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発明の名称 意匠性を維持した複合材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−329282
公開日 平成10年(1998)12月15日
出願番号 特願平9−145359
出願日 平成9年(1997)6月3日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
発明者 荒木 孝之 / 田中 義人 / 久米川 昌浩 / 岡 憲俊 / 実政 久人 / 清水 哲男
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (a)ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシエステル基およびエポキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する官能基含有含フッ素エチレン性単量体の少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と(b)前記の官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体の少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%とを共重合してなる官能基含有含フッ素エチレン性重合体からなる材料を基材に適用してなる意匠性を維持した複合材。
【請求項2】 前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)が式(1):CX2=CX1−Rf−Y (1)
(式中、Yは−CH2OH、−COOH、カルボン酸塩、カルボキシエステル基またはエポキシ基、XおよびX1は同じかまたは異なり水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル基を含む含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す)で示される少なくとも1種の官能基含有含フッ素エチレン性単量体である官能基含有含フッ素エチレン性重合体を基材に適用してなる請求項1記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項3】 前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、テトラフルオロエチレンである官能基含有含フッ素エチレン性重合体を基材に適用してなる請求項1または2記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項4】 前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と式(2):CF2=CF−Rf1 (2)
(式中、Rf1はCF3またはORf2(Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で示される単量体0.3〜15モル%との混合単量体である官能基含有含フッ素エチレン性重合体を基材に適用してなる請求項1または2記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項5】 前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、テトラフルオロエチレン40〜80モル%とエチレン20〜60モル%とその他の共重合可能な単量体0〜15モル%以下の混合単量体である請求項1または2記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項6】 前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)0.01〜30モル%と前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)としてフッ化ビニリデン70〜99.9モル%とを共重合してなる官能基含有含フッ素エチレン性重合体からなる材料を基材に適用してなる請求項1または2記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項7】 前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、フッ化ビニリデン70〜99モル%とテトラフルオロエチレン1〜30モル%との混合単量体、フッ化ビニリデン50〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜30モル%とクロロトリフルオロエチレン1〜20モル%との混合単量体、またはフッ化ビリニデン60〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜33モル%とヘキサフルオロプロピレン1〜10モル%との混合単量体である請求項1または2記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項8】 前記請求項1〜7のいずれかに記載の官能基含有含フッ素エチレン性重合体を塗料の形態で基材に適用してなる意匠性を維持した複合材。
【請求項9】 前記請求項1〜7のいずれかに記載の官能基含有含フッ素エチレン性重合体を水性分散液の形態で基材に適用してなる意匠性を維持した複合材。
【請求項10】 前記請求項1〜7のいずれかに記載の官能基含有含フッ素エチレン性重合体を粉体塗料の形態で基材に適用してなる意匠性を維持した複合材。
【請求項11】 前記請求項1〜7のいずれかに記載の官能基含有含フッ素エチレン性重合体をフィルムの形態で基材に適用してなる意匠性を維持した複合材。
【請求項12】 前記基材が金属系基材である請求項1〜7のいずれかに記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項13】 前記基材が非金属系無機基材である請求項1〜7のいずれかに記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項14】 前記基材がコンクリートからなる請求項13記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項15】 前記基材がセメントからなる請求項13記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項16】 前記基材がタイルからなる請求項13記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項17】 前記基材が陶板からなる請求項13記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項18】 前記基材が合成樹脂基材である請求項1〜7記載のいずれか記載の意匠性を維持した複合材。
【請求項19】 前記基材が人工大理石である請求項18記載の意匠性を維持した複合材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、耐候性、非粘着性、防汚性、耐薬品性、摺動性、撥水性など、ならびに基材に対する接着性に優れた含フッ素重合体を、意匠性を有する基材に下地の意匠性を維持した状態で適用してなる複合材に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘアライン処理や印刷を施したステンレス板、着色した鋼板、カラアルマイトを施したアルミニウム板など、基材自体に意匠性を高めるための種々の処理が行なわれており、ガステーブル、システムキッチンなどの厨房用住設、エレベーターの内壁材などの内装建材、カーテンウォール、外壁材などの外装建材など、意匠性を必要とする用途に種々用いられている。
【0003】これらの部材は、使用するにつれて、錆や腐食、汚れの付着などにより、基材本来の意匠性が損なわれてしまう。したがって、各用途に応じて耐候性、防汚性、耐熱性、非粘着性、耐薬品性などの性能を有する材料を下地の意匠性を損なわずに基材に施し、意匠性を維持することが望まれている。
【0004】一方、含フッ素樹脂は特に耐熱性、防汚性、非粘着性、耐薬品性に優れているため、それらを用いて被覆用の形態とした塗料やフィルムは最適な材料といえる。
【0005】しかし、前記含フッ素樹脂は、利用しようとするその優れた非粘着性に起因して、金属などの基材との接着性が充分ではないという本質的な問題がある。
【0006】そこで、塗料の形態で含フッ素重合体を適用するばあいについては、金属の表面を化学的または物理的に粗面処理を行なうなどして含フッ素樹脂と基材とのアンカー効果を期待して密着させる方法がある。しかし、この方法は粗面化処理自体に手間がかかり、また接着強度も初期にはえられても、繰り返し温度変化を与えたり高温で使用したりしたときにアンカー効果の減衰などをおこす。さらに、そもそも粗面化することにより金属に施した意匠性も損なわれる。
【0007】また含フッ素樹脂表面を、液体アンモニアに金属ナトリウムを溶かした溶液で処理して、その表面を化学的に活性化する方法も提案されている。ところがこの方法では、フッ素樹脂自体が着色して意匠性を低下させるとともに、処理液自体が環境汚染を引き起こす恐れがあり、また、その取扱いに危険がともなうという問題点がある。
【0008】また含フッ素樹脂表面にプラズマスパッタリングなどの物理化学的処理を施して表面を活性化する方法も提案されているが、この方法では、処理に手間がかかったりあるいはコスト上昇をともなうなどの問題点があった。
【0009】また、含フッ素樹脂塗料に接着性を改良するための種々の成分を添加したり、プライマー層を形成しておくことも検討されている。
【0010】たとえば含フッ素重合体を含む塗料組成物にクロム酸などの無機酸を加えて金属表面に化成皮膜をつくり、密着を高めるなどの技術がある(特公昭63−2675号公報)。しかし、クロム酸は6価クロムを含有することから、食品安全性、作業安全性ともに充分とはいえない。またリン酸などの他の無機酸を使用するばあいには含フッ素樹脂塗料の安全性を損なうという問題があった。
【0011】前記無機酸にかえて、含フッ素樹脂を含む塗料組成物にポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性樹脂類、さらにそれらに加えて金属粉末などを添加し、プライマー層を形成することが検討されている(特開平6−264000号公報)。しかし、そもそも含フッ素重合体と耐熱性樹脂類は相溶性がほとんどなく、塗膜中で相分離などをおこして、プライマー層と含フッ素樹脂のトップコート層のあいだで相間剥離をおこしやすい。また、含フッ素重合体と耐熱性樹脂との熱収縮率の違いや、耐熱性樹脂の添加による塗膜伸度の低下などにより、高温加工時や使用時などのピンホールや、ひびわれなどの塗膜欠陥などを生じやすい。またこれら耐熱性樹脂は、焼成時に褐色化がおこるため、ヘアライン処理や着色などを行なって意匠性向上を試みた基材を用いる用途では、下地の意匠性を低下させてしまう。また、耐熱性樹脂類をブレンドすると含フッ素重合体が本来有する非粘着性や低摩擦性も低下させる。
【0012】一方、含フッ素樹脂塗料として、ヒドロキシル基やカルボキシル基など官能基を含むハイドロカーボン系(非フッ素系)単量体を共重合したものが検討されているが、これらはそもそも、耐候性を主目的として検討されたもので、本発明の目的とする防汚性は不充分であり、また耐熱性(たとえば200〜350℃)を必要とする用途では使用困難である。
【0013】つまり官能基を含むハイドロカーボン系(非フッ素系)単量体を共重合したものは、高温での加工時または使用時にその単量体構成部分から熱分解が起こりやすく、塗膜破壊、着色、発泡、剥離などが生じて防汚性、非粘着性が低下し、含フッ素樹脂塗装の目的を達成することができず、下地の意匠性も低下させる。
【0014】また、含フッ素重合体は一般的に機械的強度や寸法安定性が不充分であり、価格的に高価である。そこで、これらの欠点を最小とし、かつ含フッ素重合体が本来有する前記長所を最大限に生かすために、フィルムの形態での適用も検討されている。
【0015】しかし、含フッ素重合体は前記のとおり本来接着力が小さく、含フッ素重合体をフィルムの形態で他の材料(基材)と直接接着させることは困難である。たとえば、熱融着などで接着を試みても、接着強度が不充分であったり、ある程度の接着強度があったとしても基材の種類により接着強度がばらつきやすく、接着性の信頼性が不充分であることが多かった。
【0016】含フッ素重合体フィルムと基材とを接着させる方法として、1.基材の表面をサンドブラスター処理などで物理的に粗面化する方法、2.含フッ素樹脂フィルムにナトリウムエッチングなどの化学的処理、プラズマ処理、光化学的処理などの表面処理を行なう方法、3.接着剤を用いて接着させる方法などが主に検討されているが、前記1、2については、別途の処理工程が必要となり、工程が複雑で生産性に劣る。また、基材の種類や形状が限定される。さらに、えられる接着力も不充分であり、フッ素樹脂本来の非粘着性が低下したり、えられた複合体の着色や色などの外観上の問題(意匠性)も生じやすい。また、ナトリウムエッチングなどの薬品を使用する方法は意匠性だけでなく安全性にも問題がある。
【0017】前記3の接着剤の検討も種々行なわれている。一般のハイドロカーボン系(非フッ素系)の接着剤は接着性が不充分であるとともに、それ自体の耐熱性が不充分で、一般に高温での成形や加工を必要とする含フッ素重合体フィルムの接着加工条件では、耐えられず、分解による剥離や着色などをおこす。前記接着剤を用いた複合体も接着剤層の耐熱性、耐薬品性、耐水性が不充分であるために、温度変化や環境変化により接着強度が維持できなくなり、信頼性に欠ける。
【0018】一方、官能基を有する含フッ素重合体を用いた接着剤組成物による接着の検討が行なわれている。
【0019】たとえば含フッ素重合体に無水マレイン酸やビニルトリメトキシシランなどに代表されるカルボキシル基、カルボン酸無水物残基、エポキシ基、加水分解性シリル基を有するハイドロカーボン系単量体をグラフト重合した含フッ素重合体を接着剤に用いた報告(たとえば特開平7−18035号、特開平7−25952号、特開平7−25954号、特開平7−173230号、特開平7−173446号、特開平7−173447号各公報)やヒドロキシルアルキルビニルエーテルのような官能基を含むハイドロカーボン系単量体をテトラフルオロエチレンやクロロトリフルオロエチレンと共重合した含フッ素共重合体と、イソシアナート系硬化剤との接着性組成物を硬化させ、塩化ビニル樹脂とコロナ放電処理されたETFEとの接着剤に用いた報告(たとえば特開平7−228848号公報)がなされている。
【0020】これら、ハイドロカーボン系の官能基モノマーをグラフト重合または共重合した含フッ素樹脂を用いた接着剤組成物は耐熱性が不充分で、含フッ素樹脂フィルムとの複合体を高温で加工するときや、高温で使用するときに分解・発泡などが起き接着強度を低下させたり、剥離したり、着色したりする。また前記特開平7−228848号公報記載の接着性組成物では、含フッ素樹脂フィルムはコロナ放電処理を必要とする。
【0021】このように、下地の意匠性を維持した状態で基材に強固に接着する含フッ素重合体からなる材料はいまだ見出されていない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】叙上の事実に鑑み、本発明の目的は、複雑な工程を必要とすることなく、基材への接着性に優れた含フッ素重合体からなる材料を基材に適用し、下地の意匠性を維持した複合材を提供することにある。
【0023】さらに本発明の目的は、さらに耐候性、非粘着性、防汚性、撥水性、耐薬品性、摺動性に優れる意匠性を維持した複合材を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシエステル基およびエポキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する官能基含有含フッ素エチレン性単量体の少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と(b)前記の官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体の少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%とを共重合してなる官能基含有含フッ素エチレン性重合体からなる材料を基材に適用してなる意匠性を維持した複合材に関する。
【0025】このばあい、前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)は式(1):CX2=CX1−Rf−Y (1)
(式中、Yは−CH2OH、−COOH、カルボン酸塩、カルボキシエステル基またはエポキシ基、XおよびX1は同じかまたは異なり水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル基を含む含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す)で示される少なくとも1種の官能基含有含フッ素エチレン性単量体であるのが好ましい。
【0026】また、前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)は、テトラフルオロエチレンであるのが好ましい。
【0027】また、前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と式(2):CF2=CF−Rf1 (2)
(式中、Rf1はCF3またはORf2(Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で示される単量体0.3〜15モル%との混合単量体であるのが好ましい。
【0028】また、前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、テトラフルオロエチレン40〜80モル%とエチレン20〜60モル%とその他の共重合可能な単量体0〜15モル%以下の混合単量体であるのが好ましい。
【0029】また、前記複合材は、前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)0.01〜30モル%と前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)としてフッ化ビニリデン70〜99.9モル%とを共重合してなる官能基含有含フッ素エチレン性重合体からなる材料を基材に適用してなるのが好ましい。
【0030】また、前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、フッ化ビニリデン70〜99モル%とテトラフルオロエチレン1〜30モル%との混合単量体、フッ化ビニリデン50〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜30モル%とクロロトリフルオロエチレン1〜20モル%との混合単量体、またはフッ化ビリニデン60〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜33モル%とヘキサフルオロプロピレン1〜10モル%との混合単量体であるのが好ましい。。
【0031】前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体を塗料の形態で基材に適用してなるのが好ましい。
【0032】前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体を水性分散液の形態で基材に適用してなるのが好ましい。
【0033】前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体を粉体塗料の形態で基材に適用してなるのが好ましい。
【0034】前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体をフィルムの形態で基材に適用してなるのが好ましい。
【0035】また、前記基材が金属系基材であるのが好ましい。
【0036】また、前記基材が非金属系無機基材であるのが好ましい。
【0037】また、前記基材がコンクリートからなるのが好ましい。
【0038】また、前記基材がセメントからなるのが好ましい。
【0039】また、前記基材がタイルからなるのが好ましい。
【0040】また、前記基材が陶板からなるのが好ましい。
【0041】また、前記基材が合成樹脂基材であるのが好ましい。
【0042】また、前記基材が人工大理石であるのが好ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明者らは前記目的を達成するために検討を重ねた結果、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体を用いれば、含フッ素重合体本来の耐候性、防汚性、非粘着性、撥水性を失なわず、金属などの様々の基材に直接に接着でき、その結果、下地の意匠性を維持した複合材をうることができることを見出した。
【0044】本発明の複合材は、(a)ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシルエステル基およびエポキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する官能基含有含フッ素エチレン性単量体の少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と(b)前記の官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体の少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%とを共重合してなる官能基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる材料を基材に適用したものである。
【0045】前記官能基含有含フッ素重合体からなる材料は、塗料またはフィルムの形態で金属、合成樹脂やその他の非金属系無機基材に対し、また、これらの基材に意匠性を高める処理を施した基材に対し、接着剤の使用、基材の表面処理、プライマー層の形成、さらに当該材料中への接着性を有する成分の添加などを行なわなくとも驚くべき強力な接着性を有する。
【0046】本発明の複合材をうるために用いる官能基含有含フッ素重合体は、前記(a)の官能基含有含フッ素エチレン性単量体を用いて、前記の官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)と共重合し、含フッ素重合体に官能基を導入することが重要であり、それによって従来、接着が不充分または不可能であった種々の基材表面に対し直接優れた接着性を与えうる。つまり、官能基含有含フッ素重合体であっても、非フッ素系の官能基含有単量体を共重合したものに比べ耐熱性に優れており、高温(たとえば200〜400℃など)での加工時の熱分解などがより少なく抑えられ、大きな接着強度をうることができ、さらに着色や発泡、それによるピンホール、レベリング不良などのない被覆層を基材上に形成することができる。また、複合材を高温で使用するばあいも、接着性を維持し、さらに着色、白化、発泡、ピンホールなどの被覆層の欠陥が生じにくい。
【0047】また、前記官能基含有含フッ素重合体は、それ自体、耐熱性だけでなく、含フッ素ポリマーがもつ耐候性、防汚性、非粘着性、耐薬品性、低摩擦性などの優れた特性をも有しており、これらの優れた特性を低下させずに与えうる。
【0048】つぎに、まず本発明の複合材の材料である官能基含有含フッ素エチレン性共重合体について説明する。
【0049】官能基含有含フッ素エチレン性重合体の官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシルエステル基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、官能基の効果により種々の基材との接着性を与えうるものである。官能基の種類や組合せは基材の表面の種類、目的や用途により適宜選択されるが、耐熱性の面でヒドロキシル基を有するものが最も好ましい。
【0050】この官能基含有含フッ素エチレン性重合体を構成する成分の1つである前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)としては式(1):CX2=CX1−Rf−Y (1)
(式中、Yは−CH2OH、−COOH、カルボン酸塩、カルボキシエステル基またはエポキシ基、XおよびX1は同じかまたは異なり水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル基を含む含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す)で示される官能基含有含フッ素エチレン性単量体であるのが好ましい。
【0051】また、官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)の具体例としては、式(3):CF2=CF−Rf3−Y (3)
[式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf3は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基またはORf4(Rf4は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)を表わす]、式(4):CF2=CFCF2−ORf5−Y (4)
[式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf5は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基を表わす]、式(5):CH2=CFCF2−Rf6−Y (5)
[式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf6は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基、またはORf7(Rf7は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)を表わす]または式(6):CH2=CH−Rf8−Y (6)[式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf8は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基]で示されるものなどがあげられる。
【0052】式(3)〜式(6)の官能基含有含フッ素エチレン性単量体が、官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)との共重合性が比較的良好な点で、また、共重合してえられた重合体の耐熱性を著しく低下させない理由で好ましい。
【0053】これらのなかでも、官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)との共重合性や、えられた重合体の耐熱性の面より式(3)、式(5)の化合物が好ましく、とくに式(5)の化合物が好ましい。
【0054】式(3)で示される官能基含有含フッ素エチレン性単量体として、さらに詳しくは【0055】
【化1】

【0056】などが例示される。
【0057】式(4)で示される官能基含有含フッ素単量体としては、【0058】
【化2】

【0059】などが例示される。
【0060】式(5)で示される官能基含有含フッ素単量体としては、【0061】
【化3】

【0062】などが例示される。
【0063】式(6)で示される官能基含有含フッ素単量体としては、【0064】
【化4】

【0065】などが例示される。
【0066】その他【0067】
【化5】

【0068】などもあげられる。
【0069】官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)と共重合する官能基を含有しない含フッ素エチレン性単量体(b)は公知の単量体より適宜選択することができ、耐候性、耐熱性、防汚性、非粘着性、耐薬品性、低摩擦性を重合体に与える。
【0070】具体的な含フッ素エチレン性単量体(b)としては、テトラフルオロエチレン、式(2):CF2=CF−Rf1[Rf1はCF3またはORf2(Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)を表わす]、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、【0071】
【化6】

【0072】(式中、X2は水素原子、塩素原子またはフッ素原子から選ばれる、nは1〜5の整数)などがあげられる。
【0073】また、官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)と前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)に加えて、耐候性、耐熱性や、防汚性、非粘着性を低下させない範囲でフッ素原子を有さないエチレン性単量体を共重合してもよい。このばあいフッ素原子を有さないエチレン性単量体は、耐候性、耐熱性を低下させないためにも炭素数5以下のエチレン性単量体から選ぶことが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテンなどがあげられる。
【0074】本発明において用いられる官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)中の官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)の含有率は、重合体中の単量体の全量の0.05〜30モル%である。官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)の含有率は、基材の表面の種類、形状、塗装方法、フィルム形成方法、条件、目的や用途などの違いにより適宜選択されるが、好ましくは0.05〜20モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%である。
【0075】官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)の含有率が0.05%未満であると、基材の表面との接着性が充分えられにくく、温度変化や薬品の浸透などにより、また外装に用いたばあいは気候、天候変化により剥離などをおこしやすい。また、30モル%を超えると耐熱性、耐候性を低下させ、高温での焼成時または高温での使用時に、接着不良や着色、発泡、ピンホールなどが発生し、意匠性を低下させたり、被覆層の剥離や熱分解生成物の溶出などをおこしやすい。
【0076】本発明で用いる官能基含有含フッ素エチレン性重合体の好ましいものをつぎにあげる。
【0077】(I)官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)0.05〜30モル%とテトラフルオロエチレン70〜99.95モル%との重合体(I)(反応性PTFE)。
【0078】この重合体は耐熱性、耐候性、防汚性、耐薬品性、非粘着性が最も優れており、さらに摺動性(低摩擦性、耐摩耗性)を有する点で優れている。
【0079】(II)官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)を単量体の全量に対して0.05〜30モル%含み、さらに該単量体(a)を除く単量体の全量に対して、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と前記式(2):CF2=CF−Rf1 (2)
[Rf1はCF3、ORf2(Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)から選ばれる]で示される単量体0.3〜15モル%との重合体(II)。たとえば官能基を有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(反応性PFA)または官能基を有するテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン重合体(反応性FEP)。
【0080】この重合体は前記(I)の反応性PTFEとほぼ同等の耐熱性、耐候性、防汚性、耐薬品性、非粘着性を有し、さらに透明性を有する点ならびに溶融成形可能であり、塗料の形態で塗布しても熱により被膜の透明化および表面平滑化が可能となり、下地の意匠性を維持した複合材をうることができる点で優れている。
【0081】(III)官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)を単量体の全量に対して0.05〜30モル%含み、さらに該単量体(a)を除く単量体の全量に対して、テトラフルオロエチレン40〜80モル%、エチレン20〜60モル%、その他の共重合可能な単量体0〜15モル%との重合体(III)(官能基を有するエチレン−テトラフルオロエチレン重合体(反応性ETFE))。
【0082】この重合体は優れた耐熱性、防汚性、耐候性をもち、透明性に優れている点、さらに優れた機械的強度を有し、硬く強靭である点、ならびに溶融流動性が優れているために成形加工や、他の基材との複合化(積層など)が容易である点ですぐれている。
【0083】(IV)官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)0.05〜30モル%とフッ化ビニリデン70〜99.9モル%との重合体(IV)(反応性PVdF)。
【0084】この重合体(IV)は含フッ素樹脂の優れた耐候性を保ちつつ、なかでもとくに優れた機械的強度を有し、硬く、強靭である点で、また溶融流動性が優れているため、比較的低温での成形加工や、他のポリマーとの複合化(積層など)をしやすい点で優れている。
【0085】(V)単量体の全量に対して0.01〜30モル%の官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)と、該単量体(a)を除く単量体の全量に対してフッ化ビニリデン70〜99モル%、テトラフルオロエチレン1〜30モル%の混合単量体、前記単量体(a)を除く単量体の全量に対してフッ化ビニリデン50〜99モル%、テトラフルオロエチレン0〜33モル%、クロロトリフルオロエチレン1〜20モル%の混合単量体、または前記単量体(a)を除く単量体の全量に対してフッ化ビニリデン60〜99モル%、テトラフルオロエチレン0〜30モル%、ヘキサフルオロプロピレン1〜10モル%の混合単量体との重合体(V)(反応性VdF共重合体)。
【0086】この重合体(V)は含フッ素樹脂の優れた耐候性を保ちつつ、低融点であるため、室温〜100℃程度の低い温度での加工が可能であり、とくに塗料の形態で低い温度で造膜、成膜が可能である点で好ましい。またその結果、耐熱性を有さない非フッ素ポリマーとの複合(積層など)のばあいに好ましい。またさらに可撓性、柔軟性、透明性に優れている。また本発明の含フッ素重合体の反応性基を利用して接着機能のみならず硬化剤との架橋も容易に可能であり、機械特性の改善も可能である点で好ましい。
【0087】前記官能基含有含フッ素重合体は前述の官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)と、官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)とを周知の重合方法で共重合することによってうることができる。その中でも主としてラジカル共重合による方法が用いられる。すなわち重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、たとえば有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光あるいは電離放射線などによって開始される。重合の種類も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。また、分子量は、重合に用いるモノマーの濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度によって制御される。生成する共重合体の組成は、仕込みモノマーの組成によって制御可能である。
【0088】以上に説明した官能基含有含フッ素エチレン性重合体は基材に適用するための材料として種々の形態をとりうる。代表的には塗料用材料またはフィルム状材料の形態があげられるが、成形品の形態としてもよい。
【0089】本発明においては前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体を塗料の形態で基材に適用し、下地の意匠性を維持した複合材をうることができる。
【0090】本発明において、基材に塗料の形態で適用するばあい、水性分散液、有機溶剤分散液、粉末(造粒物も含む)、有機溶剤可溶体、オルガノゾル、オルガノゾルの水性エマルジョンの形態をとりうる。これらのうち、環境および安全性の面から、水性分散液または粉末(粉体塗料)の形態で適用するのが好ましい。
【0091】なお、塗料は前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体が基材との接着性に優れるという性質が発揮される形で適用されればよく、単層でもよく、またプライマー層として用いてもよい。
【0092】本発明における含フッ素塗料用水性分散液は、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体の粒子を水中に分散させてなるものである。含フッ素重合体に官能基を導入することによって水性分散液中の微粒子の分散安定性が向上し、貯蔵安定性のよい塗料がえられ、さらに塗布後の被膜のレベリング性および透明性が向上し、下地の意匠性を維持した複合材をうることができる。
【0093】前記水性分散液は0.01〜1.0μmの前記重合体の微粒子が、水中に、分散された形態の組成物であるのが好ましい。一般にその中に分散安定化のための界面活性剤が配合されていてもよい。また、水性分散液に耐熱性や耐薬品性、非粘着性、低摩擦性を著しく低下させない範囲で、さらに意匠性が低下しない範囲で、通常使用される顔料、界面活性剤、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤などの添加物を配合することができる。
【0094】含フッ素塗料用水性分散液は、種々の方法で製造することができる。具体的にはたとえば、・懸濁重合法などでえられた官能基を有する含フッ素重合体の粉末を微粉砕し、それを水性分散媒中へ、界面活性剤によって均一に分散させる方法、・乳化重合法により重合と同時に含フッ素水性分散液を製造し、必要に応じてさらに界面活性剤や添加剤を配合する方法などがあげられるが、生産性や品質面(小粒径化や、均一粉径化)から、乳化重合法により直接水性分散液を製造する方法が好ましい。
【0095】水性分散液の重合体濃度は目標とする膜厚、塗料の濃度、粘度、塗布方法などにより異なるが、通常、約5〜70重量%の範囲内で選べばよい。
【0096】塗装方法は特に限定されず、ハケ塗り法、スプレー法、ロールコート法などで塗布後、重合体の種類に応じて乾燥し、重合体の融点以上、分解温度以下の温度で焼成して成膜したり、常温または重合体の融点以下の温度に加温して成膜することもできる。
【0097】また塗膜の膜厚は用途、目的、基材などによって適宜選択すればよく、たとえば約1〜200μm、好ましくは5〜100μmである。
【0098】本発明における粉体塗料は、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体の粉末からなるものである。粉体塗料に用いられる官能基含有含フッ素エチレン性重合体の具体例は、用途、目的、基材などにより、前述の(I)〜(V)の重合体が好ましく用いることができる。
【0099】特に耐候性、耐熱性、防汚性、非粘着性、耐食性、耐薬品性の点から反応性PFAまたは反応性FEP(II)が、耐候性、防汚性、加工性、被膜の透明性の点から反応性ETFE(III)が好ましい。
【0100】含フッ素粉体塗料は粒径10μm〜1000μm、見かけ密度0.3〜1.2g/ccの形状の粉末または粒状のものが好ましく用いられる。
【0101】この含フッ素粉体塗料には、耐熱性などのフッ素樹脂の性能を著しく低下させない範囲で、さらに意匠性を低下させない範囲で、たとえばカーボン粉末、酸化チタン、酸化コバルトなどの顔料、ガラス繊維、カーボン繊維などの粉末、マイカなどの補強剤、アミン系酸化防止剤、有機イオウ系化合物、有機スズ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、金属石ケンなどの熱安定剤、レベリング剤、帯電防止剤などの添加剤を適宜配合できる。
【0102】含フッ素粉体塗料への前記添加剤の配合は、粉末状で混合(乾式)してもよいし、スラリー状で混合(湿式)してもよいが、粉末の状態で行なうのが好ましい。混合用機器としては、たとえばサンドミル、V型ブレンダー、リボン型ブレンダーなどの通常の混合機および粉砕機を使用することができる。
【0103】含フッ素粉体塗料の塗装は、一般に静電吹付、流動層浸漬、回転ライニングなどの方法などにより行なったのち、重合体の種類に応じて重合体の融点以上、分解温度以下の温度での焼成により良好な塗膜を形成することができる。
【0104】一般に静電粉体塗装のばあい、膜厚10〜200μm、回転ライニングのばあい、膜厚200〜1000μmの塗膜が形成される。
【0105】また、前記含フッ素塗料用材料に用いられる官能基含有含フッ素エチレン性重合体は、その接着性を利用し、金属などの基材の表面へ官能基を有さないフッ素樹脂を被覆する際の良好な耐熱性を有する含フッ素塗料用プライマー層としても用いることができる。
【0106】含フッ素塗料用プライマーは、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体からなる。
【0107】プライマーは、前述の含フッ素重合体と同様のものが具体的に利用でき、基材の表面の種類や、プライマーを介して被覆する含フッ素重合体の種類(トップコートの種類)などにより適宜選択される。一般に含フッ素塗料用プライマーは、その上に被覆する含フッ素重合体の構造と同等の構造を有するものに官能基を含んだものが好ましい。
【0108】この組合せは、プライマーに用いられる含フッ素重合体とその上に被覆される含フッ素重合体との相溶性が良好なものであり基材の表面との接着性だけではなくプライマー層とトップコート層との層間接着強度も良好なものとなりうる。また、高温での使用においても、他の樹脂成分を加えたプライマーを用いたばあいのように、重合体の熱収縮率の違いなどによる層間剥離やクラック、ピンホールなどをおこしにくい。また、そもそも塗膜全体が、含フッ素重合体で構成されるため、透明性や鮮やかな着色を有する基材に対して、下地の意匠性を必要とする用途にも充分対応でき、さらに塗膜の最表面に官能基を含まない含フッ素重合体層を形成するための優れた耐候性、耐熱性、防汚性、耐薬品性、非粘着性、および低摩擦性をより効果的に発揮することができる。
【0109】トップコート層に用いる官能基を含まない含フッ素重合体としては、PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVdF、VdF系共重合体などがあげられる。
【0110】含フッ素塗料用プライマーとしては具体的には、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体を用いることができるが、基材をPTFEで被覆するばあいは、反応性PTFE(I)、反応性PFAまたはFEP(II)から選ばれるものをプライマーとして用いるのが好ましく、特に熱溶融性の反応性PFAまたはFEP(II)をプライマーに用いるのが、焼成により基材の表面に強固に熱溶融させて接着させることができより好ましい。基材をPFAやFEPで被覆するばあいは反応性PFAまたはFEP(II)をプライマーに用いるのが好ましい。さらに基材をETFEで被覆するばあい、とくに反応性ETFE(III)をプライマーに用いるのが、接着性、透明性の点から好ましい。また、さらに基材をVdF系重合体(PVdF、VdF系共重合体など)で被覆するばあい、反応性PVdF(IV)や反応性VdF共重合体(V)をプライマーに用いるのが接着性、被膜の透明性の点から好ましい。
【0111】プライマー層を利用する被覆方法としては、(第1工程)前記官能基を有する含フッ素重合体からなる含フッ素塗料用プライマーを基材の表面に塗布する工程、(第2工程)第1工程で形成されたプライマー層上に、官能基を有さない含フッ素重合体からなる含フッ素塗料を塗布する工程、(第3工程)第1工程と第2工程でえられた積層体を焼成する工程の大きく3つの工程からなる含フッ素重合体の被覆方法を好ましく用いることができる。さらに第1工程で塗布されたプライマー層は、80〜150℃、5〜30分間程度かけて指触乾燥し、つぎの第2工程に進め(2コート1ベーク)てもよいし、プライマー層をたとえば溶融温度以上の高温で焼成したのち、第2工程に進め(2コート2ベーク)てもよい。
【0112】第1工程においてプライマーの塗布方法は、プライマーの形態に応じて適宜選択され、たとえば含フッ素プライマーが水性分散液の形態のばあい、スプレーコーティング、スピンコーティング、はけ塗り、ディッピングなどの方法が用いられる。また、粉体塗料の形態のばあいは静電塗装法、流動浸漬法、回転ライニング法などの方法が用いられる。
【0113】プライマー層の厚さは、目的、用途、基材の表面の種類、塗装の形態により異なってよいが、1〜50μm、好ましくは2〜20μmである。このようにプライマーは一般に低膜厚であるため、プライマーは水性分散体の形態としスプレー塗装などにより塗布することが好ましい。
【0114】第2工程のプライマー層上への官能基を含まない含フッ素重合体からなる塗料の塗装方法は、含フッ素重合体の種類や塗料の形態、目的や用途により適宜選択され、たとえば水性分散液や有機溶剤分散液などのばあい、一般にスプレー塗料、はけ塗り、ロールコート、スピンコーティングなどが通常行なわれ、粉体塗料のばあいは静電塗装、流動浸漬法、回転ライニング法などの方法で塗装される。
【0115】この工程での含フッ素重合体の塗装塗膜は、目的や用途、塗装方法により全く異なるが、一般にスプレー塗装などによる1〜100μm、好ましくは5〜50μm程度であり、粉体塗料を用いた厚膜化を目標とするばあい、静電塗装法で20μm〜2000μm、回転ライニング法により0.3〜10mmの膜厚の被覆が可能である。
【0116】第3工程の焼成条件は、プライマー層、その上のトップ層の含フッ素重合体の種類(組成、融点など)により適宜選択されるが、一般に両者の含フッ素重合体の融点以上の温度で焼成される。焼成時間は、焼成温度により異なるが5分間〜3時間、好ましくは10〜30分間程度である。たとえばPTFE、PFA、FEPなどを被覆するばあいは、320〜400℃、好ましくは350〜400℃で焼成され、PVdFを被覆するばあいは200〜280℃、VdF系共重合体を被覆するばあいは、共重合組成により種々選択できるが一般に室温〜200℃で成膜される。
【0117】つぎに、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体を、フィルムの形態で基材に適用して下地の意匠性を維持した複合材について説明する。
【0118】フィルムの形態で適用する利点は、つぎのとおりである。
【0119】■官能基含有含フッ素エチレン性重合体からなるフィルムは、ホットメルト型接着剤には必須のアプリケーターを必要とせず基材の上またはあいだに挟み込み熱圧着することにより接着でき、工程的にも有利である。
【0120】■また、基材の全面に均一な接着層を形成するため、接着むらのない均一な接着強度がえられ、相溶性のないまたは低い基材にも対応できる。
【0121】■さらに、種々の形状にカットして使用でき、作業ロスが少なく作業環境もよく、コスト的にも有利である。
【0122】本発明の含フッ素重合体フィルムは、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体を成形してなる含フッ素重合体フィルムであるのがよく、表面処理や一般の接着剤の使用を行なわなくとも、他の種々の基材と接着させることができ、それによって基材に含フッ素重合体の優れた特性を与えうる。
【0123】前記官能基含有含フッ素重合体のなかから、用途や目的、フィルム製造工程、接着方法に応じて種々の接着剤を用いた接着性フィルムの製造が可能であるが、接着性フィルム自体が耐熱性、耐薬品性、機械特性、非粘着性などを有すること、溶融成形などに代表される効率的なフィルム成形が可能であり、良好な成形性をもち、薄膜化や均一化が可能であること、また種々の熱圧着法により溶融し、種々の基材に強固に、下地の意匠性を維持した状態で接着させることができること、などの理由で、前記共重合体(II)(反応性PFAまたは反応性FEP)または前記共重合体(III)(反応性ETFE)が好ましい。さらにより低温で加工でき、耐候性、防汚性などを有する点で前記重合体(IV)(反応性PVdF)、前記重合体(V)(反応性VdF共重合体)が好ましい。また、官能基としては、耐熱性の点から特にヒドロキシル基が好ましい。
【0124】含フッ素フィルムの厚さは、目的や用途により選択され、特に限定されないが、10〜3000μmのものが用いられ、好ましくは20〜500μm、特に好ましくは40〜300μmである。
【0125】薄すぎるフィルムは、特殊な製造方法が必要であったり、接着操作を行なうときの取扱いが困難でしわや破損、外観不良が起こりやすく、また接着強度、機械的強度、耐候性、耐薬品性の点でも不充分となるばあいがある。厚すぎるフィルムはコスト、接合して一体化するときの作業性の点で不利となる。
【0126】本発明において含フッ素重合体フィルムは単独で使用してもよいし、前述の官能基を有する含フッ素エチレン性重合体フィルム(接着層)と官能基を有さない含フッ素エチレン性重合体フィルム(表面層)とを積層してなる含フッ素重合体積層フィルムの形で適用することもできる。
【0127】つまり、一面は、官能基含有含フッ素エチレン性重合体からなる層により、他の基材との接着性を与え、もう一方の面は、一般の含フッ素重合体からなる層とする。前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体の面を基材に接触させ、熱圧着などの操作により接着させることにより、下地の意匠性を維持した状態で含フッ素重合体の優れた耐候性、防汚性、非粘着性、耐薬品性、低摩擦性などの優れた特性を基材または基材を含めた複合材に与えうる。
【0128】本発明における2層からなる含フッ素重合体積層フィルムの厚さは、目的や用途により選択され、とくに限定されないが、2層合わせて20〜5000μm、好ましくは40〜1000μm、とくに好ましくは100〜500μmである。
【0129】各層の厚さは、接着層5〜1000μm、含フッ素重合体層(表面層)15〜4995μm程度のものが使用でき、好ましくは接着層10〜500μm、表面層30〜990μm、とくに好ましくは接着層10〜200μm、表面層90〜490μmである。
【0130】なお、接着層用のフィルムを基材に接着したのち、表面層用のフィルムを被覆してもよい。
【0131】官能基含有含フッ素重合体フィルム中に、含フッ素重合体の特性を損なわない範囲で、また下地の意匠性を損なわない範囲で、適当な補強剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料その他適宜添加剤を含有せしめることも可能である。かかる添加剤によって、熱安定性の改良、表面硬度の改良、耐摩耗性の改良、耐候性の改良、帯電性の改良、その他を向上せしめることも可能である。
【0132】本発明における含フッ素フィルムは、それに用いた重合体の種類や、目的となるフィルムの形状により、熱溶融法、押出法、切削法、溶剤キャスティング、粉体、水性または有機溶剤分散体を塗装したのち連続した皮膜とし、フィルムをうる方法など種々の製法によりうることができる。
【0133】たとえば、前述の反応性PTFEからなる溶融成形が困難な重合体は、圧縮成形、押出成形(ラム押出、ペースト押出と圧延加工など)などにより成形でき、また、反応性のPFA、FEP、ETFE、PVdF、VdF系共重合体などのように溶融成形可能な重合体においては、圧縮成形、押出成形などが採用され、とくに生産性、品質面などの理由から溶融押出成形が好ましい方法である。
【0134】積層フィルムの接合一体化は、接着層用と表面層用のそれぞれの成形フィルムを重ね合わせて圧縮成形する方法、また一方の成形フィルム上に他方を塗装する方法、多層共押出成形法により、フィルム成形と同時に接合一体化を達成する方法などが採用でき、なかでも生産性や品質面で多層共押出成形法が好ましい。
【0135】官能基含有含フッ素重合体フィルムの基材との接着は、加熱などによる熱活性化によって達成され、さらには熱溶融接着が好ましい。代表的な接着方法として熱ロール法や、熱プレス法であり、その他、高周波加熱法、マイクロ法、真空圧着法(真空プレスなど)、空気圧法などがあり、基材の種類や形状やフィルムの状態と種類などによって適宜選択できる。
【0136】前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体が接着可能な基材としては、金属系基材、合成樹脂基材、非金属系無機基材があげられる。
【0137】金属系基材の金属には金属および2種以上の金属による合金類、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩などの金属塩類も含まれる。そのなかでも金属および金属酸化物、合金類が接着性においてより好ましい。
【0138】金属系基材の具体例としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、モリブテン、マグネシウム、マンガン、銅、銀、鉛、スズ、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルトなど金属や金属化合物およびこれらの2種以上からなる合金類などがあげられる。
【0139】合金類の具体例としては炭素鋼、Ni鋼、Cr鋼、Ni−Cr鋼、Cr−Mo鋼、ステンレス鋼、ケイ素鋼、パーマロイなどの合金鋼、Al−Cl、Al−Mg、Al−Si、Al−Cu−Ni−Mg、Al−Si−Cu−Ni−Mgなどのアルミニウム合金、黄銅、青銅(ブロンズ)、ケイ素青銅、ケイ素黄銅、洋白、ニッケル青銅などの銅合金、ニッケルマンガン(Dニッケル)、ニッケル−アルミニウム(Zニッケル)、ニッケル−ケイ素、モネルメタル、コンスタンタン、ニクロムインコネル、ハステロイなどのニッケル合金などがあげられる。
【0140】さらにアルミニウム系金属については、純アルミニウム、アルミニウムの酸化物、Al−Cu系、Al−Si系、Al−Mg系およびAl−Cu−Ni−Mg系、Al−Si−Cu−Ni−Mg系合金、高力アルミニウム合金、耐食アルミニウム合金などの鋳造用または展伸用のアルミニウム合金を用いることができる。
【0141】さらにまた鉄系金属としては、純鉄、酸化鉄、炭素鋼、Ni鋼、Cr鋼、Ni−Cr鋼、Cr−Mo鋼、Ni−Cr−Mo鋼、ステンレス鋼、ケイ素鋼、パーマロイ、不感磁性鋼、磁石鋼、鋳鉄類などを用いることができる。
【0142】また、金属の腐食防止などを目的として、金属表面に電気メッキ、溶融メッキ、クロマイジング、シリコナイジング、カロライジング、シェラダイジング、溶射などを施して他の金属を被膜したり、リン酸塩処理によりリン酸塩被膜を形成させたり、陽極酸化や加熱酸化により金属酸化物を形成させたり、電気化学的防食を施した基材へも接着できる。
【0143】さらに、接着性をさらに向上させることを目的として、金属基材表面をリン酸塩、硫酸、クロム酸、シュウ酸などによる化成処理を施したり、サンドブラスト、ショットブラスト、グリットブラスト、ホーニング、ペーパースクラッチ、ワイヤースクラッチ、ヘアライン処理などの表面粗面化処理を施してもよく、意匠性を目的として、金属表面に、ヘアライン処理、着色、印刷、エッチングなどを施してもよい。
【0144】また、さらに上記アルミニウムまたはアルミニウム合金系基材のばあい、その表面に防食、表面硬化、接着性の向上などを目的に、苛性ソーダ、シュウ酸、硫酸、クロム酸を用いた陽極酸化を行なって酸化皮膜を形成させたもの(アルマイトや着色アルマイト)や、その他前述の表面処理を施したものも用いることもできる。
【0145】さらに前述と同様に、表面に他の金属をメッキしたもの、たとえば溶融亜鉛メッキ鋼板、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、亜鉛ニッケルメッキ鋼板、亜鉛アルミニウム鋼板など、浸透法、溶射法により他の金属を被膜したもの、クロム酸系やリン酸系の化成処理または加熱処理により酸化被膜を形成させたもの、電気的防食法を施したもの(たとえばガルバニック鋼板)などでもよい。
【0146】合成樹脂基材としては、たとえば人工大理石、耐熱性エンジニアリングプラスチック、熱硬化性樹脂などがあげられる。
【0147】非金属系無機基材としては、たとえばセラミック、セメント、コンクリート、陶器、磁器などがあげられる。
【0148】なかでも下地の意匠性の維持を求められている金属系の基材としては、前記の基材のうち、金属系基材としては、アルミニウム、ステンレス、鉄、チタンなどの鋼板およびこれらに溶融亜鉛メッキ、アルミニウムメッキなどを施したメッキ鋼板、クロム酸、リン酸などの酸化処理をした化成処理鋼板、陽極酸化を施したアルマイト処理鋼板などのものがあげられる。
【0149】また、下地の意匠性の維持を求められている非金属系無機基材としては、タイル、大型陶板、セラミックパネル、レンガなどの窯業系基材、御影石、大理石などの天然石、高強度コンクリート、ガラス繊維強化コンクリート(GRC)、炭素繊維強化コンクリート(CFRC)、軽量気泡発泡コンクリート(ALC)、複合ALCなどのコンクリート系基材、押出成形セメント、複合成形セメントなどのセメント系基材、その他石綿スレート、ホーロー鋼板などのものがあげられる。
【0150】さらにまた、下地の意匠性の維持を求められている合成樹脂基材としては、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、人工大理石(不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂を主体とする)、その他塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂またはウレタン樹脂を塗装した塗装鋼板などのものがあげられる。
【0151】なお、本発明における前記基材の形状は、シート、フィルム、チューブ、パイプ、板、管、棒その他の異形であってもよいが、建材の種類によっては加工が困難なばあいがあるため、基材は最終製品の形状とするのが好ましい。
【0152】本発明はさらに、本発明の含フッ素重合体を基材に適用して下地の意匠性を維持した複合材を、耐候性を必要とする用途に応用した耐候性複合材に関する。
【0153】つまり、本発明で用いる官能基含有含フッ素重合体は、基材に対する接着性だけでなく含フッ素重合体特有の優れた耐候性を有することから、建築建材、土木などの耐候性を必要とする分野に効果的に利用でき、意匠性の優れた耐候性複合材を与えうる。
【0154】本発明はさらに、本発明の含フッ素重合体を基材に適用して下地の意匠性を維持した複合材を、非粘着性を必要とする用途に応用した非粘着性複合材に関する。
【0155】つまり、本発明で用いる官能基含有含フッ素重合体は、基材に対する接着性だけでなく含フッ素重合体特有の油汚れ、こげつきなどに対する優れた非粘着性を有することから、調理用機器、家電、厨房機器などの非粘着性を必要とする分野に効果的に利用でき、意匠性の優れた非粘着性複合材を与えうる。
【0156】本発明はさらに、本発明の含フッ素重合体を基材に適用して下地の意匠性を維持した複合材を、防汚性を必要とする用途に応用した防汚性複合材に関する。
【0157】つまり、本発明で用いる官能基含有含フッ素重合体は、基材に対する接着性だけでなく含フッ素重合体特有のほこり、汚れ、タバコのやにやばい煙などに対する優れた防汚性を有することから、内装・外装建材、厨房用住設、家電用部品などの防汚性を必要とする分野に効果的に利用でき、意匠性の優れた防汚性複合材を与えうる。
【0158】本発明はさらに、本発明の含フッ素重合体を基材に適用して下地の意匠性を維持した複合材を、耐薬品性を必要とする用途に応用した耐薬品性複合材に関する。
【0159】つまり、本発明で用いる官能基含有含フッ素重合体は、基材に対する接着性だけでなく含フッ素重合体特有の酸、アルカリ類、有機溶剤などの化学薬品に対する優れた耐薬品性を有することから、化学工業用設備、半導体関連、液晶関連の設備機器などの耐薬品性を必要とする分野に効果的に利用でき、意匠性の優れた耐薬品性複合材を与えうる。
【0160】本発明はさらに、本発明の含フッ素重合体を基材に適用して下地の意匠性を維持した複合材を、摺動性を必要とする用途に応用した摺動性複合材に関する。
【0161】つまり、本発明で用いる官能基含有含フッ素重合体は、基材に対する接着性だけでなく含フッ素重合体特有のアルミニウムやSUS、衣類などに接触させたばあいの優れた低摩擦性を有することから、家電、住宅設備機器などの摺動性を必要とする分野に効果的に利用でき、意匠性の優れた摺動性複合材を与えうる。
【0162】本発明はさらに、本発明の含フッ素重合体を基材に適用して下地の意匠性を維持した複合材を、撥水性を必要とする用途に応用した撥水性複合材に関する。
【0163】つまり、本発明で用いる官能基含有含フッ素重合体は、基材に対する接着性だけでなく含フッ素重合体特有の優れた撥水性を有することから、内装建材、住宅設備機器などの撥水性を必要とする分野に効果的に利用でき、意匠性の優れた撥水性複合材を与えうる。
【0164】本発明の含フッ素重合体を基材に適用して下地の意匠性を維持した複合材は、叙上の特徴により、種々の用途に応用できる。具体的用途について表1に分類して例示するが、この表の例示のみに限られるものではない。
【0165】
【表1】

【0166】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
【0167】製造例1(ヒドロキシル基を有するPFAからなる水性分散体の製造)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた3リットルガラスライニング製オートクレーブに純水1500ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム9.0gを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空にし、エタンガス20mlを仕込んだ。
【0168】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7))
【0169】
【化7】

【0170】の3.8g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)18g、を窒素ガスを用いて圧入し、系内の温度を70℃に保った。
【0171】撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレンガス(TFE)を内圧が8.5kgf/cm2Gとなるように圧入した。
【0172】ついで、過硫酸アンモニウム0.15gを水5.0gに溶かした溶液を窒素を用いて圧入して反応を開始した。
【0173】重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラフルオロエチレンガスで8.5kgf/cm2まで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0174】テトラフルオロエチレンの供給を続けながら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約40g消費されるごとに、前記のヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体(前記式(7)で示される化合物)の1.9gを計3回(計5.7g)圧入して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが約160g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出し、青みかかった半透明の水性分散体1702gをえた。
【0175】えられた水性分散体中のポリマーの濃度は10.9%、動的光散乱法で測定した粒子径は70.7nmであった。
【0176】また、えられた水性分散体の一部をとり凍結凝析を行ない、析出したポリマーを洗浄、乾燥し白色固体を単離した。えられた共重合体の組成は、19F−NMR分析、IR分析により、TFE/PPVE/(式(7)で示されるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体)=97.7/1.2/1.1モル%であった。
【0177】また赤外スペクトルは3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測された。
【0178】DSC分析により、Tm=310℃、DTGA分析により1%熱分解温度Td=368℃であった。高化式フローテスターを用いて2mm、長さ8mmのノズルを用い、372℃で予熱5分間、荷重7kgf/cm2でメルトフローレートを測定したところ12.0g/10minであった。
【0179】製造例2(ヒドロキシル基を有するPFAからなる水性分散体の製造)製造例1と同じオートクレーブに純水1500ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム9.0gを入れ、窒素ガスで充分置換したのち真空にし、エタンガス20mlを仕込んだ。
【0180】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7)の化合物)1.9g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル(PPVE)16.1gを窒素ガスを用いて圧入し系内の温度を70℃に保った。
【0181】撹拌を行いながらテトラフルオロエチレン(TFE)を内圧8.5kgf/cm2Gとなるように圧入した。
【0182】ついで、過硫酸アンモニウム0.15gを水5.0gに溶かした溶液を窒素を用いて圧入して反応を開始した。
【0183】重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点で、テトラフルオロエチレンガスで8.5kgf/cm2Gまで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0184】テトラフルオロエチレンの供給を続けながら重合開始からテトラフルオロエチレンガスが40g消費されるごとに、前記のヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(式(7)で示される化合物)の0.95gを計3回(計2.85g)を圧入して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが160g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出した。水性分散体1692gをえた。えられた水性分散体中のポリマーの濃度は10.6%、粒子径は76.8nmであった。
【0185】製造例1と同様にして、水性分散体の一部をとり白色固体を単離した。
【0186】同様にしてえられた白色固体を分析したところ、TFE/PPVE/(式(7)のヒドロキシル基を有する含フッ素単量体)=98.3/1.1/0.6モル%Tm=310℃1%熱分解温度Td=374℃メルトフローレート:9.5g/10minなお、赤外スペクトルは3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測された。
【0187】製造例3(官能基を有さないPFAの水性分散体の合成)製造例1において、パーフルオロ−(1、1、9、9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7)で示される化合物)を用いなかったこと以外は、製造例1と同様にして乳化重合を行い、官能基を含まないPFAの水性分散体1662gをえた。
【0188】水性分散対中のポリマーの濃度は9.7%、粒子径は115nmであった。
【0189】製造例1と同様に白色固体を単離し、分析した。
【0190】
TFE/PPVE=98.9/1.1mol%Tm=310℃1%熱分解温度Td=479℃メルトフローレート=19.2g/10minなお赤外スペクトルでは−OHの特性吸収は観測されなかった。
【0191】製造例4(ヒドロキシル基を有するPFAの合成)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6リットルのガラスライニング製オートクレーブに純水1500mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空にし、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R−114)1500gを仕込んだ。
【0192】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式7で示される化合物)の5.0g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)130g、メタノール180gを窒素ガスを用いて圧入し、系内の温度を35℃に保った。
【0193】撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレンガス(TFE)を内圧が8.0kgf/cm2Gとなるように圧入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50%メタノール溶液0.5gを窒素を用いて圧入して反応を開始した。
【0194】重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラフルオロエチレンガスで8.0kgf/cm2まで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0195】テトラフルオロエチレンの供給を続けながら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約60g消費されるごとに、前記のヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体(前記式(7)で示される化合物)の2.5gを計9回(計22.5g)圧入して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが約600g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却し、未反応モノマーおよびR−114を放出した。
【0196】えられた共重合体を水洗、メタノール洗浄を行なったのち、真空乾燥することにより710gの白色固体をえた。えられた共重合体の組成は19F−NMR分析、IR分析によりTFE/PPVE/(式(7)で示されるヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体)=97.0/2.0/1.0モル%であった。また、赤外スペクトルは3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測された。DSC分析によりTm=305℃、DTGA分析により1%熱分解温度Td=375℃であった。高化式フローテスターを用いて直径2mm、長さ8mmのノズルを用い、372℃で予熱5分間、荷重7kgf/cm2でメルトフローレートを測定したところ32g/10minであった。
【0197】製造例5(ヒドロキシル基を有するPFAの合成)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6リットルのガラスライニング製オートクレーブに純水1500mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空にし、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R−114)1500gを仕込んだ。
【0198】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7))を2.5g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を132g、メタノールを230gとした以外は製造例4と同様にして反応を開始し、温度を35℃に保った。
【0199】撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレンエチレンガス(TFE)を内圧が8.0kgf/cm2Gとなるように圧入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50%メタノール溶液0.5gを窒素を用いて圧入して反応を開始した。
【0200】重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラフルオロエチレンガスで8.0kgf/cm2まで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0201】さらに、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約60g消費されるごとに圧入する前記のヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性重合体(前記式(7)で示される化合物)の量を1.23gを計9回(計11.10g)とした以外は製造例4と同様にして680gの共重合体の白色固体をえた。えられた共重合体の組成は19F−NMR分析、IR分析によりTFE/PPVE/(式(7)で示されるヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体)=97.6/2.0/0.4モル%であった。また、赤外スペクトルは3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測された。DSC分析によりTm=310℃、DTGA分析により分解開始温度368℃、1%熱分解温度Td=375℃であった。高化式フローテスターを用いて直径2mm、長さ8mmのノズルを用い、372℃で予熱5分間、荷重7kgf/cm2でメルトフローレートを測定したところ42g/10minであった。
【0202】製造例6(官能基を含まないPFAの合成)製造例4において、パーフルオロ(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7)で示される化合物)を用いないこと、さらにメタノールを240g使用すること以外は、製造例4と同様にして合成を行ない、官能基を含まないPFA597gをえた。
【0203】製造例4と同様にして、えられたPFAを分析したところTFE/PPVE=98.2/1.8モル%Tm=310℃Td=469℃(1%重量減)
メルトフローレート=24g/10minであった。
【0204】製造例7(ヒドロキシル基を有するPFA粉体塗料の製造)製造例4でえたヒドロキシル基を有するPFA粉末(見掛比重0.5、真比重2.1、平均粒径600ミクロン)をローラーコンパクター(新東工業(株)製BCS−25型)で幅60mm、厚さ5mmにシート状に圧縮した。つぎに解砕機で約10mm径に解砕し、さらに粉砕機(奈良機械製作所製コスモマイザーN−1型)を用いて、室温で11000rpmで微粉砕した。つぎに分級機(新東京機械(株)製ハイボルダー300SD型)で170メッシュ(88ミクロン目開き)以上の粗粉子を取り除き、ヒドロキシル基を有するPFA粉体塗料をえた。その粉末の見掛密度は0.7g/ml、平均粒径20μmであった。
【0205】製造例8(官能基を含まないPFA粉体塗料の製造)製造例4でえたヒドロキシル基を有するPFA粉末にかえて製造例6でえた官能基を含まないPFA粉末(見掛比重0.6、真比重2.1、平均粒径400ミクロン)を用いた以外は製造例7と同様にしてPFA粉体塗料を作成した。その粉末の見掛密度は0.73g/ml、平均粒径20μmであった。
【0206】製造例9(フッ素を有さない官能基含有単量体を用いた、含フッ素重合体の合成)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた1リットルのステンレス製オートクレーブに、酢酸ブチル250g、ピバリン酸ビニル(VPi)36.4g、フッ素を有さないヒドロキシル基含有単量体として、4−ヒドロキシルブチルビニルエーテル(HBVE)32.5g、イソプロポキシカルボニルパーオキサイド4.0gを仕込み、0℃に氷冷し、窒素ガスで充填置換したのち真空にし、イソブチレン(IB)47.5gとテトラフルオロエチレン(TFE)142gを仕込んだ。
【0207】撹拌を行いながら40℃に加熱し、30時間反応させ、反応容器内圧力が2.0kg/cm2以下に下がった時点で反応を停止した。オートクレーブを冷却し、未反応のガスモノマーを放出したところ、含フッ素重合体の酢酸ブチル溶液がえられた。ポリマー濃度は45%であった。
【0208】えられた含フッ素重合体の酢酸ブチル溶液から、再沈法により含フッ素重合体を取り出し、充分減圧および乾燥させることにより白色固体として単離した。1H−NMR、19F−NMR元素分析によりえられた含フッ素重合体を分析したところ、TFE/IB/VPi/HBVE=44/34/15/7モルからなる共重合体であった。
【0209】製造例10(ヒドロキシル基を有するPFAのフィルムの作製)製造例4でえた白色固体8.0gを100mmφの金型に入れ350℃に設定したプレス機にセットし予熱を30分間行なったのち、70kg/cm2で1分間圧縮成形を行ない、厚さ0.5mmのフィルムをえた。
【0210】製造例11(ヒドロキシル基を有するPFAのフィルムの作製)製造例5でえた白色固体を用いたこと以外は製造例10と同様にして厚さ0.5mmのフィルムをえた。
【0211】製造例12(官能基を含まないPFAのフィルムの作製)製造例6でえた白色固体を用いたこと以外は製造例10と同様にして厚さ0.5mmのフィルムをえた。
【0212】製造例13(ヒドロキシル基を有するPFAの押出によるフィルムの作製)製造例4でえた白色固体から2軸押出機(東洋精機(株)製ラボプラストミル)を用いて350〜370℃で押出しを行いペレットを作製した。そのペレットを用い、単軸押出機(東洋精機(株)製ラボプラストミル)にて360℃〜380℃、ロール温度120℃で押出を行ない、幅10cm、厚さ100〜150μmのフィルムをえた。
【0213】製造例14(官能基を含まないPFAの押出によるフィルムの作製)製造例6でえた白色固体を用いたこと以外は製造例13と同様にしてペレットを作製し、さらに押出により製造例17と同様にして幅10cm、厚さ100〜150μmのフィルムをえた。
【0214】実施例1(1)基材の前処理厚さ1.5mmの純アルミニウム板(A1050P)および厚さ1.5mmのSUS304を用い、それぞれアセトンにより脱脂を行なった。
【0215】(2)官能基を有する含フッ素重合体からなるプライマー層の形成製造例1でえたヒドロキシル基を有するPFAからなる水性分散体を用いて、エアスプレーで、膜厚が約5μmになるように塗装し、90℃で10分間赤外乾燥したのち、340℃で20分間焼成した。
【0216】(3)官能基を有さない含フッ素重合体からなる層(トップ層)の形成(2)でえたプライマー層の上に官能基を有さない含フッ素重合体からなる塗料として、FEPからなる水性塗料(ダイキン工業(株)製 ネオフロンFEPディスパージョンND−1)をエアスプレーにて膜厚が約20μmになるように塗装し、90℃で10分間赤外乾燥したのち340℃で20分間焼成した。
【0217】(4)評価評価方法は、つぎのとおりである。
【0218】(塗板の外観)被膜の着色や発泡などがなく、透明で下地の金属色が維持されているものを○とした。
【0219】(碁盤目試験)コーティング面にJIS K 5400 1990,8.5.2に規定された碁盤目100マスを作成し、この面にセロテープ(ニチバン(株)製の粘着テープ)を充分に密着させ、ただちに引き剥がす。新しいセロテープでこの引き剥がしを10回行ない、100マス中何マスが残存しているかを評価する。結果を表2に示す。
【0220】実施例2官能基を有する含フッ素重合体からなるプライマーを、製造例2でえたヒドロキシル基を有するPFAからなる水性分散体を用いてプライマー層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして塗板を作製し、接着性の評価を行なった。結果を表2に示す。
【0221】比較例1官能基を有する含フッ素重合体からなるプライマーに代えて、製造例3でえた官能基を有さないPFAからなる水性分散体を用いてプライマー層を形成させたこと以外は、実施例1と同様にして塗板を作製し、接着性の評価を行なった。結果を表2に示す。
【0222】実施例3(1)基材の前処理実施例1と同様にして行なった。
【0223】(2)官能基を有する含フッ素重合体からなるプライマー層の形成製造例1でえたヒドロキシル基を有するPFAからなる水性分散体をエアスプレーで膜厚が約5μmになるように塗装し、90℃で10分間赤外乾燥した。
【0224】(3)官能基を有さない含フッ素重合体からなる層(トップ層)の形成前記(2)でえたプライマー層の上に官能基を有さない含フッ素重合体からなる塗料として、PFAの粉体塗料(ダイキン工業(株)製 ネオフロンPFA粉体塗料 ACX−31)を用い静電塗装により、膜厚が40μmとなるように塗装し、340℃で20分間焼成した。
【0225】(4)接着性の評価実施例1と同様にして行なった。結果を表2に示す。
【0226】実施例4官能基を有する含フッ素重合体からなるプライマーを、製造例2でえたヒドロキシル基を有するPFAからなる水性分散体を用いてプライマー層を形成したこと以外は、実施例3と同様にして塗板を作製し、接着性の評価を行なった。結果を表2に示す。
【0227】比較例2官能基を有する含フッ素重合体からなるプライマーに代えて、製造例3でえた官能基を有さないPFAからなる水性分散体を用いてプライマー層を形成させたこと以外は、実施例3と同様にして塗板を作製し、接着性の評価を行なった。結果を表2に示す。
【0228】
【表2】

【0229】実施例5(ヒドロキシル基を有するPFA粉体塗料の接着性評価)
(1)接着試験用のプレスシートの作製製造例7でえたヒドロキシル基を有するPFA粉体塗料約4gを直径60mmの円筒型金型に入れ、プレス機を用い室温にて300kgf/cm2の圧力で圧縮成形し、円盤型のコールドプレスシート(以下、「PFAシート」ともいう)をえた。
【0230】(2)基板の前処理100×100×1(mm)の純アルミニウム板をアセトンで脱脂した後サンドブラスト処理を行なった。
【0231】(3)接着サンプル作成上記(1)でえたPFAシートをアルミニウム板(上記(2))の上に置き、熱風乾燥機に入れ、330℃10分間加熱溶融させた。膜厚約450μmのPFAシートがアルミニウム板に接着したサンプルがえられた。図1にPFAシート1とアルミニウム板2とからなる接着サンプルの概略平面図を示す。
【0232】(4)接着強度の測定図1に示すように、前記(3)でえた接着サンプルのPFAシート1に幅a(10mm)の間隔でカッターで切れ目を入れ、各短冊状のシート1の一方の端をめくり、接着強度測定用の測定具をえた。図2にえられた接着測定用の測定具の概略斜視図を示す。図2に示すように、アルミニウム板2に対してシート1を90°の角度で引っぱり、剥離強度を測定した。テンシロン万能試験機(オリエンテック(株)製)を用い、室温下、クロスヘッドスピード50mm/minで測定したところ、面積法による平均剥離荷重で5.5kgf/cmの接着強度を示した。
【0233】比較例3(官能基を含まないPFA粉体塗料の接着性評価)製造例7でえたヒドロキシル基を有するPFA粉体塗料にかえて製造例8でえた官能基を含まないPFA粉体塗料を用いた以外は実施例7と同様にして接着試験用プレスシートの作製、基材の前処理、接着サンプル作製を行ない接着強度の測定を行なった。
【0234】官能基を含まないPFA粉体塗料の接着強度は、0.8kgf/cmであった。
【0235】実施例6(ヒドロキシル基を有するPFA粉体塗料の静電塗装)実施例1と同様にして前処理をしたSUS304板に製造例7でえたヒドロキシル基を有するPFA粉体塗料を静電粉体塗装機(岩田塗装(株)製GX3300型)を用い、室温で印加電圧40kVで静電塗装した。塗装板を330℃で15分間熱風乾燥機にて焼成し、45〜50μmの塗膜をえた。えられた塗膜は透明で均一な連続膜であって、下地のSUS板の金属色を鮮やかに写し出した。
【0236】さらに、実施例1と同様の接着性評価(碁盤目試験)を行なったところ、100/100と強固な接着力を示した。
【0237】比較例4(官能基を含まないPFA粉体塗料の静電塗装)製造例7でえたヒドロキシル基を有するPFA粉体塗装に代えて、製造例8でえた官能基を含まないPFA粉体塗料を使用したほかは、実施例6と同様にSUS板への静電塗装を行なった。
【0238】透明な被膜はえられたが、実施例6と同様の接着性評価(碁盤目試験)を行なったが、0/100とSUS304板には接着力を示さなかった。
【0239】比較例5実施例6と同じSUS304板を80〜120メッシュのサンドブラスト処理したのち、ダイキン工業(株)製のポリフロンTFEエナメル EK−1959DGNをスプレー塗装し、赤外乾燥炉で90℃で乾燥させ、プライマー層を設けた。
【0240】前記プライマー層上にPFA粉体塗料(ダイキン工業(株)製、ネオフロン粉体塗料ACX−31)を静電塗装したのち350℃で30分間焼成し、被膜を鋳せしたPFA粉体塗装板をえた。プライマー層による灰褐色の被膜がえられ、下地のSUS板の金属色は写し出されなかった。
【0241】比較例6(フッ素を有さない官能基含有単量体を用いた含フッ素重合体の耐熱性)製造例9でえられた含フッ素重合体の熱分解温度をTGA分析により測定したところ、1%熱分解温度で220℃であった。これより、製造例9でえたようなフッ素を有さない官能基含有単量体を用いた含フッ素重合体は耐熱性が低いことがわかった。
【0242】さらに製造例9でえられた含フッ素共重合体を酢酸ブチルに10重量%の濃度に溶解させた。
【0243】つぎに実施例5において、プライマー層に用いたヒドロキシル基を有するPFAの水性分散体にかえて、上記製造例9の含フッ素共重合体の酢酸ブチル溶液を用いた以外は実施例5と同様、純アルミ基材に基材の前処理、製造例9の含フッ素共重合体を用いたプライマー層の塗布、トップ層の塗布(PFA粉体塗料の静電塗装)を行なった。
【0244】塗布後380℃、20分間焼成によってえた塗膜は黄褐色に着色し、発泡、剥離も見られ、均一な透明被膜はえられなかった。
【0245】実施例7〜10(ヒドロキシル基含有PFAフィルムと金属との接着性試験)金属板として、厚さ0.5mmの脱脂したクロム酸処理アルミ、純アルミ、鋼板を用いて、ヒドロキシル基を有するPFAフィルム(製造例10または11のフィルム)との接着性試験を以下のように行なった。結果を表3に示す。
【0246】(剥離試験用の試験片の作製)図3に剥離試験用の試験片を作製するために作製した積層体の概略斜視図を示す。図3に示すように、製造例10〜11でえたヒドロキシル基含有PFAフィルムを接着剤層3として、厚さ0.1mmのスペーサー(アルミ箔)4を2枚の金属板5の間にはさみ、350℃に設定したプレス機にセットし、予熱(20分間)したのち、50kg/cm2で1分間加圧して、長さb(150mm)、幅c(70mm)の積層体をえた。
【0247】えられた積層体の接着剤層3の層の厚さはいずれも0.1mmであった。さらに積層体を幅25mmに切断し、一方の端から距離e(100mm)のところでスペーサー部分をT型に曲げ、剥離試験用の試験片とした。図4にえられた剥離試験用の試験片の概略斜視図を示す。図4中、3は接着剤層で5は金属板である。
【0248】(剥離試験)JIS K6854−1977のT型剥離試験方法に基づき、オリエンテック(株)製テンシロン万能試験機を用い、室温下、クロスヘットスピード50mm/minで測定した。測定は最大剥離強度(kgf/25mm)と最小剥離強度(kgf/25mm)を示した。
【0249】比較例7〜9(官能基を含まないPFAフィルムと金属との接着性試験)製造例10または11のヒドロキシル基を有するPFAフィルムにかえて製造例12でえた官能基を含まないPFAフィルムを用いたこと以外は実施例7と同様にして試験片の作製および剥離試験を行なった。結果を表3に示す。
【0250】
【表3】

【0251】実施例11(ヒドロキシル基含有PFAフィルムとステンレスとの接着性、後加工性試験)金属板として、長さ150mm、幅70mm、厚さ0.5mmの脱脂したSUS304鋼板を用いて以下のようにしてラミネート試験板を作成した。製造例13でえたヒドロキシル基を含むPFAフィルムと製造例14でえた官能基を含まないPFAフィルムを前記SUS板と同じサイズに切断した。
【0252】さらに離型用フィルムとしてポリイミドフィルム(デュポン製カプトン200−H)も同様のサイズに切断した。
【0253】図5にえられたラミネート試験板の概略断面図を示す。図5に示すように2枚のSUS板11の間に、前記のヒドロキシル基含有PFAフィルム12、官能基を含まないPFAフィルム13、ポリイミドフィルム14をはさみ、350℃に設定したプレス機にセットし、予熱(20分間)したのち、50kg/cm2で1分間加圧してラミネート試験板をえた。
【0254】冷却後、ポリイミドフィルム14に接するSUS板11を取り除いたところ、ポリイミドフィルムが官能基を含まないPFAフィルム14の界面で自然剥離した。
【0255】その結果、ヒドロキシル基含有PFAフィルム12を接着層とした、SUS板11とPFAフィルム13との3層積層体がえられた。えられた被膜は透明で、下地の金属光沢を鮮やかに写し出した。図6に、えられた3層積層体の概略断面図を示す。
【0256】さらに、えられた3層積層体にカッターナイフで素地であるSUS板1に達するまで1mm角の基盤目を100個つくり、基盤目の中央をエリクセン試験機で5mm押し出した。その結果、ヒドロキシル基含有PFAフィルム12は全く剥離せず、素地であるSUS板11に強固に密着した。
【0257】PFAフィルム12はSUS板11に強固な接着性を示した。
【0258】比較例10(官能基を含まないPFAフィルムとステンレスとの接着性、後加工性試験)ヒドロキシル基を有するPFAフィルムを用いないこと以外は実施例11と同様にしてSUS板11と官能基を含まないPFAフィルム13との積層体をえた。図7にえられた積層体の概略断面図を示す。
【0259】えられた積層体は見た目では接着しているが、官能基を含まないPFAフィルム13をSUS板11から容易に剥離させることができた。
【0260】さらに、実施例11と同様にエリクセン試験を行った。基盤目100個中60個において、切り目を中心に剥離した。
【0261】実施例12(ヒドロキシル基含有PFAフィルムとポリイミドフィルムとの接着性試験)製造例13でえたヒドロキシル基含有PFAフィルム12、製造例14でえた官能基を含まないPFAフィルム13およびポリイミドフィルム14を実施例11と同様の大きさに切断し、2枚のSUS板11の間にはさみ、実施例11と同様にしてプレス機で加熱してラミネート試験板をえた。図8にえられたラミネート試験板の概略断面図を示す。ついで、冷却後SUS板11をはがして積層体をえた。図9にえられた積層体の概略断面図を示す。さらに積層体を幅25mmに切断した。
【0262】ついで図10にT型剥離試験に供する前記積層体の概略断面図を示す。図10において、ポリイミドフィルム14とヒドロキシル基含有PFAフィルム12の界面を一部はがし、図10に示す矢印の方向で、実施例1と同様にT型剥離試験を行なったところ、面積法による平均剥離荷重で4.0kgf/25mmの接着性を示した。
【0263】比較例11(官能基を含まないPFAフィルムとポリイミドフィルムとの接着性試験)図11に実施例1と同様にしてT型剥離試験に供する積層体の概略断面図を示す。図11において、実施例16でえた幅25mmの積層体のポリイミドフィルム14と官能基を含まないPFAフィルム13の界面を一部はがし、図11に示す矢印の方向で実施例12と同様にT型剥離試験を行なったが、接着力を示さなかった。
【0264】比較例12(フッ素を有さない官能基含有単量体を用いた含フッ素重合体の耐熱性)製造例9でえられた含フッ素重合体を酢酸ブチルに10重量%の濃度に溶解させた。実施例7と同じ前処理を行なったアルミニウム板に上記製造例9の含フッ素重合体の酢酸ブチル溶液をエアスプレーで膜厚が約10μmとなるように塗装し、90℃で10分間赤外乾燥した。
【0265】塗装してえたフッ素を含まない官能基含有単量体を用いた含フッ素重合体の被膜16の上に製造例14でえた官能基を含まないPFAフィルム13、離型用のポリイミドフィルム14(実施例11と同じ)、アルミニウム板15を順に重ね、実施例11と同様プレス機で350℃で加熱、加圧しラミネート試験板をえた。えられたラミネート試験板の概略断面図を図12に示す。
【0266】該ラミネート試験板を冷却後、ポリイミドフィルム14に接するアルミニウム板15、およびポリイミドフィルム14を取り除いて積層体をえた。えられた積層体は、黄褐色に着色し、PFAフィルム13とアルミニウム板15の間で発泡や剥離なども生じ、均一で透明な積層体はえられなかった。
【0267】
【発明の効果】本発明の接着性に優れた官能基含有含フッ素重合体からなる材料を基材に適用することにより、複雑な工程を必要とすることなく、下地の意匠性を維持した複合材をうることができる。
【0268】また本発明によれば接着加工性、意匠性に優れた耐候性複合材、非粘着性複合材、防汚性複合体、耐薬品性複合材、撥水性複合材をうることができ、建材、調理器機、住宅設備機器、自動車、半導体、家電などの種々の用途分野に効果的に利用できる。




 

 


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