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発明の名称 超音波アクチュエータ用振動子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−28932
公開日 平成10年(1998)2月3日
出願番号 特願平8−185872
出願日 平成8年(1996)7月16日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 河合 泰明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 振動子の軸方向に対して直列に、棒状弾性体と基台とを圧電体を挟んで固定し、前記圧電体は前記棒状弾性体の軸心を含む平面を境に異なる側に配置された第1及び第2の圧電体を備え、両圧電体をそれぞれ分極方向が前記軸方向と平行で互いに逆方向となる圧電素子で構成し、その圧電体の軸方向の第1端部側に軸方向の長さが軸方向と直交する方向の長さより短い棒状弾性体の一端を固定し、第2端部側に前記棒状弾性体の軸心に対して直交するようにねじり振動が生じ易い断面形状の基台を固定し、前記棒状弾性体に曲げ1次振動を生じさせるとともに基台にねじり振動を結合させるようにしたことを特徴とする超音波アクチュエータ用振動子。
【請求項2】 振動子の軸方向に対して直列に、棒状弾性体と基台とを圧電体を挟んで固定し、前記圧電体は前記振動子の軸を中心として、それぞれ90゜位相がずれた位置に配置された4個の圧電体を備え、1組の圧電体は振動子の軸を含む第1の平面を境にして互いに異なる側に配置し、他の1組の圧電体は振動子の軸を含むとともに第1の平面と直交する第2の平面とを境にして互いに異なる側に配置し、各組の圧電体をそれぞれ分極方向が前記軸方向と平行で互いに逆方向となる圧電素子で構成し、その圧電体の軸方向の第1端部側に軸方向の長さが軸方向と直交する方向の長さより短い棒状弾性体の一端を固定し、第2端部側に前記棒状弾性体の軸心に対して直交するようにねじり振動が生じ易い断面形状の基台を固定し、前記棒状弾性体に曲げ1次振動を生じさせるとともに基台にねじり振動を結合させるようにしたことを特徴とする超音波アクチュエータ用振動子。
【請求項3】 前記棒状弾性体は直径が軸方向の長さより長い円柱状に形成され、前記基台は断面形状が長方形状に形成されている請求項1又は請求項2に記載の超音波アクチュエータ用振動子。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電素子を用いた超音波アクチュエータ用振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超音波アクチュエータは、電磁式アクチュエータ等の他のアクチュエータに比較して、小型、軽量、低コストの割りに高推力が得られるという特長がある。この種の超音波アクチュエータ用の圧電振動子として、特開平6−197572号公報には、図23に示すように、円柱状金属ブロック61、リング状圧電振動子62、分割電極63a,63b、リング状圧電振動子64、リング状電極65及び金属ブロック66を順次当接状態で積層し、ねじ67で締付け固定した振動式駆動手段(振動子)68が提案されている。この振動式駆動手段68は分割電極63a,63bのいずれか一方とリング状電極65との間に高周波の交流電圧を印加することにより、軸方向に縦振動及び屈曲振動が発生し、駆動面61a上の任意の一点は楕円軌跡を描いて運動する。振動式駆動手段68の長さ(金属ブロック66の図示下端から駆動面61aまでの長さ)を適当に選ぶと、振動式駆動手段68は前記縦振動及び屈曲振動に共振し、縦振動及び屈曲振動の最大振幅が駆動面61aに現れる。そして、交流電圧を印加する分割電極63a,63bを切り換えることにより、楕円軌跡の運動方向が変更可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平6−197572号公報に記載の装置では、圧電振動子62、64を金属ブロック61、66で挟持した構成で縦振動及び屈曲振動の長さ共振を利用している。従って、振動子の最適な支持固定方法が無いため、振動の節(ノード)近傍にフランジを設けたり、外周の数カ所に周辺支持固定部位を設けるなどの必要があり、装置が大型化するという問題がある。
【0004】本願発明者は前記の問題を解消するため、棒状弾性体の一端を固定し、棒状弾性体の長さを、縦1次共振振動をする際に曲げ2次振動を随伴励起する長さに設定した超音波アクチュエータ用振動子を提案した(特願平8ー75957号)。
【0005】その構成を図24に示す。振動子71は棒状の弾性体72が圧電素子と対向する側において、その基端が剛体からなる固定部73に片持ち状態で固定されて使用される。そして、弾性体72の縦1次共振長さ共振周波数で第1の圧電体74及び第2の圧電体75に90゜の位相差を与えて交流駆動電圧を印加すると、弾性体72が縦1次共振振動する際に曲げ2次振動が随伴励起される。
【0006】その結果、振動子71の軸方向と平行な面を境にして両側に配置された第1の圧電体74及び第2の圧電体75の伸縮振動により、図24(a)〜(d)に示す振動変位を生じる。
【0007】この振動子は特定の共振系を利用して移動体の大きな加圧力に耐え、高推力を得ることができる。しかし、棒状の弾性体が特定の長さを必要とするため、振動子全体がやや大型になり易く、コンパクト化が困難であった。
【0008】本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は振動子の棒状の弾性体の長さを短くして、基台との連成(合成)振動を実現することによりコンパクト化を実現して、さらに高推力が得られる超音波アクチュエータ用振動子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、振動子の軸方向に対して直列に、棒状弾性体と基台とを圧電体を挟んで固定し、前記圧電体は前記棒状弾性体の軸心を含む平面を境に異なる側に配置された第1及び第2の圧電体を備え、両圧電体をそれぞれ分極方向が前記軸方向と平行で互いに逆方向となる圧電素子で構成し、その圧電体の軸方向の第1端部側に軸方向の長さが軸方向と直交する方向の長さより短い棒状弾性体の一端を固定し、第2端部側に前記棒状弾性体の軸心に対して直交するようにねじり振動が生じ易い断面形状の基台を固定し、前記棒状弾性体に曲げ1次振動を生じさせるとともに基台にねじり振動を結合させるようにした。
【0010】請求項2に記載の発明では、振動子の軸方向に対して直列に、棒状弾性体と基台とを圧電体を挟んで固定し、前記圧電体は前記振動子の軸を中心として、それぞれ90゜位相がずれた位置に配置された4個の圧電体を備え、1組の圧電体は振動子の軸を含む第1の平面を境にして互いに異なる側に配置し、他の1組の圧電体は振動子の軸を含むとともに第1の平面と直交する第2の平面とを境にして互いに異なる側に配置し、各組の圧電体をそれぞれ分極方向が前記軸方向と平行で互いに逆方向となる圧電素子で構成し、その圧電体の軸方向の第1端部側に軸方向の長さが軸方向と直交する方向の長さより短い棒状弾性体の一端を固定し、第2端部側に前記棒状弾性体の軸心に対して直交するようにねじり振動が生じ易い断面形状の基台を固定し、前記棒状弾性体に曲げ1次振動を生じさせるとともに基台にねじり振動を結合させるようにした。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記棒状弾性体は直径が軸方向の長さより長い円柱状に形成され、前記基台は断面形状が長方形状に形成されている。
【0012】請求項1に記載の発明の振動子では、棒状の弾性体2の軸心を含む平面を境に、異なる側に配置された圧電体4,5に所定の位相差を与えて交流駆動電圧を印加することにより、2つの共振周波数の振動モードを利用できる。
【0013】図2は長方形断面を有する基台8の大きさを一定(幅W=35mm、厚さT=20mm、長さL=100mm)にして、円柱状の弾性体2の直径をφ30mmとしてその長さを変えた時の振動子1の動アドミッタンス特性である。特に、円柱弾性体の直径よりも、その長さを短くした場合の例を示している。白ヌキの記号(○、△、◇)で示されている特性は、共振周波数約25kHzの低い方の振動子として利用できる振動モードであり、以後、便宜上低次モードと呼ぶこととする。黒ヌキの記号(●、▲、◆)で示されている特性は、共振周波数約40kHzの高い方の振動子として利用できる振動モードであり、以後、便宜上高次モードと呼ぶこととする。
【0014】図1(a)に示すように、低次モードの場合は、円柱状の弾性体2に周方向1次振動モードで曲げ振動が生じ、基台8には幅方向1次、長さ方向2次振動モードが結合していると考えられる。
【0015】低次モードにおける振動子全体の動き(変位)としては、図1(a)の下側に実線と点線で示される。即ち、基台8が上に凸となった時に、円柱弾性体2は右側に曲がる。同様に、基台8が下に凸となった時に、円柱弾性体2は左側に曲がる。
【0016】一方、高次モードの場合は、円柱弾性体2に周方向2次振動モードで曲げ振動が生じ、基台には幅方向2次、長さ方向2次振動モードが結合していると考えられる。
【0017】高次モードでは、図1(b)の下側に示すように、基台8の右側が基台軸に対して時計方向にねじられ、左側が基台軸に対して反時計方向にねじられる時、円柱弾性体2は右側に曲がる。基台8の右側が基台軸に対して反時計方向にねじられ、左側が基台軸に対して時計方向にねじられる時、円柱弾性体2は左側に曲がる。そして、振動子1全体の動きに伴い、円柱弾性体の先端部は、変位の楕円軌跡を生じる。
【0018】例えば、左右の第1及び第2の圧電体4,5の圧電素子に−90°の位相差(右側の圧電体(B相)に対して左側の圧電体(A相)が90°の遅れ)を与えて交流駆動電圧を印加すると、両圧電体4,5の伸縮振動により、弾性体2の先端面の左側と右側の部分の垂直方向変位は図3(a)に示すように変化する。図3(a)の時間軸における各時刻I〜VIIIに対応する弾性体2の先端面の左側及び右側の部分の動きを図3(b)に示す。
【0019】時刻Iでは、第1の圧電体4が縮み、第2の圧電体5が伸びるので全体としては左方向に曲げを生じる。時刻IIでは、第1の圧電体4が縮み、第2の圧電体5は変位しないため全体としては左方向に曲げを生じる。時刻III では、両圧電体4,5が共に縮むため、全体としては軸方向に縮むことになる。時刻IVでは、第1の圧電体4は変位せず、第2の圧電が縮むため、全体としては右方向に曲げを生じる。時刻Vでは、第1の圧電体4が伸び、第2の圧電が縮むため、全体としては右方向に曲げを生じる。時刻VIでは、第1の圧電体4が伸び、第2の圧電は変位しないため、全体としては右方向に曲げを生じる。時刻VII では、両圧電体4,5が共に伸びるため全体として伸びることになる。時刻VIIIでは、第1の圧電体4は変位せず、第2の圧電が伸びるため、全体としては左方向に曲げを生じる。従って、振動子1の先端面の任意の一点(例えば質点M)には図3(c)に示すように反時計方向回りの変位の楕円軌跡が生じる。
【0020】また、左右の第1及び第2の圧電体4,5の圧電素子に+90°の位相差(右側の圧電体(B相)に対して左側の圧電体(A相)が90°の進み)を与えて交流駆動電圧を印加すると、弾性体2の先端面の左側と右側の部分の垂直方向変位は図4(a)に示すように変化する。図4(a)の時間軸における各時刻I〜VIIIに対応する弾性体2の先端面の左側及び右側の部分の動きは図4(b)に示すようになる。即ち、時刻Iでは、両圧電体4,5が共に伸びるため全体として伸びることになる。時刻IIでは、第1の圧電体4が伸び、第2の圧電体5は変位しないため全体としては右方向に曲げを生じる。時刻III では、第1の圧電体4が伸び、第2の圧電体5が縮むので全体としては右方向に曲げを生じる。時刻IVでは、第1の圧電体4は変位せず、第2の圧電が縮むため、全体としては右方向に曲げを生じる。時刻Vでは、両圧電体4,5が共に縮むため、全体としては軸方向に縮むことになる。時刻VIでは、第1の圧電体4が縮み、第2の圧電は変位しないため、全体としては左方向に曲げを生じる。時刻VII では、第1の圧電体4が縮み、第2の圧電が伸びるため、全体としては左方向に曲げを生じる。時刻VIIIでは、第1の圧電体4は変位せず、第2の圧電が伸びるため、全体としては左方向に曲げを生じる。従って、振動子1の先端面の任意の一点(例えば質点M)には図4(c)に示すように時計方向回りの変位の楕円軌跡が生じる。即ち、両圧電体4,5に印加する駆動電圧の位相差を180゜変更することにより、楕円軌跡の方向の転換が可能となる。
【0021】これらの変位の楕円軌跡は弾性体が円柱状に限らず、一部が中空か、又は全部が中空の棒状でであれば同様に生じる。弾性体と基台の動きは上述したように、低次モード及び高次モードで異なるが、基台の高次モードであるねじり振動と、弾性体の曲げ1次振動の結合系を利用すると、以下の特長を示す。
(1)弾性体を特定の長さに選定する必要がなくなり、振動子の軸方向長さを短くできるためコンパクト(薄型)化が可能となる。
(2)基台に、ねじり振動を利用するので、振動の節部が存在するため、節部で支持すれば強固な支持固定方法が実現できる。
(3)基台にねじり振動が生じるような最適形状を選定してやれば、振動子の電気的特性が向上し、アクチュエータとしての推力向上も期待できる。
【0022】請求項2に記載の発明では、第1の平面を境にしてそれぞれ反対側に位置する圧電体を駆動する場合と、第2の平面を境にしてしてそれぞれ反対側に位置する圧電体を駆動する場合とで、移動体の移動方向が90゜変更される。
【0023】請求項3に記載の発明では、棒状弾性体は円柱状に形成され、基台は断面形状が長方形状に形成されているため、製造が容易となる。本発明の振動子を利用した超音波アクチュエータは、電磁式アクチュエータでは使用が困難な特殊環境(高磁場下、高真空下等)において、軽量、低速、高推力が要求される機器類及び装置等に使用するダイレクトドライブの目的に適している。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図5〜図12に基づいて説明する。振動子1は、図5に示すような、円柱状の弾性体2と、半割リング状の圧電素子4a等と、ほぼ半割リング状の電極板6a等と、長方形断面を有する基台8とを組み合わせて、締結具や接着剤等で固定することにより形成される。
【0025】図6に示すように、振動子1の軸心を含む平面、即ち弾性体2の軸心を含む平面(図示せず)を境にして両側に、第1の圧電体4及び第2の圧電体5が対称に配置されている。両圧電体4、5はそれぞれ2層の圧電素子4a,4b,5a,5bと、その間に配置された電極板6a,6bとにより構成されている。両圧電体4,5は互いに分極方向が異なり、また上下の分極方向も振動子1の軸方向と平行で互いに逆方向となるように配置されている。各圧電素子4a等の分極方向は矢印で示す。
【0026】弾性体2は材質を鋼として、外径30mm、長さ23mmで中心部近傍にM10の雌ねじ部2aが形成されるとともに、その奥に中空部が形成されている。そして、締結具としての六角穴付ボルト7が雌ねじ部2aに基台8を介して螺合されるようになっている。
【0027】基台8は材質を鋼にするとともに、幅を一定(35mm)にして、厚みが20mmで、長さが40,75,100,150mmの4種類を用意した。また、幅を一定(35mm)にして、長さが100mmで、厚みが10,20,30mmの3種類も用意した。基台8の中心には孔8aが形成されるとともに、底部に六角穴付ボルト7の頭部を収容する凹部9が形成されている。
【0028】圧電素子4a等は材質をPZT(ジルコン酸・チタン酸鉛系の多結晶体)として、外径30mm、内径10mm、厚み0.5mmの円形リング状のものを半割にしたものが使用されている。電極板6a,6bには厚さ0.1mm程度の銅板を外径30mm、内径10mmの半割リングの外側に突部を備えた形状に形成したものが使用されている。そして、各圧電素子4a等と両電極板6a,6bとを積層した圧電体4,5を弾性体2と基台8間に配置したとき、その端面間に隙間がある状態となるように、各圧電素子4a等及び両電極板6a,6bはその分割端面が削られた形状となっている。
【0029】そして、第1の圧電体4の電極板6aをアンプ10及びフェイズシフタ11を介して2相発振器12と接続した。第2の圧電体5の電極板6bをアンプ10を介して2相発振器12と接続した。また、基台8を接地した。弾性体2と基台8とは六角穴付ボルト7により互いに導通された状態にあるため、基台8を接地することにより弾性体2も接地される。
【0030】基台8の幅W、厚みTを一定にして、基台8の長さLを変えた時の動アドミッタンス特性と、基台8の長さL、幅Wを一定にして、基台8の厚みTを変えた時の動アドミッタンス特性とを図7,8に示す。図7,8は図1及び図2で示した高次モード(基台8にねじり振動が生じるモード)が得られる動アドミッタンス特性を示した。なお、図中○印は共振周波数(fo )を示し、△印は共振の尖鋭度(Q)を示し、◇印は動アドミッタンス(Ymo)を示す。
【0031】図7に示すように、基台8の幅W、厚みTを一定にした場合は、基台8の長さLが100mmで動アドミッタンス(Ymo)が最も高くなり、共振周波数(fo)は、基台8が長くなるに従って増加した。また、基台8の厚みTが20mmの場合に動アドミッタンス(Ymo)が最も高くなった。
【0032】図8に示すように、基台8の長さL、幅Wを一定にした場合は、共振周波数(fo )は基台8が厚くなるに従って低下した。このように、基台8の長さL、厚みTには最適な寸法がある。
【0033】この結果より、基台8の長さは基台8の幅に対して、ほぼ3倍程度が望ましく、基台8の厚みは、基台8の幅に対して、ほぼ1/2程度が望ましく、基台8の幅は、円柱弾性体の直径に近い値が良いと、それぞれ推定される。
【0034】円柱弾性体2に直径30mm、長さ23mmのものを用いた場合の基台8の最適寸法は、幅35mm、長さ100mm、厚み20mmとした。そして、この振動子1の振動姿態をダブルパルスレーザホログラフィにより観察した。その結果を図9,10に示す。図9は共振周波数fo ≒25kHz(低次モード)で駆動した場合を示し、図10は共振周波数fo ≒40kHz(高次モード)で駆動した場合を示す。低次モード及び高次モードとも、図2に示した振動状態とほぼ同じであることが分かる。
【0035】さらに、高次モードの状態の基台8にねじり振動が生じていることを再確認するために、基台8の6箇所(記号A〜F)の点をレーザドップラ振動計を用いて観察した。その結果を図11に示す。
【0036】測定点A,C,EとB,D,Fとが同じ振動変位波形で、180°ずれた状態であることが分かった。基台8の対角線をなす点で振動波形が同じでかつ、振動変位の位相が180°異なっていることから明らかにねじり振動が生じていると言える。
【0037】次に移動体とおもりを兼ねた鋼片を用意し、振動子1の推力を測定した。図13に示すように、振動子1の先端に移動体13を載置し、バネばかりSBに振動子1の軸方向と直交する方向(水平方向)に力が加わる状態で移動体13とバネばかりSBとを連結し、移動体13に加えるおもり(図示せず)の重量FWを変えるとともに、移動体13が移動したときのバネばかりSBの計測値を推力Fdとした。結果を図12に示す。
【0038】高次モード利用の場合(○印)は、おもりの重量約11kgで推力約3.6kgが得られた。一方、低次モード利用の場合(△印)は、おもりの重量約4kgで0.7kgの推力が得られた。しかし、おもりの重量4kg以上を加えると、低次モードの場合は移動体13が動かず停止したままであった。この結果から、高次モード利用の方が比較的高い加圧力にも耐えることができ、高推力がえられることが分かった。
【0039】次に同じ駆動周波数で、第1の圧電体4(A相)のみの駆動状態での振動子1の動きを観察した。その結果、+90゜の位相差を与えて駆動した状態とほぼ同じ動きをしていることがわかった。同様に第2の圧電体5(B相)のみの駆動状態での振動子1の動きを観察した。その結果、第1の圧電体4(A相)のみの駆動状態に比べて逆方向の動きになることが確認された。即ち、−90゜の位相差を与えて駆動した状態とほぼ同じ動きをしていることがわかった。
【0040】これらのことから振動子1の変位の楕円軌跡の方向転換は、両圧電体4,5に印加する電圧の位相差の変更あるいは駆動源の切換で行うことが可能であことが判明した。
【0041】この実施の形態では以下の効果を有する。
(イ) 振動子1は棒状(円柱状)の弾性体2の曲げ1次振動と基台8のねじり振動との連成(合成)振動により駆動されるため、弾性体2を特定の長さに選定する必要がなくなり、振動子1の軸方向長さを短くできるためコンパクト(薄型)化が可能となる。また、振動子1は比較的高い加圧力に十分耐えることができ、高推力が得られる。
【0042】(ロ) 基台8のねじり振動を利用するので、基台8に振動の節部が存在するため、節部で支持すれば振動子1の強固な支持固定方法が実現できる。
(ハ) 基台8にねじり振動が生じるような最適形状を選定することにより、振動子1の電気的特性が向上し、アクチュエータとしての推力向上も期待できる。
【0043】(ニ) 弾性体2の形状を円柱状、基台8の断面形状を長方形状としたので、弾性体2及び基台8の製造、ひいては振動子1の製造が容易となる。
(ホ) 弾性体2は基台8に締結具(六角穴付ボルト7)を介して固定されているため、圧電素子4a,4b,5a,5b及び弾性体2を固定する手段として、接着接合によるものと比較して、駆動時に圧電素子がずれ難く、安定な振動特性を得ることができる。
【0044】(ヘ) 振動子1を駆動するとき、弾性体2の変位の楕円軌跡の向きの変更が、両圧電体4,5に印加する電圧の位相差の変更あるいは、圧電体4,5を片側ずつ駆動するとともに、駆動する圧電体を変更することで可能となる。従って、アクチュエータ用振動子として使用した場合、移動体13の方向転換が簡単になる。
【0045】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形態を図14に従って説明する。この実施の形態では、基台8を挟んで両側に弾性体及び圧電体が配設されている点が前記実施の形態と異なっている。即ち、基台8の下側に弾性体2u及び圧電体4u,5uが、弾性体2及び圧電体4,5と対称に固定されている。
【0046】構成部品のうち弾性体2u、圧電素子4ua,4ub,5ua,5ub及び電極板6ua,6ubは第1の実施の形態の弾性体2、圧電素子4a,4b,5a,5b及び電極板6a,6bとそれぞれ同じである。締結具として六角穴付ボルト7に代えて両端に雄ねじ部3aを有する植え込みボルト3が使用され、植え込みボルト3はその両端の雄ねじ部3aが基台8から突出する状態で基台8に固着されている。弾性体2,2uはその雌ねじ部2aが植え込みボルト3の雄ねじ部3aに螺合された状態で基台8に固定されている。上下の電極板6a,6uaと電極板6b,6ubはそれぞれ対になってアンプ10に接続されている。
【0047】この実施の形態においても圧電体4,5,4u,5uに印加する電圧の位相差の変更あるいは駆動源の切換えで、前記実施の形態と同様に弾性体先端の変位の楕円軌跡の方向転換が行える。特にこの実施の形態では、対角線方向の圧電体5,4u及び圧電体4,4uの組合せの切換えによっても可能である。
【0048】(第3の実施の形態)次に第3の実施の形態を図15〜図17に従って説明する。この実施の形態では図15に示すように、振動子1の軸を中心として4個の四半円弧状の圧電体14,15,16,17が同一平面上に90°ずつ位置的に位相をずらした状態で、各圧電体14,15,16,17が互いに干渉しない状態で配置されている。各圧電体14,15,16,17はそれぞれ一対の圧電素子14a,14b、15a,15b、16a,16b、17a,17b間に配置された電極板14c,15c,16c,17cを介してA相あるいはB相の交流駆動電圧がそれぞれ印加されるようになっている。
【0049】電極板14cはアンプ10及びフェイズシフタ11を介して2相発振器12に接続され、A相の電圧が印加されるようになっている。電極板15cはアンプ10及びフェイズシフタ11を介して2相発振器12からA相の電圧が印加される状態と、アンプ10を介して2相発振器12からB相の電圧が印加される状態とにスイッチ18を介して切換接続されるようになっている。電極板16cはアンプ10を介して2相発振器12に接続され、B相の電圧が印加されるようになっている。電極板17cはアンプ10及びフェイズシフタ11を介して2相発振器12からA相の電圧が印加される状態と、アンプ10を介して2相発振器12からB相の電圧が印加される状態とにスイッチ19を介して切換接続されるようになっている。両スイッチ18,19は互いに連動され、電極板15cがA相と接続される場合は電極板17cがB相と接続され、電極板15cがB相と接続される場合は電極板17cがA相と接続されるようになっている。
【0050】従って、スイッチ18をA相と接続する位置、即ちスイッチ19をB相と接続する位置に切り換えた状態では、振動子1は図17aに示すように、振動子1の軸を含み圧電体15と圧電体16との対向する端面と平行な第1の平面を中心として互いに異なる側に、A相に接続された圧電体14,15と、B相に接続された圧電体16,17とがそれぞれ配置された状態となる。そして、A相とB相とに+90°の位相差を与えて2相駆動で振動子1を駆動すると第1の平面を中心として振動し、第1の実施の形態の振動子1と同様にその先端面で移動体を移動させる場合、移動体を図17(a)の左側に移動させる。A相とB相とに−90°の位相差を与えて2相駆動で振動子1を駆動すると、移動体を図17(a)の右側に移動させる。
【0051】また、スイッチ18をB相と接続する位置、即ちスイッチ19をA相と接続する位置に切り換えた状態では、振動子1は図17(b)に示すように、振動子1の軸を含み、圧電体14(圧電体17)と圧電体15(圧電体16)との対向する端面と平行な第2の平面を中心として互いに異なる側に、A相に接続された圧電体14,17と、B相に接続された圧電体15,16とがそれぞれ配置された状態となる。そして、A相とB相とに+90°の位相差を与えて2相駆動で振動子1を駆動すると第2の面を中心として振動し、第1の実施の形態の振動子1と同様にその先端面で移動体を移動させる場合、移動体を図17(b)の右側に移動させる。A相とB相とに−90°の位相差を与えて2相駆動で振動子1を駆動すると、移動体を図17(b)の左側に移動させる。
【0052】即ち、この実施の形態の振動子1は、全体形状を大きくすることなく、第1の実施の形態の振動子1と同じ推力で移動体を移動させることができ、スイッチ18,19を切り換えて駆動する圧電体14,15,16,17を選択することにより、移動体の移動方向を図16の矢印EW方向と矢印NS方向とに切り換えることができる。
【0053】(第4の実施の形態)次に多数の振動子1を使用してアクチュエータに適用した実施の形態を図18に従って説明する。長尺の移動体13の長手方向(図18の左右方向)に沿って複数個(この実施の形態では3個)の振動子1が配設されている。移動体13を挟んで振動子1と反対側にはガイドローラ20が配置されている。振動子1は第1の実施の形態の振動子1とほぼ同様に構成されている。振動子1は基台8が支持フレーム21に対して固定されている。基台8はその振動の節部において、図示しないボルトなどの締結具により支持フレーム21に固定されている。ガイドローラ20はばね等の加圧手段(図示せず)を介して移動体13を振動子1側へ押圧する状態に配設されている。各振動子1の第1の圧電体4の電極板6aはそれぞれ共通の交流駆動源22に接続され、第2の圧電体5の電極板6bはそれぞれ共通の交流駆動源23に接続されている(アンプ、フェイズシフタ等は図示せず)。
【0054】各振動子1の第1の圧電体4と第2の圧電体5に対して+90°の位相差で交流駆動源22,23から電圧が印加されると、各振動子1の先端に図18の反時計方向回りの変位となる楕円軌跡が発生し、移動体13が図18の左方向へ移動させられる。また、各圧電体4,5に対して−90°の位相差の電圧が印加されると、各振動子1の先端に図18の時計方向回りの変位となる楕円軌跡が発生し、移動体13が図18の右方向へ移動させられる。即ち、この多数の振動子1を使用したアクチュエータでは2個の交流駆動源22,23の印加電圧の位相差を変更することにより、移動体13の移動方向を転換できる。
【0055】なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
(1) 図19に示すように、弾性体2と基台8との間に配置される第1の圧電体4を構成する圧電素子4a,4bと、第2の圧電体5を構成する圧電素子5a,5bとをそれぞれ4層としたり、4層以上の偶数層構造としてもよい。なお、隣接して対を成す圧電素子間には接地電極24を配置する。この場合変位が拡大する。第1の実施の形態や第3の実施の形態の各圧電体4,5,14,15,16,17においても同様に、各圧電体4,5等の各圧電素子4a,4b,5a,5b等を4層以上の偶数構造とすれば、変位が拡大する。
【0056】(2) 図20に示すように、弾性体2と基台8との間に90°の位置的位相差で配置された圧電体14,15,16,17のうち、振動子1の中心軸を挟んで互いに対向する位置に配置された圧電体14,16を、電極板14c,16cを介してA相及びB相の交流駆動電圧がそれぞれ印加される状態とする(発振器、フェイズシフタ、アンプ等は図示せず)。また、圧電体15,17を電極板15c,17c介してC相及びD相の交流駆動電圧がそれぞれ印加される状態とする(発振器、フェイズシフタ、アンプ等は図示せず)。この場合は、A相とB相との2相駆動で振動子1を駆動する状態と、C相とD相との2相駆動で振動子1を駆動する状態とに切り換えることにより、移動体の移動方向を90゜変更することができる。
【0057】(3) 弾性体2の形状は、円柱状に限らず、その軸方向と直交する断面形状が四角形、三角形、六角形、八角形等の多角柱状のものや中空棒状であってもよい。そして、第1の圧電体4及び第2の圧電体5等として対応するリング形状の圧電素子を半割とした形状や4分割した形状のものを使用する。
【0058】(4) 基台8の形状は長方形断面に限らず、基台8にねじり振動が生じ易いものであればよい。即ち、基台8の断面が正方形、円形、楕円形などでもよい。また、部分的に長方形及び正方形とを結合した異形状の結合断面を有してもよい。なお、振動の節(ふし)位置に、穴、スリット等を設けてもよい。
【0059】(5) 圧電素子4a,4b等、電極板6a,6b等の厚みを前記実施の形態と異なる値としてもよい。
(6) 弾性体2及び圧電素子4a,4b,5a,5b等を積層化する手段として、六角穴付ボルト7を使用する代わりに他のボルトを使用してもよい。また、図21に示すように、弾性体2に雄ねじ部2bを突設し、基台8側に形成したねじ穴8bに雄ねじ部2bを螺合して圧電素子4a,4b,5a,5b等を弾性体2と基台8間に締め付け固定してもよい。また、締結具等により締め付け固定する形態に限らず、接着接合する形態であってもよい。しかし、締結具等により締め付け固定する形態の方が接着接合による固定より好ましい。また、基台8等に固定する前の取扱を便利にするため、弾性体2と圧電体4,5等を接着剤で仮固定しておき、基台8等への固定は締結具を使用して行うようにしてもよい。
【0060】(7) 図22に示すように、第1及び第2の圧電体4,5の下側に曲げ振動の対称面を挟んで両側に跨る第3の圧電体25を配置してもよい。第3の圧電体25はリング状の圧電素子25a,25bとその間に配置されたリング状の電極板25cとから構成されている。
【0061】前記各実施の形態及び変更例から把握できる請求項記載以外の発明について、以下にその効果とともに記載する。
(1) 請求項1に記載の振動子と、その振動子を構成する第1及び第2の圧電体への印加電圧の位相差を±90°又はその近辺で切換可能とした電源部を備えた超音波アクチュエータ。この場合、印加電圧の位相差を±90°又はその近辺で切り換えるという簡単な構成で容易に移動体の移動方向を転換できる。
【0062】(2) 請求項2に記載の4個の圧電体は、第1の面及び第2の面を挟んでそれぞれ2個ずつ位置するように配置され、各圧電体にそれぞれ設けられた電極板は、第1の面を挟んで同じ側に位置する各2個の圧電体にそれぞれ同じ電圧が印加される状態と、第2の面を挟んで同じ側に位置する各2個の圧電体にそれぞれ同じ電圧が印加される状態とに、切り換え可能なスイッチを介して電源と接続されるように構成されている。この場合、駆動する圧電体と電源との接続状態をスイッチを切り換えて変更することにより、移動体の移動方向を4方向に切り換えることができるとともに、振動子の全体形状を大きくすることなく大きな推力を確保できる。
【0063】(3) 請求項2又は(2)に記載の振動子と、その振動子を構成する4個の圧電体に対して、振動子の軸を含む第1の平面を挟んで反対側に位置する圧電体同士、あるいは第2の平面を挟んで反対側に位置する圧電体同士に、駆動電圧を印加するとともに印加電圧の位相差を±90°又はその近辺で切換可能とした電源部を備えた超音波アクチュエータ。この場合、印加電圧の位相差を±90°又はその近辺で切り換えるという簡単な構成で容易に移動体の移動方向を4方向に変更できる。
【0064】(4) 請求項1〜請求項3、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の発明において、前記棒状弾性体は締結具を介して基台に固定されている。この場合、圧電素子及び弾性体を接着剤により固定(積層化)するものと比較して、駆動時に圧電素子がずれ難く、安定な振動特性を得ることができる。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、振動子の棒状の弾性体の長さを短くして、基台との連成(合成)振動を実現することによりコンパクト化を実現して、さらに高推力を得ることができる。
【0066】請求項2に記載の発明によれば、移動体の移動方向を直交する4方向(例えば、前後左右の4方向)に変更することができる。請求項3に記載の発明によれば、棒状弾性体及び基台の製造が容易となる。




 

 


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