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発明の名称 有機液体混合物用分離膜およびそれを用いた装置および方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180059
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平9−309224
出願日 平成9年(1997)10月22日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
発明者 今津 恵美 / 藤井 能成
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 多孔質膜の片側に有機液体混合物を供給し、他の片側から気相で一部の成分を分離する分離膜であって、少なくとも分離対象の有機液体混合物の接する面の表面に非多孔質の層を設けたことを特徴とする、有機液体混合物用分離膜。
【請求項2】 多孔質膜が平均孔径 0.5〜50nmの微細孔を有するものである、請求項1の有機液体混合物用分離膜。
【請求項3】 多孔質膜が有機高分子からなる、請求項1または2の有機液体混合物用分離膜。
【請求項4】 多孔質膜が無機材質からなる、請求項1または2の有機液体混合物用分離膜。
【請求項5】 非多孔質の層が有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分の蒸気を透過させ、かつ、該有機液体混合物の透過を阻止する性質を有している、請求項1ないし4のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項6】 非多孔質の層が、分離操作を行なう温度においてゴム状態の高分子からなる、請求項3の有機液体混合物用分離膜。
【請求項7】 非多孔質の層が架橋シリコーンからなる、請求項3、5および6のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項8】 有機液体混合物がパラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素のうち、いずれか2つ以上の炭化水素成分を含んでいる、請求項1ないし7のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項9】 有機液体混合物がパラフィン系炭化水素とオレフィン系炭化水素の混合物である、請求項1ないし7のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項10】 有機液体混合物がナフサ、ガソリン、灯油、軽油である、請求項1ないし9のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項11】 多孔質膜の素材が有機液体混合物に対して耐久性がある有機高分子である、請求項3の有機液体混合物用分離膜。
【請求項12】 多孔質膜の素材がポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフォンまたはポリイミドである、請求項11の有機液体混合物用分離膜。
【請求項13】 膜形状が中空糸膜である、請求項1ないし12のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項14】 膜形状が平膜である、請求項1ないし12のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項15】 膜形状が管状膜である、請求項1ないし12のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
【請求項16】 請求項1ないし15のいずれかに記載の分離膜を用いていることを特徴とする、有機液体混合物用分離装置。
【請求項17】 請求項1ないし15のいずれかに記載の分離膜を用いて膜蒸留法により分離することを特徴とする、有機液体混合物の分離方法。
【請求項18】 請求項1ないし15のいずれかに記載の分離膜を用いてパーベーパレーション法により分離することを特徴とする、有機液体混合物の分離方法。
【請求項19】 膜の透過側を不活性ガスで掃引して蒸気圧勾配駆動力を維持する、請求項17または18に記載の有機液体混合物の分離方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機液体混合物の組成を変化させるのに使用する分離膜、およびそれを用いた分離装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】膜分離技術は、食品工業や医療分野、海水淡水化や超純水生成分野等の水処理分野等をはじめとして様々な分野で利用されているが、これまで特に水系を中心に発達し、工業化されてきた。膜分離技術は、省資源・省エネルギーおよび低環境負荷技術として注目されている分離技術であり、この膜分離技術を非水系分野、例えば石油精製プロセスや石油化学工業分野へ適用することが近年研究され始めている。
【0003】石油精製プロセスや石油化学工業分野における分離は、蒸留法を主体とする既存の分離技術を組み合せた方法で行なわれており、省資源・省エネルギーおよび低負荷環境の立場からは、より有利な分離技術を開発し適用することが求められている。このような背景から膜分離技術を石油精製プロセスや石油化学工業分野の技術として開発し実用化することが求められている。
【0004】特開平2−2852号、特開平2−2854号公報は、芳香族成分と非芳香族成分を分離するためのポリウレア/ウレタン膜を開示している。特開平2−138136号公報は、ポリエチレングリコール含浸親水性膜を用いて芳香族炭化水素を芳香族炭化水素と飽和炭化水素の混合物から分離する方法を開示している。特開平3−77634号公報は、架橋ポリウレタン膜で芳香族成分と非芳香族成分を分離する方法を開示している。特開昭62−234523号公報は、高分子複合膜による炭化水素混合ガス分離方法を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来技術は、必ずしも、有機液体に対して十分な耐久性を有し、かつ分離性能と膜透過速度をともに満足し、既存分離設備より経済的に有利な膜及び膜プロセスとは言えない。また、石油精製プロセスの場合、処理量が大量であるため、ガス状態の分離ではエネルギー的に不利になる。これらの理由から、現状では、石油精製プロセスや石油化学工業に膜分離技術を本格的に応用した例はない。
【0006】有機液体混合物の組成を変化させることができれば、ガソリンのオクタン価を向上させたり、軽油のセタン価を向上できる。また、膜で目的成分を完全に分離することができなくとも、蒸留設備に入る前の原料組成を変えておくだけで経済的には有利であり、さらに蒸留プロセスを膜プロセスで置き換えることができれば経済的に有利になることは言うまでもない。また、ガソリンからベンゼン等の有害物質を除去できれば低環境負荷の観点から有利である。さらに、オレフィンの分離・濃縮ができればポリマーや石油化学製品の経済的に有利な原料製造方法を提供することができる。
【0007】本発明の課題は、このような観点から、とくに石油精製プロセスや石油化学工業の分野に工業的に適用して好適な、有機液体混合物用分離膜、およびそれを用いた分離装置および方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の有機液体混合物用分離膜は、多孔質膜の片側に有機液体混合物を供給し、他の片側から気相で一部の成分を分離する分離膜であって、少なくとも分離対象の有機液体混合物の接する面の表面に非多孔質の層を設けたことを特徴とするものからなる。多孔質膜としては、平均孔径 0.5〜50nmの微細孔を有するものであることが好ましい。
【0009】また、本発明に係る有機液体混合物用分離装置は、このような分離膜を用いた装置からなり、本発明に係る有機液体混合物の分離方法は、このような分離膜を用いて膜蒸留法またはパーベーパレーション法により分離することを特徴とする方法からなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。まず、本発明において適用する膜蒸留法は、微細孔を有する膜を介して液体混合物からある成分を選択的に富化した蒸気として得る膜分離技術で、膜の一次側に液体混合物を供給し、二次側を減圧するか窒素等の不活性ガスまたは液体で掃引する方法である。本発明における膜蒸留法は上述のいずれの方法でもよいが、不活性ガスまたは温度差を有する液体で二次側を掃引する方法は、大容量の装置を高い真空度に保つ必要がなくエネルギー的にも減圧にする方法より有利である。
【0011】パーベーパレーション法は、膜内に液体混合物から膜素材と有機液体混合物中の特定成分との親和性を利用して、膜内に取り込み選択的に特定成分を透過させる膜分離技術であり、膜の一次側に液体混合物を供給し、二次側を減圧にする方法である。
【0012】本発明の複合膜は、多孔質の基材膜と非多孔質の層とを有しているが、有機液体混合物と接液する面に設けた非多孔質の層が、一次側の液体混合物の多孔質膜細孔内への侵入を防ぎ、かつ、該有機液体の混合物の少なくとも1成分の蒸気を透過させ、該複合膜中を蒸気の状態または細孔内に毛管凝縮を起こした状態で透過させることを特徴としている。
【0013】本発明で対象とする有機液体混合物は、例えば、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素のうち、いずれか2つ以上の炭化水素成分を含むものである。また、硫黄化合物、窒素化合物、酸素化合物、金属化合物などの非炭化水素成分を含んでいても差し支えない。この有機液体混合物の例としては、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】ここで、パラフィン系炭化水素とは、Cn 2n+2の分子式の飽和鎖状化合物で、分枝のないn-パラフィンと枝分かれしたイソパラフィンとがあり、具体的には、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルプロパンなどが挙げられる。オレフィン系炭化水素とは、二重結合を有する炭化水素で、二重結合1個の場合はCn 2nの一般式で示される鎖状炭化水素であり、具体的には、例えば、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどが挙げられる。ナフテン系炭化水素とは、1分子中に少なくとも1個の飽和環を含む炭化水素で、炭素数5個のシクロペンタンと、炭素数6個のシクロヘキサンが最も基本となる環状化合物であり、一般式はCn 2nである。芳香族系炭化水素とは、1分子中に少なくとも1個の芳香族環を含む炭化水素のことで、具体的には、例えば、ベンゼンやベンゼンに側鎖のついたトルエン、キシレンなどの単環化合物が挙げられる。
【0015】有機液体混合物の温度は、膜の耐熱性の範囲内であれば特に限定されないが、有機液体混合物の粘度が極端に高くなるような温度は好ましくない。
【0016】本発明で使用される分離膜が分離性能を発現するためには、分離すべき成分が分離膜の微細孔内で毛管凝縮を起こすことが必要である。毛管凝縮により、分離すべき成分が微細孔を閉塞し一次側からの他の成分の透過は阻止され、二次側では凝縮したある成分が気化して透過物となるので、高い分離性能が得られる。毛管凝縮を起こす微細孔の大きさは分離の対象および膜材質によって異なるが、例えば膜蒸留法では0.5〜100nm、好ましくは0.5〜20nm、更に好ましくは1〜10nmである。この微細孔の大きさは電子顕微鏡観察により把握可能である。膜の微細孔の平均孔径または細孔径分布を測定する方法は種々あるが、本発明では水の透過速度と膜の空隙率とから算出される平均孔径で定義する。
【0017】しかし、膜の微細孔内に一次側からの有機液体混合物が浸入してしまうと実質的に毛管凝縮を起こす部分が減少してしまい分離性能は低いものとなる。このような透過の仕組みから検討を重ねた結果、有機液体混合物と接液する面に非多孔質の層を設け、その非多孔質層が有機液体混合物の少なくとも1成分の蒸気を透過し、該有機液体混合物の透過を阻止する性質を有するものであれば毛管凝縮の効果を有効に利用した分離膜を得ることができることが分かり、本発明に至った。
【0018】また、分離膜の形態は平膜、管状膜、中空糸膜等のいずれの形状のものでもよく、さらに分離膜モジュールの形態も平板型、スパイラル型、プリーツ型、管状型、中空糸型等いずれの形態でも本発明に用いることができる。特に膜の自己支持性と機械的・力学的特性、およびモジュールの構成要素が少なく、耐溶剤性の観点から有利な中空糸膜が好ましい形状である。
【0019】多孔質膜の素材は、有機高分子であっても、無機素材であっても、あるいは両者が混合乃至は複合した構成をとってもよい。有機高分子の多孔膜の場合には、有機液体混合物に対して耐久性がある有機高分子であれば特に限定されない。このような高分子素材の例としては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等を挙げることができる。
【0020】無機系の多孔質膜の場合には、おおむね耐油性に優れているので、いずれの素材の多孔質膜でもよいが、セラミックス系、ゼオライト系、ガラス系、炭素系の多孔質膜が使用できる。
【0021】本発明の非多孔質の層は、多孔質膜の少なくともに片面に設けられることが必要である。好ましくは有機液体混合物と接液する面に設け、さらに好ましくは接液しない面には実質上設けないことである。非多孔質の層に用いる素材は、少なくとも1成分の蒸気を透過し、有機液体混合物の透過を阻止する性質を有するものであれば特に限定されるものではない。すなわち、分離操作を行なう温度において膜内に透過物質が蒸気の状態で供給できればよく、単一組成であっても混合物であっても差し支えない。透過速度が有利に得られる点から、ゴム状態の高分子が好ましく、このような高分子素材の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリオキシメチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニルアルコール、ポリジメチルシロキサン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等を挙げることができる。有機液体混合物に対する耐久性が優れ、薄膜形成性が優れる点で架橋構造を有したポリジメチルシロキサンすなわち架橋シリコーンは特に好ましく用いられる。
【0022】有機液体混合物と接液する面に非多孔質の層を設ける手法は、特に限定されるものではなく、コーティング、含浸いずれでもよく、接液する膜の表面の形状により選ぶことができる。コーティングは多孔質膜上に薄膜を形成するために簡便な方法であるが、乾燥状態の膜にそのまま塗布する方法のほかに予めコーティング素材の溶液の非溶媒を含浸しておくことにより非多孔質の層を膜の内部への到達を防ぐことができる。非多孔質の層による多孔質膜上の被覆の程度はガスの透過性によって把握することができる。分離対象や操作条件などの違いにより、変わり得るが、該非多孔質の層の厚さは1nm〜100μmが好ましく、10nm〜50μmがより好ましい。
【0023】
【実施例】以下に、より具体的な実施例と比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1櫛型アミノ変成シリコーン溶液(東レシリコーン(株)製BY16-872、分子量約12万、側鎖導入率シロキサンユニット中約1.6%)の 2重量% のシクロヘキサン溶液と、トリレンジイソシアネート溶液(日本ポリウレタン(株)製トリレンジイソシアネートコロネートT-80)の 0.9重量% のシクロヘキサン溶液を調製し、同体積混合して、架橋シリコーン溶液を得た。
【0024】ポリフェニレンスルフィドスルホン(東レ(株)製MF値18)を用いて中空糸膜を作成し、これを酸化して、得られた平均細孔径6.41nm、外径1055μm、内径 730μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を約30cmの長さに切り、10本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、処理用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保管したものである。処理に用いたガラス製のミニモジュールの両端は処理後膜を取り出すために切り落とす部分として 2cm長のガラス管をテフロン熱収縮チューブにより接続した。
【0025】処理用膜モジュールは、上端にシリコーンゴムチューブを接続し、架橋シリコーン溶液を 6ccチューブの内側に注いで中空糸膜の内側をコーティングした。処理用膜モジュールは、架橋シリコーン溶液を液きりして窒素ガスで緩やかに約 2分パージしたあと60℃のオーブンにて 5分加熱した。
【0026】処理後の膜は、処理用膜モジュールの 2cm長のガラス管の接続部分にて切断し約26cm長の中空糸複合膜を得た。このポリフェニレンスルホン中空糸複合膜は、外径1055μm、内径 730μmであった。
【0027】4本の中空糸複合膜を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュールを作製した。有効膜面積は1.8×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ 2.5×10-11m3/m2・sec ・Paと比較例の膜に比べ0.1%未満に低下した。
【0028】この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が 9mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度が17mol%であった。分離係数は2.04であり、コーティングを行わなかった後述の比較例1よりも高い値を得た。膜透過速度は1.22kg/(m2・hr)であった。膜の電子顕微鏡観察では、内表面は平滑であり、後述の比較例1では観察される開口部はふさがれていたが、断面方向にはスポンジ状の構造が分布し後述の比較例1との差違は認められなかった。
【0029】実施例2平均細孔径6.16nm、外径1084μm、内径 740μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜は後述の比較例2と用いたものと同じものを約30cmの長さに切り、エタノールに浸漬後水に置換した。実施例1と同じ方法により調製した架橋シリコーン溶液をシクロヘキサンを用いて 8倍に希釈したものをコーティング液とした。35cm長の試験管にコーティング液を上部5mm程度を残して満たした。水に浸漬しておいたポリフェニレンスルホン中空糸膜は、1本ずつ取り出し表面に付着した水がなくなるのを待ってから架橋シリコーン溶液に浸漬して外表面をコーティングした。コーティングは浸漬後溶液から取り出しながら温風に当てて溶媒を揮発させて再び試験管内に沈める操作を 6回繰り返した。このポリフェニレンスルホン中空糸複合膜は、外径1084μm、内径 740μmであった。
【0030】得られた複合中空糸膜を風乾し 4本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングして試験用膜モジュールを作製した。有効膜面積は 2.3×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ2.14×10-9m3/m2 ・ sec・Paと比較例2に比べて約5%に減少した。
【0031】この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の外側に膜面線速度8.5m/secの流量で供給した。中空糸膜の内側には窒素ガスを膜面線速度0.1m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度が14mol%であった。分離係数は1.47とコーティングを行わなかった比較例2よりも高い値を得た。膜透過速度は1.57kg/(m2・hr)であった。
【0032】比較例1平均細孔径6.41nm、外径1055μm、内径 730μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を約20cmの長さに切り、 4本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保管したもので、試験用膜モジュール内の膜の有効膜面積は 1.8×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ1.73×10-6m3/m2 ・sec ・Paであった。この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度は、膜に供給した有機液体混合物の濃度と差が認められなかった。
【0033】比較例2平均細孔径6.16nm、外径1084μm、内径 740μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を約20cmの長さに切り、 4本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保管したもので、試験用膜モジュール内の膜の有効膜面積は 2.2×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ4.74×10-8m3/m2 sec ・Paであった。この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の外側に膜面線速度8.5m/secの流量で供給した。中空糸膜の内側には窒素ガスを膜面線速度0.1m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度は、膜に供給した有機液体混合物の濃度と差が認められなかった。
【0034】比較例3平均細孔径0.46nm、外径1080μm、内径 720μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を用い、実施例1と同じ方法により、複合膜を作製した。得られた複合中空糸膜を約20cmの長さに切り、 4本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保管したもので、試験用膜モジュール内の膜の有効膜面積は 2.4×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ1.81×10-11m3/m2 sec・Paであった。この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の外側に膜面線速度8.5m/secの流量で供給した。中空糸膜の内側には窒素ガスを膜面線速度0.1m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。凝縮回収を2時間行なったが、トラップ内に透過物の凝縮は認められなかった。
【0035】比較例4平均細孔径22.5nm、外径1098μm、内径 730μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を用い、実施例1と同じ方法により、複合膜を作製した。得られた複合中空糸膜を約20cmの長さに切り、 4本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保管したもので、試験用膜モジュール内の膜の有効膜面積は 2.3×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定したところ8.74×10-9m3/m2 sec ・Paであった。この試験用モジュールを使って、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の外側に膜面線速度8.5m/secの流量で供給した。中空糸膜の内側には窒素ガスを膜面線速度0.1m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル濃度は、膜に供給した有機液体混合物の濃度と差が認められなかった。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の分離膜およびそれを用いた装置および方法によれば、有機液体混合物と接液する面に非多孔質の層を設けた分離膜を使って、有機液体混合物が分離膜の微細孔の中に液体の状態で侵入することを抑止することにより、毛管凝縮の効果を利用して高い分離性能と膜透過速度を達成でき、有機液体混合物組成を効果的に変化させることができる。この膜分離技術は、容易に工業的に適用でき、大量の処理量が要求される石油精製プロセスや石油化学工業の分野に極めて有用な技術である。




 

 


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