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発明の名称 切削インサート
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−217008
公開日 平成10年(1998)8月18日
出願番号 特願平9−19347
出願日 平成9年(1997)1月31日
代理人
発明者 久保田 剛司
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】すくい面と逃げ面の間の稜辺に切刃が形成された切削インサートであって、ノーズ部先端の先端切刃のすくい角を15°〜20°とし、且つ、上記先端切刃に臨むブレーカー隆起部の先端正面にフラット面を形成するとともに、先端切刃に連続する横切刃に沿ったすくい角の最小値を10°以下とし、且つ、横切刃領域から内陸部にいたる間に2段状ブレーカー壁を形成してなる切削インサート。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工具本体に着取自在に装着して金属材料などの切削加工に用いる切削インサートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、STKM13A,SCM415,S15CK,SS400などの切屑処理が難しいねばい材質の加工については、ノーズ部にブレーカー隆起部を形成した切削インサートが用いられてきた。
【0003】図7は、そのような従来の切削インサート20のノーズ部21の形状を示し、同図に示すように、先端切刃22とブレーカー隆起部23との距離Aを小さくし、他方、ブレーカー隆起部23と横切刃24との距離Bは、先端切刃22から離れるにしたがい漸次大きくなるようにしたものであった。この切削インサート20は、先端切刃22とブレーカー隆起部23との距離Aを小さくして低切込みの仕上げ領域の切屑処理に対処することを主眼としていた。
【0004】また、図8は、従来の他の切削インサート30のノーズ部31の形状を示し、同図に示すように、先端切刃32とブレーカー隆起部33との距離A′を比較的大きくとるとともに、他方、ブレーカー隆起部33と横切刃34の距離B′を小さめとしたものであった。この切削インサート30は、ブレーカー隆起部33と横切刃34との距離B′を小さくして中高送りの中荒加工領域の切屑処理に対処することを主眼としていた。
【0005】
【従来技術の課題】しかしながら、上記図7の切削インサート20では、先端切刃22とブレーカー隆起部23との距離Aが小さいので中荒加工で切屑が伸び、ブレーカー隆起部23と横切刃24との距離Bが先端切刃22から離れるにしたがい漸次大きくなるようにしていたけれども、中荒加工での切屑処理が優れているとは言いがたかった。
【0006】また上記図8の切削インサート30では、先端切刃32とブレーカー隆起部33との距離A′を大きくとったので中荒加工で切屑がブレーカー隆起部33の先端に確実に引っ掛かり、しかして横切刃34に近めに配置したブレーカー隆起部33の横壁で切屑をカール半径小さくカールさせ、折れ易くしたものであったが、仕上げ領域の切屑処理では、切屑のカール半径が大きくなりすぎ折れにくいという問題点があった。
【0007】さらに、これら切削インサート20,30はいずれもブレーカー隆起部23,33の先端正面が上面から見て円弧状となっているので、仕上げ加工時にはブレーカー隆起部23,33と切屑が点または線接触状態となり、切屑の排出方向が安定せず、折れにくくなる場合があった。
【0008】
【発明の目的】上記従来技術の課題に鑑み、本発明は、仕上げ加工のみでなく中荒加工においても切屑処理能が優れ、工具寿命が長い切削インサートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記従来技術の課題を解決するため本発明の切削インサートは、先端切刃のすくい角を15°〜20°と大きくし、且つ、先端切刃に臨むブレーカー隆起部の先端正面にフラット面を形成し、さらに、先端切刃に連続する横切刃に沿ったすくい角の最小値を10°以下と小さくし、且つ、横切刃領域から内陸部にいたる間に2段状ブレーカー壁を形成した。
【0010】
【作用】本発明のインサートは、先端切刃のすくい角が15°〜20°と大きいので、低切込みの切削時にねばい材料でも切屑がカールし、さらにフラット面となした先端切刃に臨むブレーカー隆起部の先端正面に切屑が面接触することにより、排出方向が安定し、切屑が折れ易い。
【0011】また、中荒加工時送りが小さい時には、横切刃に沿って形成された2段状のブレーカー壁の下壁に切屑が当たってカールし、また送りが大きい時には、上記2段状のブレーカー壁の下壁で一旦減速された切屑が上壁に当たってカールする。
【0012】なお、上記横切刃のすくい角の最小値が最小10°以下と小さく設定されており、横切刃の強度を十分大きく保っている。
【0013】したがって、本発明のインサートによれば、一つのインサートにより低切込みの仕上げ加工も、中、高切込みの中荒加工も、切屑が安定的に処理されるので工具寿命が長く、かつ、インサートの取り替えなしに広い切削条件下での切削加工が可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1乃至図4に本実施形態の切削インサート1を示し、この切削インサート1の全体形状は図1に示す如く、すくい面2と逃げ面3の間の稜辺に切刃4が形成された菱形板状をなし、また、対称位置に配置された一対のノーズ部5,5それぞれの先端には円弧状の先端切刃6が、そして該先端切刃6の両側には先端切刃6に連なる横切刃7がそれぞれ形成されている。
【0015】上記ノーズ部5には、図2の部分拡大図に示すように前記先端切刃6に臨み且つそのすくい面8から隆起したブレーカー隆起部10が形成されるとともに、このブレーカー隆起部10の先端正面にフラット面14が形成されている。また、横切刃領域から内陸部17にいたる間に2段状ブレーカー壁11が形成されている。
【0016】さらに、図3の垂直断面図に示す上記先端切刃6のすくい面8のすくい角α°は15°〜20°と大きく、他方、図4の垂直断面図に示す上記横切刃7のすくい面9のすくい角β°は最小値が10°以下と小さい。なお、横切刃7のすくい面9のすくい角β°は先端切刃6から離れるにしたがって漸次小さくなっており横切刃7の刃先強度が大きくなるよう構成されている。
【0017】このように構成される上記切削インサート1において、先端切刃6のすくい面8のすくい角α°を15°〜20°と大きくしたのは、低切込みの切削時にねばい材料でも切屑を確実にカールさせるためで、また、先端切刃6に臨むブレーカー隆起部10の先端正面をフラット面14としたのは、切屑との接触面積を大きくし排出方向を安定させることによって切屑が絡んだりするのを防止し、切屑を折れ易くするためである。したがって、上記切削インサート1によれば、低切込みの切削時にねばい材料でも切屑を確実にカールさせ、しかも、切屑処理方向を安定させ切屑を折れやすくするので、良好な切屑処理が可能である。
【0018】なお、このすくい角α°が15°未満である場合、切屑のカール半径が大きくなり折れ難くなる恐れがあり、他方、20°超過の場合には、刃先強度を低下せしめてしまう恐れがある。また、上記フラット面14の横幅wとしては、0.02〜0.08mmであることが好ましい。この横幅wが0.02mm未満の場合、切屑の排出方向が安定させる効果が小さく、他方、0.08mm超過の場合、切屑の接触面積が必要以上に大きくなり切削抵抗が過大となってしまう恐れがある。
【0019】次に、横切刃7に沿って2段状ブレーカー壁11を形成したのは、中荒加工で送りが小さい時には比較的切屑がカールし易いので、主として2段状ブレーカー壁11の背の低い下壁12で切屑をカールさせ、これにより切削抵抗を小さく抑え、他方、送りが大きい時には比較的切屑がカールし難いので、上記下壁12で減速させた切屑を上壁13で確実にカールするようにするためであり、これにより、広い加工可能領域を実現する。また、横切刃7のすくい面9についてそのすくい角β°の最小値を10°以下としたのは、横切刃7の強度を大きく保ち且つ切屑のカール半径が過大とならないようにするためであり、上記すくい角β°の最小値が10°より大きくなると横切刃7が強度不足となってしまう恐れがある。
【0020】なお、この2段状ブレーカー壁11の下壁12、上壁13のうち下壁12の高さhとしては、0.1〜0.5mmの範囲であることが好ましい。この高さhが0.5mmを超える場合、切削抵抗が大きくなり過ぎる恐れがあり、他方、0.1mm未満では切屑が下壁12に引っ掛からずに切屑のカール半径が過大となってしまう恐れがある。また、上記2段状ブレーカー壁11の上壁13としては図2に示すように横切刃7に対して中央が凹状の円弧状となったものであっても良い。このような2段状ブレーカー壁11によれば切屑の排出方向が安定するとともに、切屑が幅方向にも湾曲するので切屑が折れ易くなる。
【0021】ちなみに、図2に示す実施形態において、前記ブレーカー隆起部10には先端前面のフラット面14の他に2段状ブレーカー壁11に隣接する部分にもフラット面15を形成しているが、これは低〜中送りの加工時の排出方向を安定させ、切屑を折れやすくする作用を有している。また、横切刃7のすくい面9のすくい角β°としては、先端切刃6から離れるにしたがって漸次小さくなる形態に限らず、先端切刃6からその近傍に向けて一旦β=10°程度まで小さくなり、さらに若干遠ざかった位置でβ=13°と再び大きくなり、その先は漸次小さくなるというように、波形のアンギュレーションを形成したものであってもよく、そのようにすることによって、切屑の排出方向が安定するとともに、切屑が幅方向にも湾曲するので切屑が折れ易くなるという作用がある。
【0022】以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができることは言うまでもない。
【0023】次に、本発明の切削インサート1を用いた実験例を説明する。
実験例1インサートの材質として京セラ(株)製TN60サーメット材を用いた上記切削インサート1を用いて以下の条件で切屑処理テストを行った。(すくい角α°=15°、すくい角β°=15°〜5°、下壁12の高さh=0.2mm、フラット面14の幅w=0.05mm)
切削条件被削材:SCM415(内径φ30〜50)
周速V=200m/min送りf=0.05,0.1,0.15,0.2mm/rev切込みd=0.5,0.7,1.0,2.0mm湿式ホルダー:SCLPL2520B−09正バイトこの切屑処理テストの結果とその判定基準を表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】図1から明らかなように本発明のインサートは、送りf=0.05mmの領域で若干の不具合があったが、全体として非常に優れた切屑処理性能を示した。
【0026】なお、比較例として図7に示す従来技術のインサート[CPMT090304SQ(UP35N)]による同様のテスト結果と、図8に示す従来技術のインサート[CCMT09T304−UF(GC4025)]による同様のテスト結果を、それぞれ表2と表3に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】これらの結果と上記表1に示す本発明品の結果を比べると、明らかに本発明品の切屑処理性能が格段に優れていることが看取される。
【0030】実験例2上記実験例1の切削条件において被削材をSCM415(内径φ50通し穴)に変え、同様の試験を行った。その結果を表4に示す。
【0031】
【表4】

【0032】表4から明らかなように本発明のインサートは、送りf=0.15、0.1mmの領域の一部で若干の不具合があったが、全体として非常に優れた切屑処理能を示した。
【0033】なお、比較例として図7に示す従来技術のインサート[CPMT090304SQ(UP35N)]による同様のテスト結果を表5に示す。
【0034】
【表5】

【0035】この結果と上記表4に示す本発明品の結果を比べると、明らかに本発明品の切屑処理性能が格段に優れていることが看取される。
【0036】実験例3インサートの材質として京セラ(株)製TN60サーメット材を用いた上記切削インサートを用いて以下の条件で切屑処理テストを行った。このテストでは、切屑処理が難しいL型ローター(SPHE材)を被削材として用いた。
【0037】切削条件被削材:L型ローター(SPHE材)
周速V=250m/min送りf=0.1,0.15,0.2mm/rev切込みd=0.5,0.7,1.0mm湿式ホルダー:SCLPL2520Bこの切屑処理テストの結果を表6に、また、切屑マップを図5に示す。
【0038】
【表6】

【0039】表6と図5から明らかなように本発明のインサートは、送りf=0.1mmの領域で若干の不具合があったが、全体として非常に優れた切屑処理性能を示した。
【0040】なお、比較例として図7に示す従来技術のインサート[CPMT090304SQ(UP35N)]による同様のテスト結果を表7に、また、切屑マップを図6に示す。
【0041】
【表7】

【0042】表7と図6から明らかなように上記従来技術の切削インサートは、SPHE材の加工には適していなかった。これに対して、本発明品は前述のようにSPHE材に対しても優れた切屑処理性能を示した。
【0043】
【発明の効果】叙上のように本発明のインサートは、先端切刃のすくい角を15°〜20°と大きくしたので、低切込みの切削時にねばい材料でも切屑がカールし、さらにフラット面となした先端切刃に臨むブレーカー隆起部の先端正面に切屑がこのフラット面と面接触することにより、切屑は大きく切屑が折れ易く、また、排出方向が安定する。
【0044】また、中荒加工時送りが小さい時には、横切刃に沿って形成された2段状のブレーカー壁の下壁に切屑が当たってカールし、また送りが大きい時には、前記2段状のブレーカー壁の下壁で一旦減速された切屑が上壁に当たってカールする。
【0045】したがって、一つのインサートにより低切込みの仕上げ加工も、中、高切込みの中荒加工も、切屑が安定的に処理されるので工具寿命が長く、かつ、インサートの取り替えなしに広い切削条件下での切削加工が可能である。




 

 


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