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発明の名称 窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−33944
公開日 平成10年(1998)2月10日
出願番号 特願平8−214262
出願日 平成8年(1996)7月25日
代理人
発明者 藤本 尚則 / 吉成 知博 / 浜田 秀昭 / 金田一 嘉昭 / 稲葉 仁 / 羽田 政明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 プロトン型サポナイトに、酸化マンガン、酸化鉄及び酸化コバルトのうちの1種の金属酸化物を、触媒重量に対し、酸化マンガンの場合は1〜50質量%、酸化鉄の場合は10〜50質量%、酸化コバルトの場合は3〜10質量%にて、物理混合により含有してなる窒素酸化物接触還元除去触媒。
【請求項2】 過剰の酸素及び水分が存在する酸化雰囲気中で、還元剤として炭化水素類、触媒として請求項1記載の窒素酸化物接触還元除去触媒を使用することを特徴とする窒素酸化物接触還元除去方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【本発明の属する技術分野】本発明は、過剰の酸素が存在する全体として酸化条件下の雰囲気で、しかも水分(水蒸気)存在下においても、排ガス中の窒素酸化物を、少量添加したあるいは排ガス中に存在する炭化水素類の存在下で、効率よく還元除去する触媒及びその方法に関する。
【0002】
【技術背景】種々の内燃機関や燃焼器より排出される窒素酸化物(以下、「NOx」と記すこともある)は、人体に悪影響を及ぼすのみならず、光化学スモッグや酸性雨の発生原因ともなり得るため、環境対策上その低減が急務となっている。
【0003】従来、このNOxを除去する方法として、触媒を用いて排ガス中のNOxを低減する方法がいくつか実用化されている。例えば、(イ)ガソリン自動車における三元触媒法や、(ロ)ボイラー等の大型設備排出源からの排ガスについてのアンモニアによる選択的接触還元法が挙げられる。また、その他の方法としては、(ハ)酸化条件下の雰囲気において炭化水素類を還元剤としてNOxを還元する方法が最近提案されており、銅等の金属を含むアルミナ等の金属酸化物若しくは種々の金属を担持させたゼオライトが触媒として用いられる(特開昭63−100929号、特開昭63−283727号等)。
【0004】上記(イ)の方法は、ガソリン自動車の燃焼排ガス中に含まれる炭化水素成分と一酸化炭素を白金族を含有する触媒によって水と二酸化炭素とし、同時にNOxを還元して窒素とするものである。しかし、この方法では、NOx中に含まれる酸素量を含め、炭化水素成分及び一酸化炭素が酸化されるのに必要とする酸素量が化学量論的に等しくなるように酸素濃度を調節する必要があり、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンのように排ガス中に多量の酸素を含む雰囲気下では、原理的に適用不可能である等の問題がある。最近、特定の炭化水素類の存在下での上記触媒のNOx低減効果が報告されるようになったが、その浄化率は未だ低く、還元生成物に関しても課題解決には至っていない。
【0005】また、(ロ)の方法では、有毒で、かつ多くの場合高圧ガスとして用いなければならないアンモニアを用いるため、取り扱いが容易でなく、しかも設備が巨大化し、小型の排ガス発生源、特に移動性発生源に適用することは技術的に困難である上、経済性も良くない。
【0006】さらに、(ハ)の方法は、酸化雰囲気においてもNOxを除去できる新しい方法として注目されている。しかし、水蒸気により触媒の活性点が覆われNOx除去活性の低下をもたらすため、これまで提案されている銅等の金属を担持したゼオライトやアルミナ等の触媒は、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンからの排ガスに含まれるNOxを除去するには適さない。加えて、活性金属として貴金属を使用した場合は、触媒価格が高価となるため、多量の貴金属を使用する触媒は実用性がない。
【0007】そこで、酸素過剰下、及び多量の水蒸気存在下においても、幅広い温度範囲で高い還元性能を示し、かつ安価に製造できるNOx還元除去触媒の開発が望まれている。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記の要請に応えるためなされたもので、酸化雰囲気で、しかも水蒸気存在下においても、ガソリン機関はもちろんのこと、ディーゼル機関の排ガスをはじめ、種々の設備から発生する排ガス中の窒素酸化物を、効率よく還元除去することができるのみならず、前記(イ)〜(ハ)のNOx除去技術に存在する各種の問題のない触媒と、この触媒を使用して特定条件下の排ガス中のNOxを高効率で還元除去する方法とを提供することを目的とする。
【0009】
【発明の概要】本発明の触媒は、プロトン型サポナイトと、酸化マンガン、酸化鉄及び酸化コバルトからなる金属酸化物の群から選ばれる1種とを、特定割合で、物理混合により含有させた触媒であり、その好ましい実施態様(すなわち、本発明のNOx除去方法)は、過剰の酸素が存在する酸化雰囲気で、しかも水蒸気が存在している雰囲気中で使用され、炭化水素類を還元剤とするものである。
【0010】本発明の触媒における金属酸化物は、一酸化窒素に対する酸化活性を有するもので、該活性を有する無数の金属酸化物の中から、特に、高い活性を有するものとして、酸化マンガン、酸化鉄及び酸化コバルトを選び、この中の1種を使用するものである。酸化マンガンとしては主にMnが、酸化鉄としては主にFeが、酸化コバルトとしてはCoが用いられる。
【0011】これら金属酸化物の含有割合は、触媒重量に対し、酸化マンガンの場合で1〜50質量%、好ましくは1〜40質量%であり、酸化鉄の場合で10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%であり、酸化コバルトの場合で3〜10質量%である。金属酸化物の割合が、上記の範囲未満であれば、金属酸化物の添加効果が小さすぎて技術的意義が発現せず、上記の範囲より多いと、水蒸気存在下での活性が低下する。
【0012】本発明の触媒の構成主成分であるサポナイトは、粘土鉱物であり、大部分が層状珪酸塩の微細結晶からなり、化1の一般式で表される。
【0013】
【化1】

ここで、M:アルカリ金属、アルカリ土類金属n:自然数【0014】本発明では、化1の一般式を有する天然物あるいは合成品のいずれも使用することができる。なお、合成品は、水熱合成法や溶融法等の公知の方法により合成することができる。
【0015】サポナイトは、天然物あるいは合成物そのままでは、多くの場合、交換可能なアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含んでいる。プロトン型サポナイトは、この交換可能なアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンをアンモニウムイオンでイオン交換したものを、空気中で焼成してプロトン型としたものである。
【0016】上記のプロトン型サポナイトに物理混合される酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトの調製法は、いずれも、沈殿法、熱分解法、その他、これらを生成することができる方法であれば、どのような方法であってもよい。沈殿法は、マンガン、鉄、コバルトの溶液に沈殿剤を添加して生じさせたこれらの成分を含む沈殿物を焼成することにより酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトを生成する方法である。このとき、マンガン、鉄、コバルトの各溶液としては、これら金属の硝酸塩や酢酸塩が使用でき、沈殿剤としては、いずれの溶液にあっても、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムあるいはアンモニア等が使用できる。
【0017】また、熱分解法は、マンガン、鉄、コバルトの化合物を熱分解(焼成)して酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトを生成する方法である。このとき、マンガン、鉄、コバルトの各化合物としては、これら金属の炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩等が使用できる。
【0018】中でも、マンガン、鉄、コバルトの各溶液として硝酸塩を、沈殿剤として炭酸ナトリウムをそれぞれ用いた沈殿法で得られる酸化マンガン(Mn)、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(Co)が、最も顕著な活性向上を示す触媒を得る上で好ましい。
【0019】上記の焼成は、空気焼成により行われ、このときの温度は、約300〜800℃、好ましくは約400〜600℃であり、時間は、約1〜10時間、好ましくは約2〜6時間である。焼成温度が低すぎたり、焼成時間が短かすぎると、上記のマンガン、鉄、コバルトの化合物の酸化が十分に進行せず、逆に、焼成が高温度、長時間に及ぶと、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトの凝集やシンタリングが起き、活性が低下してしまう。
【0020】本発明の酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトを含有する触媒では、水蒸気存在下において、NOx還元に対して高い活性を示す。ただし、この効果は、これらの金属酸化物をプロトン型サポナイトに含有させる際に、物理混合法を採用する場合において良好に得ることができ、イオン交換法、含浸法を採用する場合には、この効果を得ることが極めて困難となる。
【0021】上記の物理混合とは、焼成後の上記金属酸化物の粉末と、焼成後のプロトン型サポナイトの粉末とを物理的に混合することを言い、具体的な方法としては、金属酸化物とプロトン型サポナイトとの粉末を均一になるまで振り混ぜる方法、乳鉢ですりつぶして混合する方法等が挙げられる。なお、より均一に混合させるために、物理混合を行う前に、焼成後の金属酸化物、焼成後のプロトン型サポナイトのそれぞれを乳鉢ですりつぶしておいてもよい。これらの粉末はいずれも焼成後に混合し、その後焼成は行わないため、各々の粉末間の化学的作用は考えられず、物理混合後の状態は単純に混じり合っている状態と考えられる。
【0022】本発明の触媒は、その形状や構造は、何ら制限されるものではなく、プロトン型サポナイトと上記の金属酸化物とを物理混合したままの粉末状や顆粒状のままでもよいし、ペレット状、ハニカム構造物等に成形したものであってもよい。成形触媒とするときは、一般に、無機酸化物の成形に用いられる粘結剤乃至バインダー、例えばシリカゾルやポリビニルアルコ−ル等を用いることができ、また必要に応じて、潤滑剤として、黒鉛、ワックス、脂肪酸塩、カ−ボンワックス等を用いることもできる。
【0023】本発明の触媒による基本的なNOx還元除去反応は、NOxとして一酸化窒素(NO)、炭化水素類としてプロピレンをそれぞれ例に採れば、例えば化2に示す反応式によるものと推測される。
【0024】
【化2】12NO+3O+2C→6N+6CO+6HO【0025】すなわち、NOをNにまで還元させるには、CがCO(場合によってはCO)とHOにまで酸化されることが必要であり、Cの酸化が進行しなければ、NOのNへの還元も進行しない。
【0026】なお、本発明の触媒によるNOの還元除去反応において、還元生成物の殆どはNであり、極く僅かにNOの生成が認められるだけである。
【0027】本発明において、処理対象となるNOx含有ガスとしては、ディーゼル自動車や定置式ディーゼル機関等のディーゼル排ガス、ガソリン自動車等のガソリン機関排ガスをはじめ、硝酸製造設備、各種燃焼設備等の排ガスを挙げることができる。
【0028】これら排ガス中のNOxを本発明の方法により除去するには、上記した本発明の触媒に、過剰の酸素と水分とを含む酸化雰囲気中、炭化水素類の存在下で、排ガスを接触させることにより行う。
【0029】ここで、酸化雰囲気とは、排ガス中に含まれる一酸化炭素、水素及び炭化水素類と、本発明において必要に応じて添加される炭化水素類とからなる還元剤を、完全に酸化して二酸化炭素と水に変換するのに必要な酸素量よりも過剰な酸素が含まれている雰囲気を言う。したがって、例えば、自動車等の内燃機関から排出される排ガスの場合には、空燃比が大きい状態(リーン領域)の雰囲気である。
【0030】また、本発明において、水分が存在する雰囲気とは、5〜20%程度の水分を含む雰囲気を指し、種々の内燃機関や燃焼器からの排ガスがこれに相当する。
【0031】このような過剰の酸素と水分とが存在する酸化雰囲気においては、本発明の触媒は、炭化水素類と酸素との反応よりも、炭化水素類とNOxとの反応を優先的に促進させて、NOxを高い効率で還元分解する。
【0032】なお、この水分存在下での本発明の触媒の特性は、酸化雰囲気で良好に発現するが、還元雰囲気では発現しないので、酸化雰囲気中にて反応を行わせることが重要である。
【0033】存在させる炭化水素類、すなわちNOxを還元除去する還元剤としては、排ガス中に残存する炭化水素や燃料等の不完全燃焼生成物であるパティキュレート等でもよいが、これらが上記反応を促進させるのに必要な量よりも不足している場合には、外部より炭化水素類を添加する必要がある。
【0034】存在させる炭化水素類の量は、特に制限されず、例えば、要求されるNOx除去率が低い場合には、NOxの還元除去に必要な理論量より少なくてよい場合がある。ただし、必要な理論量より過剰な方が還元反応がより良好に進むので、一般的には過剰に添加するのが好ましい。通常は、炭化水素類の量は、NOxの還元除去に必要な理論量の約20〜2000%過剰、好ましくは約30〜1500%過剰に存在させることが望ましい。
【0035】ここで、必要な炭化水素類の理論量とは、反応系内に酸素が存在するので、本発明では、二酸化窒素(NO)を還元除去するのに必要な炭化水素類と定義するものであり、例えば、炭化水素としてプロピレンを用い、1000ppmの一酸化窒素(NO)を酸素存在下で還元分解する際のプロピレンの理論量は220ppmである。一般的には、排ガスのNOx量にもよるが、存在させる炭化水素類の量は、メタン換算で約50〜10000ppm程度である。
【0036】ここで、メタン換算とは、炭素数2以上の炭化水素について、その量(ppm)にその炭素数を乗じた値を言う。したがって、プロピレン250ppmは、メタン換算にて750ppmである。
【0037】本発明の触媒によってNOxを還元させる際に使用する還元剤としては、可燃性の有機化合物等の含炭素物質であればどのような物質も有効であるが、実用性から、窒素、硫黄、ハロゲン等の化合物は、価格、二次的な有害物質の発生、あるいは触媒毒となり得る等の問題が多く、また、カーボンブラック、石炭等の固体物質は、触媒層への供給、触媒との接触等の点から一般に好ましくなく、炭化水素類が適している。そして、触媒層への供給の点からは気体状または液体状のものが、また、反応の点からは反応温度で気化するものが好ましい。
【0038】本発明における炭化水素類の具体例としては、常温、常圧で気体状のものとしてメタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン等の炭化水素ガスが、液体状のものとしてペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、オクテン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の単一炭化水素や、ガソリン、灯油、軽油、重油等の鉱油系炭化水素が例示される。これらの炭化水素類は、一種のみを使用してもよいが、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】なお、排ガス中に存在する燃料等の未燃焼ないし不完全燃焼生成物、すなわち炭化水素類やパティキュレ−ト類等も還元剤として有効であり、これらも本発明における炭化水素類に含まれる。このことから、本発明の触媒は、排ガス中の炭化水素類やパティキュレ−ト等の減少・除去触媒としての機能をも有しているということができる。
【0040】本発明におけるNOx還元除去反応は、本発明の触媒を配置した反応器内に、水分が存在する酸化雰囲気中で、炭化水素類を存在させて、NOx含有排ガスを通過させることにより行う。このときの反応温度は、本発明における金属酸化物の含有量、あるいは炭化水素類の種類により異なり、一概には決められないが、排ガスの温度に近い温度が、排ガスの加熱設備等を必要としないので好ましく、一般には約200〜600℃、好ましくは約250〜500℃の範囲が適している。
【0041】反応圧力は、特に制限されず、加圧下でも減圧下でも反応は進むが、通常の排気圧で排ガスを触媒層へ導入して、反応を進行させるのが便利である。空間速度は、触媒の種類、他の反応条件、必要なNOx除去率等で決まり、特に制限はないが、概して、約500〜200000hr−1、好ましくは約1000〜100000hr−1の範囲が適している。
【0042】なお、本発明において、内燃機関からの排ガスを処理する場合は、本発明の触媒は、排気マニホ−ルドの下流に配置するのが好ましい。
【0043】また、本発明において排ガスを処理した場合、処理条件によっては、未燃焼の炭化水素類や一酸化炭素のような公害の原因となる不完全燃焼生成物が処理ガス中に排出される場合がある。このような場合の対策として、本発明の触媒(以下、「還元触媒」と記す)で処理したガスを酸化触媒に接触させる方法を採用することができる。
【0044】使用することができる酸化触媒としては、一般に上記の不完全燃焼生成物を完全燃焼させる触媒であればどのような触媒でもよいが、活性アルミナ、シリカ、ジルコニア等の担体に、白金、パラジウム、ルテニウム等の貴金属、ランタン、セリウム、銅、鉄、モリブデン等の卑金属酸化物、あるいは三酸化コバルトランタン、三酸化鉄ランタン、三酸化コバルトストロンチウム等のペロブスカイト型結晶構造物等の触媒成分を、単独または2種以上を組み合わせて担持させたものが挙げられる。これらの触媒成分の担持量は、貴金属では担体に対して約0.01〜5wt%程度であり、卑金属酸化物では約5〜70wt%程度である。勿論、特に卑金属酸化物等では、担体に担持しないで使用することもできる。
【0045】酸化触媒の形状、成形等の目的で添加する添加物については、還元触媒の場合のそれと同様であり、種々のものを使用することができる。
【0046】上記の還元触媒と酸化触媒の使用比率や、酸化触媒に担持させる触媒成分量等は、要求性能に応じて適宜選択可能である。また、特に酸化除去する物質が一酸化炭素のような炭化水素の中間生成物である場合には、還元触媒と酸化触媒とを混合して使用することも可能であるが、一般には、還元触媒を排気上流側に、酸化触媒を排気下流側に配置する。
【0047】上記の一般的な使用方法をより具体的に説明するならば、還元触媒を配置した反応器を排ガス導入部(前段)に、酸化触媒を配置した反応器を排ガス排出部(後段)に配置する方法や、一つの反応器に夫々の触媒を要求性能に応じた比率で配置する方法等がある。また、還元触媒(A)と酸化触媒(B)の比率は、一般には、(A)/(B)で表して約0.5〜9.5/9.5〜0.5の範囲で用いられる。
【0048】酸化触媒の使用温度は、還元触媒の使用温度と同じでなくてもよいが、一般には、前述の還元触媒の使用温度の範囲内で使用できるものを選択するのが、加熱冷却設備を特に必要とせず好ましい。
【0049】
【実施例】
〔触媒の調製〕
(a)プロトン型サポナイトの調製:市販のナトリウム型サポナイトを、0.1Nの硝酸アンモニウム水溶液中、55℃で1時間攪拌してイオン交換を行った。その後、これを純水で5回洗浄し、110℃で終夜乾燥後、500℃で3時間空気焼成して、プロトン型サポナイトを調製した。
【0050】(b)金属酸化物の調製:1)酸化マンガンの調製;硝酸マンガン水溶液に炭酸ナトリウム水溶液を滴下して生じたマンガン含有沈殿物を、純水で5回洗浄し、110℃で終夜乾燥後、500℃で5時間空気中で焼成して、酸化マンガンを調製した。
【0051】2)酸化鉄の調製;硝酸鉄水溶液に炭酸ナトリウム水溶液を滴下して生じた鉄含有沈殿物を、純水で5回洗浄し、110℃で終夜乾燥後、500℃で5時間空気中で焼成して、酸化鉄を調製した。
【0052】3)酸化コバルトの調製;硝酸コバルト水溶液に炭酸ナトリウム水溶液を滴下して生じたコバルト含有沈殿物を、純水で5回洗浄し、110℃で終夜乾燥後、500℃で5時間空気中で焼成して、酸化コバルトを調製した。
【0053】4)酸化クロムの調製;硝酸クロム水溶液に炭酸ナトリウム水溶液を滴下して生じたクロム含有沈殿物を、純水で5回洗浄し、110℃で終夜乾燥後、500℃で5時間空気中で焼成して、酸化クロムを調製した。
【0054】上記のように得られたプロトン型サポナイトと、種々の金属酸化物を、正確に量り採り、試薬瓶の中で振り混ぜて混合することにより、本発明及び比較の触媒を調製した。
【0055】〔NOx還元除去評価方法〕以上のようにして調製した各触媒0.2gを常圧流通式反応装置に充填し、約900ppmのNO、約9体積%の酸素、約900ppmのプロピレン、及び約8体積%の水蒸気を含むヘリウムバランスのガスを、毎分66mlの流速(W/F=0.19g・s/cc、GHSV=約20000h−1に相当)で流して反応を行った。
【0056】反応ガスの分析は、ガスクロマトグラフを用いて行った。NOの還元除去率は、Nの収率から求めた。結果を表1〜14に示した。
【0057】実施例1プロトン型サポナイトに、酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表1に示した。表1及び表5を比較すれば明らかなように、酸化マンガンを添加した触媒は、酸化マンガン無添加の触媒に比して、NOx還元活性の著しい向上があることが判る。
【0058】実施例2プロトン型サポナイトに、酸化マンガンを触媒重量に対して30wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表2に示した。表2から明らかなように、この触媒は、比較的低温で、NOx還元活性の向上があることが判る。
【0059】実施例3プロトン型サポナイトに、酸化鉄を触媒重量に対して30wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表3に示した。表3から明らかなように、この触媒は、比較的高温で、NOx還元活性の向上があることが判る。
【0060】実施例4プロトン型サポナイトに、酸化コバルトを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表4に示した。表4から明らかなように、この触媒は、比較的低温で、NOx還元活性の向上があることが判る。
【0061】比較例1酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトを添加せず、プロトン型サポナイトのみからなる触媒のNOx除去評価結果を表5に示した。表1〜表4及び表5を比較すれば明らかなように、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトのいずれをも添加しない触媒は、NOx還元活性が低いことが判る。
【0062】比較例2プロトン型サポナイトに、酸化クロムを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表6に示した。表1〜表4及び表6を比較すれば明らかなように、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトではなく、酸化クロムを物理混合した触媒は、NOx還元活性が低いことが判る。
【0063】比較例3Alに、酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表7に示した。酸素過剰及び水蒸気存在下において、Al単独からなる触媒は、プロトン型サポナイト単独からなる触媒に比して、非常に高いNOx還元活性を有するが、このAlに酸化マンガンを物理混合した触媒では、プロトン型サポナイトに酸化マンガンを物理混合した触媒に比して、表1及び表7を比較すれば明らかなように、NOx還元活性は非常に低く、Alに酸化マンガンを物理混合することによりNOx還元活性が低下することが判る。
【0064】比較例4ナトリウム型サポナイトに、酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表8に示した。表1及び表8を比較すれば明らかなように、ナトリウム型サポナイトに酸化マンガンを物理混合しても、NOx還元活性は低いことが判る。
【0065】比較例5プロトン型サポナイトと同じスメクタイト類の層間化合物であるプロトン型モンモリロナイトに、酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表9に示した。表1及び表9を比較すれば明らかなように、プロトン型サポナイトと同様の構造を持つプロトン型モンモリロナイトでは、NOx還元活性は低いことが判る。
【0066】比較例6プロトン型サポナイトと同じスメクタイト類の層間化合物であるプロトン型ヘクトライトに、酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表10に示した。表1及び表10を比較すれば明らかなように、プロトン型サポナイトと同様の構造を持つプロトン型ヘクトライトでは、NOx還元活性は低いことが判る。
【0067】比較例7市販のナトリウム型サポナイトを、0.1Nの硝酸マンガン水溶液中、55℃で1時間攪拌してイオン交換を行った。その後、これを純水で5回洗浄し、110℃で終夜乾燥後、500℃で3時間空気焼成して、マンガンイオン交換サポナイトを調製した。このマンガンイオン交換サポナイトのNOx除去評価結果を表11に示した。表1及び表11を比較すれば明らかなように、マンガンをイオン交換により添加した触媒では、酸化マンガンを物理混合した触媒に比して、NOx還元活性が低いことが判る。
【0068】比較例8プロトン型サポナイトに、酸化マンガンを触媒重量に対して60wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表12に示した。表1、表2及び表12を比較すれば明らかなように、酸化マンガンを過剰に添加した触媒では、NOx還元活性の向上効果が無くなることが判る。
【0069】比較例9プロトン型サポナイトに、酸化鉄を触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表13に示した。表3及び表13を比較すれば明らかなように、酸化鉄を過少に添加した触媒では、NOx還元活性に対する酸化鉄の添加効果が無いことが判る。
【0070】比較例10プロトン型サポナイトに、酸化鉄を触媒重量に対して60wt%物理混合して得た触媒のNOx除去評価結果を表14に示した。表3及び表14を比較すれば明らかなように、酸化鉄を過剰に添加した触媒では、NOx還元活性の向上効果が無くなることが判る。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
【表7】

【0078】
【表8】

【0079】
【表9】

【0080】
【表10】

【0081】
【表11】

【0082】
【表12】

【0083】
【表13】

【0084】
【表14】

【0085】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の触媒においては、水蒸気の存在下で、高いNOx還元活性を有している。このような特性を有する本発明の触媒は、種々の内燃機関からの水蒸気を含む排ガスの浄化用触媒として非常に有意義である。




 

 


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