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発明の名称 フッ素系素材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−309786
公開日 平成10年(1998)11月24日
出願番号 特願平9−135969
出願日 平成9年(1997)5月9日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】安富 康男 (外2名)
発明者 山下 恒雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 光触媒薄膜を表面に有してなることを特徴とするフッ素系素材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌、脱臭及び有機物分解作用を有するフッ素系素材に関する。
【0002】
【従来の技術】光触媒は、光を照射すると光励起により伝導帯に電子を、価電子帯に正孔を生じ、この電子の持つ還元力や正孔の持つ酸化力によって、殺菌、脱臭及び有機物分解作用を生じることが知られている。このような原理を応用して、光触媒作用を有する粒子を含有させた基材が、日常用品や建築建材等に広く活用されうる可能性が示唆されている。
【0003】光触媒作用を有する粒子を基体上に接着させ、又は、ある種のフッ素系ポリマーに光触媒粒子を固定化させる方法は既に知られている。特開平4−284851号公報には、光触媒粒子とフッ素系ポリマーとの混合物を積層し圧着する方法が開示されている。特開平4−334552号公報には、光触媒粒子をフッ素系ポリマーに熱融着する方法が開示されている。
【0004】しかしながら、これらの方法では、得られた塗膜が外圧によって剥がれやすい等接着強度が不充分であり、また、高温で加熱する必要があるため、プラスチック基材への適用が困難であったり、建築物への直接適用が難しい等の欠点があった。更に、高温加熱処理に伴い光触媒粒子の比表面積が低下してその機能が低下する欠点もあった。
【0005】特開平7−171408号公報には、難分解性結着剤を介して光触媒粒子を基体上に接着させる技術が開示されている。しかしながら、このようにして光触媒粒子を基体中に接着させた場合、当該基体自体が光触媒作用の対象となって劣化するという欠点があった。
【0006】特開平8−290516号公報には、フッ素樹脂のフィルムに、光触媒作用を有する酸化チタン粒子を熔射法により固定させる技術が開示されている。しかしながら、フッ素樹脂フィルムにこのような熔射法により光触媒粒子を固定化させることは困難であることが判っている。
【0007】光触媒作用物質が上述したような良好な効果を有することは判っていたが、これをフッ素系素材に含有させたときには、光触媒作用物質はまた当該フッ素系素材自体をも侵すという本質的な問題をもっていた。そこでフッ素系素材に対しては影響を与えず、しかも良好な光触媒作用を維持する物質が待望されていた。
【0008】光触媒作用物質、特に酸化チタンについては、その薄膜を形成させる技術が、特開平3−164431号公報、特開平1−129032号公報等に開示されているが、これらの技術をフッ素系素材に適用させることによりフッ素系素材の有する優れた耐候性、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、非接着性等を活かしながら、かつ殺菌作用や脱臭作用をも併せ有する素材についての技術は存在しなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のような現状に鑑み、本発明は、殺菌、脱臭及び有機物分解作用を有する極めて有用性の高い光触媒物質を効果的に存在させたフッ素系素材を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、光触媒薄膜を表面に有してなることを特徴とするフッ素系素材である。上記光触媒薄膜を構成する光触媒物質としては、光触媒作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、金属化合物等を挙げることができる。上記金属化合物としては、例えば、TiO2 (酸化チタン)、CdSe、SrTiO3 、SriO3 、TO2 、CdS、CdTe、CdSe、Si、WO3 、Fe2 3 、MOS2 、Al2 3 等を挙げることができ、これらの混合物であってもよい。なかでも、酸化チタンが好ましく、アナターゼ型であってもルチル型であってもよいが、アナターゼ型がより好ましい。
【0011】上記光触媒薄膜の調製方法については、本発明のフッ素系素材についての説明を終えた後に詳述することとし、以下に、本発明のフッ素系素材について説明する。本発明のフッ素系素材の第一は、フッ素系塗料であり、第二は、フッ素樹脂成形体、特にフッ素系フィルムであり、第三は、フッ素系テント膜である。以下、それぞれについて説明する。
【0012】本発明のフッ素系素材の第一は、フッ素系塗料である。上記フッ素系塗料は、フルオロオレフィンを素材とし、これらの単独重合体、共重合体、これらと共重合体可能なモノマーとの共重合体等を含むものであり、被膜形成性を有するものである。上記フルオロオレフィンとしては特に限定されず、例えば、フッ化ビニル(VF)、ビニリデンフルオライド(VdF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等を挙げることができる。
【0013】本発明のフッ素系塗料は、以下の四つに大別できる。第一のフッ素系塗料(A)は、フッ素系樹脂及びアクリル樹脂からなるフッ素含有樹脂、又は、フッ素系樹脂のみからなるフッ素含有樹脂である。第二のフッ素系塗料(B)は、含フッ素系重合体と硬化剤とを有機溶媒に溶解せしめてなる組成物である。第三のフッ素系塗料(C)は、VdF、TFE及びプロピレンを共重合して得られるフッ素系エラストマーである。第四のフッ素系塗料(D)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び/又はTFE/HFP共重合(FEP)のディスパージョンである。以下に、第一のフッ素系塗料(A)について説明する。上記フッ素系塗料(A)は、フッ素系樹脂及びアクリル樹脂からなるフッ素含有樹脂、又は、フッ素系樹脂のみからなるフッ素含有樹脂である。上記フッ素含有樹脂とは、本明細書においては、■含フッ素樹脂水性分散体からなるか、又は、当該含フッ素樹脂水性分散体とアクリル樹脂とから得られるフッ素含有樹脂(1)、■有機溶剤可溶性含フッ素樹脂そのものか、又は、当該有機溶剤可溶性含フッ素樹脂にアクリル樹脂を混合してなる有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)、並びに、■フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体からなるか、又は、当該共重合体にアクリル樹脂を混合してなるフッ素含有樹脂(3)、の三つに大別することができる。以下、上記三つのフッ素含有樹脂について説明する。
【0014】■含フッ素樹脂水性分散体からなるか、又は、含フッ素樹脂水性分散体とアクリル樹脂とから得られるフッ素含有樹脂(1)
上記フッ素含有樹脂の第一は、含フッ素樹脂水性分散体からなるか、又は、当該含フッ素樹脂水性分散体とアクリル樹脂とから得られるフッ素含有樹脂(1)である。上記フッ素含有樹脂(1)は、以下の六つに大別することができる。アクリル樹脂をシード重合した含フッ素樹脂水性分散体から得られるフッ素含有樹脂(1−1)。上記フッ素含有樹脂(1−1)にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−2)。その他の含フッ素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−3)。上記フッ素含有樹脂(1−1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシード重合していないものにアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−4)。上記フッ素含有樹脂(1−3)の調製に用いられたその他の含フッ素樹脂水性分散体からなるフッ素含有樹脂(1−5)。上記フッ素含有樹脂(1−1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシード重合していないものからなるフッ素含有樹脂(1−6)。上記フッ素含有樹脂(1)のうち、まず、フッ素含有樹脂(1−1)について説明する。上記フッ素含有樹脂(1−1)は、アクリル樹脂をシード重合した含フッ素樹脂水性分散体から得られるフッ素含有樹脂である。上記含フッ素樹脂水性分散体は、含フッ素樹脂粒子の存在下に、アクリル系単量体により水性媒体中でフッ素系複合樹脂を形成させることにより得られる。上記水性媒体としては特に限定されず、水に後に詳述する添加剤や溶剤等を添加したもの等を挙げることができる。
【0015】上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フッ素樹脂は、フルオロオレフィンの共重合体である。上記フルオロオレフィンの共重合体は、水性媒体中においては粒子状で分散されており、上記アクリル系単量体によりフッ素系複合樹脂を形成するときには、いわゆるシード重合により重合される。本明細書においては、「シード重合」とは、樹脂粒子の存在する水性媒体中において他の単量体と重合する反応を意味する。上記フッ素系複合樹脂は、従って、上記シード重合後のシード重合体を意味し、上記樹脂粒子は、シード重合におけるシード粒子を意味する。
【0016】上記フルオロオレフィンの共重合体としては、VdF/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/HFP共重合体、TFE/CTFE共重合体、TFE/HFP共重合体、CTFE/HFP共重合体、VdF/TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、TFE/CTFE/HFP共重合体、VdF/CTFE/HFP共重合体、VdF/TFE/CTFE/HFP共重合体等を挙げることができる。
【0017】上記シード粒子を構成するフルオロオレフィンの共重合体としては、VdF系共重合体が好ましく、更にVdFを70モル%以上含んでなる重合体が好ましい。VdFが70モル%以上であると、シード粒子とアクリル系単量体からなる重合体との相溶性がよくなる。上記シード粒子の平均粒子径は、シード重合後のフッ素系複合樹脂の平均粒子径と密接に関連しており、シード重合後のフッ素系複合樹脂の平均粒子径を50〜300nmとするため、40〜290nmにすることが好ましい。
【0018】上記シード粒子を構成する共重合体は、通常の乳化重合法によって得ることができる。例えば、親水性部位を有するフッ素系反応性乳化剤を水に対して0.01〜1.0重量%、フッ素系乳化剤を0〜1.0重量%それぞれ共存させて、フルオロオレフィンを含む単量体混合物を乳化重合させることにより調製することができる。また、水に対して1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下(下限は通常0.01重量%)のフッ素系界面活性剤と水に対して0.001〜0.1重量%、好ましくは0.01〜0.05重量%のノニオン性非フッ素系界面活性剤との共存下にフルオロオレフィンを含む単量体混合物を乳化重合させることにより調製することができる。これらの方法により得られた水性分散液は、平均粒子径0.2μm以下のシード粒子を30〜50重量%の高濃度で安定に含むことができる。
【0019】上記親水性部位を有するフッ素系反応性乳化剤としては、例えば、CF2 =CF−(CF2 CFX)n Y(式中、Xは、F又はCF3 、Yは、SO3 M、COOM(Mは、水素原子、アミン、アンモニウム又はアルカリ金属)、nは、整数を表す。)、CF2 =CF−O(CFX)n (式中、X、Y、nは前記と同じ。)、CH2 =CF−CF2 −O(CF(CF3 )CF2 O)n −CF(CF3 )Y(式中、Y、nは、前記と同じ。)、CF2 =CF−CF2 −O(CF(C3 )CF2 O)n −CF(CF3 )Y(式中、Y、nは、前記と同じ。)で表される構造を有するもの等を挙げることができが、水への溶解性と界面活性の点から、nは0〜3の範囲にあるものが好ましい。より具体的には、CF2 =CF−CF2 −O(CF(CF3 )CF2 O)n −CF(CF3 )COOHの構造で、nが0〜2のものが用いられる。
【0020】重合温度は、20〜120℃、好ましくは30〜70℃である。重合温度が20℃より低いと概して生成ラテックスの安定性が低くなり、重合温度が120℃より高いと連鎖移動による重合速度の失速が起こる傾向がある。重合は、重合体の種類にもよるが、通常、1.0〜50kgf/cm2 (ゲージ圧)の加圧下に5〜100時間加熱されて行われる。上記シード粒子の乳化重合に用いられる上記フッ素系乳化剤としては、構造中にフッ素原子を含み界面活性能を有する化合物の1種又は2種以上の混合物等を挙げることができる。例えば、X(CF2 n COOH(nは、6〜20の整数、Xは、F又は水素原子を表す。)で表される酸及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩又は第四アンモニウム塩;Y(CH2 CF2 m COOH(mは、6〜13の整数、Yは、F又は塩素原子を表す。)で表される酸及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩又は第四アンモニウム塩等を挙げることができる。より具体的には、パーフルオロオクタン酸のアンモニウム塩、パーフルオロノナン酸のアンモニウム塩等を挙げることができる。その他、公知のフッ素系界面活性剤を使用することもできる。
【0021】シード粒子を得るときの乳化重合においては、フッ素系界面活性剤の存在下少量のノニオン性非フッ素系界面活性剤も用いることができ、その具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げることができる。
【0022】より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等を挙げることができ、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等を挙げることができ、ポリオキシエチレンアルキルエステル類としては、モノラウリル酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等を挙げることができ、ソルビタンアルキルエステル類としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等を挙げることができ、グリセリンエステル類としては、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル等を挙げることができる。またこれらの誘導体としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等を挙げることができる。特に好ましいものは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類及びポリオキシエチレンアルキルエステル類であって、HLB値が10〜18のものであり、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:5〜20。EOはエチレンオキシドユニット数を表す。)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(EO:6〜10)である。
【0023】本発明に係る上記アクリル系単量体としては特に限定されず、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステル、これらと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体等を挙げることができる。
【0024】上記アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
【0025】上記アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
【0026】また、耐溶剤性、耐水性向上の目的で、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体を共重合することもできる。上記アクリル酸エステル、上記メタクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、下記(I)及び下記(II)等を挙げることができる。
【0027】(I)反応性を有する官能基を持つ単量体、例えば、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のアミド化合物;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;γ−トリメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシランメタクリレート等のシラノール基含有単量体;アクロレイン等のアルデヒド基含有単量体;カプロラクトン変性ヒドロキシアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレート。
【0028】(II)その他ビニル化合物、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のαオレフィン類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル等のビニルエーテル類;ポリオキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、アリルアルコール、アリルエーテル等のアルケニル類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、VEOVA9、VEOVA10(シェル社製)等のビニルエステル類;無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;スチレン、αメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル等。
【0029】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体として、親水性部位を含む低分子量のポリマー又はオリゴマーを分子中に含む化合物を用いることもできる。上記親水性部位とは、親水性基を有する部位又は親水性の結合を有する部位、及び、これらの組み合せからなる部位を意味する。上記親水性基は、イオン性、非イオン性、両性及びこれらの組合せのいずれであってもよいが、非イオン性、アニオン性の親水性基が好ましい。また、公知の反応性乳化剤であってもよい。
【0030】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体、反応性乳化剤としては、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテル硫酸塩、スチレンスルホン酸塩、アリルアルキルスルホン酸塩、ポリエチレングリコールメタクリレート硫酸塩、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアクリル酸エステル、メタクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル塩、メタクリロイルオキシアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエステル等を挙げることができる。
【0031】本発明において、上記アクリル系単量体を含フッ素樹脂粒子の存在下にシード重合させると、まず上記アクリル系単量体の含フッ素樹脂への膨潤が起こり、この時点で上記アクリル系単量体が均一溶解した含フッ素共重合体の水性分散体の状態となる。その後、重合開始剤を添加することによって上記アクリル系単量体が重合し、分子鎖のからまりあった相溶体粒子が形成される。上記アクリル系単量体が多官能性である場合には、相互侵入網目構造(IPN)を形成することもできる。上記多官能性アクリル系単量体としては、例えば、モノグリコールジメタクリレート、ジグリコールジメタクリレート等を挙げることができる。
【0032】上記アクリル系単量体のシード重合は、公知の方法、例えば、含フッ素樹脂粒子の存在下に反応系にアクリル系単量体の全量を一括して仕込む方法、アクリル系単量体の一部を仕込み反応させた後、残りを連続又は分割して仕込む方法、アクリル系単量体の全量を連続して仕込む方法等によって行うことができる。また、上記シード重合の重合条件は、通常の乳化重合と同様であって、例えば、含フッ素樹脂粒子を含む水性媒体中に、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によってはキレート化剤、pH調整剤及び溶剤等を添加し、10〜90℃の温度で0.5〜6時間反応を行うことにより重合することができる。
【0033】上記界面活性剤としては、アニオン性、ノニオン性又はアニオン性−ノニオン性の組み合せを用いることができ、場合によっては両性界面活性剤を用いることもできる。上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩等の炭化水素系アニオン性界面活性剤のほか、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル等の含フッ素アニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0034】上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げることができる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタイン等を挙げることができる。
【0035】また、上記界面活性剤として、アクリル系単量体と共重合可能な、いわゆる反応性乳化剤等を用いることができ、更に、このような反応性乳化剤と上記乳化剤とを併用することもできる。上記界面活性剤の使用量は、通常、アクリル系単量体100重量部あたり、0.05〜5.0重量部である。
【0036】上記シード重合の際に用いる重合開始剤としては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るラジカルを20〜90℃の間で発生するものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。このようなものとして、通常水溶性の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等を挙げることができる。油溶性の重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等を挙げることができる。上記重合開始剤の使用量は、通常、アクリル系単量体100重量部あたり、0.05〜2.0重量部である。
【0037】上記シード重合の際に用いる連鎖移動剤としては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類等を挙げることができる。上記連鎖移剤の使用量は、通常、アクリル系単量体100重量部あたり、0〜5.0重量部である。
【0038】上記溶剤は、作業性、防災安全性、環境安全性、製造安全性を損なわない範囲内、例えば、20重量%以下の範囲で用いられ、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジオキサン、ブチルカルビトールアセテート、テキサノール、酢酸エチル、酢酸ブチル等を挙げることができる。このような溶剤の添加によって含フッ素樹脂粒子へのアクリル系単量体の膨潤性が改良されることがある。
【0039】本発明の含フッ素樹脂粒子の水性分散液中での粒子径は、50〜300nmが好ましい。より好ましくは、50〜200nmである。上記粒子径が50nm未満であると、濃度が実用的範囲である30%以上において含フッ素樹脂水性分散液の粘度が著しく増大し、塗料化の作業に支障を来す。上記粒子径が300nmを超えると、得られる含フッ素樹脂水性分散体の沈降安定性が悪くなり、同じ組成の樹脂構成であっても、含フッ素樹脂水性分散体の最低成膜温度の上昇を招くこととなる。上記のようにして得られるフッ素含有樹脂(1−1)中において、シード重合されたアクリル樹脂の総量は、シード粒子を構成する樹脂100重量部に対して、通常、10〜400重量部であり、好ましくは、5〜95重量部である。
【0040】以上でフッ素含有樹脂(1−1)の説明を終えたので、次に、上記フッ素含有樹脂(1−1)にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−2)、その他の含フッ素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−3)、上記フッ素含有樹脂(1−1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシード重合していないものににアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−4)、上記フッ素含有樹脂(1−3)の調製に用いられたその他の含フッ素樹脂水性分散体からなるフッ素含有樹脂(1−5)、及び、上記フッ素含有樹脂(1−1)の調製で用いられた含フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシード重合していないものからなるフッ素含有樹脂(1−6)について説明する。以下、まず、その他の含フッ素樹脂水性分散体について説明する。上記フッ素含有樹脂(1−3)を構成するその他の含フッ素樹脂水性分散体は、水性媒体中に含フッ素樹脂粒子が分散されてなる基本構造を有する。上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フッ素樹脂は、フルオロオレフィンとこれと共重合可能な単量体との共重合体からなる含フッ素樹脂である。上記フルオロオレフィンとしては特に限定されず、例えば、フッ化ビニル、VdF、TFE、TrFE、CTFE、HFP等の炭素数2〜4程度のフルオロオレフィン等を挙げることができる。
【0041】上記フルオロオレフィンと共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル等のビニルエーテル類;ポリオキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、アリルアルコール、アリルエーテル等のアルケニル類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、VEOVA9(シェル社製)、VEOVA10(シェル社製)等のビニルエステル類、無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類等を挙げることができる。
【0042】上記フルオロオレフィンとこれと共重合可能な単量体との共重合体としては特に限定されず、例えば、CTFE/ビニルエーテル共重合体、CTFE/ビニルエステル共重合体、TFE/ビニルエーテル共重合体、TFE/ビニルエステル共重合体、TFE/エチレン共重合体、TFE/プロピレン共重合体、CTFE/エチレン共重合体、CTFE/プロピレン共重合体、CTFE/エチレン/ビニルエーテル共重合体、CTFE/エチレン/ビニルエステル共重合体、及びそれらの共重合体を少量の共重合可能な単量体により変性したもの等を挙げることができる。
【0043】上記含フッ素樹脂水性分散体は、例えば、溶剤中等で上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フッ素樹脂を重合して得た後、乳化剤の存在下、水中に分散し、溶剤を留去する相転換法、上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フッ素樹脂の乳化重合を水性媒体中で行う方法等を挙げることができが、溶剤の削減と工程の簡略化のためには、水性媒体中で乳化重合を行う方法が好ましい。上記乳化重合は、通常行われる乳化重合と同様の方法により行うことができ、例えば、密閉容器中、水性媒体中で、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によってはキレート化剤、pH調整剤及び溶剤等の存在下、フルオロオレフィン、フルオロオレフィンと共重合可能な単量体等の単量体を10〜90℃の温度で0.5〜40時間反応させることにより得ることができる。
【0044】上記界面活性剤としては、アニオン性、ノニオン性又はアニオン性−ノニオン性の組み合せを用いることができ、場合によっては両性界面活性剤を用いることもできる。上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩等の炭化水素系アニオン性界面活性剤のほか、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル等の含フッ素アニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0045】上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げることができる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタイン等を挙げることができる。また、上記界面活性剤として、いわゆる反応性乳化剤等を用いることができ、更に、このような反応性乳化剤と上記乳化剤とを併用することもできる。
【0046】上記乳化重合の際に用いる重合開始剤としては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るラジカルを10〜90℃の間で発生するものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。このようなものとして、通常水溶性の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等を挙げることができる。油溶性の重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等を挙げることができる。
【0047】上記乳化重合の際に用いる連鎖移動剤としては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類等を挙げることができる。
【0048】上記溶剤は、作業性、防災安全性、環境安全性、製造安全性を損なわない範囲内、例えば、20重量%以下の範囲で用いられ、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジオキサン、ブチルカルビトールアセテート、テキサノール、酢酸エチル、酢酸ブチル等を挙げることができる。
【0049】以上で、その他の含フッ素樹脂水性分散体の説明を終えた。フッ素含有樹脂(1)のうちのフッ素含有樹脂(1−3)は、上記その他の含フッ素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混合して得られる。また、フッ素含有樹脂(1)のうちのフッ素含有樹脂(1−2)は、既に説明を終えたフッ素含有樹脂(1−1)にアクリル樹脂を混合して得られる。更に、含フッ素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−4)は、既にフッ素含有樹脂(1−1)の説明箇所において詳述した「シード粒子」が水性媒体中に分散されてなる基本構造を有するが、アクリル樹脂がシード重合されたものではない。上記「シード粒子」は、既に詳述したように、フルオロオレフィンの共重合体からなるものであり、上記フルオロオレフィンとしては、VdF、TFE、CTFE、HFP等を挙げることができ、上記フルオロオレフィンの共重合体としては、VdF/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/HFP共重合体、TFE/CTFE共重合体、TFE/HFP共重合体、CTFE/HFP共重合体、VdF/TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、TFE/CTFE/HFP共重合体、VdF/CTFE/HFP共重合体、VdF/TFE/CTFE/HFP共重合体等を挙げることができ、これらのものに関する詳細な説明も既に説明を終えている。
【0050】上記アクリル樹脂としては、主鎖がアクリル酸及び/又はメタクリル酸に起因する炭化水素鎖で構成されている重合体であれば特に限定されず、通常、アクリル系単量体の単独重合体、アクリル系単量体とこれと共重合体可能なエチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体との共重合体等を挙げることができる。上記アクリル系単量体としては、アクリル酸及び/又はメタクリル酸(以下「(メタ)アクリル酸」ともいう)を含有するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては特に限定されず、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。
【0051】上記アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
【0052】上記アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。上記アクリル系単量体には、耐溶剤性、耐水性向上の目的で、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体を共重合することもできる。上記アクリル酸エステル、上記メタクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、下記(I)及び下記(II)等を挙げることができる。
【0053】(I)反応性を有する官能基を持つ単量体、例えば、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のアミド化合物;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;γ−トリメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシランメタクリレート等のシラノール基含有単量体;アクロレイン等のアルデヒド基含有単量体;カプロラクトン変性ヒドロキシアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレート。
【0054】(II)その他ビニル化合物、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のαオレフィン類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル等のビニルエーテル類;ポリオキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、アリルアルコール、アリルエーテル等のアルケニル類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、VEOVA9、VEOVA10(シェル社製)等のビニルエステル類;無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;スチレン、αメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル等。
【0055】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体として、親水性部位を含む低分子量のポリマー又はオリゴマーを分子中に含む化合物を用いることもできる。上記親水性部位とは、親水性基を有する部位又は親水性の結合を有する部位、及び、これらの組み合せからなる部位を意味する。上記親水性基は、イオン性、非イオン性、両性及びこれらの組合せのいずれであってもよいが、非イオン性、アニオン性の親水性基が好ましい。また、公知の反応性乳化剤であってもよい。
【0056】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体、反応性乳化剤としては、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテル硫酸塩、スチレンスルホン酸塩、アリルアルキルスルホン酸塩、ポリエチレングリコールメタクリレート硫酸塩、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアクリル酸エステル、メタクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル塩、メタクリロイルオキシアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエステル等を挙げることができる。
【0057】上記アクリル樹脂を取得するため、上記アクリル系単量体の単独重合体、上記アクリル系単量体とその他の共重合可能な単量体との共重合体を調製するための重合方法としては特に限定されず、従来公知の方法、例えば、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等を適宜選択して用いることができる。また、重合後の重合体の分子量等についても、その用途を考慮して適宜選択することができる。
【0058】また、重合するにあたって用いる重合器、重合方法、重合開始剤、重合禁止剤、その他の助剤、乳化重合における乳化補助剤、界面活性剤、その他の添加剤等についても、従来公知のものを適宜選択して用いることができる。これらの選択にあたっては、取得されるアクリル樹脂が適切なものであれば、従来公知のいかなるものも使用することができる。
【0059】上記フッ素含有樹脂(1−2)、上記フッ素含有樹脂(1−3)及び上記フッ素含有樹脂(1−4)を構成するために混合するアクリル樹脂の混合量は、5〜80重量%がよく、特に好ましくは、10〜70重量%である。アクリル樹脂の混合量が低すぎると、組成物全体の分散性、密着性が低下して本発明の目的を達成することができず、混合量が多すぎると、耐候性が悪くなる。
【0060】上記フッ素含有樹脂(1−2)、上記フッ素含有樹脂(1−3)又は上記フッ素含有樹脂(1−4)と上記アクリル樹脂とを上記水性媒体中で混合する場合の混合割合は特に限定されず、通常、両樹脂合計の固形分濃度が5〜90重量%程度、好ましくは20〜80重量%となるように混合することが好ましい。上記混合方法としては特に限定されず、通常知られた方法を用いることができる。
【0061】本発明のフッ素含有樹脂(1)には、被膜形成組成物が形成する塗膜の耐久性、耐溶剤性を更に向上させる目的で、所望により、硬化剤を添加させてもよい。上述したように、上記フッ素含有樹脂(1)が含有しているアクリル樹脂は官能基を有するものである場合があり、そのような場合には、当該フッ素含有樹脂(1)は硬化剤と反応する官能基を有している。上記硬化剤としては特に限定されず、例えば、イソシアネート系硬化剤、メラミン系硬化剤等を挙げることができる。以上で、フッ素含有樹脂(1−1)にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−2)、その他の含フッ素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−3)、上記フッ素含有樹脂(1−1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシード重合していないものにアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−4)についての説明を終えた。上記フッ素含有樹脂(1−3)の調製に用いられたその他の含フッ素樹脂水性分散体からなるフッ素含有樹脂(1−5)とは、既に説明を終えているその他の含フッ素樹脂水性分散体のことである。また、上記フッ素含有樹脂(1−1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシード重合していないものからなるフッ素含有樹脂(1−6)とは、フッ素含有樹脂(1−1)の項で既に説明を終えているアクリル樹脂のシード重合前の含フッ素樹脂水性分散体のことである。
【0062】■有機溶剤可溶性含フッ素樹脂そのものか、又は、有機溶剤可溶性含フッ素樹脂にアクリル樹脂を混合してなる有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)
本発明に係るフッ素含有樹脂の第二は、有機溶剤可溶性含フッ素樹脂又はこれとアクリル樹脂とを混合してなる有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)である。上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂としては、好ましくは、例えば、フルオロオレフィンの共重合体等を挙げることができる。上記フルオロオレフィンは、VdF、TFE及びCTFEの三つを挙げることができる。上記フルオロオレフィンの共重合体としては、VdF/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE/CTFE共重合体等を挙げることができる。
【0063】上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂としては、上述したもののほか、フルオロオレフィンの単独重合体、上記以外のフルオロオレフィンの共重合体、フルオロオレフィンとその他の単量体との共重合体等を挙げることができる。これらのものとしては特に限定されず、例えば、VdFの単独重合体、TrFEの単独重合体、TFEの単独重合体、CTFEの単独重合体、HFPの単独重合体、VdF/TrFE共重合体、VdF/ビニルフルオラド(VF)共重合体、VdF/HFP共重合体、TFE/TrFE共重合体、TFE/VF共重合体、TFE/HFP共重合体、CTFE/TrFE共重合体、CTFE/VF共重合体、CTFE/HFP共重合体、VdF/TFE/TrFE共重合体、VdF/TFE/VF共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/CTFE/TrFE共重合体、VdF/CTFE/VF共重合体、VdF/CTFE/HFP共重合体、TFE/CTFE/TrFE共重合体、TFE/CTFE/VF共重合体、TFE/CTFE/HFP共重合体等を挙げることができる。
【0064】なかでも、VdFを含有するVdF系共重合体が好ましい。また、有機溶剤への可能性を増すためには、VdF50〜90モル%、TFE5〜30モル%、CTFE5〜30モル%を含有するもの、及び、VdF50〜90モル%、TFE5〜30モル%、HFP5〜30モル%を含有するものがより好ましい。
【0065】上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂は、上記した単量体を通常の重合法により重合させることにより調製することができる。このような重合法としては、例えば、上述の■アクリル樹脂をシード重合した含フッ素樹脂水性分散体から得られるフッ素含有樹脂(1−1)の項におけるシード粒子を構成する含フッ素樹脂の重合法の箇所において詳述した方法等を挙げることができる。
【0066】上記有機溶剤としては特に限定されないが、溶解性の点からは、特に沸点が60〜250℃程度のケトン類又はエステル類等が好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸メチルセロソルブ等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。また、これらのほか上記有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができ、更に、トルエン、キシレン等の芳香族有機化合物やアルコール類等が添加されていてもよい。これらの有機溶剤は、上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂を良好に溶解して低濃度から高濃度までの広い濃度範囲の組成物を得ることができ、被膜形成組成物としての光沢及び耐候性が優れたものとなる。
【0067】上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂と混合するアクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、フッ素含有樹脂(1)の項において詳述したアクリル樹脂と同じもの等を挙げることができる。上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂と混合するアクリル樹脂の混合量は、5〜80重量%がよく、特に好ましくは、10〜70重量%である。アクリル樹脂の混合量が低すぎると、組成物全体の分散性、密着性が低下して本発明の目的を達成することができず、混合量が多すぎると、耐候性が悪くなる。
【0068】上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂と上記アクリル樹脂とを上記有機溶剤中で混合する場合の混合割合は特に限定されず、通常、両樹脂合計の固形分濃度が5〜90重量%程度、好ましくは20〜80重量%となるように混合することが好ましい。上記混合方法としては特に限定されず、通常知られた方法を用いることができる。
【0069】上記有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)には、被膜形成組成物が形成する塗膜の耐久性、耐溶剤性を更に向上させる目的で、所望により、硬化剤を添加させてもよい。上述したように、上記有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)が有するアクリル樹脂は官能基を有するものである場合があり、そのような場合には、当該有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)は硬化剤と反応する官能基を有している。上記硬化剤としては特に限定されず、例えば、イソシアネート系硬化剤、メラミン系硬化剤等を挙げることができる。
【0070】■フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体、又は、当該共重合体にアクリル樹脂を混合してなるフッ素含有樹脂(3)
上記フッ素含有樹脂の第三は、フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体又はこれとアクリル樹脂との混合物であるフッ素含有樹脂(3)である。上記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体を構成するフルオロオレフィンは、式:CF2 =CFX00(式中、X00は、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はトリフルオロメチル基を表す。)で表される。このようなフルオロオレフィンのうち好ましいものとしては、TFE、CTFE、TrFE、HFPを挙げることができるが、本発明の耐久性撥水剤が、塩素フリーとなってより耐久性に富んだ強靱な塗膜を形成することができる点、及び、本発明の耐久性撥水剤のフッ素含有率が向上して撥水性が向上する点からはTFEが好ましい。
【0071】上記フルオロオレフィンと共重合する特定のビニル単量体は、(i)β−メチル−β−アルキル置換−α−オレフィン、(ii)ビニル基含有エーテル、及び、(iii)ビニル基含有エステル、の三つがあり、これら(i)、(ii)及び(iii)のうちのいずれかが上記フルオロオレフィンと共重合することにより上記フッ素系樹脂(3)を構成することになるが、これらの2種以上を用いることもまた可能であり、更に、これらが、カルボキシル基含有ビニル単量体であったり、水酸基、エポキシ基、シリル基等の硬化反応性部位を有するビニル単量体であったりする場合が好ましく、もしこれらが、カルボキシル基も硬化反応性部位も有しない場合には、これらビニル単量体とは別に、カルボキシル基含有ビニル単量体;水酸基、エポキシ基、シリル基等の硬化反応性部位を有するビニル単量体を上記フルオロオレフィンと共重合する特定のビニル単量体として挙げることが好ましい。
【0072】上記(i)β−メチル−β−アルキル置換−α−オレフィンは、式:CH2 =CR0 (CH3
(式中、R0 は、炭素数1〜8のアルキル基を表す。)で表される。このようなものとしては特に限定されず、例えば、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができるが、なかでも、イソブチレンが好ましい。上記(i)β−メチル−β−アルキル置換−α−オレフィンの上記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体中に占める含有割合は、5〜45重量%が好ましい。5重量%未満であると、本発明の耐久性撥水剤の耐候性が劣ることとなり、45重量%を超えると該共重合体の調製が困難となる。
【0073】上記(ii)ビニル基含有エーテルは、式;
CH2 =CHR(式中、Rは、OR11又はCH2 OR11(R11は、炭素数1〜8のアルキル基を表す。)を表す。)で表されるアルキルビニルエーテル又はアルキルアリルエーテルであり、これらがヒドロキシアルキルビニルエーテル又はヒドロキシアルキルアリルエーテルとして水酸基を有するものであれば(この場合、R11は水酸基を有するアルキル基である。)、後述する硬化剤との反応部位として当該水酸基が機能することとなり、好ましいものとなる。上記(ii)ビニル基含有エーテルとしては特に限定されず、例えば、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等を挙げることができる。なかでも、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルが好ましい。
【0074】上記(ii)ビニル基含有エーテルの上記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体中に占める含有割合は、1〜45重量%が好ましい。1重量%未満であると本発明の耐久性撥水剤の硬化性が劣ることとなり、45重量%を超えるとゲル化が生じやすく貯蔵安定性に劣り、また得られる塗膜がもろくなる。より好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは、5〜15重量%である。
【0075】上記(iii)ビニル基含有エステルは、式;
CHR21=CHR31(式中、R21は、水素原子又はCOOR41を表す。R31は、COOR41又はOCOR41を表す。R41は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、又は、炭素数1〜8のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。R31がOCOR41の場合には、R21は水素原子である。)で表される。より詳しくは、式;
CH2 =CH(OCOR41
で表されるカルボン酸ビニル、式;
(R41OOC)CH=CH(COOR41
で表されるマレイン酸ジエステル又はフマル酸ジエステルが挙げられる。
【0076】上記カルボン酸ビニルとしては特に限定されず、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ヘキサフルオロプロピオン酸ビニル、トリクロロ酢酸ビニル等を挙げることができる。また上記マレイン酸ジエステル又はフマル酸ジエステルとしては特に限定されず、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ジベンジル、マレイン酸ジトリチル、マレイン酸ジトリフルオロメチル、マレイン酸ジトリフルオロエチル、マレイン酸ジヘキサフルオロプロピル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジフェニル、フマル酸ジベンジル、フマル酸ジトリチル、フマル酸ジトリフルオロメチル、フマル酸ジトリフルオロエチル、フマル酸ジヘキサフルオロプロピル等を挙げることができる。なかでも、ピバリン酸ビニルが好ましい。
【0077】上記(iii)ビニル基含有エステルの上記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体中に占める含有割合は、1〜45重量%が好ましい。1重量%未満であると、溶解性と相溶性が劣り、ガラス転移温度が低くなり、45重量%を超えると耐候性劣化の原因となる。より好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは、10〜30重量%である。
【0078】上記(i)、(ii)、(iii)以外の特定のビニル単量体として既に述べたカルボキシル基含有ビニル単量体は、本発明のフッ素系樹脂(3)の分散性、硬化反応性、本発明の耐久性撥水剤の基材への密着性等を改善する。上記カルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、クロトン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ビニル酢酸等に由来するもの等を挙げることができる。上記カルボキシル基含有ビニル単量体の全ビニル単量体に占める割合は、0.01〜10モル%が好ましい。少なすぎると硬化剤との相溶性が低下し、多すぎると耐水性が低下する。
【0079】上記(i)、(ii)、(iii)以外の特定のビニル単量体として既に述べた硬化反応部位を有するビニル単量体としては、当該硬化反応部位が水酸基、エポキシ基、シリル基であるものである。上記硬化反応部位が水酸基であるビニル単量体としては、既に上記(ii)の箇所で述べたヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエステル等を挙げることができる。また、その他の硬化反応部位を有するビニル単量体としては、例えば、特開平2−232250号公報、特開平2−232251号公報に記載されているエポキシ基含有ビニル単量体、特開昭61−141713号公報等に記載されているシリル基含有ビニル単量体等を挙げることができる。上記エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、下記一般式で表されるエポキシビニル又はエポキシビニルエーテル等を挙げることができる。
【0080】
【化1】

【0081】これらの具体例としては、例えば、下記のもの等を挙げることができる。
【0082】
【化2】

【0083】上記シリル基含有ビニル単量体の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、ビニルトリイソプロペニルオキシシラン、ビニルメチルジイソプロペニルオキシシラン、トリイソプロペニルオキシシリルエチルビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルプロピルビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルブチルビニルエーテル、ビニルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルイミノオキシ)シラン、ビニルメチルビス(メチルジメチルイミノオキシ)シラン、ビニルジメチル(ジメチルイミノオキシ)シラン、トリス(ジメチルイミノオキシ)シリルエチルビニルエーテル、メチルビス(ジメチルイミノオキシ)シリルエチルビニルエーテル、トリス(ジメチルイミノオキシ)シリルブチルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0084】上記硬化反応部位を有するビニル単量体の全ビニル単量体に占める割合は、特に規定はないが、5〜15モル%が好ましい。少なすぎると硬化性が不充分となり、多すぎるとゲル化が生じやすく、貯蔵安定性が悪くなる。
【0085】上記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体は、上記した単量体を通常の重合法により重合させることにより調製することができる。このような重合法としては、例えば、上述の■アクリル樹脂をシード重合した含フッ素樹脂水性分散体(1−1)の項におけるシード粒子を構成する含フッ素樹脂の重合法の箇所において詳述した方法等を挙げることができる。
【0086】上記有機溶剤としては特に限定されないが、溶解性の点からは特に沸点が60〜250℃程度のケトン類又はエステル類等が好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸メチルセロソルブ等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。またこれらのほか上記有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができ、更に、トルエン、キシレン等の芳香族有機化合物やアルコール類等が添加されていてもよい。これらの有機溶剤は、上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂を良好に溶解して低濃度から高濃度までの広い濃度範囲の組成物が得られ、被膜形成組成物としての光沢及び耐候性が優れたものとなる。
【0087】上記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体に混合されるアクリル樹脂としては、特に限定されず、例えば、上述のフッ素含有樹脂(1)の項において詳述したアクリル樹脂と同じもの等を挙げることができる。上記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体と混合するアクリル樹脂の混合量は、5〜80重量%がよく、特に好ましくは、10〜70重量%である。アクリル樹脂の混合量が低すぎると、組成物全体の分散性、密着性が低下して本発明の目的を達成することができず、混合量が多すぎると、耐候性が悪くなる。
【0088】上記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体と上記アクリル樹脂とを上記有機溶剤に混合する場合の混合割合は特に限定されず、通常、樹脂合計の固形分濃度が5〜90重量%程度、好ましくは20〜80重量%となるように混合することが好ましい。上記混合方法としては特に限定されず、通常知られた方法を用いることができる。
【0089】上記■フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体又は当該共重合体にアクリル樹脂を混合してなるフッ素含有樹脂(3)には、被膜形成組成物が形成する塗膜の耐久性、耐溶剤性を更に向上させる目的で、所望により、硬化剤を添加させてもよい。上に詳述したように、上記フッ素含有樹脂(3)中のフルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体は、その構成要素として(ii)ビニル基含有エーテルを有し、このものが必ず水酸基を含有するものであるので、硬化剤と反応する官能基を有している。上記硬化剤としては特に限定されず、例えば、イソシアネート系硬化剤、メラミン系硬化剤等を挙げることができる。
【0090】以上で本発明のフッ素系塗料(A)の説明を終えたので、以下に本発明のフッ素系塗料(B)を詳述する。本発明の第二のフッ素系塗料(B)は、含フッ素系重合体と硬化剤とを有機溶媒に溶解せしめてなる組成物である。上記含フッ素系重合体は、フルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテルを必須構成成分とする共重合体であって、上記共重合体中のフルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル及びその他の単量体に基づく単位の含有量がそれぞれ40〜60モル%、5〜45モル%、5〜45モル%、3〜15モル%及び0〜30モル%であり、未硬化状態でTHF中で30℃で測定される固有粘度が0.03〜0.1dl/gであり、かつ、上記硬化剤が水酸基と反応性を有する多官能性化合物であるものである。
【0091】上記フルオロオレフィンとしては、パーフルオロオレフィン、特にCTFE、TFEが好ましい。上記アルキルビニルエーテルとしては、炭化水素2〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するもの、特にアルキルの炭化水素が2〜4であるものが好ましい。これらフルオロオレフィン、アルキルビニルエーテルは、それぞれ単独のものであってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0092】上記共重合体は、30モル%を超えない範囲内において他の単量体に基づく単位を含有することができる。上記単量体としては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類、酢酸ビニル、n−酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル類等を挙げることができる。
【0093】上記共重合体は、所定割合の単量体混合物に重合触媒の存在下又は非存在下に重合開始剤又は電離性放射線等の重合開始源を作用せしめて反応を行わせることによって製造することができる。上記重合開始剤としては、重合形式又は重合媒体に応じて、水溶性のもの又は油溶性のものが適宜使用可能である。上記水溶性開始剤としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素又はこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤との組み合わせからなるレドックス開始剤、これらに少量の鉄、第一鉄塩、硝酸銀等を共存させた系等の無機系開始剤、又は、ジコハク酸パーオキシド、ジグルタール酸パーオキシド、モノコハク酸パーオキシド等の二塩基酸酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等の有機系開始剤等を挙げることができる。上記油溶性開始剤としては、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル型過酸化物、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のジアルキルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
【0094】上記重合開始剤の使用量は、種類、反応条件等に応じて適宜変更することができるが、通常は共重合されるべき単量体全量に対して、0.005〜5重量%、特に0.05〜0.5重量%がよい。上記共重合反応は特に限定されず、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等を挙げることができるが、重合反応操作の安定性等から、水性媒体中での乳化重合、又は、t−ブタノール等のアルコール類、エステル類、1個以上のフッ素原子を含む飽和ハロゲン化炭化水素類、キシレン等の芳香族炭化水素類等を溶媒とする溶液重合等が好ましい。
【0095】上記含フッ素系重合体とともに用いる硬化剤としては、上記共重合体中に硬化部位として含有されるヒドロキシアルキルビニルエーテル単位に基づく水酸基と反応性を有する官能性化合物である必要がある。上記硬化剤としては、メラミン硬化剤、尿素樹脂硬化剤、多塩基酸硬化剤等の加熱硬化型のもの等を挙げることができる。上記メラミン硬化剤としては、例えば、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、エポキシ変性メラミン等を挙げることができ、用途に応じて0〜6の各種変性度のものを挙げることができる。上記尿素樹脂としては、例えば、メチル化尿素、ブチル化尿素等を挙げることができる。上記多塩基酸硬化剤としては、例えば、長鎖脂肪酸ジカルボン酸類、芳香族多価カルボン酸類又はその酸無水物、ブロック多価イソシアネート類等を挙げることができる。上記メラミン又は尿素樹脂の使用にあたっては、酸性触媒の添加によって硬化を促進することができる。
【0096】上記硬化剤としては、更に、多価イソシアネート類等の常温硬化型のものも用いることができる。上記多価イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等及びその付加物等を挙げることができる。上記イソシアネート類を用いて常温硬化を行わせる場合には、ジブチルチンジラウレート等の触媒の添加によって硬化を促進させることができる。
【0097】上記含フッ素系重合体と上記硬化剤とを溶解させる有機溶媒としては特に限定されず、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、n−ブタノール等のアルコール類、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類のほか、市販の各種シンナー等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0098】含フッ素系重合体と硬化剤とを有機溶媒に溶解せしめてなる組成物の調合に際しては、ボールミル、ペイントシェーカー、サンドミル、ジェットミル、三本ロール、ニーダー等の通常の塗料化に用いられる機器等を用いることができる。この際、顔料、分散安定剤、粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
【0099】以上で本発明のフッ素系塗料(B)の説明を終えたので、以下に本発明のフッ素系塗料(C)を詳述する。第三のフッ素系塗料(C)は、VdF、TFE及びプロピレンを共重合して得られるフッ素系エラストマーである。
【0100】上記フッ素系エラストマーとしては、例えば、VdF/TFE/プロピレン3元共重合体と、TFE/プロピレン2元共重合体との混合物に、更に、有機過酸化物、不飽和多官能性化合物等を配合したもの等を挙げることができる。
【0101】上記フッ素系エラストマーに含有されるVdF/TFE/プロピレン3元共重合体は、主鎖に炭素−炭素二重結合を有するものが好ましいが、実質的に主鎖に炭素−炭素二重結合を有しないものであってもよい。また、上記フッ素系エラストマーは、更に、2価の金属水酸化物及び2価の金属酸化物のうち少なくとも1種、並びに、有機オニウム化合物を含有するものが好ましい。
【0102】上記有機オニウム化合物としては、例えば、一般式;
71727374N−HSO4(式中、R71、R72、R73、R74は、同一又は異なって、炭素数1〜20の置換若しくは無置換の1価の脂肪族炭化水素基を表す。)で表される有機四級アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0103】上記フッ素系エラストマーは、乳化重合法により、VdF、TFE、プロピレンの各単位が適当なモル比となるように配合して共重合させてラテックスを得、これを凝集し、洗浄し、乾燥することにより得ることができる。上記モル比は、VdFとTFEとが同程度の量であってプロピレンがそれより少し少ない量であることが好ましく、例えば、VdF/TFE/プロピレン=35/40/25程度である。
【0104】以上で本発明のフッ素系塗料(C)の説明を終えたので、以下に本発明のフッ素系塗料(D)を詳述する。本発明の第四のフッ素系塗料(D)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び/又はTFE/HFP共重合体(FEP)のディスパージョンである。
【0105】以下PTFEを例にとって、フッ素系塗料(D)のディスパージョンについて更に詳しく説明する。上記PTFEは、パーフルオロオレフィン単独重合体としての強固なH−F結合を有する樹脂として優れた特性を有することが良く知られている。PTFEは、種々の用途に適用するためディスパージョンとする。
【0106】このようなディスパージョンとしては、コア部とその周囲のシェル部とからなる粒子を分散させたディスパージョンであって、コア部は、PTFE又はフルオロアルキルビニルエーテルで変性させたPTFEからなるものであり、シェル部は、CTFEを含有し、シェル部が粒子全体の重量の50重量%を超えない変性PTFE粒子を液状担体に分散させてなるもの等を挙げることができる。上記粒子は、更に、コア部が粒子全体に対して0.01〜0.15重量%のフルオロアルキルビニルエーテルを含有することが好ましい。また、このような粒子には、導電性物質等の固体塗膜改質剤を含有させることが好ましい。
【0107】上記コア部に含有されるフルオロアルキルビニルエーテルの量は、粒子全体に対して0.01〜0.15重量%、好ましくは、0.02〜0.04重量%である。この場合、シェル部は、コア部よりも高い濃度で変性した構造としておいた方が好ましい。上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、下記一般式;
1 (CF2 7nOCF=CF2(式中、X1 は、水素、フッ素又は塩素原子、7nは1〜6の整数を表す。)で表される化合物、又は、下記一般式;
3 7 (OCF2 CF2 CF2 7m[OCF(CF3 )CF2 7tOCF=CF2(式中、7mは、0〜2の整数、7tは、0〜2の整数を表す。)で表される化合物等を挙げることができる。
【0108】コア部とシェル部との重量比は、例えば、50:50〜98:2、好ましくは、70:30〜95:5である。また、上記変性PTFEとしては、例えば、特開昭63−56532号公報記載のもの等を挙げることができ、他の変性PTFEも、当該公報に記載の方法又はそれを修飾した方法によって製造することができる。
【0109】コア部を純PTFEとするには、TFEの重合反応を行うに際して、反応初期には変性剤を仕込まずに重合反応を開始し、重合すべきTFEの少なくとも50重量%が消費された後に、反応系にCTFEを導入するようにすればよい。また、上記液状担体としては、水又はトルエン、キシレン、エチレングリコール等の有機液体を用いることができる。ディスパージョン全体における変性PTFEの割合は、概ね10〜60重量%であることが好ましい。
【0110】上記ディスパージョンがFEPからなるものである場合であっても、上記PTFEと同様の方法により得ることができる。FEPディスパージョンにより得られる塗膜は、耐熱性がPTFEに比較して若干劣るものの、耐薬品性、電気的特性、非粘着性等はPTFEと同様に極めて優れたものとなるため、本発明に極めて効果的に用いることができる。
【0111】上記ディスパージョンは、上記変性PTFEの水性又は有機液体分散体に界面活性剤を加え、充分に攪拌を行って均一化することにより調製することができる。上記界面活性剤としてしは、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤等を挙げることができる。上記界面活性剤の量は、上記変性PTFE100重量部に対して5〜10重量部であることが好ましい。
【0112】上記ディスパージョンには、塗膜の性質を改良するために、固体塗膜改質剤、例えば、帯電防止機能を付与するために、銀、アルミニウム、カーボンブラック、カーボンファイバー等の導電性物質を加えることができる。上記導電性物質の量は、組成物全体に対して0.1〜20重量%、好ましくは2〜20重量%である。
【0113】上記ディスパージョンには、更に、雲母粒子又はフレークのような添加物を加えることができる。更に、着色のために、酸化クロム、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料を添加することができ、基材との接着性や塗膜の平滑性を改良するために、溶融性フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアリレンサルファイド、ポリエーテルスルフォン等の有機高分子化合物等を添加することができる。
【0114】以上で本発明のフッ素系塗料(A)、(B)、(C)及び(D)のそれぞれについての説明を終えた。
【0115】上記のようにして調製されたフッ素系塗料は、例えば、建築資材、内外装用資材、特に、殺菌や脱臭等の効果が必要な病院用、厨房用等の資材に適用することができ、また、船底、海洋建造物、魚網等にも適用することができる。上記フッ素系塗料を適用するにあたっては、通常の塗布方法を採用することができ、例えば、スプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、その他のコーティング方法等を採用することができる。上記塗布後には、上記フッ素系塗料が焼付け型である場合には、必要な加熱等を行うことにより焼付けを行い、上記フッ素系塗料が常温硬化型である場合には、常温にて静置することにより、塗膜とすることができる。
【0116】以上で、フッ素系素材のうちフッ素系塗料についての説明を終えたので、フッ素系素材のうち、フッ素系成形体、特にフッ素系フィルムについて、以下に説明する。
【0117】上記フッ素系成形体は、ポリフルオロオレフィンからなる。上記ポリフルオロオレフィンとしては特に限定されず、例えば、フッ化ビニル(VF)、ビニリデンフルオライド(VdF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の単独重合体、共重合体等を挙げることができ、更にこれらと共重合体可能な単量体との共重合体等を挙げることができる。上記ポリフルオロオレフィンとしては特に限定されず、例えば、TFE/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、TFE/HFP共重合体(FEP)、TFE/エチレン共重合体(ETFE)、TFE単独重合体(PTFE)、VdF単独重合体(PVdF)、CTFE単独重合体(PCTFE)等を挙げることができる。
【0118】上記ポリフルオロオレフィンを成形するにあたっては、通常の成形方法を採用することができ、例えば、射出成形、圧縮成形等を挙げることができる。溶融不可能であるPTFEの場合等においては、適宜、圧縮成形及び焼成等により成形することができる。
【0119】上記フッ素系フィルムは、例えば、押出成形法、インフレーション成形法、スカイブ法、カレンダー法等の方法により調製することができ、二次加工性や生産性を考えると、押出成形法が好ましい。上記フッ素系フィルムの厚さは、通常、10〜250μm、好ましくは、50〜150μmである。厚さが10μm未満では破れやすくシワになりやすくなり、250μmを超えると展張時の作業性や透明性が悪くなる。
【0120】上記のようにして調製された本発明のフッ素系成形体、特にフッ素系フィルムは、例えば、アルミニウム等の金属の表面にラミネートすることにより、食器、OA機器用容器、半導体製造用高純度容器等として活用することができる。また、ロール表面に接着することにより、非粘着性、耐熱性、耐食性に加えて、抗菌性及び脱臭性をも兼ね備えたOA機器等を製造することができる。また、屋外用被覆材、農業用被覆材、屋根材等に適用することにより、優れた資材を製造することができ、更に、エレクトロニクス分野における素材としても、充分に活用することができる。特に農業用被覆材は、本発明の防汚効果を特に必要とするので重要である。
【0121】以上で、本発明のフッ素系素材のうちフッ素系成形体、特にフッ素系フィルムについての説明を終えたので、フッ素系素材のうちフッ素系テント膜について説明する。上記フッ素系テント膜に用いられるテント膜は、繊維状基材を編み込むことにより製造することができ、例えば、ガラスクロス、炭素繊維クロス等を挙げることができる。このようなテント膜の表面をポリフルオロオレフィン等の被膜で覆うことによりフッ素系テント膜を構成することができる。上記ポリフルオロオレフィンとしては特に限定されず、例えば、PTFE、FEP等を挙げることができ、このようなポリフルオロオレフィンは、ディスパージョンの形で提供されるものを用いることができる。上記PTFE及び/又はFEPのディスパージョンについては、既にフッ素系塗料の項で説明を終えている。
【0122】本発明のフッ素系テント膜は、まず、例えば、ガラスクロスに上記光触媒フィラーを含有するディスパージョンを含浸させ、その後乾燥した後焼成し冷却することにより得ることができる。
【0123】例えば、上記ポリフルオロオレフィンがPTFE及びFEPである場合には、ガラスクロスに、光触媒フィラーを含有するPTFEディスパージョンを含浸、乾燥、焼成、冷却した後、その上に、光触媒フィラーを含有するFEPディスパージョンを含浸、乾燥、焼成、冷却することにより製造することができ、更にまた、これらを繰り返すか又は逆の順序で行うことにより所望の形態の本発明のフッ素系テント膜を構成することができる。
【0124】本発明のフッ素系テント膜は、耐熱性、耐低温性、化学的安定性、電気的絶縁性、非粘着性、低摩擦性等のフッ素系素材が有する基本的性質を有しているので、ドーム球場等の大型テント、サーカスや催事場等用のテント、リクリエーション用に海辺や山間で用いるテント、仮設住宅用のテント等の各種の屋外用テントに広く用いることができる。
【0125】以上で、本発明のフッ素系素材についての説明を終えた。以下に、上記本発明のフッ素系素材について、更に付記する。上記フッ素系塗料、フッ素系成形体、特にフッ素系フィルム、及び、フッ素系テント膜等の本発明のフッ素系素材は、すべてフルオロオレフィンをモノマーとする単独重合体、共重合体及び/又はその他のモノマーとの共重合体であってそれぞれ上に詳述したものを原料とするものであるが、これら上に詳述したものに加えて、以下に述べるような、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸基、カルボキシエステル基、エポキシ基等の官能基を有するフッ素系ポリマーをもその原料とすることができる。上記フッ素系ポリマーとしては、例えば、一般式:C(X992 =CX90−Rf−Y99(式中、Y99は、−CH2 OH、−COOH、カルボン酸基、カルボキシルエステル基、又は、エポキシ基を表す。X99、X90は、同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子を表す。Rfは、炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数1〜40のエーテル基を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す。)で表される少なくとも1種の官能基含有含フッ素エチレン性単量体0.05〜30モル%と;上記官能基を有しない含フッ素エチレン性単量体(例えば、TFE、HFP等)の少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%と;を共重合してなる官能基含有含フッ素エチレン性重合体等を挙げることができる。
【0126】以上で本発明のフッ素系素材のそれぞれについての説明を終えたので、以下に本発明の光触媒薄膜について説明する。本発明のフッ素系素材は、その表面に光触媒薄膜を有する。上記光触媒薄膜の膜厚は、通常、100〜5000Å程度であるが、これに限定されず、薄膜とすることによって奏する独特の効果が発揮できる膜厚であればよい。上記光触媒薄膜は、光触媒作用物質で構成される。上記光触媒作用物質については既に述べたが、例えば、酸化チタンを例にとって光触媒薄膜の成膜方法等について以下に説明する。上記酸化チタン薄膜は、従来のディップ法、スプレー法、CVD法等により行うことができるが、これらの方法では、フッ素系素材に適用した場合には高い光触媒活性を得ることが困難であることがあるので、本発明においては、有機チタン化合物を利用する金属酸化物薄膜形成用組成物を用いる方法、In、Sn化合物溶液を超音波でミスト化した後熱分解するパイロゾル法、光触媒薄膜の下層として酸化ケイ素を主成分とするプレコート膜を設ける方法等により形成することが好ましい。これらのうち、高温焼付け型のコーティング剤は、ディップ用NDTシリーズ(日本曹達社製)、スプレー用NSTシリーズ(同)等として市販されており、また、低温乾燥型のコーティング剤であって60〜120℃の温度で塗布可能なものは、ディップ用NDCシリーズ(日本曹達社製)、スプレー用NSCシリーズ(同)等として市販されており、金属酸化物薄膜形成用組成物は、日曹アトロン(日本曹達社製)として市販されている。以下、これらについて詳述する。
【0127】上記金属酸化物薄膜形成用組成物は、対Ti原子比が、0.001≦M/Ti≦0.3(式中、Mは、Si、Sn、Sb及びTaよりなる群から選択される少なくとも1種の金属を表す。)の有機溶剤可溶性のチタン化合物と有機溶剤可溶性のSi、Sn、Sb及びTaよりなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物との混合物及び/又はそれらの間の反応生成物を含有し、有機溶剤可溶性のリン化合物及び/又はホウ素化合物を酸化物に換算して上記金属化合物の酸化物基準で10重量%以下を含有していてもよい有機溶剤溶液からなる。
【0128】上記有機溶剤可溶性のチタン化合物としては、例えば、一般式:Ti(ORX 4で表され、式中のRX が、炭素数1〜18の1価の炭化水素基の同種又は異種であるテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、ジエトキシジイソプロポキシチタン、ジメトキシジブトキシチタン、テトラ(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラフェノキシチタン等のチタンアルコキシドモノマー;上記チタンアルコキシドモノマーの加水分解縮合物(チタンアルコキシドポリマー);上記チタンアルコキシドモノマーとチタンアルコキシドポリマーとの混合物が使用される。
【0129】また、上記チタンアルコキシドモノマー、チタンアルコキシドポリマー及びこれらの混合物と、酢酸、プロピオン酸、酪酸、高級脂肪酸等の有機カルボン酸等のアシル化剤及び/又はアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸、プロピオニル酪酸等のケト酸類;ケト酸の低級アルキルエステル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、オクチレングリコール等のジオール類;グリコール酸、乳酸等のオキシ酸類及びそれらの低級エステル類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンアルコール類等の、Ti原子とキレート環を形成することができるキレート化剤とを反応させて得られるチタン化合物類等が使用される。
【0130】また、添加金属化合物として、有機溶剤可溶性の金属化合物、例えば、上記チタン化合物と同様の置換基を有するアルコキシド類;上記アルコキシド類と上記アシル化剤及び/又は添加金属原子とキレート環を形成することができるキレート化剤とを反応させて得られる金属化合物が使用される。
【0131】チタン化合物と添加金属化合物との間の反応生成物は、チタンアルコキシドモノマー及び/又はチタンアルコキシドポリマーと添加金属のアルコキシドとを加水分解、共縮合して得られる共重合体であり、この共重合体もアシル化及び/又はキレート化されていてもよい。
【0132】溶剤として、上記した金属化合物類を溶解することができるものが、特に制限なく使用される。例えば、低級アルコール類、エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類及びそれらの混合物が使用され、好ましくは、沸点が180℃以下の単独溶剤又は混合溶剤が使用される。
【0133】上記金属酸化物薄膜形成用組成物は、有機溶剤可溶性の無機又は有機のリン化合物及び/又はホウ素化合物を含有していてもよい。これらのリン化合物及び/又はホウ素化合物は、酸化物基準で複合金属酸化物に換算した合計に対して10重量%以下、好ましくは1〜5重量%の範囲で添加される。上記金属酸化物薄膜形成用組成物により形成される薄膜は、上記フッ素系素材の表面に上記金属酸化物薄膜形成用組成物を均一な厚さに塗布して乾燥し、450℃以上の温度下で1秒〜3時間加熱して有機物を熱分解することにより形成することができる。
【0134】上記金属酸化物薄膜形成用組成物の塗布方法としては、均一な膜厚の塗膜を形成することができる方法が用いられ、例えば、浸漬引き上げ法、スプレー法、ロールコート法、カレンダーコート法、ドクターブレード法、印刷法等が採用でき、特に膜厚の均一性が要求される場合には、浸漬引き上げ法が好ましい。上記方法により得られる薄膜と低屈折率の金属酸化物薄膜、例えば、SiO2薄膜とを、交互にそれぞれ所定の厚さに積層して多層膜とすることもできる。例えば、フッ素系素材の表面に、Sb含有TiO2 /SiO2 /Sb含有TiO2三層膜、Sb含有TiO2 /SiO2 /Sb含有TiO2 /SiO2 /Sb含有TiO2 五層膜等、又はSb含有TiO2 薄膜層に代えてSn、Si、Taの単独又はSbを含めた上記添加金属の2種以上を含有するTiO2 薄膜を形成することもできる。
【0135】SiO2 薄膜は、有機ケイ素化合物、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジイソプロポキシシラン、ジクロルジメトキシシラン等のシランアルコキシド及び/又はそれらの加水分解縮合体を含有する溶液を用い、上記した薄膜形成方法と同様の方法でフッ素系素材の表面に形成することができる。
【0136】本発明の金属酸化物薄膜は、ゾル・ゲル法等によって得ることができる。上記ゾル・ゲル法により薄膜を得る方法に用いられる原料としては、金属塩、金属アルコキシド、金属含有ゾル等を挙げることができる。なかでも、比較的低温で分解して酸化物被膜とすることができ、ガラス表面のOH基と反応してぬれ性及び密着性に優れている等の利点から、金属アルコキシドは本発明には好適である。上記金属アルコキシドとしては、例えば、TiO2 −遷移金属酸化物、TiO2−SiO2 、TiO2 −SiO2 とその他の金属酸化物との混合物等を挙げることができる。
【0137】ゾル・ゲル法による具体的成膜法のうち、透明導電膜を形成する方法としては、例えば、化学的方法として、スプレー法、CVD法、ディップ法等を挙げることができ、物理的方法として、真空蒸着法、スパッタ法等を挙げることができる。また、ITO膜を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法等のドライプロセスではなく、プロセスの連続化が容易であり、低抵抗、高透過率の膜が得られ、エッチング性が良好となり、大型基板への成膜も容易である等の利点からゾル・ゲル法によるウェットプロセスを用いる。強誘電体薄膜を形成する方法としても、上記利点から、ゾル・ゲル法によるウェットプロセスを用いる。
【0138】パイロゾル成膜法とは、チタンアルコキシド等の金属種を含む溶液を超音波パワーによりエアゾル(液滴)化し、予め加熱された基板近傍に移送して、化学蒸着する成膜法であり、液滴の粒径分布が狭いためスプレー法に比べて均一で良質な膜を得ることができる利点がある。例えば、チタンテトライソプロポキシド等の有機溶剤溶液を原料に用いて、400〜500℃に加熱した基板上に透明TiO2 膜を成膜することができる。成膜の膜厚は、成膜する時間を加減することにより調整することができる。ディップ成膜法においては、上記した金属酸化物薄膜形成用組成物を用いることにより行うことができる。
【0139】ゾル・ゲル法による薄膜形成方法に用いられる組成物としては、従来から、例えば、TiO2 アルコキシド等が用いられ、テトラアルコキシチタンを加水分解して得られるポリチタノキサンにより成膜されるものとされている。このようなポリチタノキサンは、下記一般式:(R′O)2 Ti−(−O−Ti(OR′)2 −)ss−O−Ti(OR′)3(式中、R′は、1価の炭化水素基を表す。ssは、1〜20の正数を表す。)で表される鎖状ポリチタノキサンである。しかしながら、鎖状ポリチタノキサンは、式中のssが大きくなるとゲル化し、有機溶剤に不溶となるし、これを用いてゾル・ゲル法により酸化チタン薄膜を製造しようとすると、テトラアルコキシチタン溶液を用いた場合よりは緻密な薄膜が得られるものの、その緻密度は電気・電子グレードや光学グレードとしては不充分となる。そこで、有機溶剤可溶型であり、かつ−Ti−O−Ti−結合密度が高いポリチタノキサンを用いる必要がある。このような要請に応えるのが、下記一般式で表されるラダー状構造を有するポリチタノキサンである。
【0140】
【化3】

【0141】式中、RY は、水素原子及び炭素数1〜18の1価の炭化水素基よりなる群から選択される少なくとも1種(ただし、水素原子は、全RY の15%を越えない。)であり、nY、mYは、1〜80の正数である。炭素数1〜18の1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよい環状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、アリル基等を挙げることができ、更に具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基等の脂肪族炭化水素基、フェニル基、メチルフェニル基、エトキシフェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基が例示できる。これらは1種の単独でもよく、2種以上であってもよい。
【0142】上記RY として水素原子を含有する場合には、水素原子は全RY の15%を越えることはない。RY 中の水素原子が過大となると、ポリチタノキサン中の水素原子と炭化水素基とが反応してより複雑なポリマー構造を形成して極めて不安定となり、有機溶剤に不溶となる。nY、mYは、ラダー状ポリチタノキサンの縮合度を表し、縮合度が1〜80の範囲では有機溶剤に可溶である。上記一般式で表されるラダー状ポリチタノキサンは、RY の種類により異なるが、白色固体物質又は粘稠液体物質であり、各種の有機溶剤に可溶である。このものは、下記一般式:Ti(OR′′)4(式中、R′′は、炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表す。)で表されるテトラアルコキシチタンを、1.0倍モル以上1.7倍モル以下の水を用いて20〜90℃の温度下において加水分解し、ついで低沸物を留去することにより製造することができる。上記R′′として、上記ラダー状ポリチタノキサンの構造式中のRY として例示した炭素数1〜18の炭化水素基等を挙げることができる。
【0143】ラダー状ポリチタノキサンの合成の容易さを考慮すると、原料テトラアルコキシチタンとして、上記式中のR′′が炭素数1〜6の低級アルキル基であるテトラアルコキシチタンを使用するのが好ましく、さらに好ましくは入手の容易なテトライソプロポキシチタン又はテトラブトキシチタンを用いるのがよい。R′′として、更に大きな炭素数の炭化水素基を導入する場合には、R′′が低級アルキル基であるテトラアルコキシチタンを用いて加水分解を行った後、常法によりエステル変換を行うことにより、目的とする置換基を有するラダー状ポリチタノキサンを得ることができる。
【0144】上記構造を有するラダー状ポリチタノキサンは、分子量が20000にも達するにもかかわらず各種有機溶剤に可溶で、かつ、分子中の−Ti−O−Ti−結合密度が鎖状ポリチタノキサンに比較して大きいため、ゾル・ゲル法用のチタン原料として好適である。また、上記ラダー状ポリチタノキサンの製造方法において、ポリチタノキサンのラダー化は、テトラアルコキシチタンの加水分解反応後の低沸物の留去操作により進行するものと思われる。
【0145】本発明の光触媒薄膜を構成するために、例えば、当該薄膜がTiO2 /SiO2 /TiO2 の三層で構成する場合には、真空蒸着法やスパタリング法等のこれまでの方法に代えて、有機チタンポリマー溶液で処理し、乾燥後有機ケイ素化合物溶液で処理し、乾燥し、更に有機チタンポリマー溶液で処理し、次に350〜700℃の温度で加熱処理する方法を採用することができる。上記有機チタンポリマーとしては、例えば、下記一般式:【0146】
【化4】

【0147】(式中、RZ は、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜4のアルキル基を表す。nZは、2〜10の正数を表す。)で表されるものを用いることができる。上記一般式で表される有機チタンポリマーは、例えば、テトラアルキルチタンを水により重合させることにより得ることができる。有機チタンポリマー用の溶剤としては、炭素数8以下のアルコール類、エステル類、エーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等を挙げることができ、これらの溶剤中にアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等のβ−ケトン類;アセト酢酸、プロピオニル酪酸、ベンゾイルギ酸、ベンゾイル酢酸等のケトン酸類;該ケトン酸類のエステル類、乳酸、グリコール酸、α−オキシ酪酸、サリチル酸等のオキシ酸類、該オキシ酸類のエステル類、ジアセトンアルコール、アセトイン等のオキシケトン類;グリシン、アラニン等のα−アミノ酸類及びアミノエチルアルコール等のアミノアルコール類等を、溶質が加熱処理されてTiO2 となったときのTiO2 換算でその1〜10倍モル、好ましくは1.5〜3倍モル含有するものが溶液の宛正において優れており、また塗膜の白濁防止効果の点でも好ましい。溶剤の使用量は、上記TiO2 換算濃度が1〜10重量%になるに相当する量である。これよりTiO2 換算濃度が大き過ぎると被膜が厚くなりすぎて、加熱処理時にクラックが入る可能性が高くなり、小さすぎると充分な膜厚が得られない。
【0148】上記有機ケイ素化合物溶液としては、TiO2 被膜を有する基板上に塗布し、乾燥後加熱処理せしめることによりSiO2 薄膜を形成することができるものであればよく、アルコキシシランを低級アルコール及び酢酸による希釈下、微量の鉱酸を触媒として重合せしめて得られるシロキサン化合物溶液が好ましい。有機ケイ素化合物の溶媒としては、上記有機チタンポリマーの溶媒と同種のものが使用できる。溶液の濃度としてはSiO2 換算濃度で1〜12重量%である。これより大きいと膜厚が厚くなりすぎて加熱処理時にクラックが入る可能性が高くなり、また小さすぎると充分な膜厚が得られない。第三層のTiO2 膜形成用有機チタンポリマー溶液は、上記第一層用のものと同種のものが用いられる。
【0149】上記したようにして成膜された光触媒薄膜は、熱安定性に優れたものであり、かつ、積層することにより所望に応じてその膜厚を調整することもできるので、極めて応用範囲の広いものとなる。また、上記光触媒薄膜は、薄くて追随性がよく、透明で剥がれない特性を有するので、撥水性や非粘着性の高いフッ素系素材に対しても良好な効果を得ることができる。以上で本発明の光触媒薄膜の原料及びその成膜方法についての説明を終えた。本発明のフッ素系素材は、その表面に、上に詳述した本発明の光触媒薄膜を有していることにより、既に述べた種々の用途に極めて効果的に適用することができる。例えば、農業用フィルムに適用することにより、防汚性に優れ、手入れ不要の極めて作業性に富んだ農業用フィルムを得ることができる。また、建造物等の窓ガラスに適用することにより、全く窓ふきが不要となるメンテナンスフリーの窓ガラスを製造することができる。
【0150】
【発明の効果】本発明のフッ素系素材は、その表面に、光触媒薄膜を有していることにより、フッ素系素材の有する優れた耐候性、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、非接着性等の性質を全く低下させることなく、それらに加えて、殺菌、脱臭、有機物分解等の極めて有用性の高い効果を併せ有する塗料、成形体、特にフィルム、及び、テント膜である。




 

 


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