットの面積が決まるとそれに応じてスリットの幅と長さが決定できる。スリットを通過する混合物の線速度が1m/sより小さい場合は混合物の旋回速度が遅く分離不十分になるため好ましくない。また線速度が100m/sより大きい場合はスリット、案内羽根、外筒側壁の磨耗が激しくなるため好ましくない。
【0029】次に、案内羽根(5) は長孔と同数であって長孔(4) の一方の長辺縁に沿って設けられ、その形状は図1で例示したように円弧でも良いし、或いは図2(a) に横断面図で示すように平板状であっても良い。更には図2(b) に示すようにスリットの両脇に2枚1組で平行して設置することも考えられる。要は、長孔夫々の縁部近傍から外方に突出して内筒径方向と一定角度を成して所定幅だけ延びて板状部材が設けられていれば良い。分離器総体として円滑な動作が得られるように全ての案内羽根は同一形状とし円周等分点に位置するように取り付ける。なお、一つの長孔に対応して複数部に分割された構成の案内羽根とすることもできる。
【0030】実際的な案内羽根の幅は内筒の中心から案内羽根の先端までの距離Rを用いて次式で間接的に表される。
案内羽根の幅=(Rー内筒の半径)=(外筒の半径ー内筒の半径)×bここでbは0. 2〜0. 99好ましくは0. 5〜0. 8bが0.2より小さい、すなわち案内羽根の幅が小さすぎる場合はスリットから噴出した混合物の方向転換が十分に行われず旋回速度が小さくなるため好ましくない。bが0.99より大きい、すなわち案内羽根の幅が大きすぎる場合は外筒と案内羽根の隙間が小さくなりすぎ旋回する固体が案内羽根にあたり磨耗が激しくなるため好ましくない。
【0031】また案内羽根の長さについては次のように規定し得る。
案内羽根の最小長さ=スリットの長さ/2案内羽根の最大長さ=外筒の長さ好ましくはスリットの長さ〜0. 8×外筒の長さ【0032】次に、内筒の寸法についてはその直径は好ましくは直結する該混合物移送管と同一であるが、内筒を通過する混合物の適度な線速度を得るためにサイズダウンしてもサイズアップしても良い。具体的には内筒の混合物線速度が1〜100m/s、好ましくは3〜30m/s、より好ましくは3〜15m/sとなるよう内筒の直径が決められる。
【0033】一方、外筒の直径は内筒の直径の1. 1から20倍。滞留時間を短くする点を重視すれば、好ましくは可能な限り小さくする。具体的には1.1〜3倍が好ましい。また、外筒の長さについては内筒の直径を基準としてその1〜50倍。滞留時間を短くする点を重視すれば、好ましくは可能限り短くする。具体的には1〜5倍が好ましい。
【0034】本発明の主な利点は接線型サイクロンと同様に旋回による遠心力を用いて気固分離を行うため分離効率が高い上、気固混合物の導入口を分離器の全長にわたってスリット状に広く取っているために小さい線速度でありながら分離器全体にわたって安定した旋回流を生み出せる点にある。これによって気体は分離器内を下から上へと旋回しながらスムーズに流れ、接線型サイクロンに比較して気体の上下の旋回速度の差が小さいことから気体の滞留時間分布が狭く、圧力損失も小さい。また、接線型サイクロンのような大きいコーン部を持たないので滞留時間も短い。さらに、分離効率は粒子負荷の増大に伴い接線型サイクロンの分離効率を上回る。
【0035】該分離器を下降流に使用する場合、混合物の衝撃を最も強く受ける場所は内筒底板であるが、スリット下端と底板との間の空間は触媒溜まりとなり、この触媒床が保護材となって磨耗が低減される。一方、上昇流に使用する場合にはスリット上端と内筒天板との空間はガス溜まりとなり、この空間で混合物による衝撃が吸収される。該分離器の案内羽根は混合物の流れに対して平行に配置されるために磨耗が少なく、スリットから噴出する混合物の線速度が小さくできるのでスリットの口および外筒壁面の磨耗も少ない。
【0036】次に、該分離器の実際の使用例について触れると、重質油等を原料油としてガソリンを製造する流動接触分解装置に用いるような場合には固体抜出口は下流のストリッピング装置に接続される。ストリッピング装置に導入される固体抜出口からの触媒は粒子群の隙間に存在するガスおよび粒子に吸着されている重質油を含んでおり、これらがストリッピング装置内でスチーム等の不活性ガスにより除去される。
【0037】短接触時間反応においては、上記ストリッピング装置が問題となることがある。すなわち、ストリッピング装置内における触媒の滞留時間は概して長いため、ストリッピングが完了するまでの時間は反応が継続されているという点である。従って、このような余分な反応を避け、また、気体の一部が固体抜き出し口からストリッピング装置に導入されるという好ましくない現象が起こった場合の影響を無くすために滞留時間の短い(装置容積の小さい)プレ・ストリッピング装置が設置されることがある。
【0038】このような場合に適応した形態として図3(図5も参照)に示すように本発明の分離器に等価機能を組み込んで外筒下部をプレ・ストリッピング装置とすることが可能である(符号13)。なお図中ではバッフルによって固体粒子を分散させる方式のプレストリッピング機構(装置)を用いているが、これに限定されることはなくパーフォレイテッドトレイ(穴あき盤)や濃厚流動層を用いる方式のプレストリッピング装置相当の機構なども採用することができる。
【0039】このプレ・ストリッピング機構(13)から発生するガスおよびオイルベーパー、ストリッピングスチーム等はプレ・ストリッピング装置から系外に排出するのではなく、当該気固分離器に直接導入される。これによりプレ・ストリッピング効果が向上すると共に設備が省力化できる。なお直接導入(組み込み)が可能となる理由は直接導入を行った場合にも該分離器においては広範囲にわたる安定した旋回流が装置内下部まで維持されており分離効率の低下は認められないためである。
【0040】以下、本発明の実施例で得た実験結果について説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。実験に供した分離器は図1に示す形態のものであってスリットの幅およびスリットの長さ、案内羽根の幅、案内羽根の長さ、外筒の直径、外筒の長さ、さらにスリットの数を変えた5種である。粉粒体には重質油からガソリンを製造する流動接触分解装置に使用されている触媒を用いた。この触媒の平均粒径は63ミクロン、カサ比重は0.85g/cm3 である。また、気体には常温の空気を用いた。
【0041】表1に5種の分離器、すなわち分離器Aおよび分離器B、分離器C、分離器D、分離器Eの寸法等を示す。
【0042】
【表1】

【0043】表2に分離器Aについて内筒空気線速度および混合比(触媒重量/空気重量)を変化させたときの分離効率(触媒回収率)を示す。内筒線速度15m/sで混合比29は流動接触分解装置の反応管の条件に相当するが、この条件における分離効率は99%以上である。また、線速度30m/sにおいても分離効率は99%を保持している。
【0044】
【表2】

【0045】表3に分離器Bについて同様の実験を行った結果を示す。分離器Bはスリットの数が3個であるため、スリットの線速度が分離器Aの4/3倍になっている。この場合の分離効率は内筒線速度15m/s以下においては99%以上、30m/sにおいては97%以上である。
【0046】
【表3】

【0047】表4に分離器Cについて同様の実験を行った結果を示す。分離器Cは外筒の直径が分離器Aの8/10になり、これに伴い案内羽根の幅が1/2になったものである。この場合の分離効率は内筒線速度15m/s以下においては99%以上、30m/sにおいては95%以上である。
【0048】
【表4】

【0049】表5に分離器Dについて同様の実験を行った結果を示す。。分離器Dはスリットの長さが分離器Cの1/2になっているため、スリットの線速度が分離器Cの2倍になっている。この場合の分離効率は全ての条件において92%以上となっている。
【0050】
【表5】

【0051】表6に分離器Eについて同様の実験を行った結果を示す。分離器Eはスリットの幅が分離器Cの1/2になっているため、スリットの線速度が分離器Cの2倍(分離器Dと同じ)になっている。この場合の分離効率は内筒線速度15m/sにおいては99%以上、30m/sにおいては95%以上である。
【0052】
【表6】

【0053】以上説明した実施例にては混合物が上方から導入される下降流型の気固分離器を示したが、本発明は混合物を下方から導入する上昇流型の気固分離器に適用することもできる。図4は、このように構成した本発明他の実施例を示す側断面図である。この気固分離器(100A)においても同軸状に固着された内筒(10 ´) 及び外囲器を兼ねた外筒(2´) とを主体に略筒状の二重構造に構成されている点は変わりがなくやはり鉛直姿勢で使用される。
【0054】しかし、内筒(10 ´) は下方から鉛直方向に延びる有底円筒状で下方端が開口して導入口(1´) となっている。対応して上方の他端が天板(11 ´) によって封止されて複数の長孔を除いて略気密に構成されている。これと対応して外方同軸の外筒(2´) はその上部中央に小径に絞って気体抜出口(6´) が設けられている。外筒(2´) の下方部は漸次小径に形成されて内筒(10 ´) の外面に接合されるとともに下部の円錐状斜面部に外部に連通する粒子抜出口(3´) が形成されており上下の開口を除き略密閉状態で全体は気密が保たれている。
【0055】なお、両筒体の寸法・材質等については既に詳述した図1の例と全く同様である。そして前述した内筒(10 ´) の側面には既述実施例と同等の複数個の長孔(4) と案内羽根(5) を具備している(図1(b) 参照)。その他の部分で図1と同一符号は同等部であることを示す。本実施例では下方中央の導入口(1´) から混合物が導入される点以外は、その用法や作用・性能等も既述した分離器と全く同様であり、等価の効果を発揮するもので、これらについては重複をさけて説明を省略する。
【0056】上記形態の気固分離器においても外筒下部にバッフルまたはパーフォレイテッドトレイ(穴あき盤)或いは濃厚流動層を用いることで既存のプレ・ストリッピング装置と等価機能(符号13)を組み込んだものとすることができる。図5にこのように構成した気固分離器の一例(100A ´) を側断面図で示す。各部の符号は他図と同等部分に同一符号を付してあり、各部の説明は省略する。これにより前述例同様に設備が省力化ができまたプレ・ストリッピング効果自体も向上する。
【0057】
【発明の効果】以上説明した如く本発明の気固分離器は、一端に開口して粒子と気体の該混合物が導入される導入口が形成された鉛直方向に延びる有底円筒状の内筒と、この内筒を外方から同軸状に覆って固定され上部には外部に連通する気体抜出口が形成され下方には外部に連通する粒子抜出口が形成された略密閉状態の外筒とを具備し、その内筒には、側面の円周等分部位で軸方向に延びて形成された複数の長孔と、該長孔夫々の縁部近傍から外方に突出して内筒径方向と一定角度を成して所定幅だけ延びた長尺平板状或いは長尺湾曲板状の複数の案内羽根が形成されている結果、従来のものに比べて装置内の気体の滞留時間が短く、固体の除去率の高いより高速に気体と固体の分離が達成される。特に長孔及び案内羽根の個数を2〜16、外筒の直径と前記内筒の直径との比が1.1 〜20、外筒の有効長を内筒の直径の1 〜30倍としたものでは確実に良好な分離が行われる。外筒内の下部位置にプレストリッピング機構を一体に設けることでより高機能の分離器とすることができる。




 

 


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