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発明の名称 窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−85602
公開日 平成10年(1998)4月7日
出願番号 特願平8−247569
出願日 平成8年(1996)9月19日
代理人
発明者 由宇 喜裕 / 松之迫 等 / 松本 秀美
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】ニッケル(Ni)とガリウム(Ga)を主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に、パラジウム(Pd)を前記スピネル型結晶性複合酸化物に対して0.5〜20.0重量%担持して成ることを特徴とする窒素酸化物除去用酸化物触媒材料。
【請求項2】ニッケル(Ni)とガリウム(Ga)を主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に、パラジウム(Pd)を前記スピネル型結晶性複合酸化物に対して0.5〜20.0重量%担持して成る窒素酸化物除去用酸化物触媒材料を、窒素酸化物を含む排気ガスと接触させ、直接、窒素と酸素に分解することを特徴とする窒素酸化物除去方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工場や発電所及び自動車等の各種排気ガス中に含まれる窒素酸化物を直接、窒素と酸素に分解して除去することのできる酸化物触媒材料並びにこれを用いて排気ガス中の窒素酸化物を還元剤を用いずに直接、窒素と酸素に分解除去する方法に関するもので、とりわけ排気ガス中の炭化水素濃度が低いリ−ンバ−ンエンジン等の自動車排気ガス浄化用として好適な窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに該酸化物触媒材料を用いて排気ガス中の窒素酸化物を直接、窒素と酸素に分解して除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、工場や発電所及び自動車等から排出される排気ガスに含まれるNOは、人体に悪影響を及ぼすだけでなく、酸性雨や光化学スモッグの原因物質であるため、その大気中への放出は大きな環境問題となっていた。
【0003】そこで、前記排気ガスに含有されるNOの除去方法としては、かねてより主に接触還元法が用いられており、例えば、工場及び発電所等のNOの固定発生源には、還元剤としてアンモニアを用い、バナジア(V2 5 )/チタニア(TiO2 )触媒によりNOを還元除去している。
【0004】一方、自動車等の移動発生源には、排気ガス中に残存する未燃の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(Cx y )を還元剤として用い、三元触媒によりNOを還元除去しており、そのような方法に用いられる三元触媒としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)等の貴金属をγ−アルミナ(Al2 3 )で被覆したコージェライト等の耐火性担体に担持したものが用いられていた。
【0005】しかしながら、前記固定発生源のNO除去方法として用いられるアンモニアによる接触還元法は、アンモニアが高価でかつ危険であり、その取り扱いには十分な注意が必要であるという理由から、移動発生源には用いることができなかった。
【0006】他方、自動車などの移動発生源においても、現在、省エネルギ−化のために注目されている希薄燃焼エンジン(リ−ンバ−ンエンジン)では、排気ガス中の未燃一酸化炭素及び炭化水素量が極端に少ないため、NOの還元作用を示さないという問題が残されている。
【0007】そこで、係る問題を解決するためには還元剤を使用せずに窒素酸化物を除去することが最も簡単で理想的であることから、還元剤を必要とせずにNOを窒素と酸素に直接分解する触媒の研究が種々行われており、これまでに銅イオン交換ゼオライト触媒を用いること等が提案されている(特開昭60−125250号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記銅イオン交換ゼオライト触媒を用いるものでは、400〜500℃の温度範囲でNOを窒素と酸素に直接分解できるとされているものの、600℃を越えるとNO分解活性が急激に劣化してしまうことから、600℃を越える高温排気ガス条件下では前記NO分解除去能力が低く実用上、使用できないという課題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、工場や発電所から排出される排気ガス、及び自動車、とりわけ希薄燃焼エンジン(リ−ンバ−ンエンジン)の排気ガス中に含まれるNOを600℃を越える高温条件下でも還元剤を用いずに直接、窒素と酸素に分解除去することができる有用な触媒材料並びにそれを用いた窒素酸化物除去方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題に鑑みなされたもので、Ni及びGaを主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物に、Pdを担持した触媒材料が600℃を越える高温下でもNOの直接分解反応に高い活性を示し、特に、希薄燃焼方式の内燃機関から排出される還元性ガスがほとんど存在しない窒素酸化物を含有する排気ガスにおいても、該排気ガス中のNOを有効に分解除去して浄化することができることを見出したものである。
【0011】即ち、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料は、Ni及びGaを主たる金属元素として含有するスピネル型構造を有する複合酸化物に0.5〜20.0重量%のPdを担持して成る触媒材料である。
【0012】更に、本発明の窒素酸化物除去方法は、NiとGaを主たる金属元素として含有する結晶相がスピネル型構造である複合酸化物にPdを0.5〜20.0重量%添加してなる触媒材料を用い、該触媒材料と窒素酸化物を含む排気ガスを接触させ、還元剤を用いずに窒素酸化物を窒素と酸素に直接分解することを特徴とするものである。
【0013】
【作用】本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法によれば、本発明の酸化物触媒材料はNi及びGaを金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物にPdを0.5〜20.0重量%担持したものであることから、PdとNi−Ga系酸化物触媒の相互作用、例えばNi−Ga系酸化物上に吸着したNOのN−O間の結合力をPdが弱めることにより、NOの直接分解活性が発現され、とりわけ、Pdの担持により触媒へのNO吸着量が増大するために触媒活性が向上することになる。
【0014】また、母材であるNi−Ga系酸化物は高温安定性を有し、Pdが高分散された状態で存在することが可能なために600℃を越える高温度域でも活性が維持されることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法について詳述する。
【0016】本発明において、窒素酸化物除去用酸化物触媒材料としてスピネル型複合酸化物に担持するPdの量が0.5重量%未満の場合には、触媒活性がほとんど発現せず、逆に、20.0重量%を越えると触媒活性の向上効果が認められないことから、0.5〜20.0重量%に特定され、特に触媒活性の点からは1.0〜10.0重量%がより好ましく、更に3.0〜7.0重量%が最も望ましい傾向を示す。
【0017】また、前記スピネル型複合酸化物は、NOを含有する還元ガスが存在しない模擬排気ガスと接触させると、該模擬排気ガス中のNOを窒素と酸素に直接分解する優れた特性を有することが認められる。
【0018】尚、前記複合酸化物は、主たる金属元素としてNiとGaを含有し、Ga/Ni原子比nが2.5〜3.3の比率から成るスピネル型結晶性複合酸化物であり、NiGan 4+z (但し、n=2.5〜3.3)の一般式で表されるものであり、前記式中の(O4+z )は複合酸化物として安定に存在するために必要な酸素量であり、該酸素量は前記nの値により0.2以下の範囲で随時変化するものである。
【0019】また、本発明で用いられる複合酸化物は、Ga/Ni原子比nの値が2.5〜3.3の範囲を逸脱すると触媒活性が低下するため、前記範囲に特定され、とりわけ2.8〜3.0が最も望ましい。
【0020】次に、本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料の製造方法について一例を詳述する。
【0021】本発明の複合酸化物は、Ni及びGaを含有する原料粉末を、Ga/Niの原子比nが2.5〜3.3となるように秤量し、十分に撹袢混合した後、酸化性雰囲気中、500〜1600℃の温度で5〜30時間熱処理することにより、金属元素としてNi及びGaを含有するスピネル型結晶を主結晶相とする複合酸化物粉末が得られる。
【0022】前記原料粉末としては、例えば、Ni及びGaの酸化物や、熱処理により酸化物を生成するそれらの炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を用いることができる。
【0023】また前記複合酸化物は、前記以外に酸化物や他の金属塩による固相反応法や、金属アルコキシド等のゾル−ゲル法等によっても合成できるものであり、何等これら製造方法に限定されるものではない。
【0024】前記製造方法において、いずれも熱処理は、その温度が500℃より低いと結晶化が不十分となり、逆に1600℃を越えると緻密化してしまうため、500〜1600℃の温度で、酸化雰囲気中、5〜30時間行うが、特に低い温度で熱処理することが粉末の比表面積を高める上で有効であり、実用的には、比表面積が35m2 /g以上となるように設定することが望ましい。
【0025】次に、前記複合酸化物を担持体として前記所定量のPdを含有する水溶液を加えて蒸発乾固し、ヘリウム(He)ガス雰囲気中、400〜600℃の温度で3〜5時間熱処理することにより、本発明のPdを担持したNi−Ga系複合酸化物触媒材料が得られる。
【0026】
【実施例】次に、本発明を評価するに際し、出発原料としてNi(NO3 2 ・6H2 O、及びGa(NO3 2 ・9H2 Oの試薬を用い、NiとGaの金属比が1対3になるように秤量し、これらの試薬を蒸留水中に溶解させ、撹拌しながらアンモニア水で中和し、この時、生成した沈殿物を濾過、洗浄し、凍結乾燥させた。
【0027】かくして得られた乾燥粉末を大気中700℃の温度で30時間、熱処理して比表面積が40〜50m2 /gのスピネル型結晶性複合酸化物粉末を得た。
【0028】その後、前記スピネル型複合酸化物粉末にPdの担持量が表1に示す割合となるようにPd含有水溶液を添加して蒸発乾固した後、該粉末を金型プレスにより成形し、更に冷間静水圧成形法により圧縮してから該成形物を解砕して篩別し、500μmを越え、700μm以下に整粒して評価試料を調製した。
【0029】尚、前記Pdを全く担持しないスピネル型複合酸化物触媒のみの触媒活性、および、銅イオン交換ゼオライトの触媒活性を比較例とした。
【0030】次いで、模擬排気ガスとしてNOが5260ppm、残部がHeから成る反応ガスを、該反応ガスと触媒材料が接触する条件として、空間速度(SV)を3000/hr.に設定して前記評価用触媒材料を充填した触媒層に流し、400〜800℃の温度範囲で触媒層を通過して生成したN2 ガスをガスクロマトグラフで測定した。
【0031】触媒のNO分解能は、触媒層出口側のN2 濃度(ppm)の2倍の値を、触媒層入口側のNO濃度(ppm)で除した百分率をNO除去率(%)とし、各温度でのNO除去率を求めた。
【0032】その結果から、前記測定温度範囲内で600℃を越える温度でのNO分解活性の最大値が20%を越えるものを良と評価した。
【0033】
【表1】

【0034】表から明らかなように、比較例である試料番号1は、NO分解活性は著しく低く、同じく試料番号15の銅イオン交換ゼオライトは、高温域での活性が著しく低くなっている。
【0035】また、本発明の請求範囲外である試料番号2、14はいずれも所定温度域でのNO分解活性が全体的に低く実用的でないことが明らかとなった。
【0036】それに対して、本発明ではいずれも600〜800℃の温度範囲で十分なNO分解活性を示していることが分かる。
【0037】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明の窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法によれば、該酸化物触媒材料はニッケル(Ni)とガリウム(Ga)を主たる金属元素として含有するスピネル型結晶性複合酸化物にPdを0.5〜20.0重量%担持して成ることを特徴とする窒素酸化物除去用酸化物触媒材料であり、前記酸化物触媒材料と窒素酸化物を含み還元ガスが存在しない排気ガスとを接触させることにより、NOがN2 とO2 に直接分解され、600℃を越える高温下でも十分なNO分解活性能力を有していることから、工場や発電所等の固定発生源は勿論、自動車等の移動発生源からの排気ガス中に含まれるNOをも有効に分解除去することができる。
【0038】その結果、省エネルギー、省資源及び地球温暖化防止を目標として開発される今後のリーンバーンエンジン等の各種内燃機関の排気ガスをはじめ、NOを含有する各種有害物質の浄化に極めて有用なものとなる。




 

 


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