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発明の名称 スローアウェイドリル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180520
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平8−349514
出願日 平成8年(1996)12月27日
代理人
発明者 中谷 善泰
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】略円筒状をなす工具本体の先端部の内径側と外径側にそれぞれドリルインサートを脱着自在に装着してなるスローアウェイドリルにおいて、工具本体の母材をロックウエル硬度45〜50とし、該母材に表面から5〜15μm の深さでビッカーズ硬度800〜900の硬質層を形成したことを特徴とするスローアウェイドリル。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材などの穴加工に用いられる転作工具としてのスローアウェイドリルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、上記スローアウェイドリルとして超硬材料からなる工具本体に所謂焼き入れ、焼き戻し処理を施し、硬度を向上せしめたものが用いられている。
【0003】しかしながら、このようなスローアウェイドリルを用いても、ねばい材料や加工硬化し易い材料を加工する場合、工具本体と加工穴との間に切削熱によって硬化した切屑が入り込み工具本体の主に外周部に傷が付いたりするので、工具本体の寿命が短かった。
【0004】また、加工穴深さが深くなるにつれて切屑が穴内部より排出されにくくなり、工具本体と穴壁面との間に入り込んだ切屑により工具本体の外周部に傷が付いたりするので、工具本体の寿命が短かった。
【0005】そこで、実開昭58−117308号では、工具本体の表面に硬質層を設けることが提案され、その具体的な例として、100〜300μm のWC系超硬粒をニッケル系のバインダーメタルによって0.2〜0.5mm溶着させることによって硬質層を設けることが記載されている。
【0006】
【従来技術の課題】ところが、このようなバインダーメタルの溶着では硬質層の厚みが極端に大きく加工精度が極端に低下するとともに、ワークとのクリアランスが減少することによりかえって摩耗しやすくなるという重大な欠点があり、実用的ではなかった。
【0007】
【発明の目的】このような従来技術の課題に鑑み、本発明は、工具本体の靱性を損なうことなく耐摩耗性を向上せしめた、実用的で工具寿命の長いスローアウェイドリルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記従来技術の課題を解決するため、本発明は、略円筒状をなす工具本体の先端部の内径側と外径側にそれぞれドリルインサートを脱着自在に装着してなるスローアウェイドリルにおいて、工具本体の母材をロックウエル硬度45〜50とし、該母材に表面から5〜15μm の深さでビッカーズ硬度800〜900の硬質層を形成した。
【0009】
【作用】このように構成される本発明のスローアウェイドリルは、工具本体の母材のロックウエル硬度を45〜50とし、硬質層を該母材の表面から深さ5〜15μmと非常に薄く且つビッカーズ硬度800〜900としたので工具本体の靱性や加工精度を損なうことなく耐摩耗性が格段に向上する。
【0010】上記硬質層の厚みを5〜15μm としたのは、5μm 未満では硬質層10の厚みが小さすぎ、耐摩耗性の効果が十分あらわれないためであり、他方、15μm超過の場合には、クリアランスがその分小さくなり摩耗しやすくなってしまうためであり、次に、硬質層のビッカーズ硬度を800〜900としたのは、800未満では耐摩耗性の効果が小さく、他方、900超過させるには硬質層の膜厚を大きくしなければならず、クリアランスがその分小さくなり摩耗しやすくなってしまうためである。なお、母材強度としてロックウエル硬度を45〜50の範囲としたのは、ロックウエル硬度が45未満の場合、工具本体がしなりすぎ加工精度が低くなる恐れがあり、他方、50超過の場合には、靱性が低下してしまう恐れがあるためである。
【0011】なお、上記硬質層を設ける方法として、焼きもどしした工具本体をチャンバー内に設置し、該チャンバー内にアンモニア、二酸化炭素、液体Nを気化させたN2の混合気体を充満させながら母材の劣化がほとんど起こらない600°程度の温度で2時間ほど熱処理を行うことを特徴とする軟窒化処理を用いることができ、この方法によれば、工具本体の加工寿命が格段に向上する。ただし、本発明はこの方法によって硬質層を設けたものに限定されたものでなく、その他任意の方法で硬質層を設けたものを除外するものでないことは言うまでもない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図を用いて説明する。図1は、本実施形態のスローアウェイドリルに搭載するドリルインサート1を示し、このドリルインサート1は多角形をなし、上面2の稜辺部に切刃が形成され、これら切刃のうちインサートの中心軸に対して点対称関係にある2辺が主切刃3としてへの字条に形成され、また残る二辺のそれぞれ一方端、すなわち多角形の隅角部の位置には、一対のコーナーR部4,5が形成され外方に若干突き出た突出部6が形成されている。
【0013】図3に示すように上記突出部6の幅wは突出部6が形成された辺の長さlの約1/2程度であり、一対のコーナーR部のうち主切刃3に連続する多角形の隅角部のコーナーR部4は曲率半径がR=0.35〜0.45、他方反対側のコーナーR部5の曲率半径はR=0.2〜0.3程度であり、主切刃に連続するコーナーR部をより大きくしてある。
【0014】ここでコーナーR部4,5とは曲線部分に連続する直線がなす角が直角に近く、60°〜105°の範囲のものを言う。
【0015】図2は、上記ドリルインサート1を装着する本実施形態のスローアウェイドリルDを示し、このドリルDは、略円筒状の工具本体Tの先端側に、主に外径側を切削する外刃インサート7としてのドリルインサート1を装着するポケットt1、そして穴底を切削する内刃インサート8としてのドリルインサートを装着するポケットt2が形成されている。
【0016】次に、図3および図4は、上記ドリルインサート1を工具本体Tに装着した時の配置例を示す。図3は工具本体の側面T2側から見た透視配置図、そして図4は工具本体Tの底面側から見た配置図である。なお、図3中、点線で示す外刃インサート7は、外刃インサート7の軌跡と内刃インサート8の軌跡の関係を示すためのもので、実線で表す外刃インサート7が180°回転した位置で示している。
【0017】これらの図に示すように、ドリルインサート1は外刃インサート7と内刃インサート8として2個が一本の工具本体Tに装着され、両者は同一回転方向に上面2を向けて装着される。すなわち、図4のように外刃インサート7の上面2と内刃インサート8の上面2は180°反対方向に向いた状態となっている。そして、底切刃9の回転軌跡が交わり且つ工具本体Tの中心軸Tの中心軸T1から側面T2までをカバーするように配置される。
【0018】また、上記工具本体Tは、ロックウエル硬度45〜50の超硬金属材料からなり、さらに先端から加工径の3倍以上の長さ分上までの範囲で、母材表面から5〜15μm の深さのビッカーズ硬度800〜900の硬質層10を形成している。
【0019】上記硬質層10の形成方法としては、焼きもどしした工具本体Tを不図示のチャンバー内に設置し、該チャンバー内にアンモニア、二酸化炭素、液体N2を気化させたN2の混合気体を充満させながら母材の劣化がほとんど起こらない600°程度の温度で2時間ほど熱処理を行う。この方法では、アンモニア中の水素と二酸化炭素中の酸素が結合して水蒸気となるので、N2の含浸を阻害する水素が発生しない。したがって、N2の含浸を極めて短時間で行うことができる。また、二酸化炭素の炭素が微量、表面に含浸して固溶する。なお、液体N2を気化させたN2は不活性ガスとしてチャンバー内の圧力を制御する作用を有する。以上のような軟窒化処理により、ロックウエル硬度45〜50の母材の表面から5〜15μm の深さにN2が含浸し、ビッカーズ硬度800〜900の硬質層10を形成することができる。なお、硬質層10の形成方法としては、このような気体中の軟窒化処理のみに限らず、高温の青酸カリ液中に金属材を浸浴する方法を用いても良い。
【0020】また、上記外刃インサート7としては、主切刃3を側面T2側で且つ上記突出部6のうち一方が底端外側にくるように装着し、他方内刃インサート8としては、主切刃3を下側に向けて装着する。
【0021】このように構成されるスローアウェイドリルDは、まず工具本体Tをロックウエル硬度45〜50の母材の表面から5〜15μm の深さにN2が含浸し、ビッカーズ硬度800〜900の硬質層10を形成した構成としたので、工具本体の靱性を損なうことなく耐摩耗性が格段に向上する。上記硬質層10の厚みを5〜15μm としたのは、5μm 未満では硬質層10の厚みが小さすぎ、耐摩耗性の効果が十分あらわれないためであり、他方、15μm 超過の場合には、例えば、前記軟窒化処理の場合、表面が幾分か盛り上がることによりクリアランスがその分小さくなり摩耗しやすくなってしまうためであり。次に、硬質層10のビッカーズ硬度を800〜900としたのは、800未満では耐摩耗性の効果が小さく、他方、900超過させるには硬質層10の膜厚を大きくしなければならず、被削材とのクリアランスがその分小さくなり摩耗しやすくなってしまうためである。
【0022】なお、母材強度としてはロックウエル硬度45〜50の範囲が好適である。すなわち、ロックウエル硬度が45未満の場合、工具本体Tがしなりすぎ加工精度が低くなる恐れがあり、他方、50超過の場合には、靱性が低下してしまう恐れがあるためである。
【0023】また上記スローアウェイドリルDによれば、前記ドリルインサート1が多角形の隅角部に一対のコーナーR部を形成していあるので、これらコーナーR部4,5を有する突出部6を外刃インサート7の穴底側に配設したことにより、図4に示すように、外刃インサート7のラジアル荷重の方向が回転方向側(−方向)に向き、これにより直線矢印で示す合成力方向Nは中心軸T1から外刃インサート7側に向かう。すなわち、ドリルインサート1につき、切削加工中に外刃インサート7にかかるラジアル荷重力と内刃インサート8にかかるラジアル荷重力の和としての合成力方向Nは、中心軸T1から外刃インサート7の上面2を基準として回転反対方向側(+の方向)に発生する。その結果、外刃インサート7と穴壁とが接触することなくドリル工具をワークから抜くことができ、ワークとスローアウェイドリルDとの接触による摩耗をなくし、もって工具寿命を長期化することができる。
【0024】実施例1前記軟窒化工程により硬質膜10を形成したSACM材からなる上記実施形態のスローアウェイドリルDを用い(工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48/硬質膜10のビッカーズ硬度=870/深さ約10μm )、以下の条件で耐久切削試験を行った。
【0025】被削材:SCM440(ボロン配合)製 ナックル部品加工 :肩部に垂直方向の貫通穴を穿設する。
【0026】切削速度:90m/min.
送り:0.1mm/rev.
湿式この結果、本実施例のスローアウェイドリルDは1本につき約600穴の加工が可能であった。
【0027】比較例として、硬質層10を設けていないスローアウェイドリルを用い(工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48)、同様の耐久切削試験を行ったところ比較例のスローアウェイドリルDは約60穴の加工で破損した。
【0028】このように本実施例品は比較例品より10倍もの長期の耐久性を示した。
【0029】実験例1前記軟窒化工程においてN2含有雰囲気中での熱処理時間を変えて、夫々、以下のように硬質膜10を形成した上記実施形態のスローアウェイドリルD(母材=SACM材)を用い、実施例1の条件で耐久切削試験を行った。
【0030】・サンプルA(工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48/硬質膜10のビッカーズ硬度=800/深さ約3μm )
・サンプルB(工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48/硬質膜10のビッカーズ硬度=815/深さ約5μm )
・サンプルC(工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48/硬質膜10のビッカーズ硬度=850/深さ約10μm )
・サンプルD(工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48/硬質膜10のビッカーズ硬度=890/深さ約15μm )
・サンプルE(工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48/硬質膜10のビッカーズ硬度=913/深さ約17μm )
試験の結果、サンプルA〜Eのドリル1本につきの加工可能数は、A=60、B=321、C=636、D=353、E=68であった。
【0031】この結果から硬質膜10の厚さとしては5〜15μm 、硬質膜10のビッカーズ硬度としては800〜900が望ましいことが判った。
【0032】実験例2前記軟窒化処理を施していない比較例のスローアウェイドリルDを、570℃の温度の青酸カリ溶液中に30分〜2時間程度、浸浴させN2を含浸した硬質層を形成した。硬質層の厚みは、表面から夫々10μm (工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48/硬質膜10のビッカーズ硬度=840)、20μm (工具本体Tの母材強度:ロックウェル硬度=48/硬質膜10のビッカーズ硬度=910)とした。これらのスローアウェイドリルDを用い、実施例1の条件で耐久切削試験を行った。
【0033】この結果、ドリル1本につきの加工可能数は夫々、590本と70本であった。
【0034】
【発明の効果】叙上のように本発明によれば、工具本体の母材をロックウエル硬度45〜50とし、該母材に表面から5〜15μm の深さでビッカーズ硬度800〜900の硬質層を形成したことにより、工具本体の靱性を損なうことなく耐摩耗性が格段に向上した、工具寿命の極めて長いスローアウェイドリルを提供するものである。




 

 


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