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発明の名称 窒素酸化物除去用酸化物触媒材料及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180103
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平8−348258
出願日 平成8年(1996)12月26日
代理人
発明者 松之迫 等 / 由宇 喜裕 / 松本 秀美
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】ニッケル(Ni)とガリウム(Ga)を主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)の一種以上を担持した酸化セリウム(CeO2 )を5〜75重量%添加した触媒材料であって、前記酸化セリウム(CeO2 )の結晶粒子の大きさが200〜450Åであることを特徴とする窒素酸化物除去用酸化物触媒材料。
【請求項2】ニッケル(Ni)とガリウム(Ga)を主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)の一種以上を酸化セリウム(CeO2 )に担持した後、前記酸化セリウム(CeO2 )を大気中、700〜1000℃の温度で1〜10時間熱処理した後、該酸化セリウム(CeO2 )を前記スピネル型結晶性複合酸化物に対して5〜75重量%添加することを特徴とする窒素酸化物除去用酸化物触媒材料の製造方法。
【請求項3】前記酸化セリウム(CeO2 )の熱処理温度が、700〜900℃であることを特徴とする請求項2記載の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料の製造方法。
【請求項4】前記酸化セリウム(CeO2 )の熱処理温度が、700〜800℃であることを特徴とする請求項2記載の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、定置式の工場のボイラー等の各種工業炉や、発電所の内燃機関、及び移動式の自動車用内燃機関等の各種排気ガス中に含まれる窒素酸化物を還元除去することができる新規な酸化物触媒材料及びその製造方法に関するもので、とりわけディーゼルエンジン等の自動車排気ガス浄化用として好適な窒素酸化物除去用酸化物触媒材料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、定置式の各種工業炉や内燃機関及び移動式の自動車に代表される内燃機関等から排出される排気ガス中に含有される各種汚染物質による大気汚染が大きな社会問題となっており、なかでも大気汚染の移動発生源となっている自動車の排気ガス中に含まれるNOx 、COx 等の有害物質を分解、除去する方法の開発が急務となっている。
【0003】前記自動車の排気ガス中のNOx 、COx 等の有害物質を分解、除去する方法としては、かねてより主に一酸化炭素(CO)及び炭化水素(Cx y )の酸化と、窒素酸化物(NOx )の還元を同時に行う三元触媒が汎用されてきた。
【0004】そのような方法に用いられる三元触媒としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)等の貴金属を、γ−アルミナ(Al2 3 )で被覆したコージェライト等の耐火性担体に担持したものが用いられていた。
【0005】しかしながら、前記三元触媒は、およそ0.5%程度の低酸素濃度においては排気ガスの浄化を効率良く行うことができるものの、排気ガス中の酸素濃度が1%を越えるような高濃度雰囲気中では有効に働かないという欠点があった。
【0006】一方、前記欠点を回避するため、排気ガス中の酸素濃度を測定し、常にCO及びCx y 、NOx を高い浄化率で処理し得る理論当量値に近い範囲の空燃比となるように制御することも行われているが、前記CO及びCx y とNOx の発生メカニズムが相反する特性を有することから、限られた状態での燃焼を維持しなければならず、前記のような高い酸素濃度中での排気ガス浄化はほとんどできていないのが現状である。
【0007】そこで、かかる問題を解消するためにGaと、ゼオライトを除く耐火性酸化物を含有した排気ガス浄化用触媒及びそれを用いた排気ガスの浄化方法が提案されている(特開平7−178338号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述のような触媒が実際に使用される雰囲気は、例えば、自動車排気ガス浄化用の触媒材料の取り付け部分は、時には800℃以上の高温の排気ガスに曝され、熱的に非常に過酷な条件となり、前記触媒では800℃以上の高温の排気ガス環境下に曝された後には浄化性能が著しく劣化し、そのままでは効果的なNOx 浄化が困難であるという課題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、工場や発電所、各種内燃機関等から排出される排気ガス、特にディーゼルエンジンをはじめとする各種自動車用エンジン等の水分を含む酸素濃度の高い排気ガス中のNOx 還元分解技術において、触媒部分が800℃以上の高温の排気ガスに曝された後でも、300℃近辺の低温度域で高いNOx 還元分解作用を示し、有効に排気ガス中のNOx を浄化することができる触媒材料及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題に鑑み成されたもので、遷移金属を担持したCeO2 を熱処理してその結晶子径を一定範囲に制御することにより、それをNi及びGaを主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に添加した触媒材料が、800℃の高温に曝された後に、高酸素濃度雰囲気下で高い触媒活性を長期にわたり有し、しかも300℃という低温度で高いNOx 還元分解作用を示して有効に排気ガス中のNOx を浄化することができることを見いだした。
【0011】即ち、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料は、Ni及びGaを主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に対して、Co、Ni、Fe、Cuの遷移金属から選ばれる少なくとも1種を担持した結晶粒子の大きさが200〜450ÅのCeO2 を5〜75重量%添加したことを特徴とするものである。
【0012】また、その製造方法は、Co、Ni、Fe、Cuの遷移金属から選ばれる少なくとも1種をCeO2 に担持した後、大気中、700〜1000℃の温度で1〜10時間熱処理し、次いでNi及びGaを主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に5〜75重量%の割合で前記熱処理後のCeO2 を添加することを特徴とするもので、前記CeO2 の熱処理温度が700〜900℃であることがより望ましく、更にその熱処理温度が700〜800℃であれば最適である。
【0013】
【作用】本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料及びその製造方法によれば、本発明の酸化物触媒材料は、Co、Ni、Fe、Cu等の遷移金属から選ばれる少なくとも1種を担持したCeO2 を、Ni及びGaを金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に対して5〜75重量%添加したもので、前記CeO2 の結晶子径が200〜450Åであり、かかる酸化物触媒材料は前記遷移金属を担持したCeO2 を、空気中で700〜1000℃、1〜10時間熱処理して前記複合酸化物に添加して製造することから、吸着酸素量が増大してNOのNO2 への酸化を促進し、NOよりNO2 に対する還元活性の方が高いNi−Ga系酸化物触媒により、Ni−Ga触媒単独の場合よりも低温度域でNOx 還元分解活性が向上するようになり、更に、前記CeO2 粒子の極表面の格子酸素の反応性が抑制され、高温で排気ガスに曝された時に炭化水素に対する耐還元性が増大する結果、高温暴露後も暴露前と同様に、低温度域で高い触媒活性を示す。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料及びその製造方法について詳述する。
【0015】本発明において、前記スピネル型結晶性複合酸化物は、主たる金属元素としてNiとGaを含有し、Ga/Niの原子比nが、2.5〜3.3の比率からなるスピネル型複合酸化物であり、NiGan 4+z (但し、n=2.5〜3.5)の一般式で表されるものであり、前記式中の(O4+z )は複合酸化物として安定に存在するために必要な酸素量であり、該酸素量は前記nの値により0.2以下の範囲で随時変化するものである。
【0016】また、本発明で用いられる複合酸化物は、Ga/Niの原子比nの値が2.5〜3.3の範囲を逸脱すると触媒活性が低下する傾向があるため、前記範囲に特定され、とりわけNO除去率の最大値を考慮すると2.8〜3.0が最も望ましい。
【0017】次に、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料としてCo、Ni、Fe、Cu等の遷移金属から選ばれる少なくとも1種を担持したCeO2 の添加量が5重量%未満の場合には、300℃近辺での触媒活性の向上効果が望めず、逆に、75重量%を越えると触媒活性が低いことから、その添加量は5〜75重量%に特定され、特に前記活性温度域の点では10〜50%重量%が好ましく、更にNO除去率の最大値の点からは10〜40重量%が最も望ましい。
【0018】尚、前記遷移金属の担持量としては、担持する遷移金属がCo、Ni、Cuの場合には0.1重量%未満、Feでは1重量%未満の場合には、添加効果が発現せず、逆に、Co、Ni、Feが20重量%を越える、あるいはCuが5重量%を越える場合には、低温度域での触媒活性がそれほど大きくないことから、Co、Ni、Fe、Cuから選ばれる少なくとも1種を、望ましくはCo又はNiでは0.1〜20重量%、Feでは1〜20重量%、Cuでは0.1〜5重量%となる。
【0019】特に、前記活性温度域が広いという観点からは遷移金属としてCo又はNiの場合には0.5〜10重量%、Feでは1〜10重量%、Cuでは0.1〜3重量%担持したCeO2 を、スピネル型複合酸化物に10〜50重量%添加した酸化物触媒材料であることがより好ましい。
【0020】更に、NO除去率の最大値が高いという点からは、Coについては0.5〜5重量%、Niでは1〜10重量%、Feでは2〜10重量%、Cuの場合には0.1〜1重量%担持したCeO2 を、スピネル型複合酸化物に10〜40重量%添加した酸化物触媒材料が最も好ましい。
【0021】一方、前記CeO2 の結晶粒子の大きさは、X線回折測定(XRD)で得られたCeO2 の回折曲線の半価幅から、下記Scherrerの式によりt=0.9λ/Bcosθ(但し、tは結晶粒子の直径、Bは半価幅、θはBragg角)
結晶粒の大きさを求めた。
【0022】その結果、前述のようにして決定したCeO2 の結晶粒子の大きさが200Å未満の場合には、格子酸素の反応性が抑制されないため、800℃以上の高温に曝されると表面が変質してしまい、450Åを越えると比表面積の低下により、いずれもCeO2 の添加効果が望めないことから、その大きさは200〜450Åの範囲に特定される。
【0023】次に、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料の製造方法で、前記遷移金属から選ばれる少なくとも1種を担持した後のCeO2 を大気中で熱処理する温度として、700℃未満の場合にはCeO2 粒子表面の格子酸素の反応性抑制効果が望めず、逆に1000℃を越えるとCeO2 の添加効果が低下することから、CeO2 の熱処理温度は700〜1000℃に特定され、特に前述の高温耐久性の点では700〜900℃が好ましく、更に高温耐久後のNO除去率の最大値からは700〜800℃が最も望ましい。
【0024】また、その熱処理時間が1時間未満ではCeO2 粒子表面の反応性抑制効果が望めず、10時間を越えるとCeO2 の添加効果が低下することから、1〜10時間の範囲に限定される。
【0025】尚、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料を窒素酸化物を含む排気ガスに接触させて分解除去する際に、該排気ガス中に還元剤としてC2 4 、C3 6、C3 8 等の炭化水素、CH3 OH、C2 5 OH等のアルコール、CO等の還元性を有する炭素含有ガス等を混在させて、前記複合酸化物とCeO2 を添加して成る触媒材料を接触させると、NOx 還元性能は更に高くなる。
【0026】
【実施例】次に、本発明を評価するに際し、出発原料としてNi(NO3 2 ・6H2 O、及びGa(NO3 2 ・9H2 Oの試薬を用い、NiとGaの金属比が1対3になるように秤量し、これらの試薬を蒸留水中に溶解させ、撹拌しながらアンモニア水で中和し、この時、生成した沈殿物を濾過、洗浄し、凍結乾燥させた。かくして得られた乾燥粉末を大気中700℃の温度で30時間、熱処理して比表面積が40〜50m2 /gのスピネル型結晶性複合酸化物粉末を得た。
【0027】次に、比表面積が70m2 /gのCeO2 に表1及び表2に示す担持元素組成を含有した水溶液を添加して蒸発乾固した後、大気中、表1及び表2に示す条件で熱処理して前記各遷移金属を担持したCeO2 を得た。
【0028】その後、前記スピネル型結晶性複合酸化物粉末に対して前記各遷移金属を担持したCeO2 粉末を表1及び表2に示す割合で添加混合した後、該混合粉末を金型プレスにより成形し、更に冷間静水圧成形法により圧縮してから該成形物を解砕して篩別し、500μmを越え、700μm以下に整粒して評価用試料を調製した。
【0029】尚、前記遷移金属を全く担持しないCeO2 添加スピネル型複合酸化物触媒および、前記遷移金属を担持後熱処理を施さないCeO2 添加スピネル型複合酸化物触媒、またスピネル型複合酸化物触媒のみを比較例とした。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】かくして得られた評価用試料の各粉末を用いてX線回折測定(XRD)により結晶相を同定し、CeO2 を添加しない比較例を除きいずれも該結晶相がスピネル結晶とCeO2 結晶相から成ることを確認した。
【0033】次いで、模擬排気ガスとしてNOが1000ppm、O2 が10%、C3 6が666ppm、H2 Oが10%残部がHeから成る反応ガスを、該反応ガスと触媒材料が接触する条件として、空間速度(SV)を100000/hr.に設定し、前記評価用試料を充填した触媒層に流し、350℃の温度で触媒層を通過して生成したN2 ガスをガスクロマトグラフで測定した。
【0034】更に、前記模擬排気ガスに800℃の温度で、連続して30時間曝した後、同様に、350℃の温度で触媒層を通過して生成したN2 ガスをガスクロマトグラフで測定した。
【0035】触媒のNO還元分解能は、触媒層出口側のN2 濃度(ppm)の2倍の値を、触媒層入口側のNO濃度(ppm)で除した百分率をNO除去率(%)とし、800℃の高温暴露前後のNO除去率を求めた。
【0036】その結果から、前記測定温度範囲内で400℃以下の低温度域で広範囲にNO還元活性を示すものの内、高温暴露後のNO除去率が40%以上を示すものを優、20%以上、40%未満のものを良、20%未満のものを不良評価した。
【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】表3及び表4から明らかなように、比較例である試料番号1、11、12、32、51、67のNO除去率は前記模擬排気ガス中に800℃の高温暴露後で著しく低下しており、また本発明の請求範囲外である試料番号2、10、13、18、19、22、26、31、33、36、37、41、45、50、56、58、59、61、62、66、72、75、76、78、82、83は、前記高温暴露前にNO除去率が既に20%未満であったり、高温暴露後のNO還元活性が低下し、実用的でないことが分かる。
【0040】それに対して、本発明では、前記高温暴露にかかわらずいずれも350℃という低温で十分なNO還元活性を示していることが明らかとなっている。
【0041】また、本発明の前記評価用試料は、いずれもSV値が300000/hr.まで、酸素濃度は15%まで前記諸特性の著しい低下は認められなかった。
【0042】更に、前記評価用試料を4気筒のディーゼルエンジン台上試験装置の排気管に取り付け、該ディーゼルエンジンを最高回転数、全負荷の条件で100時間運転する耐久試験を実施し、試験後の評価用試料について前記同様にしてNO還元活性を評価したが、NO除去率はほとんど低下していないことが確認でき、耐水性、耐熱性に優れていることも証明された。
【0043】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料及びその製造方法によれば、該酸化物触媒材料は、Co、Ni、Fe、Cu等の遷移金属から選ばれる少なくとも1種を担持したCeO2 を、大気中、700〜1000℃の温度で1〜10時間熱処理した後、Ni及びGaを金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に対して5〜75重量%添加したことから、800℃以上の高温の排気ガスに曝された後に、水蒸気が存在する雰囲気中、排気ガス中の酸素濃度が3%以上の高酸素濃度雰囲気下であっても、その上、ガスの流速が高速度であっても、優れたNOx 還元性能を有し、排気ガス中に含まれるNOx を有効に還元除去することができる。
【0044】その結果、省エネルギー、省資源及び地球温暖化防止を目標として開発される今後のディーゼルエンジンやリーンバーンエンジン等の各種内燃機関の排気ガスをはじめ、NOx を含有する各種有害物質の浄化に極めて有用なものとなる。




 

 


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