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発明の名称 固体酸触媒及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−296088
公開日 平成10年(1998)11月10日
出願番号 特願平9−111611
出願日 平成9年(1997)4月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北川 治
発明者 稲垣 伸二 / 福嶋 喜章 / 杉岡 正敏
要約 目的
比較的分子径の大きな反応物に適用できるメソポーラスモレキュラーシ−ブの構造と、活性な固体酸性とを有する固体酸触媒の提供。

構成
細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径が 1.4〜10nmの範囲にあって、かつ細孔径が均一に揃った多孔体と、該多孔体の細孔中に配置された金属硫黄化合物とからなる固体酸触媒。前記多孔体に金属イオンを導入した後、これを金属硫黄化合物とする固体酸触媒の製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】 多数の細孔を有し、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径が 1.4〜10nmの範囲にあり、かつ該細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径の±40%の細孔範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる多孔体と、該多孔体中に配置された金属硫黄化合物と、を有することを特徴とする固体酸触媒。
【請求項2】 多数の細孔を有し、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径が 1.4〜10nmの範囲にあり、かつX線回折パターンにおいて、d=1nm以上に相当する回折角度に1本以上のピークを有する多孔体と、該多孔体中に配置された金属硫黄化合物と、を有することを特徴とする固体酸触媒。
【請求項3】 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の多孔体に金属イオンを導入した後、これを硫黄化合物ガスと接触させるか、あるいはこれを硫黄化合物ガスと接触させると共に次いで一定の酸化を起こさせ、前記多孔体の細孔中に金属硫黄化合物を配置させることを特徴とする固体酸触媒の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の工業触媒反応、特に重質油からの高オクタン価ガソリン合成や、医薬品、機能性有機化合物等の合成等、反応物や生成物の分子径が比較的大きい反応に有効な固体酸触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】工業的に重要な触媒反応として、例えば無水フタル酸、アントラキノン、芳香族ニトリル等の合成のための気相部分酸化反応、シクロヘキサノール、高級アルコール、芳香族アルデヒド、フェノール、含窒素化合物、含硫黄化合物等の合成のための液相部分酸化反応、芳香族化合物のアルキル化反応、芳香族化合物のアルキル異性化反応、オレフィンの低重合反応による重合ガソリン、ポリマー用モノマー、テルペン類の合成、メタノール、メタン、合成ガスからのガソリンの合成、重質油等の石油のクラッキングによるガソリン合成、自動車排ガス浄化反応等がある。
【0003】これらの触媒反応において、特に最近は、重質油のクラッキングや、分岐炭化水素を含む高オクタン価ガソリン合成、あるいは高機能性有機化合物の合成等のように、反応物あるいは生成物の分子径が大きくなる傾向にある。
【0004】そしてこれらの触媒反応には、従来、均一系触媒の他に、ゼオライト、アルミナ、シリカゲルや複合酸化物触媒、さらにそれらの酸化物に活性な金属や金属酸化物を担持した触媒が用いられている。特にゼオライトは、その細孔径がある程度均一(不十分ではあるが)であることから、反応物や生成物に選択性が発現されることが期待されている。
【0005】しかしながら、ゼオライトの細孔径は最も大きなものでも 1.3nmであるため、分子径が大きい反応物については、細孔の内部への拡散が困難なため活性が十分に発現されなかったり、細孔径より大きい分子径の生成物が生成し難いという問題があった。一方、アルミナやシリカゲルはゼオライトより大きな細孔径を持つものもあるが、細孔径が非常に不均一であるため、選択性が十分に発現されないと言う問題があった。
【0006】最近、ゼオライトよりも細孔径が大きく( 1.5〜10nm)、しかも細孔径が均一に揃った新規多孔物質であるメソポーラスモレキュラーシーブが合成された。このメソポーラスモレキュラーシーブは、SiO2 にAl,Ti,V等の異元素が導入された組成をしていることから固体酸性を有する(特開平8−67578号公報)が、少なくとも上記の諸反応に対しては、触媒活性が不十分であると言う問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、十分に大きい細孔径と、均一に揃った細孔径分布とを有し、しかも多様な触媒反応に対して活性な固体酸性のある固体酸触媒を提供することを、その解決すべき技術的課題とする。
【0008】
【着眼点】本件発明者は、元々一定の固体酸性を持つメソポーラスモレキュラーシーブにおいて、その酸点の近傍に金属硫化物等の金属硫黄化合物を配置することにより、その固体酸性を触媒として極めて効果的な性質に変化させ得る、と考えた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、多数の細孔を有し、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径が 1.4〜10nmの範囲にあり、かつ該細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径の±40%の細孔範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる多孔体と、該多孔体中に配置された金属硫黄化合物と、を有する固体酸触媒である。
【0010】(第2発明の構成)上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、多数の細孔を有し、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径が 1.4〜10nmの範囲にあり、かつX線回折パターンにおいて、d=1nm以上に相当する回折角度に1本以上のピークを有する多孔体と、該多孔体中に配置された金属硫黄化合物と、を有する固体酸触媒である。
【0011】(第3発明の構成)上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に記載した多孔体に金属イオンを導入した後、これを硫黄化合物ガスと接触させるか、あるいはこれを硫黄化合物ガスと接触させると共に次いで一定の酸化を起こさせ、前記多孔体の細孔中に金属硫黄化合物を配置させる固体酸触媒の製造方法である。
【0012】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)第1発明においては、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径が1.4〜10nmの範囲にあるため、これらの細孔直径と合致したサイズの比較的大きな分子径を持った反応物や生成物に関わる反応を触媒することができる。
【0013】従って、細孔径が最大でも 1.3nm程度であるゼオライト等とは異なり、重質油のクラッキングや、分岐炭化水素を含む高オクタン価ガソリン合成、あるいは高機能性有機化合物の合成のように、反応物あるいは生成物の分子径が大きい触媒反応にも、有効に利用することができる。
【0014】次に、第1発明においては、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径の±40%の細孔範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる。このことは、多孔体の細孔の均一度が、現実問題として極めて高いことを意味している。
【0015】そのため、本発明の多孔体はメソポーラスモレキュラーシーブとしての機能を十分に発揮し、触媒反応の反応物や生成物に対する高い選択性を発現する。この作用は、例えば多成分系ガスに対する選択的触媒反応を行う際にも極めて有効である。
【0016】更に、第1発明においては、多孔体中に金属硫黄化合物が配置されているため、多孔体が元々持っているブレンシュテッド酸あるいはルイス酸であると言う化学構造に基づく固体酸性のみでは不十分であった触媒活性が、金属硫黄化合物からの電子的作用により強調されるために、有効かつ十分に発現される。
【0017】(第2発明の作用・効果)第2発明においては、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径が1.4〜10nmの範囲にある。又、多孔体中に金属硫黄化合物が配置されている。よってこれらの点に関する第1発明の作用・効果と同様の作用・効果を奏する。
【0018】次に、第2発明においては、多孔体のX線回折パターンにおいて、d=1nm以上に相当する回折角度に1本以上のピークを有する。このことは、本発明の多孔体が、上記した細孔を1nm以上の間隔で規則的に配列させた構造を持っていることを示している。即ち、構造の規則性とこれを反映した細孔径の均一性とを意味している。
【0019】この結果、細孔径が均一であることによる第1発明の作用・効果と同様の作用・効果を奏する。
【0020】(第3発明の作用・効果)第3発明によって、第1発明又は第2発明の固体酸触媒を効果的に製造することができる。そして、硫黄化合物ガスの種類の選択あるいは金属イオンとの接触時の雰囲気の制御により、金属硫黄化合物の種類を、希望する任意のものに設定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、第1発明〜第3発明の実施の形態について説明する。
【0022】第1発明〜第3発明において、多孔体自体の構成及び多孔体の合成方法は、発明の構成の主要部ではなく、かつ、特開平8−67578号公報等に開示されている処であるが、その要点をここにあらためて記載する。
【0023】〔1.多孔体〕本発明で利用する多孔体としては、例えば、層状シリケートに界面活性剤を作用させて合成したメソ多孔体(T. Yanagisawa et al.,Bull.Chem.Soc.,Jpn.,63,988-992 (1990))を利用できる。このメソ多孔体は、図9に示すように、周期的に湾曲したシリケートシートが凸部で上下結合した構造をしており、そのシートの隙間には均一に揃った細孔が無数に存在する。
【0024】上記メソ多孔体の細孔直径は、1〜10nmの範囲にある一定の径を中心にして狭い範囲に分布している。このメソ多孔体のX線回折パターンは、2nm以上のd値を持つ位置に、最大の強度を持つ回折ピークを含め、少なくとも1本以上のピークが観察された。また、その中のあるものは、六方構造を示す2〜4本の回折ピークが見られ、その電子顕微鏡写真には、蜂の巣状に配列した細孔が観察された(S. Inagaki et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,NO8,680-682(1993))。
【0025】本発明で利用する他の多孔体として、界面活性剤のミセル構造を鋳型として合成されたメソポーラスモレキュラーシーブ(M41S)がある(C.T.Cresge et al.,Nature,359,710-712(1992))。
【0026】このM41Sは、直径1〜10nmの細孔が規則的に配列した構造をしており、その細孔径はやはり狭い範囲に分布している。前記の層状シリケートから合成したメソ多孔体と同様に、蜂の巣状の断面を呈した六方構造の多孔体(MCM−41)もあるが、層状シリケートから合成したものとは細孔壁内の構造が異なる。
【0027】M41SのX線回折パターンは、2nm以上のd値を持つ位置に、最大の強度を持つ回折ピークを含め、少なくとも1本以上のピークが観察される。
【0028】従来からあるシリカ多孔体、例えばシリカゲルのX線回折パターンには、明瞭な回折パターンは観察されない。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が材料中にあることを意味する。このことから、シリカゲルには少なくともd=0.15-12 nm(0.7 <2Θ<60°に相当)の周期構造がない、つまり非晶質であることを示している。
【0029】それに対し本発明の多孔体は、前記のように、2nm 以上のd値に、最大の強度を持つピークを含む1本以上のピークが存在し、周期構造を有している。具体的にはこれらのピークは直径が1〜10nmの細孔が2nm以上の間隔で規則的に配列した構造を反映したものである。その結果、従来のシリカゲルの構造が不規則であるため構造中の細孔の径も不均一であるのに対し、本発明の多孔体は構造の規則性を反映して細孔が均一であることになる。
【0030】本発明の多孔体の使用形態としては、粉末状、顆粒状で用いたり、あるいはハニカム担体にコートして用いても良い。顆粒状にする方法としては、圧粉する方法、液体と混合して乾燥させる方法等があるが、特に限定しない。顆粒状にしたり、ハニカム担体にコートする場合には、適当なバインダを利用しても良い。
【0031】これら酸化物の多孔体の化学組成については、シリカのみからなるものでも良いが、これにアルミニウム、チタニウム、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素等が混ざったものでも良い。
【0032】〔2.多孔体の合成〕次に、層状シリケートから本発明の多孔体を合成する方法について述べる。
【0033】(2.−1.層状シリケートと界面活性剤)層状シリケートとしては、例えばカネマイト(NaHSi2O5・3H2O )が好ましい。また、他の層状シリケートとしてジケイ酸ナトリウム結晶(α,β,γ,δ-Na2Si205)、マカタイト(Na2Si409・5H2O)、アイアライト(Na2Si8017・xH2O)、マガディアイト(Na2Si14029・xH2O )、ケニヤイト(Na2Si20041・xH2O )等が代表的である。
【0034】更にその他の層状シリケートとして、例えばセピオライトのような粘土鉱物を酸の水溶液で処理して、二酸化珪素以外の元素を除去した層状シリケートを使用することもできる。粘土鉱物としては、セピオライト以外にモンモリロナイト、バーミキュライト、雲母、カオリナイト、スメクタイトが代表的であるが、これらに限定されない。
【0035】多孔体の合成に使用する界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム、ジメチルジアルキルアンモニウム、アルキルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等の塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物等が挙げられる。
【0036】(2.−2.層状シリケートからの多孔体の合成)層状シリケートからの多孔体の合成法としては、まず、界面活性剤を溶解させた溶媒に層状シリケートを分散させる。ここで溶媒としては水が好ましいが、水−アルコール混合溶液やその他の溶媒でも良い。界面活性剤水溶液の濃度は0.05〜1モルが好ましい。層状シリケートの分散量は、 0.1モルの界面活性剤水溶液1000mlに対し、例えばカネマイト 5〜200gの割合が好ましい。
【0037】この分散溶液を30〜150 °Cで加熱する。加熱時間は1〜24時間が好ましく、かつ、その間は分散溶液を攪拌する方が好ましい。そして、この間における分散溶液のpHは、第一工程として初めの1〜5時間を10以上とし、第二工程として残りの時間(最低1時間以上)は10以下とすることが好ましい。第一工程に関し、例えばカネマイトを用いる場合は、これがアルカリ性であるので、分散溶液のpHは自然に10以上になる。pHが10以上にならない場合は、水酸化ナトリウム等を添加してpHを10以上にする。
【0038】その後、第二工程として、塩酸等の酸を添加し、分散溶液のpHを10以下とする。この際、好ましくはpHを8.5 まで下げる。このような第一、第二工程のpH制御は、結晶性及び耐熱性の特に優れた多孔体を得るためである。
【0039】以上の加熱工程の後、分散溶液中の固形生成物を濾過して回収する。回収した固形生成物を脱イオン水等で繰り返し洗浄することにより、耐熱性の高い多孔体を得ることができる。この固形生成物を乾燥した後、 550°C以上の温度で焼成するか、あるいは塩酸/エタノール混合溶液で処理することにより、結晶中に取り込まれた界面活性剤が除去され、本発明の多孔体を生成する。上記の焼成においては、空気、酸素、窒素等の雰囲気で、1時間以上加熱するのが好ましい。又、塩酸/エタノール混合溶液は、他の酸/有機溶媒の組合せであっても良い。
【0040】なお、層状シリケートからの多孔体の合成法において、出発物質として層状シリケートの替わりに水ガラス、粉末ケイ酸ソーダ、Siアルコキシド、シリカ等を用いる方法も可能である。
【0041】(2.−3.多孔体へのSi以外の元素の添加法)多孔体にSi以外の元素を添加する方法としては、原料の層状シリケート中に予めSi以外の元素をを組み込む方法と、上記の多孔体の合成過程で添加する方法とがある。
【0042】前者の方法としては、水ガラス等の珪酸溶液にSi以外の元素の塩を溶解させ、乾燥後、焼成して層状シリケートを生成させる方法がある。添加した元素の多くは層状シリケートのSiO4骨格中に組み込まれているため、最終的に生成する多孔体のSiO4骨格中にも組み込まれることとなる。そのため、固体酸性等の触媒的に活性な特性が発現される。
【0043】後者の方法としては、例えば、層状シリケートを界面活性剤の溶液中で加熱して生成した、界面活性剤を含む前駆体に、Si以外の元素の塩の水溶液を含浸した後、焼成する方法がある。この方法では、添加元素が比較的多孔体の表面に付着するため、添加した元素の特性がそのまま発現される。
【0044】〔3.多孔体の細孔径分布の測定法〕多孔体についての細孔径分布曲線は、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線を言う。細孔径分布曲線は、例えば以下に示す気体吸着法により作成される。この方法において最もよく用いられる気体は窒素である。
【0045】まず、吸着剤を液体窒素温度(-196°C)に冷却して、窒素ガスを導入し、その吸着量を定容量法あるいは重量法で求める。導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットすることにより、例えば図3に示すような吸着等温線を作成する。そしてこの吸着等温線から、例えばCranston-Inklay 法、Pollimore-Heal法の計算法を用いて、上記細孔径分布を求めるのである。
【0046】本発明の多孔体は、この細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径の±40%の細孔範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる。このことは、次のように説明できる。例えば図5の FSM/16 の細孔径分布曲線における最大のピークが2.8nm とすると、細孔直径が 1.62 〜3.78nmの範囲にある細孔の容積の総計が、全細孔容積の60%以上を占めていると言うことである。具体的には、細孔径分布曲線における細孔直径が 1.62 〜3.78nmの範囲の積分値が、曲線の全積分値の60%以上を占めていると言うことである。図5の FSM/16 のピークの面積はこの範囲にあることを示している。
【0047】〔4.固体酸触媒〕次に固体酸触媒の構成及び固体酸触媒の製造方法について説明する。
【0048】(4.−1.固体酸触媒の構成)本発明の固体酸触媒は、多孔体中に、より本質的には多孔体の細孔中に、金属硫黄化合物が配置された構成となっている。
【0049】ここに「金属」とは、その種類を限定されないが、その硫黄化合物が酸性を効果的に発現する、と言う理由から、特に銀、カドミウム、銅、ニッケルの少なくとも1種であることが好ましい。
【0050】「金属硫黄化合物」についても、その種類は限定されない。例えば、金属硫化物の他に、金属亜硫酸塩、金属亜硫酸水素塩、金属ピロ亜硫酸塩、金属ヒドロ亜硫酸塩、金属チオ硫酸塩、金属硫酸水素塩等を有効に利用できる可能性がある。但し、酸性を効果的に発現すると言う理由から、特に金属硫化物が好ましい。
【0051】以上の点から、特許請求の範囲には記載していないが、本願の第4発明として、「第1発明又は第2発明における前記金属硫黄化合物が銀、カドミウム、銅、ニッケルの硫化物の少なくとも1種である固体酸触媒」と言う構成の発明が考えられる。かかる第4発明の作用・効果として、第1発明又は第2発明における前記金属硫黄化合物が銀、カドミウム、銅、ニッケルの硫化物の少なくとも1種であるため、金属の選択においても、硫化物と言う最も還元された化合物形態である点からも、固体酸点の強調効果が非常に顕著であり、よって固体酸触媒としての活性が特に有利に発現される。
【0052】「配置」とは、金属硫黄化合物が、多孔体、特にその細孔中に、何らかの状態で位置していることを言う。即ち、単に細孔中に結合せずに位置している状態、ファンデルワールス力により細孔中に固定されている状態、細孔壁部と任意の化学的結合を形成している状態等のいずれをも含む概念である。
【0053】配置された硫黄化合物の量についても特に限定がないが、酸性を効果的に発現する、と言う理由から、多孔体の重量に対して1%〜20%であることが好ましい。
【0054】(4.−2.固体酸触媒の製造方法)本発明の固体酸触媒の製造に当たり、まず、多孔体、特にその細孔中に金属イオンを導入する。その方法としては、例えば、多孔体を金属の硝酸塩の水溶液中に浸漬し、攪拌した後に多孔体を濾過、乾燥する方法がある。その際、金属の硝酸塩の替わりに塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等を用いても良い。又、濾過をせず、加熱することにより水分を蒸発させても良い。
【0055】次に、金属イオンを導入した多孔体を硫黄化合物ガス、例えば硫化水素ガスと接触させる。その方法としては、金属イオンを導入した多孔体を真空容器に入れ真空排気を行った後に、硫化水素ガスを真空容器に導入する方法がある。真空排気及び硫化水素ガスとの接触時は、加熱すると、硫化水素と金属との反応が速やかに進行するので好ましい。硫化水素ガスと一定時間接触させた後は、余分の硫化水素ガスを除去するため、容器を真空排気することが好ましい。
【0056】金属イオンを導入した多孔体を硫黄化合物ガス、例えば硫化水素ガスと接触させる他の方法としては、多孔体を流通管に入れ、硫化水素ガスを含むキャリアガスを流通させる方法がある。この場合、予め硫化水素ガスを含まないキャリアガスを流して、多孔体を乾燥させておくのが好ましい。そして、多孔体の乾燥及び硫化水素ガスとの接触は加熱下で行うのが好ましい。
【0057】これらの操作において、硫黄化合物ガスとして硫化水素ガスに替わり他の酸化態のもの、例えば亜硫酸ガス等を用いても良く、それらの際にも基本的には同様の操作が行われる。
【0058】そして、金属イオンに接触させる硫黄化合物ガスが還元態の硫化水素ガスであれば、金属硫黄化合物として金属硫化物を生成し、硫黄化合物ガスが酸化態の亜硫酸ガス等であれば、そのガスの種類に応じて金属亜硫酸塩、金属亜硫酸水素塩、金属チオ硫酸塩等を生成する。又、硫化水素ガスを用いて金属硫化物を生成させた後、特に希望するならば、更に酸素ガス等との接触により、あるいは金属硫化物を例えば高温多湿の空気中にあえて放置することにより、金属硫化物を前記したようなより酸化態の金属硫黄化合物に変えることも可能である。通常の状態においては多孔体中の金属硫化物は安定であるが、特にその酸化を厳密に防止したい場合には、不活性ガス中に保存する等の措置を採って置くことができる。
【0059】〔5.固体酸触媒の用途〕本発明の固体酸触媒は、通常の固体酸触媒が用いられる触媒反応の全般に利用可能である。
【0060】特に、本発明の固体酸触媒が無機触媒であるにも関わらず、その多孔体が、水分子が固定されるミクロ孔を有しないと言う構造的特徴を持つために、細孔内表面も含めて表面が疏水的であり、有機化合物の触媒反応に非常に有効である。
【0061】そのような触媒反応の一部の例として、無水フタル酸、アントラキノン、芳香族ニトリル等の合成のための気相部分酸化反応、シクロヘキサノール、高級アルコール、芳香族アルデヒド、フェノール、含窒素化合物、含硫黄化合物等の合成のための液相部分酸化反応、芳香族化合物のアルキル化反応、芳香族化合物のアルキル異性化反応、オレフィンの低重合反応による重合ガソリン、ポリマー用モノマー、テルペン類の合成、メタノール、メタン、合成ガスからのガソリンの合成反応、重質油等の石油のクラッキングによるガソリン合成、自動車排ガス浄化反応等を挙げることができる。
【0062】更に前記したように、本発明の固体酸触媒の細孔径における特徴から、重質油のクラッキングや、分岐炭化水素を含む高オクタン価ガソリン合成、あるいは高機能性有機化合物の合成のように、反応物あるいは生成物の分子径が大きい有機化合物の触媒反応にとりわけ有効である。
【0063】また、本発明の固体酸触媒はその細孔中に金属硫黄化合物、好ましくは金属硫化物を配置しているので、石油の脱硫や各種の異性化反応と言った触媒反応に特に適している。
【0064】
【実施例】次に、第1発明〜第4発明の実施例について説明する。
【0065】〔実施例1:多孔体の製造−その1〕日本化学工業(株)製の粉末ケイ酸ソーダ(SiO2/Na2O=2.00)を 700°Cで6時間、空気中で焼成し、ジケイ酸ソーダ(δ- Na2Si2O5)に結晶化させた。この結晶50gを 500ccの水に分散させ、3時間攪拌した。その後、濾過により固形分を回収してカネマイト結晶を得た。
【0066】このカネマイトを乾燥させることなく、乾燥重量換算で50g分を、0.1 モルのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C16H33N(CH3)3Cl)水溶液1000mlに分散させ、70°Cで3時間攪拌しながら加熱した。加熱初期の分散液のpHは12.3であった。その後70°Cで加熱、攪拌しながら、2規定の塩酸を添加して、分散液のpHを 8.5に下げた。
【0067】それから更に70°Cで3時間加熱してから室温まで放冷した。固形生成物を一旦濾過し、1000mlのイオン交換水に分散させ攪拌した。この濾過及び分散攪拌を5回繰り返してから60°Cで24時間乾燥した。そしてこの試料を、窒素ガス中で450°Cで3時間加熱した後、空気中 550°Cで6時間焼成することによって、メソポーラスモレキュラーシーブである多孔体を得た。この多孔体を、前記ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドにおける長鎖アルキル部分の炭素鎖長(炭素数16個)に因んで、FSM/16と呼ぶ。
【0068】上記と同じ操作で、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに替え、その長鎖アルキル部分の炭素鎖長が14であるアルキルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた実施例、長鎖アルキル部分の炭素鎖長がそれぞれ 8,10,12であるアルキルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いた実施例を行い、それぞれメソポーラスモレキュラーシーブである多孔体を得た。これらの多孔体についても、前記FSM/16と同じ命名法に従い、上記の記載順に、FSM/14、FSM/8 、FSM/10、FSM/12と呼ぶ。
【0069】〔実施例2:多孔体の製造−その2〕前記したFSM/16の製造例において、0.1 モルのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに加え、メシチレン(C6H3(CH3)3) をそれぞれ下記の所定量添加し、その他の点は同一である実施例を行い、メソポーラスモレキュラーシーブである多孔体を得た。メシチレンの添加量が0.05モルであった実施例の多孔体をFSM/M05 、メシチレンの添加量が 0.1モルであった実施例の多孔体をFSM/M10 、メシチレンの添加量が 0.2モルであった実施例の多孔体をFSM/M20 とそれぞれ呼ぶ。
【0070】〔実施例3:多孔体の製造−その3〕無定型ケイ酸ソーダ(日本化学工業製:粉末ケイ酸ソーダSiO2/Na2O =2.00)50gを、0.1 モルのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液1000mlに分散させ、70°Cで3時間攪拌しながら加熱した。その後、2規定の塩酸水溶液を滴下することにより分散液のpHを 8.5に調整した。それから更に70°Cで3時間加熱してから、室温まで冷却した。そして固形生成物を濾過し、1000mlのイオン交換水に分散させてから約5分間攪拌して再び濾過を行った。この分散と濾過の操作を5回繰り返してから、生成物を乾燥した後、 550°Cで焼成してメソポーラスモレキュラーシーブである多孔体を得た。これをFSM/16P と呼ぶ。
【0071】一方、上記実施例における無定型ケイ酸ソーダ50gに替え、上記粉末ケイ酸ソーダを 700°Cで6時間空気中で焼成して得たδ-Na2Si2O5を50g用い、その他の点は上記実施例と同一である実施例を行って、メソポーラスモレキュラーシーブである多孔体を得た。これをFSM/16D と呼ぶ。
【0072】〔実施例4:多孔体のX線回折及び細孔径分布曲線〕上記各実施例に係る多孔体の粉末X線回折パターンを測定し、また、細孔径分布曲線を求めた。
【0073】(多孔体のX線回折)X線回折は理学RAD-B 装置を用い、CuKαを線源として2度(2Θ)/分でスキャンした。スリット幅は、1度- 0.3mm-1度である。測定結果を図1と図2に示す。図1と図2の回折パターンに見られるように、回折角度(2Θ)が10°以下に数本のピークが観察された。ピークの回折角度をd値に変換した値を表1に示した。
【0074】
【表1】

【0075】FSM/12、FSM/14、FSM/16、FSM/M05 、FSM/16P 、FSM/16D については、d=1nm以上のd値を持つピークが3〜4本観察され、これらのピークは六方構造に指数付けされた。一方、FSM/8 、FSM/10、FSM/M10 については、d=1nm以上のd値を持つピークが1〜2本観察された。また、FSM/M20 については、d=1nm以上のd値を持つ明瞭なピークが見られなかった。これらのX線回折パターンの結果から、FSM/M20 を除くこれら多孔体は規則的な周期構造を持っていることが示される。
【0076】(多孔体の細孔径分布曲線)多孔体の細孔径分布曲線を窒素吸着等温線から求めた。窒素吸着等温線は以下のように測定した。
【0077】装置は、ガラス製の真空ラインに圧力センサー(MKS,Baratron 127AA, レンジ1000mmHg)及びコントロールバルブ(MKS,248A)2個が接続されたものを用い、窒素ガスの真空ラインへの導入及びサンプル管への導入が自動で行えるようになっている。前記各実施例に係る多孔体のサンプル約40mgをガラス製のサンプル管に入れ、真空ラインに接続して、室温で約2時間真空脱気した。到達真空度は、10-4mmHgであった。
【0078】次いでサンプル管に液体窒素を浸漬し、真空ライン部に所定圧の窒素ガスを導入した。圧力が安定した後、サンプル管のコントロールバルブを開き、圧力が一定になった後平衡圧を記録した。平衡圧が0〜760mmHg の範囲で16〜18点同じ操作を繰り返した。平衡までの時間は圧力により変化するが、20分から60分の範囲であった。
【0079】この平衡圧と圧力変化から求めた吸着量をプロットすることにより、サンプルである多孔体の窒素吸着等温線を作成した。その結果を図3及び図4に示す。これらの窒素吸着等温線から、Cranston-Inklay 法により、細孔径分布曲線を求めた。その結果を図5と図6に示す。
【0080】更に、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径(中心細孔直径と呼ぶ)、全細孔容積、及び中心細孔直径の±40%の細孔径範囲に含まれる細孔容積の全細孔容積に対する割合(±40%細孔率)を表2に示す。表2から分かるように、各実施例の多孔体は中心細孔直径が1〜10nmの範囲にあり、かつ、±40%細孔率が60%以上である。
【0081】
【表2】

【0082】一方、比較サンプルとしてのシリカゲル(市販A型)、ゼオライト( ZSM-5)の窒素吸着等温線と細孔径分布曲線をそれぞれ図7と図8に示し、かつ、中心細孔直径、全細孔容積、及び±40%細孔率を表2に示した。
【0083】シリカゲルは中心細孔直径が 1.4〜10nmの範囲にあるが、±40%細孔率が60%未満であり、細孔径分布がブロードであった。また、ゼオライトは、±40%細孔率が60%以上であるが、中心細孔直径が 0.5nmであり、小さすぎた。
【0084】〔実施例5:固体酸触媒の調製〕FSM/16を用いて固体酸触媒の調製を行った。FSM/16への金属イオンの導入は、金属の硝酸塩水溶液にFSM/16を浸漬し、次いで濾過、乾燥することにより行った。金属の硝酸塩水溶液の濃度は0.1mol/リットルで、100 mlの硝酸塩水溶液に対し約1gのFSM/16を浸漬した。硝酸塩として用いた金属の種類は、Ag,Cd,Cu,Niであり、各々の場合に得られた金属イオン導入多孔体を、その使用金属の種類に基づいて、それぞれ硫化水素処理前におけるAg/FSM,Cd/FSM,Cu/FSM,Ni/FSM と呼ぶ。
【0085】次にこれらの金属イオン導入多孔体を、閉鎖循環系触媒評価装置の触媒層部にセットし、 500°Cで2時間、真空脱気処理を行った。その後、金属イオン導入多孔体の温度を 200°Cに設定してから、40torrの硫化水素ガスを触媒層部に導入して金属イオン導入多孔体に1時間接触させ、更に 200°Cで 0.5時間真空脱気して、金属硫化物を配置した固体酸触媒を製造した。これらの固体酸触媒を、それぞれ硫化水素処理後におけるAg/FSM,Cd/FSM,Cu/FSM,Ni/FSM と呼ぶ。
【0086】〔実施例6:触媒評価〕本発明の実施例である上記 Ag/FSM,Cd/FSM,Cu/FSM,Ni/FSM、及び比較例としての上記シリカゲル及びゼオライトについて触媒評価を行った。
【0087】(本発明の実施例の触媒評価)本発明の実施例の触媒評価は、硫化水素処理前のものと硫化水素処理後のものとにつき、閉鎖循環系触媒評価装置内で行った。触媒評価に用いた反応は、1-ブテン、シス-2- ブテン、シクロプロパンの各異性化反応である。その反応温度及び使用触媒量は、1-ブテンについては25°C及び50mg、シス-2- ブテンについては75°C及び35mg、シクロプロパンについては 150°C及び35mgで行った。
【0088】評価結果を、1-ブテンについては表3に、シス-2- ブテンについては表4に、シクロプロパンについては表5に、それぞれ示す。
【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】(比較例1の触媒とその評価)比較例1として、Agを導入したシリカゲル及びゼオライトを調製した。ゼオライトとしてはNaA,NaX,NaY,Naモルデナイト及び NaZSM-5の5種類を用いた。
【0093】これらのシリカゲル及びゼオライトへのAgの導入は、上記本発明の実施例の場合と同様の方法で行った。即ち、0.1mol/リットルの硝酸銀水溶液 100mlに、約1gのシリカゲルあるいはゼオライトを浸漬した。その後、固形分を濾過、乾燥し、Agが導入されたシリカゲルあるいはゼオライトを得た。これらの比較例触媒を、使用材料の種類に基づき、それぞれ、硫化水素処理前におけるAg/Si02,Ag/NaA,Ag/NaX,Ag/NaY,Ag/Na モルデナイト及び Ag/NaZSM-5 と呼ぶ。そしてこれらについて、上記本発明の実施例の場合と同様に、硫化水素処理を行って硫化銀を含む触媒を得た。これらの比較例触媒を、硫化水素処理後におけるAg/Si02,Ag/NaA,Ag/NaX,Ag/NaY,Ag/Na モルデナイト及び,Ag/NaZSM-5 と呼ぶ。
【0094】これらの、硫化水素処理前と硫化水素処理後の比較例1の触媒について、上記本発明の実施例の場合と同様に、1-ブテン、シス-2- ブテン、シクロプロパンの各異性化反応を行って評価した。その結果を表3〜表5に示す。
【0095】(比較例2の触媒とその評価)比較例2として、プロトンを導入したゼオライトを調製した。用いたゼオライトは前記NaY,Naモルデナイト及び NaZSM-5の3種類であり、NaY は 0.2mol/リッターの NH4Cl 水溶液に浸漬し、Naモルデナイト及び NaZSM-5は 0.1mol/リッターの HCl水溶液に浸漬した。
【0096】そしてそれぞれ 110°Cで一夜乾燥し、 500°Cで4時間空気中で焼成した。得られたプロトン導入ゼオライトは硫化水素処理を行わず、そのまま上記本発明の実施例の場合と同様に、1-ブテン、シス-2- ブテン、シクロプロパンの各異性化反応を行って評価した。その結果を表3〜表5に示す。なお本比較例の触媒について、 NaYを用いたものはHYと、Naモルデナイトを用いたものは Hモルデナイトと、 NaZSM-5を用いたものはHZSM-5と、それぞれ呼ぶ。
【0097】(触媒評価結果の説明)表3は1-ブテンの異性化反応の評価結果を示す。同表中の活性(%/g・min )とは、触媒反応の開始から1分後の1-ブテンの転化率であり、又、シス/トランス比とは、生成した2-ブテンのシス体とトランス体の比のことである。
【0098】硫化水素処理前におけるAg/FSM,Cd/FSM,Cu/FSM,Ni/FSM もある程度の活性を示すが、硫化水素処理後におけるこれら(本発明の固体酸触媒)は全体として更に活性が向上している。
【0099】比較例2の各ゼオライト系触媒については、硫化水素処理前のものは活性がほとんどゼロであったが、硫化水素処理後のものは概して活性が高かった。
【0100】一方、生成物のシス/トランス比は、比較例1,2のゼオライト系よりも本発明の実施例の方が高い(シス-2- ブテンを生成し易い)傾向が見られた。この理由は、シス-2- ブテンの方がトランス-2- ブテンよりも嵩高い分子であるため、細孔径の大きい本発明の実施例触媒でシス-2- ブテンが生成し易く、細孔径の小さいゼオライト系触媒ではその生成が阻害されたと考えられる。
【0101】表4はシス-2- ブテンの異性化反応の評価結果を示す。同表中の活性(%/g・min )とは、触媒反応の開始から1分後のシス-2- ブテンの転化率であり、又、トランス/1比とは、生成物中のトランス-2- ブテンと1-ブテンの比のことである。又、同表中、触媒について「硫化」とあるのは、硫化水素処理後のものであることを示す。
【0102】本発明の固体酸触媒は比較例1,2のゼオライト系触媒よりも全体的に活性が高かった。この理由は、シス-2- ブテンが嵩高い分子であるため、細孔径の大きい本発明の固体酸触媒の方が反応し易かったためと考えられる。
【0103】表5はシクロプロパンの異性化反応の評価結果を示す。同表中の活性(%/g・min )とは、硫化水素処理前と硫化水素処理後の触媒について、触媒反応の開始から1分後のシクロプロパンの転化率である。
【0104】本発明の実施例触媒は比較例1,2のゼオライト系触媒よりも全体的に活性が低かった。シクロプロパンの異性化反応は、一般に強酸点を有する触媒上で進行するとされている。従って上記の結果は、ゼオライト系触媒は強酸点を多く持つが、本発明の実施例触媒は強酸点をあまり持たないためであると考えられる。このことは、本発明の実施例触媒が比較的弱い酸点で進行する反応に適することを示している。そして、一般に強酸点はコーク生成による触媒失活の原因になることが多く、本発明の実施例触媒はそのような原因による失活が少ない触媒であると考えられる。




 

 


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