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発明の名称 含フッ素重合体の安定化方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−80917
公開日 平成10年(1998)3月31日
出願番号 特願平8−237720
出願日 平成8年(1996)9月9日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
発明者 平賀 義之 / 野田 知久 / 今西 博之 / 小松 聡
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 滞留時間が10分以上であり、かつ有効容積率(容器内有効空間/容器内空間)が0.3よりも大きく、K=Pv/μ/n2[ここで、Pvは単位体積あたりの所用動力(W/m3)、μは溶融粘度(Pa・s)、nは回転数(rps)である。]で表される動力係数Kが8000よりも小さい混練機により、溶融加工可能な含フッ素重合体を溶融混練することからなる、含フッ素重合体の熱安定性を改良する方法。
【請求項2】 前記混練機が2軸型であり、セルフクリーニング機構およびピストンフロー性を有しているものである請求項1に記載の方法。
【請求項3】 溶融加工可能な含フッ素重合体が、乳化重合または懸濁重合により製造されたものであり、該重合体中の炭素原子上の不対電子の量を、温度77KでのESR測定におけるスピン密度で表して、1×1014spins/g以下とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】 該含フッ素重合体が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、エチレン、ビニリデンフルオライドおよびクロロトリフルオロエチレンからなる群から選択される少なくとも二種のモノマーからなる共重合体、ビニリデンフルオライド単独重合体、またはクロロトリフルオロエチレン単独重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】 該含フッ素重合体がテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペン又はパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体であり、372℃において0.1〜100kPa・sの溶融粘度を有する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】 該含フッ素重合体の不安定末端のすべてを除去するのに十分な量の水を、前記混練機内へ添加する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】 方法のいずれかの工程の前または工程中、もしくは該含フッ素重合体に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩または塩基、アンモニア、アミンまたはその塩、もしくはアルコール類を添加する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】 該含フッ素重合体の不安定末端のすべてを除去するのに十分な量のフッ素ガスを、前記混練機内へ添加する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】 フッ素ガスの添加前に、該含フッ素重合体を不活性なガスと接触させ、該含フッ素重合体に吸収または吸着された本質的にすべての酸素を除去する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の方法で得られる重合体
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含フッ素重合体の安定化方法に関し、更に詳しくは、不安定末端および/または不安定な主鎖の結合を有する溶融加工可能な含フッ素重合体を特定条件で処理して含フッ素重合体を安定化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの乳化共重合体は、最終製品に溶融加工すると、最終製品中に、揮発性物質による気泡または空隙を生じうる。この揮発性物質は、熱および剪断力に対し不安定なポリマー末端およびポリマーの主鎖に起因して発生する。
【0003】不安定なポリマー末端の種類は、重合方法、並びに重合開始剤および連鎖移動剤の種類によって異なる。例えば、乳化重合において普通の過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等)を重合開始剤として用いた場合には、カルボン酸末端が生成する。このカルボン酸末端が溶融加工時の揮発性物質の源となることは公知である。また、溶融加工時の条件にもよるが、ポリマー末端にオレフィン(−CF2=CF)、酸フルオライド(−COF)等の基が形成されることもあり、これらの末端基も、最終製品中に気泡または、空隙を生じる原因となりうる。
【0004】揮発性物質を生じうるポリマーの主鎖とは、米国特許第4,626,587号に記載されているように、おそらくはテトラフルオロエチレン(TFE)以外のコモノマー同士の結合部分であると考えられる。テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)を例に採ると、不安定な主鎖の結合部はヘキサフルオロプロピレン(HFP)同士の結合部である。このことは、FEPを400℃程度で加熱溶融して発生したガスを分析すると、発生ガス中のHFPのTFEに対するモル比がポリマー中のモル比の2倍程度であることからもうかがえる【0005】含フッ素重合体の最終製品中に生じうる気泡または空隙の原因となりうる不安定な末端および主鎖の結合部を除去するために、米国特許第4,626,587号は、二軸押出機を用い、不安定な主鎖の結合部を剪断力により除去することを開示している。しかし、二軸押出機の使用は、剪断力が強く不安定な主鎖の結合部を除去することを可能とするものの、その短すぎる滞留時間の故に、末端を安定化させることが困難であり、さらに、溶融条件の過酷さ、重合開始剤の残留物およびコンタミネーションの存在により現れる着色を除去することも非常に困難である。従って、二軸押出機による処理の後に、他の装置によりフッ素化等の末端安定化処理工程が必要である。また、溶融成形後、末端安定化を行うには、成形された形状を保つ必要があり、それ故、融点温度よりも低い温度で処理しなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、含フッ素重合体からの不安定末端および不安定な主鎖の結合部分の除去並びに着色の除去を、溶融混練時に効率的に行うことができる方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、滞留時間が10分以上であり、かつ有効容積率(容器内有効空間/容器内空間)が0.3よりも大きく、K=Pv/μ/n2[ここで、Pvは単位体積あたりの所用動力(W/m3)、μは溶融粘度(Pa・s)、nは回転数(rps)である。]で表される動力係数Kが8000よりも小さい混練機により、溶融加工可能な含フッ素重合体を溶融混練することからなる、含フッ素重合体の熱安定性を改良する方法により解決される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の方法で用いる混練機は、先に述べた二軸押出機に比べて滞留時間が長い(少なくとも10分、好ましくは10〜120分である)ことや、構造(有効容積率等)や動力係数が異なるという点で、従来技術の二軸押出機とは区別される。従来技術の二軸押出機の有効容積率(容器内有効空間/容器内空間)は通常0.3以下であるのに対し、本発明において好ましく使用される、いわゆる「表面更新型混練機」の有効容積率は0.3より大きく、多くの場合0.5以上である。ここでいう容器内有効空間とは、装置にパドル、シャフト等を挿入した状態の空間体積を示し、容器内空間とは装置にパドル、シャフト等を挿入していない状態の空間体積をいう。さらに、上記の式で定義される動力係数Kは、二軸押出機では8000〜12000であるのに対し、表面更新型混練機では8000よりも小さく、多くの場合7000以下である。また、表面更新型混練機は、セルフクリーニング性と連続操作時においては高いピストンフロー性を兼ね備えている。
【0009】代表的な表面更新型前記混練機は、三菱重工業株式会社製HVR、SCR、NEW−SCR;住友重機械工業株式会社バイボラック;株式会社日立製作所製日立メガネ翼重合機、日立格子翼重合機;リスト(LIST)社製AP−MACHNE、NEW AP−MACHINE等であり、これらは通常、表面更新型混練機と称されている。
【0010】本発明の方法により安定化される含フッ素重合体の例は、溶融加工可能なテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、エチレン、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレンの少なくとも二種のモノマーからなる共重合体、またはビニリデンフルオライドの単独重合体、クロロトリフルオロエチレンの単独重合体などである。
【0011】ここでパーフルオロアルキルビニルエーテルは、式:CF2=CFO(CF2)mF(式中、mは1〜6の整数である。)で表されるビニルエーテル、または式:CF2=CF(O−CF2CF(CF3))nOC37(式中、nは1〜4の整数である)で表されるビニルエーテルである。
【0012】特に、処理される含フッ素重合体がテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン共重合体(FEP)である場合には、72〜96重量%のテトラフルオロエチレンと4〜28重量%のヘキサフルオロプロペンの組成比であることが好ましく、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)である場合には、92〜99重量%のテトラフルオロエチレンと1〜8重量%のパーフルオロアルキルビニルエーテルの組成比であることが好ましく、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)である場合には、74.5〜89.3重量%のテトラフルオロエチレンと10.7〜25.5重量%のエチレンの組成比であることが好ましい。
【0013】これら重合体は、各重合体の本質的な性質を損なわない量で、他のモノマーを共重合したものであってよい。そのような他のモノマーとしては、ヘキサフルオロプロペン(含フッ素重合体がヘキサフルオロプロピレンを含まない場合)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(含フッ素重合体がパーフルオロアルキルビニルエーテルを含まない場合)、エチレン(含フッ素重合体がエチレンを含まない場合)、ビニリデンフルオライド(含フッ素重合体がビニリデンフルオライドを含まない場合)、クロロトリフルオロエチレン(含フッ素重合体がクロロトリフルオロエチレンを含まない場合)が挙げられる。
【0014】好ましくは、溶融加工可能な含フッ素重合体は、乳化重合あるいは懸濁重合で製造されたものであり、これらの重合体がFEP、PFA、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体である場合には372℃において0.1〜100kPa・sの溶融粘度を有する。
【0015】本発明の方法は、好ましくは200℃〜450℃の温度において実施される本発明の方法において、所望の効果を達成するには、10分以上の滞留時間が必要であり、それよりも短い時間であると、十分な熱安定性を持ち、着色のない含フッ素重合体を得ることは難しい。
【0016】本発明の方法で用いる混練機は、バッチ式でも連続式でもよく、優れたセルフクリーニング性と連続操作時には優れたピストンフロー性を持つことが望ましい。これらの機能が不十分であると、投入された原料のすべてを所望の形態で得るのに非常に長時間を有することがある。また、連続操作時においては、混練機からの重合体の排出は、好ましくは、溶融したポリマー中に溶解しているガス分を除去するためにベント孔を備えた単軸押出機を使用して行う。
【0017】より効率的に、含フッ素重合体か不安定な末端および不安定な主鎖の結合を除去し、熱安定性を向上させるには、本発明の方法の上記基本的な条件に加え、以下のような補助的な操作の1つまたはそれ以上を組み合わせることができる。
a)混練機内に、純フッ素ガスまたは適当な濃度に希釈したフッ素ガスを、不安定末端をすべて除去するのに十分な量で仕込む。
b)混練機内に、水またはスチームを、不安定末端をすべて除去するのに十分な量で仕込む。
c)アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩または塩基、アンモニア、アミンまたはその塩、もしくはアルコール類をあらかじめ含フッ素重合体に添加した後、重合体を混練機に供給する。
d)アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩または塩基、アンモニア、アミンおよびその塩、もしくはアルコール類を、方法のいずれかの工程の前または工程中に添加する。
e)混練機に供給される前に、含フッ素重合体を十分な時間不活性なガスと接触させ、重合体に吸収または吸着された本質的にすべての酸素を除去してから、混練機に供給する。
【0018】本発明の処理により、ほとんどすべての不安定な末端および不安定な主鎖の結合は除去され、不安定な末端基は、安定なパーフルオロメチル末端(−CF3)、ジフルオロハイドライド末端(−CF2H)、酸アミド末端(−CONH2)、メチルエステル末端(−COOCH3)に転化することができる。
【0019】不安定末端基ならびに安定な末端基の定量的測定は、赤外分析により実施することができる。この測定方法は、米国特許第3,085,083号、米国特許第4,675,380号、特開平4−20507号公報等に記載されている。この測定方法により、各末端基の個数を炭素原子106個あたりの数として知ることができる。
【0020】また、ポリマーを溶融加工する際に揮発する物質の量は、すでに知られている揮発物質指数:VI値を測定することによって評価することができる。この値の測定方法を以下に説明する。
・重合体の試料10gを耐熱性の容器に入れ、これを真空系に接続したガラス容器に入れる。
・この容器を2mmHg以下の真空に引き、380℃に保たれた高温ブロック中に入れて熱的平衡を達成する。
・60分間にわたり圧力変化を10分ごとに記録し、以下の式によりVI値を求める:VI=(P40−P0)×V/10/W(P0およびP40は、高温ブロックに挿入前および挿入から40分後の圧力(mmHg)であり、Vは容器の体積(ml)であり、Wは試料の質量(g)である。)
揮発物質指数は25より小さいことが好ましく、25より大きいと溶融加工時に問題となりうる量の気泡、空隙を生じる。
【0021】着色度合いは、溶融条件の過酷さ、重合開始剤の残留物、コンタミネーションの存在に左右されるが、主たる原因は、200℃以上の温度において重合体中に現れる炭素原子上の不対電子であると推測されている。着色度合いの異なるサンプルの炭素原子上の不対電子をESRにより測定すると、ほぼ完全な相関が見られたことからもこの推測が妥当なものであると考えられる。炭素原子上の不対電子の量が、温度77KでのESR測定におけるスピン密度として、0以上1×1014spins/g以下、好ましくは5×1013spins/g以下となれば、本質的に着色はないことがわかる。本発明の方法によれば、そのレベルにまで容易に達成できる。
【0022】
【発明の効果】本発明により、溶融混練時における不安定な末端および不安定な主鎖の結合の除去を効率的に行うことが可能となり、従来の方法、例えば米国特許第4,626,587号に記載されているような、二軸押出機内でまず不安定な主鎖の結合の除去を行い、それから他の装置で末端安定化を行うといった複雑なプロセスを回避し、かつ、着色のない含フッ素重合体を得ることが可能となる。
【0023】
【実施例】
実施例1過硫酸アンモニウム(APS)を使用した乳化重合により調製され、2.8kPa.sの溶融粘度および12モル%のHFPを含むFEP粉末を、以下のように処理し、得られたFEPの末端基の種類および数、ならびに揮発物質係数を測定した。内容積1L、有効容積率0.82、動力係数K225の、表面更新型混練機(バイボラック。住友重機械工業株式会社製)に、上記FEP粉末1kgを投入し、380℃の温度で、回転数50rpmにおいて、純水を2.0g/分で、空気を0.3NL/分で流通させながら40分混練した。
【0024】得られたポリマーは透明感のある乳白色であった。処理前および後のFEP粉末の末端基の種類および量、ならびに揮発物質指数(VI)を表1に示す。処理後には、不安定末端基はほぼ完全に除去され、揮発物質指数(VI値)も低い値を示した。また、処理後の炭素原子の不対電子の量を、温度77KでのESR測定におけるスピン密度として、表1に示す。スピン密度は、非常に小さい値を示した。また、不安定末端基はほぼ完全に除去され、揮発物質指数(VI値)も低い値を示した。
【0025】実施例2FEP粉末の投入後に内部の空気を完全に窒素で置換し、処理中は水を添加せず、空気の代わりに、窒素により7.6モル%に希釈したフッ素ガスを0.3NL/分で流通させ、処理時間を60分としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、FEP粉末を処理した。処理操作の後、混練機内部のフッ素ガスを完全に窒素で置換し、内容物を取り出した。処理後のHFP粉末は乳白色であった。
【0026】処理前および後のFEP粉末の末端基の種類および量、ならびに揮発物質指数(VI)を表1に示す。処理後には、不安定末端基はほぼ完全に除去され、揮発物質指数(VI値)も低い値を示した。また、処理後の炭素原子の不対電子の量を、温度77KでのESR測定におけるスピン密度として、表1に示す。スピン密度は、非常に小さい値を示した。
【0027】
【表1】

【0028】比較例スクリュー径50mm、L/D=30の形状を持つ単軸スクリュー押出機で、実施例1および2で使用したのと同じFEP粉末を、シリンダー設定温度380℃にてペレット化した。そのペレットを、窒素により7.6モル%に希釈したフッ素ガスを用い、オートクレーブ内で185℃にてフッ素化した。フッ素化時間を変化させ、揮発物質指数(VI値)を測定した。結果を表2に示す。揮発物質係数VIを25以下とするには、8時間程度のフッ素化時間を要することがわかった。なお、押し出し直後のポリマー中炭素原子上の不対電子の数は、温度77KでのESR測定におけるスピン密度として、4.5×1015spins/gと高い値を示していた。
【0029】
【表2】





 

 


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