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発明の名称 排気ガス浄化用フィルタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−156118
公開日 平成10年(1998)6月16日
出願番号 特願平9−268033
出願日 平成9年(1997)9月12日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰
発明者 浅井 満 / 神谷 信雄 / 北條 浩 / 山本 幸一郎
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 多数の貫通気孔を有する多孔体よりなる排気ガス浄化用フィルタにおいて,上記多孔体における,水銀圧入法により測定された気孔径が5〜20μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,全貫通気孔の気孔容積の合計に対して30〜80%の範囲内にあり,上記多孔体における,水銀圧入法により測定された気孔径が20〜200μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,全貫通気孔の気孔容積の合計に対して20〜70%の範囲内にあることを特徴とする排気ガス浄化用フィルタ。
発明の詳細な説明
【0001】
【技術分野】本発明は,排気ガス浄化用フィルタに関し,特に煤の捕集効率及び燃焼特性が高いフィルタに関する。
【0002】
【従来技術】ディーゼルエンジン等の内燃機関等より排出される排気ガスには,煤(スーツ)が含まれている。この煤を排気ガス浄化用フィルタにより捕集し,排気ガスを浄化する方式が,検討されている。かかる排気ガス浄化用フィルタとしては,従来,コージェライト,SiC等よりなる,多数の貫通気孔を有する多孔体がある。排気ガスがフィルタの隔壁を通過して浄化するウォールフロー型のモノリスフィルタでは,貫通気孔の直径が小さくなると,フィルタの中を排気ガスが通過する場合に圧力損失が大きくなってエンジンの性能が低下するおそれがある。一方,貫通気孔の直径が大きくなると,一部の煤がフィルタ隔壁の気孔を通過し,煤の捕集効率が低下する。
【0003】そこで,煤の捕集効率を向上させると共に,圧力損失を小さくするために,多孔体の気孔の直径を,1μmから15μm程度に制御して排気ガス浄化用フィルタを製造することが行われている(特開平5−23512号公報,特開平5−139861号公報)。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の排気ガス浄化用フィルタにより煤を捕集した場合には,煤はフィルタ隔壁の表面に堆積する。堆積した煤は,従来,電気ヒータ又はバーナ等により燃焼させて除去している。しかし,この方法で捕集した煤の着火および燃焼温度は,高くなり,コージェライト質フィルタでは一部が溶損したり,あるいは割れることもある。そのため,煤をフィルタ隔壁表面で捕集して,燃焼させる方法は,自動車に広く採用されるまで至っていない。
【0005】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,煤の捕集効率及び燃焼特性に優れた排気ガス浄化用フィルタを提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】本発明は,多数の貫通気孔を有する多孔体よりなる排気ガス浄化用フィルタにおいて,上記多孔体における,水銀圧入法により測定された気孔径が5〜20μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,全貫通気孔の気孔容積の合計に対して30〜80%の範囲内にあり,上記多孔体における,水銀圧入法により測定された気孔径が20〜200μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,全貫通気孔の気孔容積の合計に対して20〜70%の範囲内にあることを特徴とする排気ガス浄化用フィルタである。
【0007】本発明のフィルタにおいては,多孔体に設けた貫通気孔の気孔径(気孔の直径)は上記の範囲にある。かかる気孔径を有する気孔は,従来のフィルタに設けた貫通気孔の気孔径よりも大きいものが多い。そのため,排気ガスが隔壁を通過する際に,排気ガスに含まれる煤は,隔壁の表面だけでなく,隔壁の内部に設けた気孔の内部においても捕集される。そのため,煤とフィルタとの接触面積が大きくなる。
【0008】また,煤は,隔壁の表面及び隔壁中の貫通気孔の内部において広面積に捕集されるため,隔壁を通過する排気ガス中に含まれる酸素と,煤との接触面積が大きくなる。それ故,煤を従来に比べて低い温度で,燃焼させることができる。また,着火温度も低くできるため,低温にて,無炎で煤を燃焼させることができる。従って,本発明によれば,煤の燃焼特性を良くすることができる。また,本発明のフィルタの隔壁は上記気孔分布を有するため,煤だけでなく,NOX 浄化の反応場としても作用する。
【0009】一方,上記気孔の割合の範囲よりはずれる場合,例えば,小さい気孔径の割合が高くなると,隔壁の表面に煤が厚く堆積し,気孔内には煤が捕集され難い。そのため,目詰まりを起こして,圧力損失が高くなり,エンジンの性能が低下する。また,大きい気孔径の割合が高くなると,多くの煤が気孔内を通過して排気ガスと共に排出され,煤を効率よく捕集することができなくなるおそれがある。
【0010】本発明において,多孔体よりなる排気ガス浄化用フィルタ1の中の貫通気孔は,直径がほぼ均一で,ほぼ直線的に伸びる貫通気孔19(図8),直径がほぼ均一で,蛇行した貫通気孔19(図9),貫通気孔の途中が膨らんだ貫通気孔19(図10)等,どのような貫通気孔でもよい。また,該貫通気孔の気孔径は,水銀圧入法により測定したものを基準とする。また,上記多孔体は,ハニカム状の形状が望ましい。
【0011】本発明の排気ガス浄化用フィルタにおいては,排気ガスを通過させる隔壁として多孔体を用いている。
【0012】なお,本発明において,多孔体における全貫通気孔が,気孔径が5〜20μmの範囲にある貫通気孔と20〜200μmの範囲にある貫通気孔とのみからなる必要はなく,上記範囲以外の気孔径を有する貫通気孔が混ざっていてもよい。
【0013】次に,水銀圧入法により測定された気孔径が,5μm未満又は200μmを越える貫通気孔の気孔容積の合計は,上記全貫通気孔の気孔容積の合計に対して,20%以下であることが好ましい。これにより,煤の捕集効率が更に高くなり,捕集された煤の燃焼特性を一層向上させることができる。一方,20%を越える場合には,煤の捕集効率及び煤の燃焼効率が低下するおそれがある。
【0014】次に,上記隔壁を2層に分離し,上流室側の多孔体(第1層とする)には,水銀圧入法により測定された気孔径が20〜200μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が第1層における全貫通気孔の気孔容積の合計に対して60%以上となるように設定し,一方,上記隔壁の下流室側の多孔体(第2層とする)には,水銀圧入法により測定された気孔径が5〜20μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,第2層における全貫通気孔の気孔容積の合計に対して70%以上となるように設定してなるものが好ましい。
【0015】なお,隔壁全体としては,水銀圧入法により測定された気孔径が5〜20μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,上記多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計に対して30〜80%の範囲内にあり,水銀圧入法により測定された気孔径が20〜200μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,上記多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計に対して20〜70%の範囲内にあるようにする。
【0016】これにより,上流室側の多孔体の気孔径が大きく,一方,下流室側の多孔体の気孔径が小さくなる。そのため,煤は上流室側の気孔径の大きい隔壁で捕集されるために煤の捕集効率が向上する。また,捕集した煤の燃焼特性を更に向上させることができる。
【0017】なお,第1層の厚みは,隔壁の全体厚みに対して20〜98%の範囲,第2層は隔壁の全体厚みに対して2〜80%の厚みが望ましい。第1層の厚みが隔壁の全体厚みに対して20%未満の場合,又は第2層の厚みが隔壁の全体厚みに対して80%を超える場合には,隔壁の表面に煤が堆積して目詰まりをおこし燃焼効率が低下するおそれがある。一方,第1層の厚みが隔壁の全体厚みに対して98%を超える場合,又は第2層の厚みが隔壁の全体厚みに対して2%未満の場合には,隔壁を通過する煤の割合が大きくなり,煤の捕集効率が低下するおそれがある。
【0018】一方,第1層において,気孔径が20〜200μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,第1層における全貫通気孔の気孔容積の合計に対して60%未満では,気孔径が20μm未満又は200μmを超える貫通気孔が多くなる。そして,気孔径が20μm未満の貫通気孔が多くなると,煤はフィルタの表面に捕集されるおそれがある。そのため,圧力損失が高くなり,煤の燃焼特性が悪くなるおそれがある。また,気孔径が200μmを越える貫通気孔が多くなると,煤の燃焼特性が悪くなるおそれがある。
【0019】また,第2層において,気孔径が5〜20μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,全貫通気孔(隔壁を構成する多孔体全体における全貫通気孔)の気孔容積の合計に対して70%未満では,気孔径が5μm未満又は20μmを超える貫通気孔が多くなる。そして,気孔径が5μm未満の気孔が多くなると,圧力損失が高くなる。また,20μmを越える気孔が多くなると,煤が隔壁を通過する割合が大きくなり,捕集効率が低下するおそれがある。
【0020】次に,多孔体の表面及び貫通気孔の表面には,多孔体における熱伝導性を向上させるための熱伝導制御物質を設けることが好ましい。これにより,フィルタの熱伝導性が向上するため,煤の燃焼効率を高めることが出来る。上記熱伝導制御物質は,多孔体材料よりも熱伝導率が高い材質であることが好ましい。これにより,煤の燃焼効率を更に高めることができる。上記熱伝導制御物質としては,例えば,SiC,AlN,Al2 3 ,BeO等を用いることができる。
【0021】次に,上記多孔体の表面及び貫通気孔の表面には,触媒を担持してなることが好ましい。これにより,煤の燃焼特性をより一層向上させることができる。上記触媒としては,例えば,パラジウム(Pd),白金(Pt),ロジウム(Rh)等の貴金属触媒と,酸化セリウム,酸化プラセオジウム,酸化サマリウム等の酸化物触媒との組合せを用いることが出来る。また,酸化物触媒としては,酸化セリウム,酸化プラセオジウム,酸化サマリウムから一部酸素が欠乏した不定比性酸化物(non−stoichiometric oxid)及び他の元素との固溶体(solid solution)を用いることもできる。
【0022】上記触媒は,直接コージェライトあるいはSiC等の多孔体の表面,又は貫通気孔の表面に担持しても良い。また,Al2 3 ,SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 等の酸化物粉末をコートした後に,上記触媒を担持しても良い。また,触媒とAl2 3 ,SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 等の酸化物粉末の混合粉を多孔体に担持しても良い。また,上記熱伝導制御物質を,フィルタ隔壁(多孔体)の表面および貫通気孔の表面に付着した後に,上記触媒を担持しても良い。また,熱伝導制御物質又は触媒の少なくとも一方と,酸化物粉末との混合物を担持しても良い。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施形態例1及び比較例1本発明の実施形態例1にかかる排気ガス浄化用フィルタについて,図1〜図5を用いて, 比較例1とともに説明する。本例の排気ガス浄化用のフィルタ1は,図1に示すごとく,多数の気孔を有する多孔体よりなる隔壁15により上流室11と下流室12とを区画している。排気ガス浄化用フィルタ1は,排気ガス5を上流室11に導入し,隔壁15を通過させて下流室12に流出させることにより,排気ガス5を浄化する。
【0024】排気ガス浄化用フィルタ1は,直径30mm,長さ50mmの円柱状であり,軸方向に複数のセルをハニカム状に設けている。各セルは,その一端部において開口している。一方のセルは,フィルタの入口側71が開口した上流室11であり,出口側72は封止栓10により閉塞されている。他方のセルは,出口側72が開口した下流室12であり,入口側71は封止栓10により閉塞されている。
【0025】各上流室11と各下流室12とは,フィルタの隔壁15を介して互いに隣接している。排気ガス5は,上流室11に入り,隔壁15を通過する。このとき,排気ガス5に含まれる煤は,フィルタの隔壁15に捕集される。これにより,排気ガス5中に含まれる煤は,浄化される。その後,浄化された排気ガス5は下流室12に流出して,フィルタ1の出口側71に排出される。
【0026】上記排気ガス浄化用フィルタの製造方法について説明する。まず,焼成後コージェライトの組成になるように,所定の割合のカオリン,タルク,アルミナ(いずれも粒径1μm以下)をボールミルにて12時間混合した後,この粉末を49重量%,バインダー(商品名:セランダー)13重量%,造孔材としての黒鉛粒子(50〜300μm)を20重量%,水18重量%を配合して混練した。次いで,押出し成形によって直径35mm,長さ55mmのハニカム状の成形体を得た。
【0027】次に,この成形体の脱脂を行い,大気雰囲気下で1440℃で2時間焼成した。その後,各セルの端部に封止栓を詰め,熱処理を施した。これにより,多数の気孔を有するコージェライト多孔体からなる排気ガス浄化用フィルタを得た。
【0028】一方,比較のために,多孔体におけるすべての気孔の直径が30μm以下のフィルタを製造するために,造孔材として粒径10〜30μmの黒鉛粒子を20重量%配合する以外は,実施形態例1と同様にして多孔体を製造した。これを比較例1とした。
【0029】次に,本例の多孔体及び比較例1の多孔体の気孔の直径を,水銀圧入法により測定し,その結果を図12に示した。図12より明らかなように,本例のフィルタの気孔分布は,5〜20μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が,多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計に対して40%であった。また,20〜200μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔は,多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計に対して50%であった。また,5μm未満又は200μmを越える範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計は,多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計の10%であった。一方,比較例1のフィルタの気孔分布は,30μmを超える貫通気孔は全くなく,平均細孔径は15μmであった。
【0030】次に,排気ガス浄化用フィルタに煤を捕集させて煤の燃焼特性を評価した。評価に供した排気ガス浄化用フィルタは,本例のフィルタと,上記比較例1のフィルタである。
【0031】煤の燃焼特性は,図2に示すごとく,煤燃焼試験機3により測定した。この煤燃焼試験機3は,排気ガス浄化用フィルタ1に,軽油の燃焼によって生じた煤を予め捕集させておき,空気51を昇温させながら入口側71から導入し,フィルタの出口側72へ排出させた。空気51の温度は,フィルタの入口側71に取り付けた温度計30により測定した。そして,フィルタの出口側72にCO,CO2 検出計31を取り付けた。煤が燃焼するとCO及びCO2 が発生するため,COとCO2 の合計発生量により,煤の燃焼特性を評価した。媒の着火温度をCOとCO2 の合計発生量を5ppmとした場合,煤の着火温度は380℃であった。
【0032】上記煤の燃焼特性の測定結果を,図3に示した。同図より,本例のフィルタでは,380℃から煤が燃焼し始めた。これに対し,比較例1のフィルタでは,480℃から煤が燃焼し始めた。これらのことから,本例のフィルタによれば,比較例1に比べて,煤の燃焼温度を約100℃低くできることがわかる。
【0033】次に,フィルタに捕集された煤の燃焼速度を測定した。この測定に当たり,本例のフィルタ及び比較例1のフィルタに同量の煤を捕集させて,空気51を昇温させながら入口側71に導入し,煤が燃焼してからCOとCO2 の合計発生量が400ppmになるまでの時間から燃焼速度を調べた。その結果,本例のフィルタに捕集された煤は,比較例1のフィルタに捕集された煤に比べて,約2倍速く燃焼した。
【0034】次に,フィルタにおける煤の捕集状態を調査した。調査方法は,煤を捕集したフィルタを切断しその断面を調べた。その結果,本例の排気ガス浄化用フィルタ1においては,図4に示すごとく,煤6は,フィルタの隔壁15の表面だけでなく,隔壁内部に設けた貫通気孔19の内部においても捕集されていた。特に,フィルタの上流室11の近傍で,多量の煤6が捕集された(図4の網状の線影)。一方,比較例1では,図5に示すごとく,上流室11の側における隔壁95の表面のみに煤96が捕集されており(図5の右上がりの線影),気孔99の内部には捕集されていなかった。
【0035】次に,排気ガス浄化用フィルタによる煤の捕集効率を測定した。煤の捕集効率の測定に供した排気ガス浄化用フィルタは,本例のフィルタと比較例1のフィルタである。煤の捕集効率は,フィルタの下流側に取り付けたスモーク計により測定した。その結果,本例のフィルタの捕集効率は95%であり,比較例1のフィルタの捕集効率98%に比べて僅かに低いものの,実用上問題のない数値であった。
【0036】次に,フィルタの圧力損失を測定した。圧力損失の測定に当たり,フィルタの入口側および出口側に圧力計を設置した。そして,煤を含む空気をフィルタに導入して,双方の圧力計により空気圧を測定した。入口側の空気圧に対する出口側の空気圧の相対差圧をもとめ,これを圧力損失とした。その結果,本例のフィルタの圧力損失は,比較例1に比べて,約20%程度低くなり,実用上有利である。
【0037】実施形態例2本例の排気ガス浄化用フィルタは,図6に示すごとく,フィルタの隔壁16が,上流室11に面する上流部161と,下流室12に面する下流部162とからなる2層構造を有している。
【0038】上流部161には,気孔径が20〜200μmの範囲内の貫通気孔の気孔容積の合計が第1層における全貫通気孔の気孔容積の合計に対して90%である多孔体(第1層)を配置している。一方,下流部162には,気孔径が5〜20μmの範囲内の貫通気孔の気孔容積の合計が多孔体全体の第2層における気孔容積の合計に対して90%有する多孔体(第2層)を配置している。
【0039】次に,上記排気ガス浄化用フィルタの製造方法について説明する。まず,実施形態例1と同様にして,ハニカム状のコージェライト多孔体を得た。ただし,造孔材としての黒鉛粒子の粒径は5〜30μmとした。
【0040】次いで,この多孔体を泥漿にディッピングして,隔壁における下流室側の多孔体にだけ泥漿を付着させた。泥漿は,粒径0.5μmのコーディエライト粉末50.65重量%に,分散材としてポリカルボキシアンモニウムを0.85重量%,造孔材としての黒鉛粒子(粒径20〜300μm)を20重量%,水を25重量%添加し,ボールミルにより12時間混合分散を行い,更に硬化性樹脂としてポリビニルアルコール(PVA)を3.5重量%添加し,更に混合分散して調製した。次いで,付着した泥漿を乾燥し,脱脂した。
【0041】次いで,大気雰囲気下で,1400℃で2時間焼成した。これにより,図6に示すごとく,直径が20〜200μmの貫通気孔を有する上流部161と,直径が5〜20μmの貫通気孔を有する下流部162とからなる2層構造の排気ガス浄化用フィルタ2を製造した。
【0042】この排気ガス浄化用フィルタについて,実施形態例1に示す方法で煤の燃焼特性を評価した。煤の大部分は,大きい貫通気孔(気孔径20〜200μm)を有する上流部161内で捕集された。また,煤の着火温度は380℃と低く,また,煤の燃焼速度も,実施形態例1で示した比較例1の約2倍であった。また,本例のフィルタの圧力損失も,実施形態例1とほぼ同様であり,煤の捕集効率も,比較例1と同様であった。
【0043】実施形態例3本例の排気ガス浄化用フィルタは,隔壁の表面及び気孔の表面に,触媒を担持した点が,実施形態例1と相違する。触媒としては,セリアを用いた。本例の排気ガス浄化用フィルタを製造するに当たっては,まず,実施形態例1と同様にしてハニカム状のコージェライト多孔体を得た。次いで,この多孔体を硝酸セリア溶液に浸漬した。次いで,大気中,500℃で2時間焼成した。これにより,上流室と下流室とを区画する隔壁の表面,及び気孔の内部に,セリアを固相析出させた。セリアの担持量は,フィルタ重量の10%とした。
【0044】セリアを担持したフィルタにより捕集された煤の燃焼特性について,実施形態例1と同様の方法で評価した。その結果,セリアを担持したフィルタは,煤の着火温度が350℃であった。一方,セリアを担持しない実施形態例1のフィルタの場合には,煤の着火温度が380℃であった。このことから,セリアの担持により,煤の着火温度が,担持しない場合に比べて30℃低下したことがわかる。これらの効果は,CeO2 の出発原料として粉末を用いた場合にも同様に認められた。
【0045】また,セリアを担持したフィルタに,更にパラジウム,白金を担持したフィルタについても煤の燃焼特性を評価した。その結果,煤の着火温度が320〜330℃と,更に低くなった。このことから,触媒として,セリア,パラジウム,白金を担持することにより,フィルタに捕集した煤の燃焼特性を向上させることができることがわかる。
【0046】実施形態例4本例においては,排気ガス浄化用フィルタを自動車に取り付けて,実使用環境において煤の捕集状態及びエンジン負荷の変化を測定した。排気ガス浄化用フィルタは,実施形態例1と同様に製造したもので,その大きさは外径140mm,長さ150mmである。図7に示すごとく,排気ガス浄化用フィルタ1は,ディーゼルエンジン81の後方に取り付けた。フィルタの入口側71及び出口側72の双方に圧力計82を設置した。また,入口側71には,温度計86を取り付けた。そして,ディーゼルエンジン81への負荷を変化させて,フィルタに捕集される煤の燃焼特性を測定した。
【0047】その結果,エンジンへの負荷が小さいときは,排気ガス温度が低いために,フィルタに煤が捕集され,圧力損失が大きくなった。そして,エンジンへの負荷が大きくなると,排気ガス温度が高くなり,フィルタに捕集された煤が燃焼し始め,フィルタの圧力損失が一定となった。これは,ディーゼルエンジンから排出される煤の量とフィルタで煤が燃焼する量とが同じになったためである。この圧力損失が一定となったときのフィルタの入口側71の温度は,430℃であった。
【0048】一方,気孔の直径が1〜30μmのフィルタ(比較例1)について,実施形態例1のフィルタと同様の測定を行った。その結果,フィルタの圧力損失が一定になったときのフィルタの入口側の温度は520℃であった。このことから,本例のフィルタは,比較例1に比べて約90℃低い温度で煤が燃焼し始めたことになり,本例のフィルタは煤の燃焼特性が優れていることがわかる。
【0049】実施形態例5本例のフィルターを製造するに当たっては,焼成後コージェライトの組成になるように所定の割合のカオリン,タルク,アルミナを混合した後,この粉末を49重量%,バインダー(セランダー)13重量%,粒径50〜200μmの黒鉛粒子を15重量%,粒径200〜300μmの黒鉛粒子を5重量%,水18重量%を配合し混練した。その他は,実施形態例1と同様に多孔体を得た。
【0050】多孔体の気孔分布は,多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計に対する,5〜20μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が70%であり,20〜200μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔が25%であり,5μm未満又は200μmを越える範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が5%であった。本例のフィルタの煤燃焼特性を実施形態例1と同様にして測定した。本例のフィルタの煤着火温度は,400℃であった。煤捕集効率は95%であった。
【0051】実施形態例6本例のフィルターを製造するに当たっては,造孔材として,粒径50〜200μmの黒鉛粒子を5重量%,粒径200〜300μmの黒鉛粒子を15重量%配合した以外は,実施形態例1と同様にして多孔体を得た。
【0052】本例のフィルタの気孔分布は,多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計に対する,5〜20μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が35%であり,20〜200μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔が60%であり,5μm未満又は200μmを越える範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が5%であった。本例のフィルタの煤燃焼特性を実施形態例1と同様にして測定した。本例のフィルタの煤着火温度は,380℃であった。煤捕集効率は93%であった。
【0053】比較例2本例のフィルターを製造するに当たっては,粒径50〜200μmの黒鉛粒子を2重量%,及び粒径200〜300μmの黒鉛粒子を18重量%配合する以外は,実施形態例1と同様にして多孔体を得た。
【0054】本例の多孔体の気孔分布は,多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計に対する,5〜20μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が20%であり,20〜200μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔が70%であり,5μm未満又は200μmを越える範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が10%であった。本例のフィルタの煤燃焼特性を実施形態例1と同様にして測定した。 本例のフィルタの煤着火温度は,440℃であった。煤捕集効率は80%であった。
【0055】比較例3本例のフィルターを製造するに当たっては,粒径50〜200μmの黒鉛粒子を18重量%,及び粒径200〜300μmの黒鉛粒子を2重量%配合する以外は,実施形態例1と同様にして多孔体を得た。
【0056】本例の多孔体の気孔分布は,多孔体における全貫通気孔の気孔容積の合計に対する,5〜20μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が85%であり,20〜200μmの範囲内の気孔径を有する貫通気孔が10%であり,5μm未満又は200μmを越える範囲内の気孔径を有する貫通気孔の気孔容積の合計が5%であった。 本例のフィルタの煤燃焼特性を実施形態例1と同様にして測定した。本例のフィルタの煤着火温度は,470℃であった。煤捕集効率は95%であった。
【0057】なお,上記フィルタ(実施形態例1,5,6,比較例1〜3)の煤の捕集特性及び燃焼特性について,表1にまとめて示した。また,各フィルタの細孔分布を,図11に示した。これらより,多孔体における,水銀圧入法により測定された気孔径が5〜20μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,全貫通気孔の気孔容積の合計に対して30〜80%の範囲内にあり,かつ,多孔体における,水銀圧入法により測定された気孔径が20〜200μmの範囲内にある貫通気孔の気孔容積の合計が,全貫通気孔の気孔容積の合計に対して20〜70%の範囲内にある場合には,煤着火温度が低く,かつ煤捕集効率が高いことがわかる。
【0058】
【表1】

【0059】
【発明の効果】本発明によれば,煤の捕集効率及び燃焼特性に優れた排気ガス浄化用フィルタを提供することができる。




 

 


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