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発明の名称 制振機構付き回転切削工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−217027
公開日 平成10年(1998)8月18日
出願番号 特願平9−35587
出願日 平成9年(1997)2月4日
代理人
発明者 小杉 明 / 加藤 昌孝
要約 目的
鋼、超硬の特性を利用し、高剛性をたもちつつ振動を制御する回転切削工具を提供するもので、特に、切削に伴い生ずる振動とホルダーの共振を制御した回転切削工具を提供することを目的とする。

構成
円柱状のシャンク部1の1端に切刃をもつ刃体保持部と、工作機械本体に保持されるシャンク部2とから構成された切削工具であって、前記シャンク部1の他の1端には機械的な固着手段を設けることにより構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】 円柱状のシャンク部1の1端に切刃をもつ刃体保持部と、工作機械本体に保持されるシャンク部2とから構成された切削工具であって、前記シャンク部1の他の1端には機械的な固着手段が設けられていることを特徴とする制振機構付き回転切削工具。
【請求項2】 請求項1乃至2記載の制振機構付き回転切削工具において、シャンク部1は13クロムマルテンサイト系ステンレスを用いたことを特徴とする制振機構付き回転切削工具。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スローアウェイエンドミルの振動、ビビリ等の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】スローアウェイエンドミル、超硬ソリッドエンドミル等は、その用途において突き出し量が径の数倍〜十数倍で使用されるものがある。その用途としては、部品形状による干渉から長い突き出し量を要する場合や軸方向切削を伴う3次元的な加工であり、最も深い部分が加工できる突き出し量で他の加工を行わなければならないため、加工能率が低下してしまう。それに伴い、シャンク部の改良として、実開平5−12002号、特開平8−1425号の様な、その一部を超硬合金のような高いヤング率を有する材料を用いて剛性を高めた例がある。
【0003】長い突き出し量における切削においては、振動、ビビリの様な切削に対する悪影響を減少させるため、切削諸元、例えば切削速度や送り量を調整して振動を減少させるようなことが一般的にトラブルシューテイングとして行われている。このような方法は、切削に伴う抵抗、特に送り分力に対するホルダーの抵抗を調節する事により効果を上げている。しかし、長い突き出し量での切削加工において、防振性に富む材料のみでシャンク部を製作した場合には、剛性が低下するためにかえってビビリを生じやすくなり、マイナスの結果となってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そのためには高剛性を生かしたまま、切削に伴う振動を吸収、あるいは減衰させなければならず、従来より使用されている鋼と超硬合金を組み合わせたホルダーではヤング率が高い超硬により剛性は向上するものの振動等の防止には限度がり、また、一般的に用いられている超硬合金のみからなるホルダーでは、突き出し量が小さい場合には剛性、振動とも満足の行く性能を示すが、突き出し量が大きくなるにつれて、高いヤング率ゆえ、高い周波数の振動を生じやすく、振動により工具性能がいちじるしく落ちる問題があった。
【0005】
【本発明の目的】そのため、本願発明では鋼、超硬の特性を利用し、更に剛性と固有振動数を調整できるような手段を設けることにより、高剛性をたもちつつ、振動を制御する回転切削工具を提供するもので、特に、切削に伴い生ずる振動とホルダーの共振を制御した回転切削工具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の如く、本願発明は円柱状のシャンク部1の1端に切刃を保持する刃体保持部と、工作機械本体に保持されるシャンク部2とから構成された切削工具であって、前記シャンク部1の他の1端には機械的な固着手段を設け、より具体的にはその締め付ける力を制御出来る方式にて固着し、その締め付け力を調整することにより振動を制御するものである。シャンク部1とシャンク部2は各々別の材料を用い、例えば、シャンク部1、刃体保持部には構造用鋼、高強度な鋼、吸振性に優れた材料、13クロムマルテンサイト系ステンレス等を用い、シャンク部2は超硬合金の様な剛性の高い材料が目的に併せて用いられる。
【0007】
【作用】その特性を調整する手段としてシャンク部1に機械的な固着手段、より具体的にはその締め付け力を変化させることが出来るダブルナットを用いることにより、シャンク部1とシャンク部2とを連結し、かつ、シャンク部に加わる負荷を調整出来るようにしたものである。シャンク部1と刃体保持部は一体として設けても、また、別に製作したものを機械的に固定しても良い。シャンク部1の外周には、シャンク部2を固着し、シャンク部2は工作機械本体に保持される部分であるため、剛性の高い超硬合金等の材料を用いる。前記シャンク部1の他の1端は、シャンク部2より数十ミリほど長く設け、機械的な固着手段をシャンク部2に負荷を付与するために設ける。その機械的な固着手段としてはダブルナットを用いる。ダブルナットを用いたのは、切削中の振動等による緩みを防止するためである。以下、限定した理由に付き説明する。
【0008】更に、シャンク部1とシャンク部2の固定は、機械的な固定でも、ロー付け等の接合のような手段でも良い。サイズが小径ではそのスペースが限られているためロー付け等が簡易で十分な接合強度を得られるのでよいが、比較的径が太くなればスペースも十分あり、また、ロー付け等の場合には接合する面積が広くなりすぎるため、機械的な固着が好ましい。また、シャンク部1とシャンク部2は吸振性や剛性を考慮して選択したが、減衰という面からは回転切削工具であるためホルダー本体には用いることはできないが、部分的には吸振材の様なものを、例えば、シャンク部1とシャンク部2の隙間等に用いれば、より振動を吸収することができる。更には、物理蒸着法による皮膜を施すことにより、残留する圧縮応力を付与できる。圧縮応力の程度は皮膜の質や厚さ等により変化させることが出来るので調節することができる。以下、実施例に基づき本願発明を詳細に説明する。
【0009】
【実施例】図1に本発明のホルダーの一部断面図を示す。図1は、刃径42mmの例で、刃体保持部から円柱状のシャンク部1が有り、その外周側に超硬合金製のシャンク部2を設け、刃体保持部とシャンク部1は一体から形成し、刃体保持部とシャンク部2、及びシャンク部1とシャンク部2は共にロー付け部3により固着されている。シャンク部1の他の1端には、ネジが設けて有り、ダブルナット4により締め付けて力を付与する。尚、実施例の刃型として、汎用に供されている丸チップを用いたラジアスボールエンドミル形状のものを使用した。
【0010】次に、実施例1のホルダーを用いて、刃径の4倍の突き出し量(168mm)、ナットの締め付け力20kgfcmで行った。切削諸元は、切削速度100m/min、1刃あたりの送り量0.05mm/刃、軸方向切り込み量5mm、径方向切り込み量2mm、被削材S50C(HB220)で実施した。共振を評価するため、被削材の長さ300mmの間の切削音を騒音計を用いて計測し、切削初期から終了までの切削音の変化(dB)を測定した。尚、比較のため超硬シャンクの同形状のものも同様に試験した。切削初期にはビビリが生じないため静かであるが、ある程度切削していくと共振のため音が大きく、高い音が生ずるようになりビビリが生じてくる。そのまま切削を継続すると切れ刃がチッピングしたり、チップの欠損を生じたりして更に大きな高い音となっていく。その様子を図2に示す。図2より、本発明例では切削初期から若干大きくなるものの安定した切削が得られたのに対し、鋼シャンクのものは振動が大きくなり切削が出来ない状態であり、超硬シャンクのものはビビリ特有の「キーン」という高い音が発生したためdB値が大きくなった。
【0012】次に、送り量を変化させて、より切削時の負荷が加わるようにして切削を行った。その結果を図3に示す。本実施例の締め付け力20kgfcmでは、0.1mm/刃、0.15mm/刃の送りで共振がやや大きくなるものの何とか使用できる状態であるが、0.2mm/刃では共振が大きくなり切削を中途で停止せざるを得ない状態であった。同じ送り量で、ナットの締め付け力を30kgfcm、40kgfcm、50kgfcm、70kgfcmとして調整することにより、共振は減少し、図3に示すように負荷を加えるほど安定した状態で切削が行える。
【0013】
【発明の効果】本願発明を適用することにより、高剛性で、突き出し量が大きい場合にビビリ難く、切削性能、振動とも満足の行く性能が得られた。また、超硬部分を円柱状とすることより重量も低減でき、加工も容易となる。更には、3次元加工等に用いられる場合には干渉に伴い生ずる大きな突き出し量でも送りを高く設定することができ、高能率な加工を行うことが出来る。




 

 


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