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微細溝を有する部材及びその製造方法及びこれを用いたインクジェットプリンタヘッド - 京セラ株式会社
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発明の名称 微細溝を有する部材及びその製造方法及びこれを用いたインクジェットプリンタヘッド
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180939
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平9−297570
出願日 平成9年(1997)10月29日
代理人
発明者 岸野 敏和 / 揃 和紀
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】セラミックス、ガラス、シリコン等からなる平板の一面に、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体を凹部を有する成形型で成形して成る隔壁を接合し一体化してなる微細溝を有する部材。
【請求項2】セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成るバインダーとの混合物を、隔壁用の凹部を有する成形型中に充填した後、この混合物をセラミックス、ガラス、シリコン等からなる平板面又はセラミックス、ガラス、シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成るバインダーとの混合物よりなる平板状の成形体に接合し一体化する工程からなる微細溝を有する部材の製造方法。
【請求項3】請求項1記載の微細溝を有する部材を用いて、上記平板を振動板と成し、この振動板を駆動させるための圧電素子と該圧電素子に電圧を印加するための電極とを備えてなるインクジェットプリンタヘッド。
【請求項4】請求項1記載の微細溝を有する部材を用い、上記隔壁を圧電性のセラミックスにより形成するとともに、上記隔壁を変位させるために電圧を印加する電極を上記隔壁の両側面に備えるか、あるいは上記電極を隔壁の上面と平板の下面にそれぞれ備えてなるインクジェットプリンタヘッド。
【請求項5】上記隔壁をPbZrO3 −PbTiO3 系のセラミックスにより形成するとともに、上記平板をジルコニアセラミックスにより形成してなる請求項4に記載のインクジェットプリンタヘッド。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変位制御素子、モーター、リレー、スイッチ、シャッター、プリンターヘッド、ポンプ、ファン、インクジェットプリンタ等に用いられる微細溝を有する部材、及びその製造方法及びこれを用いたインクジェットプリンタヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光学や精密加工等の分野において、サブミクロンのオーダーで光路長や位置を調整する変位制御素子が求められており、これらに応えるものとして、圧電材料を利用したもの、静電気を利用したものなど、各種のアクチュエータが考えられている。
【0003】特に、最近ではインクジェットプリンタヘッド用に、セラミックグリーンシートを成形し、金型でインク室等を成す空孔を形成した後、積層して焼成し、その一部を振動板としてその表面に圧電駆動部を設けた小型のアクチュエータが提案されている(特開平4−12678号公報参照)。
【0004】このインクジェットプリンタヘッドの構造は、図7に示すように、ノズル6を形成したノズル板23と、インク室1やインク流路等を形成した隔壁22と、振動板21とをそれぞれセラミックグリーンシートで作製し、積属し一体化することによって、インク室1とこれに連通するノズル6及びインク流路(不図示)を有するヘッド基板2を得て、このヘッド基板2の振動板21上に電極4a、圧電素子3、電極4bを形成したものである。
【0005】そして、上記電極4a、4b間に電圧を印加して圧電素子3を変形させ、この変位を振動板21を介してインク室1に伝えることにより、インク室1内のインクをノズル6より噴出させるようになっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、インクジェットプリンタヘッドは、製品がより小型化し、高密度化、高精度化が求められている。例えば、上記ヘッド基板2を成す隔壁22の幅は数十μmのオーダーで作製することが求められている。
【0007】これに対し、図7に示すインクジェットプリンタヘッドの製造工程中、ヘッド基板2を成す隔壁22を作製する場合は、セラミックグリーンシートを金型で打ち抜くことによってインク室1やインク流路等を形成していたため、上記のように小型で高密度、高精度に作製することが極めて困難であった。即ち、グリーンシートを金型で打ち抜く際にシート切れが生じたり、あるいはノズル板23、振動板21を積層する際に位置ずれが生じる等の理由により、高密度、高精度に作製することができなかった。
【0008】また、このような小型で高密度に打ち抜くための金型の作製も困難であり、コストの高いものであった。
【0009】本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェットプリンタヘッド等に使用される微細溝を有する部材を高精度、高密度で簡易に作製することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、セラミックス、ガラス、シリコン等からなる平板の一面に、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体を凹部を有する成形型で成形して成る隔壁を接合し一体化して微細溝を有する部材を構成したことを特徴とする。
【0011】また本発明は、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成るバインダーとの混合物を、隔壁用の凹部を有する成形型中に充填した後、この混合物をセラミックス、ガラス、シリコン等からなる平板面又はセラミックス、ガラス、シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成るバインダーとの混合物よりなる平板状の成形体に接合し一体化する工程から微細溝を有する部材を製造することを特徴とする。
【0012】さらに本発明は、上記平板を振動板と成し、この振動板を駆動するための圧電素子と該圧電素子に電圧を印加するための電極とを備えるとともに、微細溝をインク室とするべくノズル板を接合してインクジェットプリンタヘッドを構成するか、あるいは上記隔壁を圧電性のセラミックスにより形成し、この隔壁を変位させるために電圧を印加する一対の電極を上記隔壁の両側面に備えるか、又は上記一対の電極を隔壁の上面と平板の下面にそれぞれ備え、微細溝をインク室とするべくノズル板を接合してインクジェットプリンタヘッドを構成したことを特徴とする。特に、後者の構造において、上記隔壁をPbZrO3 −PbTiO3 系のセラミックスにより形成するとともに、上記平板をジルコニアセラミックスにより形成すれば、組み立て時や取り扱い時における破損が少なく、かつ隔壁を良好に変位させることができる。
【0013】即ち、本発明によれば、予め用意した隔壁用の凹部を有する成形型に隔壁用材料の混合物を充填し、この混合物を平板の一面に接合一体化することによって、上記成形型の形状がそのまま平板上に転写されることになる。そのため、予め成形型の凹部を高密度にかつ高精度に作製しておけば、容易に隔壁を高精度に仕上げることができるとともに、高密度に形成することが可能となる。
【0014】なお、ここで隔壁と平板を接合一体化するとは、上記凹部を有する成形型中に混合物を充填し、平板に密着し固化させた後、離形し焼成する工程や、成形型に混合物を充填し固化させた後に離形し、その後平板と密着して焼成する工程や、成形型に混合物を充填し、固化した後に離形して焼成し、平板に接着又は熱定着する工程等を含むものである。その他、一般的なガラスやセラミックスの接合方法を使用することも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明する。
【0016】図1に示す微細溝を有する部材10は、セラミックス、ガラス、シリコン等の一種からなる平板11の一面に、セラミックス、ガラス、シリコン等の一種からなる一対の隔壁12を同一方向に整列させて接合一体化して、隔壁12間に一つの微細溝15を形成したものである。また、図2に示す微細溝を有する部材10は、セラミックス、ガラス、シリコン等の一種からなる平板11の一面に、セラミックス、ガラス、シリコン等の一種からなる多数の隔壁12を同一方向に整列させて接合一体化し、隔壁12間に複数の微細溝15を形成したものである。
【0017】そして、詳細を後述するように、上記隔壁12はこの隔壁用の凹部を有する成形型を用いて成形した後、平板11に接合一体化したものであるため、隔壁12を高密度に整列させることができるとともに、高精度に形成することができる。この微細溝を有する部材10を用いれば、図7に示すようなインクジェットプリンタヘッドのヘッド基板2を容易に作製することができる。即ち、図3(a)に示すように、平板11を振動板21と成し、隔壁12を隔壁22として、別途作製したノズル6を有するノズル板23を接合すれば、微細溝15がインク室1となってヘッド基板2を得ることができる。
【0018】あるいは、図3(b)に示すように、平板11にノズル6を形成してノズル板23と成し、隔壁12を隔壁22として、別途作製した振動板21を接合すれば、微細溝15がインク室1となってヘッド基板2を得ることができる。
【0019】このとき、隔壁22(12)は高密度に整列させることができるとともに、高精度に形成できることから、このヘッド基板2を用いれば、高密度、高精度のインクジェットプリンタヘッドを得ることができる。
【0020】また、図3(a)に示すように微細溝を有する部材10の平板11を振動板と成す場合は、平板11上に圧電素子を備えることができる。即ち、図4(a)に示すように、平板11上に電極14と圧電素子13を単層又は複数層積層するか、あるいは図4(b)に示すように、平板11の上下面に上記電極14と圧電素子13を単層又は複数層積層しておき、これらの電極14間に電圧を印加すれば、圧電素子13の変形により平板11を変位させ、振動板として作用させることができる。
【0021】さらに、図8(a)(b)に示すようなインクジェットプリンタヘッドを製作することもできる。
【0022】これらのインクジェットプリンタヘッドは、ノズル6を形成したノズル板23と、インク室1やインク流路等を形成する隔壁22、及び平板24とからなり、上記隔壁22をそれ自体が変形する振動板としたものであり、例えば、図8(a)に示すヘッド基板31は、図3(a)の隔壁12を隔壁22とし、この隔壁22(12)を圧電材料により形成するとともに、この隔壁22(12)の上面に帯状の電極14を敷設し、さらに平板11を平板24となし、この平板24(11)の下面に板状の電極14を敷設したあと、別途作製したノズル6を有するノズル板23を接合することにより製作することができ、また、図8(b)に示すヘッド基板32は、図3(a)の隔壁12を隔壁22とし、この隔壁22(12)を圧電材料により形成するとともに、この隔壁22(12)の両側面に帯状の電極14をそれぞれ敷設したあと、別途作製したノズル6を有するノズル板23を接合することにより製作することができる。なお、図8(b)に示すヘッド基板32は、図3(b)からも製作が可能である。
【0023】そして、図8(a)に示すヘッド基板31においては、隔壁22の上面の帯状電極14と平板24の下面の板状電極14との間に、図8(b)に示すヘッド基板32においては、隔壁22の両側面の帯状電極14間にそれぞれ電圧を印加することにより隔壁22自体を左右に変位させることができるため、インク室1をなす微細溝15内の圧力を高めてノズル6よりインクを噴出させることができる。
【0024】これらのインクジェットプリンタヘッドは、図7に示すプリンタヘッドのような振動板21上の圧電素子13や電極14が不要であるため、より一層小型化することができるとともに、インク室1を構成する隔壁22自体を変位させることができるために応答性が良く、さらに高速印字が可能なインクジェットプリンタヘッドを得ることができる。
【0025】なお、図7及び図8(a)(b)では、ノズル板23を平板11と対向した位置に配置した構造を示したが、微細溝15の長手方向を閉じる別の平板(不図示)にノズル6を形成した構造であっても良いことは言うまでもない。
【0026】以上のように、平板11に圧電素子13と電極14を備えるか、隔壁12を圧電材料で形成し、その両側面に電極14を備えるか、さらには隔壁12を圧電材料で形成し、その上面と平板11の下面に電極14を備えることで、この微細溝15を有する部材10はアクチュエータ用部材となり、上述したインクジェットプリンタヘッドに限らず、変位制御素子、モーター、リレー、スイッチ、シャッター、プリンターヘッド、ポンプ、ファン等に使用することができる。
【0027】次に、本発明の微細溝を有する部材10の製造方法を説明する。
【0028】まず、図5(a)に示すように、隔壁12の形状に合致した凹部19aを有する成形型19を用意し、この成形型19の凹部19aに、隔壁12を成す材質としてセラミックス、ガラス、シリコン等の粉末と溶媒及び有機性添加物のバインダーとの混合物12’を充填する。
【0029】一方、セラミックス、ガラス、シリコン等から成る平板11を別に用意し、この平板11に上記混合物12’の成形体を接合一体化し、隔壁12を形成するが、具体的には以下のように製造する。
【0030】まず、上記成形型19に充填した混合物12’の表面に平板11を押し当てて加圧接着し、混合物12’を反応硬化するか又は乾燥して固化させる。その後、図5(b)に示すように、成形型19を離型することによって、基板11上に混合物12’の成形体からなる隔壁12を転写する。最後に全体を脱バインダー処理した後、同時焼成して一体化することにより、図1、2に示す微細溝15を有する部材10を製造することができる。
【0031】また他の方法としては、成形型19に充填した混合物12’を反応硬化又は乾燥固化した後、成形型19から離型し、混合物12’の成形体を平板11に固着する。最後に全体を脱バインダー処理した後、同時焼成して一体化することによっても微細溝15を有する部材10を得ることができる。
【0032】さらに他の方法としては、成形型19に充填した混合物12’を反応硬化又は乾燥固化した後、成形型19から離型し、脱バインダー処理した後でこの成形体を平板11に接着する。最後に全体を同時焼成して一体化することによっても微細溝15を有する部材10を得ることができる。
【0033】あるいは、成形型19に充填した混合物12’を反応硬化又は乾燥固化した後、成形型19から離型し、脱バインダー処理して焼成した後でこの焼結体を平板11に接着、熱圧着又は同時焼成により接合することによっても微細溝15を有する部材10を得ることができる。
【0034】即ち、平板11に混合物12’の成形体を接合するとは、互いの部材がセラミックス、ガラス、シリコン等の粉末と溶媒及び有機性添加物のバインダーとの混合物を反応硬化又は乾燥固化させた成形体、又は成形体に脱バインダー処理を施した脱バインダー状態、あるいは成形体を焼成した焼結体のいずれの段階であっても良い。なお、平板11と隔壁12が互いに成形体からなり、両者を同時焼成により接合一体化する場合には、焼成条件(焼成温度、焼成雰囲気等)や成形体の収縮率等を合わせる必要があることから、このような時には両者を同種の材質により構成することが好ましい。
【0035】このような本発明の製造方法によれば、簡単に隔壁12を形成できるため製造工程を極めて簡略化できる。しかも、隔壁12及びその間の空間は成形型19の凹部19aの形状が転写されるため、凹部19aの形状やピッチ幅等を所定の精度に精密加工しておけば、所望の隔壁12を容易に形成することができる。
【0036】さらに本発明の他の応用例として、図6に示すように、複数の微細溝15を有する部材10を積層し接合一体化すれば、各微細溝15が貫通孔となるハニカム状体を得ることができ、微細フィルター等に使用することができる。その他、本発明の微細溝15を有する部材10はさまざまな分野に応用することができる。ここで、平板11及び隔壁12を成すセラミックス粉体としては、アルミナ(Al2 3 )、ジルコニア(ZrO2 )等の酸化物系セラミックスや、窒化珪素(Si3 4 )、窒化アルミニウム(AIN)、炭化珪素(SiC)等の非酸化物系セラミックス等、あるいはアパタイト(Ca5 (PO4 3 (F,Cl,OH))等のいずれをも用いることができ、これらのセラミックス粉体には各種焼結助剤を所望量添加することができる。
【0037】上記焼結助剤としては、アルミナ粉末にはシリカ(SiO2 )、カルシア(CaO)、イットリア(Y2 3 )及びマグネシア(MgO)等を、ジルコニア粉末にはイットリア(Y2 3 )やセリウム(Ce)、ディスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)等の希土類元素の酸化物を、また窒化珪素粉末にはイットリア(Y2 3 )とアルミナ(A12 3 )、あるいは硼素(B)と炭素(C)等を、窒化アルミニウム粉末には周期律表第3a族元素酸化物(RE2 3)等を、炭化珪素粉末にはホウ素(B)と炭素(C)等を所望量添加することができる。
【0038】また、平板11及び/又は隔壁12を成す圧電性をもったセラミック粉末としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT系:PbZrO3 −PbTiO3 系)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、マンガンニオブ酸鉛、チタン酸鉛などの一種以上と、Pb及びこれと固溶するMg、Ni、Zn、Nb、Te、Sbの元素うち少なくとも一種以上の酸化物を含むセラミックスを用いることができ、具体的にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)の場合、PZT−Pb(NiNb)O3 、PZT−Pb(NiNb)O3 −Pb(ZnNb)O3 、PZT−Pb(MgNb)O3 、PZT−Pb(SbNb)O3 −Pb(ZnNb)O3 等のことである。
【0039】さらに、平板11及び隔壁12をなすガラス粉体としては、ケイ酸塩を主成分とし、鉛(Pb)、硫黄(S)、セレン(Se)、明礬等の一種以上を含有した各種ガラスを用いることができ、さらには平板11及び隔壁12をシリコン粉末から形成することもできる。あるいは平板11及び隔壁12を上記各材料の複合粉体から形成したり、上記と同様の特性を持った他の粉体で形成することもできる。
【0040】なお、これらセラミックス、ガラス、シリコン等の粉体の粒径は、数十ミクロンからサブミクロンのものが好適に用いることができ、具体的には0.2〜10μm、好ましくは0.2〜5.0μmの範囲のものが良い。
【0041】さらに、これらのセラミックス、ガラス、シリコンの粉末に添加する有機性添加物としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エボナイト、ポリシロキ酸シリケート等が挙げられる。そしてこれらの有機性添加物を反応硬化させる手段としては、加熱硬化、紫外線照射硬化、X線照射硬化等がある。なお、作業上、装置上の点からは加熱硬化が最適であって、とりわけポットライフの点からは不飽和ポリエステル樹脂が好適である。
【0042】前記有機性添加物の含有量は、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体と焼結助剤等との混合物の流動性及び成形性を維持するためには、粘性が高くならないようにする必要があり、一方、硬化時には十分な保形性を有していることが望ましい。このような点から、有機性添加物の含有量は、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体100重量部に対して0.5重量部以上で、かつ硬化による成形体の収縮という点からは35重量部以下がより望ましく、なかでも焼成時の収縮を考慮すると、1〜15重量部が最も好適である。
【0043】また、混合物12’中に加えられる溶媒とは、前記有機性添加物を相溶するものであれば特に限定するものではなく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、フタル酸エステル等の芳香族溶剤や、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、オキシアルコール等の高級アルコール類、あるいは酢酸エステル、グリセライド等のエステル類を用いることができる。
【0044】とりわけ、前記フタル酸エステル、オキシアルコール等は好適に使用でき、更に、溶媒を緩やかに揮発させるために、前記溶媒を2種類以上併用することも可能である。
【0045】また、前記溶媒の含有量は、成形性の点からは成形体の保形性を維持するために、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体100重量部に対して0.1重量部以上必要であり、一方、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体と有機性添加物の混合物の粘性を低くすることが望ましいことから35重量部以下がより望ましく、乾燥時と焼成時の収縮を考慮すると1〜15重量部であることが最も望ましい。
【0046】なお、本発明における成形型19は、有機性添加物を硬化させる時に何ら支障無きものであれば良く、材質は特に限碇されないが、例えば金属や樹脂、あるいはゴム等が使用でき、必要ならば離型性向上や摩耗防止のために、表面被覆等の表面処理を行ってもよい。
【0047】また、上記平板11は、セラミックス、ガラス、シリコン等の未焼成のグリーンシート(成形体)あるいは焼結体であり、例えば各種セラミックグリーンシートや各種ガラス基板、磁器基板等を用い、隔壁12と同じ材質又は熱膨張係数が近似した材質を用いる。なお、ガラス基板としては、例えばソーダライムガラスやその歪み点を向上するために無機フィラーを分散させたものなど比較的安価なガラスを使用できる。
【0048】また、前記混合物12’と平板11とを圧着する際の接着性向上のために、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等の各種カップリング剤を使用することができ、なかでも反応性が高いことからシランカップリング剤が好適である。
【0049】さらに、混合物12’と平板11との圧着は、均一に圧力を加えるという点からは静水圧の装置を用いることが望ましく、加圧条件としては、成形型19を変形せない圧力範囲、例えば、シリコンゴム製の成形型19を用いた場合、約100g/cm2 程度の加圧条件で行うのが望ましい。
【0050】また、混合物12’において、セラミックス又はガラス粉体の分散性の向上のために、例えば、ポリエチレングリコールエーテル、アルギルスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキルアンモニウム塩等の界面活性剤を添加してもよく、その含有量としては分散性の向上及び熱分解性の点から、セラミックス又はガラス粉体100重量部に対して0.05〜5重量部が望ましい。
【0051】さらに、混合物12’中のバインダーには硬化反応促進剤又は重合開始剤等と称される硬化触媒を添加することができる。前記硬化触媒としては、有機過酸化物やアゾ化合物を使用することができ、例えば、ケトンパーオキセイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、パーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物や、アゾビス、イソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられるまた、上記圧電素子13は、電極14により電圧を印加すると変形する材質からなり、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、マンガンニオブ酸鉛、チタン酸鉛などの一種以上を主成分とする圧電セラミックスを用いる。
【0052】さらに圧電素子13の両面や隔壁12の両側面、あるいは隔壁の上面と平板の下面にそれぞれ備える駆動用の電極14は、焼成温度に耐えられる導体であれば特に規制されず、例えば金属単体や合金、あるいはセラミックスやガラスと金属や合金との混合物であっても良い。特には、白金、パラジウム、ロジウム、銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム、金、銀、タングステン、モリブデン等のうち少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0053】実施例1図2に示す本発明の微細溝15を有する部材10を試作した。
【0054】隔壁12を成すセラミック粉体として、平均粒径が0.2〜5.0μmのアルミナ(Al2 3 )、ジルコニア(ZrO2 )、窒化珪素(Si3 4 )及び窒化アルミニウム(AlN)を各主成分とし、前記公知の焼結助剤をそれぞれ必要に応じて添加した。これらのセラミック粉体100重量部に対し、表1に示すようなバインダー組成物をそれぞれ添加混合してセラミック成形用組成物を調整して混合物12’とした。なお、表1に示すバインダー組成物の種類は、表2に示した通りである。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】このようにして得られた混合物12’を真空脱泡した後、図5(a)に示すように、シリコン樹脂で作製した成形型19の凹部19aに注入充填した。
【0058】その後、成形型19に充填した混合物12’の表面に、混合物12’と同種のセラミック焼結体からなる平板11を載置し、この平板11を成形型19とともに100g/cm2 の圧力で加圧しながら加熱炉に収容し、100℃の温度で45分間保持して加熱硬化させた。
【0059】硬化完了後、図5(b)に示すように、成形型19から平板11と密着した隔壁12を離型し、この成形体を120℃で5時間乾燥し、次いで窒素雰囲気中、250℃で3時間保持した後、500℃に昇温して12時間保持し、脱バインダー処理を行った。その後、アルミナを主成分とするものは、大気中、1600℃で2時間保持、ジルコニアを主成分とするものは、大気中、1450℃で2時間保持、窒化珪素を主成分とするものは、窒素雰囲気中、1650℃で10時間保持、窒化アルミニウムを主成分とするものは、窒素雰囲気中、1800℃で3時間保持して、焼成一体化し、図2に示す本発明の微細溝15を有する部材10を得た。
【0060】一方、比較例として、ジルコニアを主成分とするセラミックグリーンシートを作製し、金型で凹部を打ち抜いて積層し、焼成一体化することにより、同様な形状の微細溝15を有する部材10を作製した。なお、セラミックグリーンシートの厚みは100μm(表3中のNo.8)、40μm(表3中のNo.9)とした。
【0061】これらの本発明実施例及び比較例について、隔壁12の形状を観察した結果を表3に示す。
【0062】この結果より、比較例のNo.8は、グリーンシートの厚みが隔壁12の幅よりも厚く、隔壁12の強度は大きいものの、金型で打ち抜く際の力で変形が生じていた。また比較例のNo.9では、グリーンシートの厚みが薄いため、金型で打ち抜く際の力は小さいものの、No.8と同様に変形しやすかった。さらに、これらの比較例では積層時の位置ずれにより、隔壁12内に段差が発生していた。また、隔壁12の幅は70μmが限界で、歩留りも悪かった。
【0063】これに対し、本発明のNo.1〜7では、上述のような問題がなく、隔壁12の幅も70μm以下とすることができ、形状の潰れもなく高精度とすることができた。
【0064】
【表3】

【0065】なお、この実施例では、成形型19に混合物12’を充填し、平板11を押しつけて加熱硬化する手法をとったが、成形型19に混合物12’を充填し加熱硬化したのち離型し、焼成した後平板11に接着し一体化しても良い。要するに、隔壁12と平板11との接合は、共に焼成前、一方が焼成前で他方が焼成後、共に焼成後のどの状態でも良い。いずれにせよ、平板11と隔壁12とは、焼成温度、熱膨張係数が近い方が好ましい。
【0066】また、平板11、隔壁12の材質としては、上述したセラミックスに限らず、その他のセラミックスや、各種ガラス、あるいはシリコン等を用いても同様の効果を得られることを確認した。
【0067】実施例2実施例1中のNo.5を選び、作製された微細溝15を有する部材10の平板11の上面に電極14用のペーストを塗布し、PZTからなる圧電素子13を積層し、さらに電極14用のペーストを塗布し、1000〜1300℃で焼成して、インクジェットプリンタヘッド等に用いられるアクチュエータ用部材を得た。これに分極処理を行った後、電圧を印加して駆動させたところ、平板11が変位して良好な駆動状態を得ることができた。さらに、図4(a)に示すように複数の圧電素子13を積層しても同様に結果を得ることができた。
【0068】次に、図4(b)に示すように、微細溝15を有する部材10の平板11の両面に電極14と圧電素子13を積層して、同様に駆動試験を行ったところ、結果はいずれも良好に駆動することを確認した。
【0069】実施例3さらに、図2に示す本発明の微細溝15を有する部材10のうち、隔壁12を圧電性セラックスにより形成するとともに、電極14を設けて図8(a)に示すインクジェットプリンタヘッド用のヘッド基板31等のアクチュエータ用部材を形成した。
【0070】まず、隔壁12を成すセラミック粉体として、平均粒径が0.2〜5.0μmのPZT−Pb(NiNb)O3 系の微粉末を使用し、このセラミック粉体100重量部に対し、溶媒を10重量部、有機性添加物を5重量部それぞれ添加混合してセラミック成形用組成物を調整して混合物12’を得た。そして、この混合物12’を真空脱泡した後、図5(a)に示すように、シリコン樹脂で作製した成形型19の凹部19aに注入充填した。
【0071】その後、成形型19に充填した混合物12’の表面に、3モル%のY2 3 を含有する部分安定化ジルコニアセラミックスからなる平板11を載置し、この平板11を成形型19とともに100g/cm2 の圧力で加圧しながら加熱炉に収容し、100℃の温度で45分間保持して加熱硬化させた。
【0072】硬化完了後、図5(b)に示すように、成形型19から平板11と密着した隔壁12を離型し、この成形体を120℃で5時間乾燥し、次いで大気雰囲気中、250℃で3時間保持した後、500℃に昇温して12時間保持し、脱バインダー処理を行ったあと、1300℃で2時間保持して、焼成一体化し、図2に示す微細溝15を有する部材10を得た。
【0073】しかるのち、作製された微細溝15を有する部材10の平板11の下面に電極14用のペーストを塗布するとともに、隔壁12の上面にも電極14用のペーストを塗布したあと、1000〜1200℃で焼成して、アクチュエータ用部材を得た。
【0074】そして、これに分極処理を行った後、電圧を印加して駆動させたところ、隔壁12が左右に変位し、良好な駆動状態が得られることを確認した。また、このアクチュエータ用部材は隔壁12がPZT系のセラミックス、平板11がジルコニアセラミックスというように異なる材質からなるものの、両者は接合時における相互拡散が生じ難いため、隔壁12を構成するPZT系セラミックスの特性に悪影響を与えることが少ない。しかも、平板11はセラミックスの中でも破壊靱性値の高いジルコニアセラミックスからなるため、組み立て時や取り扱い時に欠けや割れを最小限に留めることができ、優れてた。
【0075】実施例4さらに、図2に示す本発明の微細溝15を有する部材10のうち、隔壁12を圧電性セラックスにより形成するとともに、電極14を設けて図8(b)に示すインクジェットプリンタヘッド用のヘッド基板32等のアクチュエータ用部材を形成した。
【0076】まず、隔壁12を成すセラミック粉体として、平均粒径が0.2〜5.0μmのPZT−Pb(NiNb)O3 −Pb(ZnNb)O3 系の微粉末を使用し、このセラミック粉体100重量部に対し、溶媒を10重量部、有機性添加物を5重量部それぞれ添加混合してセラミック成形用組成物を調整して混合物12’を得た。そして、この混合物12’を真空脱泡した後、図5(a)に示すように、シリコン樹脂で作製した成形型19の凹部19aに注入充填した。
【0077】その後、成形型19に充填した混合物12’の表面に、平板11となる同一組成の混合物からなるセラミックグリーンシートを載置し、このグリーンシートを成形型19とともに100g/cm2 の圧力で加圧しながら加熱炉に収容し、100℃の温度で45分間保持して加熱硬化させた。
【0078】硬化完了後、図5(b)に示すように、成形型19から平板11と密着した隔壁12を離型し、これらの成形体を120℃で5時間乾燥し、次いで大気雰囲気中、250℃で3時間保持した後、500℃に昇温して12時間保持し、脱バインダー処理を行ったあと、1300℃で2時間保持して、焼成一体化し、図2に示す微細溝15を有する部材10を得た。
【0079】しかるのち、作製された微細溝15を有する部材10の隔壁12の両側面に電極14用のペーストを塗布したあと、1000〜1200℃で焼成して、アクチュエータ用部材を得た。
【0080】そして、これに分極処理を行った後、電圧を印加して駆動させたところ、隔壁12が左右に変位し、このアクチュエータ用部材も良好な駆動状態が得られることを確認した。
【0081】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、セラミックス、ガラス、シリコン等からなる平板の一面に、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体を凹部を有する成形型で成形して成る隔壁を接合し、一体化したことによって、簡単な工程で、高密度、高精度の微細溝を有する部材を得ることができる。
【0082】また、本発明によれば、セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成るバインダーとの混合物を、隔壁用の凹部を有する成形型中に充填した後、この混合物をセラミックス、ガラス、シリコン等からなる平板面又はセラミックス、ガラス、シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成るバインダーとの混合物よりなる平板状の成形体に接合し一体化する工程から微細溝を有する部材を製造することによって、上記成形型の形状がそのまま平板上に転写されるため、予め成形型を高密度、高精度に作製しておけば、容易に隔壁を高密度に整列させることができるとともに、高精度に形成することが可能となる。
【0083】従って、本発明によれば、高密度、高精度の微細溝を有する部材を極めて簡単な工程で作製することができ、インクジェットプリンタヘッド等の用途に好適に使用することができる。




 

 


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