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発明の名称 二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180062
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平8−348876
出願日 平成8年(1996)12月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】池内 寛幸 (外1名)
発明者 島津 彰 / 前田 政利 / 蜂須賀 久雄 / 池田 健一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 二酸化炭素とメタンを含む混合物から二酸化炭素を選択的に透過させ分離するために用いる分離膜であって、ドライディング(DREIDING)2を分子力場とした分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーが150cal/cm3 以上であるフッ素含有ポリイミド樹脂を用いたことを特徴とする二酸化炭素の選択的分離膜。
【請求項2】 二酸化炭素とメタンを含む混合物を、ドライディング(DREIDING)2を分子力場とした分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーが150cal/cm3 以上であるフッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜の一方の面に接触させ、この膜を通して、二酸化炭素を選択的に透過させ分離する二酸化炭素の選択的分離方法。
【請求項3】 広角X線回析法により求めたフッ素含有ポリイミド樹脂のd−spacingの値が0.53〜0.7nm(5.3〜7.0オングストローム)に存在する請求項1または2に記載の二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法。
【請求項4】 フッ素含有ポリイミド樹脂を構成する最小繰り返し単位分子構造内に少なくとも3個のフッ素原子を有する請求項1または2に記載の二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法。
【請求項5】 フッ素含有ポリイミド樹脂を構成する最小繰り返し単位分子構造内に少なくとも1つの−CF3 基を有する請求項1または2に記載の二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法。
【請求項6】 フッ素含有ポリイミド樹脂が実質的に下記式(化1)で表される最小繰り返し単位を主成分とする請求項1または2に記載の二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法。
【化1】

【請求項7】 フッ素含有ポリイミド樹脂が、実質的に下記式(化2)で表される繰り返し単位を主成分とする請求項1または2に記載の二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法。
【化2】

【請求項8】 フッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜が、緻密膜及び非対称膜から選ばれる少なくとも一つの膜である請求項1または2に記載の二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二酸化炭素とメタンを含む混合物から二酸化炭素を分離する膜と方法に関するもので、詳しくは天然ガス精製工業や石油化学工業等において発生する二酸化炭素とメタンを含む混合物から二酸化炭素を分離、濃縮する方法などに使用する膜による二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然ガス精製工業や石油化学工業において、膜を利用して二酸化炭素とメタンを含む混合物から二酸化炭素を分離する方法は、科学的及び経済的観点から永年研究されており、これまでにいくらかの検討例が報告されている。例えば、特開昭51−121003号公報は、サワーガス成分硫化水素および二酸化炭素を除去してメタンをスイートニングする方法において、メタンおよびサワーガス成分の供給混合物を2つのサワーガス成分に対し選択的透過性を有する膜へ送り、この膜を透過するサワーガス成分を同時に除去し、透過しないスイートニングされたメタンを捕集することを特徴とするメタンをスイートニングする方法を開示している。特開平06−182167号公報は、フッ素原子を含むポリイミド樹脂からなる含フッ素ポリイミド系非対称膜の表面を低温プラズマ処理することにより、架橋層を形成し、二酸化炭素とメタンを含む混合気体から、特定の成分を分離・濃縮するために用いられる、気体透過性、気体選択性、耐熱性、耐薬品性、機械的強度等に優れた含フッ素ポリイミド系気体分離膜、及びこれを用いた混合気体の分離・濃縮方法を開示している。また、フッ素含有ポリイミドの多くは、高いガラス転移温度と剛直でバルキーな分子鎖構造を有するため、耐熱性、耐化学薬品性、気体分離性等に優れた膜分離材料として知られている。例えば、特開平5−7749号公報、米国特許第3822202号明細書、米国特許第3899309号明細書、米国特許第4532041号明細書、米国特許第4645824号明細書、米国特許第4705540号明細書、米国特許第4717393号明細書、米国特許第4717394号明細書、米国特許第4838900号明細書、米国特許第4897092号明細書、米国特許第4932982号明細書、米国特許第4929405号明細書、米国特許第4981497号明細書、米国特許第5042992号明細書等には含フッ素系の芳香族ポリイミドが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提案されている膜による二酸化炭素の分離方法は、分離膜の多くが二酸化炭素に対する分離性能が未だ十分ではなく、さらに透過性も十分でないという問題があった。そのため、二酸化炭素とメタンを含む混合物からの二酸化炭素の膜分離法は、性能面、コスト面の問題から広く工業的規模で実用的に普及していないのが現状である。
【0004】本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものであって、二酸化炭素に対して高い分離性と高い透過性を有し、性能面、コスト面共に実用的に満足できる二酸化炭素とメタンを含む混合物からの二酸化炭素の選択的分離膜および選択的分離方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の二酸化炭素の選択的分離膜は、二酸化炭素とメタンを含む混合物から二酸化炭素を選択的に透過させ分離するために用いる分離膜であって、ドライディング(DREIDING)2を分子力場とした分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーが150cal/cm3 以上であるフッ素含有ポリイミド樹脂を用いたことを特徴とする。
【0006】また本発明の二酸化炭素の選択的分離方法は、二酸化炭素とメタンを含む混合物を、ドライディング(DREIDING)2を分子力場とした分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーが150cal/cm3 以上であるフッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜の一方の面に接触させ、この膜を通して、二酸化炭素を選択的に透過させ分離するという構成を備えたものである。
【0007】前記分離膜および分離方法においては、広角X線回析法により求めたフッ素含有ポリイミド樹脂のd−spacingの値が0.53〜0.7nm(5.3〜7.0オングストローム)に存在することが好ましい。
【0008】また前記分離膜および分離方法においては、フッ素含有ポリイミド樹脂を構成する最小繰り返し単位分子構造内に少なくとも3個のフッ素原子を有することが好ましい。
【0009】また前記分離膜および分離方法においては、フッ素含有ポリイミド樹脂を構成する最小繰り返し単位分子構造内に少なくとも1つの−CF3 基を有することが好ましい。
【0010】また前記分離膜および分離方法においては、フッ素含有ポリイミド樹脂が実質的に前記式(化1)で表される最小繰り返し単位を主成分とすることが好ましい。
【0011】また前記分離膜および分離方法においては、フッ素含有ポリイミド樹脂が、実質的に前記式(化2)で表される繰り返し単位を主成分とすることが好ましい。また前記分離膜および分離方法においては、フッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜が、緻密膜及び非対称膜から選ばれる少なくとも一つの膜であることが好ましい。ここで緻密膜とは、多孔質構造が存在せず、炭化水素の透過性が膜への溶解性と膜中における拡散性により支配される領域の膜をいう。また非対称膜とは、膜の一方の表面が緻密層となっており、内部構造と裏面は多孔質構造になっている膜をいう。これらの概念は当業界では一般的によく知られているものである。
【0012】前記した本発明の構成によれば、二酸化炭素とメタンを含む混合物をドライディング(DREIDING)2を分子力場とした分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーが150cal/cm3 以上であるフッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜の一方の面に接触させ、この膜を通して、二酸化炭素を選択的に透過させ分離することにより、二酸化炭素に対して高い分離性と高い透過性を有し、性能面、コスト面共に実用的に満足しうる二酸化炭素の選択的膜分離方法を実現できる。また、取り扱う炭化水素の物性や分離操作の圧力・分離操作によっては、浸透気化法によって該選択的分離方法を実現できる。
【0013】ガラス状高分子膜はしばしば、熱運動の乏しいセグメント間のスペースを利用して、透過分子の大きさや形状に由来する拡散性の違いにより特定の低分子を選択的に透過させ分離するための材料として用いられる。したがってガラス状高分子を用いて高い分離性を有する膜を得るためには、特定の低分子を選択的に透過しうるセグメント間のスペースを高分子マトリックス中に安定して保持できるような材料を膜材料として用いることが効果的と考えられる。そのようなセグメント間のスペースの存在確立はセグメントの熱運動性とパッキング構造に依存する。本発明者はこの点に着眼し、鋭意検討した結果、ドライディング(DREIDING)2を分子力場とした分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーが150cal/cm3 以上であるフッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜が二酸化炭素をより選択的に拡散しうるパッキング構造を保持しやすく、二酸化炭素に対して高い分離性と高い透過性を有し、この膜の一方の面に二酸化炭素とメタンを含む混合物を接触させることにより、二酸化炭素を選択的に透過させ高度に分離できることを見出した。
【0014】前記において、ドライディング(DREIDING)2を分子力場とした単位ファンデルワールス体積あたりの回転障壁エネルギーが150cal/cm3 未満であるとセグメントのねじれ方向の熱運動性が増大し、分離に寄与できるセグメント間のスペースが消滅し、分離性が低下する恐れが生じるので好ましくない。
【0015】前記において、回転障壁エネルギーとは4つの原子で構成される2面角を360°回転する際に越えなければならないポテンシャルエネルギー障壁の最大値を表し、具体的には、分子力学法により2面角を0〜360゜の範囲で所定角度きざみで変化させた種々の構造について構造最適化計算を行い、得られた種々の最適化構造のポテンシャルエネルギーの最大値と最小値の差として求めることができる。
【0016】前記において、分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーとは、高分子の最小繰り返し分子構造において、主鎖を構成する全ての2面角部分の回転障壁エネルギーの総和をファンデルワールス体積で割ることにより求めた値である。
【0017】前記において、ドライディング(DREIDING)2とは、原則として軌道混成様式に依存するパラメータを用いて広範囲の化合物の立体的安定構造を求めるためのシミュレーション用分子場のことである(参考:ザ ジャーナル オブフィジカル ケミストリー、94巻、26号、1996年8897-8909頁(The Journal of Physical Chemistry, Vol.94, No.26, 1990. 8897-8909)。
【0018】前記において分子力学法による構造最適化計算は、分子モデルのポテンシャルエネルギーが最小値となる構造を求めることができる方法であれば、特に限定されない。例えば、対象とする分子モデルを複数個の単位モデルに分け、それらのポテンシャルエネルギーが最小値になる構造を見出した後、その構造を繋げていって、再度、ポテンシャルエネルギーが最小値をとるような安定構造を計算にて求めてもよい。
【0019】また前記において、フッ素含有ポリイミド樹脂の広角X線回析法により求めたd−spacingの値が0.53〜0.7nm(5.3〜7.0オングストローム)の範囲に存在することが高い透過性と高い選択性を兼ね備えた分離膜を得るのに好ましい。
【0020】d−spacingの値が0.53nm(5.3オングストローム)未満であると透過性が過小となり実用性が低下する傾向にあり、また0.7nm(7.0オングストローム)を越えると分離性が過小となる恐れがある。
【0021】前記においてd−spacingとは、広角X線回析法に従いBraggの式から求めた面間隔を表す。また前記において、フッ素含有ポリイミド樹脂を構成する最小繰り返し単位分子構造内に、少なくとも3個のフッ素原子を有すると、さらに好ましい選択性を発揮する。
【0022】また、前記において、フッ素含有ポリイミド樹脂を構成する最小繰り返し単位分子構造内に、少なくとも1個の−CF3 基を有すると、さらに好ましい選択性を発揮する。さらには、フッ素含有ポリイミド樹脂のフッ素含有量は6〜12個(最小繰り返し単位分子構造内のフッ素原子の数)であることが、実質的に安定した高品質を有する二酸化炭素分離膜を得るのに好ましい。また12個を越えると原料コストが高くなり実用性が低下する傾向となる。
【0023】また前記において、フッ素含有ポリイミド樹脂が実質的に前記式(化1)で表される繰り返し単位を主成分とすると、コストも低く実用的で好ましい。また前記において、フッ素含有ポリイミド樹脂が、実質的に前記式(化2)で表される繰り返し単位を主成分とすると、コストも低く実用的で好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明者は、二酸化炭素とメタンを含む混合物を、ドライディング(DREIDING)2を分子力場とした分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーが150cal/cm3 以上であるフッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜の一方の面に接触させ、この膜を通して、二酸化炭素を選択的に透過させ高度に分離する方法を見出し、本発明に至ったものである。
【0025】本発明においては、前記従来の技術で説明した公知のフッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜を適用することができる。本発明で使用が可能な一例のフッ素含有ポリイミド樹脂を主成分とする膜を挙げると、前記式(化1)中、フッ素原子を少なくとも3個以上有する4価の有機基としては、A1あるいはA2の4価の有機基のプロトンがフッ素原子またはフッ素原子を含む基に置き変わったものであれば特に限定されないが、より好ましくは、A1あるいはA2の4価の有機基の少なくとも1つのプロトンが1つの−CF3 基に置き変わったものが用いられ、例えば、下記式(化3)で表される4価の有機基などが好ましく用いられる。
【0026】
【化3】

【0027】2価の有機基としては、特に限定されないが、より好ましくは、R1あるいはR2の2価の有機基の少なくとも1つのプロトンが1つの−CH3 基、−CF3基、−OCH3 基、Cl基に置き変わったものが用いられる。具体的には、下記式(化4)〜(化7)で表される2価の有機基が好ましく用いられる。
【0028】
【化4】

【0029】
【化5】

【0030】
【化6】

【0031】
【化7】

【0032】さらに本発明に用いられるフッ素含有ポリイミド樹脂は実質的に、前記式(化2)で表される最小繰り返し分子構造単位を主成分とすることがより好ましい。本発明に用いられるフッ素含有ポリイミド樹脂は単独で用いてもよいが、2種類以上の混合物としても用いることができる。さらには、50モル%以下であればフッ素含有ポリイミド樹脂以外のポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリマーとの共重合体、もしくは混合物であってもよい。
【0033】本発明で用いられるフッ素含有ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(ただし、前記酸成分またはアミン成分中の少なくとも一方の成分はフッ素含有基を含む)を用いて、例えば、米国特許第3959350号明細書に記載されているような公知の重合方法で得られる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(ただし、前記酸成分またはアミン成分中の少なくとも一方の成分はフッ素含有基を含む)をほぼ等モル量を用い、極性溶媒中、約80℃以下の温度、好ましくは、0〜60℃で撹拌し、ポリアミック酸を重合する。ここで用いられる極性溶媒は特に限定されないが、N−メチルピロリドン、ピリジン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノール、クレゾール、テトラハイドロフランなどが好適に用いられる。
【0034】得られたポリアミック酸の極性溶媒溶液にトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物、無水酢酸、塩化チオニル、カルボジイミドなどのイミド化促進剤を添加し、5〜150℃の温度で撹拌し、イミド化する。イミド化反応を行う際、イミド化促進剤を添加することなく、上記ポリアミック酸溶液を100〜400℃、好ましくは、120〜300℃で加熱してイミド化してもよい。
【0035】イミド化反応後、重合時の極性溶媒やイミド化促進剤を除去するために、多量のアセトン、アルコールまたは水等の溶液に滴下し精製することにより、膜材料として好適なポリイミド樹脂が得られる。
【0036】また、イミド化促進剤を添加することなく、イミド化反応を行う場合は、ポリアミック酸溶液を多量のアセトン、またはアルコール等の溶液に滴下して得られたポリアミック酸粉末やポリアミック酸溶液から溶媒を蒸発させて得られたポリアミック酸の固体(蒸発の際、沈殿剤等を加えてポリアミック酸粉末を形成させ、濾別してもよい)を100〜400℃に加熱してイミド化することにより、膜材料として好適なポリイミド樹脂が得られる。
【0037】本発明で用いられる緻密膜の製膜法は、特に限定されないが、例えば、上述のフッ素含有ポリイミド樹脂を適当な溶媒に溶解して製膜液を調製し、製膜液をガラス、金属、プラスチック等の平滑な表面を有する平板や管に一定の厚さで流延し、次いで、加熱処理により溶媒を除去する方法が好適に用いられる。
【0038】本発明で用いられる非対称膜の製造法は、特に限定されないが、生産性、コスト面から湿式相転換製膜法が好ましく用いられる。例えば、上記のフッ素含有ポリイミド樹脂を所定の有機溶媒に溶解して製膜液を調製し、製膜液をガラス、金属、プラスチック等の平板や管、あるいは、織布、不織布等の多孔質支持体上に一定の厚さで流延し、凝固液(製膜液中のフッ素含有ポリイミド樹脂は溶解しないが、製膜液中の有機溶媒と相溶性のある溶媒)に浸漬するか、または、製膜液を同心円状の2重構造のノズルから押し出し、上記凝固液に浸漬して非対称膜を調製し、その後、膜を乾燥する方法をとることができる。
【0039】フッ素含有ポリイミド樹脂の溶媒としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシメタン等が挙げられる。
【0040】これらの有機溶媒は単独で用いる以外に、2種以上の混合溶媒としても用いられる。上記有機溶媒は極性が小さく、凝固液として用いる溶媒との親和性の弱い溶媒が好ましく、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。凝固液として用いる溶媒との親和性の弱い溶媒を製膜液に用いた場合、湿式相転換製膜時にスキン状薄層の形成よりも製膜液中の溶媒が凝固液として用いる溶媒中へ進出する速度が十分小さくなる。その結果、広範囲にわたって、分離性能を大きく低下させるピンホールが存在しないスキン状薄層と多孔質構造層を有する非対称膜を得ることができる。
【0041】上記有機溶媒を浸漬し除去する際に用いられる凝固液は用いるフッ素含有ポリイミド樹脂を溶解しないが、製膜液中の溶媒と相溶性を有する溶媒であれば、特に限定されないが、水やエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類およびこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられる。製膜液中の有機溶媒を浸漬除去する際の凝固液の温度は特に限定されないが、好ましくは0〜50℃の温度で行われる。
【0042】製膜液のポリイミド溶液濃度は3〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。また、製膜液を調整する場合に必要に応じて、膨潤剤、分散剤、増粘剤等を加えてもよい。製膜液を流延する手段としては、例えば、ドクターナイフ、ドクタープレート、アプリケーター等を利用することができる。また、本発明における膜の形状は特に限定されないが、チューブ状(中空糸状を含む)、平膜状のものが好適に用いられる。
【0043】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
【実施例1】前記式(化2)で表される繰り返し単位とするフッ素含有ポリイミドを以下の方法で合成した。5,5´−2,2´−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン−ビス−1,3−イソベンゾフランジオン(6FDA)0.0761molと、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ジアミノビフェニルジハイドロクロライド(DSH)0.0761molおよび溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(200ml)とo−ジクロロベンゼン(50ml)を加え、アルゴン雰囲気下、撹拌しながらフラスコを室温から170℃まで昇温させ、170℃で生成する水を共沸脱水させながらイミド化反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、重合液を過剰量の水中に高速撹拌下、滴下し沈殿精製させた。さらにメタノールで精製し、前記式(化2)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂を得た。次に、前記式(化2)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド9重量部を希釈し、有機溶媒としてNMPを91重量部を加え、100℃で6時間撹拌し溶解した。その後、濾過し、静置して十分に脱泡し、製膜液を調整した。製膜液をアプリケータを用いガラス板上に、幅20cm、厚さ300μmで流延し、110℃で1時間、150℃で1時間、200℃で3時間、さらに真空下にて200℃で72時間加熱処理を施し、厚さ20〜30μmのフッ素含有ポリイミドより成る緻密膜を得た。この膜を構成するフッ素含有ポリイミド樹脂について、Biosym/Molecular simulations社のソフトウエアCerius2を用い、DREIDING2を分子力場に採用した分子力学法により最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーを計算したところ、218cal/cm3 となった。ここで、ファンデルワールス体積はBondiの値を用い、原子団寄与法に従い求めた。また、広角X線回析法により膜を構成するフッ素含有ポリイミド樹脂のd−spacingを測定したところ0.649nm(6.49オングストローム)に存在していた。したがって、この膜は本発明における分離膜の条件を満足するものであった。次に、この膜について、温度25℃、供給圧力4atmにて、二酸化炭素とメタンの透過性能を評価した結果を後にまとめて表1に示す。
【0045】
【実施例2】(6FDA)0.179molと5−クロロ−m−フェニレンジアミン(5CMPD)0.179molをNMP溶液中でアルゴン雰囲気下室温にて反応させポリアミック酸を得た。この後、ピリジン0.627molと無水酢酸0.627molを加え、イミド化反応を行った。反応後、過剰量の水中に上記NMP溶液を滴下した後に精製し、下記式(化8)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂を得た。
【0046】
【化8】

【0047】次に、前記式(化8)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド9重量部を希釈し、有機溶媒としてNMPを91重量部を加え、実施例1と同様にして前記式(化8)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂から成る緻密膜を得た。この膜を構成するフッ素含有ポリイミド樹脂について、実施例1と同様にして最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーを計算したところ、201cal/cm3 となった。また、広角X線回析法によりこの膜を構成するフッ素含有ポリイミド樹脂のd−spacingを測定したところ0.537nm(5.37オングストローム)に存在していた。したがって、この膜は本発明における分離膜の条件を満足するものであった。次に、この膜について、実施例1と同様にしてガスの透過性能を評価した結果を後にまとめて表1に示す。
【0048】
【実施例3】ポリイミドを合成する際に、ジアミン成分として(5CMPD)のかわりに1,5−ナフタレンジアミン(15ND)を用いた以外は実施例2と同様にして下記式(化9)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂を得た。
【0049】
【化9】

【0050】次に(化2)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂のかわりに(化9)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂を用いた以外は実施例1と同様にしてフッ素含有ポリイミド樹脂から成る緻密膜を調製した。
【0051】この膜を構成するフッ素含有ポリイミド樹脂について、実施例1と同様にして最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーを計算したところ、251cal/cm3 となった。また、広角X線回析法によりこの膜を構成するフッ素含有ポリイミド樹脂のd−spacingを測定したところ、0.604nm(6.04オングストローム)に存在していた。したがって、この膜は本発明における分離膜の条件を満足するものであった。次に、この膜について、実施例1と同様にしてガスの透過性能を評価した結果を後にまとめて表1に示す。
【0052】
【実施例4】ポリイミドを合成する際に、ジアミン成分として(5CMPD)のかわりに2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(TMPPD)を用いた以外は実施例2と同様にして下記式(化10)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂を得た。
【0053】
【化10】

【0054】次に(化2)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂のかわりに(化10)で表される最小繰り返し単位を構造単位とするフッ素含有ポリイミド樹脂を用いた以外は実施例1と同様にしてフッ素含有ポリイミド樹脂から成る緻密膜を調製した。
【0055】この膜を構成するフッ素含有ポリイミド樹脂について、実施例1と同様にして最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーを計算したところ、335cal/cm3 となった。また、広角X線回析法によりこの膜を構成するフッ素含有ポリイミド樹脂のd−spacingを測定したところ、0.698nm(6.98オングストローム)に存在していた。したがって、この膜は本発明における分離膜の条件を満足するものであった。次に、この膜について、実施例1と同様にしてガスの透過性能を評価した結果を後にまとめて表1に示す。
【0056】
【比較例1】フッ素含有ポリイミド樹脂のかわりにポリスルホン樹脂を用い、ポリスルホン樹脂18重量部に有機溶媒としてNMPを82重量部を加え、100℃で12時間撹拌し溶解した。その後、濾過し、静置して十分に脱泡し、製膜液を調整した。得られた製膜液をアプリケータを用いガラス板上に、幅20cm、厚さ300μmで流延し、110℃で1時間、150℃で3時間さらに真空下にて150℃で72時間加熱処理を施し、厚さ20〜30μmのポリスルホンより成る緻密膜を得た。この膜を構成しているポリスルホン樹脂について、実施例1と同様にして最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーを計算したところ、132cal/cm3 となった。また、広角X線回析法によりこの膜を構成するポリスルホン樹脂のd−spacingを測定したところ0.510nm(5.10オングストローム)に存在していた。したがって、この膜は本発明における分離膜の条件を満足するものではなかった。次に、この膜について、実施例1と同様にしてガスの透過性能を評価した結果を後にまとめて表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】表1から明らかな通り、本発明の実施例品は二酸化炭素に対して高い分離性と高い透過性を有することが確認できた。
【0059】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、ドライディング(DREIDING)2を分子力場とした分子力学法により求めた最小繰り返し単位分子構造内の単位ファンデルワールス体積あたりの主鎖の回転障壁エネルギーが所定値以上となるフッ素含有ポリイミド樹脂を膜の主成分に用いることにより、二酸化炭素に対して高い分離性と高い透過性を兼ね備えた膜が得られ、この膜を用いて、性能面、コスト面においても実用的に満足しうる二酸化炭素とメタンを含む混合物からの二酸化炭素の分離方法を提供することができた。




 

 


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