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発明の名称 難燃性ガス貯蔵剤、難燃性ガス貯蔵方法ならびに高圧難燃性ガス発生装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−66865
公開日 平成10年(1998)3月10日
出願番号 特願平8−226218
出願日 平成8年(1996)8月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修 (外1名)
発明者 関 建司 / 森 和亮 / 高見澤 聡
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 1次元チャンネル構造を有し、難燃性ガスを吸着貯蔵しうる有機金属錯体を含む難燃性ガス貯蔵剤。
【請求項2】 前記1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体は、分子内の点対称位置に配置された2個のカルボキシル基を有するジカルボン酸と金属イオンにより形成される錯体である請求項1に記載の難燃性ガス貯蔵剤。
【請求項3】 前記有機金属錯体は3〜20Åの細孔径を有するものである請求項1に記載の難燃性ガス貯蔵剤。
【請求項4】 難燃性ガスが炭酸ガスである請求項1、2または3に記載の難燃性ガス貯蔵剤。
【請求項5】 難燃性ガスを加圧状態にて1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体を含む難燃性ガス貯蔵剤と接触させ、前記難燃性ガスを前記難燃性ガス貯蔵剤に吸着することを特徴とする難燃性ガス貯蔵方法。
【請求項6】 吸着難燃性ガスが炭酸ガスである請求項5に記載の難燃性ガス貯蔵方法。
【請求項7】 容器内に1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体を含む難燃性ガス貯蔵剤を収容した第1の区画、及び前記有機金属錯体と反応し、分解する分解試薬を収容した第2の区画を備え、第1の区画と第2の区画は隔壁部材により分離されており、外部よりの操作により前記隔壁部材の分離作用を解除して前記難燃性ガス貯蔵剤と前記分解試薬を接触させ、前記有機金属錯体を分解することによって有機金属錯体に吸着貯蔵された難燃性ガスを脱着させることにより高圧の難燃性ガスを発生させることが可能な高圧難燃性ガス発生装置。
【請求項8】 前記有機金属錯体と反応する第2の化学物質が水、又は酸もしくはアルカリの水溶液である請求項6記載の高圧難燃性ガス発生装置。
【請求項9】 吸着難燃性ガスが炭酸ガスである請求項7または8に記載の高圧難燃性ガス発生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チャンネル構造を有する有機金属錯体を使用し、加圧下にて難燃性ガスを接触させ、吸着させて貯蔵する難燃性ガスの貯蔵剤、前記難燃性ガス貯蔵剤を使用した難燃性ガス貯蔵方法、並びに高圧難燃性ガス発生装置に関するものである。本発明は特に炭酸ガスに好適なガス貯蔵剤とガス貯蔵方法、並びに高圧炭酸ガス発生装置に関するものである。
【0002】本発明に好適な錯体を使用した難燃性ガス貯蔵剤は、単位体積当たりの難燃性ガスの吸着量が多いため、飽和に近い吸着状態の金属錯体に分解試薬を接触させると急速に多量の難燃性ガスが発生する。この特性を利用すると、短時間に大量の難燃性ガスを発生させる必要のある用途、装置に使用することが出来、特に吸着難燃性ガスとして炭酸ガスを使用した場合には、航空機や船舶に装備する救命胴衣、救命筏、脱出装置やゴムボートの気体充填装置、または消火装置等、炭酸ガスの化学的性質を生かした用途や気体としての特性を生かした用途に利用することが可能である。
【0003】
【従来の技術】活性炭、ゼオライト、シリカゲル等は化学物質の吸着剤として知られており、炭酸ガス等の難燃性ガスも吸着することが出来る。また、ガスを貯蔵する方法としては、高圧でボンベに充填する方法が使用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、活性炭、ゼオライト、シリカゲル等の従来の吸着剤は難燃性ガスの吸着量が少なく、また、いったん吸着された難燃性ガスを脱着し、回収するには、周知のように、難燃性ガスを吸着した吸着剤の加熱、減圧、またはこれらの操作を組み合わせによるしかなく、時間とエネルギーを必要とするものであり、貯蔵剤として使用するのは困難であった。また、難燃性ガス貯蔵・運搬方法として唯一実用化されているボンベに充填する方法ではボンベの重量が重く運搬が困難であった。本発明は、難燃性ガスを1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体に吸着させて貯蔵する難燃性ガス貯蔵剤、これを利用した難燃性ガス貯蔵方法、並びに吸着された難燃性ガスを容易、かつ迅速に回収する高圧難燃性ガス発生装置を提供することにある。
【0005】特に本発明の1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体に吸着される化学物質の種類は窒素、酸素、炭酸ガスの他、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン等の希ガス、3フッ化メタン、4フッ化メタンを含むフロン類、塩化メチル、臭化メチル等のハロゲン化合物などの有機化合物を含む難燃性ガスの吸着貯蔵に適する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願請求項1に記載の発明は、1次元チャンネル構造を有し、難燃性ガスを吸着貯蔵しうる有機金属錯体を含む難燃性ガス貯蔵剤に関するものである。1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体は、前記チャンネル構造に基づく細孔を有するため、この細孔に難燃性ガスを多量に吸着する能力を有し、難燃性ガス貯蔵剤として使用することが出来る。本発明にかかる難燃性ガス吸着剤は特に炭酸ガスの吸着剤として好適である。炭酸ガスが大量に吸着される理由は明確ではないが、炭酸ガスの分子サイズと1次元チャンネル構造に基づく空隙のサイズとが吸着に適した関係にあることなどによるものと考えられる。
【0007】ここに1次元チャンネル構造とは金属イオンとこれに配位する有機配位子によりつくられる結晶格子の空間が1次元的に連続して形成される連続した空間を言う。
【0008】本発明の難燃性ガス貯蔵方法に使用する前記1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体は、分子内の点対称位置に配置された2個のカルボキシル基を有するジカルボン酸と金属イオンにより形成される錯体であることが好ましい。少なくともこれらの錯体は、1次元のチャンネル構造を形成し、難燃性ガス、特に炭酸ガスを多量に吸着する能力を有する。
【0009】前記有機金属錯体は、そのチャンネル構造に基づく空隙の3〜20Åの細孔径を有するものであることが好ましい。3Å以下の場合は難燃性ガス分子を収容するには小さすぎて難燃性ガスの吸着量が低下し、20Å以上になると空隙が大きすぎて、やはり吸着量が低下する。
【0010】本発明は難燃性ガス貯蔵方法、特に好ましくは炭酸難燃性ガス貯蔵方法にも関するものであり、その貯蔵方法は、難燃性ガスを加圧状態にて1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体を含む貯蔵剤と接触させて前記難燃性ガス貯蔵剤に吸着させることを特徴とするものである。この方法によれば、ボンベに充填するよりも低圧で金属錯体のチャンネル構造に基づく空隙に難燃性ガスを大量に吸着貯蔵することが可能であって、しかもその吸着量は活性炭などより遙かに多量である。従って、本発明によれば従来のボンベよりも軽量の貯蔵装置を製作することが出来、運搬も容易となる。
【0011】本発明はまた高圧難燃性ガス、特に好ましくは炭酸ガスの発生装置にも関するものであり、本願請求項7記載の発明である高圧難燃性ガス発生装置は、容器内に1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体を含む難燃性ガス貯蔵剤を収容した第1の区画、及び前記有機金属錯体と反応し、分解する分解試薬を収容した第2の区画を備え、第1の区画と第2の区画は隔壁部材により分離されており、外部よりの操作により前記隔壁の分離作用を解除して前記難燃性ガス貯蔵剤と分解試薬を接触させ、有機金属錯体を分解することによって有機金属に吸着貯蔵された難燃性ガスを脱着させることにより高圧の難燃性ガスを発生させることが可能であるという特徴を有する。
【0012】1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体、特に請求項2に記載の錯体は大量の難燃性ガスを吸着させることが出来、この難燃性ガスを吸着した錯体を分解すると、吸着されていた難燃性ガスが放出され、かつ吸着されている難燃性ガス量が多いために密閉系にて錯体と分解試薬とを反応させると脱着する難燃性ガスは高圧となる。なお、隔壁の分離作用を解除するとは、隔壁の一部または全部の破壊、移動等により、隔壁により分離した難燃性ガス貯蔵剤と分解試薬を接触させることを意味する。また、高圧とは同じ難燃性ガスをボンベに充填する場合に使用する程度以上の圧力を意味する。
【0013】上述の高圧難燃性ガスの発生装置において、前記有機金属錯体と反応する第2の化学物質(分解試薬)は水または酸もしくはアルカリの水溶液であることが好ましい。これらの分解試薬は有機金属錯体と反応して迅速にこれを分解する性能を有すると共に、火災の危険性もなく、安価である。
【0014】本願請求項7、8に記載の高圧難燃性ガス発生装置に使用する難燃性ガスとしては、難燃性ガス貯蔵剤に大量に貯蔵され、水に対する溶解度が低いために水系の分解試薬を使用して難燃性ガス貯蔵剤を分解しても、ほぼ100%が高圧難燃性ガスとなる等の理由により、炭酸ガスが好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において使用できる1次元チャンネル構造を有する有機金属錯体は、請求項2に記載の、分子内の点対称位置に配置された2個のカルボキシル基を有するジカルボン酸と金属イオンにより形成される錯体であることが好ましく、これらの錯体は、有機配位子の溶液と原料である金属塩の溶液を混合、反応させることにより得られる。
【0016】前述の有機金属錯体はX線回折のパターンの解析より、1次元チャンネル構造を有していることがわかる。本発明の難燃性ガス貯蔵剤を構成する錯体の例としてテレフタル酸銅を例にとって説明すると、銅は平面4配位であり、2個の銅イオンをテレフタル酸4分子が90°ごとに囲むようにして配置し、テレフタル酸のカルボキシル基の2個の酸素原子はそれぞれ別の銅イオンに配位している。即ち、テレフタル酸分子は格子状に配列し、その格子点に2個の銅イオンが存在する。そして、銅イオンとジカルボン酸より形成される層が積層された形で結晶が構成されている。その結果、格子が積層されて1次元チャンネルが形成される。
【0017】錯体を構成する有機配位子である、分子内の点対称位置に配置された2個のカルボキシル基を有するジカルボン酸としては、テレフタル酸、フマル酸、1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸が例示される。また、金属イオンとしては、銅イオン、クロムイオン、モリブデンイオン、ロジウムイオン、パラジウムイオン、タングステンイオン、が例示でき、前記ジカルボン酸と組み合わせて錯体が形成される。
【0018】これらの有機金属錯体の製造は、有機配位子の溶液と原料の金属塩の溶液を準備してこれらを混合し、反応させることにより行う。使用される溶剤は有機配位子、金属イオンと反応したり錯体を形成するものでなければ特に制限されない。また、金属イオンの対イオンもその金属塩の溶剤への溶解性、生成する錯体の1次元チャンネル構造の形成を阻害するものでなければ特に限定されない。有機金属錯体の製造においては、ジカルボン酸の溶液に有機酸を添加してpHを調整することが好ましく、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等が使用できる。これらの分解試薬の水溶液の濃度は特に制限はないが、分解を確実に行なうために1重量%以上であることが好ましい。
【0019】本発明に好適な上述の有機金属錯体は、粉体のまま使用することも可能であるが、適当なバインダーを使用して顆粒状、ペレット状等に成形して使用に供してもよく、他の不織布等の基材に固着して使用してもよい。粉末、顆粒等にて使用する場合には適当な収納容器、袋等の器材に収納した形態で供することが好ましい。
【0020】有機金属錯体に吸着された前述の吸着化学物質を回収する方法において、前記有機金属錯体と反応させる第2の化学物質としては、水、アルカリもしくは酸の水溶液が好ましく、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を含む無機系のアルカリ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機系アルカリの水溶液の使用が好ましく、酸の水溶液としては、塩酸、硝酸、過塩素酸、塩素酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸の水溶液の使用が好ましい。これらの溶液の濃度は錯体を分解するものであれば特に制限はない。
【0021】高圧難燃性ガス発生装置の実験的モデルを図9に示し、これに基づいて本発明を説明する。容器本体1は有機金属錯体を主成分として構成される難燃性ガス貯蔵剤4を収納した第1の区画3とに有機金属錯体4と反応する分解試薬13を充填した第2の区画6とが備えられ、区画3と区画6は隔壁部材11により仕切られ、隔壁部材11には孔12が複数設けられているとともに分解試薬13に対して安定な薄膜層14が装着されている。容器1の区画3の側には難燃性ガス導入口7、回収難燃性ガス排出口5が備えられている。急激な回収難燃性ガスの発生を考慮すると容器1は耐圧性を有し、回収難燃性ガス排出口5は口径が大きいほうが好ましい。分解試薬を収容する第2の区画6にはピストン9が備えられている。
【0022】難燃性ガスは導入口7を通じて区画3に収納された吸着剤4に吸着され、吸着が十分に行なわれたのちに導入口7を閉鎖し、排出口5を開き、ピストン9を押して区画6の内圧を上昇させ、この圧力で薄膜14を破り、区画6内に収容されている錯体分解試薬13を迅速に吸着剤4に接触させる。吸着剤は迅速に分解して、吸着された難燃性ガスを放出するため、その難燃性ガスは排出口5より急速に排出される。
【0023】隔壁部材11の分離機能を解除する方法としては上記の方法以外に、隔壁部材自体を抜き取る方法等も使用できる。また、図9では区画3、6は1個づつを組み合わせた1組が記載されているが、複数組を設けてもよい。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
(有機金属錯体製造例1)メタノール100cm3 、ギ酸14cm3 の混合溶媒に1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸2.53gを溶解し、常温に冷却する。得られた1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸溶液に、攪拌下に、ギ酸銅3.3gをメタノール100cm3 に溶解した溶液を滴下し、得られた溶液を室温にて一夜静置した。この静置溶液中に生成した固体を水、エタノールにて十分洗浄し、100℃にて4時間乾燥した。得られた固形物をX線回折等により分析した結果、金属錯体は1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸銅であり、比表面積は480m2 /g、細孔径は4.7Åであった。
【0025】(有機金属錯体製造例2)ジメチルホルムアミド(DMF)90cm3 、ギ酸0.5cm3 の混合溶媒に4,4’−ビフェニルジカルボン酸0.25gを溶解した。室温下においてこの溶液にギ酸銅0.5gをメタノール25cm3 に溶解した溶液を攪拌しつつ滴下し、得られた溶液を室温にて一夜静置した。この静置溶液中に生成した固体を水、エタノールにて十分洗浄し、100℃にて4時間乾燥した。得られた固形物をX線回折等により分析した結果、有機金属錯体は4,4’−ビフェニルジカルボン酸銅であり、比表面積は1200m2 /g、細孔径は7.8Åであった。
【0026】(有機金属錯体製造例3)フマル酸1.2gをメタノール100cm3 とギ酸12cm3 の溶液に溶解し、このフマル酸溶液を常温に冷却後、攪拌しつつギ酸銅3.38gをメタノール100cm3 に溶解した溶液を滴下し、室温にて1日間静置した。生成した沈殿物を吸引濾過し、洗浄後120℃にて4時間乾燥した。得られた結晶は1.37gであって、X線回折等により分析した結果、この結晶はフマル酸銅であり、その比表面積は450m2 /g、細孔径は5.4Åであった。
【0027】(有機金属錯体製造例4)メタノール800cm3 とギ酸30cm3 の混合溶液にテレフタル酸1.2gを溶解し、これを室温に冷却した。室温にて攪拌下にギ酸銅3.0gをメタノール150cm3 に溶解した溶液を滴下し、室温にて2日間静置した。生成した沈殿物を吸引濾過し、洗浄後120°にて4時間乾燥し、2.1gの結晶を得た。X線回折等により分析した結果、この結晶はテレフタル酸銅であり、その比表面積は220m2 /g、細孔径は6.0Åであった。
【0028】(ガス吸着特性の測定)製造例で得られたそれぞれの有機金属錯体について吸着難燃性ガスとして炭酸ガスを使用し、下記の方法によりその単位体積当たり、単位重量当たりの吸着特性を測定した。有機金属錯体を、圧力10〜2Torr、温度110℃の条件で1時間真空乾燥し、次いでチャンバー内を測定温度である25℃に調整し、炭酸ガスを段階的に導入し、各圧力における重量変化率をマイクロ天秤CAHN−2000(CAHN社製)を使用して測定した。この重量変化量より吸着量を算出した。なお、単位体積当たりの吸着量は、錯体のかさ密度を測定し、これに基づいて換算して求めた。
【0029】測定結果は単位体積当たり、単位重量当たりの吸着等温線を図1から図8に示した。比較例として活性炭M−30(大阪ガス(株)製)の単位体積当たりの炭酸ガスの吸着等温線を図3中に併せて示した。いずれも活性炭よりも多量の炭酸ガスを吸着することが明らかである。
【0030】(炭酸ガス回収試験)有機金属錯体製造例3にて得られたフマル酸銅を、粉末状態、およびバインダーを使用して顆粒状に成形した状態の2種の状態で、圧力10kg/cm2 の圧力下で炭酸ガスを吸着させ、その後この炭酸ガスを吸着したフマル酸銅に5mlの水を注いだところ、フマル酸銅は直ちに分解し、炭酸ガスの発生が認められた。
【0031】前述のフマル酸銅について吸着される炭酸ガスの量を計算すると以下のようになる。
(i)フマル酸銅の粉末は、かさ密度は0.7g/cm3 であり、これを容量100mlの容器に充填し、10kg/cm2 の圧力下で炭酸ガスを吸着させると、錯体1gについては88Nmlのガスが吸着されるから、100ml容器に充填される炭酸ガス量は以下のとおりである。
錯体に吸着されるガス: 88×0.7×100=6200Nml空隙に圧縮されて収納されるガス:10×100×0.65(空隙率)
= 650Nml従って、この容器に収容されるガスの総量は、6200+650=6850Nmlであり、空隙体積で換算すると、6850/(100×0.65)=105(kg/cm2 )の圧力による貯蔵に相当する。
(ii)前述のフマル酸銅を顆粒状に成形したものは、顆粒としてのかさ密度は1.1g/cm3 、容器への充填率は70%であり、同様に計算すると、錯体に吸着されるガス: 88×1.1×100=9680Nml空隙に圧縮されて収納されるガス:10×100×0.3= 300Nml容器に収容されるガスの総量: 9980Nml空隙体積で換算した圧力: 330kg/cm2 となり、ボンベに高圧で充填したものと同等以上のガスを貯蔵しうることが明らかである。




 

 


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