米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> 株式会社豊田中央研究所

発明の名称 排ガス浄化用触媒及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−85600
公開日 平成10年(1998)4月7日
出願番号 特願平9−53208
出願日 平成9年(1997)3月7日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
発明者 長井 康貴 / 坂野 幸次 / 杉浦 正洽
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 排ガス中の少なくとも炭化水素を酸化して浄化する排ガス浄化用触媒であって、酸化ジルコニウム粒子と触媒貴金属を含み、該触媒貴金属の担持総量の50%以上が高酸化状態で存在していることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項2】 排ガス中の少なくとも炭化水素を酸化して浄化する排ガス浄化用触媒の製造方法であって、焼成により酸化物となる固体水酸化物に触媒貴金属を担持する担持工程と、該触媒貴金属を担持した固体水酸化物を酸化性雰囲気下700℃以下の温度で焼成する焼成工程と、を有してなることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。
【請求項3】 前記焼成工程は水蒸気を3体積%以上含む酸化性雰囲気下で行うことを特徴とする請求項2記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関、特にディーゼルエンジンから排出される排ガス中の少なくとも炭化水素(HC)を低温域から酸化浄化でき、さらに高温域においても二酸化硫黄(SO2 )の酸化を抑制してサルフェートの排出を抑制できる排ガス浄化用触媒と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガソリンエンジンについては、排ガスの厳しい規制とそれに対処できる技術の進歩により、排ガス中の有害物質は確実に減少している。しかしディーゼルエンジンについては、有害成分が主としてパティキュレートとして排出されるという特異な事情から、規制も技術の開発もガソリンエンジンに比べて遅れており、確実に浄化できる排ガス浄化触媒の開発が望まれている。
【0003】現在までに開発されているディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒としては、大きく分けてトラップを用いる方法(触媒無しと触媒付き)と、オープン型酸化触媒とが知られている。このうちトラップを用いる方法は、ディーゼルパティキュレートを捕捉してその排出を規制するものであり、特にドライスーツの比率の高い排ガスに有効である。しかしながらトラップを用いる方法では、捕捉されたディーゼルパティキュレートを焼却するための再生処理装置が必要となり、再生時の触媒構造体の割れ、アッシュによる閉塞あるいはシステムが複雑になるなど、実用上多くの課題を残している。
【0004】一方オープン型酸化触媒は、例えば特開平1−171626号公報に示されるように、ガソリンエンジンと同様に活性アルミナなどの担持層に白金族金属などの触媒金属を担持した触媒が利用され、COやHCとともに可溶性有機成分(SOF)を酸化分解して浄化している。このオープン型酸化触媒は、ドライスーツの除去率が低いという欠点があるが、ドライスーツの量はディーゼルエンジンや燃料自体の改良によって低減することが可能であり、かつ再生処理装置が不要という大きなメリットがあるため、今後の一段の技術の向上が期待されている。
【0005】ところがオープン型酸化触媒は、高温下ではSOFを効率良く分解可能であるが、低温条件では触媒金属の触媒作用が低くSOFの浄化性能が低下するという欠点がある。そのためエンジン始動時やアイドリング運転時などには、排ガスの温度が低く、未分解のSOFがハニカム通路内に堆積する現象が起こる。そして堆積したSOFにより触媒に目詰まりが生じ、触媒性能が低下するという不具合があった。
【0006】一方、触媒の酸化性能を向上させて低温域でのHCやSOFの浄化性能を向上させると、排ガス中のSO2 までも酸化されてSO3 が生成し、サルフェートとなって逆にパティキュレート量が増大するという問題がある。これは、SO2 はパティキュレートとして測定されないが、サルフェートはパティキュレートとして測定されるためである。サルフェート生成によるパティキュレートの増大は高温域で著しく、特にディーゼルエンジンにおいては排ガス中に酸素ガスが多く存在し、SO2 の酸化反応が生じやすい。
【0007】そこで特開昭59−36545号公報には、活性アルミナ担体にPtを担持し、さらに700〜1000℃の温度で熱処理することによりPtに粒成長を生じさせ、SO2 の酸化を抑制する方法が開示されている。しかしながらPtに粒成長させる方法では、Ptの酸化活性が抑制され、HC、CO及びSOFの浄化性能も低下してしまうという不具合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来の排ガス浄化用触媒では、HCやSOFの浄化性能の向上とSO2 の酸化の抑制とを両立させることが困難であった。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低温域におけるHCやSOFの浄化性能に優れ、かつ高温域においてもSO2 の酸化を抑制できる排ガス浄化用触媒及びその製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求項1に記載の排ガス浄化用触媒の特徴は、排ガス中の少なくとも炭化水素を酸化して浄化する排ガス浄化用触媒であって、酸化ジルコニウム粒子と触媒貴金属を含み、触媒貴金属の担持総量の50%以上が高酸化状態で存在していることにある。
【0010】そして上記排ガス浄化用触媒を製造する方法として最適な請求項2に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法の特徴は、排ガス中の少なくとも炭化水素を酸化して浄化する排ガス浄化用触媒の製造方法であって、焼成により酸化物となる固体水酸化物に触媒貴金属を担持する担持工程と、触媒貴金属を担持した固体水酸化物を酸化性雰囲気下700℃以下の温度で焼成する焼成工程と、を有してなることにある。
【0011】さらに請求項2に記載の製造方法をさらに特徴付ける請求項3に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法の特徴は、焼成工程は水蒸気を3体積%以上含む酸化性雰囲気下で行うことにある。
【0012】
【発明の実施の形態】触媒貴金属によるSO2 の酸化のメカニズムによれば、先ず触媒貴金属にSO2 が吸着する吸着過程が必要となることがわかっている。そこで本発明の排ガス浄化用触媒では、触媒貴金属の担持総量の50%以上が高酸化状態で存在している。この高酸化状態で存在する触媒貴金属には電子受容型吸着をするSO2 の吸着が困難となり、SO2 の酸化が抑制される。一方、高酸化状態でない、つまりメタル状態の貴金属にはSO2 が吸着し、容易にSO2 が酸化されてサルフェートが生成する。
【0013】一方、SOFの主成分はパラフィン類であり、パラフィン類やHCの酸化活性については、高酸化状態で存在する触媒貴金属と、メタル状態で担持された触媒貴金属との間にはほとんど差がない。したがって高酸化状態の貴金属を50%以上有してなる本発明の排ガス浄化用触媒は、HCやSOFの浄化活性を低下させることなく、SO2 の酸化によるサルフェートを抑制できるものである。
【0014】ここで、本発明の排ガス浄化用触媒を構成する触媒貴金属の酸化状態とは、触媒貴金属の酸化物あるいは触媒貴金属のδ+の状態などをいい、高酸化状態とは例えばPtであれば2価又は4価で存在している状態をいう。なおCOの酸化メカニズムによれば、触媒貴金属へのCOの吸着過程が必要となる。しかしCOはきわめて酸化されやすい物質であり、触媒貴金属の大部分が高酸化状態で存在していても十分な酸化活性を確保できる。
【0015】すなわち本発明の排ガス浄化用触媒によれば、CO、HC及びSOFの酸化活性を高く維持しつつ、SO2 の酸化を抑制できサルフェートの生成が抑制される。高酸化状態で存在する触媒貴金属が担持総量の50%未満では、触媒表面上のメタル(0価)状の触媒貴金属が増加し、SO2 の酸化抑制が困難となる。SO2 の酸化抑制に対しては、高酸化状態の触媒貴金属が多いほど好ましい。
【0016】なお触媒貴金属としては、Pt、Pd、Rhなどが例示されるが、HCの酸化活性に特に優れるPtを用いることが好ましい。この場合、Pt量は酸化ジルコニウム120gに対して0.005〜10gが望ましい。0.005gより少ないとHCの酸化活性が失われる。Pt量が0.005g以上であれば、高酸化状態のPtの効果が十分に発揮できる。しかし10gを超える量ではその効果が飽和し、コストも増大する。
【0017】そしてサルフェート生成を抑制するには、Ptは2価あるいは4価の高酸化状態であることが望ましいが、より効果を発揮させるにはPtの酸化状態は4価であることが望ましい。触媒貴金属を高酸化状態で存在させるためには、以下に説明する製造方法が有用である。
【0018】すなわち本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法では、先ず担持工程において焼成により酸化物となる固体水酸化物に触媒貴金属が担持され、次いで焼成工程においてその触媒貴金属を担持した固体水酸化物は酸化性雰囲気下700℃以下の温度で焼成される。これにより水酸化物は酸化物となり、そのときに触媒貴金属の50%以上が高酸化状態で存在するようになる。
【0019】焼成工程では、触媒貴金属を担持した固体水酸化物が酸化性雰囲気下700℃以下の温度で焼成される。この焼成は酸素過剰の酸化性雰囲気下であれば、どのような雰囲気であってもよい。また焼成温度が700℃を超えると、高酸化状態の触媒貴金属が50%未満となり、メタル化した触媒貴金属が酸化物表面に多く露出するため、SO2 の酸化を抑制することが困難となる。したがって焼成温度の上限を700℃とする。
【0020】水酸化物は300℃程度の焼成で容易に酸化物となるから、使用時の雰囲気が酸化性であり、使用時の温度が300℃以上となるのであれば本発明の排ガス浄化用触媒として十分に使用可能である。例えばディーゼルエンジンからの排気系に配置される排ガス浄化用触媒であれば、排ガス中には十分な酸素が存在し、排ガス温度も300℃以上となるから、焼成温度が300℃未満であっても使用時に触媒貴金属は50%以上が高酸化状態で存在し、予め300℃以上で焼成したものと同じ状態とすることができる。したがって焼成温度の下限は限定されない。
【0021】なお、水酸化物を確実に酸化物とすることができ、かつ触媒貴金属の50%以上を確実に高酸化状態で存在させるには、500〜600℃の焼成温度とすることが特に望ましい。さらに、請求項3に記載のように、焼成工程は水蒸気を3体積%以上含む酸化性雰囲気下で行うことが望ましい。これにより全触媒貴金属中に高酸化状態で存在する触媒貴金属の割合をさらに多くすることができ、SO2 の酸化をさらに抑制することができる。水蒸気量が3体積%に満たないと水蒸気を含ませた効果が奏されず、水蒸気を含まない酸化性雰囲気で焼成する場合に比べて高酸化状態で存在する触媒貴金属量のさらなる増加が見込めない。また水蒸気量が3体積%以上では、水蒸気量の増大につれて高酸化状態で存在する触媒貴金属量が増大するが、あまり多くなると効果が飽和するので、約10体積%程度の水蒸気量が適正である。
【0022】酸化性雰囲気中に水蒸気を3体積%以上含ませるには、水中に酸化性気流をバブリングする方法、マイクロフィーダにより酸化性気流中に所定量の水を注入する方法が例示される。また、触媒貴金属を担持した固体水酸化物を湿らせた状態で焼成しても、気相中に水蒸気を含ませることができる。また、ディーゼルエンジンの排気系に配置される排ガス浄化用触媒であれば、排ガス中には3体積%以上の十分な水蒸気が存在し、かつ排ガス温度も300℃以上となるから、排ガス中で焼成工程を行ってもよい。排ガス中でも3体積%以上の水蒸気が存在するから、上記した処理方法と同等の結果を得ることができる。しかしディーゼルエンジンの排ガス中に含まれるSOFや煤が触媒に付着して十分な効果が得られない場合があるので、水蒸気を含む酸化性雰囲気下で予め焼成工程を行ってから使用に供することが望ましい。
【0023】焼成により酸化物となる固体水酸化物としては、水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化セリウム、水酸化マグネシウムなどが例示される。この固体水酸化物に触媒貴金属を担持させるには、例えば水酸化物に貴金属塩の水溶液を接触させる方法がある。この水酸化物としては、市販のものを用いてもよいし、塩酸塩や硫酸塩などをアルカリ水溶液中で沈殿させることによって生成した水酸化物を用いることもできる。また、アルカリ水溶液として貴金属アルカリ水溶液を用いれば、水酸化物の生成と同時に貴金属を担持することもできる。
【0024】例えば水酸化ジルコニウムにPtを担持させる場合には、市販の水酸化ジルコニウム(Zr(OH)4 )を用いてもよいし、塩化ジルコニル、硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニルなどのジルコニウム塩をアルカリ水溶液中で沈殿させた水酸化ジルコニウムを用いることもできる。またZr(OH)4 と同じ効果を得るには、非晶質のジルコニアを用いてもよい。またPt源としては、塩化白金、ジニトロジアンミン白金、硫酸白金などが用いられる。
【0025】得られた排ガス浄化用触媒は粉末状であるが、自動車用排ガス浄化用触媒として用いるには、定法でペレット化してペレット触媒としてもよいし、スラリー化してコーディエライトやメタルからなるハニカム基材表面に被覆したハニカム触媒とすることもできる。
【0026】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
<担持工程>市販試薬の粉末状水酸化ジルコニウム(Zr(OH)4 )をイオン交換水中に分散した懸濁液中に、所定濃度のジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を添加し、スターラーにて2時間以上攪拌した。その後、加熱スターラーによる攪拌下で水分を蒸発乾固させ、水酸化ジルコニウムにPtを担持させた。なおPtの担持量は、水酸化ジルコニウムを酸化ジルコニウム(Zr2 )に換算した換算量120gに対して1gとなるようにした。
【0027】<焼成工程>次に、上記で得られたPt担持水酸化ジルコニウムを、電気炉を用いて大気中で500℃に加熱し、500℃で3時間保持して焼成した。焼成後、乳鉢で粉砕し、100メッシュ以下の粉末状の触媒を調製した。
(実施例2)焼成温度を300℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の触媒を調製した。
【0028】(実施例3)焼成温度を700℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の触媒を調製した。
(実施例4)ジニトロジアンミン白金水溶液と水酸化ジルコニウムの量を変更し、酸化ジルコニウム120gに対してPtを2.0g担持したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の触媒を調製した。
【0029】(実施例5)ジニトロジアンミン白金水溶液と水酸化ジルコニウムの量を変更し、酸化ジルコニウム120gに対してPtを0.01g担持したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の触媒を調製した。
(実施例6)ジニトロジアンミン白金水溶液と水酸化ジルコニウムの量を変更し、酸化ジルコニウム120gに対してPtを4.0g担持したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の触媒を調製した。
【0030】(実施例7)ジニトロジアンミン白金水溶液と水酸化ジルコニウムの量を変更し、酸化ジルコニウム120gに対してPtを0.008g担持したこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の触媒を調製した。
(実施例8)焼成工程において、大気を水中にバブリングさせることにより水蒸気を1体積%含ませた気流中で焼成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の触媒を調製した。
【0031】(実施例9)焼成工程において、大気を水中にバブリングさせることにより水蒸気を3体積%含ませた気流中で焼成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の触媒を調製した。
(実施例10)焼成工程において、大気を水中にバブリングさせることにより水蒸気を10体積%含ませた気流中で焼成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例10の触媒を調製した。
【0032】(実施例11)焼成工程において、大気を水中にバブリングさせることにより水蒸気を15体積%含ませた気流中で焼成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例11の触媒を調製した。
(比較例1)水酸化ジルコニウムの代わりに酸化ジルコニウム粉末(結晶性の高いmonoclinic粉末、三津和化学(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の触媒を調製した。
【0033】(比較例2)焼成温度を800℃としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の触媒を調製した。
<評価試験1>実施例1と比較例1の触媒をCOガス中に所定時間配置し、その後触媒に吸着したCOの赤外線吸収スペクトルをそれぞれ測定した。結果を図1に示す。
【0034】比較例1の触媒では2070cm-1付近にCO伸縮振動に帰属される強いピークが観察されたが、実施例1の触媒ではそのような強いピークは観察されない。すなわち実施例1の触媒では、貴金属へのCOの吸着がほとんど生じていないことが示されている。実施例1の触媒にCOの吸着が生じなかった原因としては、以下の2点が考えられる。
(1)PtのシンタリングによるCOの吸着サイトの減少。
(2)Ptの大部分が高酸化(2価あるいは4価)の状態で存在するため、COが吸着できない。
【0035】上記仮説を検証するために、TEM(電子顕微鏡)及びXPS(X線光電子分光分析)により調査を行った。先ずTEMによる調査では、比較例1の触媒では酸化ジルコニウム表面にPt粒子の存在が確認されたが、実施例1の触媒では酸化ジルコニウム表面のPt粒子は観察されなかった。これらの結果より、実施例1の触媒におけるCO吸着量の減少は、Ptのシンタリングによるものではなく、Ptの大部分が高酸化(2価あるいは4価)の状態で存在していることによるものであると考えられる。
【0036】一方、XPSを用いて、全Pt量に対する高酸化状態のPtの割合を求めた。測定方法は以下のとおりである。先ず、0.1気圧の酸素気流中において、触媒を700℃で10分間加熱する前処理を行った。その後、XPS装置によりPtの4fに対するスペクトルを測定した。このとき、X線源はMg−Kα線を用い、電子の取り出し角は45度とした。得られたスペクトルをピークフィッティングさせ、2価及び4価の高酸化状態のPtの割合を求めた。その結果を表2に併記した。
【0037】なお、実施例5及び実施例7においては、Ptの担持量が0.01g以下であるためXPSスペクトルのピーク強度が弱く、正確な測定が困難であった。したがって表2には、実施例1、実施例8及び実施例10の測定値から類推した値を示している。
<評価試験2>【0038】
【表1】

それぞれの触媒を冷間静水圧プレスで加圧した後粉砕し、6〜10メッシュの顆粒状とした。これを3.6g秤量し、固定床流通式装置内に設置後、表1に示すモデルガスを、入りガス温度を600℃から150℃まで6℃/minで降温しながら、空間速度SV=10万hr-1の条件で流し、C6 14及びSO2 の転化率を次式によりそれぞれ測定した。
【0039】転化率(%)=[(入りガス濃度−出ガス濃度)/入りガス濃度]×100そして次式により温度ウィンドウΔTを求め、各触媒についての結果を表2に示す。
ΔT(℃)=(SO2 30%転化温度)−(C6 1450%転化温度)
ここでSO2 30%転化温度とはSO2を30%転化する温度であり、C6 1450%転化温度とはC6 14を50%転化できる温度をいう。このうちC6 1450%転化温度が低く、SO2 30%転化温度が高いものほどΔTの値が大きく、SO2 を酸化しにくくHCを酸化しやすい(HCの選択性に優れた)触媒であることを示すものである。
【0040】
【表2】

【0041】表2より、実施例1〜実施例11の触媒では、高酸化状態のPtが50%以上存在し、比較例1及び比較例2の触媒では50%未満であった。また表2より、実施例1、4及び6の触媒のT50(HC)は、比較例1のT50(HC)とほぼ同等である。一方、実施例1、4及び6の触媒のT30(SO2 )は、比較例1の触媒のT30(SO2 )に比べて高い。したがって実施例1、4及び6の触媒は、比較例1の触媒に比べて温度ウィンドウ(ΔT)が広く、HCの選択性に優れた触媒であることがわかる。
【0042】これは、実施例1、4及び6において出発原料として水酸化ジルコニウムを用いることにより、担持したPtの90%を高酸化状態で存在させた効果である。すなわちT50(HC)については、Ptの酸化状態の種類、つまりメタル(0価)あるいは高酸化状態(2,4価)の種類に対してほとんど差がない。一方、T30(SO2 )については、高酸化状態のPtが40%しか存在せず残りの60%がメタルの状態である比較例1では、メタルのPtが多いためサルフェートを生成しやすくなりT30(SO2 )が低いのに対し、90%のPtが高酸化状態で担持された実施例1、4及び6ではサルフェートの生成が抑制されるためT30(S2 )は高くなっている。
【0043】また、実施例1及び実施例8〜11の触媒のT50(HC)とT30(SO2)を比較すると、実施例8の触媒は実施例1の触媒とほぼ同等の性能であるが、実施例9〜11の触媒はT30(SO2 )が実施例1の触媒より高く、T50(HC)は実施例1の触媒とほぼ同等である。すなわち実施例9〜11の触媒は、実施例1の触媒に比べて温度ウィンドウ(ΔT)が広く、HCの選択性に優れていることがわかる。
【0044】次に実施例2及び実施例3の触媒のT50(HC)は、比較例2の触媒のT50(HC)とほぼ同等である。また実施例2及び実施例3の触媒のT30(SO2 )は、比較例2の触媒のT30(SO2 )に比べて高い。したがって実施例2及び実施例3の触媒は、比較例2の触媒に比べて温度ウィンドウ(ΔT)が広く、HCの選択性に優れた触媒であることがわかる。
【0045】これは実施例2及び実施例3において、Ptを担持した水酸化ジルコニウムを700℃以下で焼成することにより、担持したPtの50%以上を高酸化状態で存在させた効果である。一方、比較例2の触媒では、700℃を越える温度で焼成したため、高酸化状態のPtの割合が減少し、メタルのPtが増加したため、サルフェートを生成しやすくなり、温度ウィンドウが実施例2及び実施例3の触媒に比べて狭くなったものである。
【0046】また実施例5及び実施例7の触媒のT50(HC)は、他の実施例のT50(HC)に比べて高く、さらにT30(SO2 )も極めて高い。したがって実施例5及び実施例7の触媒は、高温域において温度ウィンドウ(ΔT)が広く、HCの選択性に優れた触媒であることがわかる。つまり他の実施例の触媒に比べてPt量を減少させた実施例5及び実施例7の触媒は、使用温度が高い場合に有効である。
【0047】そして実施例9〜11の触媒では、高酸化状態のPtの割合が93%以上と実施例1及び実施例8の90%に比べて多く、これによりSO2 の酸化が一層抑制されたことが明らかである。つまり、3体積%以上の水蒸気を含む大気中で焼成工程を行うことにより、高酸化状態で存在するPtの割合が一層多くなることが明らかである。また実施例10と実施例11の触媒では、高酸化状態のPtの割合が97%と同じであり、水蒸気量が10体積%以上では効果が飽和していることがわかる。
【0048】以上の結果より、実施例1〜8の触媒は、比較例の触媒に比べて、低温でのHCの酸化浄化性能を確保しつつ、高温域におけるSO2 の酸化を抑制でき、サルフェートの生成を抑制できる温度ウィンドウの広い触媒であることが明らかであり、これはPtの担持総量の50%以上を高酸化状態で存在させた効果であることが明らかである。
【0049】さらに実施例9〜11の触媒では、高酸化状態のPtの割合が93%以上と他の実施例に比べて多く、これによりSO2 の酸化が一層抑制されている。つまり、3体積%以上の水蒸気を含む大気中で焼成工程を行うことにより、高酸化状態で存在するPtの割合が一層多くなり、中でも10体積%の水蒸気を含む大気中の焼成が適正な条件であることが明らかである。
【0050】
【発明の効果】すなわち本発明の排ガス浄化用触媒によれば、低温域におけるHCやSOFの浄化性能に優れ、かつ高温域においてもSO2 の酸化を抑制することができサルフェートの生成を抑制することができる。そして本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法によれば、触媒貴金属の50%以上を容易に高酸化状態で存在させることができ、上記触媒を容易にかつ安定して製造することができる。
【0051】また、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法において、酸化性雰囲気中に3体積%以上の水蒸気を含ませることにより、高酸化状態で存在する触媒貴金属の割合を一層多くすることができ、一層サルフェートの生成を抑制できる触媒を製造することができる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013