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発明の名称 ハイブリッド層状高分子材料
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−264291
公開日 平成10年(1998)10月6日
出願番号 特願平9−94839
出願日 平成9年(1997)3月27日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
発明者 矢野 一久 / 岡本 一夫 / 福嶋 喜章 / 谷 昌明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくともアルコキシ基と有機基とを有するオルガノアルコキシシランのアルコキシ基の加水分解・脱水結合により形成された有機構造層と、 Ca、Y、Ga、In、Tl、Sb、Rh、Ru、Pd、Sn、Pb、Zn、Ceから選ばれた少なくとも1種の金属原子を中心とする無機結晶構造層とが、 互いに共有結合により層状に結合されていることを特徴とするハイブリッド層状高分子材料。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機材料層と有機材料層とにより構成されるハイブリッド層状高分子材料に関し、さらに詳しくは、コート材、樹脂へのフィラー材あるいは種々の機能性材料等への利用が可能な、無機材料特性と有機材料特性とを兼ね備えたハイブリッド層状高分子材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、コート材や成形体等の主成分材料あるいはフィラーとしての無機材料は、高硬度、耐熱性等の特徴を持つが、液相もしくは溶液から迅速に緻密な固相を形成するには加熱焼成が必要となる。また有機溶媒や有機物相との親和性が良くないという性質を有している。一方、有機材料は、可撓性や常温での迅速な成膜性等の特徴を持つが、硬度や耐熱性が劣るという欠点を有している。このため従来より、無機材料と有機材料との上記の特徴を併せ持ち、しかも上記の欠点を解決したハイブリッド高分子材料の開発が要望されてきた。
【0003】この要望に応えようとする技術の一つが、特開平1−108272号公報に示される無機−有機ハイブリッド塗料であるが、この塗料は、エポキシシランの部分加水分解物と、カルボニル基含有化合物と、非シランベースの脂肪族ポリアミンとの反応生成物とからなる耐摩耗性コーティング材料として提示されている。
【0004】しかしこの材料は、塗膜中の無機構造が有機ポリマーに部分的に導入されたにすぎず、しかも室温付近での有機反応による塗膜形成中に無機構造部分が成長したり、成膜したりすることがない。そのため、無機材料の特徴を十分に発現させることができず、有機ポリマーに比べて飛躍的な性能向上は望めないという欠点がある。
【0005】また、例えば、特開昭62−74957号公報には、層状粘土鉱物の層間にイオン交換反応により有機化合物を導入した層間化合物材料が開示されている。しかしこの材料は、有機物をイオン交換反応により粘土鉱物の層間に導入するため、イオン化の困難な有機物、例えばエポキシ部分を含むもの、末端にアミノ基を有するものなどは導入できない。また、粘土鉱物固有のイオン交換容量までしか有機物が導入できない。さらに粘土鉱物と有機物とはイオン結合により結合しているため、実用の際の操作などでイオン結合が切れて有機物が遊離するおそれがある等の問題がある。
【0006】これらの問題を解決するため本件出願人は、特開平6−200034号公報に、無機構造部分が十分に成長すると共に、これに対して十分な量の有機物が導入され、しかも両者間には堅牢な結合が形成されている構造のハイブリッド高分子材料を提示している。この材料は、具体的には、アルコキシ基と有機基とを備えたオルガノアルコキシシランをMg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zrから選ばれた金属の塩あるいはアルコキシドと弱アルカリ性の液中で反応させ、ケイ素4面体シートと上記金属の8面体シートとの積層体であって、4面体シートの中心原子に共有結合によって有機基が結合した構造をなすものである。
【0007】この特開平6−200034号公報に示された材料によれば、■無機構造部分の十分な成長が得られ、■有機物が損なわれず、イオン化の困難な有機物でも容易に導入でき、■堅牢で緻密な固相が形成され、■容易な条件下で迅速に製造できる等の利点を有するものである。
【0008】また本件出願人による特開平8−12899号公報にも、Si原子、又はSi原子の一部をAl又はFe原子により置換した原子を中心原子とする4面体層構造と、Mg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zrから選ばれた金属を中心原子とする8面体層構造とからなる結晶性の積層構造体フィラーが開示されている。そしてこの材料の特性も前記特開平6−200034号公報に示される材料と似たようなものであり、優れた材料特性を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平8−12899号公報や特開平6−200034号公報に開示された材料は、オルガノアルコキシシランのアルコキシ基に加水分解・脱水縮合により結合される金属原子が、Mg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zr等の周期表における比較的低周期に属するものであった。
【0010】本発明者らは更に実験を重ね、上記公報に示される材料以外にも比較的高い分子量のもので優れた材料特性を有し、また上記公報には示されない光学特性等新規な材料特性を有するものまでも開発するに至ったのである。
【0011】本発明の解決しようとする課題は、無機層と有機層とが強固に結合した積層構造であって、無機材料の高硬度及び耐熱性と、有機材料の易成形性等とを兼ね備えたハイブリッド高分子材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明のハイブリッド層状高分子材料は、少なくともアルコキシ基と有機基とを有するオルガノアルコキシシランのアルコキシ基の加水分解・脱水結合により形成された有機構造層と、Ca、Y、Ga、In、Tl、Sb、Rh、Ru、Pd、Sn、Pb、Zn、Ceから選ばれた少なくとも1種の金属原子を中心とする無機結晶構造層とが、互いに共有結合により層状に結合されていることを要旨とするものである。
【0013】ここに「オルガノアルコキシシラン」は、本発明に係るハイブリッド層状高分子材料に有機基を供給する機能を有するものであり、少なくとも一つのアルコキシ基と少なくとも一つの有機基とを有するものであり、アルコキシ基と有機基との比がアルコキシ基:有機基=3:1のものから、アルコキシ基:有機基=1:3のものまで適用される。アルコキシ基の比が高いと三次元的結合の傾向がより強くなり有機構造層はより強固になると考えられる。
【0014】その具体例として、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、3−ビニルオキシプロピルトリメトキシシラン、スチリルシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】このオルガノアルコキシシランは、少なくともアルコキシ基と有機基とを有するものであるが、「アルコキシ基」は、このオルガノアルコキシシランがこのアルコキシ基の加水分解後の脱水縮合により有機構造層を形成するのに機能するものである。また「有機基」は、アルコキシ基を含まない有機基を示しており、Si又はこれに置き換えられる金属の一部〜全部に対して1〜3個の有機基が共有結合により結合した構造をとるものであり、ハイブリッド層状高分子材料に導入可能でかつこの高分子材料に有機材料の特徴を付与し得るものであればよい。
【0016】一方、無機結晶構造層を形成するCa、Y、Ga、In、Tl、Sb、Rh、Ru、Pd、Sn、Pb、Zn、Ce等の金属原子は、2a族、3a族、8族、2b族、3b族、4b族、5b族に分布しており、原子量が比較的大きいものが選択されたものである。
【0017】本発明のハイブリッド高分子材料は、オルガノアルコキシシランと、Ca、Y、Ga、In、Tl、Sb、Rh、Ru、Pd、Sn、Pb、Zn、Ce等の金属のうち少なくとも一種の金属の無機塩、有機塩あるいはアルコキシドとを適当な環境下で反応させることにより有機構造層と無機構造層とが層状に共有結合により結合したものであるが、この有機構造層と無機構造層との組成比は、反応に供されるオルガノアルコキシシランとCa、Y、Ga等の金属の無機塩、有機塩あるいはアルコキシドとの配合比を調製することにより任意に調製されるものである。
【0018】上記構成を有する本発明のハイブリッド層状高分子材料によれば、少なくともアルコキシ基と有機基とを有するオルガノアルコキシシランのアルコキシ基の加水分解・脱水結合により形成された有機構造層と、Ca、Y、Ga、In、Tl、Sb、Rh、Ru、Pd、Sn、Pb、Zn、Ceから選ばれた少なくとも1種の金属原子を中心とする無機結晶構造層とが、互いに共有結合により層状に結合される。これにより無機層と有機層とが強固に結合され、無機材料の高硬度、耐熱性と、有機材料の易成形性等とが兼ね備えられる。
【0019】本発明のハイブリッド層状高分子材料の製造方法の一例を示すと、下記のa),及びb),さらに必要に応じてc)を、d)の極性溶液中に溶解又は分解させ、さらにアルカリを加えてpHを弱アルカリ性に調製する。
a)少なくとも1つのアルコキシ基と、少なくとも1つの有機基とを有するオルガノアルコキシシラン、b)Ca、Y、Ga、In、Tl、Sb、Rh、Ru、Pd、Sn、Pb、Zn、Ceのうち少なくとも1種の金属の無機塩、有機塩あるいはアルコキシド、c)少なくとも1つのアルコキシ基を有するシリコンアルコキシド、d)無機又は有機の1種類の極性溶媒あるいはその2種類以上の極性溶媒の混合溶液。
【0020】これにより本発明のハイブリッド高分子材料が得られるものであるが、そのメカニズムとしては、この弱アルカリ性の極性溶液中でCa、Y、Ga等の金属を中心原子とし、酸素原子、水酸基から構成される無機結晶構造が先行して成長しつつ、これに追従してオルガノアルコキシシランのケイ素がアルコキシ基の加水分解後の脱水縮合によりCa、Y、Ga等の無機結晶層に結合し、このケイ素を中心に4面体層の結晶構造が成長するものと推測されるものである。
【0021】Ca、Y、Ga等の金属の「無機塩」としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の一般の金属塩が挙げられ、またこれらの金属の「有機塩」としては、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩等が一般的なものとして挙げられる。さらに「アルコキシド」としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールにこれらの金属を置換導入したものが用いられる。
【0022】また「Ca、Y、Ga、In、Tl、Sb、Rh、Ru、Pd、Sn、Pb、Zn、Ceのうち少なくとも1種の金属の無機塩、有機塩あるいはアルコキシド」とは、これらのうち1種類又は2種類以上のものが用いられるものであり、これらの金属と塩を形成すべき無機酸、有機酸あるいはアルコキシドの種類は、限定されないものである。
【0023】アルコキシ基を有する「シリコンアルコキシド」は、この材料の有機層の含有量を調製するために、必要に応じてオルガノアルコキシシランと併用するものであり、アルコキシ基を1個有するものから4個有するものまで使用できる。なお、テトラメチルオルソンシリケート(テトラメトキシシラン)のようなアルコキシ基を4個有するものは、有機基を有しないため、これをオルガノアルコキシシランに対して所定の比率で併用することにより、材料の有機基の割合と調製できる。
【0024】このシリコンアルコキシドの具体例としては、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケート等が挙げられる。
【0025】無機又は有機の極性溶媒の例としては、無機極性溶媒としての水あるいは有機極性溶媒としてのジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、アルコール、アセトン、有機酸、無機酸等のうちの1種類又は2種類以上が挙げられる。上記したa)及びb)、更に必要に応じて加えられるc)のこの溶媒への溶解状態は必ずしも完全である必要はなくある程度の分散状態であってもよい。
【0026】アルカリ(水酸化ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属水酸化物、他の金属水酸化物、アンモニア等)添加によって調製される弱アルカリ性のpH値は、原料系の選択等の要因により一律に規定されるものではないが、望ましくはpH8〜10程度の値である。すなわちこのpH値は、ハイブリッド層状高分子材料がゲル化反応により生成される状態が維持される値であってかつ有機基が損なわれるような強アルカリ性でなければよい。このゲル化プロセスは、室温程度の温度でも十分進行するものであるが、有機基が損なわれない程度の一定の高い温度条件下でゲル化させてもよい。
【0027】このゲル化プロセスは、原料系の選択や反応条件により直ちに完了する場合もあれば、ある程度のエージング(1〜2日程度)が必要とされる場合もある。ハイブリッド層状高分子材料は、このゲル化プロセスを経て形成されるものであり、ゲル状のままでコート材等の用途に用いられる他、一旦溶媒を排除することにより乾燥粉末として回収することも可能である。
【0028】上記のようにして合成されるハイブリッド層状高分子材料に与えられる形状は、例えば成形体がコーティング膜であるときは膜状であり、型により成形されるときはその型の形状である。すなわち、ハイブリッド高分子材料が適用される対象物は、ハイブリッド層状高分子材料に与えられる形状によって限定されるものではない。また成形後の官能基の重合反応は、加熱処理、紫外線硬化処理、その他任意の手段によって開始させることができる。
【0029】さらに「有機基」は、重合可能な官能基を含むものでも含まないものでもよい。このときに「重合可能な官能基」としては、例えば、ヘテロ原子や不飽和結合を有する官能基が代表的なものとして挙げられるが、2個の官能基によって重合するようなもの、例えば、アミド結合を形成し得るアミノ基とカルボキシル基との組み合わせのようなものでもよく、要するに重合反応を起こし得る官能基であればその種類は限定されるものではない。
【0030】この「有機基」の中心原子Siに置き換えて適用可能な置換金属原子としては、Al、Fe、Ge、P等が好適なものとして挙げられるものであり、中心原子は、Siに限られることなく、その一部乃至全部がこれらの置換金属原子によるものであってもよい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により具体的に説明する。初めに本実施例として各種のハイブリッド層状高分子材料をさまざまな条件により作製した。以下に実施例1から実施例13を説明する。
【0032】(実施例1)塩化カルシウム六水和物11gを水2000mlに溶解した後、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン30gを含むエタノール500mlを添加した。1N水酸化ナトリウム溶液200mlを徐々に添加した後、3時間室温で撹拌した。その後、吸引濾過することにより、白色粉末30gのCa系層状高分子材料を得た。
【0033】(実施例2)塩化セリウム七水和物17.8gと、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.7gとをメタノール500mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液200mlを10倍に希釈した水溶液2000mlを短時間に添加した。3時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末20gのCe系層状高分子材料を得た。次にこの白色粉末をメトキシプロパノール60mlに分散した後、膜厚が5μmになるようにガラス基板に塗布し、紫外線硬化処理を施すことによりCe系供試塗膜を作製した。
【0034】(実施例3)硝酸鉛33.1gと、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン19.6gとを水1000ml、メタノール1000mlの混合溶媒に溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液200mlを10倍に希釈した水溶液2000mlを短時間に添加した。そして3時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末42.6gのPb系層状高分子材料を得た。
【0035】(実施例4)塩化亜鉛6.8gと、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン18gとをメタノール500mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液200mlを希釈した水溶液2000mlを短時間に添加した。そして3時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末20gのZn系層状高分子材料を得た。
【0036】(実施例5)塩化第一スズ22.6gと、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン46.8gとをメタノール1000mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液200mlを10倍に希釈した水溶液2000mlを徐々に添加した。そして3時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末25.4gのSn系層状高分子材料を得た。
【0037】(実施例6)塩化イットリウム六水和物15.2gを水1000mlに溶解した後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン16.7gを溶かしたメタノール500mlを添加した。そして25%アンモニア溶液13.6gを溶かした水溶液1000mlを徐々に添加した後、3時間室温で撹拌した。その後、吸引濾過することにより、白色粉末20gのY系層状高分子材料を得た。次に乾燥した白色粉末をアセトン/メタノール混合溶液60mlに分散した後、膜厚が10μmになるようにガラス基板に塗布し、紫外線硬化処理を施すことによりY系供試塗膜を作製した。
【0038】(実施例7)硝酸ガリウムn水和物20gと、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン21gとをメタノール500mlに溶解した後、25%アンモニア溶液13.6gを溶かした水溶液2000mlを短時間に添加した。そして5時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末15gのGa系層状高分子材料を得た。次に乾燥した白色粉末をメチルイソブチルケトン100mlに分散した後、過酸化ベンゾイル0.2gを加えて、膜厚が5μmになるようにガラス基板に塗布し、120℃で1時間熱処理を施すことによりGa系供試塗膜を作製した。
【0039】(実施例8)塩化アンチモン11.4gと、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン19.6gとをメタノール2000mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液150mlを希釈した水溶液2000mlを短時間に添加した。そして6時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末19.8gのSb系層状高分子材料を得た。次にこの白色粉末をメチルイソブチルケトン100mlに分散した後、膜厚が5μmになるようにガラス基板に塗布し、紫外線硬化処理を施すことによりSb系供試塗膜を作製した。
【0040】(実施例9)硝酸タリウム三水和物22.2gと、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン25gをメタノール500mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液150mlを希釈した水溶液2000mlを短時間に添加した。そして2時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末20gのTl系層状高分子材料を得た。次にこの白色粉末をトルエン60mlに分散した後、過酸化ベンゾイル0.3gを加えて膜厚が10μmになるようにガラス基板に塗布し、120℃で2時間熱処理を施すことによりTl系供試塗膜を作製した。
【0041】(実施例10)塩化インジウム四水和物14.7gと、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン49.6gとをメタノール1000mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液200mlを希釈した水溶液2000mlを短時間に添加した。そして6時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末25.4gのIn系層状高分子材料を得た。次にこの白色粉末をメトキシプロパノール60mlに分散した後、膜厚が10μmになるようにガラス基板に塗布し、紫外線硬化処理を施すことによりIn系供試塗膜を作製した。
【0042】(実施例11)塩化ルテニウムn水和物15.8とg、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.4gとをイソプロパノール1000mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液200mlを希釈した水溶液2000mlを徐々に添加した。そして5時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末15.1gのRu系層状高分子材料を得た。この白色粉末をメトキシプロパノール60mlに分散した後、膜厚が10μmになるようにガラス基板に塗布し、紫外線硬化処理を施すことによりRu系供試塗膜を作製した。
【0043】(実施例12)塩化パラジウム・二塩化ナトリウム三水和物17.4gと、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン16.7gとをエタノール1000mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液100mlを希釈した水溶液2000mlを徐々に添加した。そして4時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末18.2gのPd系層状高分子材料を得た。次にこの白色粉末をn−ブタノール80mlに分散した後、膜厚が10μmになるようにガラス基板に塗布し、紫外線硬化処理を施すことによりPd系供試塗膜を作製した。
【0044】(実施例13)塩化ロジウム三水和物13.2gと、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.4gとをイソプロパノール1000mlに溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液150mlを希釈した水溶液2000mlを徐々に添加した。5時間室温で撹拌した後、吸引濾過することにより、白色粉末15.1gのRh系層状高分子材料を得た。次にこの白色粉末をメトキシプロパノール60mlに分散した後、膜厚が10μmになるようにガラス基板に塗布し、紫外線硬化処理を施すことによりRh系供試塗膜を作製した。
【0045】次に、本発明の反応生成物である各種の無機−有機層状高分子材料及びそれを用いて作製された供試塗膜について、X線回折試験、耐摩耗性試験、鉛筆硬度試験等の各種の試験を行い、この結果に基づいて各種の層状高分子材料等の特徴を同定した。これについて図1から図5を参照して説明する。
【0046】図1は、実施例1の反応生成物であるCa系層状高分子材料のX線回折パターンを示したものである。横軸に散乱角を、縦軸に回折線の強度を採っている。図示されるように回折ピークは、散乱角2θ=5゜近辺に存在している。この回折ピークは、繰り返し周期が20.5オングストロームを示しており、これにより得られた白色粉末は、無機−有機の積層部分の層間距離が20.5オングストロームのハイブリッド層状高分子材料であることを示している。また灼残法により求めた無機分率は、41.7%であり、タルクから類推された理論分子式 Ca3[Si448](OH)2(R:γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基)からの計算値43.7%に近似した値となっている。
【0047】図2は、実施例2に係るCe系供試塗膜の紫外線(UV)吸収スペクトルの測定結果を示したものである。横軸に波長(nm)を、縦軸に吸光度(%)を採っている。図示されるように、Ce系層状高分子材料をガラス基板に塗布したものは、光照射により360nm以下の波長の透過が遮断(カット)されている。これによりCe系材料を用いて合成されたハイブリッド層状高分子材料は、紫外線の透過を遮る特性を有することが判明した。したがってその成形膜は、紫外線カット材料として用いることができる。
【0048】図3は、実施例3の反応生成物であるPb系層状高分子材料のX線回折パターンを示したものである。図示されるように回折ピークは、散乱角2θ=6゜近辺に存在している。この回折ピークは、繰り返し周期が18.0オングストロームであることを示しており、これにより得られた白色粉末は、無機−有機の積層部分の層間距離が18.0オングストロームのハイブリッド層状高分子材料であることを示している。
【0049】またこの実施例3に係るPb系層状高分子材料をガラス板に塗布した供試試料について電磁波の吸収特性を調べた。この結果によれば、波長0.711オングストロームの電磁波が約5%カットされた。このことから、Pb系層状高分子材料は、放射線カット特性に優れていることが判明した。したがって、その成形膜は、放射線カット材料として用いることができる。
【0050】図4は、実施例4の反応生成物であるZn系層状高分子材料のX線回折パターンを示したものである。横軸に散乱角を、縦軸に回折線の強度を採っている。図示されるように、回折ピークは散乱角2θ=5゜近辺に存在している。この回折ピークは、繰り返し周期が22.1オングストロームであることを示しており、これにより得られた白色粉末は、無機−有機の積層部分の層間距離が22.1オングストロームのハイブリッド層状高分子材料であることを示している。
【0051】図5は、実施例5の反応生成物であるSn系層状高分子材料のX線回折パターンを示したものである。横軸に散乱角を、縦軸に回折線の強度を採っている。図示されるように、回折ピークは散乱角2θ=4゜近辺に存在している。この回折ピークは、繰り返し周期が25.7オングストロームであることを示しており、これにより得られた白色粉末は、無機−有機の積層部分の層間距離が25.7オングストロームのハイブリッド層状高分子材料であることを示している。
【0052】実施例6、実施例9〜実施例13に係る供試塗膜については鉛筆硬度試験がなされた。この鉛筆硬度試験は、「JIS K5400」に従ってなされたものであり、いずれも9H以上という結果が得られた。これにより加熱処理及び紫外線硬化処理によりなされた官能基の重合反応により高硬度の供試塗膜が得られたことがわかった。
【0053】また実施例7、実施例8に係る供試塗膜についてはテーバー摩耗性試験がなされた。このテーバー摩耗性試験は、「ASTM D−1044」に従って荷重500g、500回転という条件下でなされたものである。曇価(ヘイズ値)を測定したところ、実施例7に係る供試塗膜については、5.7%、実施例8に係る供試塗膜については、4.5%という結果が得られた。これにより加熱処理及び紫外線硬化処理によりなされた官能基の重合反応により高硬度かつ耐摩耗性に優れた材料が得られたことがわかった。
【0054】以上説明した本実施例によれば、その無機構造部分、有機構造部分が共有結合を介して強固に結合される。また無機材料、有機材料の特徴である高硬度、耐熱性、易成形性等の材料特性が良好に発現されることになる。上述した実施例1〜実施例13に示されるようにこれらの材料は、温和な条件での合成が可能である。
【0055】そのときに、合成されるハイブリッド層状高分子材料に導入されるエポキシ基、アミノ基、ビニル基、水酸基等の有機側鎖は、上記した実施例において用いられているオルガノアルコキシシラン(アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)により容易に導入される。
【0056】さらにハイブリッド層状高分子材料は、加工処理が施され易い性質を備えており、これにより与えられる形状の自由度が高くなる。例えば成形体がコーティング膜であるときは膜状にされ、成形体が型であるときはその型の形状にされる。このような種々の形状への加工・成形の対象は、合成されたハイブリッド層状高分子材料そのものがそのまま用いられた材料でもよいし、あるいはそのハイブリッド層状高分子材料に導入される有機側鎖である官能基の化学反応(縮合、付加反応等)を通じて得られる材料であってもよい。この化学反応は、上述したようにハイブリッド層状高分子材料形成後の加熱、紫外線硬化等の任意の処理により起こすことができるものであり、これらの有機基が互いに結合することにより硬度や耐熱性等が一層向上することになる。
【0057】本発明は、上記した実施例に何等限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。上記した実施例においては、有機構造層を形成するためにオルガノアルコキシシランを用いたが、この中心原子Siの一部〜全部を金属原子、例えばAl、Fe、Ge、P等に置き換えたものを配合するようにしてもよい。また上記実施例では、無機構造層を構成するために適用される無機塩、有機塩あるいはアルコキシドに含まれる金属は、単一のもののみであったが一種類あるいは二種類以上の金属によるものであってもよい。例えば、CeとPbとを併用したCe/Pb系層状高分子材料によれば、紫外線吸収特性と電磁波遮断特性とが兼ね備えられることになる。
【0058】
【発明の効果】本発明のハイブリッド層状高分子材料は、少なくともアルコキシ基と有機基とを有するオルガノアルコキシシランのアルコキシ基の加水分解・脱水結合により形成された有機構造層と、Ca、Y、Ga、In、Tl、Sb、Rh、Ru、Pd、Sn、Pb、Zn、Ceから選ばれた少なくとも1種の金属原子を中心とする無機結晶構造層とが、互いに共有結合により層状に結合されたものであるから無機層と有機層とが強固に結合される。これにより無機材料の高硬度、耐熱性と、有機材料の易成形性等が兼ね備えられる。このハイブリッド高分子材料は、耐摩耗性材料、紫外線カット材料あるいは放射線カット材料等として多くの分野の産業機器・生活必需品に適用できるから、産業上極めて有益なものとなる。




 

 


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