発明の名称 |
空気清浄機 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平10−43629 |
公開日 |
平成10年(1998)2月17日 |
出願番号 |
特願平8−210032 |
出願日 |
平成8年(1996)8月8日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外1名)
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発明者 |
茂木 完治 |
要約 |
目的
構成
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特許請求の範囲
【請求項1】ケーシング(1) 内に区画され吸込口(2) から吹出口(3) へ至る風路(4) と、この風路(4) に通気流(K) を生成する通気流生成手段(5) と、上記風路(4) 内に配置され放電により塵埃を帯電させるイオン化部(5) と、このイオン化部(5) の下流の風路(4) に配置され帯電された塵埃を捕集する集塵部(6) とを備えた空気清浄機において、上記吸込口(2) の周縁の少なくとも一部(2b)に略沿い且つ吸込口(2) の前方へ延びて、吸込口(2) へ空気を誘引する吸込誘引板(7) を備えたことを特徴とする空気清浄機。 【請求項2】上記吸込誘引板(7) は、空気を誘引するべくケーシング(1) から突出する使用位置と、ケーシング(1) に収められる非使用位置とに進退自在であることを特徴とする請求項1記載の空気清浄機。 【請求項3】上記イオン化部(5) は、放電に伴って発生するイオン風によって風路(4) に通気流(K) を発生させることにより上記通気流生成手段を構成していることを特徴とする請求項1又は2記載の空気清浄機。
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発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】イオン化部によって帯電させた塵埃を集塵部に捕集する空気清浄機に関する。 【0002】 【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来より、壁掛け型や卓上型等、種々の空気清浄機が提供されている。この種の空気清浄機では、ケーシング内に吸込口から吹出口へ至る風路を区画しており、この風路に、通気流を生成する送風ファンと、放電により塵埃を帯電させるイオン化部と、帯電された塵埃を捕集する集塵部とを配置している。 【0003】ところが、実際問題として、図4に示すように、ケーシング91に単なる開口である吸込口92があるだけでは、この吸込口92から少し離れたところにある煙草93の煙94等は、吸込口92から吸い込まれ難く、したがって、清浄能力に問題があった。また、送風ファンの風量を高めれば、多少吸引能力は増すが、もともと送風ファンの運転音による騒音が問題となっていたので、風量を高めるわけにはいかない。特に、卓上型のものでは、騒音をできるだけ小さくすることが望まれていた。 【0004】そこで、本発明の目的は、静かであり、しかも煙草の煙等を効率良く吸引することができる空気清浄機を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明では、ケーシング内に区画され吸込口から吹出口へ至る風路と、この風路に通気流を生成する通気流生成手段と、上記風路内に配置され放電により塵埃を帯電させるイオン化部と、このイオン化部の下流の風路に配置され帯電された塵埃を捕集する集塵部とを備えた空気清浄機において、上記吸込口の周縁の少なくとも一部に略沿い且つ吸込口の前方へ延びて、吸込口へ空気を誘引する吸込誘引板を備えたことを特徴とするものである。 【0006】吸込口の周縁から吸込口の前方へ延びる吸込口誘引板によって、吸込口の前方の空気が誘引され、例えば吸込口前方に漂っているような煙草の煙等を効果的に吸込口に導くことができる。これは、風が流れているところに板面があると、上記の風は板面に沿って流れるようになるという原理による。上記のように吸込誘引板によって吸込口前方の空気を誘引できるので、例えば、通気流生成手段として送風ファンを用いている場合に、この送風ファンの風量を低減することが可能となり、静音化が図れる。 【0007】「上記吸込口の周縁の少なくとも一部に略沿い」とは、例えば矩形の吸込口であれば、上縁、下縁、左側縁および右側縁の少なくとも一つに沿えば良い趣旨であり、また「略沿い」とは、周縁の際から所定距離(例えば5cm程度)までであれば、誘引効果が期待できるので、この範囲を許容する趣旨である。上記吸込誘引板は、空気を誘引するべくケーシングから突出する使用位置と、ケーシングに収められる非使用位置とに進退自在であれば好ましい。この場合、非使用時に吸込誘引板をケーシングに収めておくことにより、邪魔にならない。特に、本空気清浄機を卓上式に適用した場合に実効がある。なお、「ケーシングに収められる」とは、ケーシング内に収められる場合と、ケーシングの外面に沿うように収められる場合とを含む趣旨である。 【0008】上記イオン化部は、放電に伴って発生するイオン風によって風路に通気流を発生させることにより上記通気流生成手段を構成していれば、好ましい。この場合、イオン風式であるので、通気流生成のためのファンを用いずとも、通気流を生成でき、静かである。また、多少吸引力に劣るイオン風式であっても、吸込誘引板を用いているので、十分な吸引力を発揮できる。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の一実施形態の空気清浄機の概略斜視図であり、図2は空気清浄機の内部構成を示す概略断面図である。これらの図を参照して、本空気清浄機は、卓上型のものであり、卓上に載置可能な直方体形状のケーシング1の前面1aに矩形の吸込口2を設けていると共に、後面1bに矩形の吹出口3が形成されている。吸込口2および吹出口3には、それぞれ指入れを規制する桟部材2a,3aが設けられている。ケーシング1内には、吸込口2から吹出口3へ至る風路4が形成されており、この風路4内に、イオン化部5および集塵部6の順で配置されている。 【0010】イオン化部5は、プラス側のイオン化線5aからマイナス側の丸棒状の対向部材5bに放電するようにしたものであり、対向部材5bは通気流K方向に沿ってイオン化線5aから所定距離隔てて配置されている。これは、イオン化線5aから対向部材5bへの放電によって通気流K方向へのイオン風を起き易くするためである。イオン風は、荷電された粒子が空気の分子と衝突することにより空気の分子同士が次々に連鎖的に衝突していくことにより発生される。 【0011】集塵部6は、プラス側の印加極板6aとマイナス側の集塵極板6bとを所定間隔隔てて交互に積層したものからなる。印加極板6aと集塵極板6bは、通気流K方向と直交する方向に対向している。即ち、各極板6a,6bは、その板面を通気流K方向に沿わせている。ケーシング1は、一方の側面1cに沿って形成された収容部1eから、ケーシング1の前方へスライドにより進出し、またスライドにより収容部1eに後退する矩形の吸込誘引板7が収容されている。この吸込誘引板7は進出した使用位置において、吸込口2の一方の側縁2bから前方へ延びるようになる。吸込誘引板7は後退した非使用位置において、収容部1eに略完全に収容されるが、吸込誘引板7の前端7aは、指で掴める程度にケーシング1の前面1aから突出している。 【0012】1fは収容部1eの前端に設けられた係合突起であり、また、7bは吸込誘引板7の後端に設けられた係合突起である。両係合突起1f,7bは互いに係合することにより、吸込誘引板7を収容部1eから抜け止めしていると共に、吸込誘引板7を使用位置に位置決めしている。本実施形態では、使用位置にある吸込口誘引板7によって、吸込口2の前方の空気が誘引され、例えば吸込口前方に漂っているような煙草の煙等を効果的に吸込口2に導くことができる。これは、風が流れているところに板面があると、上記の風は板面に沿って流れるようになるという原理による。 【0013】また、吸込誘引板7は、ケーシング1内の収容部1e内に収められるようにしたので、邪魔にならない。特に、本実施形態のような卓上式ではスペースをとらず、配置場所を自在に設定できる等、使い勝手が良い。さらに、イオン化部6が、放電に伴って発生するイオン風によって風路4に通気流Kを発生させるイオン風式であり、本イオン化部6が通気流生成手段を構成している。したがって、通気流生成のためのファンを用いずとも、通気流Kを生成でき、静かである。また、多少吸引力に劣るイオン風式であっても、上記吸込誘引板7を用いているので、十分な吸引力を発揮できる。 【0014】なお、吸込誘引板7は、本実施形態のような矩形の吸込口2であれば、上縁、下縁、左側縁および右側縁の少なくとも一つに沿えば良い。ただし、下縁に関しては、本実施形態のような卓上型では、机面自体が誘引作用を果たすと考えられるので、不要である。また、吸込誘引板7は、吸込口2の側縁の際から所定距離(例えば5cm程度)までであれば、誘引効果が期待できるので、この範囲の部分に沿っていれば良い。 【0015】図3は本発明の他の実施形態を示している。同図を参照して、本実施形態では、ケーシング1の前面1aの一側縁に沿う回転軸線70aを中心として回動自在な吸込誘引板70を設けた。本実施形態では、非使用時の吸込誘引板70を、ケーシング1の一方の側面1cに沿わせた、邪魔にならない姿勢にしておくことができる。 【0016】なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、本発明を、卓上型以外の据置き型の空気清浄機に適用することができる。また、微風で非常に静粛な補助送風ファンを用いて、通気流を増加させるようにしても良い。さらに、吸込口2にルーバー等の整流板を設けても良い。また、対向部材5bとして、丸棒に代えて極板を用いることが可能である。その他、本発明の範囲で種々の変更を施すことができる。 【0017】 【発明の効果】請求項1記載の発明では、吸込口の周縁から吸込口の前方へ延びる吸込口誘引板によって、吸込口の前方の空気が誘引され、例えば吸込口前方に漂っているような煙草の煙等を効果的に吸込口に導くことができる結果、高い清浄能力を発揮できる。また、通気流生成手段として送風ファンを用いている場合において、送風ファンの風量を低減することが可能となり、静音化が図れる。 【0018】請求項2記載の発明では、非使用時の吸込誘引板を、ケーシングに収めておくことができるので、邪魔にならない。請求項3記載の発明では、上記イオン化部によって上記通気流生成手段を構成したイオン風式であるので、通気流生成のためのファンを用いずとも、通気流を生成でき、静かである。また、多少吸引力に劣るイオン風式であっても、吸込誘引板を用いているので、十分な吸引力を発揮できる。
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