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発明の名称 気相合成された膜を備えた工作物支持具及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−263966
公開日 平成10年(1998)10月6日
出願番号 特願平9−69767
出願日 平成9年(1997)3月24日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外1名)
発明者 今井 智康 / 向井 良平 / 相馬 伸司 / 鈴木 浩明 / 内田 清 / 樋口 和夫 / 伊藤 明生
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 回転加工される工作物を支持するために工作機械に装備される工作物支持具を製造する方法であって、平滑な表面を有する基板の該表面において、気相合成によって析出した硬質固体層の膜を、該支持具における工作物に接触する部分に固着させることを特徴とする、工作物支持具の製造方法。
【請求項2】 請求項1に記載の工作物支持具の製造方法において、前記膜の前記基板面側が外部に露出するようにして前記膜を前記支持具における工作物に接触する部分に固着させることを特徴とする工作物支持具の製造方法。
【請求項3】 請求項1または2に記載の工作物支持具の製造方法において、前記膜の前記支持具における工作物に接触する部分への固着は鑞付けによって行われており、その鑞付けの際には、該工作物に接触する部分の温度変化に伴う体積変動割合を該膜の温度変化に伴う体積変動割合と異ならせることによって、該工作物に接触し得る部分に固着させた該膜にクラウニングを形成することを特徴とする工作物支持具の製造方法。
【請求項4】 回転加工される工作物を支持するために工作機械に装備される工作物支持具であって、その支持具における工作物に接触する部分には、平滑な表面を有する基板の該表面に気相合成に基づいて析出した硬質固体層の膜が固着されていることを特徴とする工作物支持具。
【請求項5】 請求項4に記載の工作物支持具において、前記膜は、前記基板面側が外部に露出するようにして前記工作物に接触する部分に固着されていることを特徴とする工作物支持具。
【請求項6】 請求項4または5に記載の工作物支持具において、前記工作物に接触する部分に固着されている膜がクラウニングを形成していることを特徴とする工作物支持具。
【請求項7】 請求項4乃至6のいずれかに記載の工作物支持具を装備したことを特徴とする工作機械。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転加工される工作物を支持するために工作機械に装備される工作物支持具及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】旋盤や研削盤等のような工作物(ワーク)を回転させつつ加工する工作機械には、当該回転加工される工作物を支持するための種々の工作物支持具が装備されている。例えば、図8に示すような工作物Wを回転させつつ砥石車52で研削する一般的な回転研削盤50においては、当該工作物Wを主軸台54と心押し台56との間に回転可能に支持するための支持具として一対のセンタ(回りセンタ58aおよび止まりセンタ58b)が装備されている。さらに、図8および図9に示すように、この種の工作機械には、上記二つのセンタ58a,58b間に支持された工作物Wに工具(図中における砥石車52)が押しつけられることによって当該工作物Wが振れたり或いは撓んだりするのを防止するための工作物支持具であるワークレスト60が装備されている。
【0003】工作物Wを回転させつつ支持するための上記センタ58a,58b(典型的には心押し台56に装着されている止まりセンタ58b)やワークレスト60のような工作物支持具では、当該支持具と工作物Wとの間の摩擦を抑えつつ、加工時における工作物Wの滑らかな回転動作を維持させることが必要である。このため、例えば図9に示すワークレスト60の支持部60aの先端に設けられたレストシュー62のような工作物Wに動的に接触する部分(即ち、回転状態の工作物に接して自らは摺動させられる部分。)を構成する部材には、無潤滑かつ高面圧条件下での使用に適した低摩擦性および耐磨耗性が要求されている。従って、図10に示すように、従来、この種の工作物支持具の支持部60a先端における工作物Wに接触する部分(上述のレストシュー62付着部分)には、耐磨耗性に優れたWC(炭化タングステン)、ダイヤモンド、CBN(Cubic Boron Nitride )等からなる硬質焼結体Sが固着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような工作物支持具に用いられる硬質焼結体Sは、種々の工作物支持具に応じた形状、厚さおよび面粗さに調整するために機械加工を施す必要がある。しかしながら、このような焼結体Sは非常に硬質であるため、そのような機械加工を施すことが困難である。例えば、低摩擦性および耐磨耗性を向上させるために工作物Wとの接触面積を減らすことを目的として従来のダイヤモンド焼結体からなるレストシューに所望するレベルのクラウニング(crowning;表面が凸状になっていること。以下同じ。)を形成する場合、多大なコストおよび手間のかかる精密な機械加工処理(典型的には成型または研磨加工処理)を行う必要があった。
【0005】本発明は、上記工作物支持具に関する従来の問題点を解決するものであり、その目的とするところは、回転加工される工作物を支持するために工作機械に装備される工作物支持具であって、煩雑な機械加工処理を施すことなく優れた低摩擦性および耐磨耗性を実現した工作物に接触する部分を有する工作物支持具およびその製造方法、ならびにそのような工作物支持具を備えた工作機械を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するため、本発明においては、回転加工される工作物を支持するために工作機械に装備される工作物支持具を製造する方法であって、平滑な表面を有する基板の当該表面において、気相合成によって析出した硬質固体層の膜を、当該支持具における工作物に接触する部分に固着させることを特徴とする工作物支持具の製造方法(以下「本発明の第一の製造方法」という。)を提供する。なお、本明細書において「工作物に接触する部分」とは、上記工作物支持具の一部分であって工作物(ワーク)が回転加工される際に当該工作物に直接接触し得る部分を指す総称である。従って、回転する工作物に動的に接触する部分に該当する上記センタの先端部(図9参照)やワークレストにおけるレストシュー部分等は本明細書でいう「工作物に接触する部分」に包含される典型例である。
【0007】本発明の第一の製造方法においては、気相合成法(CVD(Chemical vapor deposition) 法ともいう。)に基づいて基板の平滑な表面に析出した硬質固体層より工作物支持具における上記「工作物に接触する部分」(以下「工作物接触部分」と略称する。)に適用し得る硬質の膜が形成される。このため、本発明の第一の製造方法によれば、上記従来の硬質焼結体におけるような煩雑でコスト高となる機械加工処理を行うことなく、耐磨耗性に優れた工作物接触部分を有する工作物支持具を製造することができる。
【0008】また、本発明は、上記本発明の第一の製造方法において、上記膜の上記基板面側が外部に露出するようにして上記膜を上記支持具における工作物に接触する部分に固着させることを特徴とする製造方法(以下「本発明の第二の製造方法」という。)を提供する。本発明の第二の製造方法では、気相合成によって析出した硬質固体層の膜を上記工作物接触部分に固着した際、上記基板の平滑表面に対応した平滑な面側が外部に露出することとなる。すなわち、本発明の第二の製造方法によって得られた工作物接触部分は平滑で硬質な外面を有している。従って、本発明の第二の製造方法によれば、上記従来の硬質焼結体におけるような煩雑でコスト高となる機械加工処理を行うことなく、耐磨耗性および低摩擦性に優れた工作物接触部分を有する工作物支持具を製造することができる。
【0009】さらに、本発明は、上記本発明の第一または第二の製造方法において、上記膜の上記支持具における工作物に接触する部分への固着は鑞付けによって行われており、その鑞付けの際には、当該工作物に接触する部分の温度変化に伴う体積変動割合を当該膜の温度変化に伴う体積変動割合と異ならせることによって、当該工作物に接触する部分に固着させた当該膜にクラウニングを形成することを特徴とする製造方法(以下「本発明の第三の製造方法」という。)を提供する。本発明の第三の製造方法においては、上記気相合成によって形成された膜の上記工作物接触部分への固着を鑞付けによって行うと共に、当該鑞付けの際に当該膜と当該工作物接触部分(即ち支持具本体側)との間に温度変化に伴う体積変動割合の差異(熱膨張差)を設けている。すなわち、当該部分と当該膜との間で鑞付け工程時の温度変化に伴う体積変動率が異なるために、上記膜が上記工作物接触部分に鑞付けされて固着されていく過程において当該膜の湾曲を促し、結果、当該膜からなるクラウニングを当該工作物接触部分上に形成させることができる。従って、本発明の第三の製造方法によれば、上記従来の硬質焼結体におけるような煩雑でコスト高となる機械加工処理を行うことなく、耐磨耗性および低摩擦性に優れ、所望の形状のクラウニングが形成された工作物接触部分を有する工作物支持具を製造することができる。
【0010】さらに、上記問題点を解決するための本発明の他の態様は、回転加工される工作物を支持するために工作機械に装備される工作物支持具であって、その支持具における上記工作物に接触する部分には、平滑な表面を有する基板の当該表面に気相合成に基づいて析出した硬質固体層の膜が固着されていることを特徴とする工作物支持具(以下「本発明の第一の支持具」という。)を提供することである。
【0011】本発明の第一の支持具では、上記工作物接触部分に上記気相合成によって形成された硬質の膜が固着されており、この膜によって当該工作物接触部分の耐磨耗性が確保されている。従って、本発明の第一の支持具によれば、上述の硬質焼結体から構成される従来の工作物接触部分におけるような煩雑でコストのかかる機械加工処理を行うことなく、回転する工作物を支持する際の当該工作物との摩擦に起因する当該工作物接触部分の磨耗を抑えることができる。
【0012】また、本発明は、上記第一の支持具において、上記膜は、上記基板面側が外部に露出するようにして上記工作物に接触する部分に固着されていることを特徴とする工作物支持具(以下「本発明の第二の支持具」という。)を提供する。本発明の第二の支持具では、上記基板の平滑表面に対応する平滑な面側を外部に露出しつつ上記形成された膜が工作物接触部分に固着されている。このため、上記本発明の第一の支持具同様に工作物接触部分の耐磨耗性が確保されることに加え、当該工作物接触部分に低摩擦性の円滑な表面を付与することができる。従って、本発明の第二の支持具によれば、上述の硬質焼結体から構成される従来の工作物接触部分におけるような煩雑でコストのかかる機械加工処理を行うことなく、回転する工作物を支持する際の当該工作物との摩擦に因る当該工作物接触部分の磨耗をさらに抑えることができると共に、当該工作物の滑らかな回転動作を維持することができる。
【0013】さらにまた、本発明は、上記第一または第二の支持具において、上記工作物に接触する部分に固着されている膜がクラウニングを形成していることを特徴とする工作物支持具(以下「本発明の第三の支持具」という。)を提供する。本発明の第三の支持具では、上記工作物接触部分に固着されている上記膜にクラウニングが形成されているため、当該工作物接触部分と工作物との接触面積を小さくすることができる。従って、本発明の第三の支持具によれば、上述の硬質焼結体から構成される従来の工作物接触部分におけるような煩雑でコストのかかる機械加工処理を行うことなく、回転する工作物を支持する際の当該工作物との摩擦に因る当該工作物接触部分の磨耗をさらに低く抑えることができると共に、当該工作物の滑らかな回転動作を維持することができる。
【0014】さらに、上記問題点を解決するための本発明の他の態様は、上記本発明の第一、第二および第三の支持具のいずれかを装備したことを特徴とする工作機械を提供することである。本発明の工作機械によれば、上記本発明の第一、第二または第三の支持具を装備する結果、上記従来の工作物支持具を備えた工作機械におけるような上記工作物接触部分についての煩雑でコストのかかる機械加工処理を行う必要がない。また、本発明の工作機械では、装備される工作物支持具のメンテナンスおよび交換に係る労力およびコストを低減させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】先ず、本発明に係る好適な第一の実施形態として、研削盤等に装備される一般的なワークレストに適用した本発明の工作物支持具(上記本発明の第一、第二および第三の支持具を包含する。)および本発明の製造方法(上記本発明の第一、第二および第三の製造方法を包含する。)の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、図1は、本実施形態に係るワークレスト10を備えた工作機械の側面図である。
【0017】図1に示すように、本実施形態に係る本発明のワークレスト10は、工作機械(研削盤)のテーブル2上に固定具3およびナット4によって固定されて使用されるものである。本ワークレスト10には、回転加工される工作物(ワーク)Wを2点支持するための一対の支持部材12が設けられている。そして、それら支持部材12の先端部12aに相当する工作物Wに動的に接触する部分には、後述する方法によって形成されたダイヤモンド薄膜を固着して成るレストシューが設けられている。すなわち、本ワークレスト10は、既存の工程によって調製された支持部材12の先端部12aに、気相合成法に基づいて形成された硬質膜を固着させることによって製造され得る本発明の工作物支持具である。以下、詳細に説明する。
【0018】本ワークレスト10に適用される上記ダイヤモンド薄膜は、平滑な表面を有する基板を調製し、公知の気相合成法(熱フィラメントCVD法、平面火炎法、RF熱プラズマ法等)によって当該表面上に析出した硬質ダイヤモンド層を当該基板から剥離すること、または当該基板に析出した状態のまま支持部材12の先端部12aに固着し、この基板を研削又は溶解といった物理的又は化学的手段により除去することによって形成されたものである。すなわち、図2に示すような予め研磨加工することによって鏡面状の平滑な表面20aが形成されたモリブデン焼結体からなる円筒状基板20を図示しない成膜装置に配置する。次いで、アセチレン(C2 2 )、酸素(O2 )、および水素(H2 )系の混合ガスの平面火炎をモリブデン製基板上に安定化し、上記モリブデン製基板20の表面温度を概ね700〜900℃に保持することによって成膜装置内において気相合成反応が開始される。このことによって、当該基板20の上記平滑な表面20a上に結晶質ダイヤモンドからなる固体層を析出させることができる。
【0019】次に、気相合成反応を終えた基板20を急速冷却し、当該基板20自体と上記表面20a上に析出したダイヤモンド固体層との間で温度変化(即ち冷却)に伴う体積変動割合に差異を生じさせる。すなわち、ダイヤモンドからなる固体層の熱膨張率は相対的に小さく、他方、基板20を構成するモリブデンの熱膨張率は相対的に大きい。このため、気相合成反応後の高温状態におかれた上記基板20を上記ダイヤモンド固体層とともに急速冷却した場合には、基板20の体積収縮率がダイヤモンド固体層の体積収縮率を上回り、当該基板20がダイヤモンド固体層よりも大きく収縮することとなる。これによって上記ダイヤモンド固体層と基板20との接合面においてずれが生じ、結果、当該ダイヤモンド固体層が基板20から剥離し、当該ダイヤモンドからなる薄膜22が分離・形成される(図2参照)。なお、このようにして得られた上記ダイヤモンド薄膜22の一方の面(即ち、図2に表示されている面;以下「成長面22a」という。)は、ダイヤモンドが順次析出した結果として若干の凹凸形状を有しており、他方の面(即ち、基板20から剥離した側の面;以下「剥離面22b」という。)は、上記基板20の平滑な表面20aに対応した平滑な表面粗さを保持している(図3参照)。従って、このダイヤモンド薄膜22の剥離面22bについては既に工作物Wの回転を阻害することなく当該工作物Wを接触・支持し得るレベルの低摩擦性が保証されており、従来の硬質焼結体Sから成るレストシュー(図10参照)におけるような研磨加工処理を別途行う必要がない。
【0020】以上のとおり、本発明の工作物支持具(本実施形態においてはワークレスト10)では、上記工作物接触部分(本実施形態においては支持部材の12の先端部12a)に固着させる硬質膜(本実施形態においてはダイヤモンド薄膜22)を気相合成法によって製造しているため、従来の硬質焼結体のような煩雑な加工処理を必要とせず、また、メタンや水素の如き安価な原料ガスから調製され得るため、工作物支持具の製造コスト削減に寄与し得る。
【0021】次に、上記得られたダイヤモンド薄膜22を本ワークレスト10の支持部材12先端部12aに固着する手順について説明する。なお、本実施形態に係る上記支持部材12の先端部12aはWCから構成されている。本実施形態においては、上記ダイヤモンド薄膜22の上記支持部材12先端部12aへの固着を鑞付けによって行っている。すなわち、図3に示すように、上記支持部材12の先端部12a表面に高融点鑞材26を添加し、その上に上記平滑な剥離面22bが外部に露出するようにしてダイヤモンド薄膜22を載置する。而して、これらを図示しない加熱炉中に配置し、概ね500〜1000℃に加熱することによって当該鑞材26を溶融させる。次いで、冷却することによって鑞材26を固化させ、上記支持部材12の先端部12aへのダイヤモンド薄膜22の固着が達成される。
【0022】さらに、本実施形態においては、上記鑞付け工程の際の温度制御によって、上記支持部材12の先端部12aに固着させたダイヤモンド薄膜22にクラウニングを形成することができる。このことを以下に説明する。上述のとおり、支持部材先端部12aを構成するWCの熱膨張率はダイヤモンド薄膜22の熱膨張率よりも相対的に大きく、鑞付け工程時の上記冷却過程において支持部材先端部12aの体積変動割合(即ち体積収縮率)がダイヤモンド薄膜22の体積変動割合(体積収縮率)を上回る。このため、鑞付け時の上記冷却過程において支持部材先端部12aがダイヤモンド薄膜22よりも大きく収縮することとなり、当該支持部材先端部12aとダイヤモンド薄膜22との接合面において歪みが生じる。このとき、鑞材26が流動性を無くした状態よりさらに温度が下がると、図4に示すように、上記ダイヤモンド薄膜22は上記支持部材先端部12a表面から剥離することなく上記歪みのレベルに応じて側面からみて半円アーチ状に湾曲し、その表面が凸状に隆起したクラウニングを形成する。而して、上記クラウニングを形成したダイヤモンド薄膜22を先端部12aに備えた支持部材12が構築される。そして、この支持部材12を図1に示すような一般的なワークレスト10本体部に装着することによって本実施形態に係るワークレスト10が作製される。
【0023】なお、本実施形態において、上記クラウニングを好適に形成するための好ましい他の条件としては、特に限定するものではないが、上記ダイヤモンド薄膜22の厚さは30μm以上がよく、70μm以上のものが特に好ましい。また、鑞材26の添加量は、鑞材26の種類や品質に応じて適宜変更し得るが、典型的には鑞付け後の鑞材26部分(図3参照)の厚さが50μm以下であることがよく、20μm以下とすることが特に好ましい。また、用いる基材(上記実施形態においては支持部材12の先端部12a)の材質は、気相合成によって得られた膜の元素組成や形状等によって変更し得るが、上記好適条件を満たすダイヤモンド薄膜22を適用する場合においては、熱膨張率2〜20×10-6-1、ヤング率100GPa以上の条件を満たす性状のものが好ましい。
【0024】次に、本発明に係る好適な第二の実施形態として、円筒研削盤や旋盤等に一般的に使用されるセンタ34(図7参照)に適用した本発明の第二の支持具および本発明の第二の製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0025】本実施形態に係るセンタは、その工作物接触部分である円錐状先端部(図8参照)に上述の第一の実施形態同様に例えばRF熱プラズマ法により成膜したダイヤモンド薄膜22を固着させたものである。すなわち、図5に示すような円錐状に窪んだ表面(以下「円錐面30a」という)を有する円筒形のモリブデン製基板30を調製する。この円錐面30aの表面は、鏡面状に平滑となるように予め研磨加工されている。而して、この基板30を図示しないプラズマ発生装置(具体的には高周波コイル)を備えた反応容器内に配置する。この基板30を水冷しつつ、アルゴン(Ar)、メタン(CH4)、水素(H2 )系熱プラズマ内で気相合成を行い、当該円錐面30a上にダイヤモンド固体層を析出させる。次いで、当該基板30を冷却することによって、上述の体積収縮率の違いに基づき当該ダイヤモンド固体層を基板30の円錐面30aから剥離し、円錐状ダイヤモンド薄膜32(図6)を形成する。このようにして得られた円錐状ダイヤモンド薄膜32は、図6に示すように、上記第一の実施形態におけるダイヤモンド薄膜22と同様に上記基板30の平滑な円錐面30aに対応した平滑な表面粗さを保持している剥離面32bと、ダイヤモンドが順次析出した結果として若干の凹凸形状を有する成長面32aとから構成されている。
【0026】而して、図7に示すように、上記剥離面32b側が外部に露出するようにして円錐状ダイヤモンド薄膜32を上述の鑞付けによってセンタ34先端部分に固着させることによって、本実施形態に係る工作物支持具であるセンタ34が作製され得る。また、上記方法においては、基板30から円錐状ダイヤモンド薄膜32を剥離した後、センタ34に固着しているが、基板30に析出した状態のままセンタ34に固着した後、基板30を研削又は化学的に溶解するようにしてもよい。なお、本センタ34においては、上記第一の実施形態に係るワークレスト10と同様、その先端部(即ち工作物接触部分)に固着させたダイヤモンド薄膜32が既にセンタ先端部に適合し得る形状を備えており、また、支持するべき工作物Wを接触・支持し得るレベルの耐磨耗性および低摩擦性が保証されている。従って、本実施形態に係るセンタ34によれば、従来の硬質焼結体から成るセンタにおけるような成型および/または研磨加工処理を別途行う必要がない。
【0027】以上、本発明に係る好適な二つの実施形態を説明したが本発明をこれら実施形態に限定することを意図したものではない。例えば、上記実施形態においては、気相合成法によってアセチレン、酸素、水素の混合ガスからダイヤモンド膜を形成しているがダイヤモンドに限るものではなく、工作物支持具の用途や要求される性能に応じ、気相合成法によって得られ得るSiC(炭化ケイ素)、窒化ホウ素、WC等の種々の硬質材料からなる膜を形成することができる。
【0028】なお、本発明の実施にあたっては、種々の態様の気相合成法を適用することができ、特定の手法、反応装置に限定されない。例えば、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、RFプラズマCVD法、DCプラズマCVD法、RF熱プラズマCVD法、DCプラズマジェット法、燃焼火炎法のような一般的に知られている気相合成方法が本発明の実施に好適に適用し得る。これら気相合成(CVD)法の原理および手法は、例えば、犬塚直夫・澤邊厚仁著「ダイヤモンド薄膜」(産業図書株式会社刊、1987年)において詳細に解説されている。
【0029】また、上述のクラウニングを形成させる場合、硬質膜の温度変化に伴う体積変動割合と当該膜を固着する工作物支持具の工作物接触部分の温度変化に伴う体積変動割合とが異なるように当該工作物支持具の工作物接触部分の材質および/または温度条件を設定すればよく、上記実施形態で示した手法に限定されるものではない。例えば、上述のようにダイヤモンド薄膜を固着させる場合、当該工作物支持具の工作物接触部分の材質を上記モリブデンに代えてSiCで構成してもよい。これらは作製した硬質膜の熱膨張特性に応じて適宜選択され得ることであり、本発明の特許請求の範囲から逸脱するものではない。
【0030】さらにまた、上記実施形態においては、プレーン状または円錐状の薄膜を形成したがこれに限らず、種々の形状に成型した平滑表面を有する基材を提供することによって、当該表面形状に対応した所望する形状の硬質膜を形成することができる。例えば、上述の第一の実施形態においてはプレーン状のダイヤモンド薄膜22に上述する鑞付け手段によってクラウニングを形成させているが、これに代えて、上記第二の実施形態と同様に、予め調製した平滑な凹面を有する基板の当該凹面上に気相合成に基づいて硬質固体層を形成することによって、その剥離面側を当該凹面と面対称となるクラウニング状態とした硬質膜を形成することができる。而して、同様のクラウニング形状(即ち、当該硬質膜の成長面側に適合する形状)を有する工作物支持具の工作物接触部分に当該硬質膜を当該剥離面が外部に露出するようにして固着させることによって、上記鑞付けの際におけるような温度制御を行うことなく当該工作物接触部分に硬質膜からなるクラウニング形状を付与することができる。また、上記第二の実施形態と同様に、当該硬質膜を基板から剥離することなく、基板に析出した状態のまま当該硬質膜の成長面を工作物接触部分に向けて固着し、その後、基板を物理的に研削又は切削により除去あるいは化学的に溶解して除去してもよい。この基板の除去は、従来のダイヤモンドやCBN等の硬質焼結体Sに比べて軟質であるため、非常に容易に行うことができる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ダイヤモンドやCBN等の非常に硬質な焼結体の成型加工や研磨加工のような煩雑な機械加工処理を施すことなく低摩擦性および耐磨耗性を実現した工作物接触部分を有する工作物支持具およびそのような工作物支持具を備えた工作機械を提供することができる。すなわち、本発明の製造方法によれば、従来の硬質焼結体におけるような煩雑でコスト高となる機械加工処理を行うことなく、耐磨耗性に優れた工作物接触部分を有する工作物支持具を製造することができる。
【0032】また、本発明の製造方法によって製造された本発明の工作物支持具によれば、従来の工作物支持具の硬質焼結体から構成される工作物接触部分におけるような煩雑でコストのかかる機械加工処理を行うことなく、回転する工作物を支持する際の当該工作物との摩擦に起因する当該工作物接触部分の磨耗を抑えることができる。このため、本発明の工作物支持具を装備した工作機械では、当該工作物支持具に係るメンテナンスコストや労力を削減することができる。




 

 


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