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発明の名称 窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−128119
公開日 平成10年(1998)5月19日
出願番号 特願平8−290393
出願日 平成8年(1996)10月31日
代理人
発明者 松之迫 等 / 由宇 喜裕 / 松本 秀美
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】ニッケル(Ni)とガリウム(Ga)を主たる金属元素として含有するスピネル型構造の複合酸化物で、Ni1-X Ga2 4 (但し、0<X<0.6)
で表されるNi欠損型固溶体から成ることを特徴とする窒素酸化物除去用酸化物触媒材料。
【請求項2】高濃度の酸素と、還元性を有する炭素含有ガスが存在する酸化雰囲気中で、ニッケル(Ni)とガリウム(Ga)を主たる金属元素として含有するスピネル型構造の複合酸化物で、Ni1-X Ga2 4 (但し、0<X<0.6)
で表されるNi欠損型固溶体から成る窒素酸化物除去用酸化物触媒材料を、窒素酸化物を含む排気ガスと接触させることを特徴とする窒素酸化物除去方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒素酸化物を還元除去することができる新規な酸化物触媒材料並びにこれを用いて排気ガス中の窒素酸化物を除去する方法に関するもので、とりわけ排気ガス中に過剰の酸素が存在するリーンバーンエンジンやディーゼルエンジン等の自動車排気ガス浄化用として好適な窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに該酸化物触媒材料を用いて過剰酸素共存下の排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各種汚染物質による大気の汚れが大きな社会問題となり、その中でも大気汚染の移動発生源となっている自動車の排気ガスに含まれるNOx 、COx 等の有害物質を分解、除去する方法の開発が急務となっている。
【0003】従来より、自動車の排気ガス中のNOx 、COx 等の有害物質を分解、除去する方法としては、排気ガス中に残存する未燃の一酸化炭素及び炭化水素の酸化と、窒素酸化物の還元を同時に行う三元触媒が汎用されてきた。
【0004】そのような方法に用いられる三元触媒としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)等の貴金属をγ−アルミナ(Al2 3 )で被覆したコージェライト等の耐火性担体に担持したものが用いられていた。
【0005】しかしながら、前記三元触媒は、およそ0.5%程度の低酸素濃度においては前記排気ガスの浄化を効率良く行うことができるものの、該排気ガス中の酸素濃度が1%を越えるような高濃度雰囲気中では有効に働かなくなるという欠点があった。
【0006】一方、前記欠点を回避するために、排気ガス中の酸素濃度を測定し、常にCO及びCx y 、NOx を高い還元率で処理し得る理論等量値に近い範囲の空燃比となるように制御することも行われているが、前記CO及びCx y とNOx の発生メカニズムが相反する特性を有することから、限られた状態での燃焼を維持しなければならず、前記のような高い酸素濃度中での排気ガス浄化はほとんどできていないのが現状である。
【0007】そこで、係る高濃度の酸素共存下でも窒素酸化物を効率良く除去できる触媒として、金属を担持した疎水性ゼオライト等の銅イオン交換ゼオライト、あるいはメタルシリケート、アルミナ触媒等が提案されている(特開平4−349938号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記提案の銅イオン交換ゼオライトやメタルシリケート、あるいはアルミナ触媒等は、いずれも耐熱性に劣るため、長時間運転での構造破壊による性能低下、あるいは耐SV(空間速度)性が悪く、SV値が200000/hr.以上の高速を示す実際のエンジン排気ガスの条件下では、窒素酸化物の還元能が著しく低下するという課題があり、そのままでは効果的な窒素酸化物の浄化が難しいという課題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、ディーゼルエンジンをはじめとする各種自動車用エンジン等の水分を含む酸素濃度の高い排気ガスを、該排気ガスの流速がSV値で200000/hr.以上の高速であっても、高い窒素酸化物の還元作用を示し、有効に排気ガス中の窒素酸化物を還元することができる有用な触媒材料並びにそれを用いた窒素酸化物除去方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題に鑑みなされたもので、Ni及びGaを主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物で、Ni1-X Ga2 4 (但し、0<X<0.6)で表されるNi欠損型固溶体が、高酸素濃度雰囲気下でも高い触媒活性を長期にわたり有し、有効に排気ガス中の窒素酸化物を還元することができることを見出したものである。
【0011】即ち、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料は、Ni及びGaを主たる金属元素として含有する結晶相がスピネル型構造を有する複合酸化物で、前記一般式のX値をNi/Ga原子比nで表記した場合、該Ni/Ga原子比nがスピネル化学量論値の0.50に対し、Ni欠損により前記n値が0.50未満、0.20を越える範囲内に低下したNi欠損型の固溶体であることを特徴とするものである。
【0012】更に、本発明の窒素酸化物除去方法は、高濃度の酸素と還元性を有する炭素含有ガスが存在する酸化雰囲気中で、Ni及びGaを主たる金属元素として含有する結晶相がスピネル型構造を有する複合酸化物で、Ni/Ga原子比nがスピネル化学量論値の0.50に対し、Ni欠損により前記n値が0.50未満、0.20を越える範囲内に低下したNi欠損型の固溶体と窒素酸化物を含む排気ガスを接触させることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法によれば、本発明の酸化物触媒材料はNi及びGaを金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物で、Ni欠損型固溶体(Ni/Ga原子比nが0.20<n<0.50)であることにより、主たる結晶相が定比のスピネル型(AB2 4 )構造のNiGa2 4 のAサイトからNiの欠損を許容し、これにより金属元素の周囲に生じる電子状態の差により、窒素酸化物の還元作用で高い特性を示すように作用するものと考えられる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法について詳述する。
【0015】本発明の複合酸化物は、主たる金属元素としてNi及びGaを含有し、Ni/Ga原子比nが0.20<n<0.50の比率から成るNi欠損型のスピネル型複合酸化物であり、Ni1-X Ga2 4 (但し、0<X<0.6)の一般式で表されるものである。
【0016】また、本発明で用いられる複合酸化物は、前記一般式のX値をNi/Ga原子比nで表記した場合、Ni/Ga原子比nの値が0.20<n<0.50の範囲を逸脱すると触媒活性が低下するため、前記範囲に特定され、とりわけ窒素酸化物の還元能を考慮するとn=0.25〜0.40が最も望ましいものである。
【0017】次に、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料の製造方法について一例を詳述する。
【0018】本発明の複合酸化物は、Ni及びGaを主たる金属元素として含有する原料粉末を、Ni/Gaの原子比nが0.20<n<0.50となるように秤量し、十分に撹袢混合した後、酸化雰囲気中、700〜1200℃の温度で5〜30時間熱処理した後、更に、その降温過程において600〜650℃の温度で10時間保持することにより、主たる金属元素としてNi及びGaを含有するスピネル型構造の複合酸化物で、Ni欠損型の固溶体を主結晶相とする複合酸化物粉末が得られる。
【0019】前記原料粉末としては、例えば、Ni及びGaの酸化物や、熱処理により酸化物を生成するそれらの炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を用いることができる。
【0020】また前記複合酸化物は、前記以外に酸化物や他の金属塩による固相反応法や、金属アルコキシド等のゾル−ゲル法等によっても合成できるものであり、何等これら製造方法に限定されるものではない。
【0021】前記製造方法において、いずれも熱処理は、その熱処理温度が700℃より低いと結晶化が不十分となり、逆に1200℃を越えると緻密化してしまうため、酸化雰囲気中、700〜1200℃の温度で5〜30時間行うが、特に低い温度で熱処理することが粉末の比表面積を高める上で有効であり、実用的には、比表面積が35m2 /g以上となるように設定することが望ましい。
【0022】尚、前記Ni欠損型のスピネル型結晶を主結晶相とする複合酸化物を得る製造方法では、特に、前記熱処理中、降温過程で600〜650℃の温度で10時間程度、保持することが肝要である。
【0023】また、本発明のスピネル型複合酸化物は、窒素酸化物を含有する排気ガスと接触させることにより、排気ガス中に含有される酸素濃度が3%以上の高濃度であっても、その上、水蒸気が存在する雰囲気下であっても、広い温度範囲で優れた窒素酸化物の還元性能を有するものである。
【0024】更に、前記排気ガス雰囲気中に、還元剤としてC2 4 、C3 6 、C3 8等の炭化水素、CH3 OH、C2 5 OH等のアルコール、CO等の還元性を有する炭素含有ガス等を混在させて、前記複合酸化物から成る触媒材料と接触させると、窒素酸化物の還元性能は更に高くなる。
【0025】
【実施例】次に、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法について、以下に詳述するようにして評価した。
【0026】先ず、出発原料としてNi(NO3 2 ・6H2 O、及びGa(NO3 2 ・9H2 Oの試薬を用い、前記一般式Ni1-X Ga2 4 (但し、0<X<0.6)で表した時のXの値を表1に示すように設定し、具体的にはNi/Gaのモル比を種々設定して秤量し、これらの試薬を蒸留水中に溶解させ、撹拌しながらアンモニア水で中和し、この時、生成した沈殿物を濾過、洗浄し、凍結乾燥させた。
【0027】かくして得られた乾燥粉末を大気中、700〜1200℃の範囲内の温度で30時間熱処理した後、その降温過程で650℃又は600℃の温度で10時間保持して比表面積が40〜50m2 /gのNi欠損型スピネル型結晶性複合酸化物粉末を得た。
【0028】次いで、前記スピネル型複合酸化物粉末を金型プレスにより成形し、更に冷間静水圧成形法により圧縮してから該成形物を解砕して篩別し、500μmを越え、700μm以下に整粒して評価用試料を調製した。
【0029】尚、前記降温過程で所定温度、時間の保持処理を施さないで作製した複合酸化物を比較例とした。
【0030】かくして得られた評価用試料の粉末を用いてX線回折測定(XRD)により結晶相を同定し、該結晶相がスピネル結晶から成ることを確認した。
【0031】また、前記評価用試料の真密度と表面積をそれぞれガス置換法とBET法により測定し、前記ガス置換法では純度99.999%のHeガスを使用して9回測定した結果を平均し、標準サンプルにAl2 3 を測定して校正するとともに、BET法では、吸着ガスに液体窒素を用いて吸着量を測定することにより表面積を決定した。
【0032】一方、模擬排気ガスには窒素酸化物としてNOを用い、該NOが1000ppm、O2 が10%、C3 6 が666ppm、残部がHeから成る反応ガスを、該反応ガスと触媒材料が接触する条件として、空間速度(SV)を200000/hr.に設定して前記評価用試料を充填した触媒層に流し、300〜500℃の温度範囲で触媒層を通過して生成したN2 ガスをガスクロマトグラフで測定した。
【0033】触媒のNO還元分解能は、触媒層出口側のN2 濃度(ppm)の2倍の値を、触媒層入口側のNO濃度(ppm)で除した百分率をNO還元率(%)とし、450℃におけるNO還元率を求めて窒素酸化物還元活性として評価した。
【0034】
【表1】

【0035】また、表1の結果に基づき、本発明に係る評価用試料のNi/Ga原子比と真密度の関係を図1に示した。
【0036】図1から分かるように、Ni/Ga原子比と真密度は直線的な関係が得られており、スピネル量論組成のNi/Ga原子比が0.50の時、前記関係の延長線上の理論密度が6.175g/ccの点を通ることから、本発明に係る評価用試料は、スピネル型(AB2 3 )構造のNiGa2 4 のAサイトからNiの欠損を許容したNi欠損型固溶体であることが分かる。
【0037】一方、表から明らかなように、比較例である試料番号13、15は、NO還元率が著しく低く、また、本発明の請求範囲外である試料番号1、11、12、14でもNO還元率が低く、実用的でないことが明らかとなった。
【0038】それに対して、本発明ではいずれも450℃で29%以上と十分なNO還元率を示していることが分かる。
【0039】また、本発明の前記評価用試料は、いずれもSV値が300000/hr.まで、酸素濃度は15%まで、前記評価特性の著しい低下はなく、一方、350℃の温度で連続して100時間、前記模擬排気ガスと接触させて反応させた後においても前記評価特性に大きな変化は認められなかった。
【0040】更に、前記評価用試料を4気筒のディーゼルエンジン台上試験装置の排気管に取り付け、該ディーゼルエンジンを最高回転数、全負荷の条件で100時間運転する耐久試験を実施し、試験後の評価用試料について前記同様にして窒素酸化物の還元活性を評価したが、NO還元率はほとんど低下していないことが確認でき、耐水性、耐熱性ともに優れていることが証明された。
【0041】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法によれば、該酸化物触媒材料はニッケル(Ni)とガリウム(Ga)を主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物で、Ni1-X Ga2 4 (但し、0<X<0.6)で表されるNi欠損型固溶体から成るもので、高濃度の酸素と還元性を有する炭素含有ガスが存在する酸化雰囲気中で前記酸化物触媒材料と窒素酸化物を含有する排気ガスを接触させることから、水蒸気が存在する雰囲気は勿論、排気ガス中の酸素濃度が3%以上の高酸素濃度雰囲気下であっても、その上、ガスの流速が高速度であっても、優れた窒素酸化物の還元性能を有し、排気ガス中に含有される窒素酸化物を有効に還元することができる。
【0042】その結果、省エネルギー、省資源及び地球温暖化防止を目標として開発される今後のディーゼルエンジンやリーンバーンエンジン等の各種内燃機関の排気ガスをはじめ、窒素酸化物を含有する各種有害物質の浄化に極めて有用なものとなる。




 

 


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