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発明の名称 窒素酸化物の接触還元除去触媒
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−192706
公開日 平成10年(1998)7月28日
出願番号 特願平8−359185
出願日 平成8年(1996)12月29日
代理人
発明者 藤本 尚則 / 吉成 知博 / 浜田 秀昭 / 金田一 嘉昭 / 稲葉 仁 / 羽田 政明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 プロトン型サポナイト、ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイトおよびインジウムイオン交換サポナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種に、コバルト/鉄複合金属酸化物を含有させてなることを特徴とする窒素酸化物接触還元除去触媒。
【請求項2】 コバルト/鉄複合金属酸化物の含有が物理混合によるものであり、かつコバルト/鉄複合金属酸化物の含有率が触媒重量に対して2〜50wt%であることを特徴とする請求項1記載の窒素酸化物接触還元除去触媒。
【請求項3】 プロトン型ZSM−5およびプロトン型モルデナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種に、コバルト/鉄複合金属酸化物を、触媒重量に対して2〜60wt%の含有率で、物理混合により含有させてなることを特徴とする窒素酸化物接触還元除去触媒。
【請求項4】 コバルトと鉄の原子比がコバルト:鉄=0.01:1.0〜0.3:1.0であることを特徴とする請求項1〜3記載の窒素酸化物接触還元除去触媒。
【請求項5】 過剰の酸素が存在する酸化雰囲気中で、かつ水蒸気雰囲気中で使用されることを特徴とする請求項1〜4記載の窒素酸化物接触還元除去触媒。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、過剰の酸素が存在する全体として酸化条件の雰囲気中で、しかも水蒸気が存在する雰囲気中であっても、排ガス中の窒素酸化物を、少量添加したあるいは排ガス中に存在する炭化水素類の存在下で、効率良く還元除去する触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の内燃機関や燃焼器より排出される窒素酸化物(以下、「NOx」と記すこともある)は、人体に悪影響を及ぼすのみならず、光化学スモッグや酸性雨の発生原因ともなり得るため、環境対策上その低減が急務となっている。
【0003】従来、このNOxを除去する方法として、触媒を用いて排ガス中のNOxを低減する方法が幾つか実用化されている。例えば、(イ)ガソリン自動車における三元触媒法や、(ロ)ボイラー等の大型設備排出源からの排ガスについてのアンモニアによる選択的接触還元法が挙げられる。
【0004】また、(ハ)酸化条件下の雰囲気において炭化水素類を還元剤としてNOxを還元する方法が最近提案されており、この方法では、銅等の金属を含むアルミナ等の金属酸化物若しくは種々の金属を担持させたゼオライトが触媒として用いられる(特開昭63−100929号、特開昭63−283727号等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記(イ)の方法は、ガソリン自動車の燃焼排ガス中に含まれる炭化水素成分と一酸化炭素を、白金族金属を含有する触媒により、水と二酸化炭素とし、同時にNOxを窒素に還元しようとするものである。しかし、この方法では、炭化水素成分および一酸化炭素が酸化されるのに必要とする酸素量と化学量論的に等しくなるように排ガス中の酸素濃度(NOx中に含まれる酸素量を含む)を調節する必要があり、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンのように排ガス中に多量の酸素を含む雰囲気下では、原理的に適用不可能である等の問題がある。最近、特定の炭化水素類の存在下での上記触媒のNOx低減効果が報告されるようになったが、その浄化率は未だ低く、還元生成物に関しても課題解決には至っていない。
【0006】また、上記(ロ)の方法では、有毒で、しかも多くの場合高圧ガスとして用いなければならないアンモニアを用いるため、取り扱いが容易でなく、しかも設備が巨大化し、小型の排ガス発生源、特に移動性発生源に適用することは技術的に困難である上、経済性も良くない。
【0007】一方、上記(ハ)の方法は、酸化雰囲気においてもNOxを除去できる新しい方法として注目されている。しかし、これまで提案されている銅等を担持したゼオライト、アルミナ等の触媒は、水蒸気により活性点が覆われて、NOx除去活性の低下をもたらすため、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンからの排ガスに含まれるNOxを除去するには適さない。
【0008】このような実情下において、過剰の酸素および多量の水蒸気が存在する雰囲気においても、高い還元性能を示し、かつ安価に製造できるNOx還元除去触媒の開発が望まれている。
【0009】そこで、本発明は、酸化雰囲気で、しかも水蒸気存在下においても、ガソリン機関はもちろんのこと、ディーゼル機関の排ガスをはじめ種々の設備から発生する排ガス中の窒素酸化物を効率よく還元除去することができるのみならず、前記(イ)〜(ハ)に存在する各種の問題を解決することができる触媒を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のNOx除去触媒は、(1)プロトン型サポナイト、ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイトおよびインジウムイオン交換サポナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種に、コバルト/鉄複合金属酸化物を含有させてなることを特徴とするものか、(2)プロトン型ZSM−5およびプロトン型モルデナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種に、コバルト/鉄複合金属酸化物を、触媒重量に対して2〜60wt%の含有率で、物理混合により含有させてなることを特徴とするものである。
【0011】また、上記(1)の触媒は、上記(2)の触媒と同様にコバルト/鉄複合金属酸化物の含有が物理混合によるものが好ましく、しかもコバルト/鉄複合金属酸化物の含有率が触媒重量に対して2〜50wt%であることが好ましい。さらに、上記(1)および(2)の触媒とも、コバルトと鉄の原子比がコバルト:鉄=0.01:1.0〜0.3:1.0であることが好ましく、しかも過剰の酸素が存在する酸化雰囲気中で、かつ水蒸気雰囲気中で使用され、炭化水素や含酸素化合物(以下、これらを纏めて「炭化水素類」と記すこともある)を還元剤として使用することが好ましい。
【0012】本発明の上記(1)の触媒の構成成分であるサポナイトは、粘土鉱物であり、大部分が層状珪酸塩の微細結晶からなり、化1の一般式で表される。
【0013】
【化1】〔(OH)(Si8−aAl)(Mg6−bAl)・O20・Na(a−b)ただし、a−b>0【0014】本発明では、サポナイトの結晶構造を有すれば天然物、合成物のいずれも使用することができる。なお、合成物は、水熱合成法や溶融法等の公知の方法により合成することができる。サポナイトは、天然物、合成物そのままでは、多くの場合、交換可能なアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンを含んでいる。
【0015】プロトン型サポナイトは、上記の交換可能なアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンをプロトンでイオン交換したものである。プロトンでのイオン交換方法は、どのような方法でもよく、アンモニウムイオンでイオン交換したものを、空気中で焼成してプロトン型とする方法や、酸を用いてプロトンを直接イオン交換する方法でもよい。
【0016】ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイト、インジウムイオン交換サポナイトは、上記の交換可能なアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンをそれぞれの金属イオンでイオン交換したものを、空気中で焼成したものである。
【0017】また、本発明の上記(2)の触媒の構成成分であるプロトン型ZSM−5およびプロトン型モルデナイトは、ゼオライトの一種であり、いずれのゼオライトも合成物そのままでは、多くの場合、交換可能なアルカリ金属イオンを含んでいる。プロトン型ZSM−5およびプロトン型モルデナイトは、この交換可能なアルカリ金属イオンをプロトンでイオン交換したものである。
【0018】プロトンでのイオン交換方法は、どのような方法でもよく、アンモニウムイオンでイオン交換した後、空気中で焼成してプロトン型とする方法や、酸を用いてプロトンを直接イオン交換する方法でもよい。
【0019】プロトン型ZSM−5およびプロトン型モルデナイトは、SiO/Al比に拘わらず、同じ骨格構造を有するものであれば、どのようなものでも使用することができる。
【0020】本発明の上記(1),(2)の触媒におけるコバルト/鉄複合金属酸化物は、コバルトと鉄の原子比がCo:Fe=0.01:1〜0.3:1、好ましくはCo:Fe=0.04:1〜0.2:1、より好ましくはCo:Fe=0.1:1〜0.2:1の範囲内のものが適している。コバルトの鉄に対する原子比が、0.01未満では、コバルトの添加効果が現れ難く、0.3より多いと、複合酸化物に含有しているコバルトの大部分が、活性のないCoO・Fe(スピネルタイプ結晶構造)の組成を有する複合酸化物となるため、混合による還元活性向上の効果が現れ難いと考えられる。しかも、コバルトの割合が非常に高くなると、還元剤の単純酸素酸化に高活性なCoが生成して、選択還元に使用される還元剤の割合が低くなり、この結果として還元活性が低下してしまう。
【0021】また、酸化コバルトと酸化鉄を、複合化させずに、別々に、プロトン型サポナイト、ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイト、インジウムイオン交換サポナイト、プロトン型ZSM−5、プロトン型モルデナイトに物理混合した場合では、酸化コバルトのみを物理混合した場合と同様となり、酸化鉄の効果は表れず、活性向上の効果は、コバルト/鉄複合金属酸化物を含有させた場合に比較して、小さくなってしまう。コバルト/鉄複合酸化物の特徴の1つとして、NOを反応性の高いNOに酸化する活性が高く、還元剤の酸化に対しては比較的低活性である点が挙げられ、これが本発明の効果を高めている。
【0022】コバルト/鉄複合金属酸化物の調製方法は、コバルトと鉄が均一に混合され、CoO・Feの結晶が余り生成されない調製方法であれば、どのような調製方法によってもよく、種々の調製方法が考えられる。中でも、硝酸コバルトと硝酸鉄の混合溶液と炭酸ナトリウム溶液を同時にビーカー中に滴下してコバルトと鉄を含有する沈殿を生成させる共沈法が、最も顕著な活性向上を示す触媒を得ることができるコバルト/鉄複合金属酸化物を調製できるため、好ましい。
【0023】上記の共沈法においては、得られる沈殿物を焼成することにより、コバルト/鉄複合金属酸化物となるが、このときの焼成は空気中で行われ、焼成温度は約400〜800℃、好ましくは450℃〜650℃であり、焼成時間は1〜10時間、好ましくは2〜6時間である。焼成温度が低すぎたり、焼成温度が短すぎると、酸化が十分進行せず、炭酸塩が残存する。逆に、焼成が高温度、長時間に及ぶと、シンタリングが起き、活性が低下してしまう。
【0024】コバルト/鉄複合金属酸化物のプロトン型サポナイト、ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイト、インジウムイオン交換サポナイト、プロトン型ZSM−5、プロトン型モルデナイトへの含有方法は種々考えられるが、物理混合によることが、より高い活性向上の効果が得られるため、好ましい。
【0025】上記の物理混合とは、焼成後のコバルト/鉄複合金属酸化物の粉末と、焼成後のプロトン型サポナイト、ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイト、インジウムイオン交換サポナイト、プロトン型ZSM−5、プロトン型モルデナイトの粉末を物理的に混合することを言い、具体的な方法としては、焼成後のコバルト/鉄複合金属酸化物の粉末と、焼成後のプロトン型サポナイト、ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイト、インジウムイオン交換サポナイト、プロトン型ZSM−5、プロトン型モルデナイトの粉末を均一になるまで振り混ぜる方法、乳鉢等で磨り潰して混合する方法等が挙げられる。
【0026】なお、より均一に混合させるために、物理混合を行う前に、焼成後の複合金属酸化物と、焼成後のプロトン型サポナイト、ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイト、インジウムイオン交換サポナイト、プロトン型ZSM−5、プロトン型モルデナイトのそれぞれを乳鉢等で磨り潰しておいてもよい。
【0027】これらの粉末はいずれも焼成後に混合し、混合後に焼成は行わないため、物理混合後の状態は、単純に混じり合っている状態と考えられる。この物理混合しているコバルト/鉄複合金属酸化物の含有率は、少なすぎると、活性向上の効果が小さくなり、多すぎると、還元剤の単純酸素酸化が速くなることにより還元剤がNOx還元に使用されなくなるため、触媒重量に対して、上記各種のサポナイトに物理混合する場合は、2〜50wt%、好ましくは10〜40wt%、上記各種のゼオライトに物理混合させる場合は、2〜60wt%、好ましくは10〜50wt%が適している。
【0028】本発明の(1),(2)の触媒はいずれも、その形状や構造は、何ら制限されるものではなく、コバルト/鉄複合金属酸化物とプロトン型サポナイト、ガリウムイオン交換サポナイト、鉄イオン交換サポナイト、インジウムイオン交換サポナイト、プロトン型ZSM−5、プロトン型モルデナイトを物理混合したままの粉末や顆粒のままでもよいし、ペレットやハニカム構造物等に成形したものであってもよい。
【0029】成形触媒とするときは、一般に無機酸化物の成形に用いられる粘結剤のバインダー、例えばシリカゾルやポリビニルアルコール等を用いることができ、また必要に応じて、潤滑剤として、黒鉛、ワックス、脂肪酸塩、カーボンワックス等を用いることもできる。
【0030】本発明の上記(1),(2)の触媒による基本的なNOx還元除去反応は、NOxとして一酸化窒素(NO)、炭化水素類としてプロピレンをそれぞれ例に採れば、例えば化2に示す反応式によるものと推測される。
【0031】
【化2】12NO+3O+2C→6N+6CO+6HO【0032】すなわち、NOをNにまで還元させるには、CがCO(場合によってはCO)とHOにまで酸化されることが必要であり、Cの酸化が進行しなければ、NOのNへの還元も進行しない。なお、本発明の触媒によるNOの還元除去反応において、還元生成物の殆どはNであり、極く僅かにNOの生成が認められるだけである。
【0033】本発明において、処理対象となるNOx含有ガスとしては、ディーゼル自動車や定置式ディーゼル機関等のディーゼル排ガス、ガソリン自動車等のガソリン機関排ガスをはじめ、硝酸製造設備、各種燃焼設備等の排ガスを挙げることができる。
【0034】これら排ガス中のNOxを本発明の触媒を用いて除去するには、上記した本発明の触媒に、過剰の酸素が存在する酸化雰囲気中で、しかも水蒸気を含む雰囲気中で、還元剤としての炭化水素類の存在下で、排ガスを接触させればよい。
【0035】ここで、酸化雰囲気とは、排ガス中に含まれる一酸化炭素、水素および炭化水素類と、本発明において必要に応じて添加される炭化水素類を、完全に酸化して二酸化炭素と水に変換するのに必要な酸素量よりも過剰な酸素が含まれている雰囲気を言う。したがって、例えば、自動車等の内燃機関から排出される排ガスの場合には、空燃比が大きい状態(リーン領域)の雰囲気である。
【0036】また、水蒸気を含む雰囲気とは、全排ガス量に対して体積%で5〜20%程度の水蒸気を含む雰囲気を指し、種々の内燃機関や燃焼器からの排ガスがこれに相当する。
【0037】このような酸化雰囲気で、かつ水蒸気を含む雰囲気において、本発明の触媒では、還元剤である炭化水素類は、酸素との反応よりも、NOxとの反応が優先的に進行することによりNOxを高い効率で還元分解する。なお、本発明の触媒の特性は、酸化雰囲気で良好に発現するが、酸素の存在しない還元雰囲気では発現しないので、酸化雰囲気中にて反応を行わせることが重要である。
【0038】存在させる炭化水素類、すなわちNOxを還元除去する還元剤としては、排ガス中に残存する炭化水素類や燃料等の不完全燃焼生成物であるパティキュレート等でもよいが、これらが上記反応を進行させるのに必要な量よりも不足している場合には、外部より炭化水素類を添加する必要がある。
【0039】存在させる炭化水素類の量は、特に制限されず、例えば要求されるNOx除去率が低い場合には、NOxの還元除去に必要な理論量より少なくてよい場合がある。ただし、必要な理論量より過剰な方が還元反応がより良好に進むので、一般的には過剰に添加するのが好ましい。通常は、炭化水素類の量は、NOxの還元除去に必要な理論量の約20〜2000%過剰、好ましくは約30〜1500%過剰に存在させることが望ましい。
【0040】ここで、必要な炭化水素類の理論量とは、反応系内に酸素が存在するので、本発明では、二酸化窒素(NO)を還元除去するのに必要な炭化水素類と定義するものであり、例えば、炭化水素としてプロピレンを用い、1000ppmの二酸化窒素(NO)を酸素存在下で還元分解する際のプロピレンの理論量は、222.2ppmである。一般には、排ガスのNOx量にもよるが、存在させる炭化水素類の量は、メタン換算で約50〜10000ppm程度である。ここで、メタン換算とは、炭素数2以上の炭化水素について、その量(ppm)にその炭素数を乗じた値を言う。したがって、プロピレン250ppmは、メタン換算にて750ppmである。
【0041】本発明の触媒によってNOxを還元させる際に使用する還元剤としては、可燃性の有機化合物等の含炭素物質であればどのような物質も有効であるが、実用性から、窒素、硫黄、ハロゲン等の化合物は、価格、二次的な有害物質の発生、あるいは触媒毒となり得る等の問題が多く、またカーボンブラック、石炭等の固体物質は、触媒層への供給、触媒との接触等の点から一般に好ましくない。
【0042】このため、好適な還元剤としては炭化水素類が適しており、そして触媒層への供給の点からは気体状または液体状のものが、また反応の点からは反応温度で気化するものが好ましい。本発明における炭化水素類の具体例としては、常温、常圧で気体状のものとしてメタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン等の炭化水素ガスが、液体状のものとしてペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、オクテン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の単一炭化水素や、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン等の含酸素炭化水素、およびガソリン、灯油、軽油、重油等の鉱油系炭化水素が例示される。これらの炭化水素類は、一種のみを使用してもよいが、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】なお、排ガス中に存在する燃料等の未燃焼ないし不完全燃焼生成物、すなわち炭化水素類やパティキュレ−ト類等も還元剤として有効であり、これらも本発明における炭化水素類に含まれる。このことから、本発明の触媒は、排ガス中の炭化水素類やパティキュレ−ト等の減少・除去触媒としての機能をも有していると言うことができる。
【0044】本発明におけるNOx還元除去反応は、本発明の触媒を配置した反応器内に、水分が存在する酸化雰囲気中で、炭化水素類を存在させて、NOx含有排ガスを通過させることにより行う。このときの反応温度は、本発明における複合金属酸化物の含有量、あるいは炭化水素類の種類により異なり、一概には決められないが、排ガスの温度に近い温度が、排ガスの加熱設備等を必要としないので好ましく、一般には約200〜600℃、好ましくは約250〜450℃の範囲が適している。
【0045】反応圧力は、特に制限されず、加圧下でも減圧下でも反応は進むが、通常の排気圧で排ガスを触媒層へ導入して、反応を進行させるのが便利である。また、ガス空間速度(GHSV)は、触媒の種類、他の反応条件、必要なNOx除去率等で決まる。
【0046】なお、本発明において、内燃機関からの排ガスを処理する場合は、本発明の触媒は、排気マニホ−ルドの下流に配置するのが好ましい。
【0047】また、本発明において排ガスを処理した場合、処理条件によっては、未燃焼の炭化水素類や一酸化炭素のような公害の原因となる不完全燃焼生成物が処理ガス中に排出される場合がある。このような場合の対策として、本発明の触媒(以下、「還元触媒」と記す)で処理したガスを、酸化触媒に接触させる方法を採用することができる。
【0048】使用することができる酸化触媒としては、一般に上記の不完全燃焼生成物を完全燃焼させる触媒であればどのような触媒でもよいが、活性アルミナ、シリカ、ジルコニア等の担体に、白金、パラジウム、ルテニウム等の貴金属、ランタン、セリウム、銅、鉄、モリブデン等の卑金属酸化物、あるいは三酸化コバルトランタン、三酸化鉄ランタン、三酸化コバルトストロンチウム等のペロブスカイト型結晶構造物等の触媒成分を、単独または2種以上を組み合わせて担持させたものが挙げられる。これらの触媒成分の担持量は、貴金属では担体に対して約0.01〜5wt%程度であり、卑金属酸化物では約5〜70wt%程度である。勿論、特に卑金属酸化物等では、担体に担持しないで使用することもできる。
【0049】酸化触媒の形状、成形等の目的で添加する添加物については、還元触媒の場合のそれと同様であり、種々のものを使用することができる。
【0050】上記の還元触媒と酸化触媒の使用比率や、酸化触媒に担持させる触媒成分量等は、要求性能に応じて適宜選択可能である。また、特に酸化除去する物質が一酸化炭素のような炭化水素の中間生成物である場合には、還元触媒と酸化触媒とを混合して使用することも可能であるが、一般には、還元触媒を排気上流側に、酸化触媒を排気下流側に配置する。
【0051】上記の一般的な使用方法をより具体的に説明するならば、還元触媒を配置した反応器を排ガス導入部(前段)に、酸化触媒を配置した反応器を排ガス排出部(後段)に配置する方法や、一つの反応器に夫々の触媒を要求性能に応じた比率で配置する方法等がある。また、還元触媒(A)と酸化触媒(B)の比率は、一般には、(A)/(B)で表して約0.5〜9.5/9.5〜0.5の範囲で用いられる。
【0052】酸化触媒の使用温度は、還元触媒の使用温度と同じでなくてもよいが、一般には、前述の還元触媒の使用温度の範囲内で使用できるものを選択するのが、加熱冷却設備を特に必要とせず好ましい。
【0053】
【実施例】
〔触媒構成成分の調製〕
・コバルト/鉄複合金属酸化物の調製(コバルト:鉄=1:10(原子比)の場合)硝酸コバルト・6水和物2.91gと硝酸鉄・9水和物40.4gをビーカーに計り取り、これに蒸留水を加え160mlとして、コバルトと鉄の合計で2Nの金属硝酸塩水溶液を調製した。また、別のビーカーに炭酸ナトリウム25.0gを計り取り、これに蒸留水を加え200mlとして、2Nの炭酸ナトリウム水溶液を調製した。この後、蒸留水を100ml入れたビーカー中に攪拌しながら、上記の金属硝酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を同時に滴下して沈殿を生成させた。このとき、ビーカー中のpHは6.9〜7.1にコントロールした。生成した沈殿をデカンテーションにより上澄み液から分離した後、蒸留水を300ml加え攪拌した。攪拌停止後、再び沈殿をデカンテーションにより上澄み液から分離した。得られた沈殿は、遠心分離を5回行い、沈殿中に含まれるナトリウムの洗浄、除去を行った。この後、沈殿を1晩乾燥後、500℃で4時間焼成して、コバルト/鉄複合金属酸化物を得た。得られたコバルト/鉄複合酸化物は、ICP発光分析により含有する金属の比を分析し、コバルト:鉄=1:10(原子比)になっていることを確認した。
【0054】(コバルト:鉄=1:5(原子比)の場合)硝酸コバルト6水和物と硝酸鉄9水和物を、コバルトと鉄の原子比がCo:Fe=1:5となるように計り取り、2Nの金属硝酸塩水溶液を調製した。この後、上記のコバルト:鉄=1:10(原子比)の場合と同様にして、コバルトと鉄の原子比がCo:Fe=1:5であるコバルト/鉄複合金属酸化物を調製した。
【0055】・酸化コバルト(Co)の調製0.08Nの硝酸コバルト水溶液を調製し、0.1Nの炭酸ナトリウム水溶液を滴下して沈殿を生成させた。この沈殿を遠心分離してナトリウムイオンを含む上澄み液を除去した後、1晩乾燥し、500℃で4時間焼成して酸化コバルト(Co)とした。
【0056】・酸化鉄(Fe)の調製0.08Nの硝酸鉄水溶液を調製し、0.1Nの炭酸ナトリウム水溶液を滴下して沈殿を生成させた。この沈殿を遠心分離してナトリウムイオンを含む上澄み液を除去した後、1晩乾燥し、500℃で4時間焼成して酸化鉄(Fe)とした。
【0057】・H型サポナイトの調製ナトリウム型サポナイト(クニミネ社製)3.0gを60℃の0.1N硝酸アンモニウム水溶液300ml中に入れ、1時間攪拌し、アンモニウム型サポナイトを得た。得られたアンモニウム型サポナイトをデカンテーションにより上澄み液から分離した後、遠心分離してナトリウムイオンを含む上澄み液を除去した。110℃で1晩乾燥後、空気中、500℃で3時間焼成して、H型サポナイトを得た。H型サポナイトに残存するナトリウム量は、ICP発光分析により触媒重量に対して0.1%以下であることを確認した。
【0058】・ガリウムイオン交換サポナイトの調製ナトリウム型サポナイト(クニミネ社製)3.0gを60℃の0.1N硝酸ガリウム水溶液300ml中に入れ、1時間攪拌し、ガリウムイオン交換サポナイトを得た。得られたガリウムイオン交換サポナイトをデカンテーションにより上澄み液から分離した後、遠心分離してナトリウムイオンを含む上澄み液を除去した。110℃で1晩乾燥後、空気中、500℃で3時間焼成して、ガリウムイオン交換サポナイトを得た。
【0059】・インジウム、鉄、アルミニウム、ニッケルイオン交換サポナイトの調製インジウム、鉄、アルミニウム、ニッケルの硝酸塩を用いた以外は、ガリウムイオン交換サポナイトの調製と同様にして調製した。
【0060】イオン交換量は、ICP発光分析により各金属の含有量を求め、イオン交換容量に対して計算し、上記Ga、In、Fe、Al、Niイオン交換サポナイトのいずれも90%以上のイオン交換率であることを確認した。
【0061】・プロトン型ZSM−5(H−ZSM−5)の調製水1200gにケイ酸ナトリウム957gを溶解させた水溶液中に、水1600gに硫酸アルミニウム41gと、濃硫酸80gと、塩化ナトリウム360gとを溶解させた水溶液を、30分で徐々に攪拌しながら加え、混合した。さらに、臭化テトラプロピルアンモニウム120gを加え、pH10に調整した。この混合溶液をオートクレーブに仕込み、165℃で16時間攪拌したところ結晶化した。この結晶生成物を分離後、水洗、乾燥して、基材となるペンタシル型のZSM−5ゼオライトを得た。このペンタシル型ゼオライト20gを硝酸アンモニウム1mol/lの溶液500mlに投入し、1昼夜攪拌しながら、還流後、遠心分離した。これを純水で5回洗浄し、110℃で1晩乾燥後、500℃で3時間焼成してプロトン型ZSM−5を調製した。
【0062】・プロトン型モルデナイト(H−モルデナイト)の調製硝酸アンモニウム1mol/lの溶液500mlに、市販のナトリウム型モルデナイト20gを投入し、1昼夜攪拌しながら、還流後、遠心分離した。これを純水で5回洗浄し、110℃で1晩乾燥後、500℃で3時間焼成してプロトン型モルデナイトを調製した。
【0063】・プロトン型Y型ゼオライト市販のプロトン型安定化Y型ゼオライトを使用した。
【0064】〔触媒の活性評価〕触媒の活性評価は、以下の通りに行った。触媒0.2gを常圧流通式反応装置に充填し、約900ppmの一酸化窒素(以下、「NO」と記す)、約9体積%の酸素、約900ppmのプロピレン、および約8体積%の水蒸気を含むヘリウムバランスのガスを、毎分66mlの流速で触媒に接触させて反応を行い、反応ガスをガスクロマトグラフにより分析し、Nの生成量からNOの還元除去率を求めて、触媒の活性を評価した。
【0065】この反応におけるGHSVは、サポナイト系触媒で約20000h−1、ゼオライト系触媒で約10000h−1であった。この差については、サポナイト系触媒のかさ密度がゼオライト系触媒に比較して大きいためである。
【0066】本発明の触媒は、コバルト/鉄複合金属酸化物を物理混合することにより、この複合金属該酸化物を混合しない触媒に比べ、顕著にNO還元活性が向上し、高い活性を示すことを特徴としている。したがって、本発明の触媒と比較の触媒との比較は、それぞれの触媒が示したNO還元の最高活性で行うこととする。これは、本発明の触媒、比較の触媒のいずれも300〜400℃の範囲で最高活性を示し、最高活性を示す温度に大きな差がないため、最高活性の高さが触媒性能を表していると考えられるためである。
【0067】実施例1上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)とH型サポナイトを、それぞれ0.05g、0.45g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合金属酸化物が全触媒重量に対して10wt%である触媒を調製した。得られた本発明の触媒は、上記の〔触媒の活性評価〕に従い、300〜450℃の範囲で活性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0068】実施例2上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)とH型サポナイトを、それぞれ0.10g、0.40g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合金属酸化物が全触媒重量に対して20wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表1に示す。
【0069】実施例3上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)とH型サポナイトを、それぞれ0.15g、0.35g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜで物理混合し、コバルト/鉄複合金属酸化物が全触媒重量に対して30wt%である触媒を調製した。温度を250〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表1に示す。
【0070】実施例4上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)とH型サポナイトを、それぞれ0.25g、0.25g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合金属酸化物が全触媒重量に対して50wt%である触媒を調製した。温度を250〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表1に示す。
【0071】比較例1上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したH型サポナイト(H−ST)のみを触媒として用い、温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にして活性評価を行い、評価結果を表1に示す。
【0072】比較例2上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)のみを触媒として用い、温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にして活性評価を行い、評価結果を表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】表1より、コバルト/鉄複合金属酸化物のみの触媒(比較例2)ではNO還元活性は示さず、またH−STのみの触媒(比較例1)に比較して、実施例1〜3のコバルト/鉄複合金属酸化物を含む本発明の触媒では、NO還元活性が大幅に向上していることが判る。しかも、コバルト/鉄複合金属酸化物の含有量が20wt%の場合(実施例2)に、最も高いNO還元活性を示し、50wt%の場合(実施例4)は、NO還元活性の向上効果は小さい。
【0075】実施例5上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:5)とH型サポナイトを、それぞれ0.05g、0.45g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して10wt%である触媒を調製した。実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表2に示す。
【0076】比較例3上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製した酸化コバルトとH型サポナイトを、それぞれ0.015g、0.985g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、酸化コバルトが全触媒重量に対して1.5wt%である触媒を調製した。温度を250〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表2に示す。
【0077】比較例4上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製した酸化鉄とH型サポナイトを、それぞれ0.025g、0.475g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、酸化鉄が全触媒重量に対して5wt%である触媒を調製した。実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表2に示す。
【0078】
【表2】

【0079】表2と表1より、コバルト単独酸化物(比較例3)、鉄単独酸化物(比較例4)の物理混合の触媒に比較して、Co:Fe=1:10(表1の実施例1)、Co:Fe=1:5(実施例5)の物理混合の触媒は、いずれも高いNO還元活性を示すことが判る。
【0080】比較例5上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製した酸化コバルト、酸化鉄、H型サポナイトを、それぞれ0.01g、0.09g、0.40g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、酸化コバルトが全触媒重量に対して2.0wt%、酸化鉄が全触媒重量に対して18.0wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表3に示す。
【0081】
【表3】

【0082】表3と表1より、コバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)を20wt%物理混合した触媒(表1の実施例2)と、コバルト酸化物と鉄酸化物の2種の単独酸化物を物理混合した触媒(比較例5)を比較すると、比較例5のNO還元活性は低く、物理混合する酸化コバルトと酸化鉄は、複合金属酸化物となっていなければならないことが判る。
【0083】実施例6上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)とガリウムイオン交換サポナイトを、それぞれ0.10g、0.40g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合金属酸化物が全触媒重量に対して20wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表4に示す。
【0084】実施例7上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)とインジウムイオン交換サポナイトを、それぞれ0.10g、0.40g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して20wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表4に示す。
【0085】実施例8上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)と鉄イオン交換サポナイトを、それぞれ0.10g、0.40g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して20wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表4に示す。
【0086】比較例6上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)とアルミニウムイオン交換サポナイトを、それぞれ0.10g、0.40g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して20wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表4に示す。
【0087】比較例7上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合金属酸化物(Co:Fe=1:10)とニッケルイオン交換サポナイトを、それぞれ0.10g、0.40g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して20wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表4に示す。
【0088】
【表4】

【0089】表4より、コバルト/鉄複合金属酸化物を物理混合させるサポナイトが、Ga−ST(実施例6)、Fe−ST(実施例7)、In−ST(実施例8)の触媒では、高いNO還元活性を示すことが判る。しかし、Al−ST(比較例6)、Ni−ST(比較例7)の触媒では、NO還元活性は低い。
【0090】実施例9上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合酸化物(Co:Fe=1:10)とH−ZSM−5を、それぞれ0.05g、0.45g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して10wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表5に示す。
【0091】実施例10上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合酸化物(Co:Fe=1:10)とHZSM−5を、それぞれ0.125g、0.375g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して25wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表5に示す。
【0092】実施例11上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合酸化物(Co:Fe=1:10)とH−ZSM−5を、それぞれ0.25g、0.25g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して50wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表5に示す。
【0093】比較例8上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したH−ZSM−5のみを触媒として用い、実施例1と同様にして活性評価を行い、評価結果を表5に示す。
【0094】
【表5】

【0095】表5より、H−ZSM−5のみの触媒(比較例8)のNO還元活性に比較して、コバルト/鉄複合金属酸化物を物理混合した触媒(実施例9〜11)では、活性が大幅に向上していることが判る。また、コバルト/鉄複合金属酸化物の物理混合量は25wt%の触媒(実施例10)で最も高活性となる。
【0096】比較例9上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製した酸化コバルトとH−ZSM−5を、それぞれ0.0125g、0.4875g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、酸化コバルトが全触媒重量に対して2.5wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表6に示す。
【0097】比較例10上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製した酸化鉄とH−ZSM−5を、それぞれ0.1125g、0.3875g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、酸化鉄が全触媒重量に対して22.5wt%である触媒を調製した。温度を300〜450℃とする以外は実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表6に示す。
【0098】比較例11上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製した酸化コバルト、酸化鉄、H型サポナイトを、それぞれ0.0125g、0.1125g、0.375g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、酸化コバルトが全触媒重量に対して2.5wt%、酸化鉄が全触媒重量に対して22.5wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は、実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表6に示す。
【0099】
【表6】

【0100】表6,表5より、コバルト酸化物単独の物理混合の触媒(比較例9)、鉄酸化物単独の物理混合の触媒(比較例10)およびコバルト酸化物と鉄酸化物の2種の単独酸化物の物理混合の触媒(比較例11)は、コバルト/鉄複合金属酸化物(25wt%)の物理混合の触媒(表5の実施例10)と比較して、NO還元活性が低いことが判る。このことより、物理混合する酸化コバルトと酸化鉄は、複合金属酸化物となっている場合に高いNO還元活性が得られることが判る。
【0101】実施例12上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合酸化物(Co:Fe=1:10)とH−モルデナイトを、それぞれ0.125g、0.375g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して25wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は、実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表7に示す。
【0102】比較例12上記の〔触媒構成成分の調製〕で調製したコバルト/鉄複合酸化物(Co:Fe=1:10)とH−Y型ゼオライトを、それぞれ0.125g、0.375g計り取り、試薬瓶の中で振り混ぜて物理混合し、コバルト/鉄複合酸化物が全触媒重量に対して25wt%である触媒を調製した。温度を300〜400℃とする以外は、実施例1と同様にしてこの触媒の活性評価を行い、評価結果を表7に示す。
【0103】
【表7】

【0104】表7は、コバルト/鉄複合金属酸化物を物理混合させる種々のH型ゼオライトの比較である。H−ZSM−5(表5の実施例10)とH−モルデナイト(実施例12)の触媒では、NO還元に高い活性を示している。H−Yの触媒(比較例12)では比較的低い活性であった。
【0105】なお、以上の実施例および比較例における触媒の活性評価は、水蒸気含有率が約8体積%のガスで行っているが、約20体積%のガスであっても略同一の結果が得られている。
【0106】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の触媒によれば、酸素が過剰に存在する酸化雰囲気中で、かつ水蒸気が存在する雰囲気中で、高いNOx還元活性を有する。このような特性を有する本発明の触媒は、種々の内燃機関からの水蒸気を含む排ガスの浄化用触媒として非常に有意義である。




 

 


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