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発明の名称 イオウ化合物の処理方法、処理材及び硫化水素処理材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−99680
公開日 平成10年(1998)4月21日
出願番号 特願平9−147704
出願日 平成9年(1997)6月5日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修 (外1名)
発明者 関 建司 / 森 和亮 / 高見澤 聡
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 イオウ化合物を含む処理対象から前記イオウ化合物を分離して除去処理するイオウ化合物の処理方法であって、吸着材としての1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体に、前記イオウ化合物を吸着させて、前記イオウ化合物を前記処理対象より分離除去するイオウ化合物の処理方法。
【請求項2】 前記イオウ化合物が、処理対象ガス中に含有される付臭剤としてのt−ブチルメルカプタンもしくはメチルサルファイドであり、前記吸着材が、前記1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体であるとともに、その構成金属に銅を含む請求項1記載のイオウ化合物の処理方法。
【請求項3】 イオウ化合物を含む処理対象ガスを処理するイオウ化合物の処理方法であって、前記処理対象ガスを吸着材に接触させて前記イオウ化合物を前記吸着材に吸着させるとともに、残余のガスを捕集して前記イオウ化合物が少ない第1分離ガスを得る第1工程と、前記第1工程で前記吸着材に吸着された前記イオウ化合物を前記吸着材から脱離させて、脱離してくるガスを捕集して前記イオウ化合物が多い第2分離ガスを得る第2工程とからなり、前記吸着材として1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体を使用して、前記第2分離ガスと前記第1分離ガスとを各別に得るイオウ化合物の処理方法。
【請求項4】 前記イオウ化合物が、前記処理対象ガス中に含有される付臭剤としてのt−ブチルメルカプタンもしくはメチルサルファイドであり、前記吸着材が、前記1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体であるとともに、その構成金属に銅を含む請求項3記載のイオウ化合物の処理方法。
【請求項5】 前記有機金属錯体が、フマル酸銅、1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸銅、テレフタル酸銅から選ばれる少なくとも一種以上のものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオウ化合物の処理方法。
【請求項6】 1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体からなるイオウ化合物処理材。
【請求項7】 1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体からなる硫化水素処理材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、各家庭に供給される都市ガス(例えば天然ガス)中に含有されるイオウ化合物を、このガスより除去、回収処理するイオウ化合物の処理方法、あるいは、このような方法で分離されるイオウ化合物を、残余のガスとを別々に回収する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のイオウ化合物除去が必要な例としては、悪臭の元である硫化水素等の除去、天然ガスに添加される付臭剤の除去等を挙げることができる。ここで、前者の例は、悪臭の除去が目的であり、このような目的のためには、従来、活性炭の使用が一般的である。一方、後者の例は、天然ガスを燃料電池に対する水素源として利用する場合に、生じる。即ち、メタンの水素へのリフォーマでの変換操作においては、触媒としてCu−Zn系金属が使用されるが、ガス中に付臭剤があると、この触媒が被毒する。これを回避するために、付臭剤を除去する必要がある。従って、従来、付臭剤を直接除去するにあたり、100〜250℃の温度条件下で、酸化銅、酸化亜鉛または両者の混合物である脱硫触媒に、付臭剤を含んだ天然ガスを流通させて除去している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、活性炭を使用して、イオウ化合物を分離除去しようとすると、その除去には、限界がある。一方、金属触媒を利用して、イオウ化合物を除去しようとすると、その反応温度が高い故の問題が残存し、装置構成も複雑になるという問題があった。従って、本発明の目的は、上記課題を解決することにあり、イオウ化合物を常温に近い環境条件にあっても効率的に分離除去できるイオウ化合物の処理方法を得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕この目的を達成するための本発明による請求項1に係わる、イオウ化合物を含む処理対象からイオウ化合物を分離して除去処理するイオウ化合物の処理方法の特徴手段は、これが、吸着材としての1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体に、イオウ化合物を吸着させて、イオウ化合物を処理対象より除去処理することにある。
〔作用・効果〕本願において吸着材として使用する1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体は、イオウ化合物に対する吸着、脱離能を有するものであり、しかも、この能力は、常温環境下においても、これが発揮される。さらに、その構造上、空隙の大きさが揃っているために、比較的選択性よく、所望の吸着対象物を吸着して、他の成分から分離することができる。例えば、悪臭成分としてのイオウ化合物を含む処理対象ガスが吸着材に接触する状態にあっては、イオウ化合物が選択的に吸着材に、その温度状態、圧力状態に起因して、吸脱着される。従って、例えば、処理対象ガス中にイオウ化合物が含有されている場合は、このガスを先に説明した有機金属錯体に接触させることにより、処理対象ガスからイオウ化合物を分離除去することができる。
【0005】このような特性を有する有機金属錯体は、(1)分子内の点対称位置に配置された2個のカルボキシル基を有するジカルボン酸と金属イオンにより形成される錯体(テレフタル酸銅、フマル酸銅、1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸銅、4,4’−ビフェニルジカルボン酸銅、2,6−ナフタレンジカルボン酸銅、p−フェニレジ酢酸銅等)、(2)剛直な骨格の両末端に金属イオンに配位可能な原子を有する2座配位可能な有機配位子と2価の金属イオンにより形成される錯体(以下の化学式で表現されるもの等【0006】
【化1】M(bpy)m (A- 2(MはCo、Cu、Ni、Znより選ばられ金属イオン、Aは陰イオン基、mは1.5または2であり、bpyは4,4’−ビピリジルを表す))
【0007】又は(3)剛直な骨格の両末端に金属イオンに配位可能な原子を有する2座配位可能な有機配位子、2,3−ピラジンジカルボン酸と2価の金属イオンにより形成される錯体(以下の化学式で表現されるもの等【0008】
【化2】Cu(bpy)(pyzdc)2(bpyは4,4’−ビピリジル、pyzdcは2,3−ピラジンジカルボン酸を表す))
【0009】の少なくとも1種が例示できる。これらの錯体は、有機配位子の溶液と原料である金属塩の溶液を混合、反応させることにより得られる。
【0010】(1)の錯体を構成する有機配位子である、分子内の点対称位置に配置された2個のカルボキシル基を有するジカルボン酸としては、テレフタル酸、フマル酸、1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸が例示される。また、金属イオンとしては、銅イオン、クロムイオン、モリブデンイオン、ロジウムイオン、パラジウムイオン、タングステンイオン、が例示でき、前記ジカルボン酸と組み合わせて錯体が形成される。
【0011】(2)の錯体を構成する有機配位子としては、ピラジン、4,4’−ビピリジル、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4’−ジシアノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼンより選択されるものが好ましく、金属イオンとしては2価の金属イオンが使用され、具体的にはCo、Ni、Cu、Znより選択されるものの使用が好ましい。
【0012】(3)の錯体を構成する有機配位子は、(2)に使用される有機配位子の1種とピラジンジカルボン酸が併用され、金属イオンとしては(2)と同じものが使用される。
【0013】これらの有機金属錯体の製造は、有機配位子の溶液と原料の金属塩の溶液を準備してこれらを混合し、反応させることにより行う。使用される溶剤は有機配位子、金属イオンと反応したり錯体を形成するものでなければ特に制限されない。また、金属イオンの対イオンもその金属塩の溶剤への溶解性、生成する錯体の1次元又は3次元チャンネル構造の形成を阻害するものでなければ特に限定されない。(1)の錯体の製造においては、ジカルボン酸の溶液に有機酸を添加してpHを調整することが好ましく、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等が使用できる。
【0014】前記(1)〜(3)の有機金属錯体はX線回折のパターンの解析により、1次元又は3次元チャンネル構造を有していることが判る。例えは(1)の錯体としてテレフタル酸銅を例に取って説明すると、銅は平面4配位であり、2個の銅イオンをテレフタル酸4分子が90°ごとに囲むようにして配置し、カルボキシル基の2個の酸素原子はそれぞれ別の銅イオンに配位している。即ち、テレフタル酸分子は格子状に配列し、その格子点に2個の銅イオンが存在する。そして、銅イオンとジカルボン酸より形成される層が積層された形で結晶が構成されている。その結果、格子が積層されて1次元チャンネルが形成される。(2)の錯体として、【化3】Ni(bpy)1.5 (ClO4 2(bpyは4,4’−ビピリジルを表す))なる組成の錯体について説明すると、1個のNiイオンの周囲、平面上90°毎に、4,4’−ビピリジルが4分子N原子により配位し、4,4’−ビピリジルは他のN原子によりそれぞれ別のNiイオンに配位し、平面状の格子を形成し、この格子が、Niイオンが直線状に並ぶように積層して結晶が構成されており、格子が積層により、連続して1次元チャンネルまたは3次元のチャンネルを形成する。また、(3)の錯体として、【化4】Cu(bpy)(pyzdc)2(bpyは4,4’−ビピリジル、pyzdcは2,3−ピラジンジカルボン酸を表す))なる組成を有する錯体の例として説明すると、2,3−ピラジンジカルボン酸が銅イオンに配位して平面状の構造を形成し、この平面を銅イオンに配位した4,4’−ビピリジルが結合する形で積層し結晶が構成され、この層関にチャンネル構造が形成される。従って、この場合もまた、1次元チャンネルまたは3次元のチャンネルを形成する。
【0015】〔構成〕上記の方法を適応する場合に、イオウ化合物が処理対象ガス中に含有される付臭剤としての、t−ブチルメルカプタンもしくはメチルサルファイドであり、前記吸着材が、1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体であるとともに、その構成金属に銅を含むであることが好ましい。この構成が請求項2に係わる。即ち、本願の吸着材は、t−ブチルメルカプタンもしくはメチルサルファイドに対して、吸着能を有するため、このを含有する処理対象ガスを接触させることにより、これらが吸着除去される。さらに、金属として銅を構成金属として含む有機金属錯体に接触させると、被吸着物に存在するイオウ分と銅との結合が形成され、これらをさらに良好に吸着除去することができる。先にも説明したように、燃料電池への水素供給を目的として、付臭剤が添加された天然ガスから、付臭剤を除去しようとする場合等に好適に使用することができる。即ち、リフォーマにおける触媒の被毒を回避して、長期間にわたって、同一の触媒を使用することが可能となる。一方、本願の方法は、必ずしも高温条件を必要としないため、装置構成の簡易化、使用環境の良化を達成できる。
【0016】これまで説明してきた例にあっては、おもに、イオウ化合物の除去のみを目的としてした処理方法について説明したが、本願の特徴手段を適応する場合は、処理対象からのイオウ化合物の除去に加えて、その分離回収、及び、このイオウ化合物の割合が減少したものを回収することも可能となる。この構成について以下説明する。
〔構成〕即ち、イオウ化合物を含む処理対象ガスを処理する場合に、以下のような手段を取るのである。この構成が本願の請求項3に対応する。処理対象ガスを吸着材に接触させてイオウ化合物を吸着材に吸着させるとともに、残余のガスを捕集してイオウ化合物が少ない第1分離ガスを得る第1工程と、この第1工程で吸着材に吸着されたイオウ化合物を吸着材から脱離させて、脱離してくるガスを捕集して前記イオウ化合物が多い第2分離ガスを得る第2工程とからなり、吸着材として、1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体を使用して、第2分離ガスと第1分離ガスとを各別に得ることとするのである。
〔作用〕第1工程において、処理対象ガスを吸着材に接触させて、吸着材にイオウ化合物を吸着させて、この成分の少ない第1分離ガスを得る。この処理に続いて、吸着されているイオウ化合物を吸着材から脱離させて、第2工程で、イオウ化合物の多い第2分離ガスを得るのである。このようにすると、先に説明したイオウ化合物の除去をするのみならず、イオウ化合物の回収をも、本願独特の吸着材としての1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体を利用しておこなうことができる。
〔構成〕このような分離・回収をおこなう対象としては、前記イオウ化合物が、処理対象ガス中に含有される付臭剤としてのt−ブチルメルカプタンもしくはメチルサルファイドであり、前記1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体であり、構成金属として銅を含むものであることが好ましい。この構成が請求項4に係わる。
〔作用〕先に説明したように、付臭剤としてのt−ブチルメルカプタンもしくはメチルサルファイドは、1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体に吸着される。さらにこのような付臭剤は、このような吸着材から、所定の圧力条件、温度条件で脱離する。従って、付臭剤側に関しては、これを、例えば、処理対象ガスとしての天然ガスから分離して、回収して、再使用の用途に使用することが可能となる。ここで、金属錯体を成す構成金属に銅が含まれていると、イオウとの結合が起こり、さらに高い吸着性能を発揮することができる。
【0017】一方、天然ガス側からは、被毒作用を持つ付臭剤の除去を的確に行って、例えば、燃料電池の原料ガスとして使用する場合に、メタン−水素変換触媒の寿命を長くできる処理をおこなうことができる。この場合、常温で、この効果を得られることは、工業上、非常に有利である。従って、上記のような1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体は、イオウ化合物の処理材として使用することができる。一方、このような有機金属錯体は、イオウ化合物の一種としての主な悪臭成分である硫化水素を吸着するため、例えば室内の悪臭除去に有効である。
【0018】尚、前記有機金属錯体が、フマル酸銅、1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸銅、テレフタル酸銅から選ばれる少なくとも一種以上のものである場合には、イオウ化合物に対して特に高い飽和吸着量を示す(実験においては二酸化硫黄)とともに、温度変化に対する可逆的な吸脱着性能を示すことがわかり、イオウ化合物の除去処理に大きく役立つことがわかった。
【0019】
【発明の実施の形態】本願のイオウ化合物の処理方法を使用して、処理対象ガスからイオウ化合物を除去して、回収するガス処理装置1を、以下、図面に基づいて説明する。以下に説明する例にあっては、一例としての天然ガスに、イオウ化合物としての付臭剤(t−ブチルメルカプタンとジメチルサルファイド)が添加された処理対象ガス(メタンを主成分とする天然ガス)から、前記付臭剤を除去し、さらに、この除去作業によって得られた付臭剤を回収する場合について説明する。図1に示すように、ガス処理装置1は、吸着材2を収納する吸着材収納室3を備えるとともに、この吸着材収納室3に対して処理対象ガスを供給、供給停止自在な処理対象ガス供給路4と、この吸着材収納室3から排出されるガスを各路間で選択的に回収自在な第1回収路5と第2回収路6とを備えて構成されている。即ち、前述の処理対象ガス供給路4は、その下手側が吸収材収納室3に接続されており、その途中に、ガスの供給と供給停止状態との間で路を切り換え自在な供給側切り換え弁7が備えられている。さらに、第1回収路5及び第2回収路6は、夫々その上手側が吸収材収納室3に接続されており、それぞれに、第1切り換え弁8、第2切り換え弁9が備えられている。そして、原則的には、供給側切り換え弁7が開の状態で、第1切り換え弁8が開、第2切り換え弁9が閉の状態が設定できるように構成され、さらに、供給側切り換え弁7が閉の状態で、第1切り換え弁8が閉、第2切り換え弁9が開の状態に設定できるように構成されている。ここで、前者の状態が第1分離状態、後者の状態が第2分離状態に対応する。一方、前述の第2回収路6には吸引用のポンプ10が備えられており、このポンプ10が働き、第2切り換え弁9が開、第1切り換え弁8が閉の状態にある場合(第2分離状態に対応)に、吸着材収納室3を真空排気状態(低圧状態)に維持できるようになっている。さらに、第1切り換え弁8が開、第2切り換え弁9が閉の状態にある場合(第1分離状態に対応)には、吸着材収納室内は、ほぼ常圧で、供給側からガスが供給される状態になる。従って、このポンプ10は、その作動状態と非作動状態(但し他の弁との協働)によって、吸着材収納室内の圧力が二つの異なった圧力状態に維持できる圧力設定機構として働く。
【0020】以上の構成を採用することにより、本願のガス処理装置1は、処理対象ガスを吸着材収納室3に導いて付臭剤(イオウ化合物の一例)を吸着材に吸着させるとともに、残余のガス(天然ガス)を第1回収路5に導いて捕集する第1分離状態と、吸着材2に吸着される付臭剤を吸着材2から脱離させて、脱離してくる付臭剤を第2回収路6に導いて捕集する第2分離状態との間で、状態選択自在に構成されている。
【0021】上記の吸着材収納室内には、吸着材2の一例としてフマル酸銅が収納されている。前記圧力設定機構は、吸着材収納室内の圧力を、吸着材2が吸着動作する吸着状態(第1分離状態)において所定の圧力状態(非真空状態)に、吸着材2が脱離動作する脱離状態(第2分離状態)において真空に設定切り換え可能に構成されている。
【0022】以上が、本願のガス処理装置1の一構成形態である。以下、この装置1を使用して分離を行った結果について、以下、説明する。分離操作 1先に説明したように、フマル酸銅を吸着材2として吸着材収納室内に収納し、付臭剤を添加された天然ガスを吸着飽和になるまで1.02kg/cm2 Gの圧力にて流通させた。この場合、処理対象ガス供給路4及び第1回収路5を開状態とし、第2回収路6を閉状態とした(第1分離状態)。この操作は、常温状態でおこなった。この操作を第1工程と呼ぶ。得られた結果を説明すると、表1に示すように、処理対象ガスから付臭剤成分のみを分離することができた。
【0023】
【表1】
処理対象ガス組成 ベースガス 天然ガス 添加物 t−ブチルメルカプタン 約 2.5ppm ジメチルサルファイド 約 1.7ppm第1回収路5に回収されたガスの成分組成付臭剤成分をppb以下で検出せず。
【0024】さらに、上記の第1工程の後、処理対象ガス供給路4及び第1回収路5を閉状態とし、第2回収路6を開状態とした(第2分離状態)。但し、この状態にあっては、ポンプ10を働かせて、吸着材収納室内を真空排気して、内部のガスを第2回収路6に導いた。この操作を第2工程と呼ぶ。結果、第2回収路6に、付臭剤を回収することができた。さらに、比較例として、活性炭による付臭剤の除去を試みたが、十分な除去効果を得ることはできなった。
【0025】以下に各種吸着材の吸着性能を前記フマル酸銅との比較において示す。
(1) まず、前記フマル酸銅を製造する場合の一例について説明する。メタノール100cm3 及び蟻酸12cm3 の混合溶媒にフマル酸1.2gを溶解した。その溶液を、常温に冷却後攪拌しながら、蟻酸銅3.38gをメターノール100cm3 に溶解した溶液を滴下し、1日〜数日静置した。その後、沈澱物を吸引濾過し、120℃/4時間真空乾燥させ、所望のフマル酸銅を1.37g得ることができた。このフマル酸銅に対して、硫黄酸化物(SO2 )を吸着させ、マイクロ天秤を用いた重量法により飽和吸着量を調べたところ、ガス圧20mmHgにおいて81Ncm3 /g(250K)であった。
【0026】(2) 1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸銅の製造例メタノール100cm3 及び蟻酸14cm3 の混合溶媒に1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸2.53gを溶解した。その溶液を、常温に冷却後攪拌しながら、蟻酸銅3.3gをメターノール100cm3 に溶解した溶液を滴下し、1日〜数日静置した。その後、沈澱物を吸引濾過し、120℃/4時間真空乾燥させ、所望の1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸銅を1.71g得ることができた。この1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸銅に対して、硫黄酸化物(SO2 )を吸着させ、マイクロ天秤を用いた重量法により飽和吸着量を調べたところ、ガス圧20mmHgにおいて95Ncm3 /g(250K)であった。また、吸着等温線を測定したところ図4のようになった。この図からはSOxの吸脱着が温度変化によって円滑に行えるということが読みとれる。
【0027】(3) テレフタル酸銅の製造例メタノール800cm3 及び蟻酸30cm3 の混合溶媒にテレフタル酸1.2gを溶解した。その溶液を、常温に冷却後攪拌しながら、蟻酸銅3.0gをメタノール150cm3 に溶解した溶液を滴下し、1日〜数日静置した。その後、沈澱物を吸引濾過し、120℃/4時間乾燥させ、所望のテレフタル酸銅を2.10g得ることができた。このテレフタル酸銅に対して、硫黄酸化物(S2 )を吸着させ、マイクロ天秤を用いた重量法により飽和吸着量を調べたところ、ガス圧20mmHgにおいて157Ncm3 /g(250K)であった。
【0028】〔別実施の形態〕本願の別実施の形態について以下説明する。
(イ) 上記の実施の形態においては、吸着材としてフマル酸銅を使用する例を示したが、これまで説明してきたように、1次元又は3次元チャンネル構造を有する有機金属錯体であれは、本願の目的は達成できる。さらに、本願が、除去、回収しようとするものは、イオウを含むものであるため、錯体内に銅を含むものは、イオウとの結合を発生しやすく、広い意味での吸着能を発揮しやすく好ましい。
(ロ) 上記の実施の形態においては、除去対象、回収対象として、付臭剤の例を挙げたが、このような付臭剤で、イオウを含むものとしては、テトラハイドロチオフェン等もある。さらに、本願が対象とするイオウ化合物は、付臭剤に限られるものではなく、一般的な悪臭源としての、イオウを含む化合物を対象とでき、例えば、付臭剤を吸着除去できる吸着剤は、SO2 、H2 S、CH3 SH、(CH3 2 SH等も吸着、除去できるとともに、逆も成り立つと考えられている。これら化合物を総称して、イオウ化合物と呼ぶ。
(ハ) 上記の実施の形態にあっては、吸着材収納室3を単一備えるものとし、第1回収路5と第2回収路6とに交互に、所定のガスを導く構成としたが、連続的に相互のガスを回収できる構成とすることも可能である。このような構成を図2に示した。図示する構成の装置100にあっては、一対の吸着材収納室3が備えられるとともに、これらの吸着材収納室3に接続される処理対象ガス供給路4に、夫々、切り換え弁70が備えられる。そして、各吸着材収納室3からの排出路50を択一的に第1回収路5及び第2回収路6に接続する2位置切り換え弁80を備えるのである。この場合も、各吸着材収納室3に、圧力設定機構を備える。このようにしておくと、一方の吸着材収納室3に処理対象ガスを供給する状態で、この吸着材収納室3からの排出ガスを第1回収路5に導くように構成し、さらに、他方の吸着材収納室3への処理対象ガスの供給を遮断する状態で、この吸着材収納室内にある吸着材2を脱離状態(具体的には減圧真空状態)に維持し、この収納室3からの排出ガスを第2回収路6に導くように構成する。そして、この状態を、相互の吸着材収納室間で、交互に切り換え自在とするのである。このように構成しておくと、連続的な、分離回収が可能となる。
(ニ) 上記の実施の形態にあっては、吸着材収納室3に対して、その内部圧を2状態に切り換え設定可能な圧力設定機構を設けたが、吸着状態と脱離状態の切り換えは、室内の圧力によることなく、室内の温度により、吸着、脱離をおこなう構成としてもよい。この場合は、圧力設定機構の代わりに、室内の温度を任意の温度状態に設定可能(実体上は2つの設定温度状態)な温度設定機構11を設けておけばよい。この構成を、図1に対応して、図3に示した。図3の構成においては、ポンプ10は必要ないが、これを備えておいてもよい。




 

 


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