発明の名称 |
排ガス浄化用触媒 |
|
発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平10−28864 |
公開日 |
平成10年(1998)2月3日 |
出願番号 |
特願平8−189672 |
出願日 |
平成8年(1996)7月18日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
|
発明者 |
山下 公一 / 村知 幹夫 / 鷹取 一雅 |
要約 |
目的
構成
|
特許請求の範囲
【請求項1】 白金と、アルカリ土類金属元素または IIIA族元素から選ばれる一種または二種以上の元素を有する非晶質複合酸化物を用いることを特徴とする排ガス浄化用触媒。 【請求項2】 請求項1の非晶質複合酸化物に担体酸化物が混合されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒。 【請求項3】 請求項1の非晶質複合酸化物として、化学構造式X4 PtO6 (X=Ca、Sr、Ba)、X’2 Pt2 O7 (X’=Sc、La、Pr)、SrX" PtO6 (X" =Co、Ni、Cu)、Ba2 ZPtO6 (Z=Pr、Ce)で表される非晶質白金複合酸化物から選ばれる一種または二種以上からなることを特徴とする排ガス浄化用触媒。 【請求項4】 請求項1の非晶質複合酸化物として、Ba8 Y3 Pt4 O17.5,Ba4 CuPt2 O9 ,Ba2 Y2 CuPtO8 ,Ba2 Y2 Cu2 PtO10,Ba3 Y2 Cu2 PtO10,Ba1.3 Sr1.7 Y2 Cu2 PtO10,Ba2Ho2 CuPtO8 ,Ba3 Ho2 Cu2 PtO10,Ba2 Er2 CuPtO8,Ba2 Er2 Cu2 PtO10で表される非晶質白金複合酸化物のうちの一種または二種以上を用いることを特徴とする排ガス浄化用触媒。 【請求項5】 請求項2の担体酸化物として、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアから選ばれる一種または二種以上を混合することを特徴とする排ガス浄化用触媒。 【請求項6】 請求項2の担体酸化物として、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアから選ばれる各々と、アルカリ土類元素またはランタノイド元素との複合酸化物を用いることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
|
発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は排ガス浄化用触媒に関し、特に1000℃またはそれ以上の高温でのリーン雰囲気においても、浄化性能が劣化しない非晶質複合酸化物を用いる排ガス浄化用触媒に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、自動車等の排ガス浄化用触媒は、触媒成分としては白金・パラジウム・ロジウムなどの貴金属が単独あるいは組み合わせて用いられており、通常、触媒担体に担持された構成とされている。しかしながら、これらのうちロジウムは資源的に豊富ではなく、また価格面からも高価である。またパラジウムは白金に比べ耐熱性に優れているものの、ガソリン中の鉛や潤滑油中のリンなどに対する耐被毒性が著しく劣る。このため、ロジウムに比べまだ資源的に余裕のある白金が必須成分となっている。 【0003】しかし、白金は高温のリーン雰囲気中で酸化され、シンタリングにより表面積が減少して触媒成分としての活性が著しく低下してしまう問題がある。さらに、欧州ステップIII 規制やλ=1規制等の排気規制強化への対応により、排気温度が上昇するため、触媒の耐熱性向上が要求されている。現行のPt/Al2 03 系触媒では、高温でのリーン雰囲気下で著しく浄化性能が低下し、これを満足することはできない。この理由も白金のシンタリングに起因すると考えられる。 【0004】この分野の公知技術として、本出願人は先に、特開昭62−277150号公報で、内燃機関の排ガス浄化用触媒として、Ptとランタノイド元素又はアルカリ土類金属とのペロブスカイト型複合酸化物又はその類似複合酸化物を用いることにより、Ptの熱劣化、合金化を防止し、耐久性及び浄化性能の向上が図れることを提案した。しかし、この技術においても、従来の触媒に比べ、耐久性等の大幅な向上が図れるものの、排ガス温度が900℃を超える領域ではペロブスカイト型複合酸化物は分解を始める。このように、最近の各種排ガス規制によって、排ガスの温度が大幅に上昇しており、1000℃を超えるような領域でも十分な排ガス浄化が行える触媒の開発が望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Ptを非晶質複合酸化物の結晶中に取り込むことを検討し、高温、リーン雰囲気下でもPtがシンタリングしない、またはシンタリングを大幅に抑制できる高耐熱性の排ガス浄化用触媒を提供することである。また、本発明の他の目的は、非晶質複合酸化物同士のシンタリングを防止する方法を検討し、非晶質複合酸化物の比表面積の減少を抑制可能とする高耐熱性の排ガス浄化用触媒を提供することである。 【0006】さらに、本発明の別の目的は、ペロブスカイト構造より耐熱性に優れた非晶質複合酸化物を検討し、これをエマルジョン燃焼法での製造を可能とした高耐熱性の排ガス浄化用触媒を提供することである。また、本発明の別の目的は、それ自身耐熱性が高くかつPt非晶質複合酸化物と反応しにくい担体を提供することである。なぜならば、高耐熱性複合酸化物の浄化性能が耐久により低下するのは、複合酸化物中のアルカリ土類元素と担体が反応してアルカリ土類−アルミネート、シリケート等の複合酸化物を生成し、耐久中に複合酸化物の結晶構造が変化するためと考えられるからである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的は、白金と、アルカリ土類金属元素または IIIA族元素から選ばれる一種または二種以上の元素を有する非晶質複合酸化物を用いることを特徴とする排ガス浄化用触媒によって達成される。さらに、前記非晶質複合酸化物に担体酸化物が混合されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒によっても達成される。また、上記の目的は、前記非晶質複合酸化物として、化学構造式X4 PtO6(X=Ca、Sr、Ba)、X’2 Pt2 O7 (X’=Sc、La、Pr)、SrX" PtO6 (X" =Co、Ni、Cu)、Ba2 ZPtO6 (Z=Pr、Ce)で表される非晶質白金複合酸化物から選ばれる一種または二種以上からなることを特徴とする排ガス浄化用触媒によっても達成される。 【0008】さらに、上記の目的は、前記非晶質複合酸化物として、Ba8 Y3 Pt4 O17.5,Ba4 CuPt2 O9 ,Ba2 Y2 CuPtO8 ,Ba2 Y2 Cu2 PtO10,Ba3 Y2 Cu2 PtO10,Ba1.3 Sr1.7 Y2 Cu2 PtO10,Ba2Ho2 CuPtO8 ,Ba3 Ho2 Cu2 PtO10,Ba2 Er2 CuPtO8,Ba2 Er2 Cu2 PtO10で表される非晶質白金複合酸化物のうちの一種または二種以上を用いることを特徴とする排ガス浄化用触媒によっても達成される。 【0009】また、上記の目的は、前記担体酸化物として、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアから選ばれる一種または二種以上を混合することを特徴とする排ガス浄化用触媒によっても達成される。 【0010】さらに、上記の目的は、前記担体酸化物として、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアから選ばれる各々と、アルカリ土類元素またはランタノイド元素との複合酸化物を用いることを特徴とする排ガス浄化用触媒によっても達成される。 【0011】 【発明の実施の形態】請求項1に係る発明では、Ptと少なくとも一種類以上のアルカリ土類元素または IIIA族元素からなる非晶質複合酸化物で構成することによって、白金を非晶質複合酸化物の結晶中に取り込み、1000℃以上の高耐熱性を有する排ガス浄化用触媒が得られた。図1にBa4 PtO6 の本発明触媒と従来の触媒のX線回折結果を示す。この図から従来触媒は、結晶特有のシャープなピークを示しているが、本発明触媒では、原子配列の不規則化によるブロードなパターンとして、幅の広いハローが認められ非晶質であることを示している。なお、図1は測定条件として、CuのKα線で、広角ゴニオメータおよび平板結晶モノクロメータを使用したXRDチャートである。 【0012】請求項2に係る発明では、非晶質複合酸化物に担体酸化物を混合することにより、すなわち、請求項3に係る発明の、Ca、Sr、Baをアルカリ土類元素として、Sc、Yとランタノイド(La、Ce、Pr等)を IIIA族元素とするものである。また、請求項5のAl2 O3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、CeO2 等を担体酸化物として使用し、非晶質複合酸化物に担体酸化物を混合することによって、非晶質複合酸化物同士の接触による焼結を防止することができる。この結果、非晶質複合酸化物の比表面積の減少を抑制でき、触媒作用の低下を防止できる。本発明における技術的特徴について説明する。先ず担体酸化物の添加方法は、酸化物の粉末添加または担体酸化物の金属イオンの溶液添加にて行うものである。これら複合酸化物は、下記項目(1)〜(4)を主構造とする非晶質白金複合酸化物である。 【0013】(1)X4 PtO6 (X=Ca、Sr、Ba)、(2)X' Pt2 O7 (X' =Sc、La、Pr)、この場合、Sc,La,Prはパイロクロア系(X' Pt2 O7 )を作るものである。 (3)SrX" PtO6 (X" =Co、Ni、Cu)、これらは、Sr4 PtO6 のSrを一個置換したものである。 (4)Ba2 ZPtO6 (Z=Pr、Ce)、【0014】次に、本発明の非晶質複合酸化物の比表面積の確保の点について説明する。この非晶質複合酸化物の比表面積と表面に存在するPtイオンの数(=表面積)は比例するので、非晶質複合酸化物の比表面積は大きいほどよいことになる。この比表面積を大きくする方法として、本発明では、全てエマルジョン燃焼法によって非晶質複合酸化物を合成した。このエマルジョン燃焼法以外の気相分解法等も適用しても良い。なお、本発明の担体酸化物の添加目的は、非晶質白金複合酸化物のシンタリングを防止することを主眼としたものである。 【0015】また、請求項4に係る発明においては、前記非晶質白金複合酸化物Ba4 PtO6 等に対して、さらに耐久性の向上したPt複合酸化物として、Ba(Sr),Cu,Pt,X(X=Y、ランタノイド、無しも含む)を用いることができる。さらに、好ましくは、Ba8 Y3 Pt4 O17.5,Ba4 CuPt2 O9 ,Ba2 Y2 CuPtO8 ,Ba2 Y2 Cu2 PtO10,Ba3 Y2 Cu2 PtO10,Ba1.3 Sr1.7 Y2 Cu2 PtO10,Ba2 Ho2 CuPtO8 ,Ba3 Ho2 Cu2 PtO10,Ba2 Er2 CuPtO8 ,Ba2 Er2 Cu2 PtO10等で表される非晶質白金複合酸化物のうち一種または二種以上を用いるものである。 【0016】さらに、請求項5に係る発明では、前記非晶質白金複合酸化物とAl2 O3 を混合した場合、非晶質複合酸化物中のアルカリ土類元素とAl2 O3 が反応しアルカリ土類−アルミネートを生成するため、耐久中にPtが析出するが、本発明はこれを防止するものである。このことは、SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,CeO2 の場合も同様にアルカリ土類−SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,CeO2複合酸化物を生成することを意味する。本発明の請求項6に係る発明はこれを防止するものである。これは耐熱性が高いだけでなく、あらかじめアルカリ土類元素を含んでいるためアルカリ土類元素とは反応しにくい。その結果、触媒の耐久性が向上する。また、担体自身の耐熱性も向上する。 【0017】本発明の複合酸化物担体は、Al2 O3 ,SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,CeO2 とアルカリ土類元素またはランタノイド元素からなることを特徴とする。また、その好ましい組成比は、X:M=1:0.3〜1:20であり、さらに好ましくは、X:M=1:0.5〜1:4(X=アルカリ土類・ランタノイド、M=Al・Si・Ti・Zr・Ce)の範囲である。以下、本発明について実施例によってさらに詳述する。 【0018】 【実施例】 実施例1本実施例は非晶質Ba4 PtO6 についてのものである。37.3gのBa(NO3 )2 を200gのイオン交換水に溶かして溶液A1とした。4wt%のジニトロジアンミンPt硝酸水溶液174gを溶液A1に加えて溶液B1とした。溶液B1にケロシン180gとソルビタンモノラウレート(界面活性剤)7.2gを加えて溶液C1とした。溶液C1をホモジナイザで10分間混合してエマルジョン溶液D1とした。 【0019】エマルジョン溶液D1を噴霧器を備えた流通式の燃焼炉に液体ポンプにより導入した。燃焼炉には10l/min の窒素 (キャリアー) と約20l/min の酸素(燃焼用)を導入した。溶液D1の供給量と酸素供給量を調節して燃焼温度を900℃とした。燃焼炉の下流に設けたステンレス製のじゃま板および紙製のフィルターにより、生成した複合酸化物粉末E1を捕集した。粉末E1を空気中、1100℃で2時間焼成して複合酸化物粉末F1を得た。4.93gの粉末F1と94.61gのγ−Al2 O3 を乳鉢でよく混合して実施例触媒1を得た。 【0020】実施例2本実施例は非晶質Sr4 PtO6 についてのものである。30.3gのSr(NO3 )2 を200gのイオン交換水に溶かして溶液A2とした。4wt%のジニトロジアンミンPt硝酸水溶液174gを溶液A2に加えて溶液B2とした。溶液B2にケロシン180gとソルビタンモノラウレート(界面活性剤)7.2gを加えて溶液C2とした。溶液C2をホモジナイザで10分間混合してエマルジョン溶液D2を得た。エマルジョン溶液D2を噴霧器を備えた流通式の燃焼炉に液体ポンプにより導入した。燃焼炉には10l/min の窒素 (キャリアー) と約20l/min の酸素(燃焼用)を導入した。溶液D2の供給量と酸素供給量を調節して燃焼温度を900℃とした。燃焼炉の下流に設けたステンレス製のじゃま板および紙製のフィルターにより、生成した複合酸化物粉末E2を捕集した。粉末E2を空気中、1100℃で2時間焼成して複合酸化物粉末F2を得た。4.10gの粉末F2と95.07gのγ−Al2 O3 を乳鉢でよく混合して実施例触媒2を得た。 【0021】実施例3本実施例は非晶質Sr3 CoPtO6 についてのものである。22.7gのSr(NO3 )2 と10.4gのCo(NO3 )・6H2 Oを200gのイオン交換水に溶かして溶液A3とした。4wt%のジニトロジアンミンPt硝酸水溶液174gを溶液A3に加えて溶液B3とした。溶液B3にケロシン180gとソルビタンモノラウレート(界面活性剤)7.2gを加えて溶液C3とした。溶液C3をホモジナイザで10分間混合してエマルジョン溶液D3を得た。エマルジョン溶液D3を噴霧器を備えた流通式の燃焼炉に液体ポンプにより導入した。燃焼炉には10l/min の窒素 (キャリアー) と約20l/min の酸素(燃焼用)を導入した。溶液D3の供給量と酸素供給量を調節して燃焼温度を900℃とした。燃焼炉の下流に設けたステンレス製のじゃま板および紙製のフィルターにより、生成した複合酸化物粉末E3を捕集した。粉末E3を空気中、1100℃で2時間焼成して複合酸化物粉末F3を得た。5.45gの粉末F3と95.07gのγ−Al2 O3 を乳鉢でよく混合して実施例触媒3を得た。 【0022】比較例1本比較例は、Ba4 PtO6 /Al2 O3 (Ba4 PtO6 はゾルゲル法で合成)についてのものである。20gのPtCl4 をエタノール200gに溶かして溶液O1とした。溶液O1にNaエトキシドC2 H5 ONaのエタノール溶液(10wt%)を40g加えてさらに5時間還流してPtアルコキシド溶液P1と得た。溶液P1にBaエトキシドBa(OC2 H5 )2 のエタノール溶液(10wt%)を541gを加えて溶液Q1とした。溶液Q1にイオン交換水120gを加えて2時間放置して沈殿(ゲル)を得た。窒素雰囲気中、200℃で一昼夜乾燥・脱脂後、1000℃、5時間焼成して粉末R1を得た。5.31gのR1粉末と94.41gのγ−Al2 O3 を乳鉢でよく混合して比較例触媒1を得た。 【0023】比較例2本比較例は、Sr4 PtO6 /Al2 O3 (Sr2 PtO6 はゾルゲル法で合成)についてのものである。20gのPtCl4 をエタノール200gに溶かして溶液O2とした。溶液O2にNaエトキシドC2 H5 ONaのエタノール溶液(10wt%)を40g加えてさらに5時間還流してPtアルコキシド溶液P2を得た。溶液P2にSrエトキシドSr(OC2 H5 )2 のエタノール溶液(10wt%)を438gを加えて溶液Q2とした。溶液Q2にイオン交換水120gを加えて2時間放置して沈殿(ゲル)を得た。窒素雰囲気中、200℃で一昼夜乾燥・脱脂後、1000℃、5時間焼成して粉末R2を得た。4.10gのR2粉末と95.07gのγ−Al2 O3 を乳鉢でよく混合して比較例触媒2を得た。 【0024】比較例3本比較例は、Sr4 CoPtO6 /Al2 O3 (Sr3 CoPtO6 はゾルゲル法で合成)についてのものである。20gのPtCl4 をエタノール200gに溶かして溶液O3とした。溶液O3にNaエトキシドC2 H5 ONaのエタノール溶液(10wt%)を40g加えてさらに5時間還流してPtアルコキシド溶液P3を得た。溶液P3にSrエトキシドSr(OC2 H5 )2 のエタノール溶液(10wt%)を329gとCoイソプロポキシドCo(OC3 H7 )2 のエタノール溶液(10wt%)を105g加えて溶液Q3とした。溶液Q3にイオン交換水120gを加えて2時間放置して沈殿(ゲル)を得た。窒素雰囲気中、200℃で一昼夜乾燥・脱脂後、1000℃、5時間焼成して粉末R3を得た。5.45gのR3粉末と95.07gのγ−Al2 O3 を乳鉢でよく混合して比較例触媒3を得た。 【0025】従来例1本従来例はPt/Al2 O3 についてのものである。ジニトロジアンミンPt硝酸水溶液(Ptとして0.2wt%)313gにγ−Al2 O3 (比表面積150m3 /g)50gを入れて攪拌する。水を蒸発させ、120℃で一昼夜乾燥の後500℃、1時間焼成して従来例1の触媒を得た。各実施例触媒および比較例触媒をX線回折分析した結果を図2に示す。実施例触媒1および実施例触媒2では非晶質になっている。以下に、性能評価方法について説明する。上記の触媒をCIP(常温静水圧プレス)にて加圧後、粉砕し、1.7〜1.0mmに成型した。性能評価の前に1000℃、10時間の耐久処理を行った。耐久処理ガス組成(A/F=16相当)を表1に示す。 【0026】 【表1】
【0027】次に常圧流通式反応装置を使用して、浄化率を測定した。浄化率測定ガス組成(ストイキ相当)を表2に示す。 【0028】 【表2】
【0029】この時の浄化率測定ガスの流量は5L/min である。触媒重量は2.0gである。各触媒床温度を500℃,450℃,400℃,350℃,300℃,250℃として、各温度で定常状態での浄化率を測定した。浄化率の定義は下記のとおりである。 浄化率=〔(入りガス濃度−出ガス濃度)/入りガス濃度〕×100次に触媒床温度と浄化率をプロットし浄化率50%となる温度(これをTHC−T50<C3 H6 成分>、NO−T50<NO成分>と記す)を求めた。結果を表3にまとめて示す。 【0030】 【表3】
【0031】表3から明らかなように、本発明の非晶質貴金属複合酸化物触媒は、ゾルゲル法による結晶性貴金属複合酸化物触媒と同等の浄化性能を有していることがわかった。すなわち、貴金属複合酸化物の浄化性能は特定の結晶構造に依存しないことがわかった。これは、複合酸化物中のPtイオン(の存在)だけが触媒性能を有しており、Ptイオンを含んだ結晶構造がPtイオン以外の特異な活性場を有していないためと考えられる(活性点の数の問題)。さらに、複合酸化物の表面に存在するPtイオン自体の性能も結晶構造に依存せず、組合せの元素の種類のみによって決定されているためと考えられる(活性点の質の問題)。 【0032】 【発明の効果】本発明の排ガス浄化用触媒は、白金を非晶質複合酸化物の結晶中に取り込むことによって、高温安定化を達成したため1000℃以上で使用できる耐久性を有する。さらに、担体酸化物を非晶質複合酸化物に混合することによって、非晶質複合酸化物同士の接触による焼結を防止し、非晶質複合酸化物の比表面積の減少を抑制できるため、さらに耐久性が向上する。
|
|