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発明の名称 無機−有機層状高分子単層膜およびその多層積層膜
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180933
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平8−350740
出願日 平成8年(1996)12月27日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
発明者 谷 昌明 / 福嶋 喜章 / 矢野 一久 / 山岸 晧彦 / 堀田 裕司
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 金属面基板と、Si、Geから選ばれる少なくとも1種の原子、または該原子の一部をAl、Fe、Pから選ばれる少なくとも1種の原子により置換した原子を中心原子とする4面体面構造とMg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zr、Ti、Pb、Sn、Sb、Ga、In、Zn、Tl、Ceから選ばれる少なくとも1種の金属を中心原子とする8面体面構造とからなる結晶性の積層構造体と、該積層構造体を形成する4面体面構造の中心原子であるSi、Geから選ばれる少なくとも1種の原子の少なくとも一部の原子は、共有結合で有機層と結合し、該有機層の側鎖の末端には金属に配位結合ないし共有結合が可能な官能基をもつ無機−有機層状高分子とが、該金属面基板上に該無機−有機層状高分子の有機側鎖の官能基を介して金属面基板の金属と結合を形成して単層膜を形成していることを特徴とする無機−有機層状高分子単層膜。
【請求項2】 Si、Geから選ばれる少なくとも1種の原子、または該原子の一部をAl、Fe、Pから選ばれる少なくとも1種の原子により置換した原子を中心原子とする4面体面構造とMg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zr、Ti、Pb、Sn、Sb、Ga、In、Zn、Tl、Ceから選ばれる少なくとも1種の金属を中心原子とする8面体面構造とからなる結晶性の積層構造体と、該積層構造体を形成する4面体面構造の中心原子であるSi、Geから選ばれる少なくとも1種の原子の少なくとも一部の原子は、共有結合で有機層と結合し、該有機層の側鎖の末端には金属に配位結合ないし共有結合が可能な官能基をもつ無機−有機層状高分子が、金属面基板上に該無機−有機層状高分子の単層膜と金属膜とが、該無機−有機層状高分子の有機側鎖の官能基を介して結合して少なくと1層積層されていることを特徴とする無機−有機層状高分子多層膜。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属表面の保護などが可能な金属面基板上に無機−有機層状高分子の単層膜ないしは金属膜と共に共有結合性の結合により形成する積層した多層膜に関する。
【0002】
【従来の技術】片面側または両面側に金属と反応可能な官能基を持つ有機分子を、金属表面に作用させることにより自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer以下ASMと略称する)を形成する方法が知られている。特表平7−502479号公報には、ヘキサンジチオール、オクタンジチオールを用いて金上に単層の膜を形成した開示がある。しかし、上記のような有機基がアルキル基である2官能性化合物では両末端の官能基の易動性が高く、分子内の両官能基が同時に基板に反応したりして単分子膜の平面内での規則性および均一性の高い単層膜の形成が難しい。さらに、一分子内の両末端の官能基を利用して単層膜と金属膜とを多層化した積層膜を形成することは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、本出願人が先に出願した(特開平7−126396号)無機−有機珪素系重合体を利用して均一で規則性の高い自己組織化単分子膜(SAM)およびその積層多層膜を得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に出願した無機−有機珪素系重合体の表面に重合性官能基の代わりに金属と配位結合可能な官能基を導入することにより、金属面基板上でSAMが形成できることを見出し本発明を完成したものである。本発明の第1の無機−有機高分子単層膜は、金属面基板と、Si、Geから選ばれる少なくとも1種の原子、または該原子の一部をAl、Fe、Pから選ばれる少なくとも1種の原子により置換した原子を中心原子とする4面体面構造とMg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zr、Ti、Pb、Sn、Sb、Ga、In、Zn、Tl、Ceから選ばれる少なくとも1種の金属を中心原子とする8面体面構造とからなる結晶性の積層構造体と、該積層構造体を形成する4面体面構造の中心原子である珪素、Geから選ばれる少なくとも1種の原子の少なくとも一部の原子は、共有結合で有機層と結合し、該有機層の側鎖の末端には金属に配位結合ないし共有結合が可能な官能基をもつ無機−有機層状高分子とが、該金属面基板上に該無機−有機層状高分子の有機側鎖の官能基を介して金属面基板の金属と結合を形成して単層膜を形成していることを特徴とする。
【0005】本発明の第2の積層無機−有機層状高分子多層膜は、Si、Geから選ばれる少なくとも1種の原子、または該原子の一部をAl、Fe、Pから選ばれる少なくとも1種の原子により置換した原子を中心原子とする4面体面構造とMg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zr、Ti、Pb、Sn、Sb、Ga、In、Zn、Tl、Ceから選ばれる少なくとも1種の金属を中心原子とする8面体面構造とからなる結晶性の積層構造体と、該積層構造体を形成する4面体面構造の中心原子であるSi、Geから選ばれる少なくとも1種の原子の少なくとも一部の原子は、共有結合で有機層と結合し、該有機層の側鎖の末端には金属に配位結合ないし共有結合が可能な官能基をもつ無機−有機層状高分子が、金属面基板上に該無機−有機層状高分子の単層膜と金属膜とが、該無機−有機層状高分子の有機側鎖の官能基を介して結合して少なくと1層積層されていることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施態様】本発明の第1は、金属面基板上に無機−有機層状高分子の単層膜(単分子膜)が形成された構成である。この無機−有機層状高分子の無機層は、4面体面構造の中心原子を形成するSiおよびGeから選ばれる少なくとも1種の原子と、8面体面構造の中心原子を構成するMg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zr、Ti、Pb、Sn、Sb、Ga、In、Zn、Tl、Ceから選ばれる少なくとも1種の金属原子とが結晶性の積層構造を形成している。この積層構造は、8面体面の両側に4面体面が形成されたいわゆる2:1型構造のものと、8面体面の片側に4面体面が形成されたいわゆる1:1型構造のものとがある。有機基を多く含ませたい場合や、有機基相互の結合強度を向上させたい場合には、2:1型構造のものがより望ましい。
【0007】この2:1型あるいは1:1型構造を形成するには4面体面を構成する原子と8面体面を構成する原子の割合を調整することで形成することができる。4面体面の中心原子であるSiおよびGeのうちの少なくとも1種の一部はAl、FeおよびPから選ばれる1種または複数の原子で置換することができる。これらAl、Fe、Pは、SiまたはGeとの中心原子置換により容易に導入できる。
【0008】有機層は、4面体面構造を形成する原子の一部または全部に金属との反応する官能基をもつ有機基と共有結合で結合して構成されている。この有機基の導入可能量は最大限で4面体の中心原子1個当たり1〜3個という充分すぎる程導入できる。有機側鎖と共有結合したSiは、そのSiを中心としてそのまわりに酸素が4面体配位した構造の層と、たとえば8面体面形成原子のMgを中心原子とし、そのまわりに酸素が8面体配位した構造の層とが積層した結晶性の積層構造体を形成している。この有機基は、末端に金属と反応して共有結合的な結合を形成する官能基を有し、無機−有機層状高分子の有機層を形成している。
【0009】4面体面構造を形成する原料は、シランカップリング剤として用いられる安価なオルガノアルコキシシランRX Si(OH)4-X のRの一部もしくは全部にメルカプト基、シアノ基、ピリジンなどの窒素を含む複素環式化合物などの官能基を持つものを使用することで、無機−有機層状高分子の有機側鎖の末端に所望の官能基が導入できる。このようなオルガノアルコキシシランであればいずれでもよい。特に知られているものとしては、(メルカプトメチル)ジメトキエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルエトキシシラン、(シアノメチルフェネチル)トリエトキシシラン、3−シアノプロピルジメチルメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリル)エチル−2−ピリジンなどが挙げられる。
【0010】4面体面を構成する原子を有する化合物としては、たとえば、上記のアルコキシ基および金属と結合可能な官能基を有するオルガノアルコキシシランなどの有機珪素化合物、オルガノゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物などが利用できる。8面体面を構成する原子を有する化合物としては、Mg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zr、Ti、Pb、Sn、Sb、Ga、In、Zn、Tl、Ceから選ばれる少なくとも1種の金属原子の無機塩、有機塩、アルコキシドなどを用いる。このうち、Al、Feは8面体面を構成する原子となると共にその一部は4面体面を構成する原子のSi、Geの一部を置換する原子となる。
【0011】無機−有機層状高分子の製造は無機部の4面体面を構成する有機金属化合物と8面体面を構成する金属化合物とをそれぞれ溶解した溶液を混合し、混合溶液にpHを調製するアルカリ溶液を加えることで合成できる。4面体面を構成する金属化合物の溶液と8面体面を形成する金属化合物溶液との混合は、4面体面を構成する原子を有する化合物、8面体面を構成する原子を有する化合物と、必要に応じてPを有する化合物またはシリコンアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシド、またはゲルマニウムハロゲン化物とを溶解した極性溶液を混合液とする。極性溶媒としては水、アルコール、アセトン、有機酸、無機酸などのうちの1種または2種以上の混合した極性溶液が利用できる。上記の化合物は必ずしも完全に溶解する必要はなく、ある程度の分散状態であっても目的を達成できる。
【0012】無機−有機層状高分子単層膜の作製図5の単層膜形成のメカニズムの概念図に示すように基板の金の表面に溶媒中に分散した無機ー有機層状高分子1をASM性を利用して単層膜aを形成する。すなわち、上記の方法で製造した無機−有機層状高分子を溶媒中にに分散させる。望ましい溶媒の種類は無機−有機層状高分子の持つ有機側鎖の長さや導入した官能基の種類によって異なるが、水等の無機溶媒、もしくは有機溶媒のいずれか、またはこれらの混合溶媒を必要に応じて調製する。懸濁液中の無機−有機層状高分子粒子は、充分に膨潤・分散したものが易動性が大きく、金属表面に作用しやすいと考えられるが、このような粒子が充分準備されるような系であれば必ずしも液中の全ての無機−有機層状高分子粒子の総てが良膨潤している必要はない。
【0013】上記で準備した懸濁液に金属面を有する基板を浸漬する。この基板は、無機−有機層状高分子の有機側鎖の末端の官能基と反応・結合する、金、銀、白金、水銀、銅、鉄、ニッケル、カドミニウム、オスミウム製、もしくはこれらの金属を含む合金製であるか、蒸着といった手段でこれらの金属で覆われている必要がある。単層膜形成に必要な時間は、無機−有機層状高分子の有機側鎖の末端の官能基の種類、懸濁液の濃度、基板表面の金属元素の種類、温度などの条件によって左右されるが、概ね数時間から数日である。浸漬後、必要に応じて洗浄を行い、乾燥することで基板上に無機−有機層状高分子の単層膜が得られる。
【0014】本願の第2の発明は、無機−有機層状高分子の単層膜上に有機側鎖の末端官能基と結合した金属膜を介してさらに無機−有機層状高分子、金属膜を多層積層して構成される。この多層積層構造は金属面基板上に形成された無機−有機層状高分子の単分子膜の上面に金属を蒸着あるいは金属イオンなどを結合させ、再度金属膜上面に無機−有機層状高分子の単層膜を無機−有機層状高分子の溶液への浸漬により形成する。これらの操作を繰り返すことで無機−有機層状高分子と金属膜との多層の積層膜が形成できる。
【0015】無機−有機層状高分子多層膜の作製図5の単層膜形成のメカニズムの概念図に示すように基板の金の表面に形成された単層膜aの表面に存在する官能基に金属イオンまたは原子を結合させてbの金属で無機−有機層状高分子多層膜をサンドイッチ状にする。このbにさらに無機−有機層状高分子を作用させることで積層した多層膜が形成できる。
【0016】上記で得られた単層膜の上面をメッキ、蒸着もしくはコロイド状の金属の塗布といった手段で金、銀、白金、水銀、銅、鉄、ニッケル、カドミニウム、オスミウムなどの金属もしくはこれらの金属を含む合金で被覆処理の後、得られた積層膜を無機−有機層状高分子を溶解した液中に浸漬して無機−有機層状高分子の成膜処理を行うことにより、この単層膜の上面にさらに1層の無機−有機層状高分子膜を積層できる。この操作を繰り返すことにより所望の積層数の無機−有機層状高分子多層膜の作製が可能である。
【0017】
【発明の効果】本発明の無機−有機層状高分子は、結晶性の無機構造部分が、4面体面と8面体面とが積層された構造で形成されており、該4面体面を構成する中心原子には、有機基が共有結合で結合し、該有機基には金属と結合可能な官能基が末端に存在している。そのため無機−有機層状高分子は官能基が有機基の末端、すなわち外側表面に規則的に配列しているので金属と接触して反応し容易に共有結合的に結合を形成できるので、金属表面に無機−有機層状高分子の単層膜が均一な膜として得ることができる。
【0018】したがって、金属面基板上に無機−有機層状高分子の単層膜を形成すれば、無機−有機層状高分子の単層膜の上面には金属と反応する官能基が存在するので金属の蒸着等により結合した金属膜が形成できる。さらに無機−有機層状高分子の単層膜と金属膜とを繰り返して規則的に複数層の積層も可能である。無機−有機層状重合体は金属表面の保護、防錆、層状の回折格子、コンデンサ、などに利用が可能である。さらに金属との反応性を利用して膜としてのみではなく有害金属の吸着、回収などに利用が可能となる。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)塩化マグネシウム6水和物1gを50mlのメタノールに加えて溶解させた。これに3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.1gを加えて攪拌した。さらに脱イオン水200mlと1Nの水酸化ナトリウム水溶液10mlを加えて室温で72時間攪拌した。析出した沈殿物を濾別・水洗し真空乾燥により白色の積層構造体を得た。この積層構造体は、珪素原子を中心とする4面体面構造とマグネシウム原子を中心とする8面体面構造とが積層した結晶性の積層構造を有し、4面体面の珪素を中心原子に、末端のメルカプト基を有するプロピル基が珪素に共有結合を形成して有機層を形成しているメルカプト−マグネシウム層状高分子をであることを元素分析およびX線回折で確認した。
【0020】元素分析の結果:H(4.9%)、C(23.4%)、S(20.9%)であり、その組成式は〔(C362412Si1212)Mg2 (OH3 )〕・21H2Oであると考えられる。この組成式からの成分比計算値はH(3.7%)、C(23.4%)、S(20.8%)となる。
X線回折による層状構造の確認得られた試料について粉末X線回折測定を行った。測定条件は40kV,30mA,Cukα(λ=0.154nm)とした。その結果を図1に示す。図1のチャートから(001)のピークの存在により層状構造の形成が確認された。そのd値=層間距離(1.47ナノメートル)は層間の有機側鎖の存在を示している。また(020)のd値(0.42ナノメートル)から4面体シートの単位格子のb軸の長さは、0.84ナノメートルと見積もられる。この値はスメクタイト構造の2:1型粘土鉱物での値(0.86−0.92ナノメートル)とよく一致する。
【0021】メルカプト−マグネシウム層状高分子単層膜の作製とその水晶マイクロバランスによる確認メルカプト−マグネシウム層状高分子/クロロホルム溶液(3.33×10-3グラム/リットル)を調製し、この中に1.4平方センチメートルの領域に金蒸着を施した水晶を浸漬して、水晶マイクロバランス法により振動周波数5メガヘルツで金蒸着領域に生成する膜の重量測定を行った。このときの水晶振動子の共鳴周波数の時間変化の様子を図2に示す。共鳴周波数は21時間後に190ヘルツに減少した。総重量変化(Δm(ng))と周波数変化(Δf(Hz))の間に以下の関係がある。
【0022】Δm=Δf×Sただし S=−17.7ng/Hz・cm2これから生成した膜の重量は1平方センチメートル当たり3.3×103 ナノグラムと見積もられる。単位格子の分子量をMW メルカプト−マグネシウム層状高分子の4面体シートの単位格子当たりの面積をsとするとき単層膜形成時の重量増の理論値はΔm=MW /NA ×SただしNA はアボガドロ数組成式よりMW =1845またs=0.50×0.84平方ナメートであり、これを代入するとΔm=1.0×103 ナノグラム/平方センチメートルとなる。測定値(3.3×103 ナノグラム)は理論値(1.0×103 ナノグラム)よりやや大きいが、膜内でのメルカプト−マグネシウム層状高分子の粒子周辺の重なり合いを考慮すると金の表面にメルカプト−マグネシウム層状高分子(図5のaに示す模式構造)がほぼ1層からなる膜が得られたと考えられる。
【0023】(実施例2)塩化ニッケル6水和物0.670gを50mlのメタノールに加えて溶解させた。これに3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.0gを加えて攪拌した。さらに脱イオン水200mlと1Nの水酸化ナトリウム水溶液10mlを加えて室温で72時間攪拌した。析出した沈殿物を濾別・水洗し真空乾燥により白色の積層構造体を得た。この積層構造体は、珪素原子を中心とする4面体面構造とニッケル原子を中心とする8面体面構造とが積層した結晶性の積層構造を有し、4面体面の珪素を中心原子に、末端のメルカプト基を有するプロピル基が珪素に共有結合を形成して有機層を形成しているメルカプト−ニッケル層状高分子をであることを元素分析およびX線回折で確認した。
【0024】元素分析の結果:H(5.44%)、C(19.5%)、S(15.3%)であり、その組成式は〔(C362412Si1212)Ni2 (OH3 )〕・55H2 Oであると考えられる。この組成式からの成分比計算値はH(5.4%)、C(17.1%)、S(15.2%)となる。
X線回折による層状構造の確認得られた試料について粉末X線回折測定を行った。測定条件は40kV、30mA、Cukα(λ=0.154nm)とした。その結果を図3に示す。図3のチャートから(001)のピークの存在により層状構造の形成が確認された。そのd値=層間距離(1.43ナノメートル)は層間の有機側鎖の存在を示している。また(020)のd値(0.43ナノメートル)から4面体シートの単位格子のb軸の長さは、0.86ナノメートルと見積もられる。この値はスメクタイト構造の2:1型粘土鉱物での値(0.86−0.92ナノメートル)とよく一致する。
【0025】メルカプト−ニッケル層状高分子単層膜の作製とその水晶マイクロバランスによる確認メルカプト−ニッケル層状高分子/クロロホルム溶液(1.67×10-2グラム/リットル)を調製し、この中に0.43平方センチメートルの領域に金蒸着を施した水晶を浸漬して、水晶マイクロバランス法により振動周波数5メガヘルツで金蒸着領域に生成する膜の重量測定を行った。このときの水晶振動子の共鳴周波数の時間変化の様子を図4に示す。共鳴周波数は520分後に68ヘルツに減少した。総重量変化(Δm(ng))と周波数変化(Δf(Hz))の間に以下の関係がある。
【0026】Δm=Δf×Sただし S=−17.7ng/Hz・cm2これから生成した膜の重量は1平方センチメートル当たり1.2×103 ナノグラムと見積もられる。単位格子の分子量をMW メルカプト−ニッケル層状高分子の4面体シートの単位格子当たりの面積をsとするとき単層膜形成時の重量増の理論値はΔm=MW /NA ×SただしNA はアボガドロ数組成式よりMW =2526またs=0.51×0.86平方ナメートであり、これを代入するとΔm=1.3×103 ナノグラム/平方センチメートルとなる。測定値(1.2×103 ナノグラム)は理論値(1.3×103 ナノグラム)によく一致し、金の表面にメルカプト−ニッケル層状高分子がほぼ単層膜(図5のaに示す模式構造)が得られたと考えられる。
【0027】(実施例3)金結晶をメルカプト−ニッケル層状高分子/クロロホルム溶液に48時間浸漬した。その後これをクロロホルムで洗浄し、さらに金コロイド溶液(2.4×106 個/ミリリットル)に3時間浸漬した。表面に付着した過剰の金コロイドを水洗により除去した。図5のメカニズム概念図に示すbが得られた。その後空気中で乾燥の後、さらにメルカプト−ニッケル層状高分子/クロロホルム溶液に48時間浸漬した。図5のメカニズム概念図に示すcが得られた。この操作を繰り返して、2層から6層のメルカプト−ニッケル層状高分子と金コロイドからなる多層膜が形成できた。




 

 


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