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発明の名称 有機液体混合物用分離膜および分離方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−202072
公開日 平成10年(1998)8月4日
出願番号 特願平9−331253
出願日 平成9年(1997)11月14日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
発明者 今津 恵美 / 藤井 能成
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 多孔質膜の片側に有機液体混合物を供給し、他の片側から気相で一部の成分を分離する膜蒸留法に用いられる有機液体混合物用分離膜であって、平均細孔径が0.5〜50nmの範囲にある多孔質膜の微細孔に、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対して親和性を持つ液体を付与したことを特徴とする、有機液体混合物用分離膜。
【請求項2】 前記有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分の蒸気を透過させ該有機液体混合物の透過を阻止する性質を有する非多孔質の層を該有機液体混合物と接液する面に設けたことを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項3】 前記親和性を持つ液体の、下記式(1)で定義される親和性βが1.1以上であることを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
β={y/(1−y)}/{x/(1−x)} ・・・ (1)
x:有機液体混合物中の不飽和結合を含む炭化水素の濃度(重量%)
y:親和性を持つ液体に溶解した有機液体混合物全量に対する不飽和結合を含む炭化水素の濃度(重量%)
【請求項4】 前記親和性を持つ液体が芳香族化合物を抽出できるものであることを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項5】 前記有機液体混合物がパラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素および芳香族系炭化水素よりなる群のうち、いずれか2つ以上の炭化水素成分を含むことを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項6】 前記有機液体混合物がパラフィン系炭化水素とオレフィン系炭化水素の混合物であることを特徴とする、請求項5記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項7】 前記有機液体混合物がナフサ、ガソリン、灯油または軽油であることを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項8】 前記多孔質膜の素材が有機高分子であることを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項9】 前記多孔質膜の素材がポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフォンまたはポリイミドであることを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項10】 膜形状が中空糸膜であることを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項11】 前記親和性を持つ液体がスルホランであることを特徴とする、請求項1に記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜を用い、膜の透過側を不活性ガスで掃引して蒸気圧勾配駆動力を維持することを特徴とする、膜蒸留型分離方法。
【請求項13】 請求項1ないし11のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜を用い、膜の透過側を減圧して蒸気圧勾配駆動力を維持することを特徴とする、膜蒸留型分離方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機液体混合物の組成を変化させるのに使用する有機液体混合物用分離膜およびその分離膜を用いる膜蒸留型分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】膜分離技術は、食品工業や医療分野、海水淡水化や超純水分野等の水処理分野等をはじめとして様々な方面で利用されているが、これまで特に水系を中心に発達し、工業化されてきた。膜分離技術は、省資源・省エネルギーおよび低環境負荷技術として注目されている分離技術であり、この膜分離技術を非水系分野、例えば石油精製プロセスや石油化学工業分野へ適用することが近年研究されはじめている。石油精製プロセスや石油化学工業分野における分離を例にとると、蒸留法を主体とする既存の分離技術を組合せて行なわれており、省資源・省エネルギーおよび環境の立場からは、より有利な分離技術を開発し適用することが求められている。このような背景から膜分離技術を有機液体混合物の分野の技術として開発し実用化することが求められている。
【0003】特開昭63−173182号公報、特開昭63−175607号公報ではアルコールなどの揮発性濃縮方法を開示している。多孔質膜表面にアルコール親和性の高いポリマーをコーティングした膜を用いており、膜の細孔が濡れると透過速度が低下する。特開平2−2852号、特開平2−2854号公報は、芳香族成分と非芳香族成分を分離するためのポリウレア/ウレタン膜を開示している。低分子量のコポリマーの薄膜を析出させて活性層を形成するので機械的強度が低い。特開平2−138136号公報は、ポリエチレングリコール含浸親水性膜を用いて芳香族炭化水素を芳香族炭化水素と飽和炭化水素の混合物から分離する方法を開示している。分離係数が高くかつ透過速度が大きいものとはいえない。
【0004】膜分離技術のうち、パーベーパレーションは、膜の片側に液体混合物を供給し、片側を真空にして表面から蒸発させて、あるいは不活性流体を流して特定成分を得る膜分離プロセスである。パーベーパレーションは、液体の供給液の中の特定の成分が薄いフィルムの中に溶解しその中を拡散するプロセスである。前記特開平2−138136号公報に示される方法は、多孔マトリックス中に液体を固定した液膜を用いたパーベーパレーションの変法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来技術は、有機液体に対して十分な耐久性があり、かつ分離性能と膜透過速度を満足し、既存分離設備より経済的に有利な膜及び膜プロセスとは言えない。また、石油精製プロセスの場合、処理量が大量であるためガス状態の分離ではエネルギー的に不利になる。これらの理由から、現状では石油精製プロセスや石油化学工業に膜技術を本格的に応用された例はない。
【0006】有機液体混合物の組成を変化させることができれば、石油精製プロセスの場合には、ガソリンのオクタン価を向上させたり、軽油のセタン価を向上できる。また、膜で目的成分を完全に分離することができなくとも、蒸留設備に入る前の原料組成を変えておくだけで経済的には有利であり、更に蒸留プロセスを膜プロセスで置き換えることができれば経済的に有利になることは言うまでもない。また、ガソリンからベンゼン等の有害物質を除去できれば低環境負荷の観点から有利である。さらに、オレフィンの分離・濃縮ができれば高分子や石油化学製品の経済的に有利な原料製造方法を提供することができる。
【0007】そこで本発明の課題は、有機液体に対して十分な耐久性があり、かつ分離性能と透過速度を満足し、工業的に適用可能な、効率の良い分離膜および分離方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、多孔質膜の片側に有機液体混合物を供給し、他の片側から気相で一部の成分を分離する膜蒸留法に用いられる有機液体混合物用分離膜であって、平均細孔径が0.5〜50nmの範囲にある多孔質膜の微細孔に、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対して親和性を持つ液体を付与したことを特徴とする、有機液体混合物用分離膜からなる。
【0009】元来、膜蒸留法は、供給液に濡れない性質の多孔膜を用い、供給液の成分に特定の親和性をもたず毛管凝縮等をひき起こさない膜分離方法と定義されているが、本発明の方法は、供給液の成分に特定の親和性を有する液体状物質を付与した膜蒸留型の分離法に関するものである。
【0010】また、本発明に係る膜蒸留型分離法は、このような分離膜を用い、膜の透過側を不活性ガスで掃引してあるいは減圧して、蒸気勾配駆動力を維持することを特徴とする方法からなる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の有機液体混合物用分離膜は、多孔質膜を基材膜とし、有機液体の混合物の少なくとも1成分が、該分離膜中を蒸気の状態または多孔質膜の微細孔内に毛管凝縮を起こした状態で透過することを特徴とする。また、好ましくは有機液体混合物と接液する面に非多孔質の層を設け、一次側の液体混合物の細孔内への浸入を防ぐ。
【0012】また、膜蒸留法は、微細孔を有する膜を介して液体混合物からある成分を選択的に富化した蒸気を得る膜分離技術で、膜の一次側に液体混合物を供給し、二次側を減圧するか窒素等の不活性ガスまたは液体で掃引する方法である。本発明における膜蒸留型分離方法は上述のいずれの方法でもよいが、不活性ガスまたは温度差を有する液体で二次側を掃引する方法は、大容量の装置を高い真空度に保つ必要がないので、エネルギー的にも減圧にする方法より有利である。
【0013】本発明における有機液体混合物は、化学結合あるいは分子構造の異なる有機化合物から選ばれるものであれば特に限定されるものではない。石油留分について例示すると、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素のうち、いずれか2つ以上の炭化水素成分を含むものである。また、硫黄化合物、窒素化合物、酸素化合物、金属化合物などの非炭化水素成分を含んでいても差し支えないし、天然ガスや炭酸ガス、ヘリウムガスなどの気体成分を含んでいてもよい。この有機液体混合物の例としては、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】ここで、パラフィン系炭化水素とは、Cn 2n+2の分子式の飽和結合からなる化合物で、分枝のない鎖状のn-パラフィンと枝分かれしたイソパラフィンとがあり、具体的には、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルプロパンなどが挙げられる。オレフィン系炭化水素とは、二重結合を有する炭化水素で、二重結合1個の場合はCn 2nの一般式で示される鎖状炭化水素であり、具体的には、例えば、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどが挙げられる。ナフテン系炭化水素とは、1分子中に少なくとも1個の飽和環を含む炭化水素で、炭素数5個のシクロペンタンと、炭素数6個のシクロヘキサンが最も基本となる環状化合物であり、一般式はCn 2nである。芳香族系炭化水素とは、1分子中に少なくとも1個の芳香族環を含む炭化水素のことで、具体的には、例えば、ベンゼンやベンゼンに側鎖のついたトルエン、キシレンなどの単環化合物である。
【0015】有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分とは、特に限定されるものではないが、前述のようなオレフィン系炭化水素、特に芳香族系炭化水素が好適なものとして規定できる。
【0016】有機液体混合物の温度は、膜の耐熱性の範囲内であれば特に限定されないが、有機液体混合物の粘度が極端に高くなるような温度は好ましくない。
【0017】本発明で使用される分離膜が所望の分離性能を発現するためには、ある成分が分離膜の微細孔内で毛管凝縮を起こすことが必要である。毛管凝縮により、ある成分が微細孔を閉塞し一次側からの他の成分の透過は阻止され、二次側では凝縮したある成分が気化して透過物となるので、高い分離性能が得られる。この毛管凝縮を起こす微細孔の大きさ(平均微細孔径)は、分離の方法によって異なるが、膜蒸留型分離方法では0.5〜100nm、好ましくは5〜50nmの範囲であると考えられ、本発明ではこの範囲に特定している。膜の中に毛管凝縮を起こす微細孔が多く含まれるほど高い分離性能が発現される。
【0018】膜の微細孔の平均孔径または細孔径分布を測定する方法は種々あるが、本発明では水の透過速度と膜の空隙率とから算出される平均孔径で定義する。
P =(LP ・λ・8η/φW 1/2ここで、RP は平均孔半径[cm]、LP は透水性[cm3 dyn-1-1]、λは膜厚[cm]、ηは水の粘性[dyn・Scm2 ]、φW は膜の含水率すなわち空隙率である。
【0019】本発明の場合、上記のような毛管凝縮を起こす微細孔を有しつつ、さらに微細孔内面に親和性を有する液体が付与されていることに特徴がある。付与された状態での平均孔径としては0.5〜50nmの範囲にあることが好適であり、好ましくは0.5〜20nm、更に好ましくは1〜10nm、特に好ましくは4〜10nmの範囲である。小さすぎると透過速度が低下し、大きすぎると選択性が悪くなる。
【0020】平均孔径は前記多孔質膜の平均孔径と付与したときの該親和性の含浸溶液量とから推定することもできる。
【0021】このような透過の仕組みから検討を重ねた結果、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対して親和性を持つ液体を付与することにより、毛管凝縮の効果を有効に利用した分離膜を得るに至った。すなわち、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対して親和性を持つ液体の付与により、有機液体混合物のある成分が凝縮し易い細孔を得ることができる。付与された親和性を持つ液体中を有機液体混合物のある成分が移動し二次側ではある成分が気化して透過物となるので、高い分離性能が得られる。また、親和性を持つ液体を付与することにより大きな微細孔は孔径が小さくなることから毛管凝縮を起こす微細孔が増える。
【0022】有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対して親和性を持つ液体としては以下のように定義されるものが好ましい。有機液体混合物に当該液体を混合し、平衡状態になった状態で、有機液体混合物を主とする層と当該液体を主とする層に分離しており、もとの有機混合物中のうち少なくとも1つの成分の一部または全部を当該液体を主とする層に抽出させる機能を有する液体。
【0023】さらに定量的に説明すると、有機液体混合物中に存在する特定成分の量を、有機液体混合物を主とする層にx重量%、当該液体を主とする層にy重量%存在するとした場合、親和性の指標(β)として以下の式で表現することができる。
{y/(1−y)}/{x/(1−x)}
本発明においては、βが1.1以上であるものが好適であり、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは10以上であり、特に好ましくは20以上である。例えば特に好ましい例としてスルホランが挙げられる。ベンゼンとn-ヘプタンの混合物について特定成分をベンゼンとした場合、xは4重量%、yは65重量%となり、βが45と高い値が得られる。
【0024】有機混合物の中で親和性の対象となる少なくとも1つの成分は、有機液体混合物を構成する成分であればいかなるものでもよい。
【0025】不飽和結合を含む炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等のオレフィン系炭化水素を例示することができる。飽和結合のみからなる炭化水素としてはn-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナンなどのn-パラフィン系炭化水素およびシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等のナフテン系炭化水素を例示することができる。
【0026】親和性を有する液体は、流動性を有するので、膜分離操作中に熱や振動で均一性が損なわれたり膜間差圧で押し流されることなどが危惧されたが、検討してみた結果予想以上の耐久性が得られた。又、中でも芳香族化合物に親和性が高い液体は本発明の分離膜において好ましく用いられる。芳香族化合物を抽出できる液体としては、特に限定されるものではないが、電気陰性度の高いO、S、Nなどのヘテロ原子を有する化合物で揮発しにくいものが好ましい。揮発しにくい液体とは、蒸気圧が低いものであり、例えば60℃における蒸気圧が100mmHg以下、好ましくは50mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下が好適に用いられる。
【0027】具体例としては、スルホラン、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、モルホリン、メチルカルバメート、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネートなどが例示できる。又、場合によってはジエチレングリコール、トリエチレングリコール等も用いることができる。もちろん、これらを組み合わせた混合物や、必要に応じてその他の溶媒や粘度調整剤、安定剤などの添加物を適宜用いることもできる。
【0028】付与方法は、特に限定されるものではないが膜を液体に含浸させて処理する方法が好適であり、膜の多孔質構造が維持されるものであれば特に限定されない。例えば、前記液体ないしはその溶液への浸漬あるいは塗布なども採用できる。
【0029】前記液体付与操作により微細孔の平均孔径が調整されるが、付与操作前の多孔質膜の元の微細孔が細すぎる場合はもちろん、太すぎても、所定のサイズに調整することが困難になったり不経済的になるので、付与操作前の多孔質膜の元の微細孔の平均孔径を適切な範囲としておくことが好ましい。付与操作前の平均孔径としては0.5〜50nmが好ましく、1〜30nmがより好ましく、3〜10nmがさらに好ましい。
【0030】なお、溶液濃度を変えることにより、多孔質膜に対する付与量ないしは密度を調整することができ、また付与後の平均孔径も制御することが可能となる。多孔質膜が毛管凝縮のために有効な孔径を有し、孔径分布が小さければ、前記液体の付与量は少なくてよい。又、多孔質膜が大きな孔径を有していたり、孔径分布が大きければ、付与量は多くなる。従って付与量を調整するための溶液濃度は、例えば、平均孔径0.5〜50nmの多孔質膜の場合で、おおよそ1〜80体積%が好ましく、より好ましくは1〜50体積%が例示できるが特に限定されるものではない。また、希釈に用いる溶媒は、該液体により異なってくるが、例えば、スルホランに対してはトルエン、エタノールなどが好ましく、又ジメチルスルホキシドに対してはメタノールが好ましい。
【0031】また、分離膜の形態は平膜、管状膜、中空糸膜等のいずれの形状のものでもよく、さらに分離膜モジュールの形態も平板型、スパイラル型、プリーツ型、菅状型、中空糸型等いずれの形態でも本発明に用いることができる。特に膜の自己支持性と機械的・力学的特性、およびモジュールの液体が少なくてよいこと、耐溶剤性の観点から有利な中空糸膜が好ましい形状である。
【0032】分離膜の素材は、有機高分子であっても無機素材であっても、あるいは両者が混合ないしは複合した構成をとってもよい。有機高分子の多孔質膜の場合には、有機液体混合物に対して耐久性がある有機高分子であれば特に限定されない。このような高分子素材の例としてはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等を挙げることができる。
【0033】無機系の多孔質膜の場合には、おおむね耐油性に優れているので、いずれの素材の多孔質膜でもよいが、セラミックス系、ゼオライト系、ガラス系、炭素系の多孔質膜が使用できる。
【0034】また、膜の微細孔内に一次側からの有機液体混合物が液体のままで侵入してしまうと実質的に毛管凝縮を起こす部分が減少してしまうので、有機液体混合物と接液する面にかかる侵入を阻止する層を設けることが好ましい。このような層としては、多孔性膜を用いる場合は有機液体混合物に対する親和性の低いポリビニルアルコールやセルロース等からなる膜を用いることが挙げられる。一方、好ましくは、非多孔質の層を設け、その非多孔質層が有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分の蒸気を透過し、該有機液体混合物の透過を阻止する性質を有するものであれば毛管凝縮の効果を有効に利用した分離膜を得ることもできる。
【0035】有機液体混合物と接液する面に設けた非多孔質の層に用いる素材は、少なくとも1つの特定成分の蒸気を透過し、該有機液体混合物の透過を阻止する性質を有するものであれば特に限定されるものではない。すなわち分離操作を行なう温度において、膜内に透過物質が蒸気の状態で供給できればよく、単一組成であっても混合物であっても差し支えない。透過速度が有利に得られる点からはゴム状態の高分子が好ましく、このような高分子素材の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリオキシメチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニルアルコール、ポリジメチルシロキサン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等を挙げることができる。有機液体混合物に対する耐久性が優れ、薄膜形成性が優れる点で架橋構造を有するポリジメチルシロキサン、すなわち架橋シリコーンは特に好ましく用いられる。
【0036】
【実施例】以下に具体的な比較例と実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1架橋性シリコーン溶液の調製は、櫛型アミノ変成シリコーンのシクロヘキサン溶液と架橋剤であるトリレンジイソシアネートのシクロヘキサン溶液を等量混合して得た。櫛型アミノ変成シリコーン溶液は、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製BY16-872(分子量約12万、側鎖導入率シロキサンユニット中約1.6 %)を用いた。 2重量%のシクロヘキサン溶液である。トリレンジイソシアネート溶液は日本ポリウレタン(株)製トリレンジイソシアネートコロネートT-80を用い、 0.9重量%のシクロヘキサン溶液である。
【0037】ポリフェニレンスルフィドスルホン(東レ(株)製MF値18)を用いて中空糸膜を作成し、これを酸化して、得られた平均細孔径6.41nm、外径1055μm、内径730 μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を約30cmの長さに切り、10本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、処理用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保管したものである。処理に用いたガラス製のミニモジュールの両端は処理後膜を取り出すために切り落とす部分として 2cm長のガラス管をテフロン熱収縮チューブにより接続した。
【0038】処理用膜モジュールの上端にシリコーンゴムチューブを接続し、架橋シリコーン溶液を 6cc、チューブの内側に注いで中空糸膜の内側をコーティングした。処理用膜モジュールは、架橋シリコーン溶液を液きりして窒素ガスで緩やかに約 2分パージしたあと60℃のオーブンにて 5分加熱しシリコーンを架橋した。処理後の膜は、処理用膜モジュールの 2cm長のガラス管の接続部分にて切断し約20cm長の中空糸複合膜を得た。
【0039】この架橋シリコーン複合膜をスルホラン50.0重量%のトルエン溶液に1晩浸漬した。浸漬後液切りをし風乾してスルホランを含浸した中空糸複合膜を得た。このポリフェニレンスルホン中空糸複合膜は、外径1055μm、内径730 μmであった。
【0040】4本の中空糸複合膜を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュールを作製した。有効膜面積は1.8 ×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ 4.0×10-12m3/m2・sec ・Paであった。この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が8.90mol %のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約60℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度が30.86mol%であった。分離係数は4.57を得た。膜透過速度は0.95kg/(m2・hr)であった。
【0041】実施例2実施例1と同じ方法により作製した試験用膜モジュールを使って、ベンゼン濃度が8.40mol %のベンゼンとn−ヘキサンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度が22.00mol%であった。分離係数は3.09であり、膜透過速度は0.38kg/(m2・hr)であった。
【0042】比較例1平均細孔径6.41nm、外径1055μm、内径730 μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を約20cmの長さに切り、 4本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保管したもので、試験用膜モジュール内の膜の有効膜面積は 1.8×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ1.73×10-6m3/m2 ・sec ・Paであった。この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が10.50mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度が11.01mol%であった。分離係数は1.05であった。膜透過速度は13.82kg/(m2 ・hr)であった。
【0043】比較例2比較例1と同じ方法により作成した試験用膜モジュールを使って、ベンゼン濃度が8.02mol %のベンゼンとn−ヘキサンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度が8.16mol %であった。分離係数は1.02であった。膜透過速度は27.47kg/(m2 ・hr)であった。
【0044】比較例3実施例1と同じ方法により処理用膜モジュールを作製した。処理用膜モジュールは、上端にシリコーンゴムチューブを接続し、架橋性シリコーン溶液を6cc、チューブの内側に注いで中空糸膜の内側をコーティングした。処理用膜モジュールは、架橋シリコーン溶液を液きりして窒素ガスで緩やかに約 2分パージしたあと60℃のオーブンにて 5分加熱した。処理後の膜は、処理用膜モジュールの 2cm長のガラス管の接続部分にて切断し20cm長の中空糸複合膜を得た。このポリフェニレンスルホン中空糸複合膜は、外径1055μm 、内径 730μm であった。
【0045】4本の中空糸複合膜を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュールを作製した。有効膜面積は1.5 ×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ2.5 ×10-11m3/m2・sec ・Paであった。この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が6.20mol %のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行った。有機液体混合物は約60℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度が12.30mol%であった。分離係数は2.12を得た。膜透過速度は1.22kg/(m2・hr) であった。
【0046】
【発明の効果】本発明の分離膜によれば、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に親和性を持つ液体を付与することにより、膜の微細孔が毛管凝縮を起こしやすくなる効果を利用して高分離性能と膜透過速度を達成して有機液体混合物組成を変化させることができる。




 

 


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