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発明の名称 溶湯の鋳型中での充填状態解析装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−137926
公開日 平成10年(1998)5月26日
出願番号 特願平8−312950
出願日 平成8年(1996)11月8日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
発明者 岩田 靖 / 堀江 俊男
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】鋳型を微小体積のセルに分割するセル生成手段と、鋳造条件である流入溶湯の温度と流速、鋳型の温度と形状、溶湯の物性を入力する初期値入力手段と、各セルの溶湯の流速と温度に基づいて各セルの微小時間毎の粘性係数を算出する粘性係数算出手段と、前記初期値入力手段で入力された初期値と前記粘性係数算出手段により算出された各セルにおける粘性係数に基づいてナビア−ストークス(Navier−stokes)の式、連続の式及びエネルギの式により各セルの微小時間毎の溶湯の流速と温度を算出する溶湯流速及び温度算出手段と、前記溶湯流速及び温度算出手段により得られた各セルの各時間における溶湯の流速より溶湯の移動量を演算して微小時間毎の溶湯位置を把握する溶湯充填状態解析手段と、を有することを特徴とする溶湯の鋳型中での充填状態解析装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Al−Si系合金等の溶湯を鋳型中に充填したときの挙動を解析する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶湯を鋳型中に充填するときの挙動を解析する方法は、鋳型を各単位体積のセルに分割し、予め入力した流入溶湯の温度と流速、鋳型の温度、形状を基にして、各セルの微小時間毎の溶湯の流速と温度をナビア−ストークス(Navier−stokes)の式、連続の式、エネルギ式を用いて計算し、その結果求められた各セルの溶湯の流速から溶湯の位置を演算する方法であった。しかし、従来の方法ではその計算過程において用いられる粘性係数は一定値であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように一定値の粘性係数を用いて計算すると、充填に伴う温度低下により溶湯中に晶出した固相による流動抵抗が考慮されず、実測の溶湯充填とは大きく異なっていた。よって本発明の目的は、溶湯の実際の粘性係数に近い値の粘性係数を用いて演算することにより、精度よく溶湯の鋳型中での充填状態を解析する装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の溶湯の鋳型中での充填状態を解析する装置は、鋳型を微小体積のセルに分割するセル生成手段と、鋳造条件である流入溶湯の温度と流速、鋳型の温度と形状を入力する初期値入力手段と、各セルの溶湯の流速と温度に基づいて各セルの微小時間毎の粘性係数を算出する粘性係数算出手段と、初期値入力手段で入力された初期値と粘性係数算出手段により算出された各セルにおける粘性係数に基づいてナビア−ストークス(Navier−stokes)の式、連続の式及びエネルギの式により各セルの微小時間毎の溶湯の流速と温度を算出する溶湯流速及び温度算出手段と、溶湯流速及び温度算出手段により得られた各セルの各時間における溶湯の流速より溶湯の移動量を演算して微小時間毎の溶湯位置を把握する溶湯充填状態解析手段とを有することを特徴とする。本発明において、鋳型中での充填状態を解析する溶湯としてはAl合金が適するが、その他の合金または金属にも適用することができる。また、上記Al合金の中でもAl−Si系合金が最適である。
【0005】また、上記の粘性係数演算手段において、溶湯の種類が亜共晶Al−Si系合金の場合には、以下の数式により各セルの流速と温度より各セルにおける粘性係数を求めるのが望ましい(この内容を第2の発明という)。
【数 1】
μ=(1/a)[{b×exp(c×fs)−d×exp(e×fs)}×u −{b×exp(c×fs)−10.0×d×exp(e×fs)}] …(1) ただし、μは粘性係数、uは流速、fsは固相率とし、7<a<10、0.75<b<1.5、15<c<18、1<d<2、22<e<25である。又、上記の式(1)の係数をa=9、b=1.25、c=16.3、d=1.37、e=23.2とするのが望ましい(この内容を第3の発明という)。
【0006】また、上記の粘性係数演算手段において、溶湯の種類が共晶Al−Si系合金または過共晶Al−Si系合金の場合には、以下の数式により各セルの流速と温度より各セルにおける粘性係数を求めるのが望ましい(この内容を第4の発明という)。
【数 2】
μ=(1/a)[{b×exp(c×fs)−d×exp(e×fs)}×u −{b×exp(c×fs)−10.0×d×exp(e×fs)}] …(2) ただし、μは粘性係数、uは流速、fsは固相率とし、7<a<10、12<b<18、12<c<15、95<d<100、10<e<16である。又、上記の式(2)の係数をa=9、b=15.0、c=13.19、d=99.5、e=13.93とするのが望ましい(この内容を第5の発明という)。
【0007】また、上記の粘性係数演算手段において求めた粘性係数の値が3000mPa以上となったセルは固体として取扱い、そのセルの溶湯は移動しないものとして溶湯流速及び温度算出手段及び溶湯充填状態解析手段を実施するのが望ましい(この内容を第6の発明という)。
【0008】
【発明の作用及び効果】本発明の溶湯の鋳型中への充填挙動の解析装置は、鋳型を微小体積のセルに分割し、そのセルにおける溶湯の流速を微小時間毎に求めることにより微小時間毎の溶湯の移動量を求め、充填状態を解析する。各セルにおける溶湯の流速を求めるには、鋳造条件である流入溶湯の温度と流速、鋳型の温度と形状、溶湯の物性等の初期条件を与え、ナビア−ストークス(Navier−stokes)の式、連続の式及びエネルギの式を用いて各セルの微小時間毎の溶湯の流速及び温度を求めればよい。上記の3式は何れも時間及び位置に関する微分式で与えられる。また、上記3式において変数として与えられるのは、溶湯の流速、温度及び粘性係数である。溶湯の流速及び温度は粘性係数が与えられれば他の定数は既知なので、上記の3式の微分式を時間と位置に関する差分式に変形して逐次解析をすることにより求めることができる、即ち、ある時間のある位置における溶湯の流速及び温度は、求めようとする位置における微小時間前の溶湯の流速及び温度と求めようとする位置の近傍の溶湯の流速及び温度より差分式を用いて求めることができる。粘性係数は上記の3式より求めることはできないが、溶湯の流速及び温度が与えられれば求めることができる。よって、上記3式の変数である溶湯の流速、温度及び粘性係数を逐次解析することにより溶湯の鋳型中での充填状態を解析することができる。この結果、従来の粘性係数を一定値として上記の3式により溶湯の温度及び流速の充填状態を解析する装置よりも、精度良く溶湯の充填状態を解析することができる。
【0009】第2乃至第5の発明は、溶湯の流速及び温度より求める粘性係数の式を与えるものである。溶湯の流速及び温度と粘性係数の関係は実際の鋳物の粘性係数を測定することにより求めた。第2乃至第5の発明の何れの数式にも直接溶湯の温度が変数として与えられていないが、固相率は溶湯の温度の関数であるので溶湯の流速及び温度を与えることにより粘性係数を求めることができる。溶湯の種類が亜共晶Al−Si系合金であるならば、第2の発明の数式を用いて粘性係数を溶湯の流速と温度より求めることにより精度良く溶湯の充填状態を解析することができる。第2の発明の数式においては係数がある範囲の値ならば精度良く溶湯の充填状態を解析できるとしたが、係数を第3の発明の数値とすることによりさらに精度良く溶湯の充填状態を解析することができる。溶湯の種類が共晶Al−Si系合金又は過共晶Al−Si系合金であるならば、第4の発明の数式を用いて粘性係数を溶湯の流速と温度より求めることにより精度良く溶湯の充填状態を解析することができる。第4の発明の数式においては係数がある範囲の値ならば精度良く溶湯の充填状態を解析できるとしたが、係数を第5の発明の数値とすることによりさらに精度良く溶湯の充填状態を解析することができる。
【0010】第6の発明は、求めた粘性係数が3000mPa以上の場合、そのセルを固体として取り扱い、そのセル溶湯は移動しないものとして取り扱うことを特徴とする。このように取り扱うことにより、精度を落とすことなく計算負荷を軽くすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。図1に示すように、本発明はコンピユータシステムで構成されている。即ち、各種の演算を実行するCPU10、初期値データを記憶する初期値記憶領域121、粘性係数演算手段により演算された粘性係数を記憶する粘性係数記憶領域122の形成されたRAM12、この溶湯充填解析を行うプログラムの記憶されたROM13、各種データを入力するためのキーボード15と結果を表示するCRT14とプリンタ11で構成されている。
【0012】図2は本発明の溶湯解析方法を表すフローチャートである。まず、ステップ100にて鋳型を微小体積のセルに分割する。微小体積のセルに分割した鋳型を図3(c)及び(d)に示す。溶湯の充填状態はこの微小体積のセル毎に解析を行う。次に、ステップ102にて初期条件の入力を行う。入力をするのは、鋳造の条件である流入溶湯の温度と流速、鋳型の温度と形状、溶湯の物性である。
【0013】次に、ステップ104にて各セルにおける溶湯の流速と温度をナビア−ストークス(Navier−stokes)の式、連続の式、エネルギの式により求める。ナビア−ストークス(Navier−stokes)の式、連続の式、エネルギの式は以下の数式にて表される。ナビア−ストークス(Navier−stokes)の式は【数 3】
ρ・(dv/dt)=−∇p+μ∇2 v+ρb …(3)
ただし、ρは溶湯の密度、vは溶湯の流速で時間と位置の関数であり、pは圧力、μは溶湯の粘性係数で時間と位置の関数であり、bは単位質量あたりの外力である。連続の式は、【数 4】∇・v=0 …(4)
ただし、vは溶湯の流速で時間と位置の関数である。エネルギの式は、【数 5】
ρcv ・(dT/dt)=k∇2 T+Φ+ρr …(5) ただし、ρは溶湯の密度、cv は定容比熱、Tは溶湯の温度で時間と位置の関数であり、kは温度伝導率、Φはの単位体積単位時間あたりの消散エネルギ、rは単位質量あたりの熱源の強さである。
【0014】上記の微分方程式において時間及び位置の関数として与えられるのは、溶湯の流速、温度及び粘性係数である。上記の数式の変数の一つである粘性係数は、時間が0のときは初期値として与えられるが、それ以降の時間における各セルの各時間における粘性係数は上記の3式を用いて解くことができない。しかし、時間が0のとき以外の粘性係数は後述するステップ108にて、微小時間前の溶湯の流速と温度より求めることができる。
【0015】時間0のとき以外はステップ104はステップ108の次に実行されるので、ステップ108で求められる粘性係数を用いて上記の3式より溶湯の流速と温度を求める。しかし、微分方程式のままでは、溶湯の流速と温度を求めることは困難なので、上記の微分方程式を差分方程式に変形し、ある時間のある位置における溶湯の流速及び温度を、求めようとする位置における微小時間前の溶湯の流速及び温度と求めようとする位置の近傍の溶湯の流速及び温度を用いて求める。
【0016】次に、ステップ106にてステップ104にて求めた各セルの流速から溶湯の移動量を計算し、その移動量から溶湯位置を把握する。各セルにおける溶湯の移動量を求めることにより、鋳型中にどこまで溶湯が充填されているかを把握することができる。この結果、溶湯の鋳型中での充填状態を解析することができる。
【0017】次に、ステップ108にて各セルの流速と温度から粘性係数を計算する。粘性係数の計算は溶湯が亜共晶Al−Si系合金の場合は第2の発明あるいは第3の発明の数式を、共晶Al−Si系合金あるいは過共晶Al−Si系合金の場合は第4の発明あるいは第5の発明の数式を用いて演算する。第2の発明乃至第5の発明の数式は何れも溶湯の流速と固相率より粘性係数を求める数式である。しかし、固相率は溶湯の温度から求められる値であるので、粘性係数は各セルの溶湯の流速と温度より求めることができる。次に、ステップ104に戻り、ステップ108にて求めた粘性係数を用いて溶湯の流速と温度を演算する。
【0018】ステップ104からステップ108が1つのサイクルてあり、1サイクル分の演算を行うことにより、各セルにおけるある時間での溶湯の流速、温度及び粘性係数が求められ、ある時間での溶湯の鋳型中での充填状態を求めることができる。1サイクルが終了したら、時間を微小時間経過させて、微小時間後の各セルにおける溶湯の流速、温度及び粘性係数を求め、微小時間後の溶湯の鋳型中での充填状態を求めることができる。上記のサイクルを繰り返すことにより、各セルにおける微小時間毎の溶湯の流速、温度及び粘性係数を求めることができ、その結果微小時間毎の溶湯の鋳型中での充填状態を解析することができる。微小時間毎に各セルでの粘性係数を求めているので、従来の方法に比べて精度良く各セルでの溶湯の流速及び温度を求めることができ、その結果溶湯の鋳型中での充填状態を精度よく求めることができる。
【0019】上記の実施例において、第6の発明に示すようにステップ108での粘性係数の演算結果が3000mPa以上となったセルを固体のセルとして取扱い、そのセルの溶湯は移動しないものとして取扱いをして、ステップ104の溶湯の流速と温度、ステップ106の溶湯の移動量を演算してもよい。これにより、計算負荷を軽くすることができ、しかも解析精度をあまり落とさずに溶湯の充填状態を解析することができる。
【0020】実際に溶湯の充填状態を測定した結果と、上記フローチャートにて演算した結果及び従来の方法で演算した結果を比較する。図3(a)及び(b)に示す鋳型1の上面にパイレックスガラスを設置して各種のAl−Si系合金の溶湯を、注湯温度を合金の液相線温度に50℃加えた温度で流速2m/sにて射出した。溶湯の充填状態は合金の種類によらずほぼ同一の充填状態を示した。このときの溶湯の充填状態を可視化した模式図を図4に示す。図4で分かるように、溶湯2は流入後0.18秒後に鋳型1の上面に衝突し上面に沿って流れる。0.28秒後には上面に沿って流れた溶湯2の先端は凝固してそれ以上流れなくなる。そして、溶湯2の中央部から新たな溶湯が流出するために0.33秒後には図4(c)の充填状態になる。
【0021】次に、従来の方法である粘性係数を一定として演算した結果を図5に示す。流入後0.18秒後までは実測結果である図4とほぼ同一の状態であるが、0.28秒後に溶湯2の先端が凝固するという演算結果を得ることができないので、引き続き先端から溶湯2が流出するという仮定にもとづいて演算が進められるために0.33秒後の演算結果が実測結果である図4と大きく異なっている。
【0022】次に、亜共晶Al−Si系合金の場合には第3の発明の数式を、過共晶Al−Si系合金の場合には第5の発明の数式を粘性係数演算手段にて用いて上記フローチャートに従って演算した。その結果、亜共晶Al−Si系合金の場合も過共晶Al−Si系合金の場合もほぼ同一の演算結果を得た。その演算結果を図6に示す。本発明の演算結果である図6と実測結果である図4を比較すると、流入後0.18秒後に鋳型1の上面に衝突し上面に沿って流れ、0.28秒後には上面に沿って流れた溶湯2の先端は凝固してそれ以上流れなくなり溶湯2の中央部から新たな溶湯が流出し、0.33秒後には図4(c)とほぼ同じ状態となることが分かる。
【0023】次に、粘性係数が3000mPa以上のセルは溶湯が移動しないと仮定して演算対象から外して演算した結果を図7に示す。溶湯2は流入後0.18秒後に鋳型1の上面に衝突し上面に沿って流れ、0.28秒後には上面に沿って流れた溶湯2の先端は凝固してそれ以上流れなくなり溶湯2の中央部から新たな溶湯2が流出する状態になる演算結果を得ており、また、0.33秒後の状態も若干の誤差が認められるが図4(c)とほぼ同じ状態となっており、精度良く溶湯の充填状態を演算できていることがわかる。以上の結果により、本発明の演算方法は従来の演算方法より精度良く演算できることがわかる。
【0024】上記実施例は、図1に示すようなコンピュータシステムにより解析を行っているが、ROM13に記憶されている溶湯の充填状態を解析するプログラムをフロッピィディスクやCD−ROM等の記憶媒体に記憶して、その記憶媒体に記憶されているプログラムを実行できる装置にプログラムを読み込ませて溶湯の充填状態を解析してもよい。




 

 


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